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鳥インフルエンザ発生に伴う人への影響について
平成21年2月27日、豊橋市内の養鶉(ようじゅん)農場において高病原性鳥インフルエンザ(H7N6)が確認されました。
また、平成23年1月28日、豊橋市内の養鶏農場において高病原性鳥インフルエンザ(H5N1)が、平成23年2月14日、新城市内の養鶏農場において高病原性鳥インフルエンザ(H5N1)が確認されました。
鳥インフルエンザ発生に伴う人への影響については、次のとおりです。
1.鳥インフルエンザとはどのような病気ですか?
鳥インフルエンザは、A型インフルエンザウイルスが引き起こす鳥の病気です。鳥に感染するA型インフルエンザウイルスをまとめて鳥インフルエンザウイルスといいます。
鳥インフルエンザウイルスの中には高病原性鳥インフルエンザがあり、家きん(鶏、あひる、鶉[うずら]や七面鳥など)に対する病原性の強さによって、強毒タイプと弱毒タイプに分類されています。
鶏などが強毒タイプのウイルスに感染すると、その多くが死んでしまいます。一方、鶏などが弱毒タイプのウイルスに感染すると、症状が出ない場合もあれば、咳や粗い呼吸などの軽い呼吸器症状が出たり産卵率が下がったりする場合もあります。
2.高病原性鳥インフルエンザウイルスとは?
次のいずれかの条件に合うものが高病原性鳥インフルエンザウイルスです。
・鶏の静脈内に接種すると、鶏を高い確率で死亡させる
・ウイルスのHAというタンパク質の一部が、強毒タイプのウイルスのHAに似ている
・全てのH5またはH7亜型(※)(家きんに対する病原性の強さに関係なく)
これまで、鶏などに対して高い病原性があると判定された鳥インフルエンザウイルスは、すべてH5やH7亜型のウイルスです。H5やH7亜型のウイルスの中には病原性の低いものもありますが、これらが家きんの間で感染をくり返すと高い病原性に変異する可能性もあると報告されています。
このため日本では、病原性の強さに関わらずH5やH7亜型を高病原性鳥インフルエンザウイルスとして扱っており、感染が広がるのを早めに食い止めることができるようにしています。
なお、平成21年に豊橋市の養鶉農場で発生した高病原性鳥インフルエンザウイルスは、H7N6亜型(弱毒タイプ)、平成23年に豊橋市の養鶏農場で発生した高病原性鳥インフルエンザウイルスは、H5N1亜型(強毒タイプ)と判明しました。
※A型インフルエンザウイルスは、ウイルスの表面にあるタンパク質であるHA(赤血球凝集素、hemagglutinin)とNA(ノイラミニダーゼ、neuraminidase)の種類によって亜型に分類でき、「H5N1亜型」などと表します。
3.鳥インフルエンザウイルスは人へ感染するのか?
一般的に鳥インフルエンザウイルスが人に感染することは極めてまれです。ウイルスは感染した鳥の体液や排泄物に大量に含まれているため、病気や死亡した鳥に直接触れたり、解体や調理、羽をむしるなど濃厚に接触(ウイルスへの大量暴露)した場合には、まれに感染することがあります。
したがって、そのような接触をしない限り、鳥インフルエンザに感染する心配はありません。また、高病原性鳥インフルエンザが発生した農場の近くに住んでいたり、近くを通ったりすることで感染することはありません。
これまでの報告によれば、仮に感染した場合には、突然の発熱や呼吸器症状、結膜炎などの症状が見られることがありますが、現在東南アジアを中心に死亡者が報告されているH5N1亜型の鳥インフルエンザウイルスを除き、重症化することはほとんどないと考えられます。
なお、濃厚な接触のあった農場の従業員の方などについては、保健所による健康調査が行われます。
4.人への感染事例はあるのか?
平成21年に豊橋市の養鶉農場で確認されたH7亜型については、海外では次表のとおり人への感染事例が報告されています。
年 | 発生国 | 亜型 | 死亡/患者 |
---|---|---|---|
1959 | アメリカ | H7N7(L) | 0/1 |
1978~1979 | アメリカ | H7N7(L) | 0/不明 |
1996 | イギリス | H7N7(L) | 0/1 |
2002~2003 | アメリカ | H7N2(L) | 0/2 |
2003 | オランダ | H7N7(H) | 1/89 |
2004 | カナダ | H7N3(H) | 0/2 |
2007 | イギリス | H7N2(L) | 0/4 |
※H:強毒タイプ、L:弱毒タイプ
※出典:国立感染症研究所「鳥インフルエンザQ&A」
日本では、この病気にかかった鶏などが徹底的に処分されており、通常の生活で病気の鳥と接触したり、フンを吸い込むようなことはあまりないことから、鳥インフルエンザに感染する可能性はきわめて低いと考えられます。
なお、医療機関が鳥インフルエンザにかかった疑いのある患者を診察した場合には直ちに報告をしていただくよう体制を整備しています。鳥インフルエンザに感染したり感染が疑われる鳥と接触した後で、発熱などインフルエンザを疑う症状が出た場合には、医師にその旨を告げて受診して下さい。
なお、鳥インフルエンザ(H5N1)発生国及び人での発症事例については、厚生労働省の鳥インフルエンザに関するホームページをご覧ください。
5.鶏肉や鶏卵を食べて鳥インフルエンザにかかることはありますか?
鶏肉や鶏卵を食べて、人が鳥インフルエンザウイルスに感染することは世界的に報告されていません。
なお、鳥インフルエンザウイルスは加熱すれば感染性がなくなります。万一食品中にウイルスがあったとしても、食品を十分に加熱して食べれば感染の心配はありません。加熱するときは、食品全体が70℃以上になるようにしましょう。鶏肉の場合は、ピンク色の部分がなくなるまで加熱するとよいでしょう。
・鶏卵は、国内では、生で食べることを考えて生産されていますが、不安な方や体調の悪い方は、加熱(WHOの食中毒防止のための加熱条件:中心部70℃、瞬間)することをおすすめします。
・鶏肉は十分加熱して食べて下さい。未加熱または加熱不十分なままで食べることは、食中毒を予防する観点からもおすすめできません。
6.新型インフルエンザとは? また、鳥インフルエンザとの関係は?
新型インフルエンザウイルスとは、動物、特に鳥類のインフルエンザウイルスが人に感染し、人の体内で増えることができるように変化し、人から人へと効率よく感染できるようになったもので、このウイルスが感染して起こる疾患が新型インフルエンザです。
人間にとっては未知のウイルスで、ほとんどのヒトは免疫を持っていませんので、これは容易に人から人へ感染して広がり、急速な世界的大流行を起こす危険性があります。
7.インフルエンザの症状が現れた場合は?
高病原性鳥インフルエンザ発生に伴う人への感染は極めて低いことから、インフルエンザに近い症状が現れても、風邪や通常のインフルエンザと考えられます。早めに医療機関を受診してください。
また、手洗い、うがい、栄養・休養、ワクチン接種、咳エチケットなどにより、インフルエンザの予防に努めましょう。
8.鳥インフルエンザに感染しないための注意事項は?(一般的な注意事項)
鳥インフルエンザの感染を防ぐためには、鳥で集団発生が起こっている時期に、病気の鳥や死んだ鳥との不要な接触を避けることが現時点で唯一の有効な予防法と言えます。
野鳥からの感染防止のため、念のために以下のことに注意してください。
・衰弱又は死亡した野鳥又はその排泄物を見つけた場合は、直接触れないこと。もしも触れた場合には、速やかに手洗いやうがいをすること。
・特に、子供は興味から野鳥に近づくおそれがありますので注意してください。
鳥インフルエンザの流行地域等に出かける時は、流行地域では、不用意に鳥類に近寄ったり、触れたりしないようにしましょう。帰国時、発熱や咳が見られる場合には、検疫所の健康相談室に申し出てください。
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