ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ
ホーム > くらし・安全・環境 > 生活・交流 > 消費生活 > 平成22年度消費者・事業者懇談会の結果について

平成22年度消費者・事業者懇談会の結果について

平成22年度消費者・事業者懇談会の結果について

 平成22年2~3月の低温、長雨、日照不足等の天候不順により、また7月後半からは大雨と猛暑の影響により、農作物の生育停滞や病害が発生したため収穫量が減少し、野菜等農産物の価格が高騰しました。その一方、消費者の低価格指向は続いており、大手スーパー等は規格外品の販売や販売量の小分けにより対応するという動きが見られました。天候により収穫量が左右される農産物は、今後も同様な価格高騰は発生する可能性があると思われます。

 また、輸入食品に起因する健康被害、食品表示偽装など、食の安全・安心を脅かす事件が起こっており、消費者からは、安全・安心な食料品の供給が求められています。

 そこで、農産物の価格動向と安全性をテーマとして、消費者の合理的な商品選択、食に関する不安解消に資するため、消費者、関係事業者、学識者、行政機関による懇談会を開催し、意見交換を行いました。

会議の概要

会議名

平成22年度消費者・事業者懇談会

テーマ

農産物の価格動向及び安全性について

日時

平成22年11月17日(水) 午後1時30分から午後3時30分

場所

名古屋市中区三の丸2-3-2 愛知県自治センター 会議室A

出席者

◎消費者

 消費者団体代表者(4名)、愛知県消費生活モニター(4名)

◎事業者

 日本チェーンストア協会中部支部、愛知県生活協同組合連合会、愛知県経済農業協同組合連合会

◎学識者

 名古屋市立大学大学院経済学研究科 向井清史教授

◎行政

 農林水産省東海農政局消費・安全部(消費生活課)、愛知県県民生活部(県民生活課)・健康福祉部(生活衛生課)・農林水産部(食育推進課、農業経営課、園芸農産課)

内容

◎基調説明〔名古屋市立大学大学院経済学研究科 向井清史教授〕

◎取組説明(各事業者)

◎意見交換

 ・農産物の価格動向について

 ・農産物の安全性について

◎総括

 懇談では、まず名古屋市立大学大学院経済学研究科の向井清史教授から、「農産物の価格動向及び安全性」について基調説明をいただき、各事業者による取組紹介の後、消費者、事業者、行政との意見交換を行いました。

 ここでは、懇談会の内容の一部を紹介します。

懇談会の様子

懇談会の様子

1 あいさつ(愛知県県民生活部県民生活課 松井課長)

・本日は、消費者団体、消費生活モニター、学識者、各種事業者団体、行政の関係者が出席しています。事業者団体の方々から、農産物の価格動向及び安全性に関する情報などを提供していただきますとともに、意見交換していただきたいと思います。

・限られた時間ではありますが、実りの多い懇談会にしたいと思いますので、よろしくお願いします。

2 懇談

(1) 基調説明「農産物の価格動向及び安全性について」(名古屋市立大学大学院 経済学研究科 向井清史教授)

・今年は特殊な要因で、農産物の価格が大きく値上がりしました。しかし、中・長期的には日本全体ではデフレ傾向の中で、農家の収益を確保するには安い価格で推移していることが多いと思っています。

・農産物の価格については、長期的なデフレ傾向と、今年のような短期的な価格上昇とを分けて考える必要があります。

・例えば、野菜や果物の価格は上がっていますが、米の価格はかなり安くなってきています。安くなっているものもあるということで、消費者としては、バランスのある見方をする必要があると思います。それは、農産物の価格の問題を考える時の留意点の一つだと思います。

・もう一つの留意点は、世代によって価格に対する感受性が違うということです。若い世代は価格に非常に敏感ですが、高齢者はどちらかというと品質的なものに留意しており、世代によって受け止め方が異なっています。

・これらについては、行政が農産物の価格問題に取り組む場合に、留意しておかなければならない点と思います。

・次に、農産物の価格変動の問題ですが、農産物の市場では、価格は、需要と供給を調整する能力が低いと言われています。

・消費の面から考えると、農産物は生活必需品で、高くても買うのをやめることができません。一方、電化製品は、高ければ買うのを控え、安くなるのを待つことができます。このため、農産物は価格の柔軟性がないと言われています。

・生産の面から考えると、自動車や電化製品などの工業製品は、高く売れるのであれば、明日からでも供給量を増やすことができますが、農産物は、価格が高くても、早くても2か月先にならないと供給量を増やすことができません。農産物は、工業製品のように市場価格に応じて供給量を柔軟に調整することができないので、価格が上下しても仕方がないと言われています。

・時代的な問題では、今の若い人たちに調理技術が伝承されていないことがあります。例えば、きゅうりが高い場合、他のものを使って栄養的にバランスがとれれば、高いきゅうりを食べる必要はありませんが、それができません。農産物の価格が高くなったときの防衛力が弱くなっていることが、時代的な問題の一つとしてあります。

・時代的な問題のもう一つは、野菜や果物において、加工・業務用の需要が増えていることです。野菜では、生食需要(家庭で消費するもの)は総消費量の半分以下で、半分以上は加工品として摂取していることになります。加工業者等は野菜を直接仕入れているので、卸売市場では、野菜の半分以下しか取り扱っていないことになり、価格調整機能が非常に弱くなっていると言えます。さらに悪いことに、加工業者等は、製造コストの関係で、いつでも加工量を一定にしたいと考えていますので、悪天候等で仕入れができない場合には、市場から大量に買うことになります。そのため、野菜の価格が高いときには、ますます高くなる構造となっています。

・供給側について言うと、農家の高齢化があります。高齢化の問題は、天候不順のときの対応力が弱いということです。

・もう一つは、供給される野菜・果物の品種が統一化されてきていることです。これは、遺伝形質が同じものを使っているということで、その遺伝形質で適応することが困難な環境変化が起こったとき、多くの野菜・果物がだめになってしまうということです。

・以上をまとめると、もともと農産物の価格は乱高下しやすいにもかかわらず、現在は、さらに新しい要因が増えている状況と言えます。

(2) 取組説明

ア 日本チェーンストア協会中部支部

・スーパーでは、お客様に安定的に品質のよい商品をお届けすることを使命としています。商品の調達については、まず第1に安全で品質の良い商品をできるだけお求めやすい価格で提供することを心がけて取り組んでいます。しかし、安い産地から場当たり的に調達していると、農家の方も安定的な経営が難しくなることから、それぞれの産地において、農産物を継続的・安定的に生産・提供していただけるように気を付けています。

・もう一方で、消費者の方々は、カットするだけでいいような手軽な商品に流れがちです。スーパーは生産者と消費者の橋渡し役ですので、今後どういう商品を提供していくのか、生産者、消費者と一緒になって考えているところです。

・価格については、スーパー側でも悩まされる問題です。一時的に価格が高騰することがありますが、流通の各段階で高騰分を吸収して、お客様がお求めやすい価格になるよう工夫しています。

 

イ 愛知県生活協同組合連合会

・生協では、店頭販売と共同購入とがあり、それぞれで価格設定の方法が違います。

・店頭販売はスーパーと変わりませんが、共同購入の場合、1年くらい前から、各生協の考え方に合った生産者と契約を結び、価格設定をしています。その場合、次の3つのことを考えて価格を決定しています。

 (ア) その生産者が来年、同じような栽培をしてもらえるかどうか

 (イ) 市況価格

 (ウ) 過去の価格

・共同購入では、価格をカタログに掲載しますが、1か月くらい前に価格設定しないと、カタログの印刷に間に合いません。そのため、市況の価格変動に比べ、共同購入の価格変動は小さくなります。

・安全性については、次の3つのことを考えています。

 (ア) 産地と生産者が明確である

 (イ) 生産方法と手段が明確である

 (ウ) 生協と生産者との交流がなされている

 

ウ 愛知県経済農業協同組合連合会

・価格動向について、生産者側の対応としては、供給量の安定が価格の安定に影響するので、供給量の安定を目指しています。

・愛知県の農家だけでは、年間通じて同じような価格で供給できません。日本は列島が長く、山間地もあるので、「産地間リレー」で価格安定を図っています。

・先日、キャベツの異常な高騰がありましたが、これは、「産地間リレー」のすき間ができてしまったことによのるもので、これにより農家が喜んでいるというわけではありません。農家は、収穫量が十分あり、安定し、再生産できる価格で販売でき、長期的に農業を継続できることを期待しています。

(3) 意見交換(農産物の価格動向について)

○消費生活モニター

・二等品のような商品でもいいから販売してほしいと思います。

 

○日本チェーンストア協会中部支部

・二等品の割合は収穫量全体の1割程度だと思いますが、それを流通させるには手間がかかります。また二等品が安く出回ると、消費者にとっては良いように思えますが、農家にとっては価格を安くしてしまうので、品質が良いものを作った甲斐がなくなってしまいます。スーパーの姿勢としては、良いものを作ろうとしている農家の商品を、農家が安定的に経営できる価格でお客様に届けることを使命としていますので、二等品を中心に扱うことは難しいのが現状です。

 

○愛知県経済農業協同組合連合会

・農家は、少しでも良いものを出荷しようと努力しています。規格外品は少量であり、安定的に供給できるものではありません。そのようなものを流通にのせようと思うと、商売としてなかなか成り立ちません。農家が出荷する場合、農産物の輸送賃、ダンボール代、農家の労賃などの経費がかかりますが、それらの経費に見合う販売価格になるかどうかが重要です。決して規格外品を流通させないというつもりではありません。

 

○愛知県生活学校運動推進協議会

・先日、野菜の生産工場の見学に行きました。そこでは、猛暑等と関係なく野菜を生産できるので、安全で安価であるとの説明がありました。工場生産する野菜をもっと増やすことで、価格が安定するのではないかと思いました。

 

○消費生活モニター

・冷凍野菜やドライ野菜の生産設備、いちごの出荷調整技術などを企業が導入する場合のリスクを知りたいと思います。

 

○農林水産省東海農政局

・植物工場は、通常の施設栽培より高度に環境制御することにより、野菜などは、計画的に周年生産できます。植物工場は、現在、全国で50か所設置されていますが、農林水産省では150か所に増やすことを目標にしています。

・植物工場のメリットには、季節や天候に左右されず安定供給できること、定量を定時に出荷でき、定まった価格で供給できること、地域や土地を選ばないということなどがあります。一方、デメリットには、設置コストが非常に高いこと、生産に係る資材や燃料、電気代等のコストが高いこと、周年栽培できる品目が少ないことなどがあります。また栽培技術、経営を担う人材不足も課題です。

・農林水産省としては、生産コスト3割削減を目標に立てており、今後、課題を整理しながら、取組を拡大していきたいと考えています。

 

○日本チェーンストア協会中部支部

・野菜の価格は安定しておらず、非常に安くて新鮮な野菜が出てくることもあります。そのため、一定のコストで一定の生産量を維持する設備、保管・保存設備を作って、価格を安定させて供給することは、コストの面から難しいと思っています。しかし、ケーキに載せるいちごなど、特殊な用途の場合にはあり得ると思います。

 

○愛知県生活協同組合連合会

・冷凍野菜の中で一番消費者に好まれているのが、下処理がいらない野菜です。ばれいしょやかぼちゃ、ほうれんそう、ブロッコリーなど、働く女性が便利に家族に提供できるものが伸びています。

 

○消費生活モニター

・農産物を作るために必要な肥料のうち、リン酸とカリウムは、ほとんど輸入に頼っているようですが、輸出国が関税を引き上げ、肥料の価格が高くなると、農産物の生産コストアップにつながります。この対応策を何か考えてほしいと思います。

 

○愛知県農林水産部園芸農産課

・国産の農産物の価格は外国産より高いと言われています。しかし、日本では、野菜の輸入を自由化しているにもかかわらず、国内の自給率は80%以上あります。関税率は、工業製品と同じ5%くらいで、関税が障壁になっているわけではありません。国産の野菜は、国際競争力があると思っています。

・しかし国産の農産物は、今後コストが高くなることが問題になります。生産コストは、肥料価格の高騰などで、5年前に比べて一時期4割高になりました。今は1割高くらいに落ち着いています。一方、農産物の価格については、高い時期もありますが、安い期間がかなりあり、野菜の価格は平均して0.7%しか伸びていません。これは消費者にとっては良いことですが、生産者にとっては、生産コストは上がっているのに価格が上がっておらず、厳しい状況です。

・生産コストの削減のため、県農業総合試験場ではコスト低減につながる新品種や生産技術を開発したり、農家では収穫量を増やす努力をしています。皆さんには、愛知県産農産物、ひいては日本の農産物の消費を伸ばしていただきたいと思います。

(4) 意見交換(農産物の安全性について)

○愛知県共同購入協会

・消費者は食品表示を目安にして買い物していますが、10月に新聞記事で、「食品表示違反95%以上非公表」というショックな記事を見ました。

 

○農林水産省東海農政局

・JAS法では、一般消費者の選択に資するため、品質表示基準を設定しています。これに違反する不適正表示について、業者に対して指示した場合は公表するなど厳正な対処を実施しています。公表の基準については、平成21年1月にパブリックコメントの手続きを経た上、指示・公表のルールを作成し、公表をしているところです。これに基づいて現在、指示と公表を基本として、常習性がなく、過失による一時的なものであり、かつ、直ちに改善方策を講じている場合には、社会的制裁となる公表を伴う指示ではなく、指導を実施することとしています。

・指導した事案について、公表すべきとの意見があり、平成22年9月には総務省の勧告も出ましたので、JAS法に基づく、「指示・公表の指針」の運用改善を行ったところです。それについては、平成23年1月から運用することとなっています。

・変更した点は、指導の取扱いの運用について、事実と異なる表示があった場合、直ちに改善方策を講じている場合の「改善方策」について、表示の是正を行っていることに加えて、その旨を社告やウェブサイトで掲示したり、店舗内で告知等するなど、速やかに情報提供していることとして解釈し、運用することになったことです。食品品質表示制度については、改善すべき点は改善し、消費者の選択に資するように、表示制度を確立していきたいと思っています。

 

○愛知消費者協会

・市販されている大豆製品は、目に付くものはみんな100%国内産、遺伝子組換えでないと書いてあります。大豆は輸入が多いと言われているのに、よく分かりません。

 

○健康福祉部生活衛生課

・遺伝子組換え大豆の件ですが、私たちは豆腐製造業者、納豆製造業者に行って、遺伝子組換え食品が分別されているかどうか確認しています。遺伝子組換え食品については、各業者間で書類の受渡しをしていて、そのものが遺伝子組換えであることを明確に次の購入者に送るような形を取っています。そういう書類がないものについては、不分別ということで取り扱い、必ず表示をする義務があります。遺伝子組換えでない食品については、表示する義務はありません。食品製造業者としても、消費者が遺伝子組換えを嫌っているので、遺伝子組換えでないと表示することによってPRできるということで、表示しています。

・大豆の輸入量は多いですが、すべてが食品にまわるわけでなく、飼料にまわるものもありますし、大豆油になるものもあります。大豆油の場合、かなりの高温で熱処理するので、それにより遺伝子自体は破壊され、油自体には遺伝子が存在しないことになります。そのため、遺伝子組換え大豆を使っていても、遺伝子自体が残っていないので、表示をしなくてもいいことになっています。

 

○愛知県地域婦人団体連絡協議会

・虫が食べたら死ぬように遺伝子を組み換えた作物を、人間が食べても大丈夫という情報が伝わってこないと、遺伝子組換えは恐いのではないかと思ってしまいます。

 

○健康福祉部生活衛生課

・虫が食べたら死ぬというのは、植物の中にそのような物質を作る遺伝子だけを組み込む訳です。虫を殺すといっても、虫特有のある部分だけを攻撃して、その機能を低下させて殺します。こういうことは、なかなかマスコミにも取り上げられません。食品安全委員会のウェブサイトに、遺伝子組換えに関する情報が掲載されているので、そちらを見ていただきたいと思います。

 

○消費生活モニター

・私は、できるだけ地元の旬な野菜や果物を購入しています。スーパーへ行くと、地元の方が作った野菜があり、そういうものを好んで購入しています。安全・安心は、そういうところにあるのではないかと思います。愛知県には良い野菜や果物があるので、そういうものを消費してもらえるよう対策していただくといいと思います。

 

○日本チェーンストア協会中部支部

・地元の野菜や農産物を積極的に購入されるという傾向は、全国的なものだと認識しています。そのため、県内産が豊富に出回っているときは、県内産を積極的にお客様に届けるよう、心がけています。しかし、これも難しい面があり、県内産よりも県外産の方が安いこともあります。また野菜に限らず、天然のものでは、安いものほど品質がいいので、県外の産地で良いものがあれば、そちらを届けることになるのは、やむを得ないと思っています。

・お客様は、安全よりも安心を求める面があります。そのため、素性の知れたものを、一定量提供しようと思うと、JAさんに指導していただいている、品質の確認の取れたものになってしまうのは、やむを得ないと思っていただきたいと思います。

(5) 総括(名古屋市立大学大学院 向井教授)

・本日の懇談会の中で、感じたことを申し上げます。

・一つは、農産物の供給の安定性を考えていくにおいて、どういう品質のものを求めていくかについてのコミュニケーションが、日本の場合はあまりうまくいっていないのではないかと思います。農家は高品質な農産物の生産を目指していますが、消費者はそんな高品質なものを求めているのか、ということです。

・日本国民は素材で食べるというほど、限りなく良い品質のものを求めています。しかし、われわれはそんなに品質を求めるのではなく、ほどほどの水準で、ほどほどの価格で、ほどほどの安定した供給を目指したらどうかと、私は感じています。

・行政としては、価格と品質について、どのように調整していって、安定的な、あるいは合理的な価格で供給できるようにするのかということを、もう少し考えるべきではないかと思います。

・二つめですが、表示については、悪質でないから公表せず、指導で納めるというのは、それはそれでいいですが、その後のことをきちんとフォローしていないので、消費者は不安だと思います。行政として情報をどのように出していくのか、その場合、出しっぱなしというのが不信感を生み出していくことになるので、どれだけフォローして、きちんと情報を消費者に伝えていくのかが、行政を理解してもらう上で、とても重要になっているという印象を持ちました。

問合せ

愛知県 県民生活部 県民生活課
県民相談・調整グループ
E-mail: kenminseikatsu@pref.aichi.lg.jp