安城市古井町自主防災会は、平成23年度防災貢献団体として表彰を受けました。


−古井町自主防災会が結成された経緯を教えてください。


 古井町町内会は消防団等と連携・協力しながら、台風などの風水害や火災に対する対策を実施してきました。平成7年の阪神・淡路大震災後、安城市において防災対策が強化され、その指示・指導の下に町内会を単位とした自主防災会が作られました。古井町自主防災会も平成9年に発足し、古井町歴史研究会とともに、風化しつつあった昭和20年の三河地震の体験からも学びながら、防災力の向上を図ってきました。


−活動されている地域にはどのような特徴がありますか。

 古井町は碧海台地の東端に位置し、その東にある矢作川及び鹿乗川の中流域には、福地(ふくじ)と呼ばれる肥沃な水田が広がっています。弥生時代以降の遺跡や古墳、寺、神社など歴史の宝庫です。また、20世紀に入ってからは、農業協同組合を中心に発展を遂げてきました。
 戦前は200戸足らずの農村集落でしたが、戦後の高度成長期に市街化区域となり宅地開発が進み、現在では1,300戸を超す大きな町内会となっています。地域住民の理解により、町内会への加入率が99%以上となっています。住民同士が気楽に声を掛け合える連帯感があり、これが古井町の防災力の基盤となっています。


−古井町自主防災会にはどのような組織がありますか。

 より実践的な対応ができるように、日頃から町内会関係団体との連携を密にしています。災害対策本部(町内会長、副会長、評議員会、組長)の下に以下の班を設置しています。

−古井町自主防災会の主な活動内容を教えてください。

●古井町自主防災会総会
 4月に自主防災会の初会合を行い、目標や役割分担、活動計画などについて、会員の共通理解を図っています。


●防災訓練
 全世帯の安否確認訓練を実施しました。145人の班長が各世帯を回り安否確認をします。事前に要援護者の情報を班長に知らせておき、訓練当日に訪問して直接声をかけます。その後、安否確認の結果を公民館で待つ組長に報告をします。
 また、班長及び自主防災会役員が4班に分かれ、4つの訓練をローテーションで回る訓練を実施しました。訓練内容としては、水消火器を使用した消火訓練や2本の竹の棒と毛布を使用した搬送訓練、AEDの操作方法を理解する救命訓練、防災倉庫の中にある災害時に活用する資機材の点検・使用確認を実施しています。
 他にも町内会行事の中に、防災に関連した内容を取り入れるようにしており、町内運動会にも防災訓練を
プログラムに入れています。


●避難所開設訓練
 平成22年度、古井町自主防災会は安城市、安城市自主防災組織連絡協議会、安城市社会福祉協議会、NPO法人レスキューストックヤードとともに、被災者が長時間過ごすことになる「避難所」に焦点を当て、過去の災害現場の実態を学びながら、その機能のチェックや運営のあり方、また自主防災組織や住民の役割等、地域における安心の拠点となる避難所について考えました。
 初めてのことなので、当初は戸惑いもありましたが、新潟県中越沖地震の被災者の方から避難所での宿泊、食事やトイレ、風呂、プライバシーの問題等といった生の体験談を聞いたり、市が指定している避難所で宿泊訓練をする中で、古井町住民の自主防災に対する関心の高さや協力性を実感することができました。訓練後には、自主防災会で話し合いを重ね、古井町独自の「避難所生活の手引き」を作成しました。


−自主防災活動をするにあたり、課題や問題点はありますか。

 防災訓練にできる限り多くの人に参加を呼びかけていますが、町内の一部の人しか参加していません。訓練を一緒に経験することで、普段面識がない人ともコミュニケーションを図ることができ、地域のつながりが強くなるので、できる限り多くの人に参加してほしいと思います。
 また、古井町自主防災会は「一人も見逃さない防災」を目指しており、災害弱者と呼ばれる高齢者や要援護者に対する搬送訓練などを実施していきたいと考えています。


−今後、どのような活動を行っていく予定ですか。

 災害時は、「自助」「共助」「公助」が連携することで、被害を最小限にし、早期復旧・復興へとつながります。しかし、災害発生直後は、消防など公的機関に頼ることは難しく、自分で自分を守ることにも限界があります。その中で、大きな力となるのは、地域の人同士の助け合いです。

 古井町自主防災会は「一人も見逃さない防災」を目指しており、町内会加入率が99%以上ではあるが、100%になるよう努めていきたいです。
 課題でも挙げさせていただきましたが、訓練を経験したかしていないかでは、災害時の対応も変わるはずです。訓練を一緒に経験することで、普段面識がない人ともコミュニケーションを図ることができ、地域のつながりが強くなるので、できる限り多くの人に参加してほしいと思います。そして、一部の人に防災力を委ねるのではなく、住民みんなで古井町自主防災会の防災力を高めていきたいと考えています。
 また、古井町には医療、福祉、教育、土木関係の資格を持った方がたくさん住まれておられるので、自主防災会に協力していただき、より実践的な訓練を実施していきたいです。

→自主防災会の紹介ページへ戻る