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このページは、オミクロン株対応ワクチンの有効性や安全性、副反応などに関する情報を掲載しています。
A.国立感染症研究所、CDC(アメリカ疾病予防管理センター)等が、以下のとおり、研究結果を報告しています。
〇国立感染症研究所(2022年12月)
オミクロン株対応ワクチンの接種後14日以降の発症予防効果を分析したところ、71%の発症予防効果があることがわかりました。
また、BA.1対応ワクチンと、BA.4/5対応ワクチンとの間で有効性に大きな差はなく、いずれのワクチンもBA.5系統の変異株ウイルス流行期に高い有効性が認められました。
詳細は、国立感染症研究所「新型コロナワクチンの有効性を検討した症例対照研究の暫定報告(第五報):オミクロン対応2価ワクチンの有効性」 をご確認ください。
〇CDC(アメリカ疾病予防管理センター)(2022年12月)
オミクロン株対応ワクチンを接種した人の入院リスクは、未接種の人と比べると57%減少、従来型ワクチンの接種から11か月以上経過した人と比べると45%減少していることがわかりました。
詳細は、CDC(アメリカ疾病予防管理センター)「Early Estimates of Bivalent mRNA Vaccine Effectiveness in Preventing COVID-19–Associated Emergency Department or Urgent Care Encounters and Hospitalizations Among Immunocompetent Adults — VISION Network, Nine States, September–November 2022」をご確認ください。
〇厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会(2023年1月26日開催)
・オミクロン株対応2価ワクチン接種後、中和抗体価の上昇及びT細胞の応答が認められるが、両者において、従来株に対するものより、オミクロン株に対するものが低く、これは過去の抗原暴露による免疫刷り込みの影響が考えられる。(資料1 34ページ)
ファイザー社従来型ワクチンの3回接種後にファイザー社オミクロン株対応2価ワクチン(BA.4-5対応型)を追加接種した者(55歳以上)において、接種後4日から1か月の、野生株、BA.4-5、BA.4.6、BA.2.75.2、BQ.1.1、XBB.1に対する幾何平均中和力価上昇倍率は、それぞれ5.8倍、13.0倍、11.1倍、6.7倍、8.7倍、4.8倍であり、従来型ワクチン4回接種者と比較していずれも高かった。(資料1 17ページ) |
オミクロン株対応2価ワクチン(BA.4-5対応型)の追加接種後の中和抗体価は、従来型ワクチンの3回、4回接種後と比較し、オミクロン株(BA.1、BA.5、BA.2.75.2、BQ.1.1、XBB)のいずれに対しても高かった。(資料1 20ページ) |
オミクロン株対応2価ワクチン(BA.4-5対応型)による追加接種を含めたワクチン接種者及びブレークスルー感染者の血清を用いた評価により、BQ.1、BQ.1.1、XBB及びXBB.1に対する中和抗体価は特に大幅に低下していた。(資料1 22ページ) |
オミクロン株対応2価ワクチン(BA.4-5対応型)の追加接種後の中和抗体価は、オミクロン株(BA.5、BF.7、BA.2.75.2、BQ.1.1、XBB.1)で上昇したが、BQ.1.1及びXBB.1に対する中和抗体価はBA.5に対する中和抗体価より低い。(資料1 23ページ) |
・一方で、疫学的知見においては、オミクロン株対応2価ワクチンの接種による有効性が報告されている。(資料1 34ページ)
オミクロン株対応2価ワクチン(BA.4-5対応型)の追加接種による発症予防効果は、従来型mRNAワクチンのみを2回以上接種した者のうち直近の接種からの期間が8か月以上の者と比較し、18-49歳で56%、50-64歳で48%、65歳以上で43%であった。(資料1 26ページ) |
〇広島大学(2022年11月)
マウスと人の研究で、最初は従来株のワクチン、その後にオミクロン株対応ワクチンを接種することで、新型コロナウイルスの幅広い変異に対してワクチンの効果が得られることを報告しています。
研究成果のポイント 新型コロナウイルスに対する免疫応答において、単一のウイルス株によるワクチンを複数回接種しても、変異株に幅広く中和活性を有する抗体は得られない。変異ウイルス抗原に対して抗体産生が抑制される抗原原罪は、新型コロナウイルスにおいては確認されなかった。 初期株の免疫獲得後に、オミクロン変異株に対して免疫を行う「段階的免疫」によって、より広範な新型コロナウイルス変異株に対して中和抗体を獲得できる。 |
出典:広島大学「【研究成果】新型コロナウイルス初期株からオミクロン株へと段階的に免疫を獲得することが、幅広い感染防御を獲得する鍵である」(2022年11月30日掲載)
論文情報
論文タイトル:Vaccination with the Omicron spike RBD boosts broadly neutralizing antibody levels and confers sustained protection even after acquiring immunity to the original antigen.
著者:広島大学大学院医系科学研究科免疫学 保田朋波流教授 始め9名
掲載雑誌:International Immunology, dxac055
DOI 番号:10.1093/intimm/dxac055
〇東京大学医科学研究所(2023年2月、3月)
オミクロン株(BA.4/5)対応ワクチン接種により、オミクロンの変異株(XBB.1.5系統及びCH.1.1系統)に対する中和活性を有することが確認されました。
詳細は、以下をご覧ください。
「新型コロナウイルス・オミクロン株のXBB.1.5系統に対する 治療薬とワクチンの効果を検証(東京大学医科学研究所HP)」
発表のポイント BA.2系統ブレイクスルー感染者やBA.4/5株対応2価ワクチン被接種者の血漿のXBB.1.5系統に対する中和活性は、従来株やBA.2系統に対する活性よりも低かったが、ほとんどの検体で中和活性を有していた。 |
出典:東京大学医科学研究所「新型コロナウイルス・オミクロン株のXBB.1.5系統に対する 治療薬とワクチンの効果を検証」(2023年2月14日プレスリリース)
論文情報
論文タイトル:Antiviral and bivalent vaccine efficacy against an omicron XBB.1.5 isolate
著者:Ryuta Uraki*, Mutsumi Ito*, Maki Kiso*, Seiya Yamayoshi, Kiyoko Iwatsuki-Horimoto, Yuri Furusawa, Yuko Sakai-Tagawa, Masaki Imai, Michiko Koga, Shinya Yamamoto, Eisuke Adachi, Makoto Saito, Takeya Tsutsumi, Amato Otani, Tetsuhiro Kikuchi, Hiroshi Yotsuyanagi, Peter J. Halfmann, Andrew Pekosz, Yoshihiro Kawaoka** *:筆頭著者 **:責任著者
掲載雑誌:「Lancet Infectious Diseases」(2月8日オンライン版)
DOI 番号:10.1016/S1473-3099(23)00070-1
「新型コロナウイルス・オミクロン株のCH.1.1系統に対する 治療薬と2価ワクチンの効果を検証(東京大学医科学研究所HP)」
発表のポイント BA.4/5株対応2価ワクチンによって、CH.1.1系統のウイルスに対する中和活性は増強され、ほとんどの検体が中和活性を示した。 |
出典:東京大学医科学研究所「新型コロナウイルス・オミクロン株のCH.1.1系統に対する 治療薬と2価ワクチンの効果を検証」(2023年3月10日プレスリリース)
論文情報
論文タイトル:Efficacy of Antiviral Agents and Bivalent mRNA Vaccines against a CH.1.1 isolate
著者:Ryuta Uraki*, Mutsumi Ito*, Maki Kiso*, Seiya Yamayoshi, Kiyoko Iwatsuki-Horimoto, Yuko Sakai-Tagawa, Yuri Furusawa, Masaki Imai, Michiko Koga, Shinya Yamamoto, Eisuke Adachi3, Makoto Saito, Takeya Tsutsumi, Amato Otani, Yukie Kashima, Tetsuhiro Kikuchi, Hiroshi Yotsuyanagi, Yutaka Suzuki, and Yoshihiro Kawaoka** *:筆頭著者 **:責任著者
掲載雑誌:「Lancet Infectious Diseases」(3月7日オンライン版)
DOI 番号:10.1016/S1473-3099(23)00132-9
臨床試験での安全性の審査
ワクチンの開発に当たって、国内外での臨床試験で接種後に生じた様々な症状などの件数や頻度に関する情報は、ワクチンの添付文書などに記載されています。
添付文書についてはこちらから確認できます。
ファイザーの2価ワクチンの添付文書(独立行政法人 医薬品医療機器総合機構)
モデルナの2価ワクチンの添付文書(独立行政法人 医薬品医療機器総合機構)
接種開始後の安全性の調査・評価
新型コロナワクチンの接種が始まってから、以下の3種類の手法により、国はワクチン接種の安全性を調査・評価しています。
1.副反応疑い報告と審議会での評価
接種後に生じた副反応が疑われる事例について、国は医療機関に報告を求め、情報収集しています。
この報告の中には、ワクチン接種直後にたまたま症状が現れた、ワクチンが原因でない事例も含まれています。
収集した報告については、厚生労働省の審議会(厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会 副反応検討部会)において専門家による評価を行っています。
また、こうした結果を公表するなど、安全性に関する情報提供などを行っています。
厚生科学審議会 (予防接種・ワクチン分科会 副反応検討部会)(厚生労働省)
〇愛知県分の副反応疑い報告の状況について
医療機関から国に提出された副反応疑い報告のうち、愛知県分をとりまとめ、以下のページで公表しています。
詳しくは、副反応疑い報告の状況についてをご覧ください。
2.接種を受けた者への健康状況に関する調査
新型コロナワクチンを接種してから、一定期間の間に、どのような症状がどの程度の頻度で生じるかを調査し、その結果や中間報告を国は公表しています。
オミクロン株対応2価ワクチンの追加接種後の健康状況調査(厚生労働省)
3.予防接種後健康状況調査
新型コロナワクチンを接種した一般の方を対象に、接種後に生じうる比較的頻度の高い健康状況の変化(発熱・接種部位の腫れなど)について、オンラインのアンケート形式による調査を実施しています。現在、中間報告を国は公表しています。
中間報告(2021/11/2~2022/12/25)(厚生労働省)