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検査に関する質問

目次

Q1.乳がんセンチネルリンパ節生検とはどんな検査ですか?

1.センチネルリンパ節生検の背景

乳癌の標準的手術方法について

 現在乳がんに対する標準的な手術として“がん”の存在する乳房の一部分を切除する「乳房温存手術」と、乳房をすべて切除する「乳房切除術」が広く行われています。乳房の切除の仕方は乳房内での“がん”の広がりを術前の画像診断などで詳しく検査をして決定します。入院後主治医の先生とよくご相談してください。

腋窩リンパ節郭清の目的

 手術前の説明の時に、「私の場合は腋(わき)のリンパ節はどうするのですか?」という質問をよく受けますが、今は乳房の切除の仕方に関係なく、腋窩リンパ節郭清(腋のリンパ節を一塊にして全て切除する)を行うのが一般的です。これは、“がん”が腋のリンパ節(腋窩リンパ節)に転移しているか否かは、術後の転移再発の可能性を予測する際の、現時点では最も信頼できる情報源であり、術後再発予防のための治療法(補助療法)を検討する重要な指標になるからです。ただし、ごく一部の例外(例えば、非浸潤性の乳がんが術前から断定できる場合)では行わない事もあります。
今まで、手術の前(術前)に腋のリンパ節(腋窩リンパ節)に“がん”の転移があるかどうかを調べるために、画像診断や分子生物学的な手法等、いろいろな方法が試みられてきましたが、腋窩リンパ節郭清に匹敵する成績には至りませんでした。そのため、“がん”の取り残しのないように、すべての腋窩リンパ節を切除することが世界中で長年行われてきたわけです。

腋窩リンパ節郭清の問題点

 “がん”が腋窩リンパ節まで転移をしている方は当然それを放置して残しておくことは良いことではありません。しかし、転移のない方にまで本当に腋窩リンパ節郭清を行うことが必要かどうかは議論の分かれるところです。これは、腋窩リンパ節郭清による合併症が少なからず起きるのも事実だからです。
 では、どのようなことが起き得るかというと、手術をした側の腕のむくみ(6-30%ぐらいの確率)、上腕内側の感覚の低下(しびれ)、手術後の腋のリンパ液貯留、腋窩の傷の痛みなどです。どれも生命にかかわる合併症ではありませんが、今後の長い人生を考えたとき(リンパ節転移がなかった方の10年生存率は約90%)には、あなたにとって厄介なことかもしれません。このような背景のもとに、近年、センチネルリンパ節(見張りリンパ節)生検による腋窩リンパ節郭清省略の動きがでてきました。次にこの方法についてご説明致します。

2.センチネルリンパ節生検の理論

 乳房内にできた“がん”細胞が乳房内のリンパ管の中に進入すると、腋のリンパ節(腋窩リンパ節)へ転移し、その後、鎖骨の下のリンパ節(鎖骨下リンパ節)へ転移していきます。また、乳房内にできた“がん”細胞は乳房内でリンパ管以外に直接血管に入る経路もあります。
 乳房内にできた“がん”細胞が近くのリンパ管へ進入したあと、最初に流れ着いた乳房周囲のリンパ節を「センチネルリンパ節(見張りリンパ節)」(図1)と呼びます。このリンパ節に“がん”がいなければ、その先のリンパ節には“がん”はいないと判断して、通常の腋窩リンパ節の切除(腋窩リンパ節郭清)はしないという方法が「センチネルリンパ節生検による腋窩リンパ節郭清省略」の理論です。

3.センチネルリンパ節生検の具体的方法

 さて、センチネルリンパ節を見つける具体的な方法ですが、手術の前に「ラジオ・アイソトープ(RI)」と「(生体用)色素」を乳房に注射をしてこれを目印に見つけます。通常ラジオ・アイソトープは手術前日(あるいは手術当日の朝)に、色素は手術室で麻酔のかかった後に注射をします。注射をするアイソトープの量は骨の転移診断のための骨シンチと呼ばれる検査で使用される放射線量の約50-100分の1で、あなたへの被爆の影響は問題ありません(日本核医学学会でも安全に行うためのガイドラインができています)。色素についても人体に悪影響をおよぼすようなことはほとんどありません(ただし、非常にまれですが、色素注射によるアレルギーショックの報告があります)。

センチネルリンパ節とは?
図1.センチネルリンパ節とは?

 もし、あなたがこの方法を希望された場合、実際の手術室で以下のような状況が想定されます。
 (1) 術中の病理検査で、センチネルリンパ節に“がん”がいなかった場合
   → 予定通り、通常の腋窩リンパ節郭清術は省略する
 (2) 術中の病理検査でセンチネルリンパ節に“がん”がいた場合
   → 通常の腋窩リンパ節郭清術を行う
 (3) 術中センチネルリンパ節がみつからない場合
   → 通常の腋窩リンパ節郭清術を行う

4.センチネルリンパ節生検の成績

 主に同定率(センチネルリンパ節を発見できる確率)と正診率(センチネルリンパ節に”がん”がいなければ他の腋窩のリンパ節にも“がん”がいない確率)で判断します。

同定率について

 当院の同定率は99.5%です。200人のうち199人はセンチネルリンパ節を見つけることが可能となっていますが、希ながらセンチネルリンパ節が見つからないこともあります。

正診率について

 センチネルリンパ節生検で評価した腋窩リンパ節転移の診断がどのくらい正確かの指標になります。当院の正診率は93%です。100%ではないので、センチネルリンパ節に“がん”がいないと判断をして通常の腋窩リンパ節郭清を行わなかった方の中でごく少数の方に腋窩のリンパ節に“がん”が遺残することになります。当然このような方では後日(数ヶ月から数年先)腋のリンパ節が腫大してくることになると思います。そのときには再度切除をおこなう必要があります。問題はこの時点で切除を行えば、最初にすべてのリンパ節を切除した場合と生命予後は変わらないかどうかの結論が、まだ出ていない点です。これについては現在大規模な臨床試験が、欧米を中心にして行われておりその結果を待つしかありません。
 実際に、当院で通常の腋窩郭清を省略した416例(術中の病理検査でセンチネルリンパ節に”がん”はいないと判断された方々)のうち、2例(0.5%)の方が腋窩再発をきたしました。2例とも再手術(腋窩郭清の追加)を施行して、その後の経過に問題は起きていません。平均観察期間は17ヶ月(4ヶ月から37ヶ月)です。

術中迅速診断の問題点について

 さらに手術中に判断した病理診断が手術後の正確な診断で覆ることがまれにあります。手術中は迅速に(30分くらいで)結果を出すことを優先する方法で転移を判断しているために、微妙な病変や微細な病変が見落とされることがあります。よって手術中に「転移陰性」と判断されたものが、手術後2?3週後にわかる最終的な病理診断で「転移陽性」と変更になった時の対処も考えておかなければいけません。このような場合は、
 (1) 再度腋窩リンパ節の通常郭清をおこなう
 (2) 腋窩に放射線照射をあてて様子をみる 
 (3) そのまま何もせずに様子をみる
の3通りの方法が考えられます。もしもこのような事態が発生したときには主治医とよく相談をして決定してください。
 以上、お話をしてきましたこの方法{センチネルリンパ節(見張りリンパ節)生検よる腋窩リンパ節郭清術の省略}はまだ標準的な方法ではなく、選択される患者さんご自身に上記に説明したリスクを負っていただく方法ですが、通常の腋窩リンパ節郭清に伴う合併症(むくみ、痛み、しびれなど)を回避する有効な方法であることも事実です。

適応と考えられる方

 術前診断で腋窩リンパ節転移がないと予想される方が大前提で、かつ、
 (1) 比較的腫瘍が小さい方(2cm以下が目安)
 (2) 手術前に生検などがされていない方、
 (3) 術前の化学療法が行われていない方
が望ましいようです。
 以上をよくご理解の上、入院後に主治医とよくご相談していただき、もしもあなたが今回の手術でこの方法を望まれる際には、同意書に署名の上、担当医にご提出下さい。

Q2.エックス線写真は1回に何枚まで撮影しても大丈夫なものですか?

 1回のエックス線検査で撮影する枚数制限は特にありません。病気の発見や治療の経過観察をするためなど、医師が必要と判断した必要最小限の枚数分だけ撮影されます。
 ご心配の方は検査を受ける前に医師にご相談ください。

Q3.妊娠と知らずにエックス線検査を受けてしまいましたが、奇形児が生まれないでしょうか?

 妊娠していることが後でわかった場合は、受精後1〜2ヶ月以内のことが多いと思われます。放射線が胎児に与える影響は、受精後8日までの着床前期であれば、流産を起こす可能性がありますが、そうでない胎児は正常に発育します。
 受精後2〜8週の器官形成期では奇形発生の可能性の最も高い時期となっています。このような影響を与える最低の放射線量は、50〜100ミリシーベルトを超える線量といわれています。
 ところで、病院で検査に使用される放射線量は非常に少なく、胎児に対しての影響は胸部のエックス線写真を約1,000回、腹部ですと約100回を一度に受けないと100ミリシーベルトの量にはなりません。このように一般検査による影響で奇形等の発生する可能性はほとんどありません。
 しかし、検査によっては線量がふえる場合も考えられますので、妊娠の可能性がある場合にはよく医師と相談し、検査を受けるようにしましょう。

Q4.エックス線検査の時に衣類を脱がなければいけないのはどうしてですか?

 安全で正確なエックス線検査を行うためには、皆様のご理解とご協力が必要です。検査をする部位(部分)や目的、検査内容などによりますが、一般的に撮影部位の周辺は脱衣が必要になります。正確なエックス線写真を撮影するためには、不要なものが写らないようにしなければなりません。
 検査装置の種類や性能によっても違う場合があります。よく誤解されている例としては、「高性能な撮影装置だから服を着ていてもよいのではないか」と言う方がいますが、高性能な装置だからこそ小さな物や衣類なども写し出してしまい、診断の妨げになってしまうことがあります。
 最近のTシャツには、色鮮やかなプリントがされているものもあります。このきれいに見せるためのプリント染料には、金属製粉や特殊な素材が混ぜられていることがあります。ある条件が重なってしまった場合には、病変のように写し出されることがあります。ですから、胸部エックス線検査で、肌着を着たまま撮影できるのは、無地のシャツだけに限られてしまいます。
 また、最近流行しているホックや金属のない“スポーツブラジャーなどでは、乳房を安定させるために厚手のゴム製材等が使用されていますので、やはり診断の妨げや誤診の原因になる場合があります。このように、エックス線検査の精度に悪影響を与える状態で撮影をしてしまうことは、もともと「正常」であるはずの人が「異常」と診断されて、精密検査や再検査を受けることになる場合もあり、不必要な放射線被爆を受けることにもなってしまいます。または、検査で発見できるはずの「小さな病変」が見つけられずに「異常なし」と判断されて、その疾病を悪化させてしまうこともあります。
 検査目的などによって注意しなければならないこともありますので、担当職員の説明や指示をよく聞いてエックス線検査を受けるようにしてください。

Q5.胸部のエックス線写真を撮影するときに、息を吸って止めるのはなぜですか?

 息を吸い込まなくてもエックス線写真は撮影できますが、息を吸い込むと肺に空気が入って肺が広がって気管支や血管など肺内の構造が見やすくなり、より的確な診断ができます。また、息を止めるのは動きによる写真のボケを防止するためです。

Q6.エックス線CT検査とはどんな検査ですか?

 人体を輪切りにする面の円周上において、種々の角度からエックス線を照射し、人体を通過してきたエックス線量を測り、コンピュータを用いて人体の輪切りの断面を画像化するのがCT(コンピュータ断層撮影)です。
 CT検査によって人体内部の微細な構造が断面でわかるようになり、画像診断の中心的な存在になっています。

Q7.MRI検査とはどんな検査ですか?

 人体の各細胞が持っている磁気性を利用した方法で、強力な磁場内で体内の水素原子に高周波磁場をパルス状に照射すると、組織内の水素原子はエネルギーを吸収し励起状態(エネルギーの高い状態)となり、この間に生ずる信号(情報)をコンピュータ処理して得られた画像をMRI(磁気共鳴画像)と言います。

Q8.ラジオアイソトープ検査とはどんな検査ですか?

 この検査は、放射性医薬品(ラジオアイソトープを含んだ薬)を注射や、これを飲むことにより、この薬が、腫瘍や骨など目的の臓器に集まり、この薬から微量の放射線を放出します。その放射線を専用のカメラで像としてフイルムに写し出すものです。これによって臓器の形や動きなどがわかります。
 検査で受ける放射線の量は、胃のエックス線検査と同じ程度です。また、その放射線は時間と共に少なくなり、体外へ排出されますので、身体への影響については心配ありません。

Q9.超音波検査とはどんな検査ですか?

 超音波(US)検査は、人間の耳に聞こえない程度の周波数の高い音波を体内に向けて発信し跳ね返ってくる音波をとらえて画像化したものです。
 超音波には、臓器や組織の境界で反射するという性質があり、臓器の深さや腫瘍が あるかないかなどによって反射時間にズレが生じます。超音波画像はこの反射の強さと時間のズレから組織の形状や位置の情報として画像に表されています。

Q10.造影剤というのは、どんなものですか?また、副作用は?

 造影剤とは、エックス線で人体を透視または撮影する際に、検査する器官と周囲との組織に透過率の違いを作り、その器官の位置、形状、大きさ、機能、あるいは病的変化等を明瞭にし、診断を確実にする薬品です。
 次に副作用ですが、バリウムでは便秘や下痢があります。腎臓・胆嚢・心臓等に用いられる造影剤の場合は、頻度は少ないですが吐き気・血圧低下・不整脈・じんましん等が現れることもあります。
 検査前に、問診やテスト等を行って十分に注意しています。もし、以前に副作用があった方は、事前に医師等にお話されるとよいでしょう。

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