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平成29年度外部評価結果

平成29年度愛知県農業総合試験場外部評価会議の開催状況

1 日時

  平成29年11月21日(火曜日)  午後2時から午後5時まで

2 場所

  愛知県農業総合試験場 中央研究棟 第2会議室

3 評価委員(敬称略)

平成29年度愛知県農業総合試験場外部評価委員
所属・職名氏名
名古屋大学大学院生命農学研究科 教授山内 章(座長)
中日新聞事業局社会事業部 部長菊永 博
公益社団法人日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会 消費生活アドバイザー柴田 智子
東海漬物株式会社漬物機能研究所 所長吉澤 一幸

4 評価内容

  「愛知県農林水産業の試験研究基本計画2020」に基づき実施した試験研究(研究課題)に関する評価について

5 報告

  会議座長の山内章氏から次とおり評価結果票が提出されました。

平成29年度農業総合試験場外部評価結果票

評価結果の総括

 農業において、IoT やAI技術の社会実装が近年急速に進みつつあり、生産現場においても、衛星画像やドローン、あるいは今回の発表にあった、各種環境モニターセンサーやNDVIセンサーなどを利用して生育状況を把握し、農産物の生育環境管理・生産性の効率化などが試みられてきている。農総試はそうした技術の開発や導入に果敢に挑戦しており高く評価される。一方、それらの機器がどれだけ進歩しても、取得するデータと、実際の作物の生育や収量・品質との関連性が確立されていない限り、技術としては使えない。農総試にはこれまでに、とくに愛知の農業現場で積み上げてきた膨大な情報と経験があり、その点で他研究機関の追随を許さない。これまでに蓄積してきたものの掘り起こしも含めて、それらを最大限活かす方向で、技術開発に貢献していただきたい。

 また、農業とデータサイエンスの両方に精通した専門家はまだ決して多くなく、その養成が強く求められているので、その分野で大学等教育機関との一層の協働が有効であると考えられる。

 さらに他機関との共同研究の有効性は、今回発表された、水稲品種育成、名古屋コーチンの系統育成でも、いかんなく証明されている。農総試ならではの、息の長い育種事業を大切に続けてきたことが基盤となり、みずからの新しい研究技術の積極的な導入と、大学や、民間・国の研究機関、さらには実需者や生産者との共同技術開発が大きな成果を生んでいる。今後のさらなる発展が期待される。

(研究課題) NDVI測定を利用した水稲・小麦の生産技術の開発

研究課題の設定について

 NDVIセンサーとドローンの活用は、先端技術を利用したスマート農業推進の方向性と合致する。また、農水省が掲げる、人工知能と農業との組み合わせ(モニタリングによる情報活用)が生産性を高め、省力化に貢献すると考えられ、非常に意義ある研究課題である。

 本研究の背景・目的に書かれている「水稲の食味ランクA」によって、県民や、生産者・愛知県農業が享受できる利益について、具体的な言及があるとさらによい。

研究の取り組み状況について

 フランスのAIRBUS社を視察するなど、人工衛星やドローンを用いた生産診断システムの実績を調査し、愛知県版の生産診断システムに応用するなど、高い実現性が期待でき、一方で夢が膨らむような取り組みも期待でき非常に興味深い。

 一方、NDVIセンサーの計測結果と生育調査の相関については、さらなる検証が必要である。また最終目的である食味評価まで関係づけるには継続的な調査の積み上げが必要と考える。

今後の計画について

 追肥時期によって変化する生育とNDVI値との関係性の精度を上げ、きぬあかりの品質の均一性と安定性の向上によるブランド化を推進するとともに、農家が対応可能な、ドローンの操作性や安全性の向上などの課題についても視野に入れて取り組んでいただきたい。

 本研究対象は水稲・小麦の収量や品質であるが、この技術の応用範囲を病害虫防除などにも拡大しつつ、対象を露地野菜などの他の作目にも積極的に拡げていくことが有効であろう。

 さらに本技術の普及段階においては、NDVI値と生育との関係が圃場(環境)によって異なることから、適用可能な圃場のタイプや、生産者における操作性の難易度などのきめ細かい適用条件も明らかにされることが望まれる。

総合評価:B(A~Dの4段階評価)

 

(研究課題) 環境制御による施設野菜の高収益生産技術の開発

研究課題の設定について

 「あいち型植物工場」の確立を目指した、養液管理や温度管理などの環境制御による施設野菜の高収益生産技術の開発や、そのマニュアルの作成は、生産者の所得向上のみならず、新規就農者が、いわゆる農業地域のような限定された場所以外の、たとえば都市部やその近郊でも取り組める就農モデルの確立にも大いに貢献し、普及性も高いことが期待されるので、非常に意義ある課題である。

 学術的にも、作物成長や収量形成の制限要因を、一つずつ同定しつつ克服し、そのポテンシャル収量を実現するための要因を解析する、生産現場における実証研究として、非常に興味がある。

研究の取り組み状況について

 トマト、ナス、イチゴとも環境制御により、それぞれの課題をクリアしてきているが、収量においては、トマトでは、まだ目標の80%であることから、その制限要因の同定をさらに進め、CO2施用、温度、養液管理の組み合わせで最適条件を検証していただきたい。その成果を踏まえて、今後の関係機関との連携による収量予測システムの構築に期待したい。

 このように、要因を丁寧に拾い上げ、成果を積み重ねていく研究態度と方向に、研究のおもしろみを感じ、また好感をもった。 

今後の計画について

 環境ナビゲーションシステムや収量予測モデルの確立と、それらに基づく「あいち型植物工場」マニュアルの作成は、栽培面積、生産量の減少に歯止めをかけるうえで非常に期待が持てる。収量に加え、品質・食味についての研究の進展も期待される。たとえば、ナスの温度管理技術開発の過程で、高温管理による石ナスの発生抑制と、コストとのバランスについての検討結果は楽しみである。

 さらに資材・設備整備の最適化により、投資費用の抑制による生産者の所得向上に繋がり、生産者の継続意欲、新規参入者の意識も高まることが期待できる。暗黙知を形式知として新しい施設農業のビジネスモデル構築を進めて欲しい。

総合評価:B(A~Dの4段階評価)

 

(研究課題) アミロペクチン短鎖化でおいしさが持続する画期的な業務・加工向け多収水稲品種の開発

研究課題の設定について

 パンやういろう、酒など地元の実需者からの評価を取り入れ、米の消費動向を踏まえての、実用性の高い形質を有する品種の開発を目指す本研究課題は、愛知県オリジナルの特徴ある品種開発として、実需者、消費者のニーズに合致しており、高く評価できる。とくに、高齢化、働く女性の増加等による内食の減少、中食市場の拡大が進む環境下で、BtoB向けの「さめても柔らかい、美味しい」というコンセプトは的を射ている。

研究の取り組み状況について

 短鎖アミロペクチンに目を付けたところが非常に興味深く、柔らかさが持続する「愛知糯126号」の開発はまさにオリジナルで画期的な品種の開発と言える。短鎖アミロペクチンを多く含む品種育成には長い時間をかけて来たことが推察され、研究の連続性の重要さを再認識した。

 農水省委託事業として、農研機構、大学、実需者、生産者との間でコンソーシアムを形成し研究を進めたことで、品種育成の成果の実用性が向上し、今後の発展が期待でき、注目に値する。他の分野の研究も含めて、農総試がこのような形で、全国の研究を牽引されていくことに期待したい。

今後の計画について

 実需者に向けてのさらなるPR、実需者と生産者へのさらなる情報提供の場を設けるなど、PRに努めていただき、育成品種が登録され、登録後の普及啓発は農総試が担うとのことなので、加工食品や中食の分野で実需者に採用され、本研究の成果が生かされることを期待したい。今後、パン、和菓子など消費者の嗜好にあった商品が開発され、それらを食べられることが楽しみである。

 この形質を有する品種に多収性を導入するのは従来から困難とされていたが、大学との共同研究によって実現できたことによって、育成品種に価格面での優位性も期待できることは高く評価される。

 本研究のプレゼンテーションの出来栄えが素晴らしく印象深かった。学会での発表とは異なり、伝える相手が研究職に加えて一般の県民ということを踏まえ、理解や共感を得られるよう工夫が見られ、委員にとっては一層意欲的に映った。普及啓発にはこういう姿勢も重要と考える。

総合評価:A(A~Dの4段階評価)

 

(研究課題) 肉用名古屋コーチンの改良

研究課題の設定について

 愛知県オリジナルの品種であり、ブランドでもある名古屋コーチンの系統開発は、需要が増加している中、生産者の収益増加、消費者への安定供給にもつながり、知名度、品質ともに全国トップを維持し続けることも目的とすることから研究課題としてふさわしい。そのための系統の更新は必須事業であると評価する。こうした息の長い研究を継続する農総試の研究者の姿勢を高く評価する。

研究の取り組み状況について

 NGY7の開発では、生存率、体重の両面で既存品種を上回った。NGY8の開発では、産卵数、体重の目標値の設定があるが、完成はH38まで待たなければならない。9世代に渡る改良を今後、注視していきたい。その結果、収益性の高い名古屋コーチンが育成され、安定収入が得られることになれば、生産者育成のためにも大きく貢献することが期待できる。

 県の、コーチンのブランド戦略も併せて記してあると、なおよい。

今後の計画について

 名古屋大学など関連研究機関と連携し、遺伝的多様性の調査に取り組んでいただきたい。NGY8の開発により、農家1戸当たり400万円増収(試算)は魅力的であり、普段、口にすることのできない、名古屋コーチン鶏肉の消費拡大につながることをぜひ期待したい。

 また、消費機会の拡大にために企業連携も検討すべきであろう。名古屋コーチンの系統開発は必要だが、ブランド戦略とともに、新しく普及できる品種開発も検討して欲しい。そのことが具体的に示してあると、新系統の開発の必要性が県民により深く理解されると思われる。

総合評価:A(A~Dの4段階評価)

 

問合せ先

愛知県農業総合試験場
企画普及部企画調整室
電話: 0561-62-0085 内線322
E-mail: nososi@pref.aichi.lg.jp