愛知県の国・県指定文化財と国の登録文化財

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絹本著色不動尊像(けんぽんちゃくしょくふどうそんぞう)

分類 国・重要文化財
種別 絵画
所在地 東京国立博物館(保管)
所有者等 甚目寺
指定(登録)年 明治34年(1901)
時代 平安

一幅 軸装 絹本著色 縦158.2㎝、横85.4㎝
不動明王像を単独で描く画像であり、愛知県内に伝わる仏教絵画の中で最も古いものである。不動明王は、右手に剣、左手で索を執り、瑟々座に結跏趺座している。両目を大きく開き、上歯牙で下唇かむ。髪は梳いてよりをかけて左肩にかかり、結節はない。頭頂には何もなく、髪の生え際の上に楕円形の花飾りのついた宝冠を被る。左肩から右脇へと条帛を掛け、腹前あたりに条帛の先端が掛けられ、裏地が見えている。腰から下には裳を二枚重ねて着ている。火炎光背には迦楼羅を表さず、頭光が火炎の上にうっすらとぼかして表されている。本画像のような顔・髪型・条帛の表現は、滋賀県園城寺の不動明王三童子五部使者像や『別尊雑記』掲載の円珍請来図像と比較するとよく一致する。甚目寺は、現在は真言宗であるが、平安時代には天台宗であったことも考慮する必要があろう。肉身は群青で隅取りされて、墨線で描き起こされる。髪には金銀の截金がおかれる。条帛には四つ目菱入り立涌文、条帛の裏は菱形の花文、腰裳は膝の部分が四つ目菱入り七宝繋文、脛の部分が米字菱入り三重斜格子文といった截金文があり、膝と脛の間の帯状の縁には、彩色で鳥を交えた宝相華唐唐草文が描かれ、その両縁に細長く綾杉文が入る。足首の所からのぞく衣の裏には、十字のそれぞれの先端に三つの菱を入れる変わり菱入り格子文の截金文がある。膝のところなど、照り隅も効果的に用いられる。瓔珞も、金箔を用いて繊細に表され、装身具の花飾りや瑟々座の木口は繧繝彩色を用いて華麗に表される。本図は、截金文と彩色を組み合わせた優美華麗な画像で、典型的な十二世紀の院政期仏画といえる。東寺伝来十二天像にも劣らない代表作の一つといえる。

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