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県内のサクラの花から分離した酵母を使った米粉パンが誕生しました

平成28年3月11日(金曜日)発表

もっちりとした食感の米粉パンを共同開発・製品化しました

 

 あいち産業科学技術総合センター食品工業技術センター(名古屋市西区:以下、食品工業技術センター)は、岡崎市で米粉パン*1の製造を行っている株式会社四季と共同で、愛知県内のサクラの花から分離した酵母*2を使った米粉パンの製造方法を開発し、これを用いて米粉を主原料とする米粉パンを共同開発・製品化しました。

 従来の米粉パンと比べても、噛むほどに旨みのある、もっちりとした食感の米粉パンが開発できました。

こめっ子桜
写真1.「サクラ酵母を使った米粉パン“こめっ子桜”」

1 背景

 

 近年、地域の産品を活用したモノづくりによって、地域の活性化を図る取り組みが各地で盛んに行われています。製パン業界においても、新しい食感や味覚の商品を開発するとともに、地元産の原材料を使用した商品開発が進められています。

 食品工業技術センターでは、自然界から分離した酵母を活用した地域商品の開発を推進してきました。平成25年8月20日には、愛知県内各地の花から酵母(花酵母)19株を分離し、このうち、サクラの花から分離した酵母(以下、サクラ酵母)を始め14株の酵母で市販のパン酵母と遜色のないパンを試作できたことを公表しました。

  一方、株式会社四季は、地元の米粉を使うなど地域にこだわった米粉パンの開発に取り組んできました。その過程で、米粉パンの付加価値を高めるため、「和」をモチーフとした商品開発を企画し、食品工業技術センターにサクラ酵母の活用について相談がありました。

 そこで、サクラ酵母を使い、愛知県産の米粉を原料粉として50%以上使った米粉パン(以下、サクラ酵母米粉パン)の製造方法の開発に共同で取り組みました。

2 開発内容

 

 パンの製造における酵母の役割は、生地を速やかに膨張させ、パンに特有の香ばしい風味を与えることです。今回使用したサクラ酵母は、市販の製パン用酵母と比較して、小麦粉を主成分とした通常のパンの生地の膨張力は同等でしたが、原料粉として米粉を50%以上含む米粉パンの生地に対しては膨張力が劣っていました。

 このため、同社が平成27年度の「新あいち創造研究開発補助金」*3(愛知県)の助成を受けて、酵母のパン種*4の配合、発酵温度や発酵時間を検討して、米粉パンに適した製造方法を開発しました。その結果、酵母の生地膨張力*5を飛躍的に高めることができました。

 コッペパンを使った官能試験*6の結果、サクラ酵母米粉パンと従来の米粉パン(株式会社四季、市販生イースト使用)とでは、味や食感の違いが認識され、食パンタイプの米粉パンでは、およそ7割以上の人が市販の食パン(米粉を原料の一部に含む)に比べて「好ましい」と回答するなど、もっちりとして噛むほどに旨みがでる、従来の米粉パンとも一味違う、おいしい米粉パンの製造に成功しました。

開発した製造法の概念図
開発した製造法の概念図
サクラ酵母を使ったパン
サクラ酵母を使ったパン(左: 米粉パン (従来法)、右: 小麦粉のパン)
開発した製造法で作ったサクラ酵母米粉パン
開発した製造法で作ったサクラ酵母米粉パン
米粉パンの官能試験の評価
米粉パンの官能試験の評価

 このサクラ酵母米粉パンは、「こめっ子桜」という商品名(商標登録出願中)で、 3月18日(金曜日)より県内2カ所でテスト販売を1ヶ月間行い、その後、通常販売する予定です。

【テスト販売について】

 (1)日時:3月18日(金曜日)10時30分から販売開始(無くなり次第終了)

   場所:JAあいち三河 幸田憩の農園(額田郡幸田町大字大草字上六條22-1)

 (2)日時:3月22日(火曜日)10時より販売開始(無くなり次第終了)

   場所:ピピッと!あいち(名古屋市中区栄四丁目1-1 中日ビル地下1階)

サクラ酵母を使った様々な米粉パン
サクラ酵母を使った様々な米粉パン

3 問合せ先

あいち産業科学技術総合センター食品工業技術センター

 担当:分析加工技術室   近藤(こんどう)瀬見(せみ)()

 電話:052-325-8093

 FAX:052-532-5791

 所在地:名古屋市西区新福寺町2-1-1

 URL:http://www.aichi-inst.jp/

株式会社四季

 担当:代表取締役  大宮(おおみや) 龍彦(たつひこ)

 電話:0564-66-1112

  FAX:0564-66-1124

 所在地:愛知県岡崎市八帖町字往還通137-3

 URL:http://www.shiki-bakery.com

<用語解説>

*1 米粉パン

 米粉を原料として製造されたパン。(1)米粉と小麦粉を使用したもの、(2)小麦粉を使用せず、米粉にパンの骨格となるタンパク質としてグルテンを添加したもの、(3)小麦粉やグルテンを使用せず、米粉単独あるいは増粘多糖類等を添加したもの、の3つに大別される。ここでは、小麦粉に対して米粉を等量以上 (原料粉として50%以上)使用した(1)に分類されるパンを米粉パンと呼んでいる。小麦粉のみを使用した通常のパンに比べて、もちっとした食感があり、一般的に腹持ちが良いと言われている。

*2 酵母

 自然界には1,500種以上の酵母と呼ばれる微生物が存在しているが、ここでいう酵母はサッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)に属しており、日本酒やビール、ワインといった酒類やパンの製造に用いられる。酵母は、糖を資化して、アルコール(エタノール)や炭酸ガスを出す。酒類では、酵母のアルコール生産能力を利用する。一方、パンでは、生地を膨張させるために酵母の炭酸ガス生産能力を利用する。

*3 「新あいち創造研究開発補助金」

 産業空洞化に対応するため、「産業空洞化対策減税基金」を原資として、研究開発・実証実験を支援する補助制度。愛知県が平成24年度から毎年度実施している。

*4 パン(だね)

 パン作りの元となる酵母を培養したもの(種)。このうち、液状で培養して発酵させたものを(えき)(だね)、液種を小麦粉や米粉などの粉類と混ぜ合わせて発酵させたものを中種(なかだね)と呼ぶ。

*5 生地膨張力

 酵母は、パン生地中の糖分を分解して炭酸ガスを作る。この炭酸ガスの放出量や放出速度が大きいほど、パン生地を膨張させる力 (生地膨張力)が強い。

*6  官能試験

 化学試験、物理試験、機器分析などの理化学試験ではなく、味覚や嗅覚など、人の感覚によって行う評価試験。食品の場合、温度や食器などが管理された一定の条件下で、複数の試験員が対象食品を評価して、その結果を統計的に処理するもの。


問合せ

あいち産業科学技術総合センター食品工業技術センター
分析加工技術室 近藤、瀬見井
電話 052-532-8093
愛知県産業労働部産業科学技術課
管理・調整グループ
担当 加藤、山田、杉山
電話 052-954-6347