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「知の拠点あいち重点研究プロジェクト(I期)」の成果を活用し、体にかかる圧力が計測可能な衣服や車椅子を開発しました。

 愛知県では、「知の拠点あいち重点研究プロジェクト※1(I期)」で創出された様々な技術や試作品等の開発成果(以下「成果」という。)を有効活用して、地域の産業振興を図るため、成果の普及や技術移転、成果を活用した企業の製品開発支援などを行っています。
 このうち「超早期診断技術開発プロジェクト※2」では「究極のウェアラブルシステム※3の開発」として、圧力や伸縮を検出できる布センサ※4を開発し、医療・介護の現場で活用できる製品開発に取り組んできました。
 この度、本プロジェクトの成果を活用し、場所や時を選ばず体にかかる圧力を計測できる衣服や圧力分布から使用者の現在の姿勢を推定できる車椅子を開発しました。様々な状況で要介護者の体にかかる圧力が計測可能となるため、継続的な褥瘡(じょくそう)※5予防への応用が期待されます。
これらの開発品を「第3回ウェアラブルEXPO」において展示します。
 多くの皆様の御来場をお待ちしております。

1.開発品の概要

【衣類型圧力センサ】
 近年では要介護者の寝たきり、車椅子への座りきりを解消し、通常の家具を使った生活を送ることが推奨されており、離床中の患者に対する褥瘡ケアの必要性が高まっています。
 「知の拠点あいち重点研究プロジェクト(I期)」では、これまで寝たきりの患者の褥瘡ケアのため、布センサを活用して、就床時の人の圧力分布を計測できるベッドシーツを開発してきました。現在、同様の圧力分布が計測できるシート状のセンサは、数多く開発されていますが、これらのシート状のセンサは衣服とするには厚いため、着用できる衣類型のセンサを製作することは困難でした。
 今回、従来に比べて薄くて軽い布センサを開発することにより、これまで製作が困難であった衣類型の圧力センサを実現しました。
 開発した衣類型の圧力センサ(図1)はベッドへの就床時だけでなく、場所や時、利用器具を選ばず常に体にかかる圧力を計測できることから、就床時から離床時まで継続した褥瘡ケアの実現への貢献が期待されます。
 

衣類型の圧力センサ

図1 衣類型の圧力センサ(左 外観、右 背中と臀部の計測例)

※本開発は、以下事業にて実施しています。
科学研究補助金 基盤研究(B)(一般) 15H02736
「布センサで構成した体圧計測ウェアを用いた離床時褥瘡予防ケア支援」
(代表 名古屋大学 助教 榎掘優、 共同研究機関 愛知県立大看護学部、名古屋市立大学医学部、中部大学看護学部、株式会社槌屋)

【車椅子組み込み型圧力布センサ】
 車椅子からのずり落ちは介護現場で大きな問題となっており、介護士が常に見守りつつ危なくなった段階で姿勢を正す介護を実施していますが、介護現場の大きな負担となっています。一方、ずり落ち防止のために車椅子使用者の適切な姿勢が確認できる車椅子は、現状では実現されていません。
 今回、車椅子に布センサを組み込むことで、車椅子使用者の肌に加わる圧力の計測や、圧力分布から車椅子使用者の現在の姿勢を推定できるシステムを構築しました(図2)。
 開発したシステムは、車椅子からのずり落ちや身体の左右への傾きを検知して適切な姿勢補助のタイミングを介護士へ伝達することが可能となることから、介護現場における負担軽減への貢献が見込まれ、車椅子生活者の褥瘡ケアなど、介護現場での利用が期待されます。

車椅子組み込み型圧力センサ

図2 車椅子組み込み型圧力センサ(左 外観、右 計測例)

※本開発は、以下事業にて実施しています。
総務省 戦略的情報通信研究開発推進事業(SCOPE) H28 地域ICT振興型
「布圧センサを用いた車椅子用褥瘡予防支援システムの研究開発」
(代表 名古屋大学 教授 間瀬健二、共同研究機関 株式会社槌屋、日進医療器株式会社)

2.「第3回ウェアラブルEXPO」の概要

(1) 内容
 ウェアラブルデバイスの総合展。ウェアラブルデバイスに関する製品や技術、部品・材料などが出展されます。
(2) 会期
 平成29年1月18日(水曜日)から20日(金曜日)まで(3日間)
 午前10時から午後6時まで(最終日のみ午後5時まで)
(3) 会場
 東京ビッグサイト(東京都江東区有明3-11-1) 小間番号「W24-42」
(4) 入場料
 無料(ただし、公式HP上で招待券の申し込みが必要)
 *ウェアラブルEXPO HP http://www.wearable-expo.jp/
(5) 主催
 リードエグジビションジャパン株式会社
 

3.問合せ先

あいち産業科学技術総合センター 尾張繊維技術センター
素材開発室  島上、田中、藤田
〒491-0931  愛知県一宮市大和町馬引宮浦35
電話:0586-45-7871  FAX:0586-45-0509
 

【用語解説】

※1 知の拠点あいち重点研究プロジェクト
 高付加価値のモノづくりを支援する研究開発拠点「知の拠点あいち」を中核に実施している産学行政の共同研究開発プロジェクト。平成23年度から平成27年度まで「重点研究プロジェクト(I期)を実施した。平成28年度からは「重点研究プロジェクト(II期)」の実施及びI期の成果活用・普及活動を行っている。

※2 超早期診断技術開発プロジェクト

 
プロジェクトリーダー椙山女学園大学 看護学部 教授 太田 美智男氏(プロジェクト当時:名古屋大学 特任教授)
内容超高齢化社会において、全国的に増加が予想される脳・循環器系疾患、がん、生活習慣病を早期に発見するために、工学系の研究者と医学系の研究者(医師)が医工連携体制を構築し、痛みがない、少ない、簡易な早期診断技術や日常的な健康モニタリング技術を確立する。
参加機関18大学6公的研究機関16企業(うち中小企業8社)〔大学〕名古屋大学、名古屋工業大学、豊橋技術科学大学、愛知県立大学、愛知学院大学、愛知工業大学、椙山女学園大学、中部大学、中京大学、豊田工業大学、名古屋市立大学、藤田保健衛生大学、京都工芸繊維大学、大阪市立大学、三重大学、広島大学、広島市立大学、北海道大学〔公的研究機関〕(国研)国立長寿医療研究センター、(国研)産業技術総合研究所、愛知県がんセンター、(公財)愛知県健康づくり振興事業団、あいち産業科学技術総合センター、(公財)科学技術交流財団

※3 ウェアラブルシステム
 腕や頭部などの身体に装着して利用する端末(ウェアラブルデバイス)を用いて、日常的な人の体勢や動きなどの情報を取得できるシステムです。重点研究プロジェクトでは、ベッドシーツや衣服など日常生活に使われている布素材にセンサ機能を持たせたデバイスを用いたシステムの開発を行いました。

※4 布センサ
 電気を流すことができる繊維「導電性繊維」を織り込んだ布がセンサとなります。圧力や伸縮によって導電性繊維間の距離が変化します。これを電気的な変化量としてとして計測することで、圧力や伸縮を測ることができます。

圧力や伸縮を検知する布センサの検出原理

図3 圧力や伸縮を検知する布センサの検出原理

※5 褥瘡(じょくそう)
 褥瘡(じょくそう)は、臨床的には、患者が長期にわたり同じ体勢で寝たきり等になった場合、身体と支持面(多くはベッド)との接触局所で血行が不全となって壊死を起こすものをいいます。床ずれ(とこずれ)とも呼ばれます。