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UVレーザーを応用して木材の表面硬さ等を大幅に向上させる技術を開発しました! ~世界初の技術の事業化に取り組む企業を募集します~

 あいち産業科学技術総合センター産業技術センター(刈谷市:以下、「センター」)では、紫外線波長のレーザー光(以下、「UVレーザー」)を使うことにより、木材の物性を大きく向上させる技術を開発し、今年3月に特許を出願しました。
 この技術を使うと、例えばスギ材では表面硬さを約4倍、耐衝撃性を約3倍に向上させることができ、これにより、家具や室内外の床材・壁材など、これまでスギ材が不得意だった部分にも利用できるようになります。
 本日から、この技術を使って事業化に取り組む企業を募集しますので、関心のある企業の方は、愛知県知的所有権センター(電話:0561-76-8318)へお問合せください。
 この技術の事業化により、企業の競争力強化に加え、国産木材の需要拡大につながることを期待します。 

1  センターでの国産木材活用に向けた取組み

 愛知県は、家具や木製品の生産が全国トップクラスであることから、センターでは、以前から木材加工の技術支援を行っており、国産木材、中でもスギ材の用途拡大にも取り組んでいます。
 スギ材は、木目がまっすぐで軽く加工しやすいなどの特長があり、柱などの建築材として重要な素材ですが、柔らかく強度が低い欠点があるため、これを克服できれば、更に用途の拡大が期待できます。

2  UVレーザーによる木材加工技術の開発

(1)UVレーザーでの穴開け加工に世界で初めて着目

 レーザー光を使った木材加工としては、赤外領域の光を発生する炭酸ガスレーザーによる刻印、切断などが一般的に利用されています(図1)。
 これに対し、センターでは、UVレーザーを使用すると、木材を変色(炭化)させずに、極めて微細な穴開け加工ができることに世界で初めて着目し、平成25年からその産業利用を検討してきました。
 図2は、UVレーザーでスギ材表面に穴開け加工を行った事例です。直径約40ミクロンの穴が、1平方センチメートルあたり667個開けられていますが、目視では識別できません。図3は電子顕微鏡による断面画像で、縦に走る線がレーザーによって開けられた穴です。0.1mmの間隔で穴開けしており、1cm以上の深さまで到達しています。
 このように、UVレーザーの使用により、木材特有の暖かい色調や風合いといった美観を損なうことなく表面に微細な穴開け加工することが可能となりました。

図1 炭酸ガスレーザー

図1 炭酸ガスレーザーによる加工例

図2 加工例(表面)

    図2 加工例(表面)

図3 加工例(断面)

図3 加工例(断面)

(2)処理剤の浸透による物性向上

 この穴を通して様々な処理剤を浸透させることで、木材の物性を向上させることができます。例えば、アクリル樹脂をスギ材に浸透・硬化させると表面硬さは約4倍、耐衝撃性は約3倍に向上します。これは、家具等に使われるケヤキ、ナラ、ブナの硬さをはるかにしのぎ、ボウリング場のレーンに使うハードメープルの耐衝撃性と同等の物性です。

3  生産性を改善する技術を開発し特許出願

 処理剤を均質に浸透させるためには、高密度な穴開け加工が必要ですが、これは生産性と反比例の関係にあり、センター保有の機器では、スギ材に667個/平方センチメートルで深さ4mmの穴開け加工を施す場合、7時間/平方メートルを要します。レーザー技術は日進月歩で高速化しているとはいえ、事業化を進める上で生産性の改善は重要な課題でした。
 そこで、センターでは企業へのヒアリング等を参考に、産業化に必要な加工速度として、30分/平方メートルを目標値に設定し、検討を進めたところ、UVレーザー加工と圧密技術を併用することで高速化が可能となり、目標値を達成できることを確認し、本年3月に特許を出願(「表層圧密木材及びその製造方法」特願2017-63457)しました。
 また、この出願技術により、処理剤の使用量を更に低減することも可能となりました。

         図4 表層のみを圧密化したスギ材断面

      図4 表層のみを圧密化したスギ材断面

4  事業化に取り組む企業を募集

 本日から、出願技術の概要を県産業労働部産業科学技術課のWebページに掲載し、事業化に取り組む企業を募集します。
 (http://www.pref.aichi.jp/soshiki/san-kagi/pat2017-63457.html)
 事業化を希望する企業に対しては、秘密保持の手続きをした上で出願技術の詳細を開示するとともに、必要に応じセンターの研究員が技術サポートを行い、新たな事業展開を支援します。

5  問合せ先

 〇技術内容について
  あいち産業科学技術総合センター 産業技術センター
  環境材料室(担当 福田、石川)
  住所:愛知県刈谷市恩田町一丁目157番地1
  電話:0566-24-1841

 〇出願技術の実施者募集について
  愛知県知的所有権センター
  住所:愛知県豊田市八草町秋合1267番地1(知の拠点あいち内)
  電話:0561-76-8318

6  その他

 本技術の一部は、国立研究開発法人科学技術振興機構が実施する「研究成果展開事業マッチングプランナープログラム*2」の支援を得て開発したものです。

【用語説明】
用語説明
*1
UVレーザー
 UV(Ultra Violet:紫外線)の波長で発振されるレーザー光。波長が短いため、スポット径を数ミクロンまで絞り込むことができ、微細な加工が可能。産業用途は広く、電子、半導体、医療など多分野でマーキング、切断等に利用されている。
*2
研究成果展開事業 マッチングプランナープログラム
 国立研究開発法人科学技術振興機構が、企業の開発ニーズの解決のため、大学等の研究成果、知的財産を活用した試験研究を支援するために実施した事業です。