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画期的な水稲新品種「中部125号」を開発しました ~“いもち病抵抗性遺伝子”のすぐ近くにある“食味を損ねる遺伝子”を取り除くことに世界で初めて成功~

平成21年8月19日(水曜日)発表

画期的な水稲新品種「中部125号」を開発しました ~“いもち病抵抗性遺伝子”のすぐ近くにある“食味を損ねる遺伝子”を取り除くことに世界で初めて成功~

 愛知県農業総合試験場山間農業研究所は農林水産省所管の独立行政法人と共同で、おいしくて、いもち病に極めて強い画期的な水稲新品種「中部125号」を開発しました。

 本品種は、ゲノム育種法(※)を用いて、いもち病圃場抵抗性遺伝子(pi21)のすぐ近くにある食味を損ねる遺伝子を取り除くことに、世界で初めて成功したものです。

 なお、本品種の開発は、農林水産省の新農業展開ゲノムプロジェクト及び指定試験事業の研究成果です。

※ ゲノム育種法

 ゲノム育種法とは、国際イネゲノムプロジェクトにより解読されたイネの遺伝情報を基に、優良形質等に関わる遺伝子を特定し、DNAマーカーを用いて、望ましい遺伝子以外の部分を含まず、目的とする遺伝子のみを含んだ個体を選抜する方法です。

 国際イネゲノムプロジェクトでイネのDNA配列(全遺伝情報)が解読されたことにより、このDNA配列をマーカーとして利用した効率的な育種が可能になりました。

ゲノム育種法

1 開発の経緯

 山間農業研究所では、いもち病に強い水稲の育種研究を昭和8年から約80年間続けています。現在までに多くの品種を開発し、わが国の稲作に貢献してきました。

 しかし、従来の品種改良では、陸稲「戦捷(せんしょう)」由来のいもち病圃場抵抗性遺伝子(pi21)のすぐ近くに食味を損ねる遺伝子があるため、交配によって水稲に極めて高い確率で両遺伝子が同時に後代に取り込まれてしまい、いもち病に強く食味が良い実用的な水稲品種は選抜できませんでした。

 そこで、独立行政法人農業生物資源研究所及び独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構作物研究所と共同で研究を進め、ゲノム育種法を用いて、戦捷由来のpi21を持つ「稲系IL946」と食味の良い「コシヒカリ」を交配した後代6,000個体から、pi21だけを持ち食味を損ねる遺伝子は持たない個体を選抜することに世界で初めて成功しました。

 本品種は平成21年8月21日(金)付けで種苗法に基づく品種登録出願を行うとともに、ゲノム育種の研究成果は米国科学雑誌「Science(サイエンス)」2009年8月21日号で公開されます。

2 県と独立行政法人の役割分担

(1)愛知県農業総合試験場山間農業研究所

   育種素材の交配・選抜、栽培試験(いもち病抵抗性評価)

(2)独立行政法人農業生物資源研究所

   ゲノム調査、DNAマーカーの作出

(3)独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構作物研究所

   栽培試験(品質特性評価)

3 新品種の特徴

(1)いもち病に極めて強い特性を持っています。

(2)食味は大変おいしく「コシヒカリ」と同等です。

(3)収穫時期は「コシヒカリ」に比べて2日程度早く、9月上旬です。

(4)収量は「コシヒカリ」とほぼ同等です。

いもち病抵抗性試験の状況

いもち病抵抗性試験の状況
(左:「コシヒカリ」、右:「中部125号」)
【左の「コシヒカリ」はいもち病に弱いが、右の「中部125号」はいもち病に極めて強い】

4 普及性

(1)全国のいもち病発生地域等に普及が見込まれます。

(2)今後のいもち病抵抗性育種の母本としての活用が見込まれます。

5 問い合わせ先

愛知県農業総合試験場山間農業研究所稲作グループ 主任研究員 坂 紀邦

 所在地 豊田市稲武町スソガエト11

 電話 0565-82-2029

6 関連説明

(1)いもち病抵抗性

 いもち病は、稲の葉や穂などに発生し、米の品質や収量が大きく低下する最も被害の大きい病気です。特に、夏が涼しく、日照時間の短い山間・中山間地域で多く発生します。

 いもち病に対する抵抗性には、真性抵抗性と圃場抵抗性の2種類があります。一般的にいう抵抗性とは真性抵抗性を指します。

 真性抵抗性は特定の系統のいもち病菌に対しては強い抵抗性を示しますが、系統が異なるいもち病菌には抵抗性を示しません。したがって、1つの真性抵抗性遺伝子を取り入れただけでは、様々な系統のいもち病菌が存在する実際の水田では病気を防ぐことはできません。また、1つしか真性抵抗性遺伝子を持たない稲を栽培し続けると、数年で耐性菌が増え、被害が大きくなってしまいます。

 一方、圃場抵抗性は、様々な種類のいもち病菌に対して一様に抵抗性を示すもので、病気にかかることは防げませんが、被害を軽減し、収量性等には大きな影響を与えません。また、真性抵抗性のように特定の菌が増えることがなく、長期間にわたり安定して抵抗性を示します。

(2)新農業展開ゲノムプロジェクト

 農林水産省の新農業展開ゲノムプロジェクトとは、イネゲノムの解読、遺伝子の機能解明等のこれまでのイネゲノム研究の成果を活用して、国内外の食料問題の解決に貢献する画期的なイネの開発に取り組むものです。

(3)指定試験事業

 農林水産省の指定試験事業とは、国が行うべき農業試験研究について、気候条件や土壌条件などの理由から、立地条件が適当な都道府県の試験研究機関を指定し、事業を委託して技術開発を行うものです。

問合せ

愛知県農業総合試験場
山間農業研究所稲作グループ
担当 坂・中嶋
電話 0565-82-2029

愛知県農林水産部農業経営課
技術・営農グループ
担当 恒川・須田
内線 3662・3673
ダイヤルイン 052-954-6410

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