青果物の相談事例

品名 相談区分 内容 調査結果等
オロブランコ 異味・異臭 「オロブランコ」(輸入柑橘類)の皮を素手でむき、そのまま食べると極めて苦い。 検査の結果、苦味成分として知られているナリンジンが果肉および果皮から検出され、これが苦味を呈した原因と推定しました。
ナリンジンはグレープフルーツなどの表皮、薄皮に多く含まれおり、食欲増進の働きをすると言われています。
カキ 異物 消費者から、種無し「刀根がき」を食べたところ異物が出てきたという苦情があったので調べて欲しい。 実体顕微鏡で異物を観察したところ、表面の一方は白く、反対側面は茶色であった。一部を燃焼させたところ、合成樹脂様の異臭はなかった。市場内の歯科医師に意見を求めたところ、前歯(側切歯)の一部との見解であった。以上から異物は歯の一部と考えられた。
カボチャ 異味・異臭 「カボチャ」を食べたところ、皮の部分が渋い。 ウリ科の植物に含まれる苦味成分であるククルビタシンによるものと推定されます。
文献によるとキュウリ、スイカ、メロンなどの苦味に関する相談が多いとありますが、カボチャやカンピョウ(ユウガオの実が原料)についても相談があるとのことです。ククルビタシンはゴーヤ(ニガウリ)の苦味成分でもあります。
キャベツ 異味・異臭 「キャベツ」から異臭がし、食べると苦みがあった。 小松菜やキャベツなどのアブラナ科に含まれる辛み成分であるイソチオシアネート分解産物(ジメチルジサルファイド、ジメチルサルファイド)による石油臭ではないかと推定されます。
キャベツなどでは中心部に近いほどその成分が多く含まれています。安全性については問題ありません。
キャベツ
ホウレンソウ
寄生虫 「キャベツ」と「ホウレンソウ」を茹でたところ虫が出てきた。 茹であがっていたため判別は困難でしたが、ゾウムシの一種と推定しました。
ゾウムシは数mmのものから数cmくらいの小型の甲虫で、丸っこい外見をしていて、体表は硬くて頑丈な外骨格におおわれています。
また、吻(口先)が長く伸びた種類も多く、「象虫」の名前の由来にもなっています。動きは遅いのですが、頑丈な外骨格で身を守り、敵に出会うと死んだふりをします。日本で1000種以上、世界では6万種と言われています。
幼虫、成虫とも、すべての種類が植物食で、中には農作物に重大な被害を及ぼす害虫になるものもいます。
グレープフルーツ 異物 給食センターから管轄の保健所に、1,200個のグレープフルーツの約半数にヘタ付近に白い異物が付着しているという相談があったので調べて欲しい。 市場の卸売場に陳列されているグレープフルーツにも同様のものが見られた。白い異物は指でこすると簡単にとれた。異物を顕微鏡で観察すると菌糸が確認され、カビであると思われる。卸の担当者に確認したところ、品質上問題ないのでそのまま出荷しているとのことであった。
ゴボウ 変質・変色 「ゴボウ」と「コンニャク」を鉄鍋で一緒に煮たら煮汁が緑色になった。 ゴボウ中に存在するクロロゲン酸が、コンニャク凝固剤のアルカリ及び鉄鍋の鉄と反応したことにより変色したものと推定しました。
クロロゲン酸とは、コーヒーやゴボウに含まれるポリフェノールの一種で、コーヒーの苦味や香りを出したり、ゴボウなどの野菜の切り口を茶色く変化させたりする成分です。
クロロゲン酸にはポリフェノールが持つ抗酸化作用のほか消臭効果も確認されています。柳川鍋でドジョウの臭みを消すためにゴボウをささがきをにして入れるのもこの効果を期待している訳です。
サクランボ 寄生虫 「サクランボ」の果肉部にウジ状の虫がいた。 オウトウハマダラミバエ(オウトウミバエ)の幼虫と思われます。
オウトウハマダラミバエは、オウトウ(サクランボ)が開花する頃に羽化して、実が大豆粒くらいに育ったときに卵を産み、幼虫が実の中を食べるので大きな被害を受けます。
サトイモ 異味・異臭 「サトイモ」(洗い)を食べたら苦味があった。 サトイモ中に存在するチロシン由来のホモゲンチジン酸か、アクの成分であるシュウ酸によるものと推定されました。
サトイモの原産地はインド、ネパール、マレー半島と考えられています。このうち耐寒性のあるものが中国南部を経て縄文時代中期頃に日本に伝播したといわれます。
サトイモの名称は、里に作るイモの意味で、ヤマイモに対する言葉です。主成分はデンプンで、少量のタンパク質を含んでいます。
また、サトイモは一般的にエグ味がありますが、これはシュウ酸カルシウムあるいはホモゲンチジン酸と考えられます。
サトイモ 変質・変色 「サトイモ」(皮つき)を土鍋で蒸したところ、蒸し水が赤色に着色した。 高速液体クロマトグラフィーにより分析した結果、サトイモの固有成分のアントシアン系化合物が検出されました。
アントシアンとは、青色系統の色の原因となる重要な色素です。もともと1835年頃から青い花の色素を一般にこのように呼んでいましたが、現在は広く、「酸性溶液中で赤色、アルカリ性溶液中で青色を呈するような色素」の総称として使われます。
秋、モミジなどの葉が赤くなるのは、葉の中に蓄えられた糖から赤いアントシアンができるからです。
また、枝豆のゆで汁が、時々、ピンク色になるのも、枝豆に含まれるアントシアンによるものです。
チンゲンサイ 変質・変色 「チンゲンサイ」の葉の一部に点々とした白色異物が付着しているが、虫の卵ではないか。 鏡検の結果、白色異物は昆虫の卵やカビではなく、葉の組織が変化したものであることが判明した。変性している部位が葉の内側であるため、農薬等化学物質が原因とは考えにくく、チンゲンサイの品質的な問題や天候等による影響によるものである可能性が高い。
トマト 異味・異臭 「トマト」が異常な味がした。農薬ではないか。 残留農薬は検出されず、原因は特定できませんでした。
2005年に北部市場に入荷されたトマトは8種類ですが、そのほとんどは「桃太郎」という品種です。
トマトの苦味は、栽培条件により生じるほか表皮に残存していた農薬による事例が報告されています。
一般には、トマトの微量成分であるアルカロイドによるもと思われます。このアルカロイドは、トマトの生育とともに消失しますが、途中、温度の低下や病気などの障害があると、苦味が残ることがあります。
トマト 寄生虫 「トマト」に付着した虫の鑑別をして欲しい。 実体顕微鏡で確認した結果、環形動物のミミズの一種であると考えられた。
ニンニク 変質・変色 「ニンニク」をすりおろして冷蔵庫に保管しておいたところ、青緑色に変色した。 ニンニク中の硫黄化合物が酵素により分解されて呈色したものと推定しました。食べても害はありません。
ニンニクの主成分には、スコルジニン、アリインがあります。
このうちアリインが硫黄化合物であり、ニンニク中の酵素の作用によって強い抗菌作用を持つアリシンに変わり、さらにアリシンがさまざまに分解して独特のニンニク臭となります。今回はこれらの硫黄化合物が原因と推定しました。
なお、スコリジニンはニンニク臭とは無関係な成分で、強壮、疲労回復、食欲増進に効力を発揮します。
ニンニク 変質・変色 「ニンニク」を酢に漬けたところ、青緑色に変色した。 相談品の写真ニンニク中の鉄分に、臭い成分である硫黄化合物が反応して呈色したものと推定しました。食べても害はありません。
ニンニクには有機鉄の形で鉄分が含まれており、通常は臭い成分とは反応せず無色ですが、酢漬けにされて酸性になると臭い成分が分解し、これが鉄と反応して青くなります。
ネーブルオレンジ 寄生虫 「ネーブルオレンジ」の表面に褐色の斑点状のものが付着していた。 カイガラムシの一種と思われます。
カイガラムシは昆虫の仲間で、セミ、アブラムシ、カメムシ、ウンカなどの親戚です。大きいものでも体長1cm、多くは2〜3mmと小さく、庭木や街路樹の害虫として関心が高まってきたと同時に不快害虫としても話題になっています。
大変種類の多い害虫ですが、中には食品の赤い色素「コチニール」をとる「コチニールカイガラムシ」のように貴重な資源を提供してくれる仲間もいます。
パイナップル 異味・異臭 「パイナップル」を食べたところ、しばらくの間、舌がヒリヒリした パイナップルには「ブロメリン」という強力なタンパク質分解酵素が含まれています。パイナップルを食べると舌に刺激を感じることがあるのは、この物質が粘膜を刺激することによります。
この酵素は、肉を軟らかくすることでも有名ですが、熱に弱く60℃以上で効果をなくしてしまいます。このことから缶詰のパイナップルでは効果が期待出ません。
逆にゼラチンでパイナップルゼリーを作るときは、缶詰のパイナップルを使用したほうがいいようです。
ハクサイ 異物 「ハクサイ」から金属製の異物が見つかった。 異物は球状で色は灰色、大きさは約2mm、重さ約50mgで磁性はありませんでした。また、鉛反応が陽性であったことから、異物はその形態、性質から、散弾銃の9号弾と推定しました
ハクサイ 寄生虫 「ハクサイ」の葉の間にヨトウムシが入っているとの苦情が多いが、対応方法を教えてほしい。 ヨトウムシの生態と、低農薬栽培では生残する可能性が高くなることを説明し、産地での出荷前検査による異物除去の徹底を指導しました。
ヨトウムシは漢字では「夜盗虫」と書きます。読んで字のごとく夜行性で、夜の間に葉をかじってしまいます。食欲旺盛で大発生すると夜間に食害する音がガサガサと聞こえてくるほどです。蛹の状態になって土中で越冬します。
ホウレンソウ 異味・異臭 「ホウレンソウ」をゆがき、卵とじにして喫食したところ、口の中がしびれるような感じを覚えた。 ほうれん草のアクの主成分は「シュウ酸」ですが、これはほうれん草の種類によっても異なりますが、だいたい1%から0.6%ぐらいと言われています。
苦味を感じたり感じなかったりするラインは0.4%ぐらいですが、一般には茹でることによって、水溶性シュウ酸の7〜80%が水に溶出し、苦味を感じなくなります。今回の事例は、いわゆるアク抜きが十分でなかったものと思われます。
ちなみに現在市販されている「サラダほうれん草」は、品質改良によりシュウ酸の含有量を0.4%以下に落としたものがある一方、単に茎が柔らかいという理由で販売されているものあります。
マンゴー その他 「マンゴー」を食べたら顔が腫れあがった。 マンゴーはウルシ科の植物で、その果皮に含まれるウルシオールが原因で、口のまわりや顔、手が痒くなったりあるいは腫れたりする「かぶれ」の症状を起こすことがあります。
マンゴー 変質・変色 「マンゴー」(フィリピン産)の実に小さな穴が所々にある。 ホワイトスポットと呼ばれるもので未熟果に多くみられます。
輸入の際に行われる蒸熱処理によると考えられるが、蒸熱処理をしていないもの(フィリピン国内流通品)にもみられます。
生理的なも ので人体に害はありません。
3〜5月はフィリピンのマンゴーの最盛期にあたり、出荷に追われ未熟果の選別が十分でないため、この時期にホワイトスポットが多くみられます。
ミカン 異物 「ミカン」に白い粉が付着している。 成分の特定には至りませんでしたが、石灰硫黄剤による同様の事例があります。
これは毒性の低い殺菌剤・殺虫剤ですが、念のためみかんを洗浄するのが望ましいと思われます。
農薬の一種である石灰硫黄合剤は、明治40年頃より実用化され果実類の保存性、色艶をよくし、ダニ、カビ等の防止剤として広く使用されています。
果肉への移行はなく、安全性について問題は少ないと思われます。
ミカン 変質・変色 「ミカン」を次亜塩酸ソーダで洗浄したら白くなった。 極早生のミカンは痛みやすいためにワックス処理がなされます。
このようなミカンを洗浄するとワックスがはがれ、残ったワックス分が白く浮き出ることがあります。
現在、皮膜剤として「モルホリン脂肪酸塩(食品添加物)」に「ワックス(カルナバロウなど)」を加えた乳化剤がありますが、これは果実、果菜の水分蒸散を防止するために用いられます。
メロン 異味・異臭 「メロン」の熟し過ぎによる異味異臭の原因である酢酸エチル及びエタノールは、有害ではないのか。 メロンは熟し過ぎると、酢酸エチルやエタノールなどの揮発性物質が産生されます。そのほかにもアセトアルデヒドや炭酸ガスなども産生するといわれ、これらが口の中を刺激するものと思われます。
また、時々、メロンが苦いという相談もありますが、これはウリ科に特有な苦味成分であるククルビタシンによるものと思われます。
なお、メロンで発生する量は、各種食品での添加物としての使用量と比較しても、特に問題はないものと思われます。
メロン 異味・異臭 「アールスメロン」を食べたところ少し苦味があったが、原因は何か、また健康への影響はないか調べてほしい。 文献等を検索したところ、原因は「バラ色カビ病」と思われる。このカビに冒されたウリ科作物は、菌の発育を抑えるためククルビタシンという苦味物質を産生する。ククルビタシンそのものは、食べても問題ない。
モロヘイヤ その他 「モロヘイヤ」を食べると体調が悪くなると言われたが、本当に「モロヘイヤ」には毒があるのか。 「モロヘイヤ」の葉には毒はないが、その種子には有毒成分(ストロファンチジン)が含まれているため、「モロヘイヤ」のつぼみ及び種子は食用不可である旨回答した。
モロヘイヤ 変質・変色 「モロヘイヤ」の葉の表面に異物様のものが付着しているが、これは何か。 異物は、葉の裏側が変形・隆起し、いぼ状となっていた。文献等を検索したところ、糸状菌による「葉ぶくれ病」であると考えられた。
ラッキョウ 変質・変色 「ラッキョウ」を酢漬けにしたら青く変色した。 ラッキョウ等アリウム属の根茎を酢漬けにすると青変現象が現れることがあります。
これは固有成分であるアルキルサルファイド化合物由来の呈色反応で、人体に対する影響はないと言われています。
ラッキョウは、日本では9世紀頃からの書物に記載されており、当初は薬用にされたと思われます。
また、ラッキョウはニンニクに含まれているものに似た硫黄化合物を含んでおり、食欲増進のほか発汗、消炎などの作用があります。
ラッキョウ 変質・変色 「ラッキョウ」が青緑色に変色しているが原因は何か。 根の部分に日光が当たった場合、また、pHが低い時に緑変することがあるが、人体に対する影響はない。
リンゴ 変質・変色 「リンゴ」を水洗いしても表面がベタベタしている。また、水洗い後、布巾で果皮を拭くと布巾が灰褐色化するように感じるが、問題はないか。 リンゴは果実の表皮からロウ物質(ワックス)を出します。リンゴが完熟に近づくと不飽和脂肪酸であるリノール酸、オレイン酸などの含量が多くなり、それが果実の表面に溶出してきて、ロウ物質を溶かし、ヌルヌル、ベタベタした状態になります。
ベタつきやすい品種は、紅玉、千秋、ジョナゴールドなどです。
リンゴでは果皮に人工的にワックスをかけたり、油を塗るようなことはありません。また、不飽和脂肪酸は空気中で次第に酸化されて褐色を呈しますので、これが布巾に色がついた原因と推定されます。
レモン 変質・変色 「レモン」の実が褐色になっている。 かんきつ類に見られる低温障害と推定しました。
そのほか、「食用かんしょ」で、外観上は異常はありませんが、切断すると内部に凍傷や黒変した部分があるという低温障害が見られた例があります。これも低温障害のひとつで、貯蔵庫から出荷後、農家の納屋や集出荷場で10℃以下の低温に長時間置かれたことにより発生したものです。
レンコン 変質・変色 「レンコン」を煮たら赤色に変色した。 レンコン中に存在するタンニンが鉄鍋の鉄と反応して生成したタンニン鉄によるものと考えられます。
レンコンには多くのビタミンCが含まれるほか、アルギニン、チロシン、鉄分、タンニンなどを含みます。
レンコンに含まれるビタミンCは熱に強いのが特徴です。また、レンコンを切ったまま放置すると、紫色に変色しますが、これは鉄分とタンニンが空気中の酸素に触れ、酸化するためです。

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