平成16年度内分泌かく乱化学物質環境調査結果

　愛知県は、内分泌かく乱化学物質（いわゆる環境ホルモン）の疑いのある化学物質として国の環境ホルモン戦略計画SPEED'98に取り上げられている物質について、環境中の状況を把握するため、大気環境及び水環境中の濃度を調査した。
　調査結果の概要は、次のとおりである。

[大気環境調査結果]

• 　県内3地点において10物質について調査を実施した結果、ヘキサクロロベンゼン始め5物質が検出された。
• 　検出された5物質については、平成10年度から15年度に国が行った全国調査結果の濃度範囲内であった。

[水環境調査結果]

• 　県内河川7地点、海域3地点において、水質9物質、底質3物質、水生生物（魚類）5物質について調査を実施した結果、水質についてはメソミル、アルキルフェノール類、フタル酸ジ－2－エチルヘキシルが検出された。
  　底質については、アルキルフェノール類、フタル酸ジ－2－エチルヘキシルが検出された。
  　水生生物（魚類）についてはすべての物質が検出されなかった。
• 　水質について検出されたメソミル、アルキルフェノール類、フタル酸ジ－2－エチルヘキシル並びに底質について検出されたフタル酸ジ－2－エチルヘキシルは、平成10年度から15年度に国が行った全国調査結果の濃度範囲内であった。
  　底質について検出されたアルキルフェノール類のうち4－t－オクチルフェノール及びノニルフェノールについては、平成10年度から15年度に国が行った全国調査結果の濃度範囲を超えていた。

[今後の対応]

• 　愛知県としては、環境省の「各測定点における検出データについてそれだけで問題とすることはできず、知見の集積に努める」との見解を踏まえ、これまでの調査で検出されている物質について、引き続き環境調査を実施していくとともに、国等からの情報収集、科学的知見の集積に努めていく。　また、日光川日光橋で全国調査の範囲を超えて検出された4－t－オクチルフェノール、ノニルフェノールについては、環境調査地点の上下流において濃度把握のための調査及び多量に使用している工場・事業場に対する削減指導を実施していく。

（イ）検出濃度
　検出された5物質については、平成10年度から15年度に国が行った全国調査結果の濃度範囲内でした。

（ア）検出状況
　調査した9物質のうち、メソミル、アルキルフェノール類（4－t－オクチルフェノール、ノニルフェノール）、フタル酸ジ－2－エチルへキシルが検出されました（表4）。

（イ）検出濃度
　検出された3物質については、平成10年度から15年度に国が行った全国調査結果の濃度範囲内でした。

（ア）検出状況
　調査した3物質のうち、アルキルフェノール類（4－t－オクチルフェノール、ノニルフェノール）及びフタル酸ジ－2－エチルへキシルが検出されました（表5）。

（イ）検出濃度
　検出された2物質のうち、フタル酸ジ－2－エチルへキシルについては、平成10年度から15年度に国が行った全国調査結果の濃度範囲内でしたが、アルキルフェノール類のうち4－t－オクチルフェノールが390μg／kg、ノニルフェノールが15,000μg／kgと平成10年度から15年度に国が行った全国調査結果の濃度範囲を超えていました。

　環境省は、平成17年3月14日に、これまでの内分泌かく乱化学物質問題の対応を「化学物質の内分泌かく乱作用に関する環境省の今後の対応方針について－ExTEND2005－」としてまとめ、今後は、全般的な化学物質対策の一環として内分泌かく乱作用についても取組むこととしております。
　この対応方針及び環境省の「各測定点における検出データについてそれだけで問題とすることはできず、知見の集積に努める」との見解を踏まえ、愛知県は環境省が行った試験結果で、魚類（メダカ）において内分泌かく乱作用が推察された3物質（4－t－オクチルフェノール、ノニルフェノール、ビスフェノールA）を中心に、これまでの調査で検出されている物質について、引き続き環境調査を実施していくとともに、国等からの情報収集、科学的知見の集積に努めていきます。
　また、日光川日光橋で全国調査の範囲を超えて検出された4－t－オクチルフェノール、ノニルフェノールについては、環境調査地点の上下流において濃度把握のための調査及び多量に使用している工場・事業場に対する削減指導を実施していきます。