緊急防災対策事業(河川・海岸)緊急防災対策事業とは、法人事業税超過課税を特定の財源とし、県土を保全し県民の生命・財産を守るため、中小河川の整備、地盤沈下対策、海岸の整備などを行う事業です。1.事業の背景 2.緊急防災対策事業とは 3.事業計画 4.これまでの事業の成果 5.緊急防災対策事業による河川事例 1.事業の背景(河川)愛知県が管理している河川は、60水系、289河川、総延長1,862kmあります。これら県管理河川の洪水想定氾濫区域は県土の約2割を占め、 その区域内には300万人以上の人々が住むとともに、40兆円を超える資産があります。また、濃尾平野には約280km2にも及ぶ全国最大のゼロメートル地帯があります。 愛知県では、死者・行方不明者3,200人を超えた伊勢湾台風を始め、昭和47年、昭和49年、昭和51年、平成3年の豪雨や、平成12年9月東海豪雨、平成20年8月末豪雨等により、 貴重な人命や資産が失われる甚大な被害が発生しています。特に、東海豪雨災害では、浸水家屋が62,000棟を超え、昭和34年伊勢湾台風以来の甚大な被害となりました。 また、都市化の進展により、流域の持つ保水・遊水機能は低下し、河川への流出量は増大しているうえ、近年では異常気象とも思える集中豪雨も頻発しています。 このような状況を踏まえ、水害対策として、県の管理区間では、流域面積が大きく、想定氾濫区域内に人口・資産が集積する主要河川においては、 当面の整備として概ね20年から30年に1回程度発生する洪水を、その他の一般河川においては、概ね5年に1回程度発生する洪水を安全に流すことを目標に河川整備を進めています。 愛知県では、昭和52年に、全国にもまれな制度である、法人事業税超過課税を特定財源とする「緊急防災対策事業」を創設し、 治水整備の進捗に大きく貢献してきたところですが、平成20年度末における県管理河川の整備率は約53%と未だ低い状況にあります。 上記目標の達成のため、国庫補助事業などの通常の財源措置に加え、引き続き「緊急防災対策事業」により治水整備の促進を行っていきます。 (海岸) 愛知県の海岸は太平洋に面する遠州灘、内湾である三河湾、伊勢湾の3沿岸からなり、海岸線延長は597kmに及んでいます。 そのうち413kmが海岸保全区域に指定されており、県が管理するのは324kmあります。いずれの沿岸も優れた自然景観を持ち、古くから生活、 物流、漁業、観光の場として重要な役割を果たしています。 愛知県の沿岸域は昔から、高潮・波浪・津波等の海岸災害に見舞われてきました。特に昭和28年の13号台風、昭和34年の伊勢湾台風は沿岸域に大規模な被害をもたらし、 三河湾、伊勢湾沿岸の海岸堤防整備の契機となりました。しかし、伊勢湾台風復旧後40年以上経過し、 老朽化や地盤沈下による機能低下や背後地の開発による機能不足も著しくなっています。 また、近年、発生が危惧されている東海・東南海震等への対策も緊急の課題となっており、海岸堤防の耐震化の推進とともに、 津波に対して、水門・防潮扉等の開口部対策や既存海岸堤防が十分機能を発揮できるよう老朽化対策を推進する必要があります。 このため、公共事業と平行して損傷の激しい堤防を補修し、老朽化の著しい樋門・陸閘についても操作性の向上のための改修を超過課税充当事業で行うものであります。 2.緊急防災対策事業とは昭和51年9月の台風17号による甚大な災害と進行する地盤沈下を契機として、県内の各企業の理解と協力の下に、 昭和52年から法人事業税について超過課税(資本金が大きく所得の高い企業に対して率を引き上げて課税)を実施し、 その増収額を特定の財源として県土を保全し県民の生命・財産の安全を図るために活用しています。 具体的には、中小河川の整備・地盤沈下対策・海岸の整備などにおいて緊急防災対策事業を実施し、大きな成果を上げてきました。しかしなお、緊急度の高い箇所が依然として残っており、これらの箇所を推進するため、現在は平成24年度までの第12次計画を実施しています。
3.事業計画
採択河川・海岸 以下の河川で事業の実施を行ってきています。 現在は、平成24年度までの第12次計画により、緊急防災対策河川事業40河川、地盤沈下対策河川緊急整備事業8河川、 海岸緊急整備事業13海岸において事業を実施しています。 4.これまでの事業の成果第1次から第10次までの30年間に実施した事業の概要は下表のとおりです。
5.緊急防災対策事業による改修事例
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