委員会情報
委員会審査状況
建設委員会
( 委 員 会 )
日 時 令和6年12月12日(木) 午後0時59分~
会 場 第4委員会室
出 席 者
山田たかお、中村貴文 正副委員長
島倉 誠、山下智也、藤原ひろき、神戸健太郎、伊藤貴治、高橋正子、
朝倉浩一、細井真司、古林千恵、筒井タカヤ、神谷まさひろ 各委員
建設局長、同技監(2名)、土木部長、道路監、治水防災対策監、
豊川水系対策本部副本部長、豊川水系対策本部事務局長、水資源監、
都市・交通局長、同技監、都市基盤部長、港湾空港推進監、空港長、
建築局長、同技監、公共建築部長、建築指導監、
収用委員会事務局長、関係各課長等
<付託案件等>
○ 議 案
第183号 令和6年度愛知県一般会計補正予算(第6号)
第2条(繰越明許費の補正)の内
第7款 建設費
第3条(債務負担行為の補正)の内
土木施設災害復旧工事
第189号 愛知県国土交通省所管公共用財産使用料徴収条例の一部改正について
第190号 愛知県道路占用料条例の一部改正について
第191号 愛知県流水占用料等徴収条例の一部改正について
第192号 愛知県海岸占用料等徴収条例の一部改正について
第193号 愛知県都市公園条例の一部改正について
第194号 愛知県港湾管理条例の一部改正について
第195号 愛知県漁港管理条例の一部改正について
第196号 愛知県港湾占用料等徴収条例の一部改正について
第197号 愛知県漁港土砂採取料等徴収条例の一部改正について
第201号 工事請負契約の締結について(道路改良事業一般国道247号大田インターチェンジ(仮称)上部工事(その1))
第202号 工事請負契約の締結について(道路改良事業一般国道247号大田インターチェンジ(仮称)上部工事(その2))
第203号 工事請負契約の締結について(道路改良事業一般国道247号青海インターチェンジ(仮称)上部工事(その2))
第204号 工事請負契約の締結について(時習館高等学校併設中学校(仮称)校舎建築工事)
第205号 工事請負契約の締結について(豊田西高等学校併設中学校(仮称)校舎建築工事)
第206号 工事請負契約の締結について(西尾高等学校併設中学校(仮称)校舎建築工事)
第207号 工事請負契約の締結について(稲沢緑風館高等学校校舎建築工事)
第208号 工事請負契約の締結について(元岡崎特別支援学校校舎等取壊し工事)
第209号 工事請負契約の締結について(いなざわ特別支援学校校舎建築工事)第213号 工事請負契約の変更について
第215号 特定事業契約の締結について
第217号 県道路線の認定について
第218号 愛知県道路公社が有料道路として管理する県道半田南知多公園線(南知多道路)の事業変更について
(結 果)
全員一致をもって原案を可決すべきものと決した議案
第183号、第189号から第197号まで、第201号から第209号まで、第213号、第215号、第217号及び第218号
○ 閉会中継続調査申出案件
1 道路の整備等について
2 水資源対策並びに河川、砂防、水道及び下水道の整備等について
3 土地対策、都市計画並びに公園及び市街地の整備等について
4 総合交通体系及び港湾の整備等並びに航空対策について
5 宅地建物取引及び建築・宅地造成等の規制について
6 公営住宅等の建設及び管理並びに県有施設の営繕工事について
7 建設局、都市・交通局、建築局及び収用委員会の行政運営について
<会議の概要>
1 開 会
2 口頭陳情(1件 陳情第103号関係)
3 議案審査(23件)
(1)理事者の説明
(2)質 疑
(3)採 決
4 委員長報告の決定
5 一般質問
6 休 憩(午後2時54分)
7 再 開(午後3時5分)
8 閉会中継続調査申出案件の決定
9 閉 会
(主な質疑)
《議案関係》
【委員】
繰越明許費補正第7款建設費第6項港湾空港費、名古屋飛行場施設整備費1億7,971万4,000円について、先ほどの説明ではLED灯火とのことであったが、12月定例議会の補正予算で計上する理由を伺う。
【理事者】
本補正予算については、県営名古屋空港滑走路灯火更新工事に係るものである。当初計画では、年度内に工事を完了する見込みであり、5月から競争入札を二度実施していたが、いずれの入札も不調となった。原因としては、電気技術者の不足や、LED灯火更新工事が全国の空港で実施されていることから、LED灯火の納期の長期化が見込まれることになった。
そのため、年度内に必要な工期が確保できないことから、12月定例議会で繰越明許費を計上するものである。
【委員】
事業内容はどのようなものか。
【理事者】
県営名古屋空港は開港から19年が経過し、航空灯火及び関連する電気施設の老朽化が進んでおり、順次、LED灯火及び電気施設の更新を進めている。本工事は、設置から13年から31年が経過している滑走路灯火をLED灯火に更新する工事である。
【委員】
先ほど、入札不調や納期の超過との説明であったが、LED灯火更新の進捗に影響はないのか。
【理事者】
2度の入札不調があったため、LED灯火更新の発注計画の見直しが必要となったが、工事期間の大部分はLED灯火の製作期間であること、現地における設置工事は短期であり、現場における灯火設置工事で同時に施工ができるよう調整が可能であることから、更新の進捗に影響はないと考えている。
【委員】
12月10日にニュースで見たが、北海道、岩手県、静岡県の3空港が国土交通省に申請した空港脱炭素化推進計画が認定されたとのことである。この計画は、航空分野の脱炭素化を目指して令和4年6月の航空法及び空港法の改正により創設された制度に基づき、空港管理者が具体的な目標や取組を定めたものである。
本県については、県営名古屋空港の空港脱炭素化推進計画は、既に本年3月29日に認定され、地方自治体が管理する空港として一番に認定されたと聞いている。他空港の計画策定が進まない中でいち早く計画を策定し認定を受けたもので、カーボンニュートラルに対して強い意気込みを感じる。
先ほどの説明では、LED灯火更新の進捗には影響がないとのことであったが、2度の入札不調があったとのことで、いささか対応を考える必要がある。
今後も引き続き、計画に基づく空港脱炭素化の取組が順調に進められるよう願う。
【委員】
第190号議案の愛知県道路占用料条例の一部改正について、この占用料は徴収漏れが多くあり、監査委員からも指摘があった項目だと思うが、今回、愛知県道路占用料条例を改正して、新たに手数料を決め、しっかりと徴収業務ができる体制づくりについて、どのようになっているのか。
【理事者】
道路の占用物件については、占用許可申請に基づき占用許可を出しているが、許可を出した後に物件追加などで変更許可となる物件がある。そのような場合に、徴収漏れが一部あった可能性があるが、これを機に、新しい年度から新単価が適用されるものについて占用許可を出しているため、許可手続の中でしっかりと確認していきたい。
【委員】
愛知県道路占用料条例にあるように、電柱が非常に大部分を占めると思う。条例改正する中で、制度についてしっかりと周知する必要があると思うがどうか。
【理事者】
占用許可の申請に当たって、更新等の場合は相手方と事前の打合せ等を行うため、そのような機会を通じて、しっかりと手続について周知徹底していきたい。
《一般質問》
【委員】
先日、愛知県庁に来ると知事公館と県庁舎の間の道の紅葉が美しくはっとさせられた。自転車で通りかかる人も自転車を止め、その様子をカメラに収める人もいた。古くから、日本人は季節の移ろいに自身の心境や世の中の状況を照らし、表現し、楽しんでいる。雨を聴いて寒更尽く、門を開けば落葉多し。秋の禅語として名高く、茶席でも珍重される歌である。雨音を聴いているうちに寒い夜更けが過ぎ、夜が明けたので門を開けてみると辺り一面に葉が落ちていた。一晩中聴いていた雨音は、朝になれば実は軒端をたたく落ち葉の音だった、との幽寂な閑居の風情を歌ったものである。
緑は美しい都市景観を創出し、さらには都市で生活する人々の心に安らぎや豊かさを与えるなどの多様な機能を果たしている一方で、倒木や交通安全、落ち葉の清掃負担など、様々な問題を引き起こしている。そのような中、本年度9月、街路樹の管理についての一般質問の中で、街路樹管理に関して従来の維持管理方法を見直し、新たな取組を行うとの答弁があった。また、今年度の閉会中建設委員会でも、複数の首長から道路の除草に関して多くの要望を受けており、しっかりとした対応が求められている。
従来の維持管理からどのように取組が変わったのか。
【理事者】
本県では、2021年度から計画的かつ効率的な街路樹の維持管理を目指し、街路樹の本数を削減しつつ、縮減された管理費を活用し、管理水準を上げる取組を進めている。昨年度までに、低木については幅員の狭い歩道などの植樹帯を対象に、全体の約3割となる112万本、中高木については交通安全や防災機能などを向上させる観点から、大木化や高齢化した約5,500本の撤去を完了している。
今年度からは、縮減された管理費を活用して、従来は年1回にとどまっていた植樹帯内の除草を年2回実施している。また、街のシンボルとなる道路を対象として、市町村などと連携し、中高木の剪定方法や地域の特性に適した樹種への植え替えなど、美しい街路樹の維持に向けた管理方法の策定に今年度から着手している。
さらに、来年度からは策定した方針に基づき、3年に一度実施している中高木の剪定について、順次2年に1回に増やしていくなど、樹木が持つ本来の美しい樹形に整える取組を着実に実施していく。
【委員】
県道内津勝川線沿いにイチョウの木が街路樹として植えられており、商店が中心となり、いちょう並木通り発展会を運営し、市民にも親しまれている。
しかし、毎年秋のイチョウ並木が色づき始める頃、イチョウの木は幹だけを残し、葉や枝が全て切り落とされてしまう。これは非常に寂しいと、市民から多数の声をもらっている。
先ほど、街のシンボルとなる道路を対象に、中高木の剪定方法や地域の特性に適した樹種への植え替えなど、管理方針を今年度から策定し、シンボルロードの選定には市町村などと連携していくとのことであったが、その後の取組状況についてどのようにしていくのか。
【理事者】
シンボルロードの選定については、周辺環境と調和するよう、樹木が持つ本来の美しい樹形に整える方針としていることから、市町村が定める緑の基本計画などを踏まえ、まちづくりの主体となる市町村との連携が必要である。また、適切な環境を維持していくためには、地域の人々に協力してもらうことも重要である。
このため、本年11月20日と28日に説明会を開催し、全ての建設事務所と市町村の道路管理担当者に、目的やシンボルロードの候補として歴史的な街道や駅前通りのような都市の玄関口となる路線などが考えられることを説明し、シンボルロードとしての管理を目指す路線の選定に着手した。
年度内をめどに候補路線を取りまとめ、地元の合意状況を踏まえつつ美しい街路樹の維持に向けた管理方針を順次策定していく。
【委員】
安全面の確保と除草などを進める一方で、街の景観は心のふるさとを思い起こす大切な要素の一つだと考える。しっかりと市町村や議員ともコミュニケーションを取りながら、街路樹管理をしてほしい。
次に、二段階横断施設について伺う。本年5月に、春日井市内の県道春日井一宮線において、二段階横断施設が設置された。道幅の広い道路の横断歩道の真ん中に滞留帯を造り、横断者が途中で待機することができるようになっている。県が管理する道路で最初の試験運用であり、周辺地域の人々にアンケートを実施したと聞いている。地元からは様々な声を聞くが、安全に横断できるようになったと評判の声を聞いている。
そこで、二段階横断施設について、まず、なぜ導入されたのか、その経緯と期待される効果について伺う。
本県では、依然として多くの人が交通事故で亡くなっており、引き続き交通事故の減少に向けた取組が必要である。本県の交通事故の特徴を見ると、横断中の事故や高齢者の事故が多いことが挙げられ、この新たな対策として二段階横断施設の導入検討に着手している。
国、県警本部、関係部署や学識経験者で構成する愛知県交通安全対策推進連絡会議において、公安委員会と連携しつつ、施設の具体的な構造の検討等の議論を重ね、本年5月、春日井市岩野町地内の県道春日井一宮線で試行に至った。
二段階横断とは、車道中央部に交通島や中央分離帯などによる横断歩行者が待機できるスペースを設置し、その前後で横断歩道を分割し、2回に分けて道路を横断する方式である。
この設置により期待される効果としては、まず横断歩道を渡る横断者の視点から挙げると、横断中の事故の一般的な特徴として、横断者は左からの進行車両と衝突する事例が多いことから、左右同時ではなく段階的に片側の車両のみ注視すればよい二段階横断施設は、横断者の安全確認の負担が軽減され、このような事故を抑制する効果が期待できる。また、一度に渡る横断距離が短くなることにより、横断時間も分割され、特に高齢者が横断しやすくなるとともに横断できる機会も増加することが期待されている。
また、自動車を運転する運転者側からの視点としては、反対車線側からの横断者を確認しやすくなることや、交通島の設置により車両の通過速度が低減する効果が挙げられる。その他、安全に渡れる横断歩道を設けることにより、横断歩道以外での無理な乱横断が削減されるなど、様々な面での安全性の向上が期待されている。
【委員】
アンケートを実施して集計しているところだと思うが、アンケート結果等を踏まえた今後の展開について伺う。
【理事者】
二段階横断施設の設置効果を検証するため、10月から11月にかけて現地でのビデオ観測による交通挙動調査を行うとともに、施設の設置による影響や実際に利用した際の安心度などの感想を聞き取るため、周辺の約1,500世帯を対象とした郵送によるアンケートと、近接する企業や名鉄バス株式会社、春日井西高等学校に対するヒアリング調査を実施した。
現在、これらの調査の集計や分析作業を行っているところであり、この調査結果を整理・検証した上で、来年2月に開催予定の愛知県交通安全対策推進連絡会議に諮り、今回試行した二段階横断施設の整備効果を取りまとめるとともに、本県における本施設の今後の展開についても議論・検討していく。
【委員】
本県は交通死亡事故が多く、一人でも多くの命を守り悲しい思いをすることがないよう、より強い覚悟で施策に取り組んでいく必要がある。
地域の人からは横断しやすくなったとの声をもらっている。特に高齢者からは、横断歩道を渡る際、片方だけの確認で済み、渡り切れなくても途中で待つことができるため、安心につながっているようである。交通弱者対策として、二段階横断施設の設置は有効だと考える。
しかし、二段階横断施設ができたとはいえ、車は歩行者がいれば横断歩道手前で止まることは当然である。こちらの啓発も進めて、二段階横断施設の設置を県内で横展開してほしい。また、設置の場所に関しても、地元としっかり協議し、共に最適解を見つけてほしい。
愛知県交通安全対策推進連絡会議でも、地域の声として本委員会のこのやり取りを挙げてもらうとともに、今後も引き続き交通事故の減少に向けた取組を推進してほしい。
【委員】
現在、本県が進める市町村域をまたぐAIオンデマンド交通実証実験の進捗について伺う。
高齢者や子供などの交通弱者が移動しやすい環境の整備が、住みやすい暮らしやまちづくりに不可欠だと考えている。そこで、2月定例議会の議案質疑において、新モビリティサービス推進事業を取り上げた。そして、刈谷市が単独で行っている実証実験を紹介した上で、市町村域をまたぐMaaSやオンデマンド交通を導入する際に、対象となる基礎自治体同士で調整を要する内容が多くなることを問題提起とし、本県がイニシアチブを取って事業を進めることを要望した。
現在、AIオンデマンド交通の実証実験について、瀬戸市及び尾張旭市で行っているが、両市で実証を行うこととなった経緯を伺う。
【理事者】
事業の実施に当たり、県内の市町村から広域連携を要する移動課題を公募したところ、複数市町村より応募があったため、有識者を含む選定委員会において地域ニーズや新モビリティサービスの導入が課題解決につながるかどうか、広域連携のモデルとなるものかどうかなどの観点で審査を行い、実施地域を決定した。
具体的には、瀬戸市から応募があった市西部の本地地区、效範地区では、隣接する尾張旭市内の商業施設等への買物需要は多いが、移動手段がない。現状では、当該地域から市内の鉄道駅までは時間がかかっており、近隣の尾張旭市にある鉄道駅への移動手段を確保することにより、公共交通の利便性を向上させたい。地域の高齢者から、自宅からバス停までが遠く、その移動が負担であるとの声が寄せられていた。
このような課題があり、住民の移動ニーズに応じた市域をまたぐAIオンデマンド交通を導入することにより、課題の解決が期待されることに加え、隣接する尾張旭市の地域からも瀬戸市内にある病院や商業施設への移動需要があり、瀬戸市、尾張旭市双方での移動の活性化が見込まれることから、実施地域として選定した。
2市が連携してAIオンデマンド交通の運行を行う取組は、全国でも珍しく、広域連携のモデルとなる事業だと考えている。
【委員】
次に、この実証実験は本年10月1日から開始したとのことであるが、これまでの利用状況を伺う。また、現時点での評価や課題認識について伺う。
【理事者】
11月末までの2か月間での利用状況としては、運行回数は300回を超え、利用者は80代、70代が多く、次いで50代が多くなっている。また、行き先は尾張旭市内のスーパーが最も多く利用されており、市域をまたぐ移動に多く利用されている。そのため、移動課題の解決に向けて、住民のニーズに応じた交通サービスを提供するとの実証事業の目的を果たしていると考える。
一方、実際に利用した人は約70人であり、会員登録している人の4分の1程度となっており、関心はあるもののまだ利用されたことのない人も多くいる。新たな移動サービスを導入していく上で、実証実験を通じ多くの人に実際に利用してもらい、アンケート等を通じて地域の様々な意見を伺い、その有効性の検証や導入する場合の運行スキーム等の検討を行っていくことが重要である。
そのため、利用していない人の中には、予約するのが煩わしい、電話で予約ができることを知らなかったとの意見もあることから、会員登録している人に改めて利用方法などを知らせる案内を送付するとともに、商業施設でのPRイベントの開催や当該地区での老人会での説明会などを行っていく。
実証期間中に、1人でも多くの人に利用してもらえるよう、さらなる周知を図っていきたい。
【委員】
交通弱者の移動に関する課題は、県内各地で生じていると認識している。他地域でも、県がイニシアチブを取って事業を進めるとともに対象を広げる必要があるが、今後の取組についての本県の考えを伺う。
【理事者】
今年度、本県では県と市町村が連携・協力して人口問題対策を検討するため、愛知県・市町村人口問題対策検討会議を設置した。その中では、特に取り組むべき検討課題の一つとして、地域交通の確保が挙げられ、ワーキンググループを設置し検討を行っている。
ワーキンググループには構成員の11市町村に加え、オブザーバーとして20市町より参画希望があり、多くの市町村において持続可能な地域交通の確保が課題となっていると認識している。
ワーキンググループでの議論では、地域交通の確保に向けて、住民ニーズに応える行政区域を超えた移動手段の確保・活性化や、効率的な運行を行うことのできる移動手段へのモード転換などが必要であるなどの方向性が共有されている。
公共交通における新たなモビリティサービスの活用や広域連携を進める本実証事業は、このような取組を進めるに当たり大変参考になるものであり、本実証事業を通じて得た知見は広く周知し、積極的に横展開を促していきたい。
さらには、市町村からは県に調整役やノウハウの提供をはじめとするイニシアチブを期待する意見も寄せられており、引き続きニーズに応じた新たな移動手段への転換や地域交通の活性化を先導し、県としての役割を果たしていきたい。
【委員】
刈谷市でも、AIオンデマンド交通を利用する際に、隣の市の病院へ通うために市境のバス乗り場で降車して、バスに乗り換えて行かざるを得ない状況である。市民から、直接病院へ行ければとの声もある。ぜひ、市町村域をまたぐAIオンデマンド交通の実現に向けて、引き続き県主導で取り組んでほしい。
【委員】
先日、私が行った代表質問において、近年の気候変動に伴い、激甚化、頻発化する気象災害を踏まえ、今後は気候変動も考慮した河川計画にしっかりと取り組んでいく必要があると質問したところ、知事から、気候変動の影響による降雨量の増加に対応するため、まずは日光川などの主要河川を対象として、新たな河川計画の策定に向けて今年度から着手するとの力強い答弁があった。
そこで、知事からの答弁内容について、もう少し掘り下げて伺う。まず、気候変動の影響による降雨量の増加というのは具体的にどのようなことを意味するのか伺う。
併せて、今年度から新たな河川計画の策定に着手する主要な河川とはどの河川であるのか伺う。
【理事者】
気候変動の影響について、国際的な専門家で構成された政府間機構で検討され2014年に発表されたIPCC第5次評価報告書には、「気候システムの温暖化について疑う余地がない」とされており、21世紀末に温室効果ガスの排出をほぼゼロにし、最も温暖化を抑えた場合においても、2度程度上昇すると予測されている。また、2015年に採択されたパリ協定では、世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて2度未満に抑えることを目標とし、温室効果ガスの排出抑制対策が世界規模で進められている。
そのため、2021年3月には国の気候変動を踏まえた治水計画のあり方の提言が改定され、その中で、世界の平均気温が2度上昇した場合を想定した降雨量の増加や海面の上昇などを踏まえて、河川計画を検討することが示されている。この提言には、全国の一級河川において気候変動の影響が試算されており、気温が2度上昇した場合、本県を含む地域では降雨量は約1.1倍、流量は約1.2倍、洪水の発生頻度は約2倍になるとされている。
次に、新たな河川計画の策定に着手する主要河川については、日本最大のゼロメートル地帯を流れる日光川水系と、特定都市河川に指定した新川水系、境川水系、猿渡川水系の4水系を対象としている。
【委員】
国から示された提言では、降雨量の増加や海面の上昇等を踏まえて河川計画を検討するとされている。気温が2度上昇した場合に降雨量は約1.1倍だが、洪水の発生頻度は約2倍になるとのことである。そのような中で、四つの水系で新たな河川計画の策定を進めていくとのことであるため、その作業をしっかりと進めてほしい。
この四つの水系の中で、尾張西部を流れている日光川水系に焦点を当てて、新たな河川計画の策定の進め方について伺う。
日光川の下流域は日本最大のゼロメートル地帯であり、水害リスクが非常に高い河川である。日光川の河口には、伊勢湾台風規模の高潮に対して計画された毎秒200トンの排水能力を持つ排水機場があり、洪水を海へ流す治水の要であり、地域にとっての生命線になっている。
治水対策は地域によって特色があると思うが、日光川の排水機場の高潮ポンプは、排水能力の確保が非常に重要であり、新たな河川計画にポンプの増設を視野に入れた検討を進める必要があると思う。そこで、排水機場の高潮ポンプ増設を含めた、日光川水系の新たな河川計画の考え方について伺う。
【理事者】
河川計画は、河川法における河川の整備についての基本となるべき方針を定めた河川整備基本方針と、整備に関する具体的な計画を定めた河川整備計画となる。日光川水系については、2010年7月に策定した日光川水系河川整備基本方針及び2011年5月に策定した日光川水系河川整備計画が現在の河川計画であり、気候変動を踏まえた高潮ポンプの増設などの整備に当たっては、河川計画を変更し、整備内容を位置づける必要がある。
日光川水系の河川計画の作成に当たっては、全国的に増加する降雨量による洪水に加え、高潮の影響を大きく受ける日本最大のゼロメートル地帯を下流域に持つ当河川では、勢力を増す台風による高潮についても検討を行い、どちらにも対応した計画とする必要がある。
増加する降雨量に対する洪水の検討は、今年5月に国の河川分科会河川整備基本方針検討小委員会において全国統一の方法が示されたことから、この考え方を計画に反映させていきたい。
一方、高潮の検討においては、台風の進路や湾の形状などが地域により異なるため、地域特性を踏まえる必要がある。この地域特性を踏まえた高潮の検討が全国的にも初めての試みとなるため、県において有識者で構成する河川構造物分科会を立ち上げ、気候変動が高潮に与える影響の整理を行い、必要ポンプ量を算出するための新たな高潮計算の手法についての考え方を取りまとめてきた。
今後は、気候変動を踏まえた高潮と洪水の検討内容を河川計画に反映し具体化していきたい。
【委員】
日光川水系の新たな河川計画の策定に当たっては、増加する降雨量への対応という観点と、ゼロメートル地帯ゆえに台風による高潮への対応をするとの二つの観点から検討を進めていくとの話であった。また、地域特性を踏まえた高潮への対応は、全国初の試みであるとの話であった。
日光川水系の新たな河川計画の策定に関する、今後のスケジュールについて伺う。
【理事者】
今後のスケジュールについて、これまで進めてきた高潮と洪水の検討内容についての技術的な助言や意見を聴くため、有識者で構成される県の治水計画検討会を今年度内に開催し、河川計画の見直しに着手していく。さらに、来年度からは治水計画検討会に加えて、河川計画の策定に向けての助言や意見を聴くため、有識者で構成される県の流域委員会を公開で開催するとともに、関係する住民意見を反映させるためのアンケートを実施するなど、計画の見直しを進め、2027年度までに新たな河川計画の策定を目指していく。
【委員】
日光川の排水機場は治水の要であり、地域にとっての生命線と申し上げたが、異常気象が異常ではないと言われるようになってきている。建設局においては、このような地域における生命線をしっかりと守り抜く策を今後も講じてほしい。
【委員】
まず、一点目として道路関係についてである。我々が住む東三河地域で、これから地域のポテンシャルをさらに生かすことができるように、今後地元としても景色が変わっていくような大きな出来事として、名古屋市から浜松市まで、全長約73キロメートルの信号のない道路である国道23号名豊道路が今年度末にいよいよ全線開通する。
東三河地域は東西軸が大変充実しており、東名高速道路や国道1号があり、また海側に整備している国道23号名豊道路が、3月末には全線開通を迎える。現状、未開通区間が約9キロメートルあり、蒲郡インターチェンジから豊川為当インターチェンジまでが未開通区間であり、この未開通の数年間の時期は、その手前で下りるため国道1号が慢性的な渋滞であった。また、豊川市の主要道路である姫街道線や、河川管理用道路も、他県からの車が道路を利用する状況が続いていた。全線開通に向けて気にしているのが、御津金野インターチェンジであり、豊川市内の蒲郡側にできるインターチェンジの接続道路として県道豊川蒲郡線があるが、現状の道路は豊川から蒲郡に抜ける細い道路にもかかわらず、抜け道としてスピードも出す人も多い中で、子供たちも通学の道路としても活用しており、大変危険な状況である。
国道23号が全線開通し、御津金野インターチェンジからアクセスする際に、現在、整備を進めている県道豊川蒲郡線が、この3月末の全線開通の時期に併せて整備を完了することが望ましいと何度も議論してきた。整備を進めていく中、今年度末に全線開通を迎える状況に当たって、接続道路である県道豊川蒲郡線の取組状況について伺う。
【理事者】
県道豊川蒲郡線については、現道拡幅区間の延長約0.6キロメートル及びその西側のバイパス区間の延長約1.3キロメートル及び現道にT字で交差する御津金野インターチェンジへ接続する区間の延長約0.2キロメートルにおいて、いずれも片側歩道の計画で整備を進めている。現道拡幅区間は、現在インターチェンジ接続部から東側の約0.4キロメートルで整備が完了している。
インターチェンジへ接続する区間及びバイパス区間は、名豊道路の1日も早い開通を目指し、これまで名豊道路の工事用進入路として活用を図りながら、県道としても名豊道路と同時開通を目指して整備を進めてきており、これまでに橋梁や擁壁などの大規模構造物の施工は完了している。現在は、2月末の工事完了を目標に、残る舗装工事や防護柵設置工事等、開通に向け最終段階の工事を着実に進めている。
供用時期については、名豊道路の整備効果の確実な発現と当地域の活性化及び安全・安心に寄与するよう、年度内に予定されている名豊道路の開通と同時開通ができるよう、引き続き国との調整を進めていく。
【委員】
国道1号から御津金野インターチェンジにアクセスする際に、現状は愛知県の東三河ふるさと公園を回ってアクセスしなくてはならない状況である。今進めている県道大塚国府線は、国道1号から東三河ふるさと公園に向かい、この山の中のトンネルをくぐって御津金野インターチェンジまでアクセスができる路線である。
東三河ふるさと公園周辺は、県立高校の通学路にもなっており、古い地域であるため、幅も狭い道路が続いている。
県道大塚国府線のトンネルの開通も、地元から大きな期待が寄せられている状況であるが、県道大塚国府線の整備状況、また、今後の取組について伺う。
【理事者】
県道大塚国府線のバイパスについて、名豊道路との立体交差部から北側の未開通の区間700メートルを現在事業中である。そのうち、区間の中ほどに、延長約214メートルのトンネルを計画している。
これまでに用地買収を進めており、昨年度、トンネルの両側に残っていた用地を買収することができた。これで用地取得を完了した。
今年度については、最も工期がかかるトンネル工事に向けた準備として、トンネルの北側において、進入口を確保するための市道の付替工事を実施した。現在は、トンネルの南側において保安林解除の手続を進めている。また、振動や騒音など、周辺環境の対策を含めたトンネルの詳細な設計を進めている。
引き続き、早期にトンネル工事に着手できるよう準備を進めていく。
【委員】
できるだけ早く、トンネルを開通することを要望する。
5年前に、県議会の海外調査団としてヘルシンキに行き、当時はMaaSが先進地であり、バス、地下鉄、船、タクシーなど、一つの協議体の中で運用し、うまく進めているとの話を聞いた。新たな交通移動として、また、東三河地域も残念ながら人口減少が進む中で過疎化が進行しているため、その対策としてMaaSを生かしてほしいと常に声を上げている。人口減少や高齢化が進む中、いわゆる2024年問題などの影響として、勤務時間の制約などの影響もあり、運転手の確保が大きな課題となっている。
そこで、県内の運転手確保の課題などの現状を伺う。
【理事者】
厚生労働省愛知労働局が発表している2024年10月の本県の有効求人倍率では、バスやタクシー、トラックなど、自動車運転従事者の有効求人倍率は3.65倍となっており、地域公共交通を維持・確保する上で運転手の確保は重要な課題であると認識している。
【委員】
このような課題がある中で、解決のツールとして自動運転を取り組んでいかなくてはいけない。全国的に実証実験を進めており、また、県内でも実証実験を進めている状況だと思う。
現在、本県をはじめ各地で実証実験が行われているが、本県では社会実装の課題をどのように認識しているか。
【理事者】
地域の移動課題に応じた自動運転サービスが導入されるためには、インフラや法整備などの環境整備や自動運転技術の開発・高度化・標準化を進めることはもとより、実際の利用や地域への受入れの機運が育つための社会受容性の向上、移動ニーズや事業採算性等を踏まえた地域公共交通サービスを展開できる事業モデルの確立、交通事業者をはじめとする地域関係者との連携などが必要であると認識している。
【委員】
今年の10月27日から11月3日まで、海外調査団の一員として、アメリカ、オースティン、テキサス、サンフランシスコを視察した。その中で、グーグルの子会社であるウェイモが実施する、サンフランシスコの町の中で、レベル4のタクシーの社会実装を視察した。
我々も移動の一環としてウェイモに乗り、衝撃を受けたというのが一番の感想である。
ウェイモに乗る際は、携帯電話のアプリで予約して場所を特定し、車が駐車できる一番近い場所に車が来る。そのアプリから鍵を開けて乗車し、乗ったときにはもちろん運転席に人が乗っていない。予約する際に目的地を設定し、価格帯は利用者が多いときは上がるとのことであった。実際に試乗して驚いたのが、運転席側の目の前に大きなモニターがあり、そして、後部座席にもモニターがあり、そこにセンサーで、信号はもちろんだが人にも反応し、緊急車両も絵としてモニターに出てきた。特に驚いたのが、工事現場の小さな赤いコーンにも反応して、モニターに絵として反応していたことである。そして、交差点や右折等も意外と早いスピードでアクセルを踏み込みながら移動している状況であり、これが実際にサンフランシスコの町なかで実証が進んでいる。
我が国における自動運転の社会実装はどのような状況かと国土交通省に説明を聞いたところ、課題となる法律は、道路法が2023年1月に改正されており、2023年4月に施行されている。これにより、運転者がいない状態での自動運転の許可制度を創設し、実際のレベル4の自動運転が制度上可能になっている。
我が国は、サンフランシスコの無人タクシーが町なかを運行している状況を、2026年を目指して国内で実証するスケジュール感である。
本県として、経済産業局で様々な実証実験を行っていることは理解している。これからの本県における長期計画がある中で、この自動車産業の盛んな本県として、全国に先駆けて社会実装ができる長期計画を立てる時期になってきたのかと思っている。
2026年までに、本県も都市・交通局と経済産業局が、今後の展望を抱きながら連携していく時期だと思っている。自動運転の社会実装に向けた取組を進めていくことが、これからの本県にとって必要な時期だと思っているが、都市・交通局としてどのように取り組んでいくのか。
【理事者】
本県では、全国に先駆けて自動運転の実証実験を開始し、自動運転技術の向上とともにビジネスモデルの構築や社会受容性の醸成を図ってきた。本年度は、都市・交通局において県営名古屋空港とあいち航空ミュージアムのアクセス性向上のため、国土交通省の自動運転社会実装推進事業の採択を受け、両施設を結ぶ自動運転バスの実証実験を実施している。
また、県内市町村でも同様の補助金を活用した実証が全国最多である8市において進められており、2027年度のレベル4実装を視野に地域公共交通への自動運転サービスの導入を目指す取組が加速しており、交通対策課においても交通政策の見地から主体的に関わっていく必要があると認識している。
自動運転社会実装推進事業の実施に当たっては、今年度より関係者の綿密な連携体制を構築し、地域の受容性醸成を図りつつ、手続等の透明性、公平性を確保し、各地のレベル4自動運転サービスの実現を加速することを目的に、各地域にレベル4モビリティ・地域コミッティが設置されており、本県からは経済産業局のみならず交通対策課も参画している。
地域コミッティでは、公共交通の見地から地域公共交通計画との調和や実装後の地域公共交通サービスとしての定着に向けた助言を行うとともに、社会受容性の向上に向けた認知拡大や理解促進に取り組んでいる。都市交通局としては、引き続き、自治体や交通事業者など地域関係者との連携を密にして、また自動運転技術に関する知見を有する経済産業局とも緊密にコミュニケーションを図り、地域公共交通の維持充実に向けて自動運転サービスをはじめとする新しいテクノロジーの活用が進むよう、積極的に取り組んでいく。
【委員】
国は2026年で社会実装等を目指していく状況がある中で、自動車産業が盛んであり、そして名古屋市のような大都会があり、また、人口減少が進んでいる地域も抱えている本県として、それぞれの課題解決に向けた対応ができるサービスであると思っている。経済産業局と都市・交通局がしっかりと連携して、この目標年度に向けた積極的な取組を期待する。
【委員】
県営名古屋空港は2005年に県が設置管理する空港としてスタートしてから、来年の2月で20周年を迎えるとのことで大変期待している。2005年2月17日の中部国際空港セントレアの開港と同時に、それまでの国管理の空港から、コミューター航空やビジネス機などの小型航空機の拠点として生まれ変わって、今がある。
20年の歴史を振り返ると、2005年日本国際博覧会の開催があり、2008年のリーマンショックを原因とした景気後退、また日本航空株式会社の経営破綻に伴うジェイエアの撤退などがある。さらには、2011年の東日本大震災の発生、2020年の新型コロナウイルス感染症の拡大など、航空業界や県営名古屋空港を取り巻く環境は変化を繰り返してきた。
また、記憶に新しい2020年の新型コロナウイルスの拡大の際は、県営名古屋空港を発着する定期便が一時全便運休となるなど大変厳しい時期もあったが、その後、航空需要は徐々に回復して利用者が戻り、ターミナルビルもにぎわいが見られるようになってきたと感じている。
そこで、現在の空港の利用状況がどのようになっているか、また、コミューター航空の利用促進の取組をどのように行っているのか伺う。
コミューター航空については、株式会社フジドリームエアラインズの定期便が12月1日現在、青森空港、いわて花巻空港をはじめ、8都市と1日20便を運航している。2023年度からは、夏季に北海道札幌市の丘珠空港と結ぶ便が新設されている。利用者の実績は、開港後初年度である2005年度の約30万6,000人から増加傾向を続け、2023年度はコロナ禍前を上回る約93万人となっている。
利用促進の取組については、事業者である株式会社フジドリームエアラインズとともに、県、地元市町、関係事業者、名古屋商工会議所などで構成する県営名古屋空港協議会及び就航先自治体等と連携して行っている。今年度の主な取組としては、本県や就航先の魅力を発信する冊子、名古屋航路の発行や、青森県や山形県での現地PRを行うとともに、11月に空港で開催された空の日イベントでは就航先自治体によるPRを実施した。
今後とも、県営名古屋空港のコミューター航空の利用促進に取り組んでいきたい。
【委員】
次に、旅客ターミナルビルについて伺う。県営名古屋空港では旅客ターミナルビルの利活用の事業者の公募を開始しているが、もともとは三菱航空機の拠点が入っていた。また、コロナウイルスのワクチン接種会場になるなど、様々な利活用があった。最近もまた公募を開始し新たな事業者が入居するなどの動きがあり、今後、県営名古屋空港の利活用の可能性が広がると思っている。
そこで、旅客ターミナルビルの事業者の入居状況について伺う。
【理事者】
空港活性化の新たな取組として、旅客ターミナルビルの空きスペースを利活用する事業者の公募を2023年と2024年に行った。その結果、現在、空飛ぶ車の開発を行う株式会社スカイドライブ、ドローンの開発を行う株式会社プロドローン及び株式会社テラ・ラボの3社が入居している。
空の利活用の可能性を広げるような次世代モビリティの関連事業者がターミナルビルに入居したことは、ターミナルビルの利活用や空港の活性化にとって有益である。ターミナルビルの2階の一部に空きスペースが残っていることから、現在入居している事業者の拡張利用の可能性や、他の類似企業の動きを見ながら、今後のターミナル活用について検討していきたい。
【委員】
来年2月に県営名古屋空港の開港20周年の記念イベントで、名古屋空港ターミナルビルとあいち航空ミュージアムの間を自動運転バスが走行するなど、新たな試みの話があった。
そこで、開港20周年事業で取り組む自動運転は具体的にどのようなものか伺う。
【理事者】
県営名古屋空港とあいち航空ミュージアムとの間で、アクセス性の向上のため、開港20周年記念のイベントに合わせて実証実験を行うこととした。今回は自動運転レベル2で、あいち航空ミュージアムと航空ターミナルビルを周回するルートを、午前9時から午後5時までの間、約20分間隔で運行する予定である。
事前に応募があった一般の人や、空港内事業者などの関係者が試乗し、感想や意見をもらうことで今後の検討に生かしていきたい。
【委員】
地域活性化の意味でも空港を中心に様々なことが進んでおり、今後に期待が持てると思うが、県営名古屋空港の今後に向けてさらなる活性化を望む上で、今後の20年に向けて、将来に向けて、県営名古屋空港が果たす役割を伺う。
【理事者】
本県としては、今後も引き続き国際拠点空港である中部国際空港との適切な役割分担を行いつつ、都心に近い特徴などを生かし、引き続きコミューター航空やビジネス機などの拠点空港としての役割を果たしていきたい。さらに、空飛ぶ車やドローンなどの次世代モビリティの開発事業者がこのターミナルビルに入居した理由の一つに、型式証明の取得に必要な航空機技術審査センターが本空港内に設置されていることがあり、これは本空港ならではの特色の一つである。また、我が国で唯一、空港の敷地内に立地するあいち航空ミュージアムでは、航空機産業の情報発信、産業観光の強化、次代の航空機産業を担う人材育成の推進にも取り組んでおり、本空港の大きな魅力の一つとなっている。
今後も、こうした県営名古屋空港ならではの魅力や特色を生かした取組を、地元と一緒になり進めていくことで、県営名古屋空港を核とした地域の一層の活性化につなげていきたい。
【委員】
交通安全対策で、幹線道路におけるカラー舗装及び路面標示の現状と交通事故抑止効果、カラー舗装の意味と課題について伺う。
毎日、車のハンドルを握る中で、赤や緑、青など、カラフルにカラー舗装された交差点や道路の上を走らない日はないほどカラー舗装は通常化している。この交差点における赤や青、緑などのカラー舗装は、ドライバーに色で視覚や心理に驚きを与えて注意力を高め、交通事故を抑止するのが狙いだと聞いている。カラー舗装が導入された頃は赤や青のカラー舗装に驚きと緊張感を持ったことを覚えているが、カラー舗装の交差点で、かつてのような緊張感は慣れによって薄れてきていると考える。
そこで、本県としてカラー舗装導入後の交通事故抑止効果はどうであるのか、また、効果の検証や分析などを行っているのか伺う。
【理事者】
事故対策の効果の検証は、対策前後の事故件数を比較することにより評価している。対策を導入した2008年度から対策後の事故件数を集計可能な2021年度までに実施した対策箇所において、対策前後の死傷事故件数を比較し、約47パーセントの事故件数の削減効果を確認している。
また、一部の箇所ではビデオカメラでの撮影による交通挙動調査も行っている。具体の調査内容は、交差点への進入速度、右折車と直進車の時間差、停止位置、走行軌跡などの挙動を読み取り、対策前後の変化を確認し、約9割の箇所で交通挙動が改善していることを確認している。
【委員】
約47パーセント事故が削減しており、効果があることが分かる。
今やカラー舗装がこれだけ通常の光景になると、ドライバーの学習効果でカラー舗装に遭遇しても見慣れており、事故抑止効果がカラー舗装導入直後は効果があっても徐々に薄れているとも思う。そもそも、カラー舗装による交通安全対策はドライバーの注意効果を狙ったものであるため、見慣れた光景だと漫然の運転になりかねないと思う。
そこで、ドライバーのカラー舗装への慣れについて県の見解を伺うとともに、安全への緊張感を継続してもらうための慣れ対策についてどのように考えるか伺う。
【理事者】
ドライバーの慣れについては、県管理道路の交通事故削減を目的に設置した愛知県交通安全対策推進連絡会議の議論において、学識経験者からも話題に上がることがあるが、ドライバーの慣れ具合を評価する手法については課題となっている。しかし、裏づけられたデータにより、対策実施から時間が経過し、カラー舗装が薄れ、ドライバーも対策に慣れた箇所であっても、その対策効果を継続していることを確認している。
具体的には、過去に対策を実施した交差点においてモニタリング調査を実施したところ、ほとんどの交差点において対策実施から10年が経過し、カラー舗装が薄くなっているものの、平均事故件数は対策前よりも低く、事故の増加傾向も見られない状況である。交差点への進入速度についても、対策直後に近い水準を保っており、これらにより施工10年後も事故対策の効果はおおむね維持されていることを確認している。
また、2017年から21年の5年間で、対策を実施した箇所における対策前後の死傷事故件数を比較したところ、全箇所平均の約47パーセントを上回る約62パーセントの事故件数の削減効果を確認した。これにより、近年対策した箇所においても、これまでどおり効果を発揮していることが確認できている。
これらにより、ドライバーの慣れに対しても、カラー舗装による事故対策の効果は継続していると認識している。
【委員】
カラー舗装もカラーバリエーションが増えて、例えば、四角、三角や小さなひし形などが連なるデザインなど、図形の組合せがあまり見慣れないものも見られるようになり、その意味は何だろうとよく疑問に思うときがある。カラー舗装やカラー標示の注意喚起を促すための意味を知る方法があるのかどうか疑問である。例えば、免許更新の際に、講習でカラーバリエーションの意味を教えてもらえるわけでもないため、この意味はどこで聞けばいいのか単純に疑問に思う。
カラー舗装は、肝腎のドライバーがその色や図形の意味するものが分からなければ、どんな注意喚起なのか読み取らなければ、事故抑止にはつながらないと思う。ドライバーは、カラー舗装やカラー標示の意味をどのように受け止めていると考えるか、県の見解を伺う。
【理事者】
カラーや図形のデザインについては、直感的にドライバーに注意喚起できることを主眼に置いている。具体的には、カラー舗装においては減速と細心の注意を求めることを目的に、三段階のカラー舗装を設置することを標準としている。
まず初めに、交差点の手前にて事故注意等の路面標示により注意喚起し、次に交差点進入部において、カラー舗装や区画線の内側に沿って幅の広い点線を配置して減速を促す、いわゆるエスコートマークを設置してドライバーに対して細心の注意を求め、最後に交差点内部において安全な走行位置や停止位置を明示するようにしている。
このように、進入区間から交差点に向かって段階的に警戒感を高めるように意識して、路面標示やカラー舗装の使用を定めている。
また、文字などによる注意喚起についても、ドライバーに分かりやすく伝えることが最も重要と考えている。それぞれの箇所で実際に発生した事故の内容や原因を勘案し、個別に対策を立案しており、注意すべき内容を端的に伝えることを意識して、歩行者注意や追突注意などの標示内容を設定している。
本県では2008年度にカラー舗装による事故対策を開始し、その頃は多くの地域で報道に取り上げられドライバーに周知されたが、その後対策が進んだ現在も一定の事故削減効果を上げているとの点から、引き続き、注意喚起の意図は伝わっているものと考えている。
今後もドライバーに伝わりやすい注意喚起に努め、事故減少に向け、道路管理者とも連携し、さらなる安全向上に取り組んでいく。
【委員】
カラー舗装には規定がなく、色もデザインも地元自治体と警察が決めているとのことである。
市町村の道路で色やデザインの意味も変わってくるのであれば、ドライバーの認識に違いが出てしまい抑止効果とならないことも心配されるが、県の見解を伺う。
【理事者】
道路管理者ごとに事故対策における対策内容から舗装の色などの仕様が異なると、ドライバーの認識に違いが出ることが危惧されることから、この統一を図ることにより対策の広範な普及に加え、ドライバーにとっても危険箇所として認知しやすくなるよう考えている。このため、事故対策の仕様については愛知県交通安全対策推進連絡会議に諮り、国や名古屋市とも連携し、統一の仕様を定めてきた。
対策内容については、右折ポケットの設置や交差点進入部のカラー舗装による減速・注意喚起など、効果的な工法と仕様を標準化し、カラー舗装の色については国のカラー舗装の標準色に合わせて実施する。この仕様については、県内道路における色やデザインが統一されるよう、市町村に対しても情報提供してきたところであり、管理者が異なる道路においても一定の抑止効果が得られている。
【委員】
今年の主要プロジェクトの進捗状況の交通安全対策で、幹線道路のうち交通危険箇所を157か所選定して、2025年度までに原因を踏まえた対策として、交差点改良などの抜本対策や、カラー舗装や路面標示などの速効対策で事故抑止を図っていくと説明を受けた。
例えば、カラー舗装や路面標示で事故抑止を図っていくこととなれば、愛知県内の道路はさらにカラー舗装が増えていくことになり、メンテナンスのサイクルの問題が出てくると思う。とりわけ、視覚で事故抑止を訴えるのがカラー舗装の役割であるため、色落ちや消えてしまった場合は効果が半減すると思う。
常に色をキープするためにはメンテナンス費用がかさむことは避けられないと思うが、カラー舗装が増えていく現状において、メンテナンスの考え方について伺う。
【理事者】
カラー舗装のメンテナンスについては、極力少ないコストで効果を維持できるよう努めている。
まず、カラー舗装の塗り直しは、舗装が悪くなったタイミングで舗装の修繕と併せて更新することを基本としている。その根拠としては、カラー舗装による対策の実施から10年経過し色が薄くなった箇所においても、事故削減数や交差点進入速度の低下水準が保たれており、対策直後の効果が維持されていることに基づいている。
そして、舗装本体の修繕に併せカラー舗装を更新する際には、効果が期待される範囲内で省力化した構造としている。具体的には、車両のタイヤとの接触による摩耗を避けるため、カラー舗装の幅をこれまでより狭い1.1メートルに縮小して実施することや、交差点進入部の直線車線には赤色系のカラー舗装は実施せず、エスコートマークのみ実施することとしている。
今後も、カラー舗装のメンテナンスコスト低減を意識しながら効果的な対策を講じていく。
【委員】
10年経過して色が薄くなった箇所でもカラー舗装の対策直後と効果が維持されており、事故抑止効果もあるとのことであるため、ドライバーが無意識のうちに安全走行に努めていることは、いい意味での慣れだと感じた。そして、メンテナンスの費用もかかるため、効果のある範囲で省力化するとのことで、そのような努力をしながらも、効果があるためカラー舗装を継続していくとのことはよく分かった。
引き続き、費用はかかると思うが、カラー舗装にしっかりと取り組んでほしい。
【委員】
河川の堤防及び河床に繁茂する樹木が成長して、台風や線状降水帯などによる局所的な大雨のたびに河川付近の住民は不安に思っている。
計画的に河川に茂る雑木を除去するためには、まずは河川内の状況を把握する総点検の実施が必要と思われる。渇水期の冬季が点検作業に最適と言われているが、具体的な河川内の点検内容について伺う。
【理事者】
河川堤防などの河川内の点検については、定期的な河川パトロールによる巡視や、年1回、出水期前の11月から2月に現地で目視での点検を行っている。その点検項目としては、堤防や護岸において割れ目や亀裂などの損傷の有無、川の中の堆積や深掘れの状況を点検している。
その際、河道内の樹木の繁茂状況についても、洪水の流下に阻害がないか確認を行っている。また、これらの点検に加え、2020年度には上空から俯瞰的に繁茂状況を把握するため、航空レーザー測量を実施し、データ化を行っている。
【委員】
数年前、国において災害防止対策への予算が大幅に増額され、県管理河川香流川においても、その予算を活用し、河川内に繁茂する樹木を伐採した記憶がある。他の河川などにおいても河床や堤防に繁茂する樹木を伐採してもらいたいと思うが、その実施状況について伺う。
【理事者】
樹木伐採の実施状況について、河道内の樹木などは、2017年度以前は県単独事業により、流下断面の阻害が著しい箇所において局所的に伐採を実施していた。しかし、平成30年7月豪雨や2018年台風21号などの被害を受け、2018年度に国において防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策がまとめられ、集中的に伐採を実施した。さらに、2019年度の補正予算や2020年度からの防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策を活用し、流下阻害が特に大きい一連区間で伐採を実施するなど、加速化して進めている。
今年度は国の防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策の予算により、天白川や矢田川をはじめ18河川で伐採に取り組んでいる。また、局所的に繁茂している箇所や伐採後に再繁茂した区間については、県の単独事業により実施している。
【委員】
香流川で数年前に伐採した箇所のうち500メートルの区間で樹木が再繁茂し、そのうち150メートルを除去すると聞いている。この150メートルの計画はどのような状況から決定したのか。さらに、500メートルの区間に繁茂する河床、堤防の樹木を除去するには、何年で実施する考えであるか伺う。
【理事者】
香流川の状況については、2019年度の国の補正予算を活用し、県道田籾名古屋線の香流橋から国道302号までの約1.8キロメートルの区間において伐採を集中的に実施した。伐採した区間のうち、その後の河川パトロールなどにより、市道猪子石第43号線の新屋敷橋から市道猪子石第1号線の中島橋までの約500メートルにおいて、再繁茂している状況を確認した。
このため、県単独事業により、今年度から本区間最下流の新屋敷橋から順次上流に向けて伐採することとし、今年度は予算の状況や工期などを踏まえ、新屋敷橋から約150メートルの区間を伐採する予定である。当該約500メートル区間の伐採については、予算や現地の状況にもよるが、今年度も含め3年以内を目標に完了できるようしっかりと取り組んでいく。
【委員】
これまで、本県議会の建設委員会において、県営住宅に関する質疑が幾度も行われている。公営住宅である県営住宅の施策は公営住宅法により定められ、その役割は低額所得者で住宅に困窮する社会的な弱者を救済するセーフティーネットであり、これを具体的に取り組んでいるのが県建築局である。
現在、本県が行っている県営住宅の募集は、これに応えていると思うか。
【理事者】
県営住宅の入居者募集については、抽せんにより入居者を決定する募集と、先着順に常時受付をする募集がある。抽せんによる募集には、既設住宅で入居者の退去により空きが生じた住戸のうち、築年数が浅い、立地や利便性がよいなど、入居を希望する人が多いと見込まれる住宅を年3回実施する定期募集と、県営住宅を建て替えた際に、建替に伴う移転者用以外の住戸を新設住宅として募集するものがある。
このほか、建設から年数がたっている、交通の便が悪い、エレベーターや風呂設備がないなどの住宅が中心ではあるが、募集の時期を限定せず、先着順による常時募集を行っている。複数の募集方法を設けることにより、入居申込みの機会を広げ、個々の事情に応じた県営住宅の提供をしており、公営住宅としての役割を果たしているものと考えている。
【委員】
2024年度第3回県営住宅の常時募集の受付を、2024年11月1日から2025年2月28日まで、先着順で行っている。このパンフレットの1ページに、県営住宅は住宅に困窮する低額所得者が健康で文化的な生活を営めるように、低廉な家賃で賃貸することにより、国民生活の安定と社会福祉の増進に寄与することをはっきりと目的として明記している。国の補助を受けて建設されたものであると明記もしている。そして、入居者には一般の民間賃貸住宅にはない手続をお願いしている。
ここに記している内容について、もう一度具体的に詳細な説明を求める。住宅に困窮する低額所得者に対して、県営住宅を提供するために入居者募集を行っているといえる点を具体的に説明してほしい。
【理事者】
県営住宅は、住宅に困窮する低額所得者に低廉な家賃で賃貸することを目的としており、高齢者など特に配慮の必要な人を除き、同居する家族が必要なこと、現に住宅に困窮していること、原則、所得月額15万8,000円以下とする収入基準に適合していることなどの入居資格がある。このため、入居に当たっては入居資格の審査があり、収入を証明する書類などを提出してもらう。
なお、本県では、より所得の低い人に対して家賃を減額する制度を設ける、入居に際して求めていた連帯保証人を廃止するなど、住宅に困窮する低額所得者が県営住宅に入居しやすくなるようにしている。
【委員】
2024年度第3回常時募集の募集戸数は、889戸となっている。その内訳について、具体的に伺う。また、県に対して事前に調査を求めた質問に応えた資料があるため、委員長の許可を得て、この資料の配布をしたい。
【委員長】
委員から、資料を配付したいとの申し出があったため、これを許可する。
【委員】
配付した資料は、県に対して事前に調査を求めた質問に応えたものであり、今回の県営住宅募集に当たり、風呂設備の有無の数字が示されている。889戸の入居者募集のうち、風呂設備のある数は243戸で、全体の27.3パーセントである。889戸の入居者募集のうち、風呂設備のないのは646戸で、全体の72.7パーセントである。資料には、名古屋地区のほかに、尾張、一宮、海部、知多、西三河、知立、豊田加茂、東三河の各地区がある。
私の地元を所管する名古屋地区に絞って伺うが、名古屋地区の今回の常時募集では、279戸のうち98.6パーセントの275戸が風呂なし募集である。募集パンフレットを見て申込書を記入した人のほとんどが、今は風呂がないが、入居が決定したらすぐ県が工事してくれると理解して、私に対して確認を求めるが、何と答えたらよいかためらいを覚える。
この住宅の今回の空き家募集には風呂設備はないのは事実で、入居者が風呂設備の代金を支払えとしている。県営住宅申込みの募集パンフレットの1ページに記載のある、住宅に困窮する低額所得者に住宅を提供とはうそであるのか、県の認識を伺う。
【理事者】
県営住宅は、公営住宅法の目的に定義されているとおり、住宅に困窮する低額所得者に対して低廉な家賃で賃貸等するため、健康で文化的な生活を営むに足りる住宅を整備している。整備基準についても、それぞれの時代の社会経済情勢の変化に伴い、充実が図られてきており、時代に即した仕様により整備を進めている。
【委員】
住宅に困窮する低額所得者に対しても、入居には3か月分の敷金を求めている。これは家賃の滞納及び退去時の保証金だとする考えは、今の日本では一般的な考えである。
私の事務所に、コロナ禍で飲食業を経営しており、国の支援策で緊急の無担保・無保証による融資で立て直すことができたが、返済期を迎えて従業員の給与、パートの給与を値上げすることができず、原材料費の値上げが重なり、深刻な経営不況の状況となり、店の閉店を決め、民間の賃貸マンションは家賃も高いので県営住宅に申し込みたいと、空き家の申込みは先着順のため申込みしてすぐにでも入居したいとの相談があった。さらに、主人が病気で亡くなったため、これまでのマンションの家賃を支払えなくなったことから、すぐに入居ができる先着順入居の県営住宅に入りたいとの相談を受けた。
相談に来た人に募集パンフレットを渡したが、県営住宅申込みの際に連帯保証人は要らないとの大きな表示に、これは助かると言われたが、すぐに私に対して、これはどういう意味か分からないと質問されたのが、風呂なしの申込み住宅の件である。その意味について、今は風呂がないが入居時には県が設置してくれるものと理解し、その確認を求められ、何と答えるべきか思案し、実は入居に対しては3か月分の家賃の敷金が必要で、そのほかに風呂設備の設置は自身の負担であると正直に話をした。相談に来た県営住宅申込みの人は、初めは意味が分かっていない様子であり、なぜ県営住宅に入居するのに自分が風呂設備の設置費用を出さなければいけないのか理解ができていないのである。
そこで、風呂設備にはバランス釜式、給湯式があるが、これを設置するのに幾ら費用が必要であるか伺う。
【理事者】
既設の住戸の浴室に風呂設備を設置する際の工事費は、本県で改修工事を行う場合、浴槽を含めて1住戸あたりバランス釜方式は約40万円、給湯器方式は配管などの工事が伴うため約100万円である。
【委員】
住宅に困窮する低額所得者に40万円や100万円も用意させて風呂設備をつけることは、社会的セーフティーネットとして県営住宅を提供することと整合性が伴わない。
低額所得者で住宅に困っている人に、巨額な費用が必要な風呂設備について、もう一度説明を求める。
【理事者】
これまで、本県では時代の需要に応じ、県営住宅を整備してきた。特に、昭和40年代から50年代にかけて大量の県営住宅を整備してきたが、当時の整備基準では入居者が風呂設備を設置することとされていた。
なお、風呂設備のない既存住宅については、建て替え事業や既設改善事業などにより設置を進めている。
【委員】
道理に合わないことを、平気で変わらず募集している神経が理解できない。県当局の率直な答弁を求める。
【理事者】
県営住宅の整備については、それぞれの時代の社会経済情勢の変化に伴い、整備を進めてきた。浴槽と風呂釜については、昭和61年4月1日の管理開始住宅からは全ての新築住宅に設置してきている。それ以前の風呂設備のない住戸については、平成26年度から設置工事を行っており、今後も引き続き風呂設備の設置を進めていく。
【委員】
2024年度第3回常時募集では、889戸のうち風呂なし72パーセント、名古屋地区は279戸のうち風呂なし98.6パーセントである。最近は、民間のマンション、アパートの空き家が多くなっている。この、民間のマンション、アパートで大家が風呂設備の設置を入居者に求めている光景は100パーセントない。風呂の修理、設備の更新は、全て大家の負担である。
低額所得者で、住宅に困窮している人に風呂設備を設置せよ、そうしたら入居させてやる、空き家ばかりとなっても、自分たちの腹は痛まないとの考えだからこそ、平然と全体の72パーセント、名古屋地区は98パーセントで風呂設備のない空き家募集ができるのではないか。
トランプ次期大統領が来年1月に誕生すれば、日本の経済は貿易における関税策を含め、産業界に深刻な状況を示すことになる。特に、自動車、鉄鋼、機械を主要な産業とする本県は深刻となる。ますます公営住宅入居者が多くなることと考える。早期に対応する必要性が増すことも考えてほしい。
そこで、100パーセントの風呂設置、風呂つき住宅の募集をする目標を、期限を定めてほしい。それはいつ頃を目標とするのか。
【理事者】
県営住宅の整備については、国の交付金制度等を活用することとし、老朽化が進んでいる住宅の建替事業のほか、既存住宅の外壁や配管等の改修などを行う長寿命化改善事業、居住性の向上を図る住戸改善事業など、バランスを考慮して進めており、風呂設備の設置についてはこれらの事業の中で対応を図っている。
このため、風呂設備のみの整備計画ではなく、建替事業、長寿命化改善事業、住戸改善事業の組合せにより、今後についても風呂設備の設置が効率的に実施できるよう努めていく。
【委員】
6月定例議会の建設委員会でも、県営住宅に風呂をつけることを求めた。建築局長からも答弁をもらい、改善に努めたいとの趣旨であったが、どれだけ改善に努めたのか不明である。
住宅に困窮する低額所得者を対象として、いつでも県営住宅に申し込んでほしい、先着順に受け付けると、全県内に募集パンフレットを配っているが、私の元へ相談に来た人は、こんなパンフレットを平然と配布させる県も県だが、県会議員は一体何をやっているのかと厳しい叱責を受けた。
県営住宅の責任者は建築局長であり、また、大村秀章知事である。私から見て建築局長が体を張って取り組んでいるとの声が届いていないが、建築局長の答弁を求める。
【理事者】
県営住宅の整備は国の交付金制度等を活用し、建替、長寿命化改善、住戸改善等バランスを考慮し総合的に進めている。今後についても、国の制度を活用し、総合的に判断して取り組んでいきたい。
【委員】
県営住宅の入退去を直接的に対応している県住宅供給公社がある。県から派遣された職員は、定期的に人事異動で県に戻る。また、県営住宅に携わったことのない建築局以外の県職員も、愛知県住宅供給公社に派遣されている。県住宅供給公社も、直接職員を募集・採用し、職務を行っている。
県会議員として50年目の私の目から見ると、職務の合理化を含め、以前とは程遠いような県営住宅の入居者との対応に心を痛めている。県職員である本庁の担当者、愛知県住宅供給公社に出向している職員、そして愛知県住宅供給公社の職員までも、県営住宅に直接出向いて、自治会や入居者のもと、すなわち現場に出向くことが本当に数少なくなっている傾向が顕著に見られる。県営住宅にある業務所との連絡のみの対応で、正確に県営住宅の管理状況や住民の声を聞くことは少ない。
なぜ、現場に出向かないのか。それは、統制した組織がないからである。どう改善するのか、答弁を求める。
【理事者】
愛知県住宅供給公社は、県営住宅の管理代行者として県営住宅の入居者決定や施設管理などを行っている。愛知県住宅供給公社では、本社に管理代行業務を統括する賃貸住宅課、技術業務課を置き、県内8地区の管理事務所、支所等で入居事務や維持管理等を行っており、各地区の基幹となる住宅には業務所も設けている。愛知県住宅供給公社においては、職員が定期的な施設巡回や納付指導など、各住宅に出向いて状況を把握するとともに、入居者の高齢化や外国人入居者への対応として、市町村の福祉部門との連携や外国人サポートデスクの設置など、状況の変化に応じた取組を行っている。また、サービス水準の向上を目的とした入居者満足度調査を毎年2回実施し、業務改善に生かすとともに公社職員の管理能力及び接遇力の向上を図るため、各種研修を行い、人材育成にも取り組んでいる。
県の職員も、愛知県住宅供給公社主催の現場研修会に積極的に参加するなど、県営住宅の管理に必要となる知識の習得・向上に努めている。
引き続き、県職員及び公社職員の資質向上を図り、愛知県住宅供給公社とともに適切な県営住宅の管理に努めていく。
【委員】
次に、県営住宅には自治会があり、共益費の一部を県が家賃とともに徴収しているが、県が行っている共益費には排水管の清掃の費用は含まれておらず、自治会で行わせている。
これは事実であるか。なぜ自治会に行わせているのか。
【理事者】
令和2年度から開始した附帯設備使用料、いわゆる共益費の県徴収制度の導入に当たり、自治会へのアンケートや自治会役員へのヒアリングを行ったところ、排水管の清掃については住宅の維持管理上、重要な項目であるものの、汚水処理施設やエレベーターの保守とは異なり、住宅ごとで実施する時期や回数、清掃の方法が違い、また、かかる費用にも住宅ごとで差があることが分かり、一律な対応が難しいことから県徴収制度の対象項目としていない。このため、排水管の清掃は自治会で実施してもらっている。
【委員】
県営住宅は、県にとって大切な資産である。県営高針住宅の2棟目の大改修が始まった。しかし、給排水管工事は、3回目の入札を行っても、どの企業もこの時期人手がないとのことでどこも工事してくれない。
ここで疑問に思うのは、排水管の清掃は自治会で行っているとのことであり、給排水管の工事はできないが清掃はできているとのことである。絶対におかしいと思う。
排水管の清掃業者はどのような業者なのか承知しているのか。排水管の清掃が実際にどのように行われているのかを県は確認しているのか。
【理事者】
令和5年度においては、236住宅で排水管の清掃を実施している。これら住宅で排水管清掃を行った業者は7社あり、このうち6社は建築物における衛生的環境の確保に関する法律に基づく、建築物の排水管の清掃を行う事業の知事登録を受けた業者で、残る1社は一宮市下水道排水設備指定工事店規程に基づく指定工事店である。
なお、自治会は毎回同じ業者に排水管の清掃を依頼しており、業者においても住宅の施設状況を把握しており、大きなトラブルも発生していない。また、排水管清掃の着手及び完了の際には、業者から愛知県住宅供給公社への連絡により実施の確認を行っている。
【委員】
清掃作業中に排水管が壊れた場合、その住宅は大変なパニックになる。その被害は想定すらできない。弁償もできないような業者や業者選定しかしていない自治会は、どのように県に損害賠償するのか。そのとき、県はどのように対応するのか。
【理事者】
排水管の清掃に際して、業者の過失により排水管を破損させ損害が生じた場合は、業者が賠償責任を負うことになる。しかし、業者に過失がなく排水管の劣化等に起因して破損した場合は、住宅管理者の負担により修繕等の対応を行っている。
【委員】
屋上防水、壁面補修は県が行っている。なぜ、県は排水管を清掃しないのか。病気でいえば、皮膚科は無料で検診するが、内科は自分でやれ、有料だとするのと同じである。
改めて聞くが、県が直接、排水管の清掃をやるべきだと考えるが、県当局の答弁を求める。
【理事者】
現在、295の県営住宅のうち全体の3分の1を超える104県営住宅で附帯設備使用料の県徴収を行っている。また、来年度から新たに11県営住宅で県徴収への移行が予定されている。この制度については、一定の理解が得られ、成果が出ている。
一方で、自治会への県からの制度説明の際には、自治会の役員からは、排水管の清掃や草刈りなどについても一緒に県徴収の対象としてほしいとの意見をもらっている。
このため、現在、改めて全ての住宅の自治会に排水管清掃の実施状況に関するアンケートを行っている。今後、この調査結果や他県の実施状況を踏まえ、排水管清掃の手法や清掃頻度はどうするかなど、排水管清掃をどのような形で徴収項目とするか検討を進めていきたい。
【委員】
現在、県営住宅は空き家が多いが、この空き家に対する共益費の負担について、県当局として負担金を自治会に支出しているのか。この問いは、共通の排水管の清掃及び樹木剪定等の共益費は、自治会が住民から徴収して負担することになっているため質問するものである。
県は、空き家の修繕をすぐに行っておらず、空き家の数が多くなった場合に、一括して業者に依頼しているようである。さらに、住宅内で死亡した人が相当数の日数を経過して発見された場合は、修繕もしないとしている。また退去者の私物があるからと修繕もできず、相当数が空き家になっている。県は、これら様々な状況での空き家に対して、長期の放置をしている。
廊下やエレベーターの電気代など、県側の責任に相当する負担については県が負担すべきではないか。空き家分の共益費を、住民が負担していることを指摘しているものである。県当局の答弁を求める。
【理事者】
附帯設備使用料の県徴収を行っていない住宅については、当該住宅の空き家率が10パーセントを2か月以上継続して超えた場合には、汚水処理場、エレベーター、共用灯、給水ポンプの電気代などについて、空き家率10パーセントを超えた空き家に係る共益費相当額を県が負担している。
【委員】
空き家の率が10パーセントを超えた場合や、2か月以上継続して超えた場合などは、自分たちが勝手に決めたことで住民は全然関知していないことであり、検討してほしい。
高度成長期、住宅が不足して多くの県営住宅が建設され、そこに住む人は、給料は低いが将来に希望を持つ若い人たちが多くいた。彼らは自分の家を持つことを目標に一生懸命頑張り、当時の日本の社会を支えてきた。
しかし、2024年10月1日現在の本県の人口は、65歳以上が25.8パーセント、75歳以上が15パーセントとなっており、本県でも確実に高齢化が進んでいる状況である。今の県営住宅は、年金生活となった高齢者が民間の高い家賃を払えなくなり、自分の家を修繕するお金がなくやむを得ず家を手放さなければならなくなり県営住宅に移り住み、県営住宅が最後の棲家となっている。
国立社会保障・人口問題研究所の日本の世帯数の将来推計では、県内の世帯総数のうち65歳以上の独り暮らしの世帯が、2020年の11.3パーセントから2050年には19パーセントに、また、75歳以上では6.4パーセントから12.5パーセントに、30年間でそれぞれ増加するとなっている。これを県営住宅の状況と比較すれば、県営住宅の入居者の高齢化がいかに進んでいるかが分かる。
そこで、現在の県営住宅の入居者の状況を教えてほしい。県営住宅に住む人はどれだけいるか。年代別で見た場合、どうなっているか。また、世帯人数の状況はどうか。そして、高齢者がいる世帯は、単身世帯、高齢者のみの世帯、高齢者以外の家族がいる世帯、それぞれどれだけいるか答弁を求める。
【理事者】
本年10月1日現在で、公営住宅として管理している普通県営住宅には4万3,307世帯、8万9,154人が住んでいる。人口統計で示される3区分による年代別で見ると、0歳から14歳までの年少人口は1万425人で入居者の11.7パーセント、15歳から64歳までの生産年齢人口では4万6,463人で入居者の52.1パーセント、65歳以上の老年人口は3万2,266人で入居者の36.2パーセントとなっている。なお、老年人口のうち75歳以上は1万9,741人が住んでおり、入居者の22.1パーセントとなっている。
次に、世帯の人数であるが、4万3,307世帯のうち単身世帯が1万5,296世帯で35.3パーセント、2人世帯は1万6,738世帯で38.6パーセント、3人世帯は6,780世帯で15.7パーセント、4人以上の世帯は4,493世帯、10.4パーセントなっている。
最後に、高齢者がいる世帯であるが、65歳以上の高齢者がいる世帯は2万4,280世帯あり、全世帯の56.1パーセントとなっている。高齢者世帯の状況であるが、65歳以上の単身世帯が1万800世帯で全世帯の24.9パーセントを占め、そのうち75歳以上の単身世帯は7,201世帯で全世帯の16.6パーセントとなっている。また、単身世帯以外の高齢者世帯は、高齢者のみの世帯が6,377世帯で全世帯の14.7パーセント、高齢者と高齢者以外の家族で住んでいる世帯は7,103世帯で全世帯の16.4パーセントとなっている。
【委員】
県営住宅には約9万人が住んでいるが、65歳以上の高齢入居者は36.2パーセントにも上り、75歳以上では22.1パーセントもいるとのことである。本県の人口で65歳以上が25.8パーセント、75歳以上が15.0パーセントであるため、いかに県営住宅の入居者の高齢化が進んでいるかが分かる。そして、県営住宅では65歳以上の独り暮らしの人が、県営住宅の全世帯の24.9パーセントを占め、75歳以上の独り暮らしの世帯は16.6パーセントも占めている。これは、本県の2050年の将来推計である19.0パーセントと12.5パーセントを、現時点ではるかに超えている。
このような状況を見れば、県営住宅はまさに最後の棲家である。高齢者の世帯は、高齢者が独りで住む単身世帯だけでなく、高齢夫婦で支え合っている世帯や、8050といわれる、年老いた親を同居の子供が支えている世代もあるが、皆、将来に不安を抱えている。既に介護が必要な人もたくさんいる。それが、今の県営住宅である。若い人たちにも県営住宅に入居してもらい、県営住宅に活気を取り戻すことが必要である。
県営住宅では、子育て世帯や新婚世帯も、高齢者世帯と同じように優先入居の対象としている。私は15年ほど前に県議会で、婚約し人生の新たなスタートラインに立ち、希望に満ちた若者たちが住宅に困っている現状の中、新しい世帯に希望を与えるために婚約中を含む新婚世帯を高齢者世帯などと同じように県営住宅の優先入居制度を適用するよう県当局に求め、新婚世帯の優先入居が実現した。これは全国に先駆けたもので、多くの若い希望に満ちた新婚世帯に喜ばれた取組となった。
そこで、新婚世帯の優先入居の申込状況について伺う。県営住宅の入居者募集に応募した新婚世帯はどれだけあったか。
【理事者】
新婚世帯をはじめ、優先入居の対象世帯は抽せん募集で設けている福祉枠に応募することができ、福祉枠で落選した場合には一般枠でも抽せんを行い、当選する確率が高くなるよう配慮している。令和5年度の抽せん募集における福祉枠の応募状況は、応募があった933人のうち新婚世帯からの応募は24人であった。
【委員】
昨年度1年間で、優先入居のため設けた福祉枠には933人が応募し、そのうち新婚世帯は24人しかいなかった。これは、若者は県営住宅に入居することを希望しない結果の表れである。
なぜ、若者が県営住宅に入居したくないのか。若者にとって、高齢の入居者が多い県営住宅に新たに入居すれば、自治会の役員を押しつけられる、県営住宅は古くて不便で汚いなど、そのようなイメージが定着しているのではないか。県営住宅は建てられてから何十年間も、一度も外壁の塗り直しがされず、黒くくすんだ外観を見れば、若者でなくても多くの人は入居したいとは思わない。
国による指導と思われるが、公営住宅の建物を永く維持するためには、定期的な補修による改善をすることになっていると思う。おおむね20年から25年を目標としている規定があることを承知している。この規定について詳細を伺う。
【理事者】
本県では、県営住宅の良好な居住環境を維持するため、かつては修繕計画を策定し、屋上防水や外壁塗装は25年など、工事項目ごとに修繕の目安となる周期を設けて計画的な修繕を実施していた。しかし、現在は長期的なサイクルで実施する屋上防水や外壁塗装などについては、必要性・緊急性を精査し、個別に予算計上している。
【委員】
同じ公営住宅である名古屋市営住宅は、20年に一度は住宅の大改修を行っている。同じ公営住宅である県営住宅はなぜできないのか。
【理事者】
県営住宅の維持管理の主な財源である家賃収入が、平成8年の公営住宅法の改正により大幅に減少したことに伴い、維持修繕の予算の確保が困難となり、一般修繕費を優先的に確保したため、外壁塗装などの予防保全的な計画修繕がほとんどできなくなった。このため、国の補助金による財源の確保や施工箇所の精査を行い、財政当局とも議論を重ね、法改正前である平成8年度予算の約4割まで減少していた維持修繕費の予算を、本年度予算では7割を超える額まで確保することができた。
しかし、いまだ維持修繕を行うための十分な予算が確保できたとは言いにくい状況であるため、引き続き財政当局と折衝し、維持修繕に係る予算の確保に努め、入居者の安全安心を最優先に効果的な修繕の実施をしていきたい。
【委員】
名古屋市会議員からは、名東区内の建築物で幽霊屋敷のように薄汚い住宅は、県営高針住宅と県営梅森住宅だけで、名東区民として恥ずかしいと言われた。
県営高針住宅には5棟の住棟があるが、昨年、1号棟が40年以上たってやっと外壁が塗り直され、現在は2号棟の長寿命化改善工事の着手にかかっている。しかし、残る三つの住棟の塗り直しは、まだ先になる。私は50年も県会議員をやっているが、無気力であるかのごとく批判されているようで誠に無念でならない。毎年、県当局に早急の大規模改修を求めている。
名古屋市は20年に一度大規模改修が実施できているのに、なぜ本県ができないのか再度伺う。
【理事者】
昭和40年代から50年代にかけて大量に建設された県営住宅の老朽化に対応するため、計画的かつ効果的な整備・活用を図っていくことを目的とする愛知県営住宅長寿命化計画を策定して、既存県営住宅の長寿命化改善事業を実施しており、外壁や屋根、配管等の改修を実施し、居住環境の向上に取り組んでいる。県営高針住宅の改修工事についても、この長寿命化改善事業により実施している。
今後も、計画修繕と長寿命化改善事業を組み合わせて、より効果的に事業を実施し、居住環境の維持・向上に取り組んでいきたい。
【委員】
先日も、入居の相談を受けた際に、高針住宅に入居するのであれば改修工事が終わった1号棟でなければ嫌だとの話があった。名古屋市営住宅と比較して見劣りしない県営住宅にしてほしい。理解ができないのは、名古屋市営住宅ができて、なぜ県営住宅ができないのかということである。検討してほしい。
現在の生活様式は、県営住宅が大量に造られた高度成長期から大きく変わっている。県営住宅も、木造住宅やブロック積みの簡易耐火住宅から鉄筋コンクリート造の中層住宅、そして高層住宅に変わってきている。トイレの設備もくみ取り式から水洗式に、和式から洋式に変わるなど、時代に合わせて見直されてきた。
県営住宅の仕様は、どのように見直されてきたのか。主な変遷と理由を伺う。
【理事者】
公営住宅は、以前は国が定めた整備基準に基づき整備を行っていたが、現在はこれを参考として、愛知県県営住宅条例で定める基準に基づき整備を進めており、それぞれの時代の社会経済情勢を反映した整備基準の改正を行ってきた。特に、平成6年に策定された人にやさしい街づくりの推進に関する条例は、高齢者や障害者など全ての人が利用しやすい施設の整備を目的とするものであり、基準の見直しを行った。
主な見直しとしては、平成6年に屋外スロープの勾配を12分の1から15分の1と緩やかとなるように変更、平成14年に、国の整備基準の改正に合わせ、3階建て以上の住棟にはエレベーターを設置、平成21年には、自治会との意見交換などを踏まえ、介護者専用駐車場を設置、などが挙げられる。
【委員】
県営住宅には、安全性、居住性、耐久性、そして長寿社会への対応が求められ、バリアフリー化がその代表である。県営住宅には身体障害者向けに対応し特別に設計された部屋がある。高針住宅にも身体障害者向けの部屋が造られ、車椅子に対応した住宅を、障害者に配慮したすばらしい部屋を県が造った。
いつから、どのような理由で県営住宅に身体障害者向けの住宅を造るようになったのか。
【理事者】
昭和46年4月1日に、建設省、厚生省において心身障害者世帯向け公営住宅建設等実施要領が定められ、心身障害者向け公営住宅の整備に際して、原則、平屋または共同住宅の1階とすることや、設計に当たってはできる限り心身障害者の生活に適するよう配慮することとされた。これを受け、本県では昭和49年に建設した住宅から、必要に応じて身体障害者世帯向けの住戸を整備している。
【委員】
具体的にどのような部屋か紹介すると、まず玄関扉は開口幅の大きな引き戸となっており、土間と部屋の間に上がり框はなく、部屋のドアも全て引き戸である。車椅子のまま部屋に移動することができる形状になっている。台所や洗面は低くセットされ、車椅子でも使えるように、流しの下は空間が設けられている。そして、風呂場と和室は床面を数十センチメートル上げて車椅子から降りやすいようにしてあるなど、車椅子で生活する人専用の仕様になった画期的な部屋であった。
しかし、これは当時の身体障害者向けの部屋の話である。この仕様が現代に本当に合っているのかどうか。身体障害者に配慮した部屋を整備することは、障害者に寄り添ったすばらしい施策だと思うが、時代に合ったものでなければ、入居者にとって使いづらいものとなる。
床面を数十センチメートル上げた和室は必要か。和室の床が上がっていると、車椅子の人は畳の上で寝るための布団の上げ下げが困難で掃除も難しい。足が不自由な人が、畳から立ち上がるのも大変である。洋室にベッドを置いて生活するほうがはるかに便利である。
このため、現在造られている身体障害者向けの部屋は、床面を上げた和室をなくして車椅子での移動が楽になっている。生活様式も変わり、障害者でも自立した生活を快適に過ごせるように世の中は移ってきた。今は訪問介護も充実しているため、身体障害者向けの部屋は介護する側にも配慮した仕様が求められる。
こうした状況を認識しているため、本県も時代に合わせた仕様の見直しをしているのではないのか。今まで整備してきた身体障害者向けの部屋も時代に合わせて改修し、身体障害者に求められる部屋にすべきではないか。
【理事者】
身体障害者世帯向け住宅は、73住宅194戸ある。そのうち、建設当時に和室の床をほかの部屋より高くしたことで、現在では使いにくいとされる住戸が69戸あった。このうち39戸で床の段差をなくすなどの改善工事を行っている。残り30戸については、入居者の希望などを踏まえ改善工事を検討している。
【委員】
ベッドが生活しやすいことは、車椅子で生活する人だけではなく、足腰が弱っている高齢者にも当てはまる。しかし、県当局は新たに建設した住宅の入居者にアンケートを取り、その結果をもって和室は不要とはいえないと言い、それが標準仕様だという。限られた対象者の意見だけで、本当にそれが県営住宅の入居者が求めていることかは疑問である。
今の県営住宅は高齢者が多く住んでいる。住宅の仕様も高齢者に寄り添ったものに見直していくべきではないか。その一つが、洋室の部屋である。洋室にすれば布団の上げ下げから解放され、さらには退去時の畳替えやふすまの張り替えも必要なくなる。
県営住宅を取り巻く環境は、変わってきている。昔は若い働き盛りの世代が多く住み、活気も活力もあったが、今の県営住宅には高齢者が数多く住んでおり、様々な配慮が必要になってきている。県当局は大家として、ソフト・ハード両面で真剣に考えなければならない。県営住宅の目的にある、低額所得者が健康で文化的な生活を営めるよう、今質問した話は全て待ったなしである。
これまでの県営住宅に関する今回の質問を通し、建築局長の総括した所見を伺う。県営住宅に既に入居している大勢の人々や、これから入居したい人の願いをかなえるだけの予算を確保する必要がある。
【理事者】
県営住宅の整備や管理において、現状、様々な課題があると認識している。これらの諸課題の改善に向けて、必要な予算の確保に努めるとともに、効率的・効果的な執行を図り、県営住宅に入居したい人が安心して暮らせるよう取り組んでいきたい。
【委員】
最後に要望する。2025年1月6日から14日の、一般の抽せんによる第3回県営住宅の入居申込みがある。要望の一つ目は、名古屋地区一般福祉枠、名古屋地区中村KC福祉枠1戸、尾張地区小牧A福祉枠1戸、西三河地区明神橋KC福祉枠1戸の計3戸の福祉枠の住居に風呂がない。福祉枠に風呂のない募集はもうやめてほしい。
要望の二つ目は、単身者向け、老人世帯向けの募集に、風呂つきでないものがある。単身者の多くは高齢者の申込みが多い現状、老人世帯向けの風呂のないものもおかしい。要望二点の改善を求める。
( 委 員 会 )
日 時 令和6年12月12日(木) 午後0時59分~
会 場 第4委員会室
出 席 者
山田たかお、中村貴文 正副委員長
島倉 誠、山下智也、藤原ひろき、神戸健太郎、伊藤貴治、高橋正子、
朝倉浩一、細井真司、古林千恵、筒井タカヤ、神谷まさひろ 各委員
建設局長、同技監(2名)、土木部長、道路監、治水防災対策監、
豊川水系対策本部副本部長、豊川水系対策本部事務局長、水資源監、
都市・交通局長、同技監、都市基盤部長、港湾空港推進監、空港長、
建築局長、同技監、公共建築部長、建築指導監、
収用委員会事務局長、関係各課長等
委員会審査風景
<付託案件等>
○ 議 案
第183号 令和6年度愛知県一般会計補正予算(第6号)
第2条(繰越明許費の補正)の内
第7款 建設費
第3条(債務負担行為の補正)の内
土木施設災害復旧工事
第189号 愛知県国土交通省所管公共用財産使用料徴収条例の一部改正について
第190号 愛知県道路占用料条例の一部改正について
第191号 愛知県流水占用料等徴収条例の一部改正について
第192号 愛知県海岸占用料等徴収条例の一部改正について
第193号 愛知県都市公園条例の一部改正について
第194号 愛知県港湾管理条例の一部改正について
第195号 愛知県漁港管理条例の一部改正について
第196号 愛知県港湾占用料等徴収条例の一部改正について
第197号 愛知県漁港土砂採取料等徴収条例の一部改正について
第201号 工事請負契約の締結について(道路改良事業一般国道247号大田インターチェンジ(仮称)上部工事(その1))
第202号 工事請負契約の締結について(道路改良事業一般国道247号大田インターチェンジ(仮称)上部工事(その2))
第203号 工事請負契約の締結について(道路改良事業一般国道247号青海インターチェンジ(仮称)上部工事(その2))
第204号 工事請負契約の締結について(時習館高等学校併設中学校(仮称)校舎建築工事)
第205号 工事請負契約の締結について(豊田西高等学校併設中学校(仮称)校舎建築工事)
第206号 工事請負契約の締結について(西尾高等学校併設中学校(仮称)校舎建築工事)
第207号 工事請負契約の締結について(稲沢緑風館高等学校校舎建築工事)
第208号 工事請負契約の締結について(元岡崎特別支援学校校舎等取壊し工事)
第209号 工事請負契約の締結について(いなざわ特別支援学校校舎建築工事)第213号 工事請負契約の変更について
第215号 特定事業契約の締結について
第217号 県道路線の認定について
第218号 愛知県道路公社が有料道路として管理する県道半田南知多公園線(南知多道路)の事業変更について
(結 果)
全員一致をもって原案を可決すべきものと決した議案
第183号、第189号から第197号まで、第201号から第209号まで、第213号、第215号、第217号及び第218号
○ 閉会中継続調査申出案件
1 道路の整備等について
2 水資源対策並びに河川、砂防、水道及び下水道の整備等について
3 土地対策、都市計画並びに公園及び市街地の整備等について
4 総合交通体系及び港湾の整備等並びに航空対策について
5 宅地建物取引及び建築・宅地造成等の規制について
6 公営住宅等の建設及び管理並びに県有施設の営繕工事について
7 建設局、都市・交通局、建築局及び収用委員会の行政運営について
<会議の概要>
1 開 会
2 口頭陳情(1件 陳情第103号関係)
3 議案審査(23件)
(1)理事者の説明
(2)質 疑
(3)採 決
4 委員長報告の決定
5 一般質問
6 休 憩(午後2時54分)
7 再 開(午後3時5分)
8 閉会中継続調査申出案件の決定
9 閉 会
(主な質疑)
《議案関係》
【委員】
繰越明許費補正第7款建設費第6項港湾空港費、名古屋飛行場施設整備費1億7,971万4,000円について、先ほどの説明ではLED灯火とのことであったが、12月定例議会の補正予算で計上する理由を伺う。
【理事者】
本補正予算については、県営名古屋空港滑走路灯火更新工事に係るものである。当初計画では、年度内に工事を完了する見込みであり、5月から競争入札を二度実施していたが、いずれの入札も不調となった。原因としては、電気技術者の不足や、LED灯火更新工事が全国の空港で実施されていることから、LED灯火の納期の長期化が見込まれることになった。
そのため、年度内に必要な工期が確保できないことから、12月定例議会で繰越明許費を計上するものである。
【委員】
事業内容はどのようなものか。
【理事者】
県営名古屋空港は開港から19年が経過し、航空灯火及び関連する電気施設の老朽化が進んでおり、順次、LED灯火及び電気施設の更新を進めている。本工事は、設置から13年から31年が経過している滑走路灯火をLED灯火に更新する工事である。
【委員】
先ほど、入札不調や納期の超過との説明であったが、LED灯火更新の進捗に影響はないのか。
【理事者】
2度の入札不調があったため、LED灯火更新の発注計画の見直しが必要となったが、工事期間の大部分はLED灯火の製作期間であること、現地における設置工事は短期であり、現場における灯火設置工事で同時に施工ができるよう調整が可能であることから、更新の進捗に影響はないと考えている。
【委員】
12月10日にニュースで見たが、北海道、岩手県、静岡県の3空港が国土交通省に申請した空港脱炭素化推進計画が認定されたとのことである。この計画は、航空分野の脱炭素化を目指して令和4年6月の航空法及び空港法の改正により創設された制度に基づき、空港管理者が具体的な目標や取組を定めたものである。
本県については、県営名古屋空港の空港脱炭素化推進計画は、既に本年3月29日に認定され、地方自治体が管理する空港として一番に認定されたと聞いている。他空港の計画策定が進まない中でいち早く計画を策定し認定を受けたもので、カーボンニュートラルに対して強い意気込みを感じる。
先ほどの説明では、LED灯火更新の進捗には影響がないとのことであったが、2度の入札不調があったとのことで、いささか対応を考える必要がある。
今後も引き続き、計画に基づく空港脱炭素化の取組が順調に進められるよう願う。
【委員】
第190号議案の愛知県道路占用料条例の一部改正について、この占用料は徴収漏れが多くあり、監査委員からも指摘があった項目だと思うが、今回、愛知県道路占用料条例を改正して、新たに手数料を決め、しっかりと徴収業務ができる体制づくりについて、どのようになっているのか。
【理事者】
道路の占用物件については、占用許可申請に基づき占用許可を出しているが、許可を出した後に物件追加などで変更許可となる物件がある。そのような場合に、徴収漏れが一部あった可能性があるが、これを機に、新しい年度から新単価が適用されるものについて占用許可を出しているため、許可手続の中でしっかりと確認していきたい。
【委員】
愛知県道路占用料条例にあるように、電柱が非常に大部分を占めると思う。条例改正する中で、制度についてしっかりと周知する必要があると思うがどうか。
【理事者】
占用許可の申請に当たって、更新等の場合は相手方と事前の打合せ等を行うため、そのような機会を通じて、しっかりと手続について周知徹底していきたい。
《一般質問》
【委員】
先日、愛知県庁に来ると知事公館と県庁舎の間の道の紅葉が美しくはっとさせられた。自転車で通りかかる人も自転車を止め、その様子をカメラに収める人もいた。古くから、日本人は季節の移ろいに自身の心境や世の中の状況を照らし、表現し、楽しんでいる。雨を聴いて寒更尽く、門を開けば落葉多し。秋の禅語として名高く、茶席でも珍重される歌である。雨音を聴いているうちに寒い夜更けが過ぎ、夜が明けたので門を開けてみると辺り一面に葉が落ちていた。一晩中聴いていた雨音は、朝になれば実は軒端をたたく落ち葉の音だった、との幽寂な閑居の風情を歌ったものである。
緑は美しい都市景観を創出し、さらには都市で生活する人々の心に安らぎや豊かさを与えるなどの多様な機能を果たしている一方で、倒木や交通安全、落ち葉の清掃負担など、様々な問題を引き起こしている。そのような中、本年度9月、街路樹の管理についての一般質問の中で、街路樹管理に関して従来の維持管理方法を見直し、新たな取組を行うとの答弁があった。また、今年度の閉会中建設委員会でも、複数の首長から道路の除草に関して多くの要望を受けており、しっかりとした対応が求められている。
従来の維持管理からどのように取組が変わったのか。
【理事者】
本県では、2021年度から計画的かつ効率的な街路樹の維持管理を目指し、街路樹の本数を削減しつつ、縮減された管理費を活用し、管理水準を上げる取組を進めている。昨年度までに、低木については幅員の狭い歩道などの植樹帯を対象に、全体の約3割となる112万本、中高木については交通安全や防災機能などを向上させる観点から、大木化や高齢化した約5,500本の撤去を完了している。
今年度からは、縮減された管理費を活用して、従来は年1回にとどまっていた植樹帯内の除草を年2回実施している。また、街のシンボルとなる道路を対象として、市町村などと連携し、中高木の剪定方法や地域の特性に適した樹種への植え替えなど、美しい街路樹の維持に向けた管理方法の策定に今年度から着手している。
さらに、来年度からは策定した方針に基づき、3年に一度実施している中高木の剪定について、順次2年に1回に増やしていくなど、樹木が持つ本来の美しい樹形に整える取組を着実に実施していく。
【委員】
県道内津勝川線沿いにイチョウの木が街路樹として植えられており、商店が中心となり、いちょう並木通り発展会を運営し、市民にも親しまれている。
しかし、毎年秋のイチョウ並木が色づき始める頃、イチョウの木は幹だけを残し、葉や枝が全て切り落とされてしまう。これは非常に寂しいと、市民から多数の声をもらっている。
先ほど、街のシンボルとなる道路を対象に、中高木の剪定方法や地域の特性に適した樹種への植え替えなど、管理方針を今年度から策定し、シンボルロードの選定には市町村などと連携していくとのことであったが、その後の取組状況についてどのようにしていくのか。
【理事者】
シンボルロードの選定については、周辺環境と調和するよう、樹木が持つ本来の美しい樹形に整える方針としていることから、市町村が定める緑の基本計画などを踏まえ、まちづくりの主体となる市町村との連携が必要である。また、適切な環境を維持していくためには、地域の人々に協力してもらうことも重要である。
このため、本年11月20日と28日に説明会を開催し、全ての建設事務所と市町村の道路管理担当者に、目的やシンボルロードの候補として歴史的な街道や駅前通りのような都市の玄関口となる路線などが考えられることを説明し、シンボルロードとしての管理を目指す路線の選定に着手した。
年度内をめどに候補路線を取りまとめ、地元の合意状況を踏まえつつ美しい街路樹の維持に向けた管理方針を順次策定していく。
【委員】
安全面の確保と除草などを進める一方で、街の景観は心のふるさとを思い起こす大切な要素の一つだと考える。しっかりと市町村や議員ともコミュニケーションを取りながら、街路樹管理をしてほしい。
次に、二段階横断施設について伺う。本年5月に、春日井市内の県道春日井一宮線において、二段階横断施設が設置された。道幅の広い道路の横断歩道の真ん中に滞留帯を造り、横断者が途中で待機することができるようになっている。県が管理する道路で最初の試験運用であり、周辺地域の人々にアンケートを実施したと聞いている。地元からは様々な声を聞くが、安全に横断できるようになったと評判の声を聞いている。
そこで、二段階横断施設について、まず、なぜ導入されたのか、その経緯と期待される効果について伺う。
二段階横断施設
本県では、依然として多くの人が交通事故で亡くなっており、引き続き交通事故の減少に向けた取組が必要である。本県の交通事故の特徴を見ると、横断中の事故や高齢者の事故が多いことが挙げられ、この新たな対策として二段階横断施設の導入検討に着手している。
国、県警本部、関係部署や学識経験者で構成する愛知県交通安全対策推進連絡会議において、公安委員会と連携しつつ、施設の具体的な構造の検討等の議論を重ね、本年5月、春日井市岩野町地内の県道春日井一宮線で試行に至った。
二段階横断とは、車道中央部に交通島や中央分離帯などによる横断歩行者が待機できるスペースを設置し、その前後で横断歩道を分割し、2回に分けて道路を横断する方式である。
この設置により期待される効果としては、まず横断歩道を渡る横断者の視点から挙げると、横断中の事故の一般的な特徴として、横断者は左からの進行車両と衝突する事例が多いことから、左右同時ではなく段階的に片側の車両のみ注視すればよい二段階横断施設は、横断者の安全確認の負担が軽減され、このような事故を抑制する効果が期待できる。また、一度に渡る横断距離が短くなることにより、横断時間も分割され、特に高齢者が横断しやすくなるとともに横断できる機会も増加することが期待されている。
また、自動車を運転する運転者側からの視点としては、反対車線側からの横断者を確認しやすくなることや、交通島の設置により車両の通過速度が低減する効果が挙げられる。その他、安全に渡れる横断歩道を設けることにより、横断歩道以外での無理な乱横断が削減されるなど、様々な面での安全性の向上が期待されている。
【委員】
アンケートを実施して集計しているところだと思うが、アンケート結果等を踏まえた今後の展開について伺う。
【理事者】
二段階横断施設の設置効果を検証するため、10月から11月にかけて現地でのビデオ観測による交通挙動調査を行うとともに、施設の設置による影響や実際に利用した際の安心度などの感想を聞き取るため、周辺の約1,500世帯を対象とした郵送によるアンケートと、近接する企業や名鉄バス株式会社、春日井西高等学校に対するヒアリング調査を実施した。
現在、これらの調査の集計や分析作業を行っているところであり、この調査結果を整理・検証した上で、来年2月に開催予定の愛知県交通安全対策推進連絡会議に諮り、今回試行した二段階横断施設の整備効果を取りまとめるとともに、本県における本施設の今後の展開についても議論・検討していく。
【委員】
本県は交通死亡事故が多く、一人でも多くの命を守り悲しい思いをすることがないよう、より強い覚悟で施策に取り組んでいく必要がある。
地域の人からは横断しやすくなったとの声をもらっている。特に高齢者からは、横断歩道を渡る際、片方だけの確認で済み、渡り切れなくても途中で待つことができるため、安心につながっているようである。交通弱者対策として、二段階横断施設の設置は有効だと考える。
しかし、二段階横断施設ができたとはいえ、車は歩行者がいれば横断歩道手前で止まることは当然である。こちらの啓発も進めて、二段階横断施設の設置を県内で横展開してほしい。また、設置の場所に関しても、地元としっかり協議し、共に最適解を見つけてほしい。
愛知県交通安全対策推進連絡会議でも、地域の声として本委員会のこのやり取りを挙げてもらうとともに、今後も引き続き交通事故の減少に向けた取組を推進してほしい。
【委員】
現在、本県が進める市町村域をまたぐAIオンデマンド交通実証実験の進捗について伺う。
高齢者や子供などの交通弱者が移動しやすい環境の整備が、住みやすい暮らしやまちづくりに不可欠だと考えている。そこで、2月定例議会の議案質疑において、新モビリティサービス推進事業を取り上げた。そして、刈谷市が単独で行っている実証実験を紹介した上で、市町村域をまたぐMaaSやオンデマンド交通を導入する際に、対象となる基礎自治体同士で調整を要する内容が多くなることを問題提起とし、本県がイニシアチブを取って事業を進めることを要望した。
現在、AIオンデマンド交通の実証実験について、瀬戸市及び尾張旭市で行っているが、両市で実証を行うこととなった経緯を伺う。
【理事者】
事業の実施に当たり、県内の市町村から広域連携を要する移動課題を公募したところ、複数市町村より応募があったため、有識者を含む選定委員会において地域ニーズや新モビリティサービスの導入が課題解決につながるかどうか、広域連携のモデルとなるものかどうかなどの観点で審査を行い、実施地域を決定した。
具体的には、瀬戸市から応募があった市西部の本地地区、效範地区では、隣接する尾張旭市内の商業施設等への買物需要は多いが、移動手段がない。現状では、当該地域から市内の鉄道駅までは時間がかかっており、近隣の尾張旭市にある鉄道駅への移動手段を確保することにより、公共交通の利便性を向上させたい。地域の高齢者から、自宅からバス停までが遠く、その移動が負担であるとの声が寄せられていた。
このような課題があり、住民の移動ニーズに応じた市域をまたぐAIオンデマンド交通を導入することにより、課題の解決が期待されることに加え、隣接する尾張旭市の地域からも瀬戸市内にある病院や商業施設への移動需要があり、瀬戸市、尾張旭市双方での移動の活性化が見込まれることから、実施地域として選定した。
2市が連携してAIオンデマンド交通の運行を行う取組は、全国でも珍しく、広域連携のモデルとなる事業だと考えている。
【委員】
次に、この実証実験は本年10月1日から開始したとのことであるが、これまでの利用状況を伺う。また、現時点での評価や課題認識について伺う。
【理事者】
11月末までの2か月間での利用状況としては、運行回数は300回を超え、利用者は80代、70代が多く、次いで50代が多くなっている。また、行き先は尾張旭市内のスーパーが最も多く利用されており、市域をまたぐ移動に多く利用されている。そのため、移動課題の解決に向けて、住民のニーズに応じた交通サービスを提供するとの実証事業の目的を果たしていると考える。
一方、実際に利用した人は約70人であり、会員登録している人の4分の1程度となっており、関心はあるもののまだ利用されたことのない人も多くいる。新たな移動サービスを導入していく上で、実証実験を通じ多くの人に実際に利用してもらい、アンケート等を通じて地域の様々な意見を伺い、その有効性の検証や導入する場合の運行スキーム等の検討を行っていくことが重要である。
そのため、利用していない人の中には、予約するのが煩わしい、電話で予約ができることを知らなかったとの意見もあることから、会員登録している人に改めて利用方法などを知らせる案内を送付するとともに、商業施設でのPRイベントの開催や当該地区での老人会での説明会などを行っていく。
実証期間中に、1人でも多くの人に利用してもらえるよう、さらなる周知を図っていきたい。
【委員】
交通弱者の移動に関する課題は、県内各地で生じていると認識している。他地域でも、県がイニシアチブを取って事業を進めるとともに対象を広げる必要があるが、今後の取組についての本県の考えを伺う。
【理事者】
今年度、本県では県と市町村が連携・協力して人口問題対策を検討するため、愛知県・市町村人口問題対策検討会議を設置した。その中では、特に取り組むべき検討課題の一つとして、地域交通の確保が挙げられ、ワーキンググループを設置し検討を行っている。
ワーキンググループには構成員の11市町村に加え、オブザーバーとして20市町より参画希望があり、多くの市町村において持続可能な地域交通の確保が課題となっていると認識している。
ワーキンググループでの議論では、地域交通の確保に向けて、住民ニーズに応える行政区域を超えた移動手段の確保・活性化や、効率的な運行を行うことのできる移動手段へのモード転換などが必要であるなどの方向性が共有されている。
公共交通における新たなモビリティサービスの活用や広域連携を進める本実証事業は、このような取組を進めるに当たり大変参考になるものであり、本実証事業を通じて得た知見は広く周知し、積極的に横展開を促していきたい。
さらには、市町村からは県に調整役やノウハウの提供をはじめとするイニシアチブを期待する意見も寄せられており、引き続きニーズに応じた新たな移動手段への転換や地域交通の活性化を先導し、県としての役割を果たしていきたい。
【委員】
刈谷市でも、AIオンデマンド交通を利用する際に、隣の市の病院へ通うために市境のバス乗り場で降車して、バスに乗り換えて行かざるを得ない状況である。市民から、直接病院へ行ければとの声もある。ぜひ、市町村域をまたぐAIオンデマンド交通の実現に向けて、引き続き県主導で取り組んでほしい。
【委員】
先日、私が行った代表質問において、近年の気候変動に伴い、激甚化、頻発化する気象災害を踏まえ、今後は気候変動も考慮した河川計画にしっかりと取り組んでいく必要があると質問したところ、知事から、気候変動の影響による降雨量の増加に対応するため、まずは日光川などの主要河川を対象として、新たな河川計画の策定に向けて今年度から着手するとの力強い答弁があった。
そこで、知事からの答弁内容について、もう少し掘り下げて伺う。まず、気候変動の影響による降雨量の増加というのは具体的にどのようなことを意味するのか伺う。
併せて、今年度から新たな河川計画の策定に着手する主要な河川とはどの河川であるのか伺う。
【理事者】
気候変動の影響について、国際的な専門家で構成された政府間機構で検討され2014年に発表されたIPCC第5次評価報告書には、「気候システムの温暖化について疑う余地がない」とされており、21世紀末に温室効果ガスの排出をほぼゼロにし、最も温暖化を抑えた場合においても、2度程度上昇すると予測されている。また、2015年に採択されたパリ協定では、世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて2度未満に抑えることを目標とし、温室効果ガスの排出抑制対策が世界規模で進められている。
そのため、2021年3月には国の気候変動を踏まえた治水計画のあり方の提言が改定され、その中で、世界の平均気温が2度上昇した場合を想定した降雨量の増加や海面の上昇などを踏まえて、河川計画を検討することが示されている。この提言には、全国の一級河川において気候変動の影響が試算されており、気温が2度上昇した場合、本県を含む地域では降雨量は約1.1倍、流量は約1.2倍、洪水の発生頻度は約2倍になるとされている。
次に、新たな河川計画の策定に着手する主要河川については、日本最大のゼロメートル地帯を流れる日光川水系と、特定都市河川に指定した新川水系、境川水系、猿渡川水系の4水系を対象としている。
【委員】
国から示された提言では、降雨量の増加や海面の上昇等を踏まえて河川計画を検討するとされている。気温が2度上昇した場合に降雨量は約1.1倍だが、洪水の発生頻度は約2倍になるとのことである。そのような中で、四つの水系で新たな河川計画の策定を進めていくとのことであるため、その作業をしっかりと進めてほしい。
この四つの水系の中で、尾張西部を流れている日光川水系に焦点を当てて、新たな河川計画の策定の進め方について伺う。
日光川の下流域は日本最大のゼロメートル地帯であり、水害リスクが非常に高い河川である。日光川の河口には、伊勢湾台風規模の高潮に対して計画された毎秒200トンの排水能力を持つ排水機場があり、洪水を海へ流す治水の要であり、地域にとっての生命線になっている。
治水対策は地域によって特色があると思うが、日光川の排水機場の高潮ポンプは、排水能力の確保が非常に重要であり、新たな河川計画にポンプの増設を視野に入れた検討を進める必要があると思う。そこで、排水機場の高潮ポンプ増設を含めた、日光川水系の新たな河川計画の考え方について伺う。
【理事者】
河川計画は、河川法における河川の整備についての基本となるべき方針を定めた河川整備基本方針と、整備に関する具体的な計画を定めた河川整備計画となる。日光川水系については、2010年7月に策定した日光川水系河川整備基本方針及び2011年5月に策定した日光川水系河川整備計画が現在の河川計画であり、気候変動を踏まえた高潮ポンプの増設などの整備に当たっては、河川計画を変更し、整備内容を位置づける必要がある。
日光川水系の河川計画の作成に当たっては、全国的に増加する降雨量による洪水に加え、高潮の影響を大きく受ける日本最大のゼロメートル地帯を下流域に持つ当河川では、勢力を増す台風による高潮についても検討を行い、どちらにも対応した計画とする必要がある。
増加する降雨量に対する洪水の検討は、今年5月に国の河川分科会河川整備基本方針検討小委員会において全国統一の方法が示されたことから、この考え方を計画に反映させていきたい。
一方、高潮の検討においては、台風の進路や湾の形状などが地域により異なるため、地域特性を踏まえる必要がある。この地域特性を踏まえた高潮の検討が全国的にも初めての試みとなるため、県において有識者で構成する河川構造物分科会を立ち上げ、気候変動が高潮に与える影響の整理を行い、必要ポンプ量を算出するための新たな高潮計算の手法についての考え方を取りまとめてきた。
今後は、気候変動を踏まえた高潮と洪水の検討内容を河川計画に反映し具体化していきたい。
【委員】
日光川水系の新たな河川計画の策定に当たっては、増加する降雨量への対応という観点と、ゼロメートル地帯ゆえに台風による高潮への対応をするとの二つの観点から検討を進めていくとの話であった。また、地域特性を踏まえた高潮への対応は、全国初の試みであるとの話であった。
日光川水系の新たな河川計画の策定に関する、今後のスケジュールについて伺う。
【理事者】
今後のスケジュールについて、これまで進めてきた高潮と洪水の検討内容についての技術的な助言や意見を聴くため、有識者で構成される県の治水計画検討会を今年度内に開催し、河川計画の見直しに着手していく。さらに、来年度からは治水計画検討会に加えて、河川計画の策定に向けての助言や意見を聴くため、有識者で構成される県の流域委員会を公開で開催するとともに、関係する住民意見を反映させるためのアンケートを実施するなど、計画の見直しを進め、2027年度までに新たな河川計画の策定を目指していく。
【委員】
日光川の排水機場は治水の要であり、地域にとっての生命線と申し上げたが、異常気象が異常ではないと言われるようになってきている。建設局においては、このような地域における生命線をしっかりと守り抜く策を今後も講じてほしい。
【委員】
まず、一点目として道路関係についてである。我々が住む東三河地域で、これから地域のポテンシャルをさらに生かすことができるように、今後地元としても景色が変わっていくような大きな出来事として、名古屋市から浜松市まで、全長約73キロメートルの信号のない道路である国道23号名豊道路が今年度末にいよいよ全線開通する。
東三河地域は東西軸が大変充実しており、東名高速道路や国道1号があり、また海側に整備している国道23号名豊道路が、3月末には全線開通を迎える。現状、未開通区間が約9キロメートルあり、蒲郡インターチェンジから豊川為当インターチェンジまでが未開通区間であり、この未開通の数年間の時期は、その手前で下りるため国道1号が慢性的な渋滞であった。また、豊川市の主要道路である姫街道線や、河川管理用道路も、他県からの車が道路を利用する状況が続いていた。全線開通に向けて気にしているのが、御津金野インターチェンジであり、豊川市内の蒲郡側にできるインターチェンジの接続道路として県道豊川蒲郡線があるが、現状の道路は豊川から蒲郡に抜ける細い道路にもかかわらず、抜け道としてスピードも出す人も多い中で、子供たちも通学の道路としても活用しており、大変危険な状況である。
国道23号が全線開通し、御津金野インターチェンジからアクセスする際に、現在、整備を進めている県道豊川蒲郡線が、この3月末の全線開通の時期に併せて整備を完了することが望ましいと何度も議論してきた。整備を進めていく中、今年度末に全線開通を迎える状況に当たって、接続道路である県道豊川蒲郡線の取組状況について伺う。
【理事者】
県道豊川蒲郡線については、現道拡幅区間の延長約0.6キロメートル及びその西側のバイパス区間の延長約1.3キロメートル及び現道にT字で交差する御津金野インターチェンジへ接続する区間の延長約0.2キロメートルにおいて、いずれも片側歩道の計画で整備を進めている。現道拡幅区間は、現在インターチェンジ接続部から東側の約0.4キロメートルで整備が完了している。
インターチェンジへ接続する区間及びバイパス区間は、名豊道路の1日も早い開通を目指し、これまで名豊道路の工事用進入路として活用を図りながら、県道としても名豊道路と同時開通を目指して整備を進めてきており、これまでに橋梁や擁壁などの大規模構造物の施工は完了している。現在は、2月末の工事完了を目標に、残る舗装工事や防護柵設置工事等、開通に向け最終段階の工事を着実に進めている。
供用時期については、名豊道路の整備効果の確実な発現と当地域の活性化及び安全・安心に寄与するよう、年度内に予定されている名豊道路の開通と同時開通ができるよう、引き続き国との調整を進めていく。
【委員】
国道1号から御津金野インターチェンジにアクセスする際に、現状は愛知県の東三河ふるさと公園を回ってアクセスしなくてはならない状況である。今進めている県道大塚国府線は、国道1号から東三河ふるさと公園に向かい、この山の中のトンネルをくぐって御津金野インターチェンジまでアクセスができる路線である。
東三河ふるさと公園周辺は、県立高校の通学路にもなっており、古い地域であるため、幅も狭い道路が続いている。
県道大塚国府線のトンネルの開通も、地元から大きな期待が寄せられている状況であるが、県道大塚国府線の整備状況、また、今後の取組について伺う。
【理事者】
県道大塚国府線のバイパスについて、名豊道路との立体交差部から北側の未開通の区間700メートルを現在事業中である。そのうち、区間の中ほどに、延長約214メートルのトンネルを計画している。
これまでに用地買収を進めており、昨年度、トンネルの両側に残っていた用地を買収することができた。これで用地取得を完了した。
今年度については、最も工期がかかるトンネル工事に向けた準備として、トンネルの北側において、進入口を確保するための市道の付替工事を実施した。現在は、トンネルの南側において保安林解除の手続を進めている。また、振動や騒音など、周辺環境の対策を含めたトンネルの詳細な設計を進めている。
引き続き、早期にトンネル工事に着手できるよう準備を進めていく。
【委員】
できるだけ早く、トンネルを開通することを要望する。
5年前に、県議会の海外調査団としてヘルシンキに行き、当時はMaaSが先進地であり、バス、地下鉄、船、タクシーなど、一つの協議体の中で運用し、うまく進めているとの話を聞いた。新たな交通移動として、また、東三河地域も残念ながら人口減少が進む中で過疎化が進行しているため、その対策としてMaaSを生かしてほしいと常に声を上げている。人口減少や高齢化が進む中、いわゆる2024年問題などの影響として、勤務時間の制約などの影響もあり、運転手の確保が大きな課題となっている。
そこで、県内の運転手確保の課題などの現状を伺う。
【理事者】
厚生労働省愛知労働局が発表している2024年10月の本県の有効求人倍率では、バスやタクシー、トラックなど、自動車運転従事者の有効求人倍率は3.65倍となっており、地域公共交通を維持・確保する上で運転手の確保は重要な課題であると認識している。
【委員】
このような課題がある中で、解決のツールとして自動運転を取り組んでいかなくてはいけない。全国的に実証実験を進めており、また、県内でも実証実験を進めている状況だと思う。
現在、本県をはじめ各地で実証実験が行われているが、本県では社会実装の課題をどのように認識しているか。
【理事者】
地域の移動課題に応じた自動運転サービスが導入されるためには、インフラや法整備などの環境整備や自動運転技術の開発・高度化・標準化を進めることはもとより、実際の利用や地域への受入れの機運が育つための社会受容性の向上、移動ニーズや事業採算性等を踏まえた地域公共交通サービスを展開できる事業モデルの確立、交通事業者をはじめとする地域関係者との連携などが必要であると認識している。
【委員】
今年の10月27日から11月3日まで、海外調査団の一員として、アメリカ、オースティン、テキサス、サンフランシスコを視察した。その中で、グーグルの子会社であるウェイモが実施する、サンフランシスコの町の中で、レベル4のタクシーの社会実装を視察した。
我々も移動の一環としてウェイモに乗り、衝撃を受けたというのが一番の感想である。
ウェイモに乗る際は、携帯電話のアプリで予約して場所を特定し、車が駐車できる一番近い場所に車が来る。そのアプリから鍵を開けて乗車し、乗ったときにはもちろん運転席に人が乗っていない。予約する際に目的地を設定し、価格帯は利用者が多いときは上がるとのことであった。実際に試乗して驚いたのが、運転席側の目の前に大きなモニターがあり、そして、後部座席にもモニターがあり、そこにセンサーで、信号はもちろんだが人にも反応し、緊急車両も絵としてモニターに出てきた。特に驚いたのが、工事現場の小さな赤いコーンにも反応して、モニターに絵として反応していたことである。そして、交差点や右折等も意外と早いスピードでアクセルを踏み込みながら移動している状況であり、これが実際にサンフランシスコの町なかで実証が進んでいる。
我が国における自動運転の社会実装はどのような状況かと国土交通省に説明を聞いたところ、課題となる法律は、道路法が2023年1月に改正されており、2023年4月に施行されている。これにより、運転者がいない状態での自動運転の許可制度を創設し、実際のレベル4の自動運転が制度上可能になっている。
我が国は、サンフランシスコの無人タクシーが町なかを運行している状況を、2026年を目指して国内で実証するスケジュール感である。
本県として、経済産業局で様々な実証実験を行っていることは理解している。これからの本県における長期計画がある中で、この自動車産業の盛んな本県として、全国に先駆けて社会実装ができる長期計画を立てる時期になってきたのかと思っている。
2026年までに、本県も都市・交通局と経済産業局が、今後の展望を抱きながら連携していく時期だと思っている。自動運転の社会実装に向けた取組を進めていくことが、これからの本県にとって必要な時期だと思っているが、都市・交通局としてどのように取り組んでいくのか。
【理事者】
本県では、全国に先駆けて自動運転の実証実験を開始し、自動運転技術の向上とともにビジネスモデルの構築や社会受容性の醸成を図ってきた。本年度は、都市・交通局において県営名古屋空港とあいち航空ミュージアムのアクセス性向上のため、国土交通省の自動運転社会実装推進事業の採択を受け、両施設を結ぶ自動運転バスの実証実験を実施している。
また、県内市町村でも同様の補助金を活用した実証が全国最多である8市において進められており、2027年度のレベル4実装を視野に地域公共交通への自動運転サービスの導入を目指す取組が加速しており、交通対策課においても交通政策の見地から主体的に関わっていく必要があると認識している。
自動運転社会実装推進事業の実施に当たっては、今年度より関係者の綿密な連携体制を構築し、地域の受容性醸成を図りつつ、手続等の透明性、公平性を確保し、各地のレベル4自動運転サービスの実現を加速することを目的に、各地域にレベル4モビリティ・地域コミッティが設置されており、本県からは経済産業局のみならず交通対策課も参画している。
地域コミッティでは、公共交通の見地から地域公共交通計画との調和や実装後の地域公共交通サービスとしての定着に向けた助言を行うとともに、社会受容性の向上に向けた認知拡大や理解促進に取り組んでいる。都市交通局としては、引き続き、自治体や交通事業者など地域関係者との連携を密にして、また自動運転技術に関する知見を有する経済産業局とも緊密にコミュニケーションを図り、地域公共交通の維持充実に向けて自動運転サービスをはじめとする新しいテクノロジーの活用が進むよう、積極的に取り組んでいく。
【委員】
国は2026年で社会実装等を目指していく状況がある中で、自動車産業が盛んであり、そして名古屋市のような大都会があり、また、人口減少が進んでいる地域も抱えている本県として、それぞれの課題解決に向けた対応ができるサービスであると思っている。経済産業局と都市・交通局がしっかりと連携して、この目標年度に向けた積極的な取組を期待する。
【委員】
県営名古屋空港は2005年に県が設置管理する空港としてスタートしてから、来年の2月で20周年を迎えるとのことで大変期待している。2005年2月17日の中部国際空港セントレアの開港と同時に、それまでの国管理の空港から、コミューター航空やビジネス機などの小型航空機の拠点として生まれ変わって、今がある。
20年の歴史を振り返ると、2005年日本国際博覧会の開催があり、2008年のリーマンショックを原因とした景気後退、また日本航空株式会社の経営破綻に伴うジェイエアの撤退などがある。さらには、2011年の東日本大震災の発生、2020年の新型コロナウイルス感染症の拡大など、航空業界や県営名古屋空港を取り巻く環境は変化を繰り返してきた。
また、記憶に新しい2020年の新型コロナウイルスの拡大の際は、県営名古屋空港を発着する定期便が一時全便運休となるなど大変厳しい時期もあったが、その後、航空需要は徐々に回復して利用者が戻り、ターミナルビルもにぎわいが見られるようになってきたと感じている。
そこで、現在の空港の利用状況がどのようになっているか、また、コミューター航空の利用促進の取組をどのように行っているのか伺う。
県営名古屋空港
コミューター航空については、株式会社フジドリームエアラインズの定期便が12月1日現在、青森空港、いわて花巻空港をはじめ、8都市と1日20便を運航している。2023年度からは、夏季に北海道札幌市の丘珠空港と結ぶ便が新設されている。利用者の実績は、開港後初年度である2005年度の約30万6,000人から増加傾向を続け、2023年度はコロナ禍前を上回る約93万人となっている。
利用促進の取組については、事業者である株式会社フジドリームエアラインズとともに、県、地元市町、関係事業者、名古屋商工会議所などで構成する県営名古屋空港協議会及び就航先自治体等と連携して行っている。今年度の主な取組としては、本県や就航先の魅力を発信する冊子、名古屋航路の発行や、青森県や山形県での現地PRを行うとともに、11月に空港で開催された空の日イベントでは就航先自治体によるPRを実施した。
今後とも、県営名古屋空港のコミューター航空の利用促進に取り組んでいきたい。
【委員】
次に、旅客ターミナルビルについて伺う。県営名古屋空港では旅客ターミナルビルの利活用の事業者の公募を開始しているが、もともとは三菱航空機の拠点が入っていた。また、コロナウイルスのワクチン接種会場になるなど、様々な利活用があった。最近もまた公募を開始し新たな事業者が入居するなどの動きがあり、今後、県営名古屋空港の利活用の可能性が広がると思っている。
そこで、旅客ターミナルビルの事業者の入居状況について伺う。
【理事者】
空港活性化の新たな取組として、旅客ターミナルビルの空きスペースを利活用する事業者の公募を2023年と2024年に行った。その結果、現在、空飛ぶ車の開発を行う株式会社スカイドライブ、ドローンの開発を行う株式会社プロドローン及び株式会社テラ・ラボの3社が入居している。
空の利活用の可能性を広げるような次世代モビリティの関連事業者がターミナルビルに入居したことは、ターミナルビルの利活用や空港の活性化にとって有益である。ターミナルビルの2階の一部に空きスペースが残っていることから、現在入居している事業者の拡張利用の可能性や、他の類似企業の動きを見ながら、今後のターミナル活用について検討していきたい。
【委員】
来年2月に県営名古屋空港の開港20周年の記念イベントで、名古屋空港ターミナルビルとあいち航空ミュージアムの間を自動運転バスが走行するなど、新たな試みの話があった。
そこで、開港20周年事業で取り組む自動運転は具体的にどのようなものか伺う。
【理事者】
県営名古屋空港とあいち航空ミュージアムとの間で、アクセス性の向上のため、開港20周年記念のイベントに合わせて実証実験を行うこととした。今回は自動運転レベル2で、あいち航空ミュージアムと航空ターミナルビルを周回するルートを、午前9時から午後5時までの間、約20分間隔で運行する予定である。
事前に応募があった一般の人や、空港内事業者などの関係者が試乗し、感想や意見をもらうことで今後の検討に生かしていきたい。
【委員】
地域活性化の意味でも空港を中心に様々なことが進んでおり、今後に期待が持てると思うが、県営名古屋空港の今後に向けてさらなる活性化を望む上で、今後の20年に向けて、将来に向けて、県営名古屋空港が果たす役割を伺う。
【理事者】
本県としては、今後も引き続き国際拠点空港である中部国際空港との適切な役割分担を行いつつ、都心に近い特徴などを生かし、引き続きコミューター航空やビジネス機などの拠点空港としての役割を果たしていきたい。さらに、空飛ぶ車やドローンなどの次世代モビリティの開発事業者がこのターミナルビルに入居した理由の一つに、型式証明の取得に必要な航空機技術審査センターが本空港内に設置されていることがあり、これは本空港ならではの特色の一つである。また、我が国で唯一、空港の敷地内に立地するあいち航空ミュージアムでは、航空機産業の情報発信、産業観光の強化、次代の航空機産業を担う人材育成の推進にも取り組んでおり、本空港の大きな魅力の一つとなっている。
今後も、こうした県営名古屋空港ならではの魅力や特色を生かした取組を、地元と一緒になり進めていくことで、県営名古屋空港を核とした地域の一層の活性化につなげていきたい。
【委員】
交通安全対策で、幹線道路におけるカラー舗装及び路面標示の現状と交通事故抑止効果、カラー舗装の意味と課題について伺う。
毎日、車のハンドルを握る中で、赤や緑、青など、カラフルにカラー舗装された交差点や道路の上を走らない日はないほどカラー舗装は通常化している。この交差点における赤や青、緑などのカラー舗装は、ドライバーに色で視覚や心理に驚きを与えて注意力を高め、交通事故を抑止するのが狙いだと聞いている。カラー舗装が導入された頃は赤や青のカラー舗装に驚きと緊張感を持ったことを覚えているが、カラー舗装の交差点で、かつてのような緊張感は慣れによって薄れてきていると考える。
そこで、本県としてカラー舗装導入後の交通事故抑止効果はどうであるのか、また、効果の検証や分析などを行っているのか伺う。
【理事者】
事故対策の効果の検証は、対策前後の事故件数を比較することにより評価している。対策を導入した2008年度から対策後の事故件数を集計可能な2021年度までに実施した対策箇所において、対策前後の死傷事故件数を比較し、約47パーセントの事故件数の削減効果を確認している。
また、一部の箇所ではビデオカメラでの撮影による交通挙動調査も行っている。具体の調査内容は、交差点への進入速度、右折車と直進車の時間差、停止位置、走行軌跡などの挙動を読み取り、対策前後の変化を確認し、約9割の箇所で交通挙動が改善していることを確認している。
【委員】
約47パーセント事故が削減しており、効果があることが分かる。
今やカラー舗装がこれだけ通常の光景になると、ドライバーの学習効果でカラー舗装に遭遇しても見慣れており、事故抑止効果がカラー舗装導入直後は効果があっても徐々に薄れているとも思う。そもそも、カラー舗装による交通安全対策はドライバーの注意効果を狙ったものであるため、見慣れた光景だと漫然の運転になりかねないと思う。
そこで、ドライバーのカラー舗装への慣れについて県の見解を伺うとともに、安全への緊張感を継続してもらうための慣れ対策についてどのように考えるか伺う。
【理事者】
ドライバーの慣れについては、県管理道路の交通事故削減を目的に設置した愛知県交通安全対策推進連絡会議の議論において、学識経験者からも話題に上がることがあるが、ドライバーの慣れ具合を評価する手法については課題となっている。しかし、裏づけられたデータにより、対策実施から時間が経過し、カラー舗装が薄れ、ドライバーも対策に慣れた箇所であっても、その対策効果を継続していることを確認している。
具体的には、過去に対策を実施した交差点においてモニタリング調査を実施したところ、ほとんどの交差点において対策実施から10年が経過し、カラー舗装が薄くなっているものの、平均事故件数は対策前よりも低く、事故の増加傾向も見られない状況である。交差点への進入速度についても、対策直後に近い水準を保っており、これらにより施工10年後も事故対策の効果はおおむね維持されていることを確認している。
また、2017年から21年の5年間で、対策を実施した箇所における対策前後の死傷事故件数を比較したところ、全箇所平均の約47パーセントを上回る約62パーセントの事故件数の削減効果を確認した。これにより、近年対策した箇所においても、これまでどおり効果を発揮していることが確認できている。
これらにより、ドライバーの慣れに対しても、カラー舗装による事故対策の効果は継続していると認識している。
【委員】
カラー舗装もカラーバリエーションが増えて、例えば、四角、三角や小さなひし形などが連なるデザインなど、図形の組合せがあまり見慣れないものも見られるようになり、その意味は何だろうとよく疑問に思うときがある。カラー舗装やカラー標示の注意喚起を促すための意味を知る方法があるのかどうか疑問である。例えば、免許更新の際に、講習でカラーバリエーションの意味を教えてもらえるわけでもないため、この意味はどこで聞けばいいのか単純に疑問に思う。
カラー舗装は、肝腎のドライバーがその色や図形の意味するものが分からなければ、どんな注意喚起なのか読み取らなければ、事故抑止にはつながらないと思う。ドライバーは、カラー舗装やカラー標示の意味をどのように受け止めていると考えるか、県の見解を伺う。
【理事者】
カラーや図形のデザインについては、直感的にドライバーに注意喚起できることを主眼に置いている。具体的には、カラー舗装においては減速と細心の注意を求めることを目的に、三段階のカラー舗装を設置することを標準としている。
まず初めに、交差点の手前にて事故注意等の路面標示により注意喚起し、次に交差点進入部において、カラー舗装や区画線の内側に沿って幅の広い点線を配置して減速を促す、いわゆるエスコートマークを設置してドライバーに対して細心の注意を求め、最後に交差点内部において安全な走行位置や停止位置を明示するようにしている。
このように、進入区間から交差点に向かって段階的に警戒感を高めるように意識して、路面標示やカラー舗装の使用を定めている。
また、文字などによる注意喚起についても、ドライバーに分かりやすく伝えることが最も重要と考えている。それぞれの箇所で実際に発生した事故の内容や原因を勘案し、個別に対策を立案しており、注意すべき内容を端的に伝えることを意識して、歩行者注意や追突注意などの標示内容を設定している。
本県では2008年度にカラー舗装による事故対策を開始し、その頃は多くの地域で報道に取り上げられドライバーに周知されたが、その後対策が進んだ現在も一定の事故削減効果を上げているとの点から、引き続き、注意喚起の意図は伝わっているものと考えている。
今後もドライバーに伝わりやすい注意喚起に努め、事故減少に向け、道路管理者とも連携し、さらなる安全向上に取り組んでいく。
【委員】
カラー舗装には規定がなく、色もデザインも地元自治体と警察が決めているとのことである。
市町村の道路で色やデザインの意味も変わってくるのであれば、ドライバーの認識に違いが出てしまい抑止効果とならないことも心配されるが、県の見解を伺う。
【理事者】
道路管理者ごとに事故対策における対策内容から舗装の色などの仕様が異なると、ドライバーの認識に違いが出ることが危惧されることから、この統一を図ることにより対策の広範な普及に加え、ドライバーにとっても危険箇所として認知しやすくなるよう考えている。このため、事故対策の仕様については愛知県交通安全対策推進連絡会議に諮り、国や名古屋市とも連携し、統一の仕様を定めてきた。
対策内容については、右折ポケットの設置や交差点進入部のカラー舗装による減速・注意喚起など、効果的な工法と仕様を標準化し、カラー舗装の色については国のカラー舗装の標準色に合わせて実施する。この仕様については、県内道路における色やデザインが統一されるよう、市町村に対しても情報提供してきたところであり、管理者が異なる道路においても一定の抑止効果が得られている。
【委員】
今年の主要プロジェクトの進捗状況の交通安全対策で、幹線道路のうち交通危険箇所を157か所選定して、2025年度までに原因を踏まえた対策として、交差点改良などの抜本対策や、カラー舗装や路面標示などの速効対策で事故抑止を図っていくと説明を受けた。
例えば、カラー舗装や路面標示で事故抑止を図っていくこととなれば、愛知県内の道路はさらにカラー舗装が増えていくことになり、メンテナンスのサイクルの問題が出てくると思う。とりわけ、視覚で事故抑止を訴えるのがカラー舗装の役割であるため、色落ちや消えてしまった場合は効果が半減すると思う。
常に色をキープするためにはメンテナンス費用がかさむことは避けられないと思うが、カラー舗装が増えていく現状において、メンテナンスの考え方について伺う。
【理事者】
カラー舗装のメンテナンスについては、極力少ないコストで効果を維持できるよう努めている。
まず、カラー舗装の塗り直しは、舗装が悪くなったタイミングで舗装の修繕と併せて更新することを基本としている。その根拠としては、カラー舗装による対策の実施から10年経過し色が薄くなった箇所においても、事故削減数や交差点進入速度の低下水準が保たれており、対策直後の効果が維持されていることに基づいている。
そして、舗装本体の修繕に併せカラー舗装を更新する際には、効果が期待される範囲内で省力化した構造としている。具体的には、車両のタイヤとの接触による摩耗を避けるため、カラー舗装の幅をこれまでより狭い1.1メートルに縮小して実施することや、交差点進入部の直線車線には赤色系のカラー舗装は実施せず、エスコートマークのみ実施することとしている。
今後も、カラー舗装のメンテナンスコスト低減を意識しながら効果的な対策を講じていく。
【委員】
10年経過して色が薄くなった箇所でもカラー舗装の対策直後と効果が維持されており、事故抑止効果もあるとのことであるため、ドライバーが無意識のうちに安全走行に努めていることは、いい意味での慣れだと感じた。そして、メンテナンスの費用もかかるため、効果のある範囲で省力化するとのことで、そのような努力をしながらも、効果があるためカラー舗装を継続していくとのことはよく分かった。
引き続き、費用はかかると思うが、カラー舗装にしっかりと取り組んでほしい。
【委員】
河川の堤防及び河床に繁茂する樹木が成長して、台風や線状降水帯などによる局所的な大雨のたびに河川付近の住民は不安に思っている。
計画的に河川に茂る雑木を除去するためには、まずは河川内の状況を把握する総点検の実施が必要と思われる。渇水期の冬季が点検作業に最適と言われているが、具体的な河川内の点検内容について伺う。
【理事者】
河川堤防などの河川内の点検については、定期的な河川パトロールによる巡視や、年1回、出水期前の11月から2月に現地で目視での点検を行っている。その点検項目としては、堤防や護岸において割れ目や亀裂などの損傷の有無、川の中の堆積や深掘れの状況を点検している。
その際、河道内の樹木の繁茂状況についても、洪水の流下に阻害がないか確認を行っている。また、これらの点検に加え、2020年度には上空から俯瞰的に繁茂状況を把握するため、航空レーザー測量を実施し、データ化を行っている。
【委員】
数年前、国において災害防止対策への予算が大幅に増額され、県管理河川香流川においても、その予算を活用し、河川内に繁茂する樹木を伐採した記憶がある。他の河川などにおいても河床や堤防に繁茂する樹木を伐採してもらいたいと思うが、その実施状況について伺う。
【理事者】
樹木伐採の実施状況について、河道内の樹木などは、2017年度以前は県単独事業により、流下断面の阻害が著しい箇所において局所的に伐採を実施していた。しかし、平成30年7月豪雨や2018年台風21号などの被害を受け、2018年度に国において防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策がまとめられ、集中的に伐採を実施した。さらに、2019年度の補正予算や2020年度からの防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策を活用し、流下阻害が特に大きい一連区間で伐採を実施するなど、加速化して進めている。
今年度は国の防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策の予算により、天白川や矢田川をはじめ18河川で伐採に取り組んでいる。また、局所的に繁茂している箇所や伐採後に再繁茂した区間については、県の単独事業により実施している。
【委員】
香流川で数年前に伐採した箇所のうち500メートルの区間で樹木が再繁茂し、そのうち150メートルを除去すると聞いている。この150メートルの計画はどのような状況から決定したのか。さらに、500メートルの区間に繁茂する河床、堤防の樹木を除去するには、何年で実施する考えであるか伺う。
【理事者】
香流川の状況については、2019年度の国の補正予算を活用し、県道田籾名古屋線の香流橋から国道302号までの約1.8キロメートルの区間において伐採を集中的に実施した。伐採した区間のうち、その後の河川パトロールなどにより、市道猪子石第43号線の新屋敷橋から市道猪子石第1号線の中島橋までの約500メートルにおいて、再繁茂している状況を確認した。
このため、県単独事業により、今年度から本区間最下流の新屋敷橋から順次上流に向けて伐採することとし、今年度は予算の状況や工期などを踏まえ、新屋敷橋から約150メートルの区間を伐採する予定である。当該約500メートル区間の伐採については、予算や現地の状況にもよるが、今年度も含め3年以内を目標に完了できるようしっかりと取り組んでいく。
【委員】
これまで、本県議会の建設委員会において、県営住宅に関する質疑が幾度も行われている。公営住宅である県営住宅の施策は公営住宅法により定められ、その役割は低額所得者で住宅に困窮する社会的な弱者を救済するセーフティーネットであり、これを具体的に取り組んでいるのが県建築局である。
現在、本県が行っている県営住宅の募集は、これに応えていると思うか。
【理事者】
県営住宅の入居者募集については、抽せんにより入居者を決定する募集と、先着順に常時受付をする募集がある。抽せんによる募集には、既設住宅で入居者の退去により空きが生じた住戸のうち、築年数が浅い、立地や利便性がよいなど、入居を希望する人が多いと見込まれる住宅を年3回実施する定期募集と、県営住宅を建て替えた際に、建替に伴う移転者用以外の住戸を新設住宅として募集するものがある。
このほか、建設から年数がたっている、交通の便が悪い、エレベーターや風呂設備がないなどの住宅が中心ではあるが、募集の時期を限定せず、先着順による常時募集を行っている。複数の募集方法を設けることにより、入居申込みの機会を広げ、個々の事情に応じた県営住宅の提供をしており、公営住宅としての役割を果たしているものと考えている。
【委員】
2024年度第3回県営住宅の常時募集の受付を、2024年11月1日から2025年2月28日まで、先着順で行っている。このパンフレットの1ページに、県営住宅は住宅に困窮する低額所得者が健康で文化的な生活を営めるように、低廉な家賃で賃貸することにより、国民生活の安定と社会福祉の増進に寄与することをはっきりと目的として明記している。国の補助を受けて建設されたものであると明記もしている。そして、入居者には一般の民間賃貸住宅にはない手続をお願いしている。
ここに記している内容について、もう一度具体的に詳細な説明を求める。住宅に困窮する低額所得者に対して、県営住宅を提供するために入居者募集を行っているといえる点を具体的に説明してほしい。
【理事者】
県営住宅は、住宅に困窮する低額所得者に低廉な家賃で賃貸することを目的としており、高齢者など特に配慮の必要な人を除き、同居する家族が必要なこと、現に住宅に困窮していること、原則、所得月額15万8,000円以下とする収入基準に適合していることなどの入居資格がある。このため、入居に当たっては入居資格の審査があり、収入を証明する書類などを提出してもらう。
なお、本県では、より所得の低い人に対して家賃を減額する制度を設ける、入居に際して求めていた連帯保証人を廃止するなど、住宅に困窮する低額所得者が県営住宅に入居しやすくなるようにしている。
【委員】
2024年度第3回常時募集の募集戸数は、889戸となっている。その内訳について、具体的に伺う。また、県に対して事前に調査を求めた質問に応えた資料があるため、委員長の許可を得て、この資料の配布をしたい。
【委員長】
委員から、資料を配付したいとの申し出があったため、これを許可する。
【委員】
配付した資料は、県に対して事前に調査を求めた質問に応えたものであり、今回の県営住宅募集に当たり、風呂設備の有無の数字が示されている。889戸の入居者募集のうち、風呂設備のある数は243戸で、全体の27.3パーセントである。889戸の入居者募集のうち、風呂設備のないのは646戸で、全体の72.7パーセントである。資料には、名古屋地区のほかに、尾張、一宮、海部、知多、西三河、知立、豊田加茂、東三河の各地区がある。
私の地元を所管する名古屋地区に絞って伺うが、名古屋地区の今回の常時募集では、279戸のうち98.6パーセントの275戸が風呂なし募集である。募集パンフレットを見て申込書を記入した人のほとんどが、今は風呂がないが、入居が決定したらすぐ県が工事してくれると理解して、私に対して確認を求めるが、何と答えたらよいかためらいを覚える。
この住宅の今回の空き家募集には風呂設備はないのは事実で、入居者が風呂設備の代金を支払えとしている。県営住宅申込みの募集パンフレットの1ページに記載のある、住宅に困窮する低額所得者に住宅を提供とはうそであるのか、県の認識を伺う。
【理事者】
県営住宅は、公営住宅法の目的に定義されているとおり、住宅に困窮する低額所得者に対して低廉な家賃で賃貸等するため、健康で文化的な生活を営むに足りる住宅を整備している。整備基準についても、それぞれの時代の社会経済情勢の変化に伴い、充実が図られてきており、時代に即した仕様により整備を進めている。
【委員】
住宅に困窮する低額所得者に対しても、入居には3か月分の敷金を求めている。これは家賃の滞納及び退去時の保証金だとする考えは、今の日本では一般的な考えである。
私の事務所に、コロナ禍で飲食業を経営しており、国の支援策で緊急の無担保・無保証による融資で立て直すことができたが、返済期を迎えて従業員の給与、パートの給与を値上げすることができず、原材料費の値上げが重なり、深刻な経営不況の状況となり、店の閉店を決め、民間の賃貸マンションは家賃も高いので県営住宅に申し込みたいと、空き家の申込みは先着順のため申込みしてすぐにでも入居したいとの相談があった。さらに、主人が病気で亡くなったため、これまでのマンションの家賃を支払えなくなったことから、すぐに入居ができる先着順入居の県営住宅に入りたいとの相談を受けた。
相談に来た人に募集パンフレットを渡したが、県営住宅申込みの際に連帯保証人は要らないとの大きな表示に、これは助かると言われたが、すぐに私に対して、これはどういう意味か分からないと質問されたのが、風呂なしの申込み住宅の件である。その意味について、今は風呂がないが入居時には県が設置してくれるものと理解し、その確認を求められ、何と答えるべきか思案し、実は入居に対しては3か月分の家賃の敷金が必要で、そのほかに風呂設備の設置は自身の負担であると正直に話をした。相談に来た県営住宅申込みの人は、初めは意味が分かっていない様子であり、なぜ県営住宅に入居するのに自分が風呂設備の設置費用を出さなければいけないのか理解ができていないのである。
そこで、風呂設備にはバランス釜式、給湯式があるが、これを設置するのに幾ら費用が必要であるか伺う。
【理事者】
既設の住戸の浴室に風呂設備を設置する際の工事費は、本県で改修工事を行う場合、浴槽を含めて1住戸あたりバランス釜方式は約40万円、給湯器方式は配管などの工事が伴うため約100万円である。
【委員】
住宅に困窮する低額所得者に40万円や100万円も用意させて風呂設備をつけることは、社会的セーフティーネットとして県営住宅を提供することと整合性が伴わない。
低額所得者で住宅に困っている人に、巨額な費用が必要な風呂設備について、もう一度説明を求める。
【理事者】
これまで、本県では時代の需要に応じ、県営住宅を整備してきた。特に、昭和40年代から50年代にかけて大量の県営住宅を整備してきたが、当時の整備基準では入居者が風呂設備を設置することとされていた。
なお、風呂設備のない既存住宅については、建て替え事業や既設改善事業などにより設置を進めている。
【委員】
道理に合わないことを、平気で変わらず募集している神経が理解できない。県当局の率直な答弁を求める。
【理事者】
県営住宅の整備については、それぞれの時代の社会経済情勢の変化に伴い、整備を進めてきた。浴槽と風呂釜については、昭和61年4月1日の管理開始住宅からは全ての新築住宅に設置してきている。それ以前の風呂設備のない住戸については、平成26年度から設置工事を行っており、今後も引き続き風呂設備の設置を進めていく。
【委員】
2024年度第3回常時募集では、889戸のうち風呂なし72パーセント、名古屋地区は279戸のうち風呂なし98.6パーセントである。最近は、民間のマンション、アパートの空き家が多くなっている。この、民間のマンション、アパートで大家が風呂設備の設置を入居者に求めている光景は100パーセントない。風呂の修理、設備の更新は、全て大家の負担である。
低額所得者で、住宅に困窮している人に風呂設備を設置せよ、そうしたら入居させてやる、空き家ばかりとなっても、自分たちの腹は痛まないとの考えだからこそ、平然と全体の72パーセント、名古屋地区は98パーセントで風呂設備のない空き家募集ができるのではないか。
トランプ次期大統領が来年1月に誕生すれば、日本の経済は貿易における関税策を含め、産業界に深刻な状況を示すことになる。特に、自動車、鉄鋼、機械を主要な産業とする本県は深刻となる。ますます公営住宅入居者が多くなることと考える。早期に対応する必要性が増すことも考えてほしい。
そこで、100パーセントの風呂設置、風呂つき住宅の募集をする目標を、期限を定めてほしい。それはいつ頃を目標とするのか。
【理事者】
県営住宅の整備については、国の交付金制度等を活用することとし、老朽化が進んでいる住宅の建替事業のほか、既存住宅の外壁や配管等の改修などを行う長寿命化改善事業、居住性の向上を図る住戸改善事業など、バランスを考慮して進めており、風呂設備の設置についてはこれらの事業の中で対応を図っている。
このため、風呂設備のみの整備計画ではなく、建替事業、長寿命化改善事業、住戸改善事業の組合せにより、今後についても風呂設備の設置が効率的に実施できるよう努めていく。
【委員】
6月定例議会の建設委員会でも、県営住宅に風呂をつけることを求めた。建築局長からも答弁をもらい、改善に努めたいとの趣旨であったが、どれだけ改善に努めたのか不明である。
住宅に困窮する低額所得者を対象として、いつでも県営住宅に申し込んでほしい、先着順に受け付けると、全県内に募集パンフレットを配っているが、私の元へ相談に来た人は、こんなパンフレットを平然と配布させる県も県だが、県会議員は一体何をやっているのかと厳しい叱責を受けた。
県営住宅の責任者は建築局長であり、また、大村秀章知事である。私から見て建築局長が体を張って取り組んでいるとの声が届いていないが、建築局長の答弁を求める。
【理事者】
県営住宅の整備は国の交付金制度等を活用し、建替、長寿命化改善、住戸改善等バランスを考慮し総合的に進めている。今後についても、国の制度を活用し、総合的に判断して取り組んでいきたい。
【委員】
県営住宅の入退去を直接的に対応している県住宅供給公社がある。県から派遣された職員は、定期的に人事異動で県に戻る。また、県営住宅に携わったことのない建築局以外の県職員も、愛知県住宅供給公社に派遣されている。県住宅供給公社も、直接職員を募集・採用し、職務を行っている。
県会議員として50年目の私の目から見ると、職務の合理化を含め、以前とは程遠いような県営住宅の入居者との対応に心を痛めている。県職員である本庁の担当者、愛知県住宅供給公社に出向している職員、そして愛知県住宅供給公社の職員までも、県営住宅に直接出向いて、自治会や入居者のもと、すなわち現場に出向くことが本当に数少なくなっている傾向が顕著に見られる。県営住宅にある業務所との連絡のみの対応で、正確に県営住宅の管理状況や住民の声を聞くことは少ない。
なぜ、現場に出向かないのか。それは、統制した組織がないからである。どう改善するのか、答弁を求める。
【理事者】
愛知県住宅供給公社は、県営住宅の管理代行者として県営住宅の入居者決定や施設管理などを行っている。愛知県住宅供給公社では、本社に管理代行業務を統括する賃貸住宅課、技術業務課を置き、県内8地区の管理事務所、支所等で入居事務や維持管理等を行っており、各地区の基幹となる住宅には業務所も設けている。愛知県住宅供給公社においては、職員が定期的な施設巡回や納付指導など、各住宅に出向いて状況を把握するとともに、入居者の高齢化や外国人入居者への対応として、市町村の福祉部門との連携や外国人サポートデスクの設置など、状況の変化に応じた取組を行っている。また、サービス水準の向上を目的とした入居者満足度調査を毎年2回実施し、業務改善に生かすとともに公社職員の管理能力及び接遇力の向上を図るため、各種研修を行い、人材育成にも取り組んでいる。
県の職員も、愛知県住宅供給公社主催の現場研修会に積極的に参加するなど、県営住宅の管理に必要となる知識の習得・向上に努めている。
引き続き、県職員及び公社職員の資質向上を図り、愛知県住宅供給公社とともに適切な県営住宅の管理に努めていく。
【委員】
次に、県営住宅には自治会があり、共益費の一部を県が家賃とともに徴収しているが、県が行っている共益費には排水管の清掃の費用は含まれておらず、自治会で行わせている。
これは事実であるか。なぜ自治会に行わせているのか。
【理事者】
令和2年度から開始した附帯設備使用料、いわゆる共益費の県徴収制度の導入に当たり、自治会へのアンケートや自治会役員へのヒアリングを行ったところ、排水管の清掃については住宅の維持管理上、重要な項目であるものの、汚水処理施設やエレベーターの保守とは異なり、住宅ごとで実施する時期や回数、清掃の方法が違い、また、かかる費用にも住宅ごとで差があることが分かり、一律な対応が難しいことから県徴収制度の対象項目としていない。このため、排水管の清掃は自治会で実施してもらっている。
【委員】
県営住宅は、県にとって大切な資産である。県営高針住宅の2棟目の大改修が始まった。しかし、給排水管工事は、3回目の入札を行っても、どの企業もこの時期人手がないとのことでどこも工事してくれない。
ここで疑問に思うのは、排水管の清掃は自治会で行っているとのことであり、給排水管の工事はできないが清掃はできているとのことである。絶対におかしいと思う。
排水管の清掃業者はどのような業者なのか承知しているのか。排水管の清掃が実際にどのように行われているのかを県は確認しているのか。
【理事者】
令和5年度においては、236住宅で排水管の清掃を実施している。これら住宅で排水管清掃を行った業者は7社あり、このうち6社は建築物における衛生的環境の確保に関する法律に基づく、建築物の排水管の清掃を行う事業の知事登録を受けた業者で、残る1社は一宮市下水道排水設備指定工事店規程に基づく指定工事店である。
なお、自治会は毎回同じ業者に排水管の清掃を依頼しており、業者においても住宅の施設状況を把握しており、大きなトラブルも発生していない。また、排水管清掃の着手及び完了の際には、業者から愛知県住宅供給公社への連絡により実施の確認を行っている。
【委員】
清掃作業中に排水管が壊れた場合、その住宅は大変なパニックになる。その被害は想定すらできない。弁償もできないような業者や業者選定しかしていない自治会は、どのように県に損害賠償するのか。そのとき、県はどのように対応するのか。
【理事者】
排水管の清掃に際して、業者の過失により排水管を破損させ損害が生じた場合は、業者が賠償責任を負うことになる。しかし、業者に過失がなく排水管の劣化等に起因して破損した場合は、住宅管理者の負担により修繕等の対応を行っている。
【委員】
屋上防水、壁面補修は県が行っている。なぜ、県は排水管を清掃しないのか。病気でいえば、皮膚科は無料で検診するが、内科は自分でやれ、有料だとするのと同じである。
改めて聞くが、県が直接、排水管の清掃をやるべきだと考えるが、県当局の答弁を求める。
【理事者】
現在、295の県営住宅のうち全体の3分の1を超える104県営住宅で附帯設備使用料の県徴収を行っている。また、来年度から新たに11県営住宅で県徴収への移行が予定されている。この制度については、一定の理解が得られ、成果が出ている。
一方で、自治会への県からの制度説明の際には、自治会の役員からは、排水管の清掃や草刈りなどについても一緒に県徴収の対象としてほしいとの意見をもらっている。
このため、現在、改めて全ての住宅の自治会に排水管清掃の実施状況に関するアンケートを行っている。今後、この調査結果や他県の実施状況を踏まえ、排水管清掃の手法や清掃頻度はどうするかなど、排水管清掃をどのような形で徴収項目とするか検討を進めていきたい。
【委員】
現在、県営住宅は空き家が多いが、この空き家に対する共益費の負担について、県当局として負担金を自治会に支出しているのか。この問いは、共通の排水管の清掃及び樹木剪定等の共益費は、自治会が住民から徴収して負担することになっているため質問するものである。
県は、空き家の修繕をすぐに行っておらず、空き家の数が多くなった場合に、一括して業者に依頼しているようである。さらに、住宅内で死亡した人が相当数の日数を経過して発見された場合は、修繕もしないとしている。また退去者の私物があるからと修繕もできず、相当数が空き家になっている。県は、これら様々な状況での空き家に対して、長期の放置をしている。
廊下やエレベーターの電気代など、県側の責任に相当する負担については県が負担すべきではないか。空き家分の共益費を、住民が負担していることを指摘しているものである。県当局の答弁を求める。
【理事者】
附帯設備使用料の県徴収を行っていない住宅については、当該住宅の空き家率が10パーセントを2か月以上継続して超えた場合には、汚水処理場、エレベーター、共用灯、給水ポンプの電気代などについて、空き家率10パーセントを超えた空き家に係る共益費相当額を県が負担している。
【委員】
空き家の率が10パーセントを超えた場合や、2か月以上継続して超えた場合などは、自分たちが勝手に決めたことで住民は全然関知していないことであり、検討してほしい。
高度成長期、住宅が不足して多くの県営住宅が建設され、そこに住む人は、給料は低いが将来に希望を持つ若い人たちが多くいた。彼らは自分の家を持つことを目標に一生懸命頑張り、当時の日本の社会を支えてきた。
しかし、2024年10月1日現在の本県の人口は、65歳以上が25.8パーセント、75歳以上が15パーセントとなっており、本県でも確実に高齢化が進んでいる状況である。今の県営住宅は、年金生活となった高齢者が民間の高い家賃を払えなくなり、自分の家を修繕するお金がなくやむを得ず家を手放さなければならなくなり県営住宅に移り住み、県営住宅が最後の棲家となっている。
国立社会保障・人口問題研究所の日本の世帯数の将来推計では、県内の世帯総数のうち65歳以上の独り暮らしの世帯が、2020年の11.3パーセントから2050年には19パーセントに、また、75歳以上では6.4パーセントから12.5パーセントに、30年間でそれぞれ増加するとなっている。これを県営住宅の状況と比較すれば、県営住宅の入居者の高齢化がいかに進んでいるかが分かる。
そこで、現在の県営住宅の入居者の状況を教えてほしい。県営住宅に住む人はどれだけいるか。年代別で見た場合、どうなっているか。また、世帯人数の状況はどうか。そして、高齢者がいる世帯は、単身世帯、高齢者のみの世帯、高齢者以外の家族がいる世帯、それぞれどれだけいるか答弁を求める。
【理事者】
本年10月1日現在で、公営住宅として管理している普通県営住宅には4万3,307世帯、8万9,154人が住んでいる。人口統計で示される3区分による年代別で見ると、0歳から14歳までの年少人口は1万425人で入居者の11.7パーセント、15歳から64歳までの生産年齢人口では4万6,463人で入居者の52.1パーセント、65歳以上の老年人口は3万2,266人で入居者の36.2パーセントとなっている。なお、老年人口のうち75歳以上は1万9,741人が住んでおり、入居者の22.1パーセントとなっている。
次に、世帯の人数であるが、4万3,307世帯のうち単身世帯が1万5,296世帯で35.3パーセント、2人世帯は1万6,738世帯で38.6パーセント、3人世帯は6,780世帯で15.7パーセント、4人以上の世帯は4,493世帯、10.4パーセントなっている。
最後に、高齢者がいる世帯であるが、65歳以上の高齢者がいる世帯は2万4,280世帯あり、全世帯の56.1パーセントとなっている。高齢者世帯の状況であるが、65歳以上の単身世帯が1万800世帯で全世帯の24.9パーセントを占め、そのうち75歳以上の単身世帯は7,201世帯で全世帯の16.6パーセントとなっている。また、単身世帯以外の高齢者世帯は、高齢者のみの世帯が6,377世帯で全世帯の14.7パーセント、高齢者と高齢者以外の家族で住んでいる世帯は7,103世帯で全世帯の16.4パーセントとなっている。
【委員】
県営住宅には約9万人が住んでいるが、65歳以上の高齢入居者は36.2パーセントにも上り、75歳以上では22.1パーセントもいるとのことである。本県の人口で65歳以上が25.8パーセント、75歳以上が15.0パーセントであるため、いかに県営住宅の入居者の高齢化が進んでいるかが分かる。そして、県営住宅では65歳以上の独り暮らしの人が、県営住宅の全世帯の24.9パーセントを占め、75歳以上の独り暮らしの世帯は16.6パーセントも占めている。これは、本県の2050年の将来推計である19.0パーセントと12.5パーセントを、現時点ではるかに超えている。
このような状況を見れば、県営住宅はまさに最後の棲家である。高齢者の世帯は、高齢者が独りで住む単身世帯だけでなく、高齢夫婦で支え合っている世帯や、8050といわれる、年老いた親を同居の子供が支えている世代もあるが、皆、将来に不安を抱えている。既に介護が必要な人もたくさんいる。それが、今の県営住宅である。若い人たちにも県営住宅に入居してもらい、県営住宅に活気を取り戻すことが必要である。
県営住宅では、子育て世帯や新婚世帯も、高齢者世帯と同じように優先入居の対象としている。私は15年ほど前に県議会で、婚約し人生の新たなスタートラインに立ち、希望に満ちた若者たちが住宅に困っている現状の中、新しい世帯に希望を与えるために婚約中を含む新婚世帯を高齢者世帯などと同じように県営住宅の優先入居制度を適用するよう県当局に求め、新婚世帯の優先入居が実現した。これは全国に先駆けたもので、多くの若い希望に満ちた新婚世帯に喜ばれた取組となった。
そこで、新婚世帯の優先入居の申込状況について伺う。県営住宅の入居者募集に応募した新婚世帯はどれだけあったか。
【理事者】
新婚世帯をはじめ、優先入居の対象世帯は抽せん募集で設けている福祉枠に応募することができ、福祉枠で落選した場合には一般枠でも抽せんを行い、当選する確率が高くなるよう配慮している。令和5年度の抽せん募集における福祉枠の応募状況は、応募があった933人のうち新婚世帯からの応募は24人であった。
【委員】
昨年度1年間で、優先入居のため設けた福祉枠には933人が応募し、そのうち新婚世帯は24人しかいなかった。これは、若者は県営住宅に入居することを希望しない結果の表れである。
なぜ、若者が県営住宅に入居したくないのか。若者にとって、高齢の入居者が多い県営住宅に新たに入居すれば、自治会の役員を押しつけられる、県営住宅は古くて不便で汚いなど、そのようなイメージが定着しているのではないか。県営住宅は建てられてから何十年間も、一度も外壁の塗り直しがされず、黒くくすんだ外観を見れば、若者でなくても多くの人は入居したいとは思わない。
国による指導と思われるが、公営住宅の建物を永く維持するためには、定期的な補修による改善をすることになっていると思う。おおむね20年から25年を目標としている規定があることを承知している。この規定について詳細を伺う。
【理事者】
本県では、県営住宅の良好な居住環境を維持するため、かつては修繕計画を策定し、屋上防水や外壁塗装は25年など、工事項目ごとに修繕の目安となる周期を設けて計画的な修繕を実施していた。しかし、現在は長期的なサイクルで実施する屋上防水や外壁塗装などについては、必要性・緊急性を精査し、個別に予算計上している。
【委員】
同じ公営住宅である名古屋市営住宅は、20年に一度は住宅の大改修を行っている。同じ公営住宅である県営住宅はなぜできないのか。
【理事者】
県営住宅の維持管理の主な財源である家賃収入が、平成8年の公営住宅法の改正により大幅に減少したことに伴い、維持修繕の予算の確保が困難となり、一般修繕費を優先的に確保したため、外壁塗装などの予防保全的な計画修繕がほとんどできなくなった。このため、国の補助金による財源の確保や施工箇所の精査を行い、財政当局とも議論を重ね、法改正前である平成8年度予算の約4割まで減少していた維持修繕費の予算を、本年度予算では7割を超える額まで確保することができた。
しかし、いまだ維持修繕を行うための十分な予算が確保できたとは言いにくい状況であるため、引き続き財政当局と折衝し、維持修繕に係る予算の確保に努め、入居者の安全安心を最優先に効果的な修繕の実施をしていきたい。
【委員】
名古屋市会議員からは、名東区内の建築物で幽霊屋敷のように薄汚い住宅は、県営高針住宅と県営梅森住宅だけで、名東区民として恥ずかしいと言われた。
県営高針住宅には5棟の住棟があるが、昨年、1号棟が40年以上たってやっと外壁が塗り直され、現在は2号棟の長寿命化改善工事の着手にかかっている。しかし、残る三つの住棟の塗り直しは、まだ先になる。私は50年も県会議員をやっているが、無気力であるかのごとく批判されているようで誠に無念でならない。毎年、県当局に早急の大規模改修を求めている。
名古屋市は20年に一度大規模改修が実施できているのに、なぜ本県ができないのか再度伺う。
【理事者】
昭和40年代から50年代にかけて大量に建設された県営住宅の老朽化に対応するため、計画的かつ効果的な整備・活用を図っていくことを目的とする愛知県営住宅長寿命化計画を策定して、既存県営住宅の長寿命化改善事業を実施しており、外壁や屋根、配管等の改修を実施し、居住環境の向上に取り組んでいる。県営高針住宅の改修工事についても、この長寿命化改善事業により実施している。
今後も、計画修繕と長寿命化改善事業を組み合わせて、より効果的に事業を実施し、居住環境の維持・向上に取り組んでいきたい。
【委員】
先日も、入居の相談を受けた際に、高針住宅に入居するのであれば改修工事が終わった1号棟でなければ嫌だとの話があった。名古屋市営住宅と比較して見劣りしない県営住宅にしてほしい。理解ができないのは、名古屋市営住宅ができて、なぜ県営住宅ができないのかということである。検討してほしい。
現在の生活様式は、県営住宅が大量に造られた高度成長期から大きく変わっている。県営住宅も、木造住宅やブロック積みの簡易耐火住宅から鉄筋コンクリート造の中層住宅、そして高層住宅に変わってきている。トイレの設備もくみ取り式から水洗式に、和式から洋式に変わるなど、時代に合わせて見直されてきた。
県営住宅の仕様は、どのように見直されてきたのか。主な変遷と理由を伺う。
【理事者】
公営住宅は、以前は国が定めた整備基準に基づき整備を行っていたが、現在はこれを参考として、愛知県県営住宅条例で定める基準に基づき整備を進めており、それぞれの時代の社会経済情勢を反映した整備基準の改正を行ってきた。特に、平成6年に策定された人にやさしい街づくりの推進に関する条例は、高齢者や障害者など全ての人が利用しやすい施設の整備を目的とするものであり、基準の見直しを行った。
主な見直しとしては、平成6年に屋外スロープの勾配を12分の1から15分の1と緩やかとなるように変更、平成14年に、国の整備基準の改正に合わせ、3階建て以上の住棟にはエレベーターを設置、平成21年には、自治会との意見交換などを踏まえ、介護者専用駐車場を設置、などが挙げられる。
【委員】
県営住宅には、安全性、居住性、耐久性、そして長寿社会への対応が求められ、バリアフリー化がその代表である。県営住宅には身体障害者向けに対応し特別に設計された部屋がある。高針住宅にも身体障害者向けの部屋が造られ、車椅子に対応した住宅を、障害者に配慮したすばらしい部屋を県が造った。
いつから、どのような理由で県営住宅に身体障害者向けの住宅を造るようになったのか。
【理事者】
昭和46年4月1日に、建設省、厚生省において心身障害者世帯向け公営住宅建設等実施要領が定められ、心身障害者向け公営住宅の整備に際して、原則、平屋または共同住宅の1階とすることや、設計に当たってはできる限り心身障害者の生活に適するよう配慮することとされた。これを受け、本県では昭和49年に建設した住宅から、必要に応じて身体障害者世帯向けの住戸を整備している。
【委員】
具体的にどのような部屋か紹介すると、まず玄関扉は開口幅の大きな引き戸となっており、土間と部屋の間に上がり框はなく、部屋のドアも全て引き戸である。車椅子のまま部屋に移動することができる形状になっている。台所や洗面は低くセットされ、車椅子でも使えるように、流しの下は空間が設けられている。そして、風呂場と和室は床面を数十センチメートル上げて車椅子から降りやすいようにしてあるなど、車椅子で生活する人専用の仕様になった画期的な部屋であった。
しかし、これは当時の身体障害者向けの部屋の話である。この仕様が現代に本当に合っているのかどうか。身体障害者に配慮した部屋を整備することは、障害者に寄り添ったすばらしい施策だと思うが、時代に合ったものでなければ、入居者にとって使いづらいものとなる。
床面を数十センチメートル上げた和室は必要か。和室の床が上がっていると、車椅子の人は畳の上で寝るための布団の上げ下げが困難で掃除も難しい。足が不自由な人が、畳から立ち上がるのも大変である。洋室にベッドを置いて生活するほうがはるかに便利である。
このため、現在造られている身体障害者向けの部屋は、床面を上げた和室をなくして車椅子での移動が楽になっている。生活様式も変わり、障害者でも自立した生活を快適に過ごせるように世の中は移ってきた。今は訪問介護も充実しているため、身体障害者向けの部屋は介護する側にも配慮した仕様が求められる。
こうした状況を認識しているため、本県も時代に合わせた仕様の見直しをしているのではないのか。今まで整備してきた身体障害者向けの部屋も時代に合わせて改修し、身体障害者に求められる部屋にすべきではないか。
【理事者】
身体障害者世帯向け住宅は、73住宅194戸ある。そのうち、建設当時に和室の床をほかの部屋より高くしたことで、現在では使いにくいとされる住戸が69戸あった。このうち39戸で床の段差をなくすなどの改善工事を行っている。残り30戸については、入居者の希望などを踏まえ改善工事を検討している。
【委員】
ベッドが生活しやすいことは、車椅子で生活する人だけではなく、足腰が弱っている高齢者にも当てはまる。しかし、県当局は新たに建設した住宅の入居者にアンケートを取り、その結果をもって和室は不要とはいえないと言い、それが標準仕様だという。限られた対象者の意見だけで、本当にそれが県営住宅の入居者が求めていることかは疑問である。
今の県営住宅は高齢者が多く住んでいる。住宅の仕様も高齢者に寄り添ったものに見直していくべきではないか。その一つが、洋室の部屋である。洋室にすれば布団の上げ下げから解放され、さらには退去時の畳替えやふすまの張り替えも必要なくなる。
県営住宅を取り巻く環境は、変わってきている。昔は若い働き盛りの世代が多く住み、活気も活力もあったが、今の県営住宅には高齢者が数多く住んでおり、様々な配慮が必要になってきている。県当局は大家として、ソフト・ハード両面で真剣に考えなければならない。県営住宅の目的にある、低額所得者が健康で文化的な生活を営めるよう、今質問した話は全て待ったなしである。
これまでの県営住宅に関する今回の質問を通し、建築局長の総括した所見を伺う。県営住宅に既に入居している大勢の人々や、これから入居したい人の願いをかなえるだけの予算を確保する必要がある。
【理事者】
県営住宅の整備や管理において、現状、様々な課題があると認識している。これらの諸課題の改善に向けて、必要な予算の確保に努めるとともに、効率的・効果的な執行を図り、県営住宅に入居したい人が安心して暮らせるよう取り組んでいきたい。
【委員】
最後に要望する。2025年1月6日から14日の、一般の抽せんによる第3回県営住宅の入居申込みがある。要望の一つ目は、名古屋地区一般福祉枠、名古屋地区中村KC福祉枠1戸、尾張地区小牧A福祉枠1戸、西三河地区明神橋KC福祉枠1戸の計3戸の福祉枠の住居に風呂がない。福祉枠に風呂のない募集はもうやめてほしい。
要望の二つ目は、単身者向け、老人世帯向けの募集に、風呂つきでないものがある。単身者の多くは高齢者の申込みが多い現状、老人世帯向けの風呂のないものもおかしい。要望二点の改善を求める。