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生態と防除目次

<全作物共通>
タバコガ類

 タバコガ類の中で特に害虫として問題となるものは、タバコガ Helicoverpa assulta (Guenée) とオオタバコガHelicoverpa armigera (Hübner) である。なかでもオオタバコガは1994年頃から西日本を中心に発生が多く、トマトやキクのほかナス、ピーマン、オクラ、スイカ、キュウリ、エンドウ、イチゴ、キャベツ、レタスなどの野菜、バラ、カーネーション、シュッコンカスミソウ、トルコギキョウなどの花き類で被害が急増している。殺虫剤に対してはタバコガよりオオタバコガの方が強く、有効な薬剤も少ない。両種は非常に似ており、幼虫での識別は容易ではない。

1 形態オオタバコガ幼虫
 卵は直径0.4mm前後、色は淡黄色で、新葉の先端や花蕾に1粒ずつ点々と産みつけられる。幼虫は5齢または6齢を経過し、成長すると体長40mmくらいになる。体色は淡緑色から濃褐色まで変異がある。ハスモンヨトウやヨトウガと異なり、幼虫ではまばらに生えた長い毛が目立つ。終齢幼虫は土に潜って蛹になる。成虫は体長約15mm、開張約35mmであり、体色は一般的に褐色であるが変異は大きい。

2 被害の様子
 タバコガは特にナス科植物への嗜好性が強いが、オオタバコガはナス科だけでなく多くの作物に被害を与える。若齢幼虫は葉の表皮を食害するが、中老オオタバコガ成虫齢幼虫になると葉に穴をあけるようになり、さらに花、蕾、果実、茎、結球などに潜り込んで食害するため商品価値は著しく低下する。インゲンマメやエンドウなどのマメ類では莢が被害を受け、トウモロコシでは若い穂が好まれ、イネ科植物では穂先が特に加害される。オクラ、イチゴ、トマト等では果実に幼虫が食入して加害をするが、1頭の幼虫が多くの果実を渡り歩いて加害するので、発生量が少なくても被害は多くなる。キャベツやレタスでは幼虫が結球中に潜り込み、甚大な被害を及ぼす。

3 生態
 産卵から羽化までの期間は20℃で約63日、25℃で約36日、30℃で約25日であり、夏期には1世代に要する期間は約1か月で年間3〜4世代を経過する。成虫寿命は10日前後で、羽化後3〜5日目の夜に最も盛んに産卵する。1雌当たりの産卵数は200〜
300個で、卵は比較的若い葉の裏面、花雷、果実等に1個ずつ産下される。卵期は3〜5日で、孵化幼虫は5齢を経過する。老齢幼虫は土に潜り、地表下数cmの所で蛹化する。夏季が高温多照の年は一般的に発生が多くなる。被害が最も多くなるのは9月であるが、これは8月中旬頃に産下された卵に基づく幼虫の加害による。9月中旬以降に蛹化した個体は休眠蛹となり、土中で越冬する。

4 発生しやすい条件
・寡雨 

5 防除対策
・早期発見に努め、寄生密度の低いうちに薬剤防除する。
・老齢になるに従って薬剤の効果が悪くなるので、若齢幼虫のうちに防除する。
・施設栽培では施設開口部に防虫ネットを設置して、侵入を防ぐ。
・夜間に黄色蛍光灯を点灯することにより被害を軽減することができる。
*作物ごとに使用できる農薬やその使用方法が異なるので、農薬施用に当たっては安全使用基準を確かめて正しく使ってください。