ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ
現在地 ホーム > 組織からさがす > 環境活動推進課 > 平成12年度内分泌かく乱化学物質環境調査結果

本文

平成12年度内分泌かく乱化学物質環境調査結果

ページID:0007100 掲載日:2008年3月17日更新 印刷ページ表示

 平成12年度に愛知県は、内分泌かく乱化学物質(いわゆる環境ホルモン)の疑いのある化学物質として国の環境ホルモン戦略計画SPEED’98に取り上げられている物質について、大気及び水環境中の状況を把握するため、大気及び水環境中の環境ホルモンの濃度を調査した。
 調査結果の概要は、次のとおりである。

[大気環境調査結果]

  •  大気環境について、3地点において、9物質について調査を実施した結果、フタル酸ブチルベンジル始め6物質が検出された。
  •  検出された物質のうち、平成10、11年度に国が行った全国調査の結果(以下「全国調査結果」という。)の濃度範囲を上回ったものもあった。

[水環境調査結果]

  •  水環境について、河川7地点、海域3地点において、33物質について調査を実施した結果、水質については2,4-ジクロロフェノキシ酢酸始め13物質が、底質についてはDDE始め11物質が、水生生物(魚類)についてはトリブチルスズ始め8物質が検出された。
  •  水質については、全物質が全国調査結果の濃度範囲内であった。
     なお、底質についてはDDEが、水生生物(魚類)についてはフタル酸ジ-2-エチルヘキシル及びベンゾ(a)ピレンが全国調査結果の濃度範囲を若干上回ったほかは、いずれも全国調査結果の濃度範囲内であった。

[日光川流域環境実態把握調査結果]

  •  平成10年度に国が実施した全国調査において、日光川流域でノニルフェノール等が比較的高い濃度で検出されたことから、流域における濃度分布を把握するため、6地点の水質についてノニルフェノール等に関して調査を実施した。
  •  その結果、ノニルフェノール等は、すべて全国調査結果の濃度範囲内であった。

[今後の対応]

  •  今回調査した物質については、おおむね全国調査結果の濃度範囲内であった。
     しかしながら、一部については、全国調査結果の濃度範囲を上回るものもあった。
  •  環境ホルモンについては、現在、国においても知見の集積に努めているところであることから、今回の調査結果について、内分泌かく乱作用の評価を詳細に行える状況にはない。
     今後、今回の調査結果及び環境省の見解を踏まえて、引き続き環境中の濃度の把握のための調査を実施するとともに、国等からの情報収集に努め、科学的知見の集積に努めていくこととする。
  •  なお、平成10年度にノニルフェノールが比較的高い濃度で検出された日光川流域については、流域事業場に対して、ノニルフェノールを含む界面活性剤の使用量の削減、代替品の使用への転換等を引き続き指導していく。

1 調査の目的

 生物の内分泌作用をかく乱し、生殖機能阻害や悪性腫瘍等を引き起こす可能性のある化学物質である内分泌かく乱化学物質( いわゆる環境ホルモン )について、科学的知見を集積し、今後の適切な対応に資するため、平成11年度に引き続き、大気及び水環境中の環境ホルモンの濃度を測定した。

2 調査の概要

 平成12年度に県は環境中の内分泌かく乱化学物質を調査した(表及び別添)。
内分泌かく乱化学物質調査の概要
調査名調査
物質数
調査
地点数
調査時期調査方法
大気環境
調査
環境調査93夏季及び
冬季
平成7年度化学物質分析法開発調査報告書(平成8年6月 環境庁)
水環境
調査
環境調査3310夏季外因性内分泌攪乱化学物質調査暫定マニュアル(平成10年10月 環境庁)
流域環境実態把握調査36夏季

3 調査結果の概要

大気環境調査及び水環境調査における内分泌かく乱化学物質及びその検出状況は(別表)のとおりである。

(1)大気環境

a 検出状況
 9物質のうち、6物質が検出された(表2)。 

検出された物質
 フタル酸ブチルベンジル、フタル酸ジ-n-ブチル(*)、フタル酸ジシクロヘキシル、フタル酸ジエチル、アジピン酸ジ-2-エチルヘキシル、 フタル酸ジプロピル(*)

(注)*は、夏季調査において全地点で検出された物質。 

b 検出濃度
 検出された物質のうち、平成10、11年度に国が行った全国調査の結果(以下「全国調査結果」という。)の濃度範囲を上回ったものもあった。

(2)水環境

ア 環境調査

(ア)水質
a 検出状況
 33物質のうち、13物質が検出された(表3-1)。

検出された物質
 2,4-ジクロロフェノキシ酢酸、シマジン、カルバリル、メソミル、カルベンダジム、トリブチルスズ、ポリ塩化ビフェニル類(PCB)(*)、アルキルフェノール類(4-t-オクチルフェノール、ノニルフェノール)、ビスフェノールA(*)、フタル酸ジ-2-エチルヘキシル(*)、2,4-ジクロロフェノール、アジピン酸ジ-2-エチルヘキシル(*)、ベンゾフェノン(*)

(注)*は、全地点において検出された物質。
 
b 検出濃度
 全物質が、全国調査結果の濃度範囲内であった。
 このうち、シマジン、カルバリル、マラチオン、PCB及びフタル酸ジ-2-エチルヘキシルについては、環境基準等が設けられているが、すべて環境基準値等を下回った。
 また、ノニルフェノールについては、平成13年8月3日に国の内分泌かく乱化学物質問題検討会において、最大無作用濃度(※)は6.08μg/L、予測無影響濃度(※)は0.608μg/Lであるという報告がされた。
 この予測無影響濃度を日光川(日光橋)において上回ったものの、最大無作用濃度は全調査地点において下回った。
 なお、全国調査結果においては、71地点(全調査地点数は、1,574地点)で予測無影響濃度を上回っている。 

(※)最大無作用濃度と予測無影響濃度
 最大無作用濃度:試験により、メダカの性分化に関する影響を与えなかった最大濃度。
 予測無影響濃度:最大無作用濃度に安全係数(1/10)を乗じることにより求めた魚類を中心とする生態系に影響を及ぼす可能性はないと予測される濃度。

(イ)底質
a 検出状況
 33物質のうち、11物質が検出された(表3-2)。 

検出された物質
 DDE(p,p’-DDE)、トリブチルスズ、トリフェニルスズ、PCB(*) 、アルキルフェノール類(4-t-オクチルフェノール、ノニルフェノール(*)、ビスフェノールA、フタル酸ジ-2-エチルヘキシル(*)、フタル酸ジ‐n-ブチル、ベンゾ(a)ピレン、スチレンの3量体の合計、n-ブチルベンゼン

(注)*は、全地点において検出された物質。
 
b 検出濃度
 DDEが、全国調査結果の濃度範囲を若干上回ったほかは、いずれも全国調査結果の濃度範囲内であった。

検出濃度結果(底質)
本県調査結果全国調査結果
DDE検出下限値(5)未満~5検出下限値(5)未満
(備考)表中の値の単位は、μg/kg

(ウ)水生生物(魚類)
 魚類は、河川についてはニゴイ属、コイ属又はフナ属(キンギョを除く。)を、海域についてはボラ科を調査の対象とした。

a 検出状況
 33物質のうち、8物質が検出された(表3-3)。 

検出された物質
 トリブチルスズ(*)、トリフェニルスズ、PCB(*)、アルキルフェノール類(4-t-オクチルフェノール、ノニルフェノール)、フタル酸ジ-2-エチルヘキシル、ベンゾ(a)ピレン、スチレンの3量体の合計、n-ブチルベンゼン

(注)*は、全地点において検出された物質。

b 検出濃度
 フタル酸ジ-2-エチルヘキシル及びベンゾ(a)ピレンが、全国調査結果の濃度範囲を若干上回ったほかは、いずれも全国調査結果の濃度範囲内であった。

検出濃度結果(水生生物(魚類)
 本県調査結果全国調査結果
フタル酸ジ-2-
エチルヘキシル
検出下限値(25)未満~220検出下限値(25)未満~190
ベンゾ(a)ピレン検出下限値(1)未満~2検出下限値(2)未満

(備考)表中の値の単位は、μg/kg

 なお、PCB及びフタル酸ジ-2-エチルヘキシルの2物質が、河川及び海域における水質、底質及び水生生物(魚類)のすべてから検出された。

イ 日光川流域環境実態把握調査

 平成10年度に国が実施した全国調査において、日光川流域でアルキルフェノール類のノニルフェノール等が比較的高い濃度で検出されたことから、流域における濃度分布を把握するため、水質について、6地点において、3物質(アルキルフェノール類、PCB及び 2,4‐ジクロロフェノール)に関して調査を実施した。

a 検出状況
 3物質のうち、アルキルフェノール類のノニルフェノール及びPCBは、6地点すべてにおいて検出された。
 また、アルキルフェノール類の4-t-オクチルフェノールが1地点で、2,4‐ジクロロフェノールが2地点において各々検出された。 

b 検出濃度
 4-t-オクチルフェノール、ノニルフェノール、PCB及び2,4‐ジクロロフェノールについては、6地点のいずれにおいても、全国調査結果の濃度範囲内であった。
 ノニルフェノールについては、予測無影響濃度(0.608μg/L)を上回ったものの、最大無作用濃度(6.08μg/L)については下回った。

4 今後の対応

 今回調査した物質については、おおむね全国調査結果の濃度範囲内であった。
 しかしながら一部については、全国調査結果の濃度範囲を上回るものもあった。
 環境ホルモンについては、現在、国においても、知見の集積に努めているところであることから、今回の調査結果について、内分泌かく乱作用の評価を詳細に行える状況にはない。
 今後、今回の調査結果及び環境省の見解を踏まえて、引き続き環境中の濃度の把握のための調査を実施するとともに、国等からの情報収集に努め、科学的知見の集積に努めていくこととする。
 なお、平成10年度にノニルフェノールが比較的高い濃度で検出された日光川流域については、流域事業場に対して、ノニルフェノールを含む界面活性剤の使用量の削減、代替品の使用への転換等を引き続き指導していく。

参考(用語の定義等)

問合せ

愛知県 環境部 環境活動推進課
環境リスク対策グループ
電話:052-954-6212
E-mail: kankyokatsudo@pref.aichi.lg.jp

Adobe Reader
PDF形式のファイルをご覧いただく場合には、Adobe社が提供するAdobe Readerが必要です。
Adobe Readerをお持ちでない方は、バナーのリンク先からダウンロードしてください。(無料)