知事の記者会見
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平成27年9月14日(月) 午前10時00分
1.

知事発言

(1)

台風第18号等による大雨の被害に係る茨城県への災害見舞金の贈呈について

【知事】  皆さん、おはようございます。9月14日月曜日の定例記者会見を始めさせていただきます。
 台風第18号等によります大雨の被害に係る茨城県へのお見舞いについてご報告いたします。
 台風第18号等の影響による大雨によりまして、関東地方、東北地方に大変大きな被害が発生いたしました。お亡くなりになられた方々に対しまして、心からお悔やみを申し上げます。また、被災された方々に心からお見舞いを申し上げます。
 本県では、他の都道府県で発生した被害に対しまして、深刻な被害を受けました都道府県に対しましては、見舞金を贈呈いたしております。今回の大雨によりまして、茨城県の被害が甚大でありましたので、災害復興の一助としていただくために、50万円を贈呈することといたしました。見舞金は、後日、本県の東京事務所を通じまして、お渡しする予定でございます。日程が決まりましたら、またご報告いたします。被災地の一日でも早い復旧をお祈り申し上げます。
 そして、これは内部基準で決まっておりまして、死者、行方不明者が20名以上の場合とか、500世帯以上が全壊といったような場合に見舞金を差し上げるということになっておりまして、今回はその基準に入ったのが茨城県ということなので、茨城県さんに見舞金を贈らせていただくことにいたしました。
 また、もう既に新聞報道等でありましたが、今回は私ども愛知県からも、愛知県警から広域緊急援助隊警備部隊121名と、広域警察航空隊6名の127名が、9月10日木曜日の午後から出動いたしております。もう既に報道がありましてご案内のとおりでありますけれども、それぞれ、航空隊は11日、そして広域緊急援助隊は12日土曜日に任務を終えてこちらの方に戻ってまいりました。
 広域緊急援助隊は、船などによりまして5名を救助、そして安否確認などなどもいたしました。また、航空隊は、上空からの捜索救助活動により23名を救助したということで、頑張ってくれたものと思っております。
 行方不明の方々の一日も早い安否確認と、そしてまた被災地の一日も早い復旧をお祈り申し上げたいと思っております。
 なお、まだまだこれから9月ですね、台風シーズンでもありますので、私どももそういった地域等については、またしっかりと、河川堤防とか様々なものについてはチェックしていきたいと思っております。
  
(2)

2018年世界女子ソフトボール選手権大会の招致について

【知事】  2018年世界女子ソフトボール選手権大会の招致について発表いたします。
 本日9月14日、愛知県ソフトボール協会が、愛知県及び名古屋市、刈谷市を開催都市とする「2018年世界女子ソフトボール選手権大会」への立候補書面を日本ソフトボール協会に提出いたします。この中で、会場につきましては、ナゴヤドーム、パロマ瑞穂野球場、刈谷球場を想定いたしております。
 本大会は、国際ソフトボール連盟が2年に1回開催し、ソフトボールの世界一を決定する大会であります。参加国数は北京オリンピックの8チームより多い16チームと、最大規模の国際大会でございます。この2018年大会は、野球・ソフトボールが2020年東京オリンピックの開催種目、追加種目に決定された場合には、その出場権を賭けた大会となります。日本ソフトボール協会は、既に国際ソフトボール連盟に対しまして、開催都市は未定として立候補しておりますが、立候補した国は日本だけだと聞いております。
 今後、日本ソフトボール協会が国内の開催都市を絞り込んで、10月上旬に国際ソフトボール連盟に申請し、10月16日の国際ソフトボール連盟総会で開催国と開催都市が決定される予定であります。
 今回はナゴヤドームとパロマ瑞穂野球場、刈谷球場ということでございますが、今回の開催の球場の条件というのは、観客席が5,000席以上で、ナイター設備を完備していて、球場間の移動時間が30分などが会場の立候補要件ということです。基本的には、私ども愛知県に決まれば、ナゴヤドームで開会式と決勝をやって、あとは瑞穂球場と刈谷球場でそれぞれずっと、1日4試合ぐらいやると言っていたかな、という形でやってということになるのではないかということでございます。
 ちなみに、ナゴヤドームは何といっても3万8,200席ありますから、これは2020年の東京オリンピックに野球・ソフトボールが決まれば、野球・ソフトボールに我々が手を挙げていくということは私が前から申し上げておりますが、ということも見越して、ここをメインとしながら。瑞穂球場はそれに次ぐ規模で、これは1万8,000席、刈谷球場は1万席あります。近いということと、刈谷球場は日本女子ソフトボールの強豪上位チームである豊田自動織機とデンソーの本拠地でもありますから、非常にソフトボールが盛り上がるということで、この2か所ということにさせていただいております。
 今日9月14日が立候補の書面提出期限でありますので、今日提出をするということでございます。
 ちなみに、前回2014年は、去年はオランダでありました。2014年は日本が優勝したんですね。優勝したので、私はその選手何人かを表彰させていただきました。今度は、2016年はカナダ、2018年がこの10月16日に決まるということで、日本しか手を挙げていませんので、日本に決まる。その場所を10月上旬に絞り込んで国際ソフトボール連盟に持っていくということでございまして、愛知県ソフトボール協会と私どもで十分に協議、調整してまいりましたので、この愛知県に決まるようにしっかりとやっていきたいと思っております。
 なお、この2018年世界女子ソフトボール選手権大会は、野球・ソフトボールが2020年の東京オリンピックに決まりますと、この大会の上位4チームにオリンピック出場権が与えられるということなので、オリンピック予選も兼ねるということで、非常に盛り上がるのではないかと思っております。
 なぜ私ども愛知県がということですが、愛知県はソフトボールの競技団体数が日本で一番多いということで、2014年度ですが576チームありましてね。この日本ソフトボール協会に登録しているのは576チーム、男子が207チームで、女子が369チームで、全国1位でございます。
 日本女子ソフトボールリーグの1部リーグというのは12チームありますけれども、愛知県にはその12チームのうち三つ、トヨタ、豊田自動織機、デンソーの3チームがありまして、去年はトヨタが優勝、豊田自動織機が3位、デンソーは5位ということで上位を独占いたしております。今年も今現在この1位、3位、5位というのは変わっていないということで、上位で頑張っております。
 ちなみに、今年の4月にナゴヤドームで行われた日本女子ソフトボールリーグの開幕節では、2日で2万3,000人の観客が来訪したということでございます。開会式は、これで3年連続かな、私が始球式をやっておりますけれども、地元チームが来るということで、開会試合は今年はデンソー対Hondaだったかな、内野席はいっぱいだったという感じでございます。翌日がたしかトヨタ自動車対ビックカメラ高崎の試合で、上野投手の試合で、これも盛り上がったと聞いておりますけれども。
 大体女子ソフトで万の数を動員できるのは愛知県だけでございますので、今、開幕節は全てナゴヤドームでやり、今年の10月31日と11月1日の最終戦もナゴヤドームでやる。トヨタ自動車始め各チームが優勝を争っていると聞いておりまして、私もまた顔を出してくれと言われているのですが、ちょっとそれはあれですけれども、そういう盛り上がりがございますので、大いに期待したいと思っております。
 1998年の大会は静岡県の富士宮市で開催されて6万5,000人来たということでありますが、今申し上げましたように愛知県は万の数を動員できますので、桁違いの集客になるのではないかと思っております。
 現在、本県では、2020年東京オリンピックに野球・ソフトボールが決まれば、ナゴヤドームを始め、本大会の誘致をやっていきたいと申し上げておりますので、これが決まればはずみがつくと思っております。
 私ども愛知県としては、ソフトボール協会始め、関係の名古屋市、刈谷市とともに、連携いたしまして、この大会招致に向けて積極的に取り組んでいきたいと考えております。
  
(3)

ツーリズムEXPOジャパン2015への出展について

【知事】  ツーリズムEXPOジャパン2015への出展についてであります。
 愛知県では、2015年を「あいち観光元年」と宣言いたしまして、積極的に愛知の魅力の創造、発信に取り組んでおります。その一環として、このたび東京ビッグサイトで開催される「ツーリズムEXPOジャパン2015」に、9月25日から27日までの間、出展いたします。初めての出展ということですね。
 今年で2回目の開催となるこのイベントは、17万人の来場者が見込まれる世界最大級の旅の祭典でありまして、多くの来場者の方々に、愛知県の魅力を発信できるものと考えております。
 出展する愛知県ブースにおきましては、観光PRのためのキャッチワードとロゴマークであります「“Heart”of JAPAN」と「あいちの離島」をPRする広告塔を設置するとともに、ステージイベントや物品販売等を実施いたします。
 ステージイベントでは、この8月に結成いたしました、「徳川家康と服部半蔵忍者隊」のパフォーマンスで、「武将のふるさと愛知」、そして11月に名古屋市内大高緑地公園で開催いたします一大武将観光イベント「東海合戦ワールド2015」を紹介いたします。また、「知多娘。」や「La*花ノたみ」等による離島と周辺地域のPRとともに、ラジオDJでおなじみのクリス・グレンさんを司会に迎えまして、外国人留学生が島の魅力を取材した情報をインターネットを通じ発信する「アジト放送局」を開局し、会場から生放送いたします。
 このアジト放送局というのは、外国人留学生、中国、台湾、ベトナム、タイ、インドネシアの5か国の方で6人、タイが2人なので、6人に島を取材してもらって、9月から12月までの間に計4回の放送をするということでございます。インターネットのユーストリームで放送するということでございまして、その1回をこの東京ビッグサイトでやるということでございます。
 そしてまた、東三河地域の魅力を伝えるため、愛知県東三河広域観光協議会と連携いたしまして、3Dバーチャル手筒花火体験や和太鼓集団「志多ら」のパフォーマンス等、東三河の多様な魅力を体感いただける展示を行うということでございます。
 この3Dバーチャル手筒花火というのは、ゴーグルをつけてやって、手筒を抱えているとそれがあたかも自分でやっているように見えるというような体感でございます。そこに絵と音が出るということでございます。
 そして、さらに来場者に幅広くPRするため、9月26日土曜日には、会場内メインAステージにおきまして、「徳川家康と服部半蔵忍者隊」と「知多娘。」によるステージパフォーマンスを展開いたします。
 なお、9月25日金曜日には、愛知県ブース内におきまして、プレス・旅行業関係者に向けたレセプションを開催いたします。レセプションでは、9月1日火曜日に販売開始されました、「サントリーウイスキー知多」の試飲等を交えながら、「知多」の名称と共に愛知の魅力をPRするということでございます。今回の出展を通しまして、国内外から訪れる多くの来場者の方々に、愛知県の魅力を強力に発信してまいりたいと考えております。
  
2.

質疑応答

(1)

2018年世界女子ソフトボール選手権大会の招致について

【記者】  2018年世界女子ソフトボール選手権大会の招致についてですが、他の自治体の立候補状況はどうなっていますか。また、県としての今後の予算措置等の方針はどのように考えていますか。
【知事】  今日が締め切りなので、他の県、あと複数の県でそういう意向があるやに聞いておりますけれども、それは正式にはまだ日本ソフトボール協会からは我々は聞いておりませんので。複数の県が手を挙げるという意向があるやに聞いております。そこまでですね。
 この後は、これは県のソフトボール協会が手を挙げますから、日本ソフトボール協会で複数の立候補というか、そういうものがあれば、それぞれの手を挙げた県のソフトボール協会から日本ソフトボール協会がヒアリングをして、そこの役員会で決めていくということになるのではないかと思っておりますので、それは我々はしっかりと応援したいと思っております。
 予算措置はこれからですね。決まらなければ意味ありませんから、決まればね。2018年、3年後ですけれども、オリンピックを2年後に控えてその予選も兼ねるということですし、大体オリンピックは前の年にプレ大会をやりますからね。よほどのことがなければその会場でやるというのがあれですから、プレプレ大会をやって、2019年はプレ大会もあるし、そして20年に本番があるということなので、そういう意味では野球・ソフトボールの誘致というか、これにはずみがつくのではないかと思って期待をいたしております。また、何といっても先ほど申し上げましたように、日本で一番ソフトボールチームが多いということと、女子ソフトボールのトップレベルの社会人リーグに上位3球団出ているということ、それから万を超す動員があるということなので、常識的には決めていただけるのではないかと思っております。
(2)

河川などの水害対策について

【記者】  先程、茨城県などの水害に関係して、河川等については、台風シーズンでもあるのできちんと対応していきたいということでしたが、具体的に何かあれば教えてください。
【知事】  今回の台風被害等を踏まえまして、改めて私どもの県の関係、県内の市町村の皆さんにもそうですが、そういった河川の様々な施設がありますね、堤防なり、また水門なり、ポンプ場とか、そういったものについては、改めてそれはしっかり現状把握とチェックをするということでございます。それはしっかりとやっていきたいと思っております。
【記者】  河川関係の現状把握についてですが、愛知県内は色々な地形がありますが、水害の啓発などを考えていたら教えてください。
【知事】  ここのところ、愛知県内は本当に大きな災害がないというのはご案内のとおりでありましてね。大雨が降ったりいたしますと、台風とか何とかにしろ、山とか山間地はやはりどうしても、確率の問題ですから、土砂崩壊とかそういったものが起きてくる。ここ最近でも、三重県、岐阜県、長野県、そうしたところは大変災害が多いように受け止めておりますけれども、愛知県ももちろん三河の山間地域はありますが、それでも比較的高い山が多くないということもあって、少ないというのはご案内のとおりです。
 それはこれまでの、行政だけではなくて、関係の皆さん、地元の住民の皆さんも含めたご努力があってということだと思いますけれども、私ども愛知県は、何といったって昭和34年の伊勢湾台風という大災害を経験いたしております。ですから、それを受けて、その後、河川海岸堤防の強化、それから水門、樋門、そしてポンプ場の整備、そういったものを計画的に着実に、これまでもずっとやってきております。そういったことをまた引き続き、しっかりやっていくということだと思っております。
 そういう意味では、今のところ、大きな災害には見舞われていないということでありますが、やはり災害は忘れたころにやってくると言いますから、そういったことに何といいますか、最近の状況に安心というか油断することなく、しっかりと備えていきたいと思っております。 
(3)

愛知県立瑞陵高等学校の感喜堂の耐震化完了について

【記者】  愛知県立瑞陵高等学校の感喜堂の耐震化が完了しましたが、感想を一言いただけますか。
【知事】  もう今年の3月ですよね、ご案内のように、完成をいたしましてね。あれは大正13年のものということでありまして、名古屋市内といいますか、県内も含めて、県立高校の中で戦前の建物が残っている数少ない事例で名古屋市内ではもうあそこしか残っていないということもありまして、2年前に、私も拝見に行きましたが、これはやはり、まさに伝統文化を守るという意味からも、これは残すべきだということで、2億円の予算を使いましたけれども、この春、3月に耐震も含めてできたということなので大変喜んでおります。瑞陵高校の生徒さんはもちろんですが、そのOBの皆さん、あれは旧制五中ですから大変伝統のある学校なので、もう106年、107年か107年、108年になりますから、そういう意味では関係のOBの皆さんに大変喜んでいただいております。
 同窓会長は万博の事務総長をやった中村利雄さんですから、大変喜んでいただいておりますし、OBには杉原千畝さんも。岐阜県の八百津ということですけれども、杉原千畝さんは小学校に上がる前から、幼稚園から名古屋なんですね。小学校も名古屋で出て、旧制五中まで卒業していますから、どちらかというと物心ついたころから、全部名古屋の人なんですよね。まさに、この瑞陵高校のOBでもありますしね。大変有名な方もたくさん出ておりますので、そういう意味では大変よかったのではないかと思っています。
 ですから、感喜堂を再建したということも含めて、これを機に、またさらに瑞陵高校始め県立高校がそれぞれ特色を持った学校づくりをしていければと思っております。
(4)

年越し派遣村の当時の対応と、安全保障関連法案に係る各地での街頭活動に対する対応等について

【記者】  街頭で沸き上がっている声や起きている現象に対して、政治がどう向き合うかについて取材をしています。2009年に年越し派遣村ができたときの対応について、その時は政権として良く対応したという評価の声があります。
当時、厚生労働副大臣として対応した大村知事に聞きたいのですが、あの現象が起きた時、どのように受け止めていましたか。
【知事】  2009年の正月ですね、年越し派遣村のときですね。あれはご案内のように2008年の秋、9月にリーマンショックが起きて、瞬く間に世界中に広がり、特に日本ではリーマンショック、そしてトヨタショックという形になって、金融システムなり金融機関が受けた打撃よりも、世界中から自動車も含めて色々な需要が蒸発してしまったと。特に自動車が一番大きな痛手を被ったということですが、大幅な減産、それから当然雇用も、当時いわゆる「派遣切り」という言葉がありましたが、派遣の方の雇い止め、それから契約期間終了、それからまた、正規社員の方も仕事がなくなるというような、そういう大変な事態でありました。
 そこで、そのときにちょうど霞ヶ関の、厚生労働省の真ん前の日比谷公園のところで、年末年始に、派遣切りに遭って行き場がなくなった方々などを中心に、貧困ネットワークだったかな、弁護士の宇都宮さんとか湯浅誠さんとかが中心になってやられた団体の皆さんが、正月休みが明ければ公的な施設が動き出しますから、その年末年始の休みにそこで泊まってもらおうということで始められたということです。
 私はたまたまその年の大みそかから元旦にかけて、田原さんの「朝まで生テレビ!」の元旦スペシャルに出て、ちょうど、そのテーマが雇用の問題とか、もろもろだったのですけど、そこで湯浅誠さんと。その前にNHKの番組で湯浅さんと一緒になったんです。そして、元旦スペシャルの「朝まで生テレビ!」でも一緒になって、この後一緒に行きませんか、行ってくれませんかと言われたんですけど、終わったのが朝6時で、ちょっと私は、元旦の新年会に行かなければいけないので帰るわと言って帰ったのですが、すぐその翌日、2日に湯浅さんからSOSが携帯電話にかかってきて、大変なことになると。どんどん膨れ上がって、熱を出している人もいるので病院も段取りして欲しいとか、色々なことがありました。これはやはり電話だけではいけないので、現場に行って、すぐ対応しなければいけないということで、現場に行って対応させていただいたということでございます。
 やはり現場で、私は本当に現場に行って実際にその現場の状況を見て、あのときに来られた方が、当初150人ぐらいで段取りしていたのが300人を超えて、もう400人、500人になるような勢いでしたのでね。それが寒風吹きすさぶ中で、熱も出ている人もいるとなると、これは大変危険だということで、そのためには現場に行って、現地に行って肌感覚で、それを見て対応しなければいけない。大変深刻な状態だったので、私は、病院ももちろん段取りいたしましたが、厚労省の講堂をその場で開けると、2日の夜に開けるという判断をさせていただいたということなんです。
 色々ご意見があったのは事実なんですけど、国の役所を、それも身分もわからないやつも含めて入れるとは何事だと、出ていかなくなったらどうするのだと、居つかれたどうするんだというような話もありましたけれども、それは現場に行った切迫感を持って対応すると、やはりそんなわけにいかないんですね。まず目の前のこと。この人たちが本当に、熱を出して死んでしまうかもしれないと思ったら、まずはそこを乗り越えて、その後は次のことだということでやるしかないのではないでしょうか。
 私はそのとき、開けるときにはちゃんと、厚生労働大臣の舛添さんにも電話をし、当時の官房長官の河村さんにも電話をして了解をもらっておりましたけど、それはお二人とも現場にいませんから、現場にいるのは私だから私に任せてくれという話を言って任せてもらって、やらせてもらったということなんですね。
 ですから、ちょっとテーマは違うかもしれませんが、安保法制を中心に、今東京だけではなくて、この愛知県でも名古屋だけではなくて色々なところで、各地区でそういった街頭で様々な活動がされておられるというのも承知しておりますが、特定の党派とか、そういったところに属する人だけではなくて、多くの広がりを持った形でそういう街頭での活動がされているということは、やはり私は重く受けとめなきゃいけないのじゃないかと思います。
 我々政治家は、やはり常に現場に行って、現場の状況がどうなのかということを直接見て、そして肌で感じて、その空気というか動きというか熱気というか雰囲気というか、それが多くのまさに国民の声の一端だと思うんですね。
 政治というのはやはり物事を解決していかなければいけませんから、デスクワークだけで、オフィスだけで、机の上だけで、きれいな文書をつくって完成という、そんなことはありませんので。やはり常に常に現場、現場、現場に行って物事を解決していくということでなければいけないと思うんです。
 だとすると、私は、今、ご質問があったような全国で行われているようなそういった街頭活動の声、そうした空気、そうした熱気、やはり私は、そういったものをまずはしっかりと受け止めて。色々考えとか主張は、それぞれスタンスは違うのだろう、それぞれの人にとって、拠って立つ立場も違うかもしれませんし、これについては意見もいっぱいありますよ。だけど、まずはそういった声、空気を謙虚に、率直に受け止めるところから始めなければいけないのではないかと。私は、最近のそういった街頭での活動、色々な動きを見るにつけ、そういったふうに思っております。
【記者】  年越し派遣村の時と同じく、今回の安保法制も政権の枠組みとしては自公政権です。大村知事の属人的な要素もあったかもしれませんが、その時は対応ができて、それに対し、今回は十分に街頭の声と政治との回路をつなぐことができていないようです。この違いはどこから来ているのでしょうか。
【知事】  もちろんテーマが、まさに内政というか、派遣村のときは雇用問題であり、そしてまた実際にその現場でも、住む家もない、そして年末年始は公的な施設も開いていない、もう切迫しているという、はっきり言って人の命がかかっているような切迫している状況があったということと、今回はまさに国の行く末を決めていくということなので、ちょっとテーマというかあれは違うかもしれませんが、私は国内的な広がりからすれば、むしろ今回の安保法制に対する多くの国民の皆さんの動きとか声の方が広がりが大きいと思っています。
 あのときも、確かに年越し派遣村というか、雇用の問題、雇い止めとか派遣切りとか、嫌な言葉ですけれども、実際問題、仕事が本当に世界的に蒸発してしまったので、会社も企業も、会社を守っていくためにはいたし方がない。正社員の仕事もない。定時割れという言葉なんていうのは、耳ではありましたけど、私は初めて見ましたよ。
 大手企業さんが、もう1日6時間の仕事しかなくて、あとは工場を一生懸命掃除しているわけですよ。草をむしったり、そういったものは初めて見ました。そういったものは確かに全国的に、この後どうなるんだというのはありましたが、それではじき出された人たちが東京、名古屋、大阪とか大都市圏に集まってきたような感がありますけれども、今回はやはり、日本の国の行く末を考える、国の根幹である憲法ですよね。憲法の枠組みにかかわる話だから、そういう意味では大都市圏だけではなくて、日本全体、全国への広がりがあると私は受け止めております。
 色々なお考えはあるにしても、やはりそういった広がりを持った運動であり、活動であり、色々なそういった動きなんだということを、私は政治に携わる方々はやはりまずはそれを率直に受けとめた上で、そういった声に謙虚に耳を傾けて、その上でじゃあこれをどういうふうに解決していくのが一番いい方法なんだということを、よくよく議論、検討していただきたいなと、そういうふうに思います。 
【記者】  安保法制関連について、先程、知事から街頭の声を謙虚に率直に受け止めるところから始めるべきだという発言がありました。
 現在、安保関連法案に関する参議院の委員会審議も大詰めを迎えているという状況ですが、知事は今の国会で安保関連法案を成立させることについてどのようにお考えですか。 
【知事】  私は、この7月15日に、衆議院の特別委員会での採決を受けてコメントを出させていただきました。そこにあるとおりでありますけれども、この主立ったところをもう一回申し上げますと、日本及びアジア・太平洋の平和と安定を確保していくということは、日本の存立と国民の幸福と繁栄にとって大前提であり、こうした観点から、国権の最高機関である国会においては、国民の理解を深めていきつつ、十分な議論をしてもらいたいということがまず1点。
 そして、その際は、戦後の日本及びアジア・太平洋の平和と安定に日本国憲法が果たしてきた大きな役割を踏まえた上で、議論をしてもらいたい。これが2点目。
 そして3点目として、国民の間には、依然として、法整備に慎重な意見や、十分な理解が進んでいないとの指摘も多いことから、政府・与党にはそうした国民の意見をしっかりと受け止めていただく必要があると考えていると。
 国会においては引き続き、国民はもとより、周辺諸国に対しても丁寧な説明を尽くしつつ、十分かつ慎重な議論を徹底的に行っていただくよう強く申し上げたいということが、7月の時点における私のコメントでございました。それは変わっておりません。
 ですから私は、会期末が迫ってきているということではあろうかと思いますが、さらに多くの国民の皆さんの声に耳を傾けていただいて、十分かつ慎重な議論を引き続き徹底的に行っていただきたいと私は思っております。
【記者】  7月15日の知事のコメントでは、十分に慎重な議論をして欲しいとのことでしたが、それから2か月程がたちました。この間の国会での審議を聞いて、十分かつ慎重な議論がされていたとお考えですか。 
【知事】  その後、参議院の審議で、途中、夏ですからお盆休みなどもありながら、衆議院で強行採決なのか強行的採決なのか別にいたしまして、ああいった形で荷崩れで法案がいきますと、特にこういう重要法案はそう簡単に立ち上がらないので、2か月といいながら、審議時間も含めて、与党側が期待していたような感じで進んではこなかったのでしょうね。時間もそんなに積み上がっておりませんから。
 そういう意味も含めますと、私は、この2か月で議論が深まった、国民の皆さんの理解が深まったということにはなっていないと思います。ですから、そういう意味では、引き続き、私は十分かつ慎重な議論を徹底的に行っていただきたいと思っております。2か月前に申し上げたことと、今この時点で申し上げることは全く変わっていないと思います。私自身の考えも変わりませんが、状況的にも、はっきり言ってそんなに深まっていないのではないか、変わっていないのではないか。むしろ国会でいうと、出口が段々近づいてくると、本当に、この法律を今この段階で成立していいのかというような声の方が、私は何か高まってきているのではないかと率直に思います。
 それは現に各新聞、テレビ、報道機関の皆さんが世論調査をしたときに、やはりその数字に出てきているのではないでしょうか。私は、色々な考え方があるのは承知しておりますけど、ああいった全国に広がっているこういった街頭活動も含めて、あと色々な地方自治体、県、市町村、色々な地方公共団体、地方自治体の議会でも、そういった慎重議論を求めるような意見書が数多く採択されていますよね。それは保守系の会派の人も含めてね。
 今週もう、中央公聴会をセットしたから、その後、連休前に何としてもということのように報道でお聞きをいたしておりますけれども、私は引き続き、さらに議論を深めていただく必要があるのではないかと、私はそう思っております。
【記者】  知事は、今国会での成立にこだわるべきではないというお考えでしょうか。 
【知事】  私はそういうふうに思っています。引き続き、さらに議論を深めた方がいいのではないかと私は思っています。