トップページ診療内容 > 診療部門紹介 > 緩和ケア部

緩和ケア部

緩和ケアとは

 緩和ケアとは、病気にかかった患者さんやご家族の様々な苦痛(痛み、吐気、だるさ、不安、気がかり等気持ちのつらさ、等)を薬だけでなく様々な方法で和らげ、暮らしやすくするための医療・ケアです。
 緩和ケアに必要な3大要件は、@症状の緩和、A心理社会的サポート、B意思決定支援だと言われています。
 私たちは、患者さんが、病をわずらってはいてもよりよく暮らせるように、より楽に治療を受けられるようにするために、一緒に知恵を絞ります。その方法は、痛みや気持ちのつらさなどに対するお薬の調整だけにとどまらず、生活上の様々な工夫や社会資源を上手に利用した生活上の知恵を一緒に考えることも含んでいます。また、自己の存在や意味の消滅から生じる問い(いわゆるスピリチュアルペイン)などに対しても、ともに悩みともに考えます。
 誰かが病気になれば当然家族も心配になったりしんどい思いをすることもあるかもしれません。私たちは、患者さんだけでなくご家族も同様に、ケアの主人公だと思っています。ですから、ご家族の悩み、苦しみも一緒にお聴きしながら、その苦しみを和らげるために様々な方法を一緒に考えます。家族といっても、成人した家族とは限りません。お子さんだってつらい思いをしていたり、もしかしたら(お子さんに病気のことを伝えていなければ)どうして自分には何も言ってくれないんだろう?私のことは家族の一員だと思ってくれていないんじゃないかな?と思って寂しくなることもあるかもしれません。私たちはお子さんのこともケアしますし、家族にどうやって病気のことやこれからのことを伝えればいいんだろうという悩みなども一緒に考えます。
 時には、治療や療養についてどのように選択したらいいんだろう、とか、どうやって決めればいいんだろうと悩むこともあるかもしれません。そんな時も、一緒に考え、より良い選択肢を選ぶことが出来るお手伝いもしています。

 従来は、緩和ケア=ホスピスケア、終末期ケアなどと考えられていました。この時期のケアが緩和ケアの根幹にあることは、言うまでもありませんが、実際には、疾患のそれぞれの時期における苦痛に対応して緩和ケアは提供されています。実際、日本では世界に類をみない「診断時からの緩和ケア」が提供されるべく、取り組まれています。
 その対象となる方は、必ずしもがんにかかった患者さん・ご家族・大切な方々だけでなく、所謂非がん患者さんやその大切な方々(重い心臓の病を抱える患者さん・ご家族をはじめとした様々な病でご苦労なさっている患者さん・ご家族)まで多岐にわたっています。

 

診療内容  基本的緩和ケアの提供者は、すべての医療者です。現在がん診療に携わるほぼすべての医師は、「緩和ケア研修会」を受けています。本研修会は当院でも毎年1月第3週の土曜日に開催されておりますが、基本的緩和ケアの知識を身に着けていただいています。(本研修を平成31年3月末までに修了した医師には修了証と同時に右図の緩和ケア研修会修了者バッジが配付されており、名札もしくは白衣の襟に着用することが義務付けられています。このバッジは基本的な緩和ケアの提供者であることを示していますので、緩和ケアのうちでも基本的な疼痛緩和対策や相談に乗ることができるという証です。)  

 もちろん、基本的緩和ケアのみでは難しい症状緩和等が生じた場合、また意思決定が難しい場合の支援などのためにはわたくしたち緩和ケア専門の医療者、緩和ケアチームのメンバーがいつでもサポートし専門的緩和ケアを提供させていただいています。

 愛知県がんセンターは、都道府県がん診療連携拠点病院の指定を受け、愛知県における中心的ながん診療機能を果たす役割を担っております。緩和ケアにおきましても、院内はもちろんのこと、県内の様々な医療介護機関と連携をとりながら、患者さんおよび家族の皆さんの療養・生活における様々な苦痛の軽減とともに、療養生活の質が維持され、また向上するために、皆さまのお役にたてるよう日々取り組んでいます。

(参考)緩和ケアの定義は以下の通りです。

重い病いに起因する深刻な健康関連の苦しみを持つすべての年齢層の人々、特に人生の最終段階の時期近くの人々に対する積極的な包括的なケアである。 それは患者、その家族そしてその介護者の生活の質を改善することを目的としている(International Association for Hospice and Palliative Care国際ホスピス緩和ケア協会)」

当院の緩和ケア提供体制

 緩和ケア部<緩和ケアチーム<緩和ケアセンターという枠組みとなっています。
 ごく簡単に説明すると、以下のようになっています。

緩和ケアセンター

 緩和ケアチーム、緩和ケア専門外来、各地の緩和ケア病棟や地域の医療介護福祉機関等との連携等を有機的に行うための院内組織です。これは、都道府県がん診療連携拠点病院の要件において、組織上明確に位置づけることとなっております。

緩和ケアチーム

 「緩和ケアを専門とする医師、看護師等を含めたチームによる緩和ケアの提供体制」を指し、以下の 2 項目を満たす場合に緩和ケアチームとしています。
(1) 緩和ケアチームに身体症状担当および精神症状担当の常勤医師が 1 名以上配置され、緩和ケアを専門とする看護師(緩和ケア認定看護師、がん性疼痛看護認定看護師、がん看護専門看護師など)が所属している。
(2) 紹介患者の身体的・精神心理的・社会的・スピリチュアルな苦痛を包括的に評価し、必要に応じて疼痛 ・ 身体症状の緩和に関する専門家や精神症状の緩和に関する専門家、またソーシャルワークの専門家や緩和ケアを専門とする薬剤師、管理栄養士、リハビリスタッフ等と協力する体制がある(ペインクリニック、サイコオンコロジーなど特定の領域に限って対処しているのではなく、患者の苦痛すべてに対応が可能)。

緩和ケアチームの役割

  1. 痛みやその他の身体的な症状の軽減と精神的、社会的、スピリチュアルな問題への支援を行い、安全かつエビデンスに基づく質の高いケアの提供を心がける。
  2. 患者・家族とのコミュニケーションを通して患者・家族の治療や療養に関する意思決定を援助する。
  3. 人生の最終段階における鎮静(セデーション)や輸液・栄養療法の適応などに関連して倫理的な側面から専門的助言を行う。
  4. 家族ケアは患者療養の全経過を通して行う。特に人生の最終段階期においては家族等に対して適切なケアも行う。
  5. 垣根のない多職種での話し合いやチーム・ミーティングを通して医療従事者の支援も行う。
  6. 継続的な緩和ケアを行うために地域の病院・診療所・施設等との連携を図る。
  7. 医療従事者に対し緩和ケアの知識と技術の普及に努める
  8. 医療者のケアも行ったり、倫理的ジレンマについてともに考える。

緩和ケアチームバッジ  なお、2019年度からは、専門的緩和ケアを提供する医療者であることが患者さんご家族からわかりやすくなり、いつでも緩和ケアの専門家への相談がしやすくなるようにということで、緩和ケアチームバッジが日本緩和医療学会から配付され、当院の緩和ケアチームメンバーもこれを装着しています。
 このバッジを付けたスタッフを見かけましたらいつでもお気軽にご相談ください。  

緩和ケア部について

 がん専門病院である当院には、1998年より疼痛緩和医療試行グループが立ちあげられ、麻酔科部、薬剤部を中心に、緩和医療の普及、啓蒙、そして実際の治療に関わっておりました。1999年6月にはがん性疼痛緩和マニュアル(第一版)が発行されました。
 2001年12月20日には、適切な緩和ケアが迅速に実施できるように病院全体で取り組むことを目的に緩和医療(ケア)チームが組織されました。

 2014年4月1日からは、下山が部長を拝命し、緩和ケア科診療(科としては主に外来診療、入院診療は主に緩和ケアチームの一員として担当)を行っています。緩和ケアは医師だけでも看護師だけでもできるものではありません。ひとは多様ですから、様々な職種が知恵を出し合ってその患者さん・ご家族の価値観等に合わせたケアを提供します。
 そのために、院内では横断的に診断時からの緩和ケアを提供できるためのハブ機能としての緩和ケアセンター、そして患者さん・ご家族を多角的に支える緩和ケアチームとして、看護師、薬剤師、ソーシャルワーカー等様々な緩和ケアの提供者とともに、患者さん・ご家族の支援にあたっています。
 患者さんもご家族も病院にいる瞬間を除けば、家や職場で生活を送る、生活者です。病院外の生活を支えるのは、ご家族や友人、ご近所さん等近くの方々であることは言うまでもないのですが、医療者や介護者でも支えるスタッフはいます。そこで、私たちは、地域の医療・介護・福祉諸機関の皆さまと連携させていただきながら、患者さん・ご家族に地域ぐるみで寄り添うための地域緩和ケアを提供できるように努めています。
 主に力を入れていることは、症状緩和に加えて、治療・療養に関する患者さんの意向を尊重した意思決定の支援(アドバンス・ケア・プランニング:ACPを含む)、全人的ケア、家族ケアです。

 なお、当院には、現時点でいわゆる緩和ケア病棟(もしくは、ホスピス)はありません。がん専門病院としては、本来、がんの診断時から当院での診療が始まり、診療の最後まで責任をもって診療に当たらせていただくべきところなのですが、現時点では積極的治療が終了したら(人生の集大成段階ともいうべき時期)、地域にお戻りいただくか、お近くの緩和ケア病棟(もしくはホスピス)等に転院いただくことになっています。
(地域の連携、その後の過ごし方を考えたとき、当然選択肢が多いほうがよいですし、何よりがん治療全体を俯瞰した際に、緩和ケア病棟(もしくは、ホスピス)の重要性はとても大きいと考えています。そういった観点では、予防、診断、治療があって、人生の集大成をともに考えともに過ごすための場所がないことは、大変残念で申し訳なく思っています。私たちも微力ながら緩和ケア病棟もしくはホスピスを設けること ができるよう働きかけていきたいと考えていますが、 県民皆さまのご協力も必要だと考えています。)

緩和ケア部構成メンバー

下山 理史
下山 理史
(しもやま さとふみ)
部長

患者さんへのことば

 みなさんが治療を受けつつも普段の生活を少しでも楽に送ることができるお手伝いをさせていただきます。気がかり、不安、つらい症状等あれば、いつでも気軽にご相談ください。また、当院にかかっておられる患者さんだけでなく、ほかの病院にかかっていらっしゃる患者さんでも緩和ケアに関するセカンドオピニオンを受け付けておりますので、どうぞご活用ください。
 当院はがん専門病院です。緩和ケアに関しても、緩和ケア病棟こそありませんが、当院は最後の砦としての役割を担っていると考えております。がんであってもなくても、緩和ケアに関するご相談がありましたら気軽にご連絡ください。

資格等

日本外科学会専門医
日本消化器外科学会消化器外科治療認定医
日本がん治療認定医機構認定医
日本緩和医療学会認定医、理事
日本サイコオンコロジー学会 コミュニケーション技術研修会認定ファシリテーター がん診療に携わる医師のための研修会指導者 等

所属学会

日本外科学会、日本消化器外科学会、日本緩和医療学会、日本サイコオンコロジー学会、日本死の臨床研究会、日本臨床倫理学会、日本口腔ケア学会、日本在宅医療連合学会等

長谷川 貴昭
(はせがわ たかあき)
非常勤医師

所属

当院緩和ケア部非常勤医師、緩和ケアチームメンバー
名古屋市立大学 緩和ケアチーム医師

資格等

日本内科学会内科専門医、日本緩和医療学会専門医 等

令和元年12月改訂

このページのトップへ