分類 | 国・登録文化財 |
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種別 | 建造物 |
所在地 | 犬山市内山1(明治村) |
所有者等 | 財団法人 明治村 |
指定(登録)年 | 平成15年(2003) |
時代 | 明治21年(1888) |
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全景
■登録理由
全高5.2mの鋳鉄製。ドイツ「HARKORT」社製造。全体を植物意匠のネオ・バロック様式で飾る。角壺形の基部に立てた主幹上に1灯を掲げ、四方の腕から各1灯を吊る。火屋は卵形で、笠は放射状に蔓を巻き上げる。周囲の鉄柵は高欄の一部である。
登録の基準 | 造形の規範となっているもの |
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■詳細解説
皇居前広場から正門を経て宮殿へ至る濠には二つの橋が架けられており、手前の橋が「正門石橋」、奥の橋が「正門鉄橋」である。「二重橋」は一般にこの二つの橋を総称して言われているが、厳密には奥の橋をさす。奥の橋はかつて「江戸城西丸下乗橋(えどじょうにしのまるげじょうばし)」と呼ばれていた木造橋であった。「二重」という呼び名は、濠から石垣まで大変高いため橋脚を立てることが難しく、実際の橋の下に支えの橋を設け二重としたことが由来とされている。また、明治21年(1888)、皇居造営に伴い木造橋が新しい鉄橋に架け替えられると、手前の橋と重なって二重に見えるようにもなった。この飾電燈は新しい鉄橋の両端に計四基配置されたもののうちの一つである。二重橋架設の計画はドイツ人土木・機械工学士ウィルヘルム・ハイゼによって進められ、実際の設計者は久米民之助と伝えられている。
鉄橋の側面(テュンパヌム)は中央に尾、両端に頭を置く龍をあしらった鋳鉄板で飾られ、橋とそのたもとには唐草模様の鋳鉄製欄干が設けられた。博物館明治村への移築に際してこの欄干を飾電燈の鉄柵として利用している。また、飾電燈は総高5.2m、鋳鉄製であり、ドイツのHARKORT社によって製造された。重厚な基部の上に渦巻形の持送りで固められた角柱の軸部が立ち上がり、その上の頂板から植物の幹のように主幹がのびる。主幹の上に一灯を掲げ、四方にのびた腕から各一灯大きな卵形のグローブを吊りさげている。四本の枝は鋳鉄製の精妙な葉で覆われた細い丸鋼で、軽快なデザインとなっている。鉄橋、飾電燈ともに華麗な装飾が特徴とされるネオ・バロック様式である。(石川新太郎)