あいちの先進企業紹介VOL.4
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長引く不況、国内企業の中国など海外への進出等、わが国における物作りの弱体化が心配されていますが、逆風下においても独自の創意工夫により、堅調に業績を伸ばしている企業も少なくありません。当コラムにおいて、そのような愛知県の魅力的な企業をご紹介していきます。個々の企業を通して、物作りのメッカ、愛知県の今後を考える上での一助として頂ければ幸いです。第4回目は株式会社東海メディカルプロダクツです。
  

株式会社東海メディカルプロダクツ

 東海メディカルプロダクツは心筋梗塞などの応急処置に使われるバルーンカテーテルを日本で初めて開発・販売をしました。日本人の体に合わせて作られた同社の製品は現在日本中の医療機関で採用されており、救急救命に大きく貢献しています。また、様々な医療機関、研究機関との連携の元、バルーンカテーテル以外にも様々な医療器具の開発に携わっています。

社長の筒井さん(右)に、お話を伺いました。
Q.創業のきっかけを教えてください。
A.もともと東海高分子化学という会社でビニール製のヒモ類を作製していました。
 次女の心臓が悪かったので、手術費用を貯金するとともに、一生懸命心臓病についての勉強をしていましたが、当時の手術用器具が娘に合うものが無いうえ、手術の成功確立が1%未満とのことで、手術を断念しました。貯金を娘のような病気を今後治療することができるよう、研究等に役立ててもらいたいと考え、寄付先を探そうと娘の主治医である東京女子医大の先生に相談したところ、娘の治療の過程での心臓病に対する勉強の熱心さをかってくださり、自分で研究をしたらどうかと勧められました。人工心臓の研究を行うとともに、医療材料の研究グループに入って医療用のチューブを試作したりするうちに、人工心臓の技術と医療用のチューブの技術が合わさって、心臓の働きを補助するためのカテーテル、IABPが誕生しました。
 その後、試行錯誤の末、利益度外視でコストの回収が難しいサイズの製品や、高心拍の患者さんにも合う製品等を開発し、医療関連の方々から高い評価をいただきまして、カナダのトロントで開かれたバイオマテリアル学会で、医者以外では初めて表彰を受けました。
  とにかく、いいものを作ろうとコスト度外視で製品開発を行なっていったことが、信頼性を高め、経済的にもいい結果を生み出したと思います。人の命を救うためによりいいものを作るということで、社員もやる気を持って熱心に仕事に取り組んでくれましました。現在当社には社員100名中、10名の研究員がおりますが、30程度の研究テーマに取り組んでおり、常により良い商品開発を進めております。

 
   
  工場内風景   商品群
Q.医療研究機関と密接な結びつきをお持ちですが、これからの医療産業について教えてください。
A.日本で使われている医療産業の商品、機材、例えばペースメーカー、人工弁、人工血液などは、未だに海外製品が圧倒的に多いです。科学技術庁、経済産業省もライフサイエンス産業の育成をスタートさせていますが、大手メーカーはリスクを恐れて手を出したがりません。海外製品が入ってこなくなったときに備えて、国策としてこれらの製造を国内でできるようにすべきではないかと思います。
  また、今医療産業においては再生医療が注目を浴びていますが、これへの取り組みは重要です。ゲノム解析について日本は欧米に遅れをとりましたが、元々物づくりが強く、関連の機材、機械の開発ポテンシャルは高いので、再生医療に関しては日本が欧米と比べても優位に展開していけるのではないかと思います。もちろん、安全性確保の問題など課題もありますが。
  一方で、バイオベンチャーキャピタルから億単位の資金がベンチャー企業に流れていますが、中には研究内容に見合ってないものもあり、今後バイオバブルみたいなものが起きないか心配ではあります。

Q.海外流出による産業の空洞化が言われていますが、影響はありますか。
A.当社に関しては影響はありません。医療産業の場合、製造を全て移転するというのは日本の安全保障上問題がある思います。
 また、医療産業の海外展開に関してですが、当初は製品の輸出をするのは仕方ないにしても、その国の人々に合った生活や医療を支えるため、最終的にはそれぞれので国で作るのがベストではないでしょうか。

Q.愛知県の医療関連産業は全国的に見ていかがでしょうか。
A.物づくりのハイテク基盤があること、地理的に日本の中央に位置しており、東西への製品供給が可能なこと、医療の研究開発が進んでいるなどポテンシャルは非常に高いと思います。
   なお、医療関連産業の集積の目安として愛知県医療関連機器工業会の会員数を挙げることができると思いますが、こちらには現在約200名の会員がいまして、それなりの規模ではあると思います。

Q.愛知県で企業活動を行なって良かった事があれば教えてください。
A.物づくりの基盤がしっかりしているため、例えば、型を作るにしても非常に楽です。
 あと、長所短所あるのですが、東京だと情報量が多すぎて、ガセネタも多く入るのですが、名古屋ですと情報が整理されて伝わってくることが多いので、かえってしっかりした情報を掴む事ができるという一面もあります。
 日本全国一時間以内に行けますので、特に、当社のようにスピードの求められる企業にとってはメリットが非常に大きいです。昔から物づくりが盛んな地域で、物づくりに携わる人が多いため、労働者の質が高いことも上げられます。

Q.行政への御要望はありますか。
 創業時の資金面で県や市の支援が受けられれば随分助かったと思います。難しいかもしれませんが、計画や人を見て、支援をいただけるような施策があればと思います。
 研究所の集積を図るなら、愛知県ならではの、何か日本初となるような特色を持った研究集積地を企画する必要があると思います。全国の官主導の研究所集積地を見ると、計画どおりにいっている所は少ないのではないでしょうか。官主導で箱物などのハードを先に造って、それから入居者を集めるというような形ではなく、何かサロンの様なものを立ち上げ、研究員などによる相互の意見交流の場を造れば、そこからいい構想が生まれてくるのではないかと思います。

Q.医療関連産業でなくてもかまいませんので、起業を志す方に何かアドバイスをお願いいたします。
 やる気があるかないかが一番重要だと思います。やってみなければ分からないことを誰よりも早く手がけ、やり通して、成功に導く。簡単に言えばこういうことですが、やってみなければ分からない事を浮き彫りにするには限りない好奇心やネットワークが必要ですし、やり通すには限りない努力、情熱が必要になってきます。
 もちろん、成功の形は経済的なものの他にも、人の役に立つなど、人それぞれ多様なものがあるとは思います。
  これは起業のみならず、日本全体にも言えるのではないかと思います。官学に携わる方々が、この様な形でチャレンジしていけば日本の景気も良くなっていくのではと思います。

後書き 

 社長さんにお話を伺って、感じたのはとにかく研究熱心、仕事熱心ということです。理数系の大学をでてみえるのかと思っていましたが、経済学部のご出身との事でした。そこで、驚いていますと、大学の工学部でも専門知識は2年だから、やる気があれば半年で分かるようになるとの事でした。
 筆者も文系の人間ですが、本県の試験研究機関でバイオに携わっている研究員に来場者用に陳列してある遺伝子か何かの説明用のボードを解説してもらったことがあります。簡単ですよ、という研究員の言葉と裏腹にさっぱり分からなかった覚えがあります。しっかりした目標と行動力が無いと文系から理系は難しいと思いますが、逆にそれを持ってチャレンジしていけば、結構難しそうに見えることも出来るものなのかもしれないと思いました。

  名称 株式会社東海メディカルプロダクツ 
  代表者名 代表取締役社長 筒井宣政
  本社所在地 〒486-0808 愛知県春日井市田楽町更屋敷1485
  電話 0568−81−7954、FAX0568−81−7785
  ホームページ http://www.tokaimedpro.co.jp/