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鳥類

1. 愛知県における鳥類の概況

 愛知県鳥類目録2002(愛知県野鳥保護連絡協議会,2002)以降、2008年8月末日までに愛知県内で生息が確認された種はミズカキチドリ、カナダカモメ、オニカッコウ、コノドジロムシクイ、ミヤマビタキ、キマユホオジロ、ハイイロオウチュウ、オウチュウ、カササギの9種である。 この中から既存の知見で自然分布に問題の少ないと思われるミズカキチドリ、カナダカモメ、コノドジロムシクイ、キマユホオジロ、カササギの2目4科5属5種を加えると、愛知県で確認された野生鳥類は18目67科191属398種である(表6)。 日本鳥類目録改訂第6版(日本鳥学会,2000)に記載される18目74科230属542種に対して、目で100%、科で91%、属で83%、種で73%を満たしている(※注1)。
このことから、本県は、全国的に見て多様で豊かな鳥類相を呈しているということができる。

表6 愛知県鳥類目録2008 目科別集計
属数 種数   属数 種数
アビ目 アビ科 1 4 ヨタカ目 ヨタカ科 1 1
カイツブリ目 カイツブリ科 2 5 アマツバメ目 アマツバメ科 2 3
ミズナギドリ目 アホウドリ科 1 1 ブッポウソウ目 カワセミ科 3 4
ミズナギドリ科 4 8 ブッポウソウ科 1 1
ウミツバメ科 1 2 ヤツガシラ科 1 1
ペリカン目 ネッタイチョウ科 1 1 キツツキ目 キツツキ科 3 5
カツオドリ科 1 1 スズメ目 ヤイロチョウ科 1 1
ウ科 1 3 ヒバリ科 4 5
グンカンドリ科 1 2 ツバメ科 3 4
コウノトリ目 サギ科 9 15 セキレイ科 3 10
コウノトリ科 1 2 サンショウクイ科 1 1
トキ科 2 3 ヒヨドリ科 1 1
カモ目 カモ科 13 41 モズ科 1 5
タカ目 タカ科 10 17 レンジャク科 1 2
ハヤブサ科 1 6 カワガラス科 1 1
キジ目 キジ科 3 3 ミソサザイ科 1 1
ツル目 ツル科 1 3 イワヒバリ科 1 2
クイナ科 6 7 ツグミ科 9 19
ノガン科 1 1 ウグイス科 7 16
チドリ目 レンカク科 1 1 ヒタキ科 4 9
タマシギ科 1 1 カササギヒタキ科 1 1
ミヤコドリ科 1 1 エナガ科 1 1
チドリ科 4 13 ツリスガラ科 1 1
シギ科 18 48 シジュウカラ科 1 4
セイタカシギ科 2 2 ゴジュウカラ科 1 1
ヒレアシシギ科 1 3 キバシリ科 1 1
ツバメチドリ科 1 1 メジロ科 1 1
トウゾクカモメ科 2 4 ホオジロ科 4 19
カモメ科 9 25 アトリ科 10 14
ウミスズメ科 5 7 ハタオリドリ科 1 2
ハト目 サケイ科 1 1 ムクドリ科 1 6
ハト科 2 3 コウライウグイス科 1 1
カッコウ目 カッコウ科 1 5 カラス科 5 8
フクロウ目 フクロウ科 4 6 合 計 18目 67科 191属  398種

注1)今回の集計で、ミカヅキシマアジ、ミズカキチドリ、カナダカモメ、アメリカズグロカモメ、ワライカモメ、ヤドリギツグミ、コノドジロムシクイ、サバンナシトドの8種は、日本鳥類目録改訂第6版(日本鳥学会, 2000)に記載がないため厳密な比較ではない。


 なお、今回目録に加えられなかった4種についてはいずれも南方に分布する種であり、地球温暖化等により自然分布を拡げている可能性が高いことから、今後、国内外での分布状況が明確になり次第、目録への追加が検討されることになる。
 便宜的ではあるが、これらの各種に対して愛知県における一般的な生息期間(status)を割り当てると、留鳥66種、夏鳥40種、冬鳥87種、旅鳥57種となる。 これに基づけば、県内に継続的または定期的に生息する野生鳥類は概ね250種、不定期・偶発的に記録される種(143種)または生息期間を割り当てがたい種(5種)が148種となる。
 また、県内で繁殖が確認されたあるいは繁殖が確実と考えられる種は、114種で、この中には、ホシガラス、ビンズイなど現在では愛知県内における繁殖が絶滅となっている種や、シマアジ、マダラチュウヒなど突発的な記録と考えられる種が含まれる。 しかし、この他にも、アオバト、ヤイロチョウのように繁殖期の確認が十分多くなっているものや、シロハラクイナ、ツルクイナ、セグロカッコウ、ベニアジサシなどのように過去に繁殖期の生息が確認されており、繁殖の可能性が残されている種がいくつかある。
 以上、本県の鳥相は本州中部地方を呈し、高山・亜高山性の種がやや薄いが、水辺特に沿岸域に生息する冬鳥と旅鳥が多様といえる。

表7 繁殖種
標準和名 資料
カイツブリ,カワウ,ヨシゴイ,ミゾゴイ,ゴイサギ,ササゴイ,アマサギ,ダイサギ,チュウサギ,コサギ,アオサギ,オシドリ,マガモ,カルガモ,シマアジ,ミサゴ,ハチクマ,トビ,オオタカ,ツミ, ノスリ,サシバ,クマタカ,マダラチュウヒ,チュウヒ, ハヤブサ,チョウゲンボウ,ヤマドリ,キジ,クイナ,ヒクイナ,バン,オオバン,タマシギ,コチドリ,イカルチドリ,シロチドリ,ケリ,イソシギ,オオジシギ,セイタカシギ,ツバメチドリ,アジサシ,コアジサシ,キジバト,ジュウイチ,カッコウ,ツツドリ,ホトトギス,コノハズク,オオコノハズク,アオバズク,フクロウ,ヨタカ,ヒメアマツバメ,ヤマセミ,アカショウビン,カワセミ,ブッポウソウ,アオゲラ,アカゲラ,オオアカゲラ,コゲラ,ヒバリ,ツバメ,コシアカツバメ,イワツバメ,キセキレイ,ハクセキレイ,セグロセキレイ,ビンズイ,サンショウクイ,ヒヨドリ,モズ,カワガラス,ミソサザイ,コマドリ,コルリ,イソヒヨドリ,トラツグミ,マミジロ,クロツグミ,アカハラ,ヤブサメ,ウグイス,コヨシキリ,オオヨシキリ,センダイムシクイ, キクイタダキ,セッカ,キビタキ,オオルリ,コサメビタキ,サンコウチョウ,エナガ,コガラ,ヒガラ,ヤマガラ,シジュウカラ,ゴジュウカラ,キバシリ,メジロ,ホオジロ,ホオアカ,ノジコ,カワラヒワ,イカル,スズメ,ムクドリ,カケス,オナガ,ホシガラス,ハシボソガラス,ハシブトガラス 愛知県の野鳥1977
愛知の野鳥1983
愛知の野鳥1995
緒方清人,1998
東三河野鳥同好会
名古屋市鳥類調査会
西三河野鳥の会

2. 愛知県における絶滅危惧種の概況

 今回、愛知県で絶滅のおそれがあると認められた鳥類は、絶滅(EX)が0種、絶滅危惧TA類(CR)9種、絶滅危惧TB類(EN)13種、絶滅危惧U類(VU)26種、準絶滅危惧(NT)31種、情報不足(DD)1種の80種で、 表6の目録に掲載された鳥類398種の約20%に相当し、多くの種が危険な状況にあると判断された。また、特定の環境(地区)に固執し、全国的に見て重要かつ特徴的と考えられる一定規模以上の個体群を地域個体群(LP)とし、3種をあげた。
 なお、種の選定と評価・区分にあたっては、迷鳥及び一部の外洋性の種を除き、それぞれの種の県内における生息期間をふまえ、経年的に行ったカウント調査結果の推移、現在の生息数または記録される頻度、生息環境の変動状況、生息地の局地性、国際的・全国的な希少性等に着目し、定性的要件に基づき総合的な判断から区分した。
 例えば、イヌワシ(環境省EN)では、県内の繁殖記録が無く、観察記録の全てが幼鳥の拡散移動中の個体と考えられるため対象外と評価された。ハイタカ(環境省NT)についても、県内の繁殖記録が無く、渡りや越冬期の個体数は他の猛禽類と比較して少なくないこと。越冬個体の生息環境も県内全域に及び、保全するべき環境が絞り難いことから対象外と評価された。
 一方で、環境省レッドリストに記載がない種でも、愛知県レベルでは記載が必要と考えられる種が数多くあった。例えば、ヨシゴイ、ビロードキンクロは一般的には希少種とみなされないが、県内ではかつて生息していた池沼や海岸から次々と姿を消してきた。ツルシギ、タカブシギは、水田や休耕田に生息するが、経年的なカウント調査により1980年代半ば以降、個体数が急激に減少している。 シロチドリは、愛知県の干潟を代表する繁殖種であったが、1980年代半ばを境に急激に減少しており、同様の減少傾向が継続すれば数十年で絶滅が予想されることから、準絶滅危惧(NT)と評価された。 メリケンキアシシギは国内でも生息数のごく少ない旅鳥であるものの国の指定種ではないが、県内ではごく少数ではあるが継続的な飛来があり、その生息環境が県内でも希少な外洋の岩礁に限られていること、特定の場所にのみ生息することで、この環境に何らかの変化があれば絶滅が予想されることから準絶滅危惧(NT)と評価された。
 さらに、環境省レッドリストと愛知県レッドリストの両方に記載されながらも評価区分が異なる種がある。例えば、ツバメチドリ(環境省VU)は、国内でも生息数の少ない夏鳥であるが、1990年代まで愛知県では沿岸部の干拓地を中心に繁殖しており、国内最大の生息地であった。近年は年間に数羽が確認されるのみで、繁殖の確認もほとんど無くなっていることから絶滅危惧TA類(CR)と評価された。 シベリアオオハシシギ(環境省DD)は、国内でも確認数の極めて少ない種であるが、1990年代までは県内の沿岸部に飛来しており、愛知県は国内を代表する飛来地であったことから、初版の情報不足から今回絶滅危惧TA類(CR)と評価された。 サンショウクイ(環境省VU)は県内の丘陵地から山地に生息する夏鳥であるが、県内における分布や生息数は比較的安定していることから準絶滅危惧(NT)と評価された。
 今回の愛知県レッドリストは第二版であり、「レッドデータブックあいち2002動物編」掲載の初版を基に、以降に得られた知見を加えて改訂したものである。初版の出版から僅か6年の間であるが、県内の沿岸部をはじめ丘陵部や山地部の環境は明らかに野生鳥類の生息には不都合な方向に変化しており、今回の改訂では17種で絶滅危惧のランクが上がり、ランクが下がったものは3種にすぎない。 ランクが上がった17種の中で12種が水辺に生息する種であることから、愛知県内の水辺環境は県内全域を通じて、現在も急速に悪化していることがうかがえる。中でもシギ・チドリ類のランク上昇が顕著であり、絶滅危惧TA類(CR)9種の中で5種を占めている。 愛知県の水辺の優占種であったシギ・チドリ類(レンカク科1種、タマシギ科1種、ミヤコドリ科1種、チドリ科13種、シギ科48種、セイタカシギ科2種、ヒレアシシギ科3種、ツバメチドリ科1種)70種の中でレッドリストにあげられているのは、それぞれの環境を代表する30種のみであるが、実質的に現状で絶滅の危機に瀕していないと判断できるのはコチドリ、ケリ、クサシギ、イソシギの4種のみであり、残りの66種は全て絶滅の危機に瀕しているというのが実状である。
 本リスト策定を通じ、かつては普通に見られたものの現在は希少になっている種が数多くいることを明らかにできたことは意義深い。このことは、従前より希少とされている種もさらに過去には普通に見られた可能性があることと、将来的な生息条件の変化等によりさらに多くの種が減少する可能性があることを示唆している。 従って、今後は、県内における鳥類の生息状況の推移を監視しながら、本リストを適宜改訂していくとともに、減少傾向にある鳥類の生息環境保全と回復について、効果的な対策の早急な実施が強く求められる。

【参考:除外種リスト】

 「レッドデータブックあいち2002動物編」掲載種のうち、今回の見直しによってリストから除外された種とその理由は以下のとおりである。

No. 目名 科名 和名 見直し前県ランク 除外理由
1 タカ タカ ハイタカ NT 新たな知見より越冬地の本県で顕著な減少傾向は認められない

3. 愛知県鳥類レッドリスト

 目及び科の範囲、名称、配列は、「日本鳥類目録 改訂第6版」(日本鳥学会,2000)に準拠した。