あいちの環境
里山保全活動マニュアル

6-8保全管理作業

●下草刈り
多くの林縁部や林間の開けた場所などにはササやクズなど多くの雑草が一面を覆い、人の入れない状態となっています。管理作業の準備として、あるいは目標に応じた林床の状態を目指し、下草刈りを行います。慣れてくれば草刈り機も使いますが、残す木を傷めることも多く、始めのうちは手で刈ることを勧めます。

■鎌の使い方
下図のように、必ず親指を下にして草などをつかみ、鎌を地面に這わせるように手前へ引きます。鎌で草などを切る瞬間から、ほんの一瞬遅らせて両手を手前に引くと切りやすいでしょう。親指を上にして草などをつかむと、鎌で手を切りやすいので注意します。また、鎌に角度をつけて引くと、鎌がササなどの上を滑って手元へきて、手を切ることがあります。

■潅木・つるの扱い
雑木林の下草刈りをする場合には、見通しがよくなるようにとりあえず、草本、ササ、イバラ、つる性植物、小さい枯れ木を刈り取ります。伐倒木などに押えられている潅木、ササ、小枝などを切ると、突然跳ねることがあるので注意して切ります。フジやアケビのようなつるは、花や実の楽しみを考え、不必要な物だけ切り取ります。この場合は、つるが跳ねたりするので、まず根元を切ってから木に絡んでいるものを取り除きます。

●下刈り
一般的なこの地域の雑木林を放置すると、林は密生状態になり、通風が悪くなり樹木に日光が届きにくくなります。その結果、枯れ木ができたり、ひょろひょろに徒長したり、ツツジなどの花木では花が咲かなくなったりします。そこで、林の目標イメージに応じ低木などを選択的に切り取り、通風と採光を確保し人の親しめる林としましょう。

■鎌の持ち方
鎌(木鎌または厚鎌という)を使う場合は、潅木の地上30cmほどのところをつかみ、図のように少し手前へ倒し、できるだけ根元を切ります。こうすると切りやすく、鎌の刃がこぼれにくいが、あまり倒すと鎌が手元へ走り危険です。
少し太い木はノコギリを使ったほうがよいでしょう。切り口と反対の方へ少し倒しながら切ると、楽に切れます。
鎌では、どうしても水平には切れないので、刈ったあとを不注意に歩くと切り株を踏抜きやすく、慎重に歩くことが大事です。

■切る木の選別
ツツジなどのような花木は、とりあえず残します。何の木か不明でも、花がらが残っていれば花木と分かるので、見慣れないものがあれば、リーダーに聞くようにします。混んでいるものは空かす必要がありますが、見通しがよくなってから不用なものを除くほうが無難です。

●間伐、除伐
現在、雑木林の多くは放置されており、林の密度が高く、人の入れない場所となっています。日光も不足ぎみで樹木はひょろひょろして活力がありません。樹林の活力アップのため、あるいは目標とする林相のイメージにするために、高、中木の不必要なものや過剰なものを選択的に切り取るのが、間伐あるいは除伐です。

■ノコギリの使い方
下刈りの場合と同様、利き腕側が上斜面になるように構え、足場を確かめて、できるだけ根元から水平に切ります。細い木は、切り口と反対の方向へ少し倒しながら切ると楽に切れます。大きい木は、まず倒す方向を決め、倒す側を1/3ほど切り、その1cmくらい上を反対側から切ります。
特に大きい木は、倒す側にV形の切り込みを入れると、倒れる方向が確かとなります。中級者までは、ノコギリでまず斜めに切り、その下を水平に切るのがよいでしょう。上級者はまずノコギリで水平に切り、その上をオノでV字に切るか、オノだけでV形に切ります。木が傾き始めたら、2人ほどで倒す方向へ押してもらうとよいでしょう。木が倒れるときは、木が跳ねたり、潅木を跳ね飛ばしたり、枯れ木を倒したり、枯れ枝をなぎ落としたりすることがあるので、これらも考えに入れて、倒れる側に人が居ないことを必ず確認します。切り株の上へ倒すと、倒れた木が跳ね上がって危険なので、絶対に避けます。

●切った木の処理
(1)細い木の場合
細い木は適当な長さに揃え、つるや荒縄でしばって、束(ソダ)にしておきます。それを林縁に沿って配置し、小動物の住みかや土砂の流出防止、樹林の肥料としたりします。又、樹種や樹形を選択して、雑木クラフトや雑木アートなどの素材として利用もできます。
(2)太い木の場合(玉切り)
太い木はもしつるが絡んでいればまずつるを切り、枝をはらいます。また、最初に上側の枝を切り、木が安定しているのを確認してから下側の枝を切ります。この場合、切る枝と反対側に立って足元をよく確かめ、株元からこずえに向かって枝を切ります。特に鎌やナタを使う場合は、切る枝と同じ側に立つと、刃物が跳ねて足を切ることがあります。
枝をはらっている木が突然動き出すこともあるので、できるだけ幹の山側に立って作業します。特に、利き枝(その枝が木を支えているもの)を切る場合は、必ず山側に立ちます。利き枝は一気に切らず、まず軽く刃物を当てて様子を見て、安全を確かめてから切ります。
木を切り倒す場合は、枝はらいがしやすい場所へ倒すことを考えるとよいでしょう。枝はらいが終わったら、その木の利用目的を考慮して搬出可能な長さに切り(王切り)、平地や林道付近へ集めます。
中高木は、切った木を処理してから次の木に移ります。切り重ねてゆくと処理が困難になるし、危険を伴います。潅木はある程度切ってから、片付けてもよいでしょう。
 

●竹林の管理
竹林は古くから里山の代表的な植生でした。それは定期的に伐られ、農家の農具や生活道具として様々な利用法がされてきました。しかし現在では放置されて、密度が高まり、地下茎によって周囲の雑木林や畑地に拡大し、竹薮となってきています。そこで里山の多様性を確保するため、あるいは明るく親しみのある竹林を形成するため、竹林の適正な密度管理や他群落への拡大を抑制する必要があります。

■管理の方法
オアシスの森魅力アップメニューより
 

主な管理の方法 時期
1拡大の抑制
*竹林群落境界の地下茎を遮断する
・境界部に地中壁を設ける。
・境界部に溝を設ける。
*境界近くの若竹を伐採する。
タケノコを掘採する。
2密度の管理
・倒れた竹、枯竹の除去する。
・目標密度を定め間伐を行う。
3若返りの促進
・古い竹を伐採する。
・発筍後同数を親竹として仕立てる。
 
 
 
 
・1〜2年に一度 春頃
・1年に一度  発筍時期
 
 
・1年に一度程度  秋頃
 
・1年に一度程度 秋頃

・密度の管理

 ・竹の切り方


●林業家のアドバイス
里山の保全管理作業は傾斜のある林地で、刃物道具を使い、慣れていない者が複数で行うことが多く、危険が伴います。ここでは林での作業に熟達している林業家の1ロアドバイスがあるので紹介します。
■作業編
*のこは力を入れるな、動かしていれば、いずれ切れる。
*力を出すよりカマを研げ。
*「しょいこ」で物を背負うときは、重い物を上に、そして高く。
*腰ナタは右に下げても、左に下げても良いが、いずれにしても邪魔。だけどないと不便。
*山に着いたら、すぐ仕事を始めてはいけない。道具を研いだり、火を燃やして語ったり、たち上げを十分にすれば、ケガも少ない。「ツールボックス・ミーティング」というんだって。
*下刈り鎌の持ち方に注意。まさか担いだりしてはいないでしょうね。首切るよ。
*下刈り鎌、刈り払うというより、ひっかけて引くという感じ。
*下刈り鎌、両刃が使えると、往復刈れて効率が良いのだけれど、うまく研げない。
*スス竹などのある場所の下刈りは、たとえば鎌で刈ると危険。刈った跡は剣山よりも鋭いぜ。
*チェンソーの刃は表面の、いわばメッキで切れると思ってよい。
*危ない話だけど、雷がゴロゴロなっている時くらいの時が、鎌が切れて仕事がはかどる。
*タケノコ掘り、クワはこねるな。タケノコの根が曲がっている方にクワを打ち込むだけでよい。できるならツルハシみたいなものが使いやすい。
 
 
 

■行動編
*山はゆっくり登れ、息が切れるぞ。
*山で迷ったら、やたら動くな。「体力の温存」が第一。
*山で靴を脱ぐ、次に履くとき中を見よ。マムシがはいっているぞ。
*朝の山歩きは、なぜか2番目の人がいちばん露に濡れる。
*野糞は、斜面の上を向いてすると安定が悪い。下向いてすると尻がつかえる。横向いてすると、足にひっかかる。がまんすると脂汗がでる。
*キジ撃ち(野糞)前のヘビ払い。これが不可欠。穴掘りも大切。
*ブヨは黒い物が好き。ヘルメットの上に黒い小さな旗を立て、そっちへおびき寄せると顔に来ない。
*柿の木は枝がもろくて登るとポキン。それに比べケヤキは丈夫。かなり先まで折れない。

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