石油コンビナート等災害防止法(昭和50年12月17日法律第84号)抜粋
(目的)
第一条 この法律は、石油コンビナート等特別防災区域に係る災害の特殊性にかんがみ、その災害の防止に関する基本的事項を定めることにより、消防法(昭和二十三年法律第百八十六号)、高圧ガス保安法(昭和二十六年法律第二百四号)、災害対策基本法(昭和三十六年法律第二百二十三号)その他災害の防止に関する法律と相まつて、石油コンビナート等特別防災区域に係る災害の発生及び拡大の防止等のための総合的な施策の推進を図り、もつて石油コンビナート等特別防災区域に係る災害から国民の生命、身体及び財産を保護することを目的とする。
(定義)
第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
一 石油等 石油(消防法別表に掲げる第一石油類、第二石油類、第三石油類及び第四石油類をいう。以下同じ。)及び高圧ガス(高圧ガス保安法第二条 に規定する高圧ガス(同法第三条第一項各号に掲げる高圧ガス、ガス事業法(昭和二十九年法律第五十一号)第二条第八項に規定するガス事業及び同条第十二項に規定するガス工作物に係る高圧ガス並びに政令で定める不活性ガスを除く。)をいう。以下同じ。)をいう。
二 石油コンビナート等特別防災区域 次のいずれかに該当する区域であつて、政令で指定するものをいう。
イ 当該区域に、石油の貯蔵・取扱量(消防法第十一条第一項の規定による許可に係る貯蔵所、製造所又は取扱所(同法第十六条の二第一項に規定する移動タンク貯蔵所を除く。以下「石油貯蔵所等」という。)において貯蔵し、又は取り扱う石油の貯蔵量及び取扱量を政令で定めるところにより合計して得た数量をいう。以下同じ。)を政令で定める基準貯蔵・取扱量で除して得た数値若しくは高圧ガスの処理量(高圧ガス保安法第五条第一項
の規定による許可に係る事業所において定置式設備により同項第一号 に規定する圧縮、液化その他の方法で一日に処理することができるガスの容積をいう。以下同じ。)を政令で定める基準処理量で除して得た数値又はこれらを合計した数値が一以上となる事業所を含む二以上の事業所が所在し、かつ、当該区域に所在する事業所のうち、石油貯蔵所等を設置しているすべての者の事業所における石油の貯蔵・取扱量を合計した数量を政令で定める基準総貯蔵・取扱量で除して得た数値若しくは同項
の規定による許可を受けているすべての者の事業所における高圧ガスの処理量を合計した数量を政令で定める基準総処理量で除して得た数値又はこれらを合計した数値が一以上となる区域であつて、当該区域に所在する特定の事業所についてそれぞれ災害の発生及び拡大の防止のための特別の措置を講じさせるとともに当該区域について一体として防災体制を確立することが緊要であると認められるもの
ロ 石油の貯蔵・取扱量をイに規定する政令で定める基準総貯蔵・取扱量で除して得た数値若しくは高圧ガスの処理量をイに規定する政令で定める基準総処理量で除して得た数値又はこれらを合計した数値が一以上となる事業所であつて、当該事業所について災害の発生及び拡大の防止のための特別の措置を講じさせることが緊要であると認められるものの区域
ハ イ又はロに該当することとなると認められる区域
三 災害 火事、爆発、石油等の漏洩若しくは流出その他の事故又は地震、津波その他の異常な自然現象により生ずる被害をいう。
四 第一種事業所 石油コンビナート等特別防災区域(以下「特別防災区域」という。)に所在する事業所であつて、石油の貯蔵・取扱量を第二号イに規定する政令で定める基準貯蔵・取扱量で除して得た数値若しくは高圧ガスの処理量を同号イに規定する政令で定める基準処理量で除して得た数値又はこれらを合計した数値が一以上となるものをいう。
五 第二種事業所 特別防災区域に所在する事業所のうち第一種事業所以外の事業所であつて、政令で定める基準に従い、相当量の石油等その他政令で定める物質を取り扱い、貯蔵し、又は処理することにより当該事業所における災害及び第一種事業所における災害が相互に重要な影響を及ぼすと認められるものとして都道府県知事が指定するものをいう。
六 特定事業所 第一種事業所及び第二種事業所をいう。
七 第一種事業者 第一種事業所を設置している者をいう。
八 第二種事業者 第二種事業所を設置している者をいう。
九 特定事業者 第一種事業者及び第二種事業者をいう。
十 特定防災施設等 流出油等防止堤、消火又は延焼の防止のための施設又は設備その他の災害の拡大の防止のために土地又は工作物に定着して設けられる施設又は設備(消防法
、高圧ガス保安法 その他の災害の防止に関する法令の規定により設置すべきものを除く。)であつて、主務省令で定めるものをいう。
(石油コンビナート等防災本部)
第二十七条 特別防災区域が所在する都道府県に、石油コンビナート等防災本部(以下「防災本部」という。)を置く。
2 特別防災区域であつて、第二条第二号ハに該当するもののみが所在する都道府県においては、前項の規定にかかわらず、防災本部を置かないことができる。
3 防災本部は、当該都道府県の区域内に所在する特別防災区域に係る防災(災害の発生及び拡大を防止し、並びに災害の復旧を図ることをいう。以下この章において同じ。)に関し、次の事務をつかさどる。
一 石油コンビナート等防災計画を作成し、及びその実施を推進すること。
二 防災に関する調査研究を推進すること。
三 防災に関する情報を収集し、これを関係者に伝達すること。
四 災害が発生した場合において、当該都道府県、関係特定地方行政機関、関係市町村、関係公共機関(災害対策基本法第二条第五号 に規定する指定公共機関及び同条第六号
に規定する指定地方公共機関をいう。以下同じ。)、当該都道府県の区域内の公共的団体及び当該都道府県の区域内の特別防災区域に所在する特定事業所に係る特定事業者その他当該特別防災区域内の防災上重要な施設の管理者(第三十一条において「関係機関等」という。)が石油コンビナート等防災計画に基づいて実施する災害応急対策及び災害復旧に係る連絡調整を行うこと。
五 石油コンビナート等現地防災本部に対して、災害応急対策の実施に関し必要な指示を行うこと
六 災害が発生した場合において、国の行政機関(関係特定地方行政機関を除く。)及び他の都道府県との連絡を行うこと。
七 その他特別防災区域に係る防災に関する重要な事項の実施を推進すること。
(防災本部の組織)
第二十八条 防災本部は、本部長及び本部員をもつて組織する。
2 本部長は、当該防災本部を設置する都道府県の知事をもつて充てる。
3 本部長は、防災本部の事務を総括する。
4 本部長に事故があるときは、あらかじめその指名する本部員がその職務を代理する。
5 本部員は、次に掲げる者をもつて充てる。
一 当該都道府県の区域内に所在する特別防災区域の全部又は一部を管轄する特定地方行政機関の長又はその指名する職員
二 当該都道府県を警備区域とする陸上自衛隊の方面総監又はその指名する部隊若しくは機関の長
三 警視総監又は当該道府県の道府県警察本部長
四 当該都道府県の知事がその部内の職員のうちから指名する者
五 当該都道府県の区域内の市町村のうち、その区域内に特別防災区域が所在する市町村の市町村長
六 当該都道府県の区域内の市町村(前号に規定する市町村を除く。)のうち、当該都道府県の知事が特別防災区域に係る防災に関し必要と認めて指定する市町村の市町村長
七 前二号に規定する市町村の消防長(消防本部を置かない市町村にあつては、消防団長)
八 当該都道府県の区域内に所在する特別防災区域ごとに、当該特別防災区域内の特定事業所に係る特定事業者を代表する者
九 その他当該都道府県の知事が必要と認めて任命する者
6 防災本部に、専門の事項を調査させるため、専門員を置くことができる。
7 専門員は、関係地方行政機関の職員、当該都道府県の職員、当該都道府県の区域内の関係市町村の職員、関係公共機関の職員、関係特定事業所の職員及び学識経験のある者のうちから、当該都道府県の知事が任命する。
8 前各項に定めるもののほか、防災本部の組織及び運営に関し必要な事項は、政令で定める基準に従つて当該都道府県の条例で定める。
(石油コンビナート等現地防災本部)
第二十九条 防災本部の本部長は、特別防災区域に係る災害が発生し、又は発生するおそれがある場合において、当該特別防災区域において緊急に統一的な防災活動を実施するため特別の必要があると認めるときは、石油コンビナート等防災計画の定めるところにより、石油コンビナート等現地防災本部(以下「現地本部」という。)を設置することができる。
2 現地本部は、現地本部長及び現地本部員をもつて組織する。
3 現地本部長及び現地本部員は、本部員のうちから本部長が指名する者をもつて充てる。
4 現地本部は、防災本部の指示を受けて、石油コンビナート等防災計画の定めるところにより、当該特別防災区域に係る災害に関する防災活動の実施について、防災本部の事務の一部を行う。
(石油コンビナート等防災計画)
第三十一条 防災本部及びその協議会は、当該都道府県の区域内にその全部の区域が含まれる特別防災区域(防災本部の協議会にあつては、当該協議会を設置した二以上の都府県にわたつて所在する特別防災区域)に係る石油コンビナート等防災計画(以下「防災計画」という。)を作成し、及び毎年これに検討を加え、必要があると認めるときは、これを修正しなければならない。この場合において、当該防災計画は、災害対策基本法第二条第八号
に規定する防災基本計画、同条第九号 に規定する防災業務計画、同条第十号 イに規定する都道府県地域防災計画及び同号 ハに規定する指定地域都道府県防災計画に抵触するものであつてはならない。
2 防災計画は、前項の特別防災区域に係る防災に関し、次の事項について定めるものとする。
一 関係機関等の処理すべき事務又は業務の大綱
二 関係機関等の防災に関する組織の整備及び防災に関する事務又は業務に従事する職員の配置等に関すること。
三 防災に関する調査研究に関すること。
四 特定事業所の職員及びその他の関係機関等の職員の防災教育及び防災訓練に関すること。
五 特定事業者間の相互応援に関すること。
六 防災のための施設、設備、機械器具及び資材の設置、維持、備蓄、調達、輸送等に関すること。
七 災害の想定に関すること。
八 災害が発生し、又は発生するおそれがある場合における情報の収集及び伝達並びに広報に関すること。
九 自衛防災組織及び共同防災組織の活動の基準に関すること。
十 現地本部の設置及びその業務の実施に関すること。
十一 火事、爆発、石油等の漏洩又は流出その他の事故による災害に対する応急措置の実施に関すること。
十二 地震、津波その他の異常な自然現象による災害に対する応急措置の実施に関すること。
十三 災害時における避難、交通の規制、警戒区域の設定等に関すること。
十四 災害時における関係機関等以外の地方公共団体等に対する応援要請に関すること。
十五 特別防災区域内の公共施設の災害復旧に関すること。
十六 その他災害の予防、災害応急対策及び災害復旧に関すること。
3 防災本部及びその協議会は、第一項の規定により防災計画を作成し、又は修正したときは、当該防災計画又は当該修正した防災計画を主務大臣に提出するとともに、その要旨を公表しなければならない。
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