
パン用や中華めん用の小麦は、ほとんどを外国産小麦に依存しており、国産のシェアは1割程度しかありません。
そんな中、国産志向の高まりや自給率向上の観点から、愛知県においても、県産のパン・中華めん用品種を要望する生産者や実需者の声が聞こえるようになりましたが、本県の栽培環境に適した品種がありませんでした。
そこで、愛知県農業総合試験場は、本県の気候に適した、収量性が高く、高品質なパン・中華めん用小麦を目指して、2001年から品種改良に取り組みました。
パンの加工適性が高い品種「ハルイブキ」と、本県の気候に適した多収の品種「タマイズミ」をかけ合わせ、その中から約10年の歳月をかけて両品種の優れた形質を併せ持つものを選びました。
選抜にあたっては、おいしいパンを作るのに適した遺伝子を持つよう、先端の遺伝子診断技術を活用しました。
また、パンや中華めんの業者にも御協力いただき、幾度も加工試験を行いました。
こうして生まれたのが、パン中華めん用小麦の新品種「ゆめあかり」です。
パンがよく膨らむには、小麦粉に含まれるタンパク質の1つ、「グルテン」の質が重要です。「ゆめあかり」は、質の良い生地を作る「グルテン」を生み出す「グルテニン遺伝子」を3種も有しています。
中でも、特に製パン適性を高める遺伝子(Glu-D1d )を持っているので、よく膨らんだおいしいパンを作ることができます。
パン・中華めん用の小麦は、日本めん用小麦(うどん・きしめん等)と比べて、タンパク質含量が高いことが必要です。「ゆめあかり」は適切な栽培により、それらの用途に必要なタンパク質含量にすることができます。
ゆめあかりで作ったパン及び中華めん
「ゆめあかり」は、愛知県で長きに亘って作付けられてきた品種、「農林61号」に比べ、
1.穂が長く、収量が多い。
2.収穫時期は同程度。
3.草丈が短く、太いので倒れにくい。
4.タンパク質含量が高い。
5.病害抵抗性は同程度。
といった数々の優れた特性があり、愛知県での栽培に適した品種です。
愛知県では、「ゆめあかり」を、新たな県産小麦需要を喚起する重要品種と位置づけ、生産を拡大しています。
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