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日持ち性の優れた本榊(ほんさかき)を開発しました ~耐乾燥性能が既存品に比べ10倍以上に向上~

 あいち産業科学技術総合センター産業技術センター(刈谷市:以下「センター」)は、株式会社菊水(きくすい)(春日井市:以下「菊水」)と共同で、神棚等で利用される本榊*1の日持ち性を向上させる技術を開発しました。
 この技術は、生花などの保存に使われるプリザーブド処理*2を本榊に適用したもので、手入れなしに長期にわたって美観の維持が可能です。
 既にいくつかのプリザーブド処理を施した榊(本榊、ヒサカキ)の商品が販売されていますが、今回開発した本榊製品は、既存品に比べて10倍以上の耐乾燥性能を持ち、葉の反りや柔軟性の喪失が大幅に改善されています。
 菊水では、開発品を「樹王(じゅおう) さとの神(かみ)」の商品名で12月中旬に販売します。

開発製品

開発製品「樹生(じゅおう) さとの神(かみ)」

1  開発の背景

 代表的な神木である本榊は、古くから日常的に神社や家庭の神棚へのお供えに、また多くの神事に用いられていますが、切り葉の状態では、すぐにしおれたり腐ったりするため、頻繁な水替えや枝切り等の手入れが必要です。
 このため、センターでは、菊水と共同で、国産本榊に適したプリザーブド処理技術の改良に取組み、手入れ不要で日持ち性の優れたプリザーブド本榊を開発しました。

2  開発技術の概要

(1)プリザーブド処理の概要

 花きの保存性を向上させる技術のひとつであるプリザーブド処理は、生花や葉を処理液に浸けた後に乾燥する手法で、多くの場合、着色処理も併せて行います(図1)。ところが本榊の葉は分厚く硬質であるため、処理液の均質かつ十分な浸透が困難です。このため、現在、ネット販売を中心に流通している既存品では、乾燥環境下において短期間に反りが生じたり、柔軟性が喪失することが問題となっていました。

Fig1

                図1 一般的なプリザーブド加工プロセス

(2)開発技術のポイント

 プリザーブド品の美観を長期にわたって維持するためには、対象とする花きに適した処理液の配合が重要です。菊水では、従来から仏花等のプリザーブド処理で培ったノウハウを有していますが、本榊については十分な特性が得られず、センターへ相談がありました。
 センターは、菊水がこれまで検討してきた本榊のプリザーブド処理方法を基に科学的観点から処理液の配合を見直し、環境試験等による品質評価を繰り返して、最適な配合と含浸条件を見出しました。その結果、自然な風合を保ちつつ、既存品で見られる葉の反りや柔軟性の喪失を大幅に改善することができました。

3  開発品の耐乾燥性試験結果

 乾燥した室内環境を想定し、温度20℃、相対湿度30%の条件に30日間静置して、得られた重量および外観の変化を図2に示します。

Fig2a

fig2b

図2  耐乾燥性試験(温度20℃、相対湿度30%)における重量変化
 

Fig3

    図3  耐乾燥性試験前後の外観(上段:全体図、下段:拡大図)

 既存品は3日後で初期重量の約90%になっているのに対し、開発品は30日後においても初期重量の約95%を維持していることから、開発品は10倍以上の期間、耐乾燥性能を保持し、さらに外観も乾燥による反り等の変形が見られず(図3)、優れた日持ち性を有することがわかりました。

4  今後の展開

 菊水では、開発品を「樹王(じゅおう) さとの神(かみ)」の商品名で、平成29年12月中旬から店頭販売及び電話での注文受付を開始します(図4)。今後、ネット通販や量販店を通じた販売等も検討しています。

 ※ ミニ(約17cm)、S(約30cm)、M(約36cm)の3サイズ展開
 ※ 神社等での使用を想定した大型サイズ(60cm以上)は別途注文により対応可
 ※ 榊立て(東濃ひのき製)付きの販売も実施

Fig4

                図4  製品・利用事例

【販売価格】※表示価格は全て税別

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5  問合せ先

 あいち産業科学技術総合センター産業技術センター
  環境材料室 (担当 野村、福田、石川)
  〒448-0013 愛知県刈谷市恩田町1丁目157番地1
  電話:0566-24-1841

 株式会社菊水
  代表取締役 長谷川 幸子
  〒486-0932 愛知県春日井市松河戸町3丁目11番地5
  電話:0568-29-7307

【用語説明】
用語説明
*1 本榊 モッコク科サカキ属の常緑小高木(学名:Cleyera japonica)であり、国内では東海以南の温暖な地域で生育し、神棚や神事に用いられる。
*2 プリザーブド処理 生花や葉に特殊な処理液を用いて美観を長期間維持できるように保存加工すること。ドライフラワーとは異なり、切り花に劣らない風合いを長期間保つことができる。
Fig5
        
        プリザーブド処理した卓上花