愛知県が実施している河川改修事業について紹介します。

1.河川改修事業の紹介
2.河川改修事例の紹介
3.地震対策

1.河川改修事業の紹介

 愛知県では、国庫補助事業、県単独事業により、河川の改修を進めています。
 以下に愛知県で実施している事業について紹介します。

国庫補助事業

※平成22年度以降は以下の事業メニューは残した形で予算は交付金制度となりました。(床上浸水対策特別緊急事業、河川激甚災害対策特別緊急事業を除く)

広域河川改修事業

実施河川
 日光川、天白川他

 洪水や高潮による災害の発生を防止するため、計画的な河道改修等を実施します。

鉄道橋・道路橋緊急対策事業

実施河川
 五条川

 架橋後、相当の期間を経過した鉄道橋や道路橋の中には洪水の疎通能力が不足し、かつその対策に多大な費用を要するものがあるため、 このような鉄道橋や道路橋について重点的に投資を行い、緊急に改築を実施します。

総合治水対策特定河川事業

実施河川
 新川、境川他

 開発の進行に伴う人口の集中、洪水時の流出量の増大等により、治水安全度の低下の著しい都市河川について、 流域における貯留施設等整備や土地利用の誘導などと合わせ、重点的に河川改修を進めます。

地震高潮対策事業

実施河川
 矢崎川、蟹江川、福田川他

 台風や地震によって発生する高潮・津波により被害を生じるおそれの有る地域について、水門、堤防等の整備を実施します。また地盤沈下の著しい地区やゼロメートル地帯等においても、内水対策等の必要な河川について、河道改修等を行うことにより地盤沈下対策を実施します。

床上浸水対策特別緊急事業
実施河川
 伊賀川、広田川他

 床上浸水が頻発している地域において、特に対策を促進する必要がある河川を対象に概ね五カ年で再度災害防止を図るべく、 重点的、緊急的かつ総合的に治水対策を進めます。

大規模河川管理施設機能確保事業

日光川(水閘門)

河川管理施設の老朽化が著しく、必要な高さや流下能力などの機能に著しい障害が生じている大規模な施設について改築を進めます。

総合内水対策緊急事業

実施河川
 水場川

 ハードとソフト対策を組み合わせた総合内水対策計画を策定し、緊急的に内水対策を実施することにより、 人命被害や生活再建が困難となる被害の生じるおそれの高い地区を概ね五カ年で解消します。

都市基盤河川改修事業

実施河川
 安永川 

 地域に密着した行政主体である市が事業主体となって改良工事を実施することにより、 都市水害の増大に対処し地域行政の連携を踏まえたきめ細かい治水対策を進めます。

総合流域防災事業

実施河川
 日長川他

 水害対策と土砂災害対策、ハード対策とソフト対策を一体的に実施し、豪雨災害等に圏域一体となった総合的な防災対策を推進するため、 水害・土砂災害対策等や災害関連情報等の提供等のソフト対策に係る事業を行います。

河川激甚災害対策特別緊急事業

 昭和49年7月に日光川水系を襲った記録的な集中豪雨による大きな被害を契機に抜本的対応策として立案され、 洪水、高潮等により甚大な被害が発生した河川について概ね五カ年を目処に改良事業を実施し、再度災害の防止を図ります。
 最近では、平成12年の東海豪雨で甚大な被害を受けた新川及び天白川において、平成12年度〜16年度の五カ年で、 堤防の強化、河道の拡幅、河床の掘削などの整備を緊急的に行い、再度、同様な降雨に見舞われても、洪水を安全に流下させるとともに、 内水被害を最小限にとどめることができる状態になりました。

 

県単独事業

・緊急防災対策河川事業

・地盤沈下対策河川緊急整備事業

昭和519月の台風17号による激甚な災害と進行する地盤沈下を契機として、法人事業税の超過課税による増収額を特定の財源とし、 県土を保全し県民の生命・財産の安全を図るために活用しています。
 現在は平成24年度までの第12次計画を実施しています。

河川整備促進特別事業

 流域内で特定の面的開発事業が実施又は計画される河川において、上下流のバランスのとれた治水安全度の向上を図るとともに、 地域の発展に寄与することを目的とする事業です。

地震対策河川特別事業

実施河川
 矢崎川

 特に堤防の耐震化が必要な河川について、緊急的に耐震対策を推進する事業です。
(河川堤防の耐震化については、「3.地震対策」をご覧下さい。)

小規模河川改修事業

 一定区間を一定規模の計画で改修する事業です。

河川局部改修事業

 局部的な改修により治水効果を発揮させる事業です。
 重要水防箇所の対策等を実施します。

 

2.河川改修事例の紹介

 愛知県で実施した河川改修の事例を紹介します。
 河川毎に計画された流量を流すため、以下のような改修を実施しています。

(1)河道の拡幅

 川幅を広げることにより、流下能力を増強します。

広田川(西尾市)

猿渡川(刈谷市)


(2)堤防の嵩上げ

 堤防を高くして、越水を防ぎます。

領内川(愛西市)


(3)河床の浚渫

 川底を掘ることで水位を下げ、流下能力を増強します。

五条川(清須市・あま市)

 

天白川(名古屋市南区)


(4)橋梁の改築

 川幅を広げる時などに支障となる橋梁を改築します。

境川・逢妻川、JR東海道本線橋梁改築(刈谷市・東浦町)


(5)排水機場等の建設

 排水機場、水門、放水路、調整池などにより治水安全度を高めます。

 

水場川排水機場(清須市)

 

 

内海川水門(南知多町)

 

内津川放水路(春日井市)

 

福田川遊水池(稲沢市)

 

日光川水閘門(飛島村)完成予想図

※詳細と現在の状況は

 

3.地震対策(河川堤防の耐震化)

 一般的に堤防は土構造であり、復旧が比較的容易であることから、地震による被害が発生した場合でも、次の洪水が発生するまでの間に応急復旧を行うことにより浸水被害は防止可能と考えています。
 しかしながら、地盤が低い河口付近の地域では、潮位によっては、沈下箇所からただちに海水が浸入し浸水被害が発生する場合があります。 愛知県では、兵庫県南部地震を契機に国が作成したマニュアルに基づいて堤防の耐震点検を行い、その結果、 重大な被害が発生する可能性のある箇所から優先的に耐震対策工事を行っています。
 また、河川堤防の耐震対策は「あいち地震対策アクションプラン」に位置付けて、推進していきます。

液状化、沈下のイメージ図

日光川(蟹江町)堤防耐震化工事の様子

矢板工法のイメージ図


矢板工法とは
 液状化で地盤が流動化することを鋼矢板で防いだり、排水機能を有する鋼矢板により、地震時に上昇する水圧を下げて液状化を防止します。

矢崎川(西尾市)堤防耐震化工事の様子