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「知の拠点あいち重点研究プロジェクト(II期)」介護医療コンシェルジュロボット及びその普及モデルを開発しました!

 愛知県では、大学等の研究シーズを活用して県内主要産業が有する課題を解決し、新技術の開発・実用化や新産業の創出を目指す産学行政連携の研究開発プロジェクト「知の拠点あいち重点研究プロジェクト※1(II期)」を実施しています。
 この度、「次世代ロボット社会形成技術開発プロジェクト※2」の「介護医療コンシェルジュロボットの研究開発※3」において、豊橋技術科学大学の三枝亮(さえぐさりょう)特命准教授と、新東工業(しんとうこうぎょう)株式会社等の研究チームが介護医療コンシェルジュロボット※4Lucia R/G(ルチア赤/緑)及びその普及モデル(以下、量産型試作機)を開発しました。
 Lucia R/Gは、介護医療施設と連携して現場ニーズに対応する様々な機能を実現しました。量産型試作機では、基本機能を夜間の見回りに絞り込み、その他の機能は施設現場のニーズに基づいて搭載することで、費用対効果を最適化することができます。
 将来的には、介護医療福祉サービスの人手不足と過重労働の問題を解決し、介護医療施設利用者の生活の質の向上に貢献することが期待されます。

研究モデル、普及モデル

 

1  開発の背景

 近年、介護医療福祉分野では人手不足や過重労働の問題が深刻化しています。これらの問題を解決するため、全国的に介護医療向けのロボットやシステムの研究開発が進められています。しかし、既存ロボットでは、施設職員の補助や施設利用者、入院患者などへの対人的な計測や応対に関する機能が不足しており、施設現場での単調な巡回移動や薬剤搬送の支援に留まっているのが現状です。
 そのため、本研究開発では、人手不足や過重労働の問題を解決し、施設利用者の生活の質の向上に貢献することを目的として、介護施設・医療施設・特別支援学校などにおいて夜間の施設内の見回りや人の運動・生理を考慮した応対を行う介護医療コンシェルジュロボットを開発しました。

 

2  開発の概要

(1) 開発の経緯

 Lucia R/Gは、豊橋技術科学大学が平成26年と平成27年に開発したLucia(以下、旧Lucia) の技術を高度化し、介護医療福祉分野の現場ニーズに対応する新しいロボットです。Lucia R/Gではユーザとなる介護医療施設の運営者と連携して、旧Luciaの歩行練習支援機能などの高度化と現場ニーズに対応する新たな機能を実現しました。さらに、新東工業株式会社を中心とした事業化コンソーシアムを構築して、事業化に向けた量産型試作機を開発しました。
 本研究開発では、研究モデルであるLucia R/Gと普及モデルである量産型試作機の開発を同時に進めることで、研究モデルの最新機能の普及モデルへの導入や、普及モデルの耐久力の研究モデルへの反映など、実用化を見据えた新しい価値をもつロボット開発を行っています。

(2) ロボットの機能 

 ロボットの主な機能は以下のとおりです。

<A.人応対機能> 

視線や音声で認識の対象や次の動作を直感的に伝えながら、車いす利用者や歩行者を追従したり誘導したりします。接触を検知すると停止しますが、機体のほぼ全身を柔軟な素材で覆っており、人と接触した際の安全性を確保しています。

<B.見回り機能> 

夜間の低照度条件で施設内を自動巡回し、徘徊者や転倒者の検知時は対象者に近づいて応答や呼吸を確認します。巡回中は状態に応じて通報を行い、充電残量に応じてロボットステーションに帰還し、自動で充電します。

<C.遠隔操作機能> 

高齢者や障害者がベッド上でロボットを遠隔操作できます。認知・運動機能が限られていても、テレプレゼンス※5によりコミュニティへの参加を支援します。タブレットを介した職員・利用者間の応対も可能です。

<D.バイタル運動機能> 

歩行計測や付添誘導により、高齢者やリハビリ患者から運動機会を引き出し、フレイル予防※6を支援します。バイタル計測、姿勢計測、統合カルテシステム(ロボットによる計測情報を含んだ電子カルテシステム)により、利用者本人の健康管理や医師・療法士の計測記録を支援します。

 

表 各機体と機能の対応

機体の種類/機能

研究モデル・Lucia R

研究モデル・Lucia G

普及モデル・量産試作機

A.人応対機能

B.見回り機能

C.遠隔操作機能

D.バイタル運動機能

(○:標準装備、△:オプションにより搭載可能)

 

人対応機能、見回り機能 遠隔操作機能、バイタル運動機能

(3) ロボットの検証

 現在、Lucia R/G及び量産型試作機は、社会福祉法人天竜(てんりゅう)厚生会(こうせいかい)の施設現場において、実際に夜間の巡回や昼間の機能試験を繰り返し行い、基本機能、安全性、静音性などの検証に加えて、ロボットが人に与える印象や影響等についてもヒアリング調査を実施して改良を進めています。歩行練習支援の機能は医療法人さわらび会福祉村病院の協力の下検証を行い、国立研究開発法人国立長寿医療研究センターと連携して、フレイル予防や外来業務支援に向けた機能拡張を進めています。

 

3 期待される成果と今後の展開

   平成30年度も引き続き、研究モデルと普及モデルを両輪として、5年先を見据えた先端的な計測・行動・知能の研究開発は大学が、低コストで高い耐久性をもたらす生産技術の構築は企業がそれぞれ中心となり進めています。また、あいち産業科学技術総合センターは、安全性の評価を行うなど産学行政が密接に連携して研究開発を進め、新たに研究モデル1機と普及モデル1機を製作する予定です。
 本研究開発は平成31年4月の製品発売を目指しており、まずはプロジェクト参画機関である天竜厚生会や福祉村病院で、運用していただく予定です。
 将来的には、高齢化が進む社会での見守り、介助、リハビリ、生活支援、コミュニケーションなど様々なシーンで活躍できるよう、本ロボットを統合的な介護医療プラットフォーム(介護医療に関わる業務や活動を支援する基盤となるロボット、システム、デバイスなどの総称)として全国の介護医療現場に展開し、社会貢献を果たしていくことを目標としています。

 

4  社会・県内産業・県民への貢献

(1)社会への貢献:少子高齢社会における問題解決の一助となります。

(2)県内産業への貢献:介護医療福祉サービスの人手不足と過重労働の解決に貢献します。

(3)県民への貢献:介護医療施設利用者の生活の質の向上に貢献します。

 

5  問い合わせ先

○プロジェクト全体に関すること

 ・あいち産業科学技術総合センター 企画連携部

  担当:小久保、牧

  所在地:豊田市八草町秋合1267番1

  電話:0561-76-8306

  FAX:0561−76−8309

 ・公益財団法人科学技術交流財団

  担当:松村、冨田、古田

  所在地:豊田市八草町秋合1267番1

  電話:0561-76-8370

  FAX:0561−21−1653

○本研究に関すること

 ・豊橋技術科学大学(神奈川工科大学)

  担当:特命准教授(准教授) 三枝 亮

  所在地:愛知県豊橋市天伯町雲雀ヶ丘1-1(神奈川県厚木市下荻野1030)

  電話:0532-81-5155(046-241-9394)

 ・新東工業株式会社

  担当:執行役員 富貴原(ふきはら) 信(まこと)

  所在地:愛知県豊川市穂ノ原三丁目1

  電話:0533-84-7237

 

【用語説明】

※1 知の拠点あいち重点研究プロジェクト

  高付加価値のモノづくりを支援する研究開発拠点「知の拠点あいち」を中核に実施している産学行政の共同研究開発プロジェクト。平成23年度から27年度まで「重点研究プロジェクト(I期)」を実施し、平成28年度からは「重点研究プロジェクト(II期)」を実施している。

   「重点研究プロジェクト(II期)」の概要

目的

大学等の研究シーズを活用して県内主要産業が有する課題を解決し、新技術の開発・実用化や新産業の創出を促進する。プロジェクト終了時には、県内企業において、成果の実用化や製品化、社会での活用を見込むことができる研究開発を実施する。

実施期間

平成28年度から平成30年度まで

参画機関

16大学11公的研究機関等98企業(うち中小企業72社)

(平成30年3月現在)

プロジェクト名

・次世代ロボット社会形成技術開発プロジェクト(※2参照)(通称:プロジェクトR)

・近未来水素エネルギー社会形成技術開発プロジェクト(通称:プロジェクトE)

・モノづくりを支える先進材料・加工技術開発プロジェクト(通称:プロジェクトM)

 

※2 次世代ロボット社会形成技術開発プロジェクト(通称:プロジェクトR)

 

概要

モノづくりやサービス分野等における、新たなロボットの利用技術開発、実証実験を行うとともに、情報通信技術等を活用した自動車安全技術の研究開発を実施することにより、次世代ロボット社会形成に資する技術開発を推進する。

研究テーマ

(1)高齢者が安心快適に生活できるロボティックスマートホーム

(2)介護医療コンシェルジュロボットの研究開発

(3)航空エンジン製造自動化システムに関する研究開発

(4)施設園芸作物の収穫作業支援ロボットの研究開発

(5)鳥獣害・災害対応ドローンに関する研究開発

(6)愛知次世代ロボットの産業化・市場創出を推進する要素技術開発

(7)ロボット実用化のためのリスクアセスメント支援システム構築

(8)眼球運動を指標としたドライバ状態検知技術の実用化

(9)交通事故低減のための安心安全管理技術の開発

参画機関

8大学8公的研究機関等36企業(うち中小企業23社)   (平成30年3月現在)

 

※3 介護医療コンシェルジュロボットの研究開発

 

研究リーダー

豊橋技術科学大学 特命准教授 三枝 亮 氏

事業化リーダー

新東工業株式会社 富貴原 信 氏

内容

介護医療現場では高齢者の増加と施設職員の減少が同時に進行しており、人手不足や過重労働の問題が深刻化している。これらの課題解決を目的とした介護医療向けロボットの導入が試行されているが、主たる機能は移動巡回や薬剤搬送などに留まっている。本プロジェクトでは、最先端の知能ロボット技術とセンシング技術を統合し、高い自律性と対人応対能力を備えたコンシェルジュロボット(世話係ロボット)を研究開発し、介護医療現場における施設職員の負担軽減と施設利用者の活性化を実現する。

参加機関

〔企業〕

新東工業株式会社、株式会社ケーイーアール、株式会社三重ロボット外装技術研究所、パラマウントベッド株式会社

〔大学〕

豊橋技術科学大学、福島県立医科大学、神奈川工科大学

〔公的研究機関〕

社会福祉法人天竜厚生会、医療法人さわらび会福祉村病院、国立研究開発法人国立長寿医療研究センター、あいち産業科学技術総合センター

※4 介護医療コンシェルジュロボット

  介護・医療施設で施設職員、施設利用者、入院患者、外来訪問者などに応対してサービスを行うコンシェルジュ(世話係)となるロボット。

 

※5 テレプレゼンス

  遠隔地において、現場にいるように感じる、またそのように感じさせる技術のこと。

 

※6 フレイル予防

  加齢とともに身体機能や認知機能が低下して心身が虚弱な状態(フレイル)となる前に、適切な介入や支援を行うことで、そのような状態となることを防ぐこと。