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平成30年度外部評価結果

ページID:0227569 掲載日:2019年2月28日更新 印刷ページ表示

平成30年度愛知県農業総合試験場外部評価会議の開催状況

1 日時

  平成30年11月26日(月曜日)午後2時から午後5時まで

2 場所

  愛知県農業総合試験場 中央研究棟 第2会議室

3 評価委員(敬称略)

平成30年度愛知県農業総合試験場外部評価委員
所属・職名 氏名
名古屋大学大学院生命農学研究科 教授 山内 章(座長)
株式会社CBCテレビ 参事 伊藤 博康
東海漬物株式会社漬物機能研究所 所長 吉澤 一幸
公益社団法人日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会 消費生活アドバイザー 柴田 智子

4 評価内容

  「愛知県農林水産業の試験研究基本計画2020」に基づき実施した試験研究(研究課題)に関する評価について

5 報告

  会議座長の山内章氏から次とおり評価結果票が提出されました。

平成30年度農業総合試験場外部評価結果票

評価結果の総括

 急速に多様化する社会からの農業に対する期待やニーズに応えるため、農業研究の重要性はますます高まっている。そのために、愛知県農業総合試験場において、企画普及部を中心に、その研究戦略策定のための情報を蓄積してきていることは高く評価される。こうした情報収集は、多くの人員と時間が要求される。加えて今回の評価の対象となった研究課題はいずれも、地道な研究の積み重ねの上に成立しているもので、その重要性と成果に比べて、とくに県からの予算規模が極めて小さい。

 工農並進に特徴付けられる本県の農業は、全国をリードする極めて先進な技術と経営形態を有する一方で、深刻な過疎の問題を抱える中山間地農林業も同時に包含する。この点において、愛知県は、今後の日本社会のあり方を示す大きな使命を担っている。とくに2020年に人口のピークを迎えると予想される本県において、これからの農業と農村社会をどう描き提案するかは、我が国の将来を展望する上で極めて重要で、そこに愛知県農業総合試験場の研究が果たすべき役割はことのほか大きい。そこで、工学や医学などとの農工連携、農福連携を積極的に進め、そのために、大学や民間企業などとの大胆な共同研究事業を展開することが期待される。

(研究課題) コチョウランの低コスト高温対策技術の開発

研究課題の設定について

 「コストの抑制」「品質向上」は、どの業界でも共通の課題である。また栽培制御システム導入による自動化への取り組みは、コスト削減、人手不足対策として有意義なテーマと言える。この先進性を伴いながらも、高品質生産技術を拡散させるという全国シェアトップの強みを活かした取り組みである。競争力向上、生産者利益の増加を目指しながら地球環境にも配慮した取り組みとなっている点が評価に値する。

研究の取り組み状況について

 冷房の影響、効果を長期にわたって検証し、自動制御技術による省エネを目標とし、植物成長剤を利用し品質向上を追求するという組み合わせ技術による相乗効果を狙っている点が評価できる。

今後の計画について

 消費者にとって、「高嶺の花」と「手軽に買える」は矛盾するが、高価な贈り物のイメージだけでは一層の普及を制約する可能性があり、コスト低減による身近な「花」への転換も、選択枝としてあってよい。それに貢献することを期待したい。

 その中で、研究のキーデバイスであるプロファーム、もしくは類似の栽培制御システムの普及が今後の課題である。2018年のような異常気象にも対処できるマニュアル整備と初期投資コストの低減化に期待したい。

 本研究が国際競争力強化にどの程度寄与するのか示されていると良いと思われる。コチョウラン栽培農家では後継者も育っていると伺ったが、次世代のコチョウランの国際競争力強化に必要な方向性とは何かを示し、それらを踏まえた研究を期待したい。

総合評価:A(A~Dの4段階評価)

 

(研究課題) ナシ品種に求められる市場・消費者ニーズに対応した生産技術の確立

研究課題の設定について

 健康志向、ならびに食品に対する消費者の意識が高まる中で求められる農産物の開発を目指す本研究課題は重要である。生産高全国上位のなし品種を対象として、その生産技術を「買い手」側の立場から考察して開発し、また分析手法に、カラーチャート、糖組成を取り入れた点は科学的であり、その成果が期待される研究テーマである。その一方で、市場ニーズの分析については顧客の年代層分析等の細分化した市場調査も必要であろう。

研究の取り組み状況について

 果実の熟期や重さを調節する技術は、消費者ニーズに対応する上で非常に有効と考える。また、生産者、購入者の双方が分かりやすい評価方法の導入は両者の立場を尊重した取り組みとして良い研究事例と考える。市場ニーズの分析に関して絞り込み切れない部分があるのは配慮の表れであろうか?顧客の目的を絞り込んだ目標設定を計画されたほうが良い結果が望めると考える。「おいしい梨にきっとなる」と期待させる研究内容である。

今後の計画について

 「消費者ニーズ」をどうとらえるかについて考えさせられる研究である。「愛知梨3号」の栽培方法、販売方法のマニュアル化とともに、消費者に馴染みやすいネーミング、キャラクターの作成等、ブランド認知度の向上の取り組みを期待したい。ブランド力には、味や品質に加え、見た目の要素も大きいことを再認識したい。

 一方、食品としてのナシに対して、市場や消費者が望むことにニーズを限定することも必要とは思われるが、さらに別のことを消費者が期待している可能性も踏まえ、愛知県農業総合試験場内外の他の部署との連携による研究の深化を期待したい。

総合評価:A(A~Dの4段階評価)

 

(研究課題) 開放型小水力発電装置の開発

研究課題の設定について

 再生可能エネルギーに関しては、技術の確立に加えて広範な普及が解決すべき重要課題である。一般に息の長い取り組みが必要で、ハードルも高いが、研究としてはきわめて重要である。

 農村資源の有効活用の一つとして、この小水力発電装置の開発が位置づけられていると考えられるが、農村部に発電装置を設置する必要性について、電力の付加的な供給にとどまらず、今後の農村社会全体を設計する中での位置づけも検討する必要があろう。そのことによって、県民の共感も得られると考える。

研究の取り組み状況について

 民間企業も加わり、実証実験を繰り返し、改良を重ねており、その取り組みに共感が持てる。とくに、発電装置のランナとガイドを工夫して発電効率とゴミの外部排出の最適組み合わせを目指して開発を進めた本研究過程は、地道な検証を繰り返して最適化の解を導き出した研究例として、その熱意を評価したい。

今後の計画について

 自然が相手のごみ対策は非常に難題と考えられる。またそれと関連して、設置場所の選定に改善が必要と考えられる。こうした点を克服した研究の深化によって、小水力発電装置は、将来の農村部、中山間地でのスマート社会構築における重要な構成要素になり得る。

 一方、今後の小水力発電装置開発は農村部に留まらず、広く都市部へ普及することが待たれる。さらに開放型水路のある観光地、農業体験施設等への設置を通じて再生可能エネルギー利用の価値を伝えられる。今後、啓発的な取り組みにも期待したい。汎用性があるような装置開発を目指し、県内のいたるところで、開放型小水力発電装置が活用されている将来があるのならば県民にも喜ばれると思われる。

総合評価:B(A~Dの4段階評価)

 

(研究課題) あいちブランド「みかわ牛」の品質向上技術の開発

研究課題の設定について

 ブランド牛は国内で非常に激しい競争下にあり、品質向上による差別化と、コスト高に伴う生産者への支援対策もブランド力向上に不可欠である。愛知の畜産を全国に発信する上でも注目すべき研究テーマである。

 とくに、「みかわ牛」の高品質肉牛の肥育とコスト削減を両立させる研究において、相反する要件を成立させながらアニマルウェルフェアの考え方に基づき、この難題に挑戦したことは評価できる。課題とされたブランド認知度の向上の取り組みも、同時進行的に進められれば相乗効果があると期待できる。とくに、アニマルウェルフェアへの配慮は今日では重要な視点である。

 一方で、高いブランド力を備えた肉牛生産を目指す方向性に加え、県民・消費者の生活に密着したお値打ちな牛肉の生産を目指す研究テーマ設定も必要だと思われる。

研究の取り組み状況について

 飼料中のビタミンAとストレス負荷の関わりや、その結果としての牛肉の品質、アニマルウェルフェアに配慮した飼養管理の方法など、意図・目的と内容が理解しやすい研究の進め方である。

 とくに、品質向上におけるビタミンAの重要性に注目し、適正な制御によるコストダウンを図った成果は評価される。

 高タンパク質飼料の成分は、県内の未利用資源の再利用化につながることによって、循環型肥育システムの構築に貢献することが期待され、肉牛生産者以外にも経済効果が波及されるので注目したい。

今後の計画について

 本研究が、みかわ牛の供給量増にどの程度寄与するのか、県民としては知りたいところである。また、品質に加えて価格面への影響についても考察があると研究への理解や共感がより深まると思われる。

 消費機会拡大に向けた長期的なPR戦略が、今後一層重要になると思われる。品質向上技術の完成とブランド認知度向上のための「みかわ牛」の差別化戦略の取り組みに期待したい。

総合評価:A(A~Dの4段階評価)

 

問合せ先

愛知県農業総合試験場
企画普及部企画調整室
電話: 0561-62-0085 内線322
E-mail: nososi@pref.aichi.lg.jp