愛知県の国・県指定文化財と国の登録文化財

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半田赤レンガ建物(旧カブトビール工場)創建時主棟・ハーフティンバー棟・貯蔵庫棟(はんだあかレンガたてもの(きゅうカブトビールこうじょう)そうけんじしゅとう・ハーフティンバーとう・ちょぞうことう)

分類 国・登録文化財
種別 建造物
所在地 半田市榎下町8
所有者等 半田市
指定(登録)年 平成16年(2004)
時代 創建時主棟:明治31年(1898)
ハーフティンバー棟:明治31年(1898)
貯蔵庫棟:明治41年(1908)、大正7年(1918)増築、大正10年(1921)増築

※ 別ウインドウで開きます

半田赤レンガ建物

半田赤レンガ建物

■登録理由

創建時主棟

煉瓦造2階建の発酵室・貯蔵室に同5階建の事務室・技師室が接続する。屋根は切妻造鉄板葺。窓は櫛形アーチに要石、5階窓は半円アーチに迫元石・要石付で飾る。発酵室・貯蔵室の2階床と天井はI形鉄梁に煉瓦アーチを充填した耐火床とする。設計は妻木頼黄。

登録の基準 造形の規範となっているもの
ハーフティンバー棟

主棟南に接続する木骨煉瓦造の平屋建で、東辺部は胴差を入れて高窓を開いて切妻屋根とし、南側は主棟から片流の屋根で、鉄板葺とする。瓶洗・瓶詰・荷造等の出荷作業を行った。戸口は両開板扉とし、当初の窓は上下げ窓であったが閉鎖した。設計は妻木頼黄。

登録の基準 造形の規範となっているもの
貯蔵庫棟

主棟の北辺から西辺に接続する増築部で、発酵室・貯蔵室に用いられた。煉瓦造2階建、切妻造、鉄板葺の南北棟3棟が、主棟北から反時計回りに順次増築された。壁体はイギリス積。妻壁上部はペディメントに造り、円窓を飾る。窓は要石付の櫛形アーチとする。

登録の基準 造形の規範となっているもの

■詳細解説

創建時主棟

創建時主棟

創建時主棟と貯蔵倉庫

創建時主棟と貯蔵倉庫

ハーフティンバー棟

ハーフティンバー棟

ハーフティンバー棟

ハーフティンバー棟

同貯蔵庫棟(西南)

同貯蔵庫棟(西南)

同貯蔵庫棟(北)

同貯蔵庫棟(北)

半田は江戸時代から醸造業が盛んで、明治20年代初めには、中埜又左衛門、盛田善平らにより、ビール製造が始められた。明治29年(1896)には、丸三麦酒株式会社が設立され、新しい工場を建設することになった。設計を妻木頼黄(つまきよりなか)に依頼。明治31年(1898)竣工。当時の棟札では、「煉化石造5階家」(総建坪約582坪)となっている。
その後、日本第一麦酒(株)に吸収合併されるが、明治41年(1908)には、加冨登(かぶと)麦酒(株)と社名を変更。明治41年の増築時の設計は、鈴木禎次。大正期にも増築が繰り返されている。
昭和18年(1943)、戦争の激化で、ビール生産が停止された。戦後は、日本食品加工(株)の工場として使用されたが、平成6年(1994)に操業停止。煉瓦造4階建の「浸漬」、「醸造」部門、汽罐室・煙突などが解体されたが、壊されなかった建物を半田市が買収。現在、創建時主棟、ハーフティンバー棟、貯蔵庫棟が残されている。

創建時主棟

明治31年(1898)の創建時に建設された建物の内、醗酵(はっこう)室や貯蔵庫として使われた2階建の部分と5階建の一部が残されている。これを創建時主棟としている。
創建時主棟2階建部分は、厚い煉瓦造の間仕切壁で、奥行のある穴蔵状の部屋に分割されている。2階床と天井は、I 型鉄梁を架け、その間を煉瓦アーチで埋めた耐火床としている。窓は櫛型(くしがた)アーチで、中央の最上部に楔形(くさびがた)の要石(かなめいし)を配す。要石を差し込むことでアーチを構成する他の石が固定される。
現存する5階建は、工場の要(かなめ)の位置にあり、ここに事務室、技師室などがあった。5階の半円アーチ窓には、要石と迫元石を3ヶ所配している。設計は妻木頼黄。

ハーフティンバー棟

創建時主棟の南側に隣接してハーフティンバー棟があり、瓶詰(びんづめ)場、瓶置場、瓶洗場などに使用された。木骨煉瓦造、平屋建で、勾配の緩やかな切妻屋根をのせる。他の部分と異なり、赤い煉瓦壁と木骨の柱梁、筋交い(すじかい)の白さが対照的。
ハーフティンバー棟南側部分は軒が高いため、補強用の胴差(どうさし)が入れられている。胴差の上部に高窓が、下部には大きな開口がある。設計は妻木頼黄、建築年は主棟と同時期の明治31年(1898)。

貯蔵庫棟

創建時主棟の北側と西側に隣接して貯蔵庫棟がある。貯蔵庫棟は煉瓦造2階建。創建時主棟の北側から明治41年(1908)、大正7年(1918)、大正10年(1921)と反時計回りに増築された。棟札によると、明治41年(1908)に増築された部分は鈴木禎次の設計。建設時期で高さが異なっている。醗酵室、貯蔵室として使用された。(瀬口哲夫)

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