ホームへ戻る
生態と防除目次

<ムギ類>
ムギ赤かび病

1 病原菌 
 
学名 Gibberella zeae (Schweinitz) Petch (Fusarium graminearum Schwabe) (糸状菌/子のう菌類(不完全菌類))コムギ赤カビ病

2 被害の様子
 穂の発病が主になるが、茎・葉・葉鞘・幼苗などにも発生がみられる。出穂から乳熟期にかけて、穂の一部あるいは全部が褐色になり、穎(えい)の合わせ目に桃色のカビ(分生胞子)が生ずる。この桃色のカビが本病の特徴である。穂軸が侵されて、それから上が枯死したり、穂首が侵されて白穂になったりすることもある。罹病穂には後に黒色の小粒(子のう殻)が生ずる。茎に発生すると葉鞘の合わせ目から桃色のカビが生じ、出穂が妨げられる。罹病子実は、稔実が悪く白っぽい屑麦となる。被害麦を食用、餌料にすると中毒症状を呈することがあるので、注意を要する。

3 病原菌の生態
 菌糸、分生胞子または子のう胞子のかたちで麦桿またはイネの刈り株などに付着したり、寄生したりして越冬する。翌年の春になると子のう胞子を放出して一次伝染源となる。空気伝染で飛来した子のう胞子は穎の気孔などから侵入して小穂を侵す。ムギの穂に生ずる桃色のカビは、分生胞子の集団で降雨後分散して二次伝染する。病菌の生育や胞子形成の適温は24〜27℃で、胞子形成、発芽、宿主侵入には数日間、高いコムギ赤かび病湿度が必要である。特に、胞子飛散は降雨によって促進される。種子・土壌伝染することもある。
 本菌はデオキシニバレノール(DON)やニバレノール(NIV)などのかび毒を産生する。DONやNIVには、発ガン性は認められていないが、嘔吐、腹痛、下痢などの中毒症状が現れる「急性毒性」と、成長抑制や免疫機能抑制などの症状が現れる「慢性毒性」がある。日本では、コムギに含まれるDONの暫定基準値が1.1ppmと定められている。

4 発生しやすい条件
・出穂前後から乳熟期にかけて曇天・小雨が続き、温度が高いと多発する。
・品種間差は、品種本来の抵抗性の差より、品種による出穂期の違いの影響の方が大きい。また、年による発生量の差は、感染可能期間における降雨量と気温の差によるものである。

5 防除対策
・発病の少ない品種を選ぶ。高度に抵抗性の品種はないが、早生品種は梅雨期の長雨にあうことが少ないので、比較的被害が少ない。
・四麦の中では二条大麦が強い。
・多発した畑から採種しないこと。
・やむを得ず種子に用いる場合は塩水選で比重1.20以上のものを選び、その上で種子消毒を行う。
・開花最盛期1回か、その7〜10日後を加えて2回の薬剤散布をする。