豊橋防災ボランティアコーディネーターの会は、平成27年度防災貢献団体として表彰を受けました。


−豊橋防災ボランティアコーディネーターの会が結成された経緯を教えてください。


 豊橋市では、2001年から豊橋防災ボランティアコーディネーター養成講座が開催されています。(以後、ボランティアコーディネーターをVCと省略します。)豊橋防災VCの会は愛知県防災VC養成講座の修了生と豊橋市の防災VC講座の修了生で構成され、2002年4月に発足しました。本年15年を迎え、これまでに輩出したVCは、300名を超え会員は現在160名となっています。
※防災VC養成講座は、当初、豊橋市主催で実施。2008年に豊橋市社会福祉協議会との協働で災害VC養成講座となり、その修了者で豊橋市災害VC連絡会が発足しています。



−活動されている地域にはどのような特徴がありますか。

 活動の要請は、愛知県内外で頂き、活動を展開しています。南海トラフ地震が発生すればリスクの大きい土地柄の地域は、より熱心に危機管理を意識して防災対策に取り組まれています。市内自治会の活動には格差がありますが、地域で自主防災組織を作り、炊き出し訓練、防災マップ作り、救護訓練、避難訓練、避難所対策、帰宅困難者対策等、安全な町作りに努めています。
 市内小中学校に於きまして総合防災学習に関わり、毎年活動要請を頂きます。学校は過去の災害から被災を受け続けた豊川水域や三河湾沿岸、津波被害想定地域にあります。



−豊橋防災ボランティアコーディネーターの会にはどのような組織がありますか。

「災害VC養成講座の協力と運営」
 地域防災計画に基づき、ボランティア支援本部設立訓練・ニーズ把握研修、防災倉庫資機材の備蓄確認、無線機、発電機、消火器の使い方、ハイゼックスの非常食の炊き出し、テント設営から運営マニュアル検証等、災害VCの役割習得やレベルアップも図っています。
(愛知県主催の防災VCのフォローアップ講座にも協力支援をしています。)


豊橋災害VC養成講座の様子


「救命、救護訓練事業」
 日本赤十字社救急法指導員(豊橋防災VC会の会長)による救命講座(AED)、応急手当(三角巾の使い方、搬送法等)、ロープワークを組み合わせた、救急法短期講習を実施。
 豊橋市消防本部の市民サポーターの資格を取得した会員は、当会主催の救命・救護訓練は基より豊橋市消防事業にも協力しています。

「防災啓発事業部」
 2002年、豊橋防災VCの会員より希望者を募り「防災啓発大型紙芝居」事業部を設立。
 減災を目指して活動を展開、毎月定例会合を重ね、14年間継続されています。7年前より「防災啓発事業部」として拡大し愛知県内外で活動を展開しています。

「豊橋防災VCの会・地域交流事業」
 2011年発足、現在豊橋市では災害が発生したら、市内五カ所の地域福祉センターがボランティアセンター開設設置場所として指定されています。その地区に従事するVCも編成されています。
 地区編成のVCが、平時は顔の見える関係を築き、その地区に伝えられる過去からの災害を学ぶ啓発学習を企画して交流を深めます。5地区のVCがそれぞれ研修事業を開催して災害時の連携を強化し、連絡網の充実を図ります。

「特別研修事業」
 防災リーダーとして危機管理、意識の向上を図り特別研修事業に取り組んでいます。
 神戸の防災未来館、静岡地震防災センター、名古屋市港防災センター、富士山レーダードーム館、京都市市民防災センター等の視察研修することにより防災意識の向上に努めています。

「食物アレルギー支援事業」
 豊橋アレルギー子の会と連携して、豊橋防災VC養成講座を受講して頂き更に広く活動PRに協力しています。豊橋市総合防災訓練の炊き出し訓練に協力、非常食の備蓄にも協力支援しています。

−豊橋防災ボランティアコーディネーターの会の主な活動内容を教えてください。

○活動名:総合防災学習(市内小中学校)
 豊橋市教育委員会を通じて、市内小中学校の防災学習の取り組み。大型防災啓発紙芝居(約1m四方)を上演。昔の災害を伝え、備える工夫を学習します。豊橋に纏わる防災民話を掘り起こし「岩屋観音のおつげ」を制作、これは宝永七年に起きた白須賀の大津波のお話です。その他「稻むらの火」とゲリラ豪雨の「おそろしい台風」があります。音響も素晴らしく好評を博しています。
 また、ハイゼックスを使った炊き出し、救護学習、百円均一の座布団を使った親子・防災頭巾作り等、子ども達からご家庭の災害への備えが充実するように、積極的に学校防災学習に努めています。


大型防災啓発紙芝居を上演している様子

○活動名:「大災害!そのとき役立つ智慧袋」講演会
・会場に災害パネルの展示と各種防災グッズの展示
 阪神・淡路大震災を教訓として“身近に取り組む事の出来る防災”をテーマに愛知県内外の自主防災会、各地区市民館、福祉施設、企業等で防災講習を開き、減災に導く情報の伝達に努めています。災害パネルは、阪神・淡路大震災、東日本大震災、VCの会陸前高田災害ボランティア活動の写真他掲示、災害現地の危機感を伝えます。各種防災グッズの展示(命を守る5点セット・帰宅困難対応リュック等の他)皆様の手足となって揃えた、最新グッズを直接手に取って頂き、備える必要性を共感して頂きます。
・リサイクル防災グッズを手作りし災害を意識しましょう!!
 どこの家庭でも眠っている不用品が命を守る防災グッズに生まれ変わります。災害を意識して取り組む事でその時のパニックを押さえられる。避難所生活を視野に入れて自分の身を守るリサイクル防災グッズの開発に取り組んでいます。(豊橋防災VCの会、副会長)
 リサイクル防災グッズについては、好評で、テレビや防災情報誌に取り上げて頂きました。内閣府主催の2009年浜松防災フェアー、全国まちづくりフォーラムでリサイクル防災グッズの開発を評価して頂き「表現賞」を受賞いたしました。防災啓発の効果が認められ内閣府のホームページに掲載されました。手作り防災グッズの講座も開催しています。


「大災害!そのとき役立つ智慧袋」講演会の様子

○活動名:さくらピア避難所体験
 障害者団体が指定管理者である豊橋障害者団体の施設「さくらピア」で、毎年9月に障害者の方とその家族又、一般市民に呼びかけし、体育館で宿泊体験を致します。午後1時開始、防災研修から始まり避難グッズの点検、車イスダンスのショータイム、安瀬避難経路の確認と集団避難訓練(施設の前が大きな公園)避難後、公園で消防署と共催で、消火訓練等に取り組んでいます。
 VCの会としては、共催という形で、災害パネルの掲示、各種防災グッズの展示を紹介します。防災紙芝居の上演、手作り防災頭巾の講習(聴覚障害者団体に手話をお願いしての講習)等を行う事により、障害団体の方々との連携、情報交換、要配慮者支援を学びながら地域防災に繋げています。

  

−活動をするにあたり、課題や問題点はありますか。

・福祉ボランティア、叩き上げボランティア(養成講座修了生)の方々の支援協力で活動推進や活性を図り継続してます。
発足して15年が経過し、会員の高齢化が挙げられます。
・会員登録していても活動協力は限られたメンバーになっています。
・即戦力に成り得る高校生、大学生の協力は難しいです。
・介護施設等からの若い受講生は、災害時には職場優先となってしまいます。
・現在、啓発事業も少数精鋭活動を展開しているが、事業継続するに当たり後継者の問題があります。


−今後、どのような活動を行っていく予定ですか。
○防災、協働社会を築くボランティアネットワークの構築
 現在、三遠南信災害ボランティア交流学習会(飯田・浜松・湖西・豊橋・豊川・名古屋)の各地域で勉強会を開催し、減災に努めます。

○国際交流事業「フロンティアとよはし」との協働
 外国人の多く住む地域の防災活動、多言語センター、国際交流ボランティアと協力支援

○愛知県善意銀行、ボランティア意見交流会
 県内八行の善意銀行の意見交換会(災害に備える日常生活と復興について意見交換等)

○県内外啓発活動
 県内外啓発活動(田原・湖西・浜松・豊明・大府・名古屋・豊川)を通じて、ボランティアネットワークの連携、情報交換、災害時の相互救援、支援活動に繋げて参りたいと思います。



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