幸田町海谷区防災会(うにやくぼうさいかい)

幸田町海谷区防災会は、平成17年度以降、深溝学区全体で地震を想定した防災訓練を行い、地域の防災力向上に努めています。
そんな幸田町海谷区防災会会長の加藤さんにお話を伺いました。


  (写真:海谷区防災会会長 加藤實さん)

―海谷区防災会の組織について教えてください。

幸田町海谷区防災会は、昭和55年9月1日に設立されました。防災会の会長を区長が兼ねており、それぞれの組の組長や、隣組長、自警団、婦人委員、農業生産班長、区長のOBをはじめ、区民全員から防災会が成り立っています。


―地域の風土について教えてください。

海谷区は、幸田町内のJR三ヶ根駅周辺の深溝学区にあります。深溝学区は市場区を中心に、里区、逆川区、海谷区の4つの区で構成されていますが、地域的な結びつきは強く、毎月1回は4区長が集まって、お互いに連携をとりあって一緒にやっていこうということで、コーヒーでも飲みながら、いろいろと意見交換をしたり、問題を提起するなど、そういった会を行っています。

 農業が中心で、山あり、田んぼあり、畑ありと自然には恵まれています。山林が多いので、今では、山の手入れをする方もほとんどおらず、どこの山を見ても竹やぶだらけといった状況です。

―平成21年度に初めて土砂災害を想定した避難訓練が行われたそうですが、そのきっかけは何ですか。

海谷区だけではないですが、深溝学区には急傾斜地が多く、特に海谷区は急傾斜地が多く、土砂災害が発生しやすい場所が9箇所もあります。また、自宅の裏がすぐ急斜面の山といった土砂災害を受けやすい位置に住宅などが多く存在します。前区長の前川さんが、幸田町内ではどこも土砂災害を想定した訓練をやっておらず、行ったほうがいいということで、何回も会合を重ねて行われたものです。
企画段階から、地元の各団体と会議やワーキンググループを繰り返し開催した結果、連携することができました。



―それは、どれくらいの人が参加し、またどのようなものだったのですか。

当初は、どれくらいの人が出てくれるのか不安がありましたが、当日の参加率はとてもよくて、その当時の海谷区203世帯中133世帯、160名の参加がありました。海谷区には当時783人いましたが、世帯で考えれば約7割の方が、住民の5人に1人の方が参加されたことになります。
訓練は大型台風による集中豪雨がきたという想定で、避難勧告後いかに早く安全に、そしてみんなが避難所へ避難できるかという訓練です。愛知県西三河県民事務所、幸田町役場や消防本部、消防団も参加して行われました。


―どのような効果があり、またどのような課題がありましたか。

まず、避難所である公民館へ集まる前に、第1避難所として各組ごとにあつまる場所があります。そこで組ごとに、あそこの誰々さん、ここの誰々さんといったような確認をしあいます。そういった隣りどうしがお互いに確認しあって、助け合いの気持ちが高まったことと、自分の隣にどういう人が住んでいるということが再確認できたという効果がありました。また、海谷区には高齢者のみの単身世帯や、高齢者2人のみの世帯はなく、2世代、3世代で住んでいるため、災害時要援護者の把握ということでは組単位、隣どうしで行うことができました。

次に、避難所までの避難経路を改めて確認することができました。これについても、何度も会合を開き、訓練本番の前に避難経路を組長さんたちと打合せをして、どのような経路で公民館まで避難するのが安全なのか、皆でそういった確認ができたことも大きな成果です。

この訓練は平成21年9月に行いましたが、同じ深溝学区の里区の方も見学に来ていました。深溝学区は海谷区以外にも急傾斜地を伴う危険個所がありますから、海谷区で行われた土砂災害を想定した避難訓練をもとに、平成22年6月には、里区でも土砂災害を想定した避難訓練が行われ、その取り組みが周りへ広がったという効果もありました。

実際に訓練を行って問題になったこともあります。公民館へ避難するまでに、あちこち川があったり、川沿いの道路を通ってくる場所が多くありますが、集中豪雨等で大水が出て川が氾濫した場合はどうなるのか。その場合はどこを通って行けばいいのか、果たして避難所である公民館へくることが安全なのか。そうではなくて自分たちの組の高台へ一時的に避難したほうが安全ではないかといった心配があり、課題となっています。

―平成17年度から地震を想定した防災訓練を行っているということですが、そのきっかけ及び内容を教えてください。

最近テレビ等で報道されているように日本ばかりでなく、周りの外国でも大きな地震が発生しています。昔、この幸田でも三河地震という大きな地震があったのですが、実際体験されている長老の方しかわからないと思うのです。それこそ地震はいつ来てもおかしくないということから行っています。

この訓練は深溝4学区が合同して行っています。どうしても区のひとつひとつの単位が小さいので、やるなら大きな単位がいいということから学区で行っています。今年は平成22年10月31日に行います。4学区の自主防災会を始め、自警団、消防団の方も参加してもらい、地震体験者の体験や煙道体験、消火訓練、消防署職員による講話などを行います。

           (消火訓練の様子)



            (AED訓練の様子)


―平成17年度に防災車両を購入されたということですが、それはどのようなものですか。

海谷区で軽四トラック1台を購入しました。普段は、幸田町で消防訓練や行事がある時などに、小型の消防器具を積んで運ぶといった運搬に利用しています。災害時にも、運搬等で利用する予定です。



―最後に、海谷区防災会としての今後の課題は何ですか。

一番ネックになっているのは、アパートに入っている人たちです。10数年前まではアパートはありませんでした。海谷区においても地域の住民の連携を保つということで、グラウンドゴルフ大会を行い、海谷区のちびっこ広場でお祭りを行っていますが、そういったものにも出ていただけません。やはり、同じ区の中に住んでいますから、こういった方々に、いかに仲間に入ってもらい、いろいろな行事に参加してみんなと顔をあわせて、連携をとりたいと考えております。



(平成22年10月15日 幸田町役場)

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