委員会情報
委員会審査状況
建設委員会
( 委 員 会 )
日 時 令和7年3月14日(金) 午後0時59分~
会 場 第4委員会室
出 席 者
山田たかお、中村貴文 正副委員長
島倉 誠、山下智也、藤原ひろき、神戸健太郎、伊藤貴治、高橋正子、
朝倉浩一、細井真司、古林千恵、筒井タカヤ、神谷まさひろ 各委員
建設局長、同技監(2名)、土木部長、道路監、治水防災対策監、
豊川水系対策本部副本部長、豊川水系対策本部事務局長、水資源監、
都市・交通局長、同技監、都市基盤部長、リニア・交通対策監、
港湾空港推進監、空港長、
建築局長、同技監、公共建築部長、建築指導監、
収用委員会事務局長、関係各課長等
<付託案件等>
○ 議 案
第 1 号 令和7年度愛知県一般会計予算
第1条(歳入歳出予算)の内
歳 出
第7款 建設費の内
第1項 建設管理費
第2項 道路橋りょう費
第3項 河川海岸費
第4項 砂防費
第5項 都市・交通費
第6項 港湾空港費
第7項 漁港費
第8項 建築費
第9項 住宅費
第10款 災害復旧費の内
第2項 土木施設災害復旧費
第2条(繰越明許費)の内
第7款 建設費
第3条(債務負担行為)の内
新城設楽建設事務所施設設備改修工事
愛知県土地開発公社事業資金借入金債務保証
公共用地先行取得契約(愛知県土地開発公社)
橋りょう補修事業一般国道155号境大橋下部補強工事
橋りょう補修事業一般国道247号千鳥橋上部補修工事
橋りょう補修事業一般国道247号新上野橋下部補強工事
橋りょう補修事業県道安城碧南線見合橋下部補強工事
橋りょう補修事業県道岡崎刈谷線高熊跨線橋上下部補修工事
橋りょう補修事業県道岡崎刈谷線高熊跨線橋上下部補修工事協定(東海旅客鉄道株式会社)
橋りょう補修事業県道名古屋半田線天白大橋下部補強工事協定(名古屋市)
橋りょう補修事業県道佐屋多度線立田大橋上部補強工事
橋りょう補修事業県道東海緑線共和跨線橋上部補修工事
橋りょう補修事業県道東海緑線共和跨線橋上部補修工事協定(東海旅客鉄道株式会社)
道路改良事業一般国道151号道路築造工事
道路改良事業一般国道155号用地取得及び物件移転補償契約
道路改良事業一般国道247号物件移転補償契約
道路改良事業一般国道247号日長インターチェンジ(仮称)工事協定(国土交通省)
道路改良事業一般国道247号知多3号橋上部工事
道路改良事業一般国道247号新拾石橋上部工事
道路改良事業県道東三河環状線新豊川橋設計業務委託契約
道路改良事業県道東三河環状線佐奈川橋上部工事
道路改良事業県道小渕江南線新愛岐大橋取付高架橋上部工事
道路改良事業県道豊川蒲郡線立体交差詳細設計委託協定(東海旅客鉄道株式会社)
道路改良事業県道蒲郡碧南線小焼野橋下部工事
道路改良事業県道蒲郡碧南線小焼野橋上部工事
道路改良事業県道蒲郡碧南線川口跨線橋上部工事
橋りょう整備事業一般国道151号宮下立体上部工事(その1)
橋りょう整備事業一般国道151号宮下立体上部工事(その2)
橋りょう整備事業一般国道151号宮下立体上部工事(その3)
橋りょう整備事業一般国道151号宮下立体上部工事(その4)
橋りょう整備事業県道名古屋祖父江線清洲橋上部工事
橋りょう整備事業県道扶桑各務原線新愛岐大橋上部工事
橋りょう整備事業県道豊橋環状線弘法橋上部工事
設楽ダム関連道路整備受託事業県道小松田口線8号橋下部工事
設楽ダム関連道路整備受託事業県道小松田口線道路築造工事(その1)
設楽ダム関連道路整備受託事業県道小松田口線道路築造工事(その2)
設楽ダム関連道路整備受託事業県道小松田口線道路築造工事(その3)
名古屋高速道路公社有料道路整備資金借入金(政府資金)債務保証
名古屋高速道路公社有料道路整備資金借入金(民間資金)債務保証
愛知県道路公社有料道路整備資金借入金(民間資金)債務保証
愛知県道路公社有料道路関連道路整備資金借入金(民間資金)債務保証
中小河川改良事業水場川排水機場設備分解整備工事
中小河川改良事業天神川護岸工事
中小河川改良事業瀬戸川護岸工事
中小河川改良事業外堀川護岸工事
中小河川改良事業青木川放水路排水機場設備分解整備工事
中小河川改良事業合瀬川護岸工事(その1)
中小河川改良事業合瀬川護岸工事(その2)
中小河川改良事業鍋田川下流排水機場設備分解整備工事
中小河川改良事業鹿乗川橋りょう改築工事(その1)
中小河川改良事業鹿乗川橋りょう改築工事(その2)
中小河川改良事業木瀬ダム小水力発電施設設置工事
中小河川改良事業天白川護岸工事(その1)
中小河川改良事業天白川護岸工事(その2)
中小河川改良事業日光川2号放水路工事
中小河川改良事業日光川遊水地工事
中小河川改良事業領内川築堤工事
中小河川改良事業旧日光川水閘門撤去工事
中小河川改良事業日光川護岸工事
中小河川改良事業日光川河床掘削工事
中小河川改良事業福田川樋管工事
中小河川改良事業福田川橋りょう改築工事(その1)
中小河川改良事業福田川橋りょう改築工事(その2)
中小河川改良事業五箇村川排水機場設置工事(その1)
中小河川改良事業五箇村川排水機場設置工事(その2)
中小河川改良事業石川水門改築工事
中小河川改良事業神戸川護岸工事
中小河川改良事業五箇村川護岸工事
中小河川改良事業稗田川橋りょう改築工事
中小河川改良事業柳生川地下河川工事
中小河川改良事業精進川水門設置工事
総合治水対策特定河川事業大山川調節池工事
総合治水対策特定河川事業清洲橋上部工事
総合治水対策特定河川事業両郡橋下部工事
小規模河川改修事業片原一色留堰改築工事
緊急防災対策河川事業鍋田川下樋門設備更新工事
緊急防災対策河川事業蟹江川排水機場設備更新工事
緊急防災対策河川事業日光川水閘門設備更新工事
緊急防災対策河川事業西中野樋管設備更新工事
緊急防災対策河川事業日光川排水機場設備更新工事
緊急防災対策河川事業筏川排水機場設備更新工事
緊急防災対策河川事業西中野排水機場設備更新工事
地盤沈下対策河川緊急整備事業善太川護岸工事
木曽川水系新丸山ダムに係る水源地域整備事業費負担
海岸高潮対策事業東浦海岸改修工事
海岸高潮対策事業西尾海岸改修工事(その1)
海岸高潮対策事業西尾海岸改修工事(その2)
海岸高潮対策事業幡豆海岸改修工事
海岸高潮対策事業豊橋海岸改修工事
津波対策海岸特別緊急事業鳥羽東川樋門設備更新工事
津波対策海岸特別緊急事業渥美海岸築堤工事
通常砂防事業梁野沢堰堤工事
通常砂防事業山綱川第6支川堰堤工事
街路新設改良事業知多都市計画道路武豊港線道路築造工事協定(名古屋鉄道株式会社)
知多都市計画都市高速鉄道東海旅客鉄道武豊線(半田駅)連続立体交差工事協定(東海旅客鉄道株式会社)
公園緑地整備事業油ケ淵水辺公園整備工事
ジブリパーク関連公園整備事業愛・地球博記念公園整備工事
名古屋飛行場施設整備事業航空灯火整備工事
愛知県住宅供給公社事業資金貸付金損失補償
普通県営住宅建設工事
既設県営住宅長寿命化改善工事
第 11 号 令和7年度愛知県港湾整備事業特別会計予算
第 12 号 令和7年度愛知県県営住宅管理事業特別会計予算
第 17 号 令和7年度愛知県流域下水道事業会計予算
第 43 号 愛知県港湾管理条例の一部改正について
第 44 号 愛知県入港料条例の一部改正について
第 49 号 名古屋高速道路公社の基本財産の額の変更について
第 53 号 県の行う土木事業に対する市町村の負担金について
第 54 号 県の行う流域下水道事業に対する市町村の負担金について
第 55 号 国の行う公園事業に対する名古屋市の負担金について
第 56 号 訴えの提起について
(結 果)
全員一致をもって原案を可決すべきものと決した議案
第1号、第11号、第12号、第17号、第43号、第44号、第49号及び第53号から第56号まで
○ 閉会中継続調査申出案件
1 道路の整備等について
2 水資源対策並びに河川、砂防、水道及び下水道の整備等について
3 土地対策、都市計画並びに公園及び市街地の整備等について
4 総合交通体系及び港湾の整備等並びに航空対策について
5 宅地建物取引及び建築・宅地造成等の規制について
6 公営住宅等の建設及び管理並びに県有施設の営繕工事について
7 建設局、都市・交通局、建築局及び収用委員会の行政運営について
<会議の概要>
1 開 会
2 議案審査(11件)
(1)理事者の説明
(2)質 疑
(3)採 決
3 委員長報告の決定
4 一般質問
5 休 憩(午後3時)
6 再 開(午後3時13分)
7 閉会中継続調査申出案件の決定
8 閉 会
(主な質疑)
《議案関係》
【委員】
スタートアップ活用まちづくり支援事業費について伺う。
様々な地域課題を抱える市町村と先進技術やサービスを持つスタートアップ等とマッチングするとともに、事業化に向けた実証実験を行うことにより、市町村のまちづくり支援をする事業と説明を受けた。
各市町村において、STATION Aiの機能やスタートアップの持つ先進技術やサービスを活用するなどして、民間の取組とそれぞれ地元の特色を生かした市町村によるまちづくりの取組の融合によって、都市や地域のにぎわいの創出や活力の維持につなげていくことが大変重要だと思う。
市町村とスタートアップ等をマッチングし、地元の特色を生かしたまちづくりを支援していくとのことであったが、どのように進めるのか伺う。
【理事者】
本事業による市町村のまちづくり支援は、市町村とスタートアップ等とのマッチングと実証実験の実施の二つの柱から成っている。マッチングに向けた重要な取組として、市町村がスタートアップ等に対し、取り組みたい地域課題を説明・発表し、スタートアップ等から課題解決策の提案を募るイベント、いわゆるガバメントピッチを開催する。
ガバメントピッチの開催後、解決策を提案したスタートアップ等と市町村が面談し、マッチングを図る。その後、マッチングした市町村等は事業計画の作成に取り組み、実証実験を10月頃から実施することを予定している。
【委員】
スタートアップ等とのマッチングに向けては、県としてどのように市町村を支援していくのか伺う。
【理事者】
本事業において、市町村がスタートアップ等と初めてマッチングを試みる場合もあると想定し、官民連携によるまちづくりの知見を有するコンサルタントに業務支援を委託し、コンサルタントとともに市町村をサポートする予定である。
また、市町村においては、地域課題の全体像を把握できていないことも想定され、ガバメントピッチ開催前の段階から、県が市町村とともに課題の整理や深掘りを行い、伴走的な支援をしていきたい。
県が市町村の伴走者として、本事業の各段階において、様々な相談に寄り添って支援することで、円滑かつ効率的な事業運営を図っていく。
【委員】
来年度実証実験を実施する数はどのぐらいか、また、どのような効果が期待されるのか伺う。
【理事者】
実証実験の実施は、市町村とスタートアップ等が作成する事業計画の内容を確認して、決定する。五つ程度を見込んでいるが、実施する数は柔軟に対応していく予定である。
市町村は、実証実験の成果を生かし、市町村事業として、実装に向けた本格実施の弾みとなって、まちづくりの課題解決への取組が進展することを期待している。
《一般質問》
【委員】
名古屋三河道路について伺う。
去る3月8日、国道23号名豊道路の蒲郡インターチェンジから豊川為当インターチェンジ間9.1キロメートルが開通し、ついに名豊道路が事業化から約半世紀を経て、全線開通となった。これにより、名古屋から豊橋の所要時間が大幅に短縮される。
また、私が住む西三河地域は、自動車関連産業が集積しており、完成自動車の輸出入港である三河港へのアクセス性が高まることで、生産性向上にもつながる。これも愛知県の建設局が長年にわたり、尽力したおかげである。
一方で、製造品出荷額等が、二輪も含めた自動車の保有台数が日本一である我が県には、新しい道路の整備がまだまだ必要である。
そこで、今回は名古屋三河道路を取り上げる。名古屋三河道路は、西三河地域及び知多地域を東西に貫く高規格道路であり、名古屋港や中部国際空港へのアクセス性を高めて、輸送効率化や交通渋滞軽減への貢献が期待される。
さらに、現在、知多地域の事業所からガソリン、灯油、軽油といった燃料が、大型タンクローリーによって三河地域のサービスステーションに供給されている。地震等の災害により、名豊道路が通れなくなると、燃料供給がストップするおそれがある。そうなれば、我々の生活や経済活動へのダメージは甚大であり、愛知県、ひいては国への影響も計り知れないものとなる。
国からは、災害時の初動体制として、燃料供給安定化に向けたアクセスルートの確保を求められている。今年1月、南海トラフの巨大地震が今後30年以内に起きる確率を80パーセント程度と引き上げ、公表された状況を踏まえると、名古屋三河道路の必要性がこれまで以上に高まっていると考える。私の前任である永井雅彦前県議会議員も名古屋三河道路の必要性を強く訴えてきた。
このような中、昨年12月に開催された第3回名古屋三河道路有識者委員会で、西知多道路から名豊道路までの優先整備区間について、一つのルート帯案が公表された。さらに、先日の一般質問では、来年度からは都市計画手続に着手し、詳細なルートや構造など、計画の具体化を着実に進めるとの県当局からの答弁があった。
今回、名豊道路が全線開通したこともあり、現在、地元刈谷市においても、名古屋三河道路の早期実現について、期待や関心の声が高まっている。
そこで、名古屋三河道路の優先整備区間について、県としてどのような効果を想定して、計画をしているのか伺う。
【理事者】
県としては、知多・西三河南部地域において、産業・渋滞・安全・防災の四つの観点から、交通課題があると考え、名古屋三河道路を計画している。
産業面では、両地域を東西に結ぶ規格の高い道路が不足し、名古屋港や中部国際空港への移動における時間信頼性が低いこと、渋滞面では、境川・衣浦港周辺に交通が集中し、交通混雑が頻発していることがある。
また、安全面では、境川・衣浦港周辺に死傷事故率が高い区間が集中していること、防災面では、津波浸水等により道路ネットワークが寸断され、支援物資の輸送や企業の事業継続が困難になるおそれがあることが課題と考えている。
昨年12月に公表したルート帯案は、新たな東西軸を形成し、名豊道路をはじめとした周辺道路と適切な交通分担を図ることにより、名古屋港や中部国際空港への速達性や定時性の向上に加え、沿線の生産・物流拠点相互のアクセス性の向上及び周辺道路の渋滞緩和や交通事故発生リスクの低減が期待できるルート帯である。
引き続き、名古屋三河道路の整備効果を高め、その効果を早期に発現できるよう道路計画の具体化を進めていく。
【委員】
次に、今後の道路計画の具体化に当たって、地域の生活環境、そして、自然環境へどのように配慮するのか伺う。
【理事者】
名古屋三河道路の計画検討における地域の生活環境や自然環境への配慮については、昨年12月に公表した1キロメートル幅のルート帯案の検討段階において、市街地や自然公園、景観資源等の土地利用状況などを考慮し、生活・自然・景観等に配慮したルート選定を行っている。
また、3月5日から縦覧している名古屋三河道路の計画段階環境配慮書においては、既存資料などを用いて、大気質、騒音、動物、植物など計7項目へ与える影響を検討している。
来年度から着手を予定している都市計画手続の段階においても、並行して実施する環境影響評価の中で、必要な調査を実施し、その結果も活用して予測・評価を行っていく。
このように、計画検討の熟度に応じて、地域の生活環境や自然環境へ適切に配慮することとしており、引き続き環境に配慮した道路計画の具体化にしっかりと取り組んでいく。
【委員】
県管理道路の地下にある埋設物の管理について伺う。
1月28日、埼玉県八潮市で県道が陥没し、トラックが転落する事故が発生し、トラックの運転手はいまだ捜索中であり、周辺地域では、一時避難の要請や下水道の使用の自粛要請がなされるなど、県民への大きな影響があったと報道された。
また、2月24日、埼玉県所沢市の道路、2時間以上にわたって水が噴き出し、一時道路が冠水したとも報道された。
このように道路下に埋められている埋設物としては、上水道、下水道、電気、ガス、通信など県民の暮らしに欠かすことができないインフラがある。
そこで、県管理道路の地下に下水道等を埋める場合、どのような手続が必要か伺う。
【理事者】
道路の地下に水道管や下水道管、ガス管などを埋設しようとする場合、道路法第32条の規定に基づき、道路管理者に対して、図面等必要な書類を添付して、占用許可を申請し、審査を経て許可を受ける必要がある。
【委員】
名古屋市における道路陥没の主な原因は下水道管の老朽化であり、市が管理する下水道管の約7,900キロメートルのうち、4分の1に当たる部分が耐用年数を超えており、特に50年以上経過した管が多く存在しているといわれている。
2016年には千種区で、2017年には中区錦でそれぞれ道路陥没が発生し、いずれも老朽化した下水道管が原因とされている。
愛知県営の水道及び工業用水道事業における老朽化施設更新については、水道では設備及び管路の更新計画、工業用水道では国の補助制度を活用しながら事業ごとに改築事業計画を策定し、取り組んでもらっている。
水道の管路については、昭和40年代から50年代にかけて、集中的に整備された管路の老朽化が懸念され、今後の管路更新のペースを加速させる必要があるとされている。
道路法に基づいて許可を受けた者が下水道管などの設置工事を行うが、全国でインフラの老朽化が顕著になっていく中で、愛知県においても設置後の管理を適切に行うことが重要と考える。
県が管理する道路の地下に占用許可を受けて設置された様々な埋設物の管理は、誰が行っているのか伺う。
【理事者】
道路を占用している物件の管理については、道路の構造や交通に支障を及ぼすことがないよう道路法第39条の8の規定により、道路を占用している方に対し、適切に維持管理することが義務づけられている。
【委員】
占用許可を受けた者が適切に維持管理する責任があるが、県は、占用許可を出した相手が適切に維持管理していることを確認する仕組みはあるのか伺う。
【理事者】
占用を許可する際には、占用物件により5年や10年など許可の期間を区切るとともに許可条件を付しており、この許可条件において、許可期間の更新を申請するときなどに、占用物件の現状を書面等により報告することを求めている。
占用物件の維持管理が適切でないと確認された場合、道路法第39条の9の規定により、占用されている方に是正措置を求めていく。
【委員】
最後に、道路の地下を占用する者は、冒頭でも述べたように下水だけではなく、上水道、電気、ガス、通信など複数ある。それぞれ工事していると、掘っては埋め、掘っては埋めが繰り返されて、効率が悪いと思うが、県は何か対策しているのか伺う。
【理事者】
県が実施する道路工事や、占用許可を受けた業者による工事が繰り返されることにより、円滑な交通への影響が懸念される。そのため、県では、一定の期間内に道路で繰り返し工事が行われないよう、工事完了後、道路の掘削を規制している。
具体的には、警察や道路管理者、占用事業者等を構成員とする道路占用地域連絡会議を建設事務所ごとに設置し、道路工事や地下埋設工事の施行時期や施工方法に関する情報等を共有・調整することにより、関連工事を集約させ、同一区間における工事の抑制に努めている。
【委員】
膨大な道路構造物を適切に維持管理していくために、県では道路管理者として、定期的な道路のパトロールや点検をしてもらっていると伺っている。
一方、本日答弁があったように、道路の地下にある許可を受けた埋設物は、占用許可を受けた事業者に維持管理する義務がある。県は、道路の点検を通して、異常を早期発見し、各占用する事業者との連携を十分に行いながら、県民の安全・安心のための取組の強化に努めてもらいたいと思う。
【委員】
愛知県は日本一のモノづくりの県であり、そのサプライチェーンは道路交通によって支えられていることから、一度予期せぬ道路陥没が発生すれば、県民の皆様の生命・財産を脅かす可能性があるだけでなく、地域の社会経済活動にも甚大な影響を及ぼす可能性がある。
そこで、今回の埼玉県八潮市で起きた事故を受けて、流域下水道管理者である愛知県は、どのような対応を行ったのか、また、県内市町の対応状況について伺う。
【理事者】
国は、埼玉県八潮市で発生した事故を受け、1月29日に、7都府県が管理する大規模な下水処理場に接続する下水道管路を対象とした緊急点検を、2月7日までに実施するよう要請した。要請の対象は、1日最大汚水処理量が30万立方メートル以上となる下水処理場に接続する口径2,000ミリメートル以上の下水道管路であった。
本県は、国の緊急点検の対象とならなかったが、今年度から、国が要請した施設規模に矢作川流域下水道が達したため、口径2,000ミリメートル以上の下水道管約39キロメートルについて、自主的な緊急点検を2月7日までに実施した。
点検内容は、車両から目視により、路面に異常がないかを確認する点検とマンホール内に作業員が入り、目視により管のずれや腐食、土砂の堆積などの異常がないかを確認する点検を実施し、いずれも異常は確認されなかった。
また、県内自治体では、名古屋市をはじめ、30市町において、路面からの点検やマンホール内部からの点検などを自主的に実施している。
【委員】
大きな事故を防ぐには、毎年計画的に点検・調査を行うことが重要だと思う。
そこで、本県が管理する流域下水道管の通常の点検・調査はどのように行っているのか伺う。
【理事者】
県が管理する流域下水道管路は、下水道法や国のガイドラインに基づいて、定期的に点検・調査を行い、この結果に基づき、修繕・改築計画を立て、適切な維持管理を行っている。
具体的には、国のガイドラインに基づき、流域下水道管の全延長372キロメートルについて、10年に1回以上の頻度で、下水道管路管理総合技士などの有資格者により、管の破損や継ぎ手部のずれ、地下水の侵入、腐食状況などを確認して、劣化状況を把握する調査を行っている。
この調査は、管の中に人が入ることができる場合は目視により、管に人が入ることができない箇所については、テレビカメラを管の中に挿入して、モニター映像を確認することにより劣化状況を把握している。
加えて、腐食のおそれが大きい箇所、具体的には下水道管に大きな段差があるような、下水の流れが大きく変わり、コンクリートの腐食原因となる硫化水素が発生しやすい箇所、約103キロメートルについては、下水道法に定められた基準に従って、5年に1回以上の頻度でマンホールの中から、目視により管に異常がないかを確認する点検を行っている。
【委員】
次に、下水道管の破損以外の原因で起き得る道路陥没に焦点を当てて伺う。
道路の陥没を防止し、道路を利用する皆様に安心して、安心・安全な道路環境を提供するには、常日頃からの備えが必要であり、道路の陥没に至るような異常兆候の早期発見に努めることが不可欠であると考える。
そして、そのためには、道路の日常管理において、点検を確実に実施することが重要となる。また、こうした道路管理者による日常管理の取組だけでなく、常日頃から道路を利用する県民からの情報を幅広く効率的に受け取ることにより、細やかで迅速な異常箇所の把握と対応が可能になると思う。
そこで、道路陥没の防止に向けた道路管理者の取組と、道路利用者からの情報を受け取る仕組みについて伺う。
【理事者】
道路陥没の防止に向けては、日常の管理において道路の状態を把握するとともに、路面などに異常な兆候を発見した場合には、迅速に対応することが重要である。
このため、本県では、管理する道路について、全路線週1回以上の頻度で道路パトロールを実施しており、昨年度は約5万3,000件の異常を発見するとともに、舗装の穴ぼこなどについては、直ちにアスファルト常温合材を用いて埋め戻すなど、その場で対応可能な応急措置も行っている。
そして、パトロールでの異常発見時に、現地では、状況写真や位置情報などをタブレット端末から管理システムに登録することで、担当者間でリアルタイムに情報を共有するとともに、発見から措置完了までを一元管理し、迅速で確実な対応に努めている。
また、こうした日常点検に加え、2017年度からは、道路の陥没につながる空洞を早期に発見できるよう、緊急輸送道路など重要な路線から試行的に地中レーダー探査による路面下の空洞調査に着手している。
今年度までに、延べ1,380キロメートルを調査し、陥没につながるおそれのある空洞30か所については、原因が特定できるよう、埋設物の管理者と共に施設が損傷していないかなどを調査した上で空洞を埋め戻すなどの対応を行い、浅い部分に発見された空洞に対して、一定の効果を確認している。
一方、道路利用者からの通報については、国土交通省が運用している道路緊急ダイヤル#9910などを活用し、24時間受け付けており、突発的に発生する異常に対しても、早期に把握できる体制を整えている。
さらに、国土交通省が従来の道路緊急ダイヤルに加え、道路利用者がLINEアプリを用いて写真や位置情報を送信、通報するシステムを昨年3月末から運用しており、本県にもLINEアプリによる情報が本年2月末まで521件寄せられており、このうち道路の穴ぼこや落下物等が約7割を占めていた。
今後とも道路パトロールを含めた日常管理を確実に実施するとともに、道路利用者から寄せられた情報に対し、迅速な対応に努め、道路を安心・安全に利用してもらえるように、しっかりと取り組む。
【委員】
八潮市の事故が起きて以来、メディアで何度も放送されると、全国の下水管、上水道管がいかに老朽化してて、その更新や修繕が難しく、しかも多額の費用がかかると分かってきた。
早めに対応したほうがよいという声や、上下水道の一本化による広域化を早く進めて、施設の更新をしたほうがよいという声を地元からよく聞くようになった。
そこで、現在、西三河地域で進められている上下水道一本化は、県と市町が上下水道事業を持ち寄ることで、経営基盤を強化し、施設の老朽化対策などの課題への対応策としても有効だと思っている。
そこで、西三河地域の上下水道一本化の取組について、現在の状況と今後の予定について伺う。
【理事者】
西三河地域の上下水道一本化については、昨年8月に協議会設立に向けた準備会を立ち上げた。この準備会では、矢作川流域の10市町が参画しており、施設の共同化、管理の一体化、一本化する組織の形態について検討し、これらを基本方針案として取りまとめる。
現在、施設の共同化については、市町ごとに設置された施設について、行政界を越えた統廃合を、管理の一体化については、維持管理業務の共同発注を検討するなど、既存の枠組みにとらわれない検討を進めている。
今後の予定については、来年度中の協議会設立に向けて、準備会での検討を早期に固め、基本方針案を取りまとめることができるよう、しっかりと取り組む。
【委員】
この事故を受けて、世の中の風向きが変わったと感じる。私の地元は刈谷市であるが、やはり刈谷市のことだけを考えるのではなく、広域で考えようという声も聞くようになった。
上下水道の一本化の取組について、迅速な対応をお願いする。
【委員】
半田病院の新病院供用に伴う半田周辺の現状について伺う。
3月9日に視察に行ったが、令和4年から着工が始まった新半田病院、現在は知多半島総合医療センターであるが、令和7年春に供用開始となり、半田市立半田病院は、現在の半田市中心部から約6キロメートル西にある半田運動公園、半田ぴよログスポーツパークの東側に移転される。
令和7年4月1日より、半田市立半田病院と常滑市民病院が経営統合し、知多半島総合医療機構が誕生する。半田市民病院は、知多半島総合医療センターになり、常滑市民病院は、知多半島りんくう病院に名称変更される。
新半田病院は、24時間体制の救命救急センターを核とした高度急性期医療を中心に、がん治療や、先進の設備を活用した高度医療を提供する役割を担い、知多半島医療圏における唯一の三次救急医療機関である。あわせて、地域の災害拠点病院として広域的災害等の際には、傷病者の受入れなどの災害医療を行う役割も担っている。
そのため、知多半島道路、南知多道路、知多横断道路、空港連絡橋の知多4路線、さらに西知多道路が整備されれば、これらの有料道路を使って知多半島各地から救急患者の搬送が想定される。その際は、最寄りの半田中央インターチェンジの利用が一般的であるが、新病院の近くを通過する知多横断道路に出口があれば、より短い時間で行くことが可能となる。
今回、新病院の開院に合わせて、救急車両専用の出口となる緊急退出路を整備していると聞く。これにより、搬送時間の短縮、救命率の向上を図ることができるので、非常に重要な取組であると思う。また、新病院への来院者や救急車両のアクセスルートとなる新病院周辺の道路は、命の道として、大変重要であると思う。
そこで、新半田病院の開院に向けた知多横断道路の緊急退出路及び新病院周辺のアクセス道路の整備状況について伺う。
【理事者】
アクセス道路のうち、知多横断道路の緊急退出路は、半田市方面への上り線、常滑市方面への下り線におのおの1か所ずつ、合計2か所を整備している。
具体的には、有料道路本線の路肩から盛土の法尻まで通路を設け、端部に電動式のゲートを設置した構造で、あらかじめリモコンを配布された緊急車両のみゲートを開閉し、並行する側道に退出することができる。
愛知県道路公社が管理する有料道路における県内初の施設であり、設計段階から県として国や県警高速隊などとの協議において、半田市及び常滑市に対する助言や技術的な支援を行ってきた。
また、愛知県道路公社及び愛知道路コンセッション株式会社は、両市から工事を受託するとともに、事業完成後は、本線からゲートまでの通路部分の管理を予定するなど、協力を行っている。
2024年6月に着工したこの工事は、この3月上旬に完了しており、今後は、救急車両のテスト走行を行うなど、4月の運用開始に向けて準備を進めていく予定であると聞いている。
これに合わせて、半田市は、国の交付金を活用しながら、新病院周辺の道路整備を進め、知多横断道路の緊急退出路から新病院へのアクセス道路となる市道宝来神代1号線につきましては、2024年7月に現況幅員が6メートルの道路を10メートルまで拡幅する工事に着工し、本年2月に整備を完了している。
また、新病院南側で東西に接する市道横山1号線などについても、2022年11月から道路拡幅や片側歩道の設置、松堀町交差点の右折帯設置工事を行い、2024年10月に整備を完了している。
さらに、名鉄河和線植大駅南側付近で接続する半田市道と阿久比町道についても、半田市北東部方面からのアクセスルートとして、半田市と阿久比町が県の市町村土木事業費補助金を活用しながら、施工、費用負担などで協力し、2023年度から工事を進めている。
工事内容は、緊急車両が常時円滑に通行できるよう、名鉄河和線橋梁下の道路の盤下げや二級河川阿久比川に架かる島田橋の耐震補強、それと、道路拡幅を行うものであり、今月17日には工事が完了すると聞いている。
新半田病院の開院に向けたアクセス道路の整備状況について、理解した。
次に、広域的な交通の円滑化という観点では、半田市と隣接する市町との連携を強化する都市計画道路ネットワークの充実が大変重要である。都市計画道路環状線は、衣浦港の臨海工業地帯から半田市乙川地区や阿久比町との市境を通過し、さらに武豊町に至る道路で、半田市中心部への通過交通を迂回させ、渋滞を緩和するなど交通の円滑化を図ることが重要な道路である。
このうち、阿久比町を南北に流れる二級河川阿久比川から県道碧南半田常滑線の南吉記念館東交差点までの区間が未整備である。この区間は、東から二級河川阿久比川、名鉄河和線、県道阿久比半田線が近接して位置しており、その交差方法の検討のほか、二級河川矢勝川の彼岸花の観光名所に配慮する必要があるなど、様々な課題があることは承知しているが、この都市計画道路の重要性を鑑みれば、これらの課題解決に向けて検討を進める必要があると考える。そこで、都市計画道路環状線の現在の取組状況について伺う。
【理事者】
都市計画道路環状線のうち、阿久比町から半田市にかけての未開通区間、約1.5キロメートル区間は、幅員25メートル、4車線の計画となっており、名鉄河和線との立体交差化や、阿久比川、矢勝川に架かる橋梁整備が必要となるなど、相当な期間を要する大規模な事業となることが見込まれる。
このうち、名鉄河和線交差部については、現在の都市計画は道路が鉄道を上越しする立体交差の計画となっているものの、西側に建設する県道阿久比半田線と本線が平面交差することが困難であるなど、課題のある計画となっている。
このため、鉄道と県道阿久比半田線を一連で立体交差化した上で、阿久比半田線とはランプ形式や側道形式で接続する案を検討してきた。
その結果、ランプの形が複雑になることや、側道が急勾配となるなどの道路構造的な課題や、立体交差部沿線では本線に直接乗入れができないなどの土地利用上の課題があることを確認している。
また、矢勝川渡河部においては、一般的な橋梁計画の場合には、両岸の彼岸花散策路や自転車道に対しての影響が懸念されることから、回避する方法について検討を行ってきた。散策路や自転車道をそのままの形で残す場合には、橋梁を架ける位置を通常よりも高くする必要があり、これにより橋梁延長が長くなるため、すぐ南に近接する南吉記念館東交差点との接続が困難となることや、景観に課題があることを確認している。
こうした課題の整理・確認については、本県と半田市、阿久比町との実務者レベルでの勉強会を開催しながら取り組んでおり、昨年度は3回、今年度も3回開催している。
今年度実施した勉強会においては、矢勝川周辺の景観等に対して考慮すべき事項などについて、新美南吉記念館館長へのヒアリングを実施し、矢勝川の北に位置する権現山や田園風景への景観配慮、矢勝川両岸の回遊性・連続性の機能の確保などの意見を聴いている。
今後も引き続き、半田市、阿久比町と一緒になって検討を深め、名鉄河和線との交差部のほか、矢勝川交差部における構造や周辺土地利用などの課題の整理に取り組んでいく。
【委員】
名岐道路は、名古屋都市圏と岐阜都市圏を結ぶ全体計画延長約10キロメートルの高規格道路で、慢性的で著しい交通渋滞となっている国道22号及び名古屋高速一宮インターチェンジから一宮ジャンクション間の渋滞緩和に大きく寄与するものであり、また、名古屋市、一宮市、岐阜県等の連携・交流の促進に欠かせない道路である。
平成29年に国の調査費が計上されてから様々な調査が行われ、区間は先ほどの約10キロメートルのうち、名古屋高速道路一宮線の終点出口となっている箇所から北へ、東海北陸自動車道の一宮木曽川インターチェンジまでの約7キロメートル区間にすること、あるいは道路の構造は現国道22号の上を走る高架構造にすることなどが決められている。
そして、令和2年からは愛知県が主体となり、都市計画及び環境影響評価の手続を進めており、昨年10月にその都市計画が決定された。
今週の火曜日3月11日には、国土交通省中部地方整備局において社会資本整備審議会・道路分科会・中部地方小委員会が開催され、名岐道路の令和7年度予算に係る道路事業の新規事業採択時評価についての意見聴取が行われ、結果は、事業化については妥当であると示されており、まさに名岐道路の来年度の事業化が近づいているものと期待している。
そこで、今後、名岐道路はどのような手続等を経て新規事業化され、整備が進められていくのか伺う。
【理事者】
3月11日に開催された中部地方小委員会において、名岐道路の事業化について妥当とされたことから、ほかの事例を踏まえると、次は本省で行われる社会資本整備審議会・事業評価部会にて新規事業化が妥当と判断されれば、新年度予算の成立をもって公共事業として新規事業化に至ることとなる。
また、本道路の整備については、令和2年2月の、中京圏の新たな高速道路料金に関する具体方針案において、名古屋高速道路公社を事業主体とすることを前提としつつ、税負担も活用する方針とされていることから、公共事業として新規事業化された後には、名古屋高速道路公社による有料道路事業としての事業化に向けて取り組んでいくこととなる。
本県としても、国はじめ関係機関と連携し、早期の有料道路事業化に取り組むとともに、市はじめ地元の協議会・同盟会とともに、早期整備を国に対して働きかけていく。
【委員】
名岐道路の事業化に向けての展開について理解した。
公共事業化がなされ、その後に有料道路事業化がされるという話であり、その後には調査・測量・設計という段階を経て工事へと進んでいくものと思われるが、地元の期待は大変高く、整備効果も高い路線であるので、一日でも早い完成を目指して取り組んでもらいたい。
二番目の質問であるが、本道路の整備効果を高めていくためには、当然ながら名岐道路の建設を進めるだけでなく、この名岐道路に新設される出入口へのアクセス道路をはじめとする関連道路の整備が極めて重要である。
国道22号と現在交差している多数の道路、特に幹線道路となる国道、県道における渋滞は現在も課題であり、名岐道路の整備によりさらなる渋滞が発生すれば、生活道路に多くの交通が流入し、交通安全の上からも問題が発生することが懸念される。
こうした課題に対応するためには、国道22号に交差する未整備の都市計画道路について、名岐道路の建設と並行して整備していくことが肝要である。具体的には、名岐道路に新設される両郷町・常願通地区の出入口付近で交差する都市計画道路北尾張中央道と、同じく新設される高田、佐千原地区の出入口付近で交差する都市計画道路今伊勢三ツ井線の整備が必要である。
そこで、国道22号と交差するこれら二つの都市計画道路の整備について、県としてどのように取り組んでいくのか、現状と今後の取組を伺う。
【理事者】
まず、都市計画道路北尾張中央道については、国道22号との交差部から西側約0.6キロメートルの区間の整備を、また、都市計画道路今伊勢三ツ井線については、国道22号と交差する約0.8キロメートルの区間の整備を行う。
これら2路線については、名岐道路と併せて、幅員等を変更する都市計画決定を行っており、また、いずれの事業についても来年度の新規事業化についての事業評価の手続を今年度完了させている。
このため、来年度には、用地測量の着手を予定しており、その後、早期に用地買収に着手できるよう、一宮市と連携し取り組んでいく。
【委員】
名岐道路の整備効果を高めるために、これら幹線県道の整備にも注力してもらうことを改めて要望する。
【委員】
公共施設の老朽化については、各委員が触れていたが、前回の委員会でも公共施設の老朽化、特に県営都市公園の老朽化について質疑があった。
県内に11箇所ある県営都市公園は、完成がほぼ同じ時期であり、現在どこの公園も同様に老朽化が進んでいることを述べた。そして答弁では、長期の計画を立てて、老朽化が激しいところから修繕を行うとあった。
一点細かいところを確認するが、公園にある利用者が休むベンチ、高齢者が休憩したり、お昼ごはんを食べるときに利用したりするベンチについてである。現在、木材を活用してベンチ等を作成、加工して整備しているが、大分老朽化が激しい。また、傷みが激しく、塗装もできず腐っているものもあった。また、利用できないようにフェンスやポールで囲まれていたベンチや、足が引っ掛かってけがをしてしまうようなベンチも幾つか見たりした。
県内の県営都市公園を維持管理及び整備し、限られた予算を有効に活用する中で、上手に民間の活力を利用してベンチを維持修繕していく考え方も必要だと思っている。
愛知県の都市公園ではなく、県内の市が運営している都市公園のベンチには、団体や企業がプレートに名前を入れベンチを寄附する制度がある。企業や団体は社会貢献活動の一環として、ベンチに自社の名前が入っていることで、愛着を持ってもらえ、とてもよい仕組みだと思う。
県営都市公園では今までベンチに対してそういった取組はなく、自民党愛知県議員団からもそのような提案をした。この点について、現状の県の取組、またその考えが進んでいるようであれば、具体的に伺う。
【理事者】
寄附によるベンチの設置については、他の自治体で類似の取組事例がないか調査したところ、東京都や名古屋市などが一般社団法人日本公園施設業協会と連携して、寄附によるベンチ設置事業に取り組んでいることが分かった。
そこで、一般社団法人日本公園施設業協会に、その内容についてヒアリングしたところ、以前から自治体に協力する形で民間からの寄附により公園施設の整備を行う事業を展開しているとのことであった。
これを受け、早期実現に向けて双方で協議を続けてきた結果、現在は最後の詰めの段階であり、まもなく調整が整い、具体の取組内容について報告できる見通しである。
このように、寄附によるベンチの設置について、しっかり対応していくのはもちろんのこと、併せて指摘を受けた老朽化した施設の修繕・更新も、来年度から予算規模を拡充して計画的に実施していく。
県としては、県民が安全かつ安心に、また、公園に愛着をもって利用していただけるよう公園施設の老朽化対策に着実に取り組んでいく。
【委員】
もう一点県民の生命・財産を守る点において、砂防関係施設の老朽化について伺う。
我が地域においても、一昨年の6月2日の豪雨で土砂の流出や、河川の越水があった。やはり山の近くに住んでいる人は、砂防のありがたさを感じていると思う。地元から要望を受け、砂防の現状を確認するため、山の中に入ると、大分老朽化している部分があった。この老朽化について県全体でしっかり対策できているのかについて伺う。
これから台風や地震、集中豪雨など、それぞれの災害が発生した際に県民の生命・財産を守る砂防関係施設の老朽化対策をどのように進めているのか、県の考え方を伺う。
【理事者】
砂防関係施設の老朽化対策については、2015年度から全ての施設を対象に点検を行い、2018年度に策定した砂防関係施設長寿命化計画に基づいて実施している。
この計画では、特に土石流や崖崩れから人命を守る施設、砂防堰堤、地すべり防止施設及び急傾斜地崩壊防止施設を早期に予防保全型の管理に移行することとしており、その対象となる施設は約1,800箇所ある。
このうち、約400箇所の施設で緊急的な修繕が必要な状況であるため、2022年度に国の補助事業として創設された砂防メンテナンス事業を活用し、2027年度の完了を目標に修繕工事を進めている。
【委員】
ぜひ、国の補助も活用しながら砂防メンテナンス事業について、2027年度の完了に向け、しっかりと積極的に進めてもらいたい。
しかしながら、砂防の護岸について、なかなか維持管理ができていないのが現状である。
川の中にある波消しブロックも、集中豪雨や台風のときには流れ、下流でたまってしまう。そうすると、水の流れが変わったり、護岸に傷をつけてしまったりする。通常の維持管理を行うことによって、壊れてから護岸の改修を行うよりも、壊れないために日頃どのように点検して、維持修繕、維持管理を行っていくのかという視点が必要である。
担当課に確認すると、なかなかそこまで手が届いていないとのことであった。もちろん住宅の多い市内に流れている県管理の河川の維持管理をやるべきだと思うが、砂防の護岸も生命・財産を守ることにつながるため、砂防護岸もしっかりと予算づけをしてほしい。例えば国の補助事業である砂防メンテナンス事業を活用できる仕組みにして、維持管理を行っていく必要があると考えるが、護岸の老朽化対策をどのように進めているのか伺う。
【理事者】
砂防事業で整備した護岸は総延長約700キロメートルあるが、そのうち約150キロメートルで老朽化対策が必要となっている。
現在は、損傷の大きいものから順に単独事業により修繕工事を実施しているが、全ての工事を完了するには、まだまだ多くの費用と時間が必要な状況である。
こうした中で砂防堰堤等の緊急的な修繕にめどが立ってきたため、まずは、来年度、砂防関係施設長寿命化計画に護岸を位置づけ、砂防メンテナンス事業を活用し、老朽化対策を加速させていく。
【委員】
次に、これから地域をどうやって盛り上げていくのかについて、先ほど委員も名豊道路、国道23号について質問していた。
東三河のみならず、この愛知県全体がこの名豊道路を通じて一つになった、大きな出来事が3月8日の全線開通であると思う。我が地域においても、大きな効果が出てきており、地元において景色が変わった大きな出来事であった。
我が地域では、三河港が大きな位置づけにあり、完成自動車の輸入については31年連続日本一である。また、輸出についても全国第2位であり。そして、三河港と豊川インターチェンジを結ぶ東三河環状線という道路がある。三河港から東三河環状線を通って、国道23号名豊バイパスの為当インターチェンジを通過する。その先では、新たに愛知県企業庁が、豊川白鳥地区の企業団地をこれから整備していく予定である。
東三河環状線は、国道23号が全線開通したことによって、大変重要な路線となった。
今まで片道1車線であった東三河環状線の野口工区が、4車線化の工事を終えて、開通できたのが昨日の夕刻であった。その野口工区の先、大崎工区も供用開始され、その先の三蔵子工区から豊川インターチェンジに至るまでの一部の区間が現状、未開通となっている。その先、この路線をずっと真っすぐ東に走り、豊川のインターチェンジを越していくと当古工区があり、こちらも真っすぐつながると、豊橋市とつながる道路ができる。
まさしく東三河が一体となる重要な路線であるので、東三河環状線についての現状、また今後の取組、特に豊橋市ともつながる豊川の橋の状況等を伺う。
【理事者】
東三河環状線の現在事業中の区間についてである。
国道1号をまたぐ白鳥高架橋の東側の約2.7キロメートルの区間については、昨年度、西側から4車線化工事に着手し、昨日3月13日に約950メートルが4車線で通行できるようになった。引き続き、残る区間の工事進捗を図っていく。
次に、その東側の区間である大崎町から三蔵子町の約1.3キロメートル区間のバイパスの整備のうち、用地については、今年度2件の大型物件の契約ができた。引き続き、残り4件の用地買収を進めていく。工事については、二級河川佐奈川を越える橋梁の下部工本体を施工しており、引き続き道路築造工事を進めていく。
また、豊川市から豊橋市へ至り、一級河川豊川をまたぐ橋梁整備を含む約2.4キロメートル区間のバイパス整備については、埋蔵文化財調査が必要な豊橋市側から用地買収に着手しており、昨年度からは、豊川市側でも用地買収を進め、区間全体へ用地買収を行っている。
また、豊川を渡る橋梁については、河川管理者と協議を重ね、今年度河川内の下部工の配置が決定できた。引き続き、これを踏まえた橋梁の詳細な設計に着手していく。
さらに、豊橋市側の国道362号と交差する橋梁の設計にも着手していく。引き続き、東三河環状線の事業中区間が早期に開通できるよう事業進捗を図っていく。
【委員】
三河港を中心とした道路網は、国道23号名豊バイパス、新東名高速道路、東名高速道路があり、東西軸が大変強くなってきた。
そしてこれからは縦軸、南北軸として三遠南信自動車道と、浜松湖西豊橋道路の整備が進みつつあり、我が地域において、三河港が日本のへそとなるような整備を進めてもらっていると思う。また、そういう目標を持ちながら事業を進めていかなくてはいけない。
海運業も、かつてないほど好景気で、貨物量が世界的に多くなっている中で、三河港の状況について伺う。まず、三河港の現状の取扱貨物量のうち、完成自動車、コンテナ貨物についてと、その評価についても伺う。
【理事者】
三河港の総貨物量は、2023年が2,323.8万トンで、その約7割が完成自動車である。
総貨物量、完成自動車とも新型コロナウイルスの影響で、ここ3年ほどは少なくなっていたが、おおむねコロナ前の水準に回復した。
コンテナ貨物については、2023年がピーク時の2014年の約3分の1にとどまっており、ここ4年ほどは同水準で推移している。コンテナ貨物の回復への取組が喫緊の課題となっている。
【委員】
三河港について、先ほど日本のへそになっていけばよいという話をしたが、三河港の全国的な位置づけと、三河港の特徴について伺う。
【理事者】
総貨物量については、最新の統計で全国34位、東海地域では名古屋港、四日市港、衣浦港に次ぐ第4位であり、港湾法上格上である清水港よりも上位にある。
完成自動車については、輸入自動車が31年連続全国1位、輸出自動車が名古屋港に次いで、全国2位となっており、完成自動車の輸出入に非常な強みを有しているというのが三河港の特徴である。
【委員】
完成自動車は、三河港の総貨物の7割とあったが、三河港の強みである完成自動車をさらに増やしていくことは重要だと思う。効率性・安全性に優れたコンテナ貨物は、世界の海運において、今後も取扱量の増大が見込まれており、三河港に入港する船を増やし、世界的な評価を上げていくために、完成自動車にとどまらず、コンテナ貨物の増加を図っていくことが重要だと思う。
ピーク時の2014年と比較すると、コンテナ量が3分の1まで低下しているが、今後改善していくために、どのような取組が必要であるのか伺う。
【理事者】
現在、野積場の改良等、コンテナターミナルの機能向上を進めているが、近年はコンテナ船の大型化が進んでいるため、ガントリークレーンなどの港湾施設のさらなる機能強化が必要になる。
同時に、東三河のみならず、さらに広域から貨物を三河港に集約するため、ターゲットを絞るなど、戦略的な振興策を行うことも重要である。
【委員】
三河港振興に取り組んでいる組織として、三河港振興会という組織がある。これはどういった組織であるのか、どこにあって、どのような活動をしている組織なのか伺う。
【理事者】
三河港振興会は、三河港の振興、整備促進等に寄与するため、三河港の関係自治体及び経済界において1969年に設立された団体である。
会長は豊橋市長で、事務局も豊橋市が担っている。愛知県は顧問という立場で、アドバイスや事業への協力を行っている。
【委員】
三河港振興会が具体的にどのようなことを行っているのか伺う。
【理事者】
三河港振興会が行っている主な事業としては、コンテナ貨物や自動車の輸出入に対する助成金などのインセンティブ制度の実施や、航路誘致のための海外へのポートセールス、三河港に貨物を集めるためのプロモーション活動であるポートセミナーなどである。
【委員】
三河港は、豊橋市だけではなくて、田原市、豊川市、蒲郡市にも港域は広がっており、それぞれの特徴がある。また、製造業をはじめ、様々な企業が立地し、産業活動を営んでいる。
三河港振興会は、豊橋市の中に事務局を置いて、今まで海外へのプロモーションや企業との連携を行っており、その中の県の役割が大変重要だと思う。
今、県は三河港振興会の顧問と答弁があったが、道路の整備状況も整ってきており、また為当インターチェンジ周辺に新たな企業団地も整備されるなど、これからも三河港の活用が重要である。周辺自治体が元気になっていくために、三河港の活用、また海外へのPR等、県が積極的に取り組んでいかなくてはならないタイミングであると思う。
残念ながら東三河地域は人口減少のスピードが速い地域であると本会議場で答弁があった。これから経済が回っていく右肩上がりのイメージ像を県が主導して、三河港を一つの核として、地域全体を盛り上げる気持ちを持って取り組んでもらいたい。
そこで、これまで以上にリーダーシップを取って経済界と国と連携して、三河港の競争力を高めるための、県としてこれまでの三河港振興への取組と今後の取組の姿勢を伺う。
【理事者】
県はこれまで海外航路等セールスなど、三河港振興会の事業への協力に加え、独自の振興策も行ってきた。物流を支える港湾施設を整備するとともに、新規コンテナ航路の入港料等を免除するインセンティブ制度を設け、航路誘致に取り組んだほか、テーマを決めて港の振興策を検討する三河港利用促進調査を毎年実施し、県や三河港振興会の施策に反映してきた。
今後については、まずは、コンテナ船の大型化に対応するため、ガントリークレーンの機能アップを進めていく。また、完成自動車の保管場所不足を解消するため、立体モータープールなどの対応策を比較検討し、解決に取り組んでいく。
さらに、三河港振興に関する検討会を立ち上げ、地元自治体、経済界とともに、広域から三河港に貨物を集めるための手法や振興体制などを議論し、より効果的な振興策を進めていく。
【理事者】
三河港振興の重要性については、県としても十分に認識している。
本年2月には、地元自治体や経済界と5年ぶりとなるポートセールスを、三河港振興会主催の下、韓国で実施し、三河港の利用や定期航路の拡充をアピールするとともに、現場の生の声を聞き取りし、そのニーズと振興のための課題、管理者である県の役割の重要性を改めて確認した。
現在、県では、三河港港湾計画の改訂作業を進めており、その中で官民一体となった効率的な運営体制の構築に取り組むことを位置づけていく。
まずは、来年度立ち上げる検討会において、県に対する期待など、地元自治体、経済界の声をよく聞きながら、これまで以上に県がリーダーシップを取って、三河港の振興に取り組んでいく。
【委員】
今まで以上に県がリーダーシップを持って取り組んでくれることを期待している。
三河港の臨海用地の造成は県が行っており、三河港の環境問題についても県の役割が大きい。
今触れたように、将来に向けた港湾計画を策定しており、策定するに当たってコンテナの数や、貿易の額が大変重要になってくる。そういったものも踏まえ、県としてはしっかりと取り組んでもらいたい。
さらに、海外の港湾で三河港のような特徴を有する港湾・自治体と連携を図るなど、三河港の魅力を世界に向けて発信しながら、港同士の文化や人、経済交流を図って、港を核とした地域の活性化にも併せて取り組んでもらいたい。
その流れで提案だが、名古屋港などの大規模な港湾はもとより、例えば清水港、四日市港、千葉港、北九州港も海外に姉妹港を持っている。
現在の三河港は、友好、また姉妹提携港を海外に持っているわけではないので、そういった発想もぜひ持ってもらいたい。
また、輸入・輸出について自動車の話があったが、関連する企業が三河港周辺に集積しているので、ぜひそういった企業にも集まってもらい、シンポジウムを開いて、三河港をどのように戦略的に発展させていくか議論してもらうことも重要であるし、それはPRにつながると思う。
三河港の発展に向けた重要な役割を担うことができるのは、やはり私は、県だと思う。これまで以上に三河港の発展、競争力の強化への県の積極的な取組を要望する。
【委員】
建築物の木造・木質化については、自民党愛知県議員団としてプロジェクトチームを立ち上げて、2021年に皆さんの協力の下、議員立法で愛知県木材利用促進条例を提案して、2022年の4月から施行された。条例では、県が整備する建築物において、率先して県産木材の利用に努めることなどとされている。
一方、県では、副知事を座長とする愛知県木材利用促進連絡会議で、全庁を挙げて木材利用を推進しており、2024年4月にはこの連絡会議において、県の公共建築物について木造・木質化を推進する建物の具体的な基準等を明示した運用基準を策定している。
そこで、この運用基準をまとめるに当たり、県有施設の建築工事の技術面を所管する部署として、どのように関わったのか伺う。
【理事者】
運用基準をまとめるに当たり、公共建築課は、法規制やこれまでの実績を踏まえ、木造化すべき建築物の施設規模としては、2階建て以下かつ延べ床面積1,000平方メートル未満、また、木造化になじまない建築物の用途としては、風雨に対する耐久性が特に求められる渡り廊下を例示するなど、技術的な見地から策定に関わった。
【委員】
県有施設の整備に当たり、木造・木質化はどのような手順で取り組むのか。
【理事者】
県有施設の整備は、企画検討を行う基本的な方針から始まり、基本設計、実施設計、工事の各段階がある。とりわけ、施設の木造・木質化を決定するプロセスで重要なのは、施設に必要な機能や面積、空間などを把握している施設所管局によりまとめられる基本的方針である。
このため、基本的な方針をまとめるに当たり、公共建築課では、木造・木質化に係る情報提供を含め、技術的な助言を行っている。
また、公共建築課は、基本設計、実施設計及び工事の各段階においても、県有施設のさらなる木造・木質化に取り組んでいる。
【委員】
本年度の県有施設の木造・木質化の実績について伺う。
【理事者】
本年度、総合教育センター及び栽培漁業センターの2施設で、それぞれ平屋建て、約600平米の計2棟を木造建築物として発注した。
また、小牧特別支援学校において、教室の腰壁を杉板材、床を桜材のフローリングとするなど、県有施設の建築工事の全てで木質化を盛り込んだ。
【委員】
木造・木質化について、既にいろいろ取り組んでいることは承知した。
さらに、県有施設の木造・木質化を進めるための課題は何であると認識しているのか、また、課題を踏まえてどのように今後取り組んでいくのか伺う。
【理事者】
施設所管局による基本的な方針のまとめの段階において、公共建築課からの技術的な助言が木造・木質化につながっていない場合があることが明らかとなった。
これは、現在の公共建築課による技術的な助言が、施設の規模や用途に合わせた先進事例等を中心としており、当該基本的な方針の取りまとめへの具体的な反映のさせ方が分かりにくいことに起因していると考えている。
このため、引き続き先進事例や参考事例の収集・分析を行うとともに、得られた情報を規模や用途、必要とされる機能に応じて、分かりやすく分類・整理を行い、それぞれの施設に適した情報を提供できるようにする。
このことにより、施設所管局がその情報を基本的な方針の取りまとめに活用することが期待される。
また、分類・整理された情報は、公共建築課における設計や工事にも活用していく。
さらに、こうした取組に合わせて、設計や施工に係る建築関係団体との意見交換を行っていく。
引き続き、県有施設の木造・木質化が推進されるように取り組んでいく。
【委員】
やはり木の持っている温もりはストロングポイントであると思うので、規模や用途、機能等でいろいろあると思うが、これからも積極的に取り組んでもらうよう要望する。
【委員】
愛知環状鉄道のバリアフリー化について伺う。
愛知環状鉄道は、旧国鉄時代に岡多線として西三河から尾張北東部地域に連なる中核都市を結ぶとともに、東海道本線と中央本線に接続して、名古屋圏において環状機能を有する重要な鉄道として、昭和40年に着工された。
昭和45年10月には、岡崎駅、北野桝塚駅間で貨物営業が開始され、昭和51年4月には、岡崎駅、新豊田駅間で旅客営業が開始された。この間も整備促進がなされ、残る新豊田駅、高蔵寺駅間の工事もほぼ完成にこぎ着け、全線開業が目前となってきたところで、国鉄の経営状況悪化に伴う再建対策の中で、昭和61年5月に第3次特定地方交通線として、岡多線も廃止対象路線となったという厳しい状況があった。
こうしたことを受けながら、愛知県と岡崎市、瀬戸市、春日井市、豊田市の沿線4市が中心となって協議を重ねてきた結果、この岡多線の沿線は既に開業を見越して、多くの工業団地や住宅団地のほか、大学、高校等が数多く立地してきた経緯もあり、発展が大きく期待されていたために、愛知県の効率的な交通体系に不可欠な鉄道であるとして、県及び沿線4市が第三セクター方式で、愛知環状鉄道株式会社を設立して、昭和63年1月、この路線を引き継いで開業した。
開業後は、乗降客も順調に伸び、2005年の日本国際博覧会のときには、1,800万人を超える人を輸送し、その後も右肩上がりで輸送人員も増やしながら経営している。
しかし、愛知環状鉄道は昨今非常に経営環境も厳しくなっており、その大きな原因が、いわゆる旧国鉄時代に整備された路線であるために、老朽化対策等に非常に多額な資金が要ることで、輸送に対する安全にしっかりと配慮しながら経営を続けてきている。
令和2年には、コロナ禍で輸送人員も大幅に減少したが、その後少しずつではあるが、輸送人員を戻している。なお、令和5年度の決算の状況を見ると、輸送人員は1,624万人、対前年比109.3パーセントであり、なかなか収益的にはまだまだ厳しい状況が続いている。
こうしたことを受け、愛知県はじめ沿線市町も様々な支援し、このような現状となっている。
経営の支援というのは、しっかりと支えることがもちろん大切なことであるが、乗降客の利便性を確保することも非常に大切なことである。この間、愛知環状鉄道のICカード化等も愛知県も含めて沿線市町で支援して、非常に利便性の向上が図られたが、つい先日の私の地元である瀬戸市と岡崎市が、自民党愛知県議員団に対して愛知環状鉄道の中水野駅、瀬戸口駅、それから中岡崎駅のバリアフリー化整備に向けた協力支援の要望を行った。
愛知環状鉄道のバリアフリー化については、順次進められてきたと認識しているが、先ほども言ったように、経営状況が非常に厳しい環境下にあり、現在、バリアフリー化の整備が滞っていると考えている。
そこで、愛知環状鉄道のバリアフリー化整備の現状について伺う。
【理事者】
鉄道駅のバリアフリー化に関しては、国が高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律、いわゆるバリアフリー法に基づく基本方針において、1日の利用者が3,000人以上の駅においては、原則整備することを努力目標として定めるとともに、国・地方自治体が3分の1ずつ補助する支援制度を設け、整備を推進している。
愛知環状鉄道においても、1日の利用者が3,000人以上の駅に関しては、コロナ禍前まで、国の補助を活用するなどにより、エレベーターの整備が順次進められてきた。
その結果、10駅中7駅に整備がなされ、残る中水野駅、瀬戸口駅、中岡崎駅の3駅については、コロナ禍により経営が厳しい状況となったことから、現状では未整備となっている。
国は、鉄道駅のバリアフリー化を加速するために、地方自治体がバリアフリー基本構想を策定した場合には、国の補助率を従来の3分の1から2分の1にかさ上げして、事業者の負担なしに国と地方自治体、2分の1ずつの負担で整備できるようになった。
瀬戸市と岡崎市の両市は、中水野駅、瀬戸口駅、中岡崎駅の3駅について、このメニューを活用することで、バリアフリー化を進めていきたいとしており、県にも地方自治体の負担分について支援してほしいという要望であった。
愛知環状鉄道は、高架区間を多く運行する鉄道であることから、バリアフリー未整備の駅においては、高齢者や障害者だけでなく、ベビーカーを利用する子育て家族にも非常に不便をかけていることは容易に想像がされる。
そこで、愛知環状鉄道は、県が出資する第3セクターの鉄道であるとともに、JR中央線高蔵寺駅とJR東海道線岡崎駅を結ぶ広域ネットワークを形成する公共交通であることから、県も積極的に変わっていく必要があると思うが、3駅のバリアフリー化について、県はどのように認識して、今後どのように取り組んでいくのか伺う。
【理事者】
鉄道駅のバリアフリー化は、高齢者や障害者を含めたあらゆる人が活力ある日常生活を送り、社会活動に参加できるユニバーサル社会の実現に向けて重要な課題である。
そうした中、国はバリアフリー化を加速するよう、市町村がバリアフリー基本構想において、生活関連施設に位置づけた駅については、事業者負担なしに整備できるように補助制度を拡充した。
こうしたことから、中水野駅、瀬戸口駅、中岡崎駅の3駅についても早急に整備される必要があると認識している。県としては、これまでバリアフリー整備が国・地元市・鉄道事業者それぞれ3分の1負担により整備されてきた経緯や、愛環の経営状況を踏まえるとともに、県内のほかの市町村の意向や他県の状況なども考慮する必要がある。
いずれにしても、国が補助制度を拡充した趣旨を踏まえ、全ての県民が安心して鉄道を利用できるよう県の関わりについて検討していく。
【委員】
国が制度を拡充した趣旨も踏まえて、安心して利用できるように県の関わりについて検討していくという答弁であった。
繰り返しになるが、これからは高齢化が加速し、鉄道を利用することができないことにより外出の機会が減れば、医療費が増えていくという因果関係もある。また、愛知県として、今、積極的に婚活イベントも含めて、少しでも若者が住みやすい、また子育てがしやすいまちづくりに取り組んでいる。
そういう意味で、やはり活力ある町を維持・形成していくためには、しっかりとした県の関わりが必要になってくると思う。国のメニューは、国が2分の1、自治体が2分の1であるが、財政力が乏しい自治体もあり、しっかりと県が支援していけるようなスキームづくりが必要である。愛知県も地方自治体であり、何より愛知環状鉄道の最大の出資者でもあることから、ぜひとも前向きかつ早急にこのスキームをしっかりとつくってもらうよう要望する。
【委員】
来る5月の臨時議会において、所属する委員会が変更となるので、本日の令和7年2月定例愛知県議会の建設委員会をもって一区切りとなる。
私は、この1年間は建設委員として、幾多にわたり質疑を行い、理事者には改善に向け、一つ一つ真剣に取り組んでもらった。この席に出席している理事者の中には、議員の指摘はよく理解できるが、それらの問題は適切な予算措置さえあれば早急の解決ができる案件であり、何も気がつかずに放置していたわけではないと思う。
予算も人員も不足する中で、懸命に仕事に取り組んでいる職員の努力に、率直に感謝申し上げる。立場上、責任のある人には、現場の実情を知るとともに、予算の確保が難しいことを理由に、課題の解決を先送りするのではなく、厳しい財政状況を理解しているが、一層の努力をしてもらい、財政当局と交渉してもらうことを要望する。
県営住宅の課題について確認する。
初めに、県営住宅の改修・改善について伺う。
私の地元、名古屋市名東区にある県営高針住宅は、建設から50年が経過している。公表はされていないが、20年や25年に1度は外壁工事の改修も含めた大改修工事を行うとした定めを明記した内部資料がある。これは、かつては愛知県でも外壁塗装、屋上防水など計画的に実施していた時代があったということである。
すなわち、県営住宅では、予防保全的な維持管理をしていた。しかし、国が実施した平成8年の公営住宅法の改正により、県営住宅は家賃の大幅な値下げとなり、県の家賃収入が減り、計画的な修繕ができなくなった。
そこで、法改正による家賃の減額の詳細と、年間でどれだけの減収になったのか伺う。
【理事者】
県営住宅の家賃は、平成8年の公営住宅法の改正によって、家賃制度が改正され、平成10年度の家賃算定からは、住宅の建設に要した費用から補助金相当額を除いた額を原価とし、その原価を上限として家賃を決定する法定限度額方式としていたものを、入居者の収入による負担能力である応能と住宅の立地、規模等の住宅から受ける便益である応益により家賃を決定する応能応益方式となり、入居者の家賃が見直されることとなった。
具体的な応能応益方式の家賃算定方法は、国が定める入居者の収入区分ごとの家賃算定基礎額に住宅が立地する市町村の立地係数、入居する住戸の専用床面積の規模係数、建設した年度からの経過年数係数及び住宅のある区域とその周辺の状況による利便性係数から成る応益係数を乗じて、入居者ごとに家賃を算定している。
家賃制度の改正による家賃減収については、法改正前の法定限度額を家賃額としていた平成9年度予算での家賃収入は約224億円が計上されていた。しかし、入居者数の減少もあり、令和7年度予算の家賃収入では、約121億円の計上と、平成9年度予算に比べ、約103億円の減となっている。
【委員】
県営住宅は、一般会計で整備したときの借金の返済や維持管理費用を家賃収入で賄うことから、特別会計を設けて処理しているが、法改正によってこれだけ家賃収入が減っていれば、県営住宅の計画的予防修繕は、家賃収入だけでは実に困難であることを理解した。
一方で、名古屋市の市営住宅を見ると、20年目をめどに計画的に住宅の大改修が行われている。法改正によって、家賃収入が減ったのは、名古屋市も同じである。なぜ、名古屋市は計画的な改修することができるのか伺う。
県営住宅と名古屋市営住宅とでは、何が違うのか。なぜ家賃に格差があるのか伺う。
【理事者】
公営住宅法に基づく名古屋市営住宅の家賃についても、県営住宅と同様に応能応益方式による家賃となっている。
しかしながら、国が市町村ごとに定める立地係数は、名古屋市の係数は1.1であるが、名古屋市以外の県内の市町村は0.7から0.95となっており、3分の2が名古屋市以外の市町村にある県営住宅は、名古屋市営住宅に比べ、立地係数は低いものとなり、家賃収入に差が出ることとなる。
市町村立地係数の違いなどにより、名古屋市営住宅とは、維持管理費用に充てることができる財源に違いがある。
【委員】
国も、法改正に合わせて民間賃貸住宅に置き換えた場合の家賃との差額を補助する制度をつくったが、この補助制度は、国の三位一体改革によって、税源移譲の対象となって、その分は県の税収に上乗せされた。税源移譲された分は、本来一般会計から県営住宅の特別会計に繰入れされるべきものであった。
予算に関する説明書を見ると、令和7年度の一般会計から県営住宅の特別会計への繰入金は15億円しかない。どう考えても家賃の減収に見合っておらず、税源移譲された分が県営住宅以外のことに使われているとしか思えない。
名古屋市の市営住宅は20年に1度は改修のメンテナンスを実施していることもあり、名東区の一般住民からは、県営住宅は大変に不評である。
名東区の住民からは、県が手抜きしているからだとの批判の声もある。県営高針住宅もやっと50年目にして、大改修工事が計画的に1棟から5棟への順で始まっている。
名古屋市の市営住宅が20年に1度は改修を行っているのに、なぜ愛知県の県営住宅は、改修ができないのか。20年や25年に1度、県営住宅を改修する定めがあるのに、できていない。この改修・改善は、建物の長寿命化にとって、とても大切だと理解している。
そこで伺う。50年目にして建物の改修・改善となれば、老朽化による大規模な工事となり、かえって工事費が高くなると思う。県当局はどのように考えているのか伺う。
【理事者】
一般に、不具合が発生したときに、原状回復のための修繕等を実施する事後保全に比べ、不具合が発生する前に必要な点検・修繕等を実施する予防保全のほうが中長期的な維持・更新に必要な経費を抑えることができるとされている。
県営住宅については、限られた予算の中で、工事項目を精査しながら改修・改善を実施しており、今後も引き続き長期的視点でコスト意識を持ちながら、長寿命化改善事業と修繕を組み合わせて予防保全に努めている。
【委員】
現在、高針住宅の2棟目の工事が始まっている。外壁工事及び建物の全体の部分改修が行われており、工期は令和7年8月末となっている。ただし、一緒に実施されるはずであった別途発注の給排水工事が三度も入札不調であった。2棟の住民からは、不安の声が出ている状況が続いた。
今年2月の終わり頃に、4回目の入札によって工事業者が決まったとの知らせに住民も安堵している。
そこで、工事する業者がやっと決まった経過を伺う。県当局の懸命な取組を理解するとともに、逆にどんな理由でもってここまで遅延したのか伺う。入札のこれまでの業者の選定方法を検討したからなのか、それとも、予定価格及び工事内容の変更があったからなのか。
【理事者】
工事発注は、地元中小企業の受注機会に配慮しつつ、公正な競争が確保できるようルールを定めており、1回目は地域を名古屋市内に限定し、一般競争入札で行ったが、不調となった。このため、2回目は地域を拡大し、さらに、3回目は指名競争入札に切り替えたが、いずれも不調になった。
業者からのヒアリングや、指名業者の辞退理由を分析すると、技術者が不足しており、現場に技術者を配置することが困難であると分かった。このため、4回目は年度末が近くなり、ほかの工事が終了する時期に工事発注したところ、落札に至ることができた。
また、予定価格は物価変動による見直しをその都度行っている。
【委員】
さらに、外壁工事等の工事を行っている業者による完成と給排水工事業者との連携は大丈夫なのかと心配する住民の声がある。
そこで、県当局は工事過程における異なる業者に対して、どのように関与し、調整しているのか伺う。特に、大幅に遅れて決まった給排水工事業者が外壁工事業者の現場を管理している担当者との協調への指導をどのように考えているのか伺う。
また、給排水工事はいつ頃の完成予定か伺う。
【理事者】
今回の給排水工事についても、建築工事との工程や取り合いなどを考慮した上で発注しているので、技術的には問題ないものと考えている。
今後、両業者と速やかに工事調整を行い、円滑に工事が進むよう管理監督していく。
なお、給排水工事の契約工期は令和8年2月27日までと、建設工事から半年遅れで完成するが、それまでに両工事の調整が必要となる工事を終わらせる。
【委員】
次に、身体障害者世帯向けの住戸改善について伺う。
身体障害者世帯向けの県営住宅は、昭和49年に建設が始まった。現在は、73住宅の194戸がある。この194戸の中で、時代に合わない仕様の住戸が69戸ある。このうち39戸は改善工事が行われたとのさきの12月の建設委員会で答弁があった。未改善である30戸については、入居者の希望等を踏まえ改善工事を検討していくとの答弁があった。
そこで、検討の結果、改善工事の実施はどのように進むのか伺う。
【理事者】
身体障害者向け住戸のうち、和室や風呂場の床面が高くなっている初期の仕様のものについては、床の段差をなくすなどの改善工事は大がかりなものとなるため、入居中は困難である。
このため、まずは空き家となっている身体障害者向けの住戸の改善工事を進めることとし、実施方法などの具体的な検討を行っていく。
【委員】
身体障害者世帯向けの住宅の住民の中には、改善された身体障害者世帯向けの住宅がどのようなものか知らない人もいる。もう少し、県当局側から情報提供するよう求める。もちろん移転による費用や家賃の変更についても、詳細に伝えてもらいたい。
身体障害者世帯向け住宅のうち、未改善が30戸あるが、その30戸の空き状況はどうなっているか伺う。空き家があるならば、住戸改善は早急に行うべきだと考える。
【理事者】
未改善である30戸のうち、現在10戸が空き家となっている。
これらの空き家については、所在地がそれぞれ異なっているため、身体障害者の方からの問合せなどを踏まえつつ、また、現在の公共工事の工事受注状況から、ある程度の工事規模となるよう発注方法を検討し、身体障害者向け住戸改善に取り組んでいく。
【委員】
苦労している身体障害者世帯の住民で、必死に生活している人々に対し、少しでも安心・安全な住宅を届けるという愛こそが大切であると、あえて表明する。
続いて、県営住宅の長寿命化計画の推進について伺う。
9月の県議会の建設委員会でも質問した内容である。昭和40年、50年代の老朽化した県営住宅の建て替えが進んでいないことについてである。空き家が多い県営住宅をどう考えるかについてである。
老朽化した県営住宅について、県は2020年3月に策定した愛知県営住宅長寿命化計画を発表した。そこにはエレベーターが設置されていない老朽化した5階建て以下の中層住宅は、高層住宅に建て替えて、入居者を集約する。さらに老朽化した高層住宅は、大規模な改修、すなわち外壁や屋根及び配管の改修及び段差の解消、手すりの設置等のバリアフリー化をすることで、効果的に長寿命化改善工事を実施するとしている。
そこで、建設から50年が経過した県営住宅で、建て替えの予定が示されていない約7,000戸も含め、来年以降、建て替え事業と長寿命化改善事業と、どう進めていくのか伺う。
また、令和7年度に新たに実施予定の建て替え事業及び長寿命化改善事業はどのような内容なのか伺う。
【理事者】
2020年3月に策定した愛知県営住宅長寿命化計画は、計画期間を2020年度から2029年度までの10年間とし、計画期間中に約6,900戸の建て替えと約4,000戸の長寿命化改善を実施する。
2020年度から今年度までの5年間の実績として、建て替え事業では、3,332戸の既存住宅の用途廃止と、新たに1,496戸の建設を行い、進捗率は約48パーセント。長寿命化改善事業は、1,756戸で、進捗率は約44パーセントとなり、長寿命化計画に基づく事業は、これまでおおむね順調に進捗している。
今後も引き続き、老朽化した住棟の建て替えと長寿命化改善を組み合わせて、事業量の平準化を図ることとし、円滑な事業実施に努めていく。
また、来年度は、老朽化した住宅の建て替え事業として、4住宅、343戸、外壁や屋根、配管等の改修に加え、バリアフリー化を図る長寿命化改善事業として、2住宅、318戸の新規着工を予定している。
【委員】
次は、県営住宅の駐車場について伺う。
かつては、駐車場の利用希望者が多かったので、県営住宅の自治会が付近の民間の土地所有者と交渉し、一括で借上げ契約して、県営住宅内に収容できなかった車を駐車できる場所を確保していた。
その後、公営住宅法が改正され、県が順に駐車場として管理するようになったが、近年の県営住宅の入居者の高齢化によって、入居者は車を所有しなくなり、今ではどこの県営住宅でも駐車マスの空きが見られるようになっている。
そこで、現在、県が管理する駐車場の空きはどのくらいか、何パーセントの空き具合か伺う。
【理事者】
2025年2月1日時点で、県が整備した県営住宅の駐車場は250住宅、3万9,970区画である。このうち契約台数は2万6,278台で、空き区画は1万3,692区画、約34パーセントとなっている。
【委員】
私が調査した結果、県営住宅の駐車場では、車と車の間隔の狭さが目につく。また、住宅によって駐車マスの幅に違いもあった。県が駐車場を整備する場合は、建物と一緒で、設計基準を定め、統一した規格で整備していないのか。
そこで、県が整備する駐車場の駐車マスなどの基準を伺う。また、その変遷はどうなっているか。なぜ、住宅ごとで違うのか伺う。
【理事者】
県営住宅を建設する際の駐車場は、平成30年6月に定められた現行基準では、原則1台の駐車枠の幅を250センチメートル、長さを500センチメートルとし、駐車枠の前面通路の幅を600センチメートルとしている。
なお、駐車場の端の駐車枠は、車両が転回しにくいため、駐車枠の幅を280センチメートルとしている。駐車枠の幅は駐車する車両を一般的な小型乗用車を想定し、当初は225センチメートルとしてたが、高齢の人が増えてきたことから、駐車や扉の開閉のしやすさに配慮し、他の自治体の対応状況を参考にしながら、順次230センチ、250センチメートルと広げてきた。
【委員】
県営住宅の駐車場を借りることができる車は、幅180センチメートル以下、長さ490センチメートル以下に決まっていると聞いている。
そこで、この駐車できる車のサイズの規定は何による基準で、いつから定められたものか伺う。
【理事者】
県が県営住宅の駐車場の管理を開始した平成11年当時は、幅170センチメートル以下、長さ470センチメートル以下の小型自動車、軽自動車が販売される乗用車の多くを占めていた。このことから、駐車できる車のサイズを幅180センチメートル以下、長さ490センチメートル以下とする県営住宅駐車場の整備及び管理に関する要綱を定め、駐車場の申込みに際しては、申込書に駐車する車のサイズを記入してもらっている。
【委員】
今、整備する県営住宅の駐車場は、区画幅が250センチメートルあり、180センチメートル幅の車でも70センチメートルの余裕がある。
しかし、以前に整備した駐車場は、狭いままである。乗り降りする際のドアの開閉や入庫・出庫のときの入居者同士のトラブルが数多く発生している。県営住宅の駐車場には、34パーセントの空きがあるようになってきた。
そこで、空きが目立つ県営住宅で、古い基準で整備した駐車場は、いま一度見直しを行い、白線を引き直して駐車マスの幅を広げる改善工事を実施してもらうことはできないか。
【理事者】
県が整備した県営住宅の駐車場の区画線の引き直しは、劣化等に伴い区画線が見づらいなどの状態となった場合に行っている。このため、区画線を引き直す際に、各県営住宅の入居者の意見を聞きながら、空き区画が多く、駐車台数が減少しても支障がない場合は、現行の基準である幅250センチメートルへの引き直しを行いたい。
【委員】
私が調査した際、駐車できる車幅の規定を超えた車の駐車があることが判明したが、それはなぜか伺う。
駐車場を整備した以前からあった車を認めているのか。
【理事者】
県が駐車場を整備する際、既に制限を超える車両を県営住宅の敷地内に駐車してきた入居者の方には、駐車場の整備後、両隣の駐車場を使用する方に、制限を超える車両を駐車することの承諾を得ること及び車を買い換える際には、県が定める車両サイズを満たすことの誓約書の提出を求めている。
【委員】
明らかに駐車場を整備した後に購入されたと思われる車も駐車している。これはどういうことか。ルールを守らない人を放置しているのか。
前回の建設委員会でも指摘したが、県や住宅供給公社の職員は、現場に出向いていないから住宅の状況を全く把握していないことが多い。だから、入居者からの声も聞こえてこない。これは怠慢以外の何ものでもないと言わざるを得ない。
そこで、ルールを守らない車両に対して、どのように対応しているのか伺う。
【理事者】
県営住宅の入居者を募集する際には、県が整備した駐車場に駐車できる車両のサイズに制限がある旨を周知しており、入居説明会やその場で配布する入居者のしおりにおいても、駐車場に関するルールを説明しており、駐車できるサイズを超える車両については、県営住宅の外で駐車場を確保してもらうよう求めている。
県が整備した駐車場は、愛知県住宅供給公社が自治会と連携して、定期的な巡回等を行っており、駐車を認めていない車両を確認した場合は、随時指導を行い、移動を求めるなど適正な管理に努めている。
具体的には、自治会において、月1回以上の夜間の巡回を含め、随時駐車場の使用状況を確認してもらっており、迷惑駐車や不正使用を発見したときは、公社がその車両に対して、ビラによる警告を行い、改善されない場合には、公社職員が使用者に車両の敷地外への移動などの指導している。
【委員】
改めて伺う。整備する駐車場の基準が大きくなっているが、駐車できる車の車幅規制の見直しを検討することはあるか伺う。トラック、貨物を除いての見解である。
【理事者】
現在の駐車場の整備は、区画幅250センチメートルで行っているが、これは、入居者が安全に乗車、駐車できるよう区画幅を広げてきたものであるので、駐車を認める車両サイズの見直しの検討は行っていない。
【委員】
次に県営住宅に風呂設備がないことについてである。
昭和60年度までに管理が始まった県営住宅では、入居時に風呂を設置する場所は用意されているが、浴槽と風呂釜は入居者が負担して設置している。よって、古い時代の県営住宅には、風呂設備がなく、現在の県営住宅には、風呂設備がある住宅と風呂設備がない住宅がある。
こうした問題を少しでも改善することを求める声に、県当局も取り組まれて、厳しい財政状況の中、財政当局との協議・交渉し、風呂設備を設置し、この費用を新家賃として値上げして入居者を迎え入れ、歓迎されている。
私自身もさらにこうした風呂設備を完備した住宅への改善をもっとスピード化させるよう求め、県当局もこれに応えてもらっていることを高く評価する。
そこで、令和6年度における風呂設備を設置した実績状況について伺う。その設置の結果、古い住宅のうち、県が風呂設備を設置した住宅の比率を伺う。具体的には、住宅数と風呂設備の数、さらに住宅の戸数と風呂設備を改善した比率について伺う。
【理事者】
今年度は、建て替え事業により、風呂設備を備えた360戸を建設した。
また、住戸改善事業により、既存住戸に70戸の風呂設備を整備し、その結果、今年度末時点で、昭和60年度以前に管理開始した住戸2万8,722戸のうち、県で風呂設備を設置した住宅は35住宅550戸となり、その比率については、年度当初の約1.6パーセントから約1.9パーセントになった。
【委員】
令和7年度予算にも、風呂設備を設置する予算が計上されていると思うが、令和7年度はどれだけ風呂設備を設置する予定であるのか伺う。
【理事者】
来年度竣工予定の建て替え住棟において、241戸の風呂設備が整備されるほか、既存住戸において、100戸に風呂設備を設置する計画とした。既存住戸の風呂設置については、引き続き効率的・効果的に進めていく。
【委員】
県営住宅は、風呂設備を設置したら役割を終えたというわけではない。風呂設備を設置した住宅は、速やかに入居者を募集し、県営住宅を必要とする方に提供しなければならない。特に住宅に困っている高齢者世帯や、母子世帯などには、風呂設備のある部屋を提供して、風呂設備を設置するための費用の心配をしないで入居できるようにしなければならない。
そこで、高齢者世帯や母子世帯などに対して、風呂設備のある住戸が行き渡るように配慮することを求めるが、取組を伺う。
【理事者】
新たに風呂設備を設置した既存の住宅については、高齢者世帯や母子世帯など特に配慮が必要な世帯が申込みできる福祉向けを中心に募集していく。また、福祉向け募集の申込み状況を見ながら、一般世帯も申し込める同時募集とするなど、県営住宅への入居を希望する人が入居する際の費用を抑えられるよう風呂設備を設置した住宅の提供に努めていく。
【委員】
次に、共益費の県徴収についてである。
県による共益費の徴収項目には、入居者が生活する上で、欠かせない設備である排水管の清掃は入っていない。現在は、それぞれの住宅の自治会が自治会の運営費とともに入居者から徴収しているが、自治会に参加しないと表明している入居者もいる。自治会の担当者が本当に苦労している。
自治会に未加入の入居者が排水管の清掃費用を支払わず、その長い年月のうち、大きな金額が未納となり、その分を他の入居者が負担する事態が発生している。この件での住民のトラブルが発生している。排水管のメンテナンス費用は、集合住宅の入居者にとっては、重大な問題である。
12月の議会において、県当局は、アンケートを行っているとのことであった。既に結果が出てると思うが、アンケートの結果について伺う。他の都道府県の実施状況についての報告も併せて求める。
【理事者】
県営住宅の自治会に行った附帯設備使用料、いわゆる共益費に関するアンケートの内容については、追加を希望する徴収項目、排水管の清掃の実施方法などとなっている。
アンケートの結果、回答をもらった約半数の自治会が排水管の清掃の追加を希望し、草刈りや樹木の剪定についても多くの自治会が徴収項目への追加を希望していることが分かった。
また、排水管の清掃の実施方法などについては、それぞれの自治会で違いがあることが改めて分かった。
次に、他の都道府県の状況であるが、本県以外では、東京都、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県及び高知県の6団体で共益費の自治体徴収を行っているが、対象としている項目は、各団体で異なり、排水管の清掃を徴収項目としているのは、東京都、大阪府及び兵庫県の3団体であった。また、団体が徴収の対象とする項目のうち、自治会が希望する項目のみを徴収、実施する、いわゆるカフェテリア方式を用いている団体もあった。
【委員】
今回のアンケートの結果でも、多くの自治会が排水管の清掃を県徴収の項目に追加することを希望していることが分かった。
そこで、アンケートの結果を受け、排水管の清掃を共益費の徴収項目とする検討状況はどうなっているかについて伺う。
【理事者】
アンケートの結果、排水管の清掃を県が実施することを希望する自治会が多くあるが、排水管の清掃の実施回数や実施範囲に差があることから、県で排水管の清掃を行う場合、統一した仕様を定める必要がある。
このため、現在排水管清掃業者へのヒアリングを行い、県営住宅の排水管の清掃に適した手法の検討に着手した。
【委員】
県営住宅入居者の超高齢化が今後ますます進む。自治会の運営も役員や担当係も高齢が理由でもって引受け手がなく、苦慮している。今後、住宅のごみ出し、その後の処理及び住宅内の除草や樹木の剪定もできなくなっている。
そこで、いま一度、5年、10年、20年先を考えて、共益費の値上げを含めて協議し、県当局によるこれらの徴収を真剣に考えてもらいたいが、県の考えを伺う。
【理事者】
入居者の高齢化に伴い、自治会の役員の担い手が不足し、将来的には自治会の存続が難しくなる県営住宅も生じてくると危惧している。
このため、共益費について、現在の県徴収制度に移行してもらうことによって、快適な生活環境を維持するために、自治会で担ってもらっている役割を減らしていきたい。
加えて、今回実施したアンケート結果で、排水管の清掃のほかにも住宅敷地内の草刈りや樹木の剪定なども県徴収の対象として、県による実施を望む声が多くあることから、排水管の清掃などの実施方法を調査するとともに、他団体の状況も参考にしながら、その実施に向けて検討を進めていきたい。
【委員】
建て替えの予定も決まらない県営住宅が多い。入居者に他の住宅に移ってもらう方針も示すことができない。人口が減っている状況下にあって、建て替えもできないとする住宅は廃止して、取り壊すとした決断を示し、売却した費用の一部を今ある住宅の改善に投入することがあってもよいと思うが、考えを伺う。
計画的な改修・改善が決まらない県営住宅が数多くあり、耐用年数を迎えるまで使おうとしているが、そのことにより一番被害を受けるのは入居者である。法律で家賃を決めておきながら、入居者に我慢させることが住宅セーフティーネットである県営住宅の目的とは決して思えないが、考えを伺う。
【理事者】
県営住宅においては、これまでも同一団地内だけでなく、狭小な敷地に立地している老朽化した住宅を、ほかの県営住宅の建て替えに合わせて集約化を行い、従前の敷地は福祉施設や民間の戸建て住宅用地として、活用を図った事例がある。
今後も小規模で敷地の条件により現地での建て替えが困難な場合は、他の住宅への集約化や、用途廃止を計画するなど計画的に整備していく。
引き続き県営住宅が本県の住宅セーフティーネットの中核としての役割を果たし、入居者が安全・安心で快適に暮らすことができるよう改修・改善を進めていく。
【委員】
建築局が一丸となって、住宅管理者として、大家としての責任を果たすために、いかにあるべきかについて、建築局長からの答弁を求める。
【理事者】
県営住宅を取り巻く状況は依然厳しいものがあるが、様々な課題に対して、職員それぞれが問題意識を持って取り組み、実施結果もしっかりと検証しながら進めていくことが重要である。
今後も社会情勢や関連制度の動向だけでなく、新技術の導入なども図りつつ、様々な工夫を凝らし、県営住宅が住宅セーフティーネットの中核であることを十分認識し、入居者の視点に立って取り組んでいく。
【委員】
いつもこうした議論をして、そして、私の質問と答弁を、地元の住宅の自治会の責任者等に渡している。毎回言われているのが、一生懸命頑張ってくれていることが分かると同時に、これからの県営住宅の在り方について、現実を知ったうえでの対応を求めるという声がある。一生懸命取り組んでいるだろうが、事業の内容を一つ一つ見ていると、私らには理解ができないといった声が多い。これからの財政当局との一生懸命な交渉によって、今よりもスピードを持って改善してもらうことを求める。
【委員】
初めに、地域交通の確保について伺う。
地域公共交通は、高齢化の進展とともにその重要性も改めて認識されており、各地で持続可能性や利便性を高める様々な取組が行われている。例えば、私の地元である春日井市では、県のスマートシティモデル事業に採択され、システムを活用したタクシー共同配車の実証実験が行われている。
この取組では、複数のタクシー事業者の配車依頼窓口を一本化することにより、事業者の垣根を越えて効率的な配車を行うことで、利用者の待ち時間を減らしたり、乗車機会の増大を目指したりしている。タクシー事業者にとっては車両の効率的な運用ができ、利用者にとっては利用したいときに利用しやすくなる取組である。
また、同じく春日井市の高蔵寺ニュータウンの中にある石尾台地区では、坂が多く高齢者には徒歩ではつらい土地柄であることから、自宅から地区内の医療施設や商店、バス停といったラストマイルと呼ばれる地区内の移動について、自動運転技術を用いた送迎サービスの実証実験を重ねている。
運行サービスの担い手は、地域の有志の人たちが設立したNPO法人であり、地域住民の共助による送迎サービスが始まっている。住民が主体となり、地域の交通について考え、公共交通を維持しているすばらしい取組の一つである。
自動運転技術の活用としては、STATION Aiと名古屋駅を結ぶ自動運転車両の定期運行が開始しているが、東京ではアメリカのウェイモ社がタクシー事業者と連携して自動運転技術のテストを実施すると聞いている。自動運転タクシーに向けた動きであり、地域交通の担い手対策として注目に値する取組である。
こうした新たな取組は、一定程度の人口が集まる都市部や郊外を中心に行われてきたが、山間部や半島地域など人口密度が低い地域に目を向けると、人々の移動需要が少なく、民間の交通事業者では、移動サービスを提供することが難しくなっている状況もあり、地域交通の確保が課題となっている。
国においても、昨年7月に「交通空白」解消本部が設置され、制度の新設や様々な運用改善が図られてきた。
そこで、交通空白の解消に向け、どのような移動手段の確保手法があるのか伺う。
【理事者】
県民が豊かな生活をする上で、また、地域の活性化の観点からも、公共交通などの移動サービスは重要であると認識している。バスやタクシーなどの民間の交通事業者が移動サービスを提供できない、いわゆる交通空白は、本県においても山間地域や半島地域に生じているが、近郊部であっても平日午前中や夜間などの時間帯で生じることもあり、地域課題の一つとなっている。
そうした中、国による運用の改善が行われた自家用有償旅客運送、いわゆる公共ライドシェアは、市町村やNPO等が地域に住んでいる一般ドライバーなどを活用し、営利にならない範囲で利用者から対価を受け取って移動サービスを提供するものとして、交通空白地を抱える自治体から期待が高まっている。
また、利用者から対価を受けない無償での運送であることから、道路運送法の規制対象外となる許可又は登録を要しない運送もある。国からどのような場合に、いわゆる無償運送になるのかなどのガイドラインが出たこともあり、移動サービス確保の手段として活用しやすくなっている。
【委員】
許可又は登録を要しない運送については、大学が学生の通学のために走らせているバスに地域貢献として地域の人を乗せることも考えられる。これまで法律に触れないか心配されていたことに対し、大丈夫であることが明らかにされたことで、利用しやすくなる。
許可又は登録を要しない運送は、経費の負担も含めて、地域貢献、ボランティアであるのに対し、公共ライドシェアは経費の負担を利用者にも求める点で、許可又は登録を要しない運送よりも持続性の高い取組であると考えられる。
そこで、公共ライドシェアは、民間の事業者による交通サービスの提供が困難な地域において、今後、移動手段の確保に向けて非常に効果的で効率的な手法だと考えられるが、普及に向けての課題を伺う。
【理事者】
公共ライドシェアは、市町村やNPO等が主体となり、地域に住んでいる一般ドライバーが移動サービスを行うもので、事業者が行うものではない。一般的に移動サービスの提供はタクシーなどの民間の公共交通事業者が行うものとの認識が強く、住民が移動サービスの担い手になるということには思いも至らないケースもある。
公共ライドシェアを導入し普及していく上では、地域の関係者が我が事として考え、自ら担い手となってもらう必要があるため、地域における意識醸成や合意形成、運営主体の確保が課題である。また、公共ライドシェアの運営に当たっても、予約の受付や運転手の点呼など、円滑な事業運営のためのノウハウが求められるといった課題がある。
【委員】
様々な課題がある中で、公共ライドシェアの導入・普及に向けて、県としてどのように対応していくのか伺う。
【理事者】
地域が主体となる公共ライドシェアの導入・普及に向けては、地域の地理的状況や移動ニーズ、地域で様々な活動を行っている団体の状況に精通し、住民に最も近い市町村が旗振り役となり、進めていく必要がある。その推進に向けては、地元市町村、住民と運行管理などのノウハウを持つタクシー事業者等の関係者が連携して取り組むことが重要である。
県としては、こうした関係者が地域交通について検討する場、ワークショップ等にコーディネーター等の専門家を派遣し助言を行うなど、市町村を支援し、合意形成を促していく。
また、運営上の課題への対応として、運営主体となる地域の団体に運行のノウハウを持つタクシーなどの公共交通事業者が協力するものや、民間のタクシーサービスと公共ライドシェアを一体的に配車受付を行う仕組みなど、連携して運営する方法もあることから、セミナー等を通じて市町村などに周知し、公共ライドシェアを実施する際の選択肢の一つとして検討を促したい。
こうした取組を通じて、公共ライドシェアをはじめとする移動サービスが市町村と公共交通事業者との連携の下、実施に向け進むよう支援を行い、各地域の実情に合った移動手段の確保が進むよう取り組む。
【委員】
自民党に対するタクシー協会等の要望において、最大の使命は安全性の確保であり、そのためにドライバーの適正な労働環境の確保がうたわれる中で、自治体と協働して公共ライドシェアを活用した取組を進めたいことが盛り込まれていた。
この取組を進めるためには、やはり関係自治体の主体的な関与が必須である。タクシー業界としても取組を進めたくても進められないのでは困るので、自治体への助言や周知等、しっかりフォローして進めてもらうよう要望する。
続いて、建設業界における人材の確保について質問する。
朝起きて蛇口をひねれば水が出て、顔を洗う。魚沼産のコシヒカリに赤みそで作ったみそ汁、卵焼きにウインナーが並ぶ朝食。家から一歩出れば自転車で道路や橋を渡り、駅まで向かい、電車に乗り換え職場に向かう。職場では電話やインターネットを使い、世界中の工場への自動車部品の製造や輸送の発注を行う。帰りの電車の中ではネットショッピングで商品を取り寄せる。次の日には購入した商品が届き、封を開けて使用する。
私たちの暮らしは、たくさんのインフラに囲まれており、インフラは私たちの生活を支える重要な役割を果たしている。安全で快適な生活を送るためにインフラは必要不可欠なものであり、インフラが整備されていなくては、人々の暮らしや仕事もままならなくなる。
戦後、日本の成長を支えてきたのは、間違いなくそのインフラ整備によるところが大きいと考える。そして今、この国の生活、経済を支える一番の要が危機を迎えている。建設業全体の就業者数の減少と高齢化が進んでいるということである。
日本全体の労働人口が不足する中、建設業界の人手不足は特に深刻である。全国の建設業就業者は、この約25年間でおおよそ200万人が減少し、慢性的な人手不足の状況である。また、他産業に比べ、高齢化の進行が顕著でもある。私の元にも民間建設会社から、求人を出しても全く人が集まらない、高額な求人広告費用を毎月払っているだけという嘆きの相談が後を絶たない。
総務省の労働力調査を基に、国土交通省が算出した資料によると、建設業就業者は29歳以下が11.7パーセント、55歳以上が35.9パーセント、60歳以上の技能者は全体の約4分の1の25.7パーセントを占めるとされている。10年後にはこの大半が引退することが見込まれ、若年入職者の確保・育成が喫緊の課題となっている。この状況は、官民どちらにおいても深刻な状況ではあるが、本県建設局においても苦労していると聞いている。
そこで、まず初めに、現在の土木職員の採用状況、高齢化の状況について伺う。
【理事者】
土木技術職員の採用状況については、5年ほど前から定員割れが続いている。
このうち、直近3年分の状況としては、大卒・高卒・職務経験者の3区分の合計の毎年度4月1日時点の採用人数は、2023年度採用は、募集55人に対して採用が45人、2024年度採用は、募集55人に対して採用数34人、2025年度採用は、募集60人に対して採用数はまだ確定していないが、30人を下回る見込みである。試験の途中や最終合格後の辞退もあり、定員割れが続いている状況である。
続いて、高齢化の状況についてである。現在、土木技術職員は約1,130人であるが、このうち50歳以上の割合が5割を超えている。新卒者の採用数の減少に伴い、この割合は年々増加しており、来年度は約56パーセントになる見込みである。
【委員】
戦後、戦禍による傷痕を復旧・復興しながら、我が国は十余年の戦後復興期を経て、瞬く間に飛躍的な経済成長を遂げた。高度経済成長期を経て、1964年の東京オリンピック大会の開催、国を挙げての目標に向け、東京を中心とした大規模なインフラ整備が行われたことを手始めに、高度経済成長期以降から現在まで、我が国の豊かな生活基盤の拡充が進むことになる。
戦後、日本の成長を支えてきたのは、このインフラ整備によるところが大きいと考える。しかし、それは高度経済成長期以降、一気に整備された道路、橋、トンネル、河川、上下水道、港湾等について、建設後50年以上経過する施設の割合が同時に加速度的に高くなることでもある。老朽化に伴う下水管の破裂が原因とみられている今年1月に埼玉県の八潮市で起きた道路陥没事故、また、昨年9月に起きた広島県広島市での道路陥没事故と、老朽化が原因とみられる事故が増えている。
建設業界の人手不足は、こういった事故や点検・補修等に対する脆弱性を上げるだけでなく、知識や経験の共有と継承が途絶えることを意味する。インフラの老朽化に伴う事故も増えている中で、建設人材の確保は喫緊の課題である。
全国のあらゆるインフラ設備の老朽化が大きな社会課題となる中、建設後50年以上が経過するインフラ設備が今後、国全体で道路橋は2030年には54パーセント、2040年には75パーセントになるとのことである。こうした傾向はトンネルや水道管など、あらゆるインフラ設備に関しても同様である。
インフラ設備の寿命は一般的に50年と言われており、50年を超えると損傷頻度が高くなることが指摘されている。これからも整備や維持管理を続けていくためには、建設部局の人材の確保・育成による体制づくりが急務だと考える。
そこで、人材確保・育成に関しての県の取組について伺う。
【理事者】
まず、人材の確保の取組としては、大きく二つある。一つ目は、新卒者の採用拡大を目指して、学生向けに行う取組。もう一つは将来の担い手を増やすため、小中学生向けに行う裾野を広げる取組である。
学生向けに行う取組について、代表的なものを四つ説明する。
まず一つ目は、リクルート活動と就職説明会である。建設系の学科がある大学や高等専門学校、高校の各就職担当教員を訪問し、採用制度や県土木の仕事や職場環境の紹介、PRなどを行っている。これまで東海地方を中心に行っていたが、今年度は現役職員が卒業した大学や、愛知県出身の学生が多いと思われる大学を想定して、関東や北陸、そして近畿などに拡大し、大学22校、高専・高校3校を訪問した。また、大学主催の就職説明会にも積極的に参加している。
二つ目がインターンシップと個別相談である。大学生を対象に、県庁や建設事務所の仕事を知ってもらうためのインターンシップを毎年開催している。中でも積算業務や、現場での段階確認などの体験型が特に好評である。例年50人を定員としているが、最近は応募者が超過しており、可能な限り受け入れている。また、県土木職に興味を持っている学生からの様々な質問に答えられるよう、個別相談も随時実施している。
三つ目は、あいち建設みらいサロンの開催である。これは、県内の大学や工業高校等を対象に、建設分野に携わる現役の技術者である建設会社と建設コンサルと我々行政職員が一緒に訪問し、学生と交流する機会をつくるものである。そこで建設業のやりがいや魅力を発信したり、建設分野の実情や課題、疑問について意見交換したりすることで、学生の理解や関心を深める取組を行っている。
このサロンは毎年5校程度で開催しており、今年度は5校で168人の学生と42人の技術者が参加した。学生からは、業界内の実情や仕事の内容がよく分かったと好評である。
最後の四つ目は、ユーチューブチャンネルの開設である。若者への情報発信手段としてユーチューブを活用しており、本県の大規模事業やプロジェクト事業の紹介のほかに、工事現場で構造物が完成していくまでの様子や土木職員の働き方などの動画を随時更新しており、現在42本の動画をアップしている。
続いて、大きな取組の二つ目、小・中学生に向けた裾野を広げる取組については、中長期的に建設業界を目指す若者を増やす活動にも取り組んでいる。
具体的には、子供たちに建設の仕事を知ってもらい、興味を持ってもらえるよう、小学生を対象にした出前講座や、中・高生も対象にした現場見学会を毎年開催している。
次に、人材育成の取組についてである。建設行政の適切かつ円滑な運営のためには、技術力の維持・向上は重要であると考えており、体系的な建設技術研修の実施や若手職員への技術の伝承に取り組んでいる。
具体的には、まず、建設技術研修の実施について、技術職員に必要な専門知識の向上と広い視野から建設行政を遂行する知識の習得を目的として、技術の基礎を学ぶ研修から、具体的な実務の専門家としてより高度な知識の習得を目指す研修まで、幅広い内容の講座を企画し、経験年数に応じて受講する講座を指定している。その中には、より実践的な研修として、現場での演習を取り入れた訓練型の講座も用意している。そのほか、技術士や施工管理技士などの資格取得も支援しており、今年度は44講座に延べ約1,000人が受講した。
もう一つ、若手職員への技術の伝承の取組については、現場での工事監督や設計コンサルとの打合せにおいて、ベテラン職員が若手職員に同行し、技術的な指導を行っている。特に新規採用職員には、ベテラン職員をトレーナーとして配置し、日々の仕事を通じて、発注者としての技術力を身に付けられるよう支援している。
今後もインフラの老朽化や激甚化・頻発化する自然災害に対応できる技術職員を育てていけるよう取り組んでいく。
【委員】
様々な取組をしており、私もユーチューブを見たが非常に興味の湧く内容であった。しかし、こうした取組を行っていても人がなかなか集まらない、また、インターンシップに関しては応募超過もあったのに人が回ってこない。非常に悩ましいと感じている。
今後、インフラの老朽化が進行し、また、自然災害の激甚化や頻発化に的確に対応していくためには、組織力がますます求められる。人材確保と技術や経験の伝承ができなければ、この国の経済や防災、生活の安定を脅かす、まさに安全保障の問題にもつながる。
この課題については、行政と民間とが最重要事項として共有し、愛知県が率先して旗振りしていかなくてはならない。これまでも様々な取組を行ってきたのは理解したが、この課題についてより重要度を上げて取り組んでいくため、建設部門の体制強化に対する思いを局長に伺う。
【理事者】
建設部門の体制強化について答える。
県民の安全・安心な生活や愛知のモノづくりを支える本県の社会資本は、次の世代まで伝えていかなければならない大切な資産である。さらに、その社会資本を効果的に整備し、適切に維持管理していくことは、日本経済をけん引し、我が国の発展を力強くリードしていくことにも直結する。
現在も現場対応が続く埼玉県八潮市のような事故は、発生すると、社会経済活動に大きな影響を与えるので、特に維持管理については極めて重要である。
このように大きな役割を求められている状況において、我々、建設部門の組織の高齢化や若手入職者の減少が顕在化していることには、非常に強い危機感を持っている。
先ほど答弁したように、本県においても、仲間を増やすために、様々な活動を通じて建設部門の職員のやりがいや魅力の発信をしている。特に土木技術職員については、計画・設計・施行・維持管理と多岐にわたる専門的な技術力や経験による技術力が必要である。
また、行政職員として行う地元説明会などの場において、県民への説明責任など多くのスキルが求められている。こうしたことから職員の技術力や交渉力をはじめとした職員の能力向上を図り、建設を取り巻く環境に適切に適応していくよう、これからの取組を前進させていく。
さらに、これまでの取組を充実・強化させるため、人材の確保・育成を建設部門全体の課題として捉え、組織体制の強化についても検討を現在行っている。
併せて、DXの推進や新技術の導入などによる組織の生産性向上を積極的に進め、職場環境の改善や働き方改革をしっかりと実践していく。
最後になるが、建設部門の土木職の仕事を企業の経営と同様に論じることは難しいと思うが、多くの企業経営者が、人材は会社の宝、その育成こそが企業の最も重要な投資、また、人を育てることは未来を育てることと、人材育成は極めて重要と発信している。このため、建設部門としてもこの難局を乗り切っていくため、一致団結して、今後も継続的かつ進化を図りながら、人材の確保・育成とともに、組織全体の強化にもしっかり取り組んでいく。
引き続き県議会の皆様方からも、力添えを願う。
【委員】
私の考えであるが、こうした状況を踏まえ、建設局職員の待遇等も大幅に改善して、民間以上の処遇、また業務に見合った処遇を与えることは、県全体の安全と安定を維持するために必須の施策になると感じている。
単なる労働条件の改善としてではなく、県全体の建設行政の安定維持のために必要な投資と位置づけて、積極的に対応すべきだとも考える。また、必要であれば、県全体の人事からも独立させて、独自の採用や処遇の設定を可能とする仕組みも考えていく必要がある。
国は、国際情勢の複雑化・社会経済構造の変化等に伴い、安全保障を確保するために、経済活動に関して行われる国家及び国民の安全を害する行為を未然に防止する重要性が増大していることに鑑み、安全保障の確保に関する経済施策を総合的かつ効果的に推進するために、経済安全保障推進法を制定した。この中には、重要物資の安定的な供給の確保に関する制度や基幹インフラ役務の安定的な提供の確保に関する制度があり、国民の生存や国民生活、経済活動に甚大な影響のある物資の安定供給の確保を図るため、重要物資の指定や計画などを明確にした。
しかし、その中に建設人材の確保と育成がそもそも含まれていないことは全く不十分である。インフラが整備できなければ何もできない。ぜひ建設人材の確保と育成が急務であることを、当局だけでなく議会側としても共有して強く働きかけていけるようにしていきたい。
これは建設局だけではなく、私たち一人一人がこの課題に関して危機感を持つこと、その一歩となればという思いで取り上げた。この国の基礎をつくるインフラの人材確保に一人一人が取り組んでいくことが大事になってくると思うので、ぜひ、一体となって進んでいけるようお願いする。
( 委 員 会 )
日 時 令和7年3月14日(金) 午後0時59分~
会 場 第4委員会室
出 席 者
山田たかお、中村貴文 正副委員長
島倉 誠、山下智也、藤原ひろき、神戸健太郎、伊藤貴治、高橋正子、
朝倉浩一、細井真司、古林千恵、筒井タカヤ、神谷まさひろ 各委員
建設局長、同技監(2名)、土木部長、道路監、治水防災対策監、
豊川水系対策本部副本部長、豊川水系対策本部事務局長、水資源監、
都市・交通局長、同技監、都市基盤部長、リニア・交通対策監、
港湾空港推進監、空港長、
建築局長、同技監、公共建築部長、建築指導監、
収用委員会事務局長、関係各課長等
委員会審査風景
<付託案件等>
○ 議 案
第 1 号 令和7年度愛知県一般会計予算
第1条(歳入歳出予算)の内
歳 出
第7款 建設費の内
第1項 建設管理費
第2項 道路橋りょう費
第3項 河川海岸費
第4項 砂防費
第5項 都市・交通費
第6項 港湾空港費
第7項 漁港費
第8項 建築費
第9項 住宅費
第10款 災害復旧費の内
第2項 土木施設災害復旧費
第2条(繰越明許費)の内
第7款 建設費
第3条(債務負担行為)の内
新城設楽建設事務所施設設備改修工事
愛知県土地開発公社事業資金借入金債務保証
公共用地先行取得契約(愛知県土地開発公社)
橋りょう補修事業一般国道155号境大橋下部補強工事
橋りょう補修事業一般国道247号千鳥橋上部補修工事
橋りょう補修事業一般国道247号新上野橋下部補強工事
橋りょう補修事業県道安城碧南線見合橋下部補強工事
橋りょう補修事業県道岡崎刈谷線高熊跨線橋上下部補修工事
橋りょう補修事業県道岡崎刈谷線高熊跨線橋上下部補修工事協定(東海旅客鉄道株式会社)
橋りょう補修事業県道名古屋半田線天白大橋下部補強工事協定(名古屋市)
橋りょう補修事業県道佐屋多度線立田大橋上部補強工事
橋りょう補修事業県道東海緑線共和跨線橋上部補修工事
橋りょう補修事業県道東海緑線共和跨線橋上部補修工事協定(東海旅客鉄道株式会社)
道路改良事業一般国道151号道路築造工事
道路改良事業一般国道155号用地取得及び物件移転補償契約
道路改良事業一般国道247号物件移転補償契約
道路改良事業一般国道247号日長インターチェンジ(仮称)工事協定(国土交通省)
道路改良事業一般国道247号知多3号橋上部工事
道路改良事業一般国道247号新拾石橋上部工事
道路改良事業県道東三河環状線新豊川橋設計業務委託契約
道路改良事業県道東三河環状線佐奈川橋上部工事
道路改良事業県道小渕江南線新愛岐大橋取付高架橋上部工事
道路改良事業県道豊川蒲郡線立体交差詳細設計委託協定(東海旅客鉄道株式会社)
道路改良事業県道蒲郡碧南線小焼野橋下部工事
道路改良事業県道蒲郡碧南線小焼野橋上部工事
道路改良事業県道蒲郡碧南線川口跨線橋上部工事
橋りょう整備事業一般国道151号宮下立体上部工事(その1)
橋りょう整備事業一般国道151号宮下立体上部工事(その2)
橋りょう整備事業一般国道151号宮下立体上部工事(その3)
橋りょう整備事業一般国道151号宮下立体上部工事(その4)
橋りょう整備事業県道名古屋祖父江線清洲橋上部工事
橋りょう整備事業県道扶桑各務原線新愛岐大橋上部工事
橋りょう整備事業県道豊橋環状線弘法橋上部工事
設楽ダム関連道路整備受託事業県道小松田口線8号橋下部工事
設楽ダム関連道路整備受託事業県道小松田口線道路築造工事(その1)
設楽ダム関連道路整備受託事業県道小松田口線道路築造工事(その2)
設楽ダム関連道路整備受託事業県道小松田口線道路築造工事(その3)
名古屋高速道路公社有料道路整備資金借入金(政府資金)債務保証
名古屋高速道路公社有料道路整備資金借入金(民間資金)債務保証
愛知県道路公社有料道路整備資金借入金(民間資金)債務保証
愛知県道路公社有料道路関連道路整備資金借入金(民間資金)債務保証
中小河川改良事業水場川排水機場設備分解整備工事
中小河川改良事業天神川護岸工事
中小河川改良事業瀬戸川護岸工事
中小河川改良事業外堀川護岸工事
中小河川改良事業青木川放水路排水機場設備分解整備工事
中小河川改良事業合瀬川護岸工事(その1)
中小河川改良事業合瀬川護岸工事(その2)
中小河川改良事業鍋田川下流排水機場設備分解整備工事
中小河川改良事業鹿乗川橋りょう改築工事(その1)
中小河川改良事業鹿乗川橋りょう改築工事(その2)
中小河川改良事業木瀬ダム小水力発電施設設置工事
中小河川改良事業天白川護岸工事(その1)
中小河川改良事業天白川護岸工事(その2)
中小河川改良事業日光川2号放水路工事
中小河川改良事業日光川遊水地工事
中小河川改良事業領内川築堤工事
中小河川改良事業旧日光川水閘門撤去工事
中小河川改良事業日光川護岸工事
中小河川改良事業日光川河床掘削工事
中小河川改良事業福田川樋管工事
中小河川改良事業福田川橋りょう改築工事(その1)
中小河川改良事業福田川橋りょう改築工事(その2)
中小河川改良事業五箇村川排水機場設置工事(その1)
中小河川改良事業五箇村川排水機場設置工事(その2)
中小河川改良事業石川水門改築工事
中小河川改良事業神戸川護岸工事
中小河川改良事業五箇村川護岸工事
中小河川改良事業稗田川橋りょう改築工事
中小河川改良事業柳生川地下河川工事
中小河川改良事業精進川水門設置工事
総合治水対策特定河川事業大山川調節池工事
総合治水対策特定河川事業清洲橋上部工事
総合治水対策特定河川事業両郡橋下部工事
小規模河川改修事業片原一色留堰改築工事
緊急防災対策河川事業鍋田川下樋門設備更新工事
緊急防災対策河川事業蟹江川排水機場設備更新工事
緊急防災対策河川事業日光川水閘門設備更新工事
緊急防災対策河川事業西中野樋管設備更新工事
緊急防災対策河川事業日光川排水機場設備更新工事
緊急防災対策河川事業筏川排水機場設備更新工事
緊急防災対策河川事業西中野排水機場設備更新工事
地盤沈下対策河川緊急整備事業善太川護岸工事
木曽川水系新丸山ダムに係る水源地域整備事業費負担
海岸高潮対策事業東浦海岸改修工事
海岸高潮対策事業西尾海岸改修工事(その1)
海岸高潮対策事業西尾海岸改修工事(その2)
海岸高潮対策事業幡豆海岸改修工事
海岸高潮対策事業豊橋海岸改修工事
津波対策海岸特別緊急事業鳥羽東川樋門設備更新工事
津波対策海岸特別緊急事業渥美海岸築堤工事
通常砂防事業梁野沢堰堤工事
通常砂防事業山綱川第6支川堰堤工事
街路新設改良事業知多都市計画道路武豊港線道路築造工事協定(名古屋鉄道株式会社)
知多都市計画都市高速鉄道東海旅客鉄道武豊線(半田駅)連続立体交差工事協定(東海旅客鉄道株式会社)
公園緑地整備事業油ケ淵水辺公園整備工事
ジブリパーク関連公園整備事業愛・地球博記念公園整備工事
名古屋飛行場施設整備事業航空灯火整備工事
愛知県住宅供給公社事業資金貸付金損失補償
普通県営住宅建設工事
既設県営住宅長寿命化改善工事
第 11 号 令和7年度愛知県港湾整備事業特別会計予算
第 12 号 令和7年度愛知県県営住宅管理事業特別会計予算
第 17 号 令和7年度愛知県流域下水道事業会計予算
第 43 号 愛知県港湾管理条例の一部改正について
第 44 号 愛知県入港料条例の一部改正について
第 49 号 名古屋高速道路公社の基本財産の額の変更について
第 53 号 県の行う土木事業に対する市町村の負担金について
第 54 号 県の行う流域下水道事業に対する市町村の負担金について
第 55 号 国の行う公園事業に対する名古屋市の負担金について
第 56 号 訴えの提起について
(結 果)
全員一致をもって原案を可決すべきものと決した議案
第1号、第11号、第12号、第17号、第43号、第44号、第49号及び第53号から第56号まで
○ 閉会中継続調査申出案件
1 道路の整備等について
2 水資源対策並びに河川、砂防、水道及び下水道の整備等について
3 土地対策、都市計画並びに公園及び市街地の整備等について
4 総合交通体系及び港湾の整備等並びに航空対策について
5 宅地建物取引及び建築・宅地造成等の規制について
6 公営住宅等の建設及び管理並びに県有施設の営繕工事について
7 建設局、都市・交通局、建築局及び収用委員会の行政運営について
<会議の概要>
1 開 会
2 議案審査(11件)
(1)理事者の説明
(2)質 疑
(3)採 決
3 委員長報告の決定
4 一般質問
5 休 憩(午後3時)
6 再 開(午後3時13分)
7 閉会中継続調査申出案件の決定
8 閉 会
(主な質疑)
《議案関係》
【委員】
スタートアップ活用まちづくり支援事業費について伺う。
様々な地域課題を抱える市町村と先進技術やサービスを持つスタートアップ等とマッチングするとともに、事業化に向けた実証実験を行うことにより、市町村のまちづくり支援をする事業と説明を受けた。
各市町村において、STATION Aiの機能やスタートアップの持つ先進技術やサービスを活用するなどして、民間の取組とそれぞれ地元の特色を生かした市町村によるまちづくりの取組の融合によって、都市や地域のにぎわいの創出や活力の維持につなげていくことが大変重要だと思う。
市町村とスタートアップ等をマッチングし、地元の特色を生かしたまちづくりを支援していくとのことであったが、どのように進めるのか伺う。
【理事者】
本事業による市町村のまちづくり支援は、市町村とスタートアップ等とのマッチングと実証実験の実施の二つの柱から成っている。マッチングに向けた重要な取組として、市町村がスタートアップ等に対し、取り組みたい地域課題を説明・発表し、スタートアップ等から課題解決策の提案を募るイベント、いわゆるガバメントピッチを開催する。
ガバメントピッチの開催後、解決策を提案したスタートアップ等と市町村が面談し、マッチングを図る。その後、マッチングした市町村等は事業計画の作成に取り組み、実証実験を10月頃から実施することを予定している。
【委員】
スタートアップ等とのマッチングに向けては、県としてどのように市町村を支援していくのか伺う。
【理事者】
本事業において、市町村がスタートアップ等と初めてマッチングを試みる場合もあると想定し、官民連携によるまちづくりの知見を有するコンサルタントに業務支援を委託し、コンサルタントとともに市町村をサポートする予定である。
また、市町村においては、地域課題の全体像を把握できていないことも想定され、ガバメントピッチ開催前の段階から、県が市町村とともに課題の整理や深掘りを行い、伴走的な支援をしていきたい。
県が市町村の伴走者として、本事業の各段階において、様々な相談に寄り添って支援することで、円滑かつ効率的な事業運営を図っていく。
【委員】
来年度実証実験を実施する数はどのぐらいか、また、どのような効果が期待されるのか伺う。
【理事者】
実証実験の実施は、市町村とスタートアップ等が作成する事業計画の内容を確認して、決定する。五つ程度を見込んでいるが、実施する数は柔軟に対応していく予定である。
市町村は、実証実験の成果を生かし、市町村事業として、実装に向けた本格実施の弾みとなって、まちづくりの課題解決への取組が進展することを期待している。
《一般質問》
【委員】
名古屋三河道路について伺う。
去る3月8日、国道23号名豊道路の蒲郡インターチェンジから豊川為当インターチェンジ間9.1キロメートルが開通し、ついに名豊道路が事業化から約半世紀を経て、全線開通となった。これにより、名古屋から豊橋の所要時間が大幅に短縮される。
また、私が住む西三河地域は、自動車関連産業が集積しており、完成自動車の輸出入港である三河港へのアクセス性が高まることで、生産性向上にもつながる。これも愛知県の建設局が長年にわたり、尽力したおかげである。
一方で、製造品出荷額等が、二輪も含めた自動車の保有台数が日本一である我が県には、新しい道路の整備がまだまだ必要である。
そこで、今回は名古屋三河道路を取り上げる。名古屋三河道路は、西三河地域及び知多地域を東西に貫く高規格道路であり、名古屋港や中部国際空港へのアクセス性を高めて、輸送効率化や交通渋滞軽減への貢献が期待される。
さらに、現在、知多地域の事業所からガソリン、灯油、軽油といった燃料が、大型タンクローリーによって三河地域のサービスステーションに供給されている。地震等の災害により、名豊道路が通れなくなると、燃料供給がストップするおそれがある。そうなれば、我々の生活や経済活動へのダメージは甚大であり、愛知県、ひいては国への影響も計り知れないものとなる。
国からは、災害時の初動体制として、燃料供給安定化に向けたアクセスルートの確保を求められている。今年1月、南海トラフの巨大地震が今後30年以内に起きる確率を80パーセント程度と引き上げ、公表された状況を踏まえると、名古屋三河道路の必要性がこれまで以上に高まっていると考える。私の前任である永井雅彦前県議会議員も名古屋三河道路の必要性を強く訴えてきた。
このような中、昨年12月に開催された第3回名古屋三河道路有識者委員会で、西知多道路から名豊道路までの優先整備区間について、一つのルート帯案が公表された。さらに、先日の一般質問では、来年度からは都市計画手続に着手し、詳細なルートや構造など、計画の具体化を着実に進めるとの県当局からの答弁があった。
今回、名豊道路が全線開通したこともあり、現在、地元刈谷市においても、名古屋三河道路の早期実現について、期待や関心の声が高まっている。
そこで、名古屋三河道路の優先整備区間について、県としてどのような効果を想定して、計画をしているのか伺う。
【理事者】
県としては、知多・西三河南部地域において、産業・渋滞・安全・防災の四つの観点から、交通課題があると考え、名古屋三河道路を計画している。
産業面では、両地域を東西に結ぶ規格の高い道路が不足し、名古屋港や中部国際空港への移動における時間信頼性が低いこと、渋滞面では、境川・衣浦港周辺に交通が集中し、交通混雑が頻発していることがある。
また、安全面では、境川・衣浦港周辺に死傷事故率が高い区間が集中していること、防災面では、津波浸水等により道路ネットワークが寸断され、支援物資の輸送や企業の事業継続が困難になるおそれがあることが課題と考えている。
昨年12月に公表したルート帯案は、新たな東西軸を形成し、名豊道路をはじめとした周辺道路と適切な交通分担を図ることにより、名古屋港や中部国際空港への速達性や定時性の向上に加え、沿線の生産・物流拠点相互のアクセス性の向上及び周辺道路の渋滞緩和や交通事故発生リスクの低減が期待できるルート帯である。
引き続き、名古屋三河道路の整備効果を高め、その効果を早期に発現できるよう道路計画の具体化を進めていく。
【委員】
次に、今後の道路計画の具体化に当たって、地域の生活環境、そして、自然環境へどのように配慮するのか伺う。
【理事者】
名古屋三河道路の計画検討における地域の生活環境や自然環境への配慮については、昨年12月に公表した1キロメートル幅のルート帯案の検討段階において、市街地や自然公園、景観資源等の土地利用状況などを考慮し、生活・自然・景観等に配慮したルート選定を行っている。
また、3月5日から縦覧している名古屋三河道路の計画段階環境配慮書においては、既存資料などを用いて、大気質、騒音、動物、植物など計7項目へ与える影響を検討している。
来年度から着手を予定している都市計画手続の段階においても、並行して実施する環境影響評価の中で、必要な調査を実施し、その結果も活用して予測・評価を行っていく。
このように、計画検討の熟度に応じて、地域の生活環境や自然環境へ適切に配慮することとしており、引き続き環境に配慮した道路計画の具体化にしっかりと取り組んでいく。
【委員】
県管理道路の地下にある埋設物の管理について伺う。
1月28日、埼玉県八潮市で県道が陥没し、トラックが転落する事故が発生し、トラックの運転手はいまだ捜索中であり、周辺地域では、一時避難の要請や下水道の使用の自粛要請がなされるなど、県民への大きな影響があったと報道された。
また、2月24日、埼玉県所沢市の道路、2時間以上にわたって水が噴き出し、一時道路が冠水したとも報道された。
このように道路下に埋められている埋設物としては、上水道、下水道、電気、ガス、通信など県民の暮らしに欠かすことができないインフラがある。
そこで、県管理道路の地下に下水道等を埋める場合、どのような手続が必要か伺う。
【理事者】
道路の地下に水道管や下水道管、ガス管などを埋設しようとする場合、道路法第32条の規定に基づき、道路管理者に対して、図面等必要な書類を添付して、占用許可を申請し、審査を経て許可を受ける必要がある。
【委員】
名古屋市における道路陥没の主な原因は下水道管の老朽化であり、市が管理する下水道管の約7,900キロメートルのうち、4分の1に当たる部分が耐用年数を超えており、特に50年以上経過した管が多く存在しているといわれている。
2016年には千種区で、2017年には中区錦でそれぞれ道路陥没が発生し、いずれも老朽化した下水道管が原因とされている。
愛知県営の水道及び工業用水道事業における老朽化施設更新については、水道では設備及び管路の更新計画、工業用水道では国の補助制度を活用しながら事業ごとに改築事業計画を策定し、取り組んでもらっている。
水道の管路については、昭和40年代から50年代にかけて、集中的に整備された管路の老朽化が懸念され、今後の管路更新のペースを加速させる必要があるとされている。
道路法に基づいて許可を受けた者が下水道管などの設置工事を行うが、全国でインフラの老朽化が顕著になっていく中で、愛知県においても設置後の管理を適切に行うことが重要と考える。
県が管理する道路の地下に占用許可を受けて設置された様々な埋設物の管理は、誰が行っているのか伺う。
【理事者】
道路を占用している物件の管理については、道路の構造や交通に支障を及ぼすことがないよう道路法第39条の8の規定により、道路を占用している方に対し、適切に維持管理することが義務づけられている。
【委員】
占用許可を受けた者が適切に維持管理する責任があるが、県は、占用許可を出した相手が適切に維持管理していることを確認する仕組みはあるのか伺う。
【理事者】
占用を許可する際には、占用物件により5年や10年など許可の期間を区切るとともに許可条件を付しており、この許可条件において、許可期間の更新を申請するときなどに、占用物件の現状を書面等により報告することを求めている。
占用物件の維持管理が適切でないと確認された場合、道路法第39条の9の規定により、占用されている方に是正措置を求めていく。
【委員】
最後に、道路の地下を占用する者は、冒頭でも述べたように下水だけではなく、上水道、電気、ガス、通信など複数ある。それぞれ工事していると、掘っては埋め、掘っては埋めが繰り返されて、効率が悪いと思うが、県は何か対策しているのか伺う。
【理事者】
県が実施する道路工事や、占用許可を受けた業者による工事が繰り返されることにより、円滑な交通への影響が懸念される。そのため、県では、一定の期間内に道路で繰り返し工事が行われないよう、工事完了後、道路の掘削を規制している。
具体的には、警察や道路管理者、占用事業者等を構成員とする道路占用地域連絡会議を建設事務所ごとに設置し、道路工事や地下埋設工事の施行時期や施工方法に関する情報等を共有・調整することにより、関連工事を集約させ、同一区間における工事の抑制に努めている。
【委員】
膨大な道路構造物を適切に維持管理していくために、県では道路管理者として、定期的な道路のパトロールや点検をしてもらっていると伺っている。
一方、本日答弁があったように、道路の地下にある許可を受けた埋設物は、占用許可を受けた事業者に維持管理する義務がある。県は、道路の点検を通して、異常を早期発見し、各占用する事業者との連携を十分に行いながら、県民の安全・安心のための取組の強化に努めてもらいたいと思う。
【委員】
愛知県は日本一のモノづくりの県であり、そのサプライチェーンは道路交通によって支えられていることから、一度予期せぬ道路陥没が発生すれば、県民の皆様の生命・財産を脅かす可能性があるだけでなく、地域の社会経済活動にも甚大な影響を及ぼす可能性がある。
そこで、今回の埼玉県八潮市で起きた事故を受けて、流域下水道管理者である愛知県は、どのような対応を行ったのか、また、県内市町の対応状況について伺う。
【理事者】
国は、埼玉県八潮市で発生した事故を受け、1月29日に、7都府県が管理する大規模な下水処理場に接続する下水道管路を対象とした緊急点検を、2月7日までに実施するよう要請した。要請の対象は、1日最大汚水処理量が30万立方メートル以上となる下水処理場に接続する口径2,000ミリメートル以上の下水道管路であった。
本県は、国の緊急点検の対象とならなかったが、今年度から、国が要請した施設規模に矢作川流域下水道が達したため、口径2,000ミリメートル以上の下水道管約39キロメートルについて、自主的な緊急点検を2月7日までに実施した。
点検内容は、車両から目視により、路面に異常がないかを確認する点検とマンホール内に作業員が入り、目視により管のずれや腐食、土砂の堆積などの異常がないかを確認する点検を実施し、いずれも異常は確認されなかった。
また、県内自治体では、名古屋市をはじめ、30市町において、路面からの点検やマンホール内部からの点検などを自主的に実施している。
【委員】
大きな事故を防ぐには、毎年計画的に点検・調査を行うことが重要だと思う。
そこで、本県が管理する流域下水道管の通常の点検・調査はどのように行っているのか伺う。
【理事者】
県が管理する流域下水道管路は、下水道法や国のガイドラインに基づいて、定期的に点検・調査を行い、この結果に基づき、修繕・改築計画を立て、適切な維持管理を行っている。
具体的には、国のガイドラインに基づき、流域下水道管の全延長372キロメートルについて、10年に1回以上の頻度で、下水道管路管理総合技士などの有資格者により、管の破損や継ぎ手部のずれ、地下水の侵入、腐食状況などを確認して、劣化状況を把握する調査を行っている。
この調査は、管の中に人が入ることができる場合は目視により、管に人が入ることができない箇所については、テレビカメラを管の中に挿入して、モニター映像を確認することにより劣化状況を把握している。
加えて、腐食のおそれが大きい箇所、具体的には下水道管に大きな段差があるような、下水の流れが大きく変わり、コンクリートの腐食原因となる硫化水素が発生しやすい箇所、約103キロメートルについては、下水道法に定められた基準に従って、5年に1回以上の頻度でマンホールの中から、目視により管に異常がないかを確認する点検を行っている。
【委員】
次に、下水道管の破損以外の原因で起き得る道路陥没に焦点を当てて伺う。
道路の陥没を防止し、道路を利用する皆様に安心して、安心・安全な道路環境を提供するには、常日頃からの備えが必要であり、道路の陥没に至るような異常兆候の早期発見に努めることが不可欠であると考える。
そして、そのためには、道路の日常管理において、点検を確実に実施することが重要となる。また、こうした道路管理者による日常管理の取組だけでなく、常日頃から道路を利用する県民からの情報を幅広く効率的に受け取ることにより、細やかで迅速な異常箇所の把握と対応が可能になると思う。
そこで、道路陥没の防止に向けた道路管理者の取組と、道路利用者からの情報を受け取る仕組みについて伺う。
【理事者】
道路陥没の防止に向けては、日常の管理において道路の状態を把握するとともに、路面などに異常な兆候を発見した場合には、迅速に対応することが重要である。
このため、本県では、管理する道路について、全路線週1回以上の頻度で道路パトロールを実施しており、昨年度は約5万3,000件の異常を発見するとともに、舗装の穴ぼこなどについては、直ちにアスファルト常温合材を用いて埋め戻すなど、その場で対応可能な応急措置も行っている。
そして、パトロールでの異常発見時に、現地では、状況写真や位置情報などをタブレット端末から管理システムに登録することで、担当者間でリアルタイムに情報を共有するとともに、発見から措置完了までを一元管理し、迅速で確実な対応に努めている。
また、こうした日常点検に加え、2017年度からは、道路の陥没につながる空洞を早期に発見できるよう、緊急輸送道路など重要な路線から試行的に地中レーダー探査による路面下の空洞調査に着手している。
今年度までに、延べ1,380キロメートルを調査し、陥没につながるおそれのある空洞30か所については、原因が特定できるよう、埋設物の管理者と共に施設が損傷していないかなどを調査した上で空洞を埋め戻すなどの対応を行い、浅い部分に発見された空洞に対して、一定の効果を確認している。
一方、道路利用者からの通報については、国土交通省が運用している道路緊急ダイヤル#9910などを活用し、24時間受け付けており、突発的に発生する異常に対しても、早期に把握できる体制を整えている。
さらに、国土交通省が従来の道路緊急ダイヤルに加え、道路利用者がLINEアプリを用いて写真や位置情報を送信、通報するシステムを昨年3月末から運用しており、本県にもLINEアプリによる情報が本年2月末まで521件寄せられており、このうち道路の穴ぼこや落下物等が約7割を占めていた。
今後とも道路パトロールを含めた日常管理を確実に実施するとともに、道路利用者から寄せられた情報に対し、迅速な対応に努め、道路を安心・安全に利用してもらえるように、しっかりと取り組む。
【委員】
八潮市の事故が起きて以来、メディアで何度も放送されると、全国の下水管、上水道管がいかに老朽化してて、その更新や修繕が難しく、しかも多額の費用がかかると分かってきた。
早めに対応したほうがよいという声や、上下水道の一本化による広域化を早く進めて、施設の更新をしたほうがよいという声を地元からよく聞くようになった。
そこで、現在、西三河地域で進められている上下水道一本化は、県と市町が上下水道事業を持ち寄ることで、経営基盤を強化し、施設の老朽化対策などの課題への対応策としても有効だと思っている。
そこで、西三河地域の上下水道一本化の取組について、現在の状況と今後の予定について伺う。
【理事者】
西三河地域の上下水道一本化については、昨年8月に協議会設立に向けた準備会を立ち上げた。この準備会では、矢作川流域の10市町が参画しており、施設の共同化、管理の一体化、一本化する組織の形態について検討し、これらを基本方針案として取りまとめる。
現在、施設の共同化については、市町ごとに設置された施設について、行政界を越えた統廃合を、管理の一体化については、維持管理業務の共同発注を検討するなど、既存の枠組みにとらわれない検討を進めている。
今後の予定については、来年度中の協議会設立に向けて、準備会での検討を早期に固め、基本方針案を取りまとめることができるよう、しっかりと取り組む。
【委員】
この事故を受けて、世の中の風向きが変わったと感じる。私の地元は刈谷市であるが、やはり刈谷市のことだけを考えるのではなく、広域で考えようという声も聞くようになった。
上下水道の一本化の取組について、迅速な対応をお願いする。
【委員】
半田病院の新病院供用に伴う半田周辺の現状について伺う。
3月9日に視察に行ったが、令和4年から着工が始まった新半田病院、現在は知多半島総合医療センターであるが、令和7年春に供用開始となり、半田市立半田病院は、現在の半田市中心部から約6キロメートル西にある半田運動公園、半田ぴよログスポーツパークの東側に移転される。
令和7年4月1日より、半田市立半田病院と常滑市民病院が経営統合し、知多半島総合医療機構が誕生する。半田市民病院は、知多半島総合医療センターになり、常滑市民病院は、知多半島りんくう病院に名称変更される。
新半田病院は、24時間体制の救命救急センターを核とした高度急性期医療を中心に、がん治療や、先進の設備を活用した高度医療を提供する役割を担い、知多半島医療圏における唯一の三次救急医療機関である。あわせて、地域の災害拠点病院として広域的災害等の際には、傷病者の受入れなどの災害医療を行う役割も担っている。
そのため、知多半島道路、南知多道路、知多横断道路、空港連絡橋の知多4路線、さらに西知多道路が整備されれば、これらの有料道路を使って知多半島各地から救急患者の搬送が想定される。その際は、最寄りの半田中央インターチェンジの利用が一般的であるが、新病院の近くを通過する知多横断道路に出口があれば、より短い時間で行くことが可能となる。
今回、新病院の開院に合わせて、救急車両専用の出口となる緊急退出路を整備していると聞く。これにより、搬送時間の短縮、救命率の向上を図ることができるので、非常に重要な取組であると思う。また、新病院への来院者や救急車両のアクセスルートとなる新病院周辺の道路は、命の道として、大変重要であると思う。
そこで、新半田病院の開院に向けた知多横断道路の緊急退出路及び新病院周辺のアクセス道路の整備状況について伺う。
【理事者】
アクセス道路のうち、知多横断道路の緊急退出路は、半田市方面への上り線、常滑市方面への下り線におのおの1か所ずつ、合計2か所を整備している。
具体的には、有料道路本線の路肩から盛土の法尻まで通路を設け、端部に電動式のゲートを設置した構造で、あらかじめリモコンを配布された緊急車両のみゲートを開閉し、並行する側道に退出することができる。
愛知県道路公社が管理する有料道路における県内初の施設であり、設計段階から県として国や県警高速隊などとの協議において、半田市及び常滑市に対する助言や技術的な支援を行ってきた。
また、愛知県道路公社及び愛知道路コンセッション株式会社は、両市から工事を受託するとともに、事業完成後は、本線からゲートまでの通路部分の管理を予定するなど、協力を行っている。
2024年6月に着工したこの工事は、この3月上旬に完了しており、今後は、救急車両のテスト走行を行うなど、4月の運用開始に向けて準備を進めていく予定であると聞いている。
これに合わせて、半田市は、国の交付金を活用しながら、新病院周辺の道路整備を進め、知多横断道路の緊急退出路から新病院へのアクセス道路となる市道宝来神代1号線につきましては、2024年7月に現況幅員が6メートルの道路を10メートルまで拡幅する工事に着工し、本年2月に整備を完了している。
また、新病院南側で東西に接する市道横山1号線などについても、2022年11月から道路拡幅や片側歩道の設置、松堀町交差点の右折帯設置工事を行い、2024年10月に整備を完了している。
さらに、名鉄河和線植大駅南側付近で接続する半田市道と阿久比町道についても、半田市北東部方面からのアクセスルートとして、半田市と阿久比町が県の市町村土木事業費補助金を活用しながら、施工、費用負担などで協力し、2023年度から工事を進めている。
工事内容は、緊急車両が常時円滑に通行できるよう、名鉄河和線橋梁下の道路の盤下げや二級河川阿久比川に架かる島田橋の耐震補強、それと、道路拡幅を行うものであり、今月17日には工事が完了すると聞いている。
知多横断道路における緊急退出路
新半田病院の開院に向けたアクセス道路の整備状況について、理解した。
次に、広域的な交通の円滑化という観点では、半田市と隣接する市町との連携を強化する都市計画道路ネットワークの充実が大変重要である。都市計画道路環状線は、衣浦港の臨海工業地帯から半田市乙川地区や阿久比町との市境を通過し、さらに武豊町に至る道路で、半田市中心部への通過交通を迂回させ、渋滞を緩和するなど交通の円滑化を図ることが重要な道路である。
このうち、阿久比町を南北に流れる二級河川阿久比川から県道碧南半田常滑線の南吉記念館東交差点までの区間が未整備である。この区間は、東から二級河川阿久比川、名鉄河和線、県道阿久比半田線が近接して位置しており、その交差方法の検討のほか、二級河川矢勝川の彼岸花の観光名所に配慮する必要があるなど、様々な課題があることは承知しているが、この都市計画道路の重要性を鑑みれば、これらの課題解決に向けて検討を進める必要があると考える。そこで、都市計画道路環状線の現在の取組状況について伺う。
【理事者】
都市計画道路環状線のうち、阿久比町から半田市にかけての未開通区間、約1.5キロメートル区間は、幅員25メートル、4車線の計画となっており、名鉄河和線との立体交差化や、阿久比川、矢勝川に架かる橋梁整備が必要となるなど、相当な期間を要する大規模な事業となることが見込まれる。
このうち、名鉄河和線交差部については、現在の都市計画は道路が鉄道を上越しする立体交差の計画となっているものの、西側に建設する県道阿久比半田線と本線が平面交差することが困難であるなど、課題のある計画となっている。
このため、鉄道と県道阿久比半田線を一連で立体交差化した上で、阿久比半田線とはランプ形式や側道形式で接続する案を検討してきた。
その結果、ランプの形が複雑になることや、側道が急勾配となるなどの道路構造的な課題や、立体交差部沿線では本線に直接乗入れができないなどの土地利用上の課題があることを確認している。
また、矢勝川渡河部においては、一般的な橋梁計画の場合には、両岸の彼岸花散策路や自転車道に対しての影響が懸念されることから、回避する方法について検討を行ってきた。散策路や自転車道をそのままの形で残す場合には、橋梁を架ける位置を通常よりも高くする必要があり、これにより橋梁延長が長くなるため、すぐ南に近接する南吉記念館東交差点との接続が困難となることや、景観に課題があることを確認している。
こうした課題の整理・確認については、本県と半田市、阿久比町との実務者レベルでの勉強会を開催しながら取り組んでおり、昨年度は3回、今年度も3回開催している。
今年度実施した勉強会においては、矢勝川周辺の景観等に対して考慮すべき事項などについて、新美南吉記念館館長へのヒアリングを実施し、矢勝川の北に位置する権現山や田園風景への景観配慮、矢勝川両岸の回遊性・連続性の機能の確保などの意見を聴いている。
今後も引き続き、半田市、阿久比町と一緒になって検討を深め、名鉄河和線との交差部のほか、矢勝川交差部における構造や周辺土地利用などの課題の整理に取り組んでいく。
【委員】
名岐道路は、名古屋都市圏と岐阜都市圏を結ぶ全体計画延長約10キロメートルの高規格道路で、慢性的で著しい交通渋滞となっている国道22号及び名古屋高速一宮インターチェンジから一宮ジャンクション間の渋滞緩和に大きく寄与するものであり、また、名古屋市、一宮市、岐阜県等の連携・交流の促進に欠かせない道路である。
平成29年に国の調査費が計上されてから様々な調査が行われ、区間は先ほどの約10キロメートルのうち、名古屋高速道路一宮線の終点出口となっている箇所から北へ、東海北陸自動車道の一宮木曽川インターチェンジまでの約7キロメートル区間にすること、あるいは道路の構造は現国道22号の上を走る高架構造にすることなどが決められている。
そして、令和2年からは愛知県が主体となり、都市計画及び環境影響評価の手続を進めており、昨年10月にその都市計画が決定された。
今週の火曜日3月11日には、国土交通省中部地方整備局において社会資本整備審議会・道路分科会・中部地方小委員会が開催され、名岐道路の令和7年度予算に係る道路事業の新規事業採択時評価についての意見聴取が行われ、結果は、事業化については妥当であると示されており、まさに名岐道路の来年度の事業化が近づいているものと期待している。
そこで、今後、名岐道路はどのような手続等を経て新規事業化され、整備が進められていくのか伺う。
【理事者】
3月11日に開催された中部地方小委員会において、名岐道路の事業化について妥当とされたことから、ほかの事例を踏まえると、次は本省で行われる社会資本整備審議会・事業評価部会にて新規事業化が妥当と判断されれば、新年度予算の成立をもって公共事業として新規事業化に至ることとなる。
また、本道路の整備については、令和2年2月の、中京圏の新たな高速道路料金に関する具体方針案において、名古屋高速道路公社を事業主体とすることを前提としつつ、税負担も活用する方針とされていることから、公共事業として新規事業化された後には、名古屋高速道路公社による有料道路事業としての事業化に向けて取り組んでいくこととなる。
本県としても、国はじめ関係機関と連携し、早期の有料道路事業化に取り組むとともに、市はじめ地元の協議会・同盟会とともに、早期整備を国に対して働きかけていく。
【委員】
名岐道路の事業化に向けての展開について理解した。
公共事業化がなされ、その後に有料道路事業化がされるという話であり、その後には調査・測量・設計という段階を経て工事へと進んでいくものと思われるが、地元の期待は大変高く、整備効果も高い路線であるので、一日でも早い完成を目指して取り組んでもらいたい。
二番目の質問であるが、本道路の整備効果を高めていくためには、当然ながら名岐道路の建設を進めるだけでなく、この名岐道路に新設される出入口へのアクセス道路をはじめとする関連道路の整備が極めて重要である。
国道22号と現在交差している多数の道路、特に幹線道路となる国道、県道における渋滞は現在も課題であり、名岐道路の整備によりさらなる渋滞が発生すれば、生活道路に多くの交通が流入し、交通安全の上からも問題が発生することが懸念される。
こうした課題に対応するためには、国道22号に交差する未整備の都市計画道路について、名岐道路の建設と並行して整備していくことが肝要である。具体的には、名岐道路に新設される両郷町・常願通地区の出入口付近で交差する都市計画道路北尾張中央道と、同じく新設される高田、佐千原地区の出入口付近で交差する都市計画道路今伊勢三ツ井線の整備が必要である。
そこで、国道22号と交差するこれら二つの都市計画道路の整備について、県としてどのように取り組んでいくのか、現状と今後の取組を伺う。
【理事者】
まず、都市計画道路北尾張中央道については、国道22号との交差部から西側約0.6キロメートルの区間の整備を、また、都市計画道路今伊勢三ツ井線については、国道22号と交差する約0.8キロメートルの区間の整備を行う。
これら2路線については、名岐道路と併せて、幅員等を変更する都市計画決定を行っており、また、いずれの事業についても来年度の新規事業化についての事業評価の手続を今年度完了させている。
このため、来年度には、用地測量の着手を予定しており、その後、早期に用地買収に着手できるよう、一宮市と連携し取り組んでいく。
【委員】
名岐道路の整備効果を高めるために、これら幹線県道の整備にも注力してもらうことを改めて要望する。
【委員】
公共施設の老朽化については、各委員が触れていたが、前回の委員会でも公共施設の老朽化、特に県営都市公園の老朽化について質疑があった。
県内に11箇所ある県営都市公園は、完成がほぼ同じ時期であり、現在どこの公園も同様に老朽化が進んでいることを述べた。そして答弁では、長期の計画を立てて、老朽化が激しいところから修繕を行うとあった。
一点細かいところを確認するが、公園にある利用者が休むベンチ、高齢者が休憩したり、お昼ごはんを食べるときに利用したりするベンチについてである。現在、木材を活用してベンチ等を作成、加工して整備しているが、大分老朽化が激しい。また、傷みが激しく、塗装もできず腐っているものもあった。また、利用できないようにフェンスやポールで囲まれていたベンチや、足が引っ掛かってけがをしてしまうようなベンチも幾つか見たりした。
県内の県営都市公園を維持管理及び整備し、限られた予算を有効に活用する中で、上手に民間の活力を利用してベンチを維持修繕していく考え方も必要だと思っている。
愛知県の都市公園ではなく、県内の市が運営している都市公園のベンチには、団体や企業がプレートに名前を入れベンチを寄附する制度がある。企業や団体は社会貢献活動の一環として、ベンチに自社の名前が入っていることで、愛着を持ってもらえ、とてもよい仕組みだと思う。
県営都市公園では今までベンチに対してそういった取組はなく、自民党愛知県議員団からもそのような提案をした。この点について、現状の県の取組、またその考えが進んでいるようであれば、具体的に伺う。
【理事者】
寄附によるベンチの設置については、他の自治体で類似の取組事例がないか調査したところ、東京都や名古屋市などが一般社団法人日本公園施設業協会と連携して、寄附によるベンチ設置事業に取り組んでいることが分かった。
そこで、一般社団法人日本公園施設業協会に、その内容についてヒアリングしたところ、以前から自治体に協力する形で民間からの寄附により公園施設の整備を行う事業を展開しているとのことであった。
これを受け、早期実現に向けて双方で協議を続けてきた結果、現在は最後の詰めの段階であり、まもなく調整が整い、具体の取組内容について報告できる見通しである。
このように、寄附によるベンチの設置について、しっかり対応していくのはもちろんのこと、併せて指摘を受けた老朽化した施設の修繕・更新も、来年度から予算規模を拡充して計画的に実施していく。
県としては、県民が安全かつ安心に、また、公園に愛着をもって利用していただけるよう公園施設の老朽化対策に着実に取り組んでいく。
【委員】
もう一点県民の生命・財産を守る点において、砂防関係施設の老朽化について伺う。
我が地域においても、一昨年の6月2日の豪雨で土砂の流出や、河川の越水があった。やはり山の近くに住んでいる人は、砂防のありがたさを感じていると思う。地元から要望を受け、砂防の現状を確認するため、山の中に入ると、大分老朽化している部分があった。この老朽化について県全体でしっかり対策できているのかについて伺う。
これから台風や地震、集中豪雨など、それぞれの災害が発生した際に県民の生命・財産を守る砂防関係施設の老朽化対策をどのように進めているのか、県の考え方を伺う。
【理事者】
砂防関係施設の老朽化対策については、2015年度から全ての施設を対象に点検を行い、2018年度に策定した砂防関係施設長寿命化計画に基づいて実施している。
この計画では、特に土石流や崖崩れから人命を守る施設、砂防堰堤、地すべり防止施設及び急傾斜地崩壊防止施設を早期に予防保全型の管理に移行することとしており、その対象となる施設は約1,800箇所ある。
このうち、約400箇所の施設で緊急的な修繕が必要な状況であるため、2022年度に国の補助事業として創設された砂防メンテナンス事業を活用し、2027年度の完了を目標に修繕工事を進めている。
【委員】
ぜひ、国の補助も活用しながら砂防メンテナンス事業について、2027年度の完了に向け、しっかりと積極的に進めてもらいたい。
しかしながら、砂防の護岸について、なかなか維持管理ができていないのが現状である。
川の中にある波消しブロックも、集中豪雨や台風のときには流れ、下流でたまってしまう。そうすると、水の流れが変わったり、護岸に傷をつけてしまったりする。通常の維持管理を行うことによって、壊れてから護岸の改修を行うよりも、壊れないために日頃どのように点検して、維持修繕、維持管理を行っていくのかという視点が必要である。
担当課に確認すると、なかなかそこまで手が届いていないとのことであった。もちろん住宅の多い市内に流れている県管理の河川の維持管理をやるべきだと思うが、砂防の護岸も生命・財産を守ることにつながるため、砂防護岸もしっかりと予算づけをしてほしい。例えば国の補助事業である砂防メンテナンス事業を活用できる仕組みにして、維持管理を行っていく必要があると考えるが、護岸の老朽化対策をどのように進めているのか伺う。
【理事者】
砂防事業で整備した護岸は総延長約700キロメートルあるが、そのうち約150キロメートルで老朽化対策が必要となっている。
現在は、損傷の大きいものから順に単独事業により修繕工事を実施しているが、全ての工事を完了するには、まだまだ多くの費用と時間が必要な状況である。
こうした中で砂防堰堤等の緊急的な修繕にめどが立ってきたため、まずは、来年度、砂防関係施設長寿命化計画に護岸を位置づけ、砂防メンテナンス事業を活用し、老朽化対策を加速させていく。
【委員】
次に、これから地域をどうやって盛り上げていくのかについて、先ほど委員も名豊道路、国道23号について質問していた。
東三河のみならず、この愛知県全体がこの名豊道路を通じて一つになった、大きな出来事が3月8日の全線開通であると思う。我が地域においても、大きな効果が出てきており、地元において景色が変わった大きな出来事であった。
我が地域では、三河港が大きな位置づけにあり、完成自動車の輸入については31年連続日本一である。また、輸出についても全国第2位であり。そして、三河港と豊川インターチェンジを結ぶ東三河環状線という道路がある。三河港から東三河環状線を通って、国道23号名豊バイパスの為当インターチェンジを通過する。その先では、新たに愛知県企業庁が、豊川白鳥地区の企業団地をこれから整備していく予定である。
東三河環状線は、国道23号が全線開通したことによって、大変重要な路線となった。
今まで片道1車線であった東三河環状線の野口工区が、4車線化の工事を終えて、開通できたのが昨日の夕刻であった。その野口工区の先、大崎工区も供用開始され、その先の三蔵子工区から豊川インターチェンジに至るまでの一部の区間が現状、未開通となっている。その先、この路線をずっと真っすぐ東に走り、豊川のインターチェンジを越していくと当古工区があり、こちらも真っすぐつながると、豊橋市とつながる道路ができる。
まさしく東三河が一体となる重要な路線であるので、東三河環状線についての現状、また今後の取組、特に豊橋市ともつながる豊川の橋の状況等を伺う。
【理事者】
東三河環状線の現在事業中の区間についてである。
国道1号をまたぐ白鳥高架橋の東側の約2.7キロメートルの区間については、昨年度、西側から4車線化工事に着手し、昨日3月13日に約950メートルが4車線で通行できるようになった。引き続き、残る区間の工事進捗を図っていく。
次に、その東側の区間である大崎町から三蔵子町の約1.3キロメートル区間のバイパスの整備のうち、用地については、今年度2件の大型物件の契約ができた。引き続き、残り4件の用地買収を進めていく。工事については、二級河川佐奈川を越える橋梁の下部工本体を施工しており、引き続き道路築造工事を進めていく。
また、豊川市から豊橋市へ至り、一級河川豊川をまたぐ橋梁整備を含む約2.4キロメートル区間のバイパス整備については、埋蔵文化財調査が必要な豊橋市側から用地買収に着手しており、昨年度からは、豊川市側でも用地買収を進め、区間全体へ用地買収を行っている。
また、豊川を渡る橋梁については、河川管理者と協議を重ね、今年度河川内の下部工の配置が決定できた。引き続き、これを踏まえた橋梁の詳細な設計に着手していく。
さらに、豊橋市側の国道362号と交差する橋梁の設計にも着手していく。引き続き、東三河環状線の事業中区間が早期に開通できるよう事業進捗を図っていく。
【委員】
三河港を中心とした道路網は、国道23号名豊バイパス、新東名高速道路、東名高速道路があり、東西軸が大変強くなってきた。
そしてこれからは縦軸、南北軸として三遠南信自動車道と、浜松湖西豊橋道路の整備が進みつつあり、我が地域において、三河港が日本のへそとなるような整備を進めてもらっていると思う。また、そういう目標を持ちながら事業を進めていかなくてはいけない。
海運業も、かつてないほど好景気で、貨物量が世界的に多くなっている中で、三河港の状況について伺う。まず、三河港の現状の取扱貨物量のうち、完成自動車、コンテナ貨物についてと、その評価についても伺う。
【理事者】
三河港の総貨物量は、2023年が2,323.8万トンで、その約7割が完成自動車である。
総貨物量、完成自動車とも新型コロナウイルスの影響で、ここ3年ほどは少なくなっていたが、おおむねコロナ前の水準に回復した。
コンテナ貨物については、2023年がピーク時の2014年の約3分の1にとどまっており、ここ4年ほどは同水準で推移している。コンテナ貨物の回復への取組が喫緊の課題となっている。
【委員】
三河港について、先ほど日本のへそになっていけばよいという話をしたが、三河港の全国的な位置づけと、三河港の特徴について伺う。
【理事者】
総貨物量については、最新の統計で全国34位、東海地域では名古屋港、四日市港、衣浦港に次ぐ第4位であり、港湾法上格上である清水港よりも上位にある。
完成自動車については、輸入自動車が31年連続全国1位、輸出自動車が名古屋港に次いで、全国2位となっており、完成自動車の輸出入に非常な強みを有しているというのが三河港の特徴である。
【委員】
完成自動車は、三河港の総貨物の7割とあったが、三河港の強みである完成自動車をさらに増やしていくことは重要だと思う。効率性・安全性に優れたコンテナ貨物は、世界の海運において、今後も取扱量の増大が見込まれており、三河港に入港する船を増やし、世界的な評価を上げていくために、完成自動車にとどまらず、コンテナ貨物の増加を図っていくことが重要だと思う。
ピーク時の2014年と比較すると、コンテナ量が3分の1まで低下しているが、今後改善していくために、どのような取組が必要であるのか伺う。
【理事者】
現在、野積場の改良等、コンテナターミナルの機能向上を進めているが、近年はコンテナ船の大型化が進んでいるため、ガントリークレーンなどの港湾施設のさらなる機能強化が必要になる。
同時に、東三河のみならず、さらに広域から貨物を三河港に集約するため、ターゲットを絞るなど、戦略的な振興策を行うことも重要である。
【委員】
三河港振興に取り組んでいる組織として、三河港振興会という組織がある。これはどういった組織であるのか、どこにあって、どのような活動をしている組織なのか伺う。
【理事者】
三河港振興会は、三河港の振興、整備促進等に寄与するため、三河港の関係自治体及び経済界において1969年に設立された団体である。
会長は豊橋市長で、事務局も豊橋市が担っている。愛知県は顧問という立場で、アドバイスや事業への協力を行っている。
【委員】
三河港振興会が具体的にどのようなことを行っているのか伺う。
【理事者】
三河港振興会が行っている主な事業としては、コンテナ貨物や自動車の輸出入に対する助成金などのインセンティブ制度の実施や、航路誘致のための海外へのポートセールス、三河港に貨物を集めるためのプロモーション活動であるポートセミナーなどである。
【委員】
三河港は、豊橋市だけではなくて、田原市、豊川市、蒲郡市にも港域は広がっており、それぞれの特徴がある。また、製造業をはじめ、様々な企業が立地し、産業活動を営んでいる。
三河港振興会は、豊橋市の中に事務局を置いて、今まで海外へのプロモーションや企業との連携を行っており、その中の県の役割が大変重要だと思う。
今、県は三河港振興会の顧問と答弁があったが、道路の整備状況も整ってきており、また為当インターチェンジ周辺に新たな企業団地も整備されるなど、これからも三河港の活用が重要である。周辺自治体が元気になっていくために、三河港の活用、また海外へのPR等、県が積極的に取り組んでいかなくてはならないタイミングであると思う。
残念ながら東三河地域は人口減少のスピードが速い地域であると本会議場で答弁があった。これから経済が回っていく右肩上がりのイメージ像を県が主導して、三河港を一つの核として、地域全体を盛り上げる気持ちを持って取り組んでもらいたい。
そこで、これまで以上にリーダーシップを取って経済界と国と連携して、三河港の競争力を高めるための、県としてこれまでの三河港振興への取組と今後の取組の姿勢を伺う。
【理事者】
県はこれまで海外航路等セールスなど、三河港振興会の事業への協力に加え、独自の振興策も行ってきた。物流を支える港湾施設を整備するとともに、新規コンテナ航路の入港料等を免除するインセンティブ制度を設け、航路誘致に取り組んだほか、テーマを決めて港の振興策を検討する三河港利用促進調査を毎年実施し、県や三河港振興会の施策に反映してきた。
今後については、まずは、コンテナ船の大型化に対応するため、ガントリークレーンの機能アップを進めていく。また、完成自動車の保管場所不足を解消するため、立体モータープールなどの対応策を比較検討し、解決に取り組んでいく。
さらに、三河港振興に関する検討会を立ち上げ、地元自治体、経済界とともに、広域から三河港に貨物を集めるための手法や振興体制などを議論し、より効果的な振興策を進めていく。
【理事者】
三河港振興の重要性については、県としても十分に認識している。
本年2月には、地元自治体や経済界と5年ぶりとなるポートセールスを、三河港振興会主催の下、韓国で実施し、三河港の利用や定期航路の拡充をアピールするとともに、現場の生の声を聞き取りし、そのニーズと振興のための課題、管理者である県の役割の重要性を改めて確認した。
現在、県では、三河港港湾計画の改訂作業を進めており、その中で官民一体となった効率的な運営体制の構築に取り組むことを位置づけていく。
まずは、来年度立ち上げる検討会において、県に対する期待など、地元自治体、経済界の声をよく聞きながら、これまで以上に県がリーダーシップを取って、三河港の振興に取り組んでいく。
【委員】
今まで以上に県がリーダーシップを持って取り組んでくれることを期待している。
三河港の臨海用地の造成は県が行っており、三河港の環境問題についても県の役割が大きい。
今触れたように、将来に向けた港湾計画を策定しており、策定するに当たってコンテナの数や、貿易の額が大変重要になってくる。そういったものも踏まえ、県としてはしっかりと取り組んでもらいたい。
さらに、海外の港湾で三河港のような特徴を有する港湾・自治体と連携を図るなど、三河港の魅力を世界に向けて発信しながら、港同士の文化や人、経済交流を図って、港を核とした地域の活性化にも併せて取り組んでもらいたい。
その流れで提案だが、名古屋港などの大規模な港湾はもとより、例えば清水港、四日市港、千葉港、北九州港も海外に姉妹港を持っている。
現在の三河港は、友好、また姉妹提携港を海外に持っているわけではないので、そういった発想もぜひ持ってもらいたい。
また、輸入・輸出について自動車の話があったが、関連する企業が三河港周辺に集積しているので、ぜひそういった企業にも集まってもらい、シンポジウムを開いて、三河港をどのように戦略的に発展させていくか議論してもらうことも重要であるし、それはPRにつながると思う。
三河港の発展に向けた重要な役割を担うことができるのは、やはり私は、県だと思う。これまで以上に三河港の発展、競争力の強化への県の積極的な取組を要望する。
【委員】
建築物の木造・木質化については、自民党愛知県議員団としてプロジェクトチームを立ち上げて、2021年に皆さんの協力の下、議員立法で愛知県木材利用促進条例を提案して、2022年の4月から施行された。条例では、県が整備する建築物において、率先して県産木材の利用に努めることなどとされている。
一方、県では、副知事を座長とする愛知県木材利用促進連絡会議で、全庁を挙げて木材利用を推進しており、2024年4月にはこの連絡会議において、県の公共建築物について木造・木質化を推進する建物の具体的な基準等を明示した運用基準を策定している。
そこで、この運用基準をまとめるに当たり、県有施設の建築工事の技術面を所管する部署として、どのように関わったのか伺う。
【理事者】
運用基準をまとめるに当たり、公共建築課は、法規制やこれまでの実績を踏まえ、木造化すべき建築物の施設規模としては、2階建て以下かつ延べ床面積1,000平方メートル未満、また、木造化になじまない建築物の用途としては、風雨に対する耐久性が特に求められる渡り廊下を例示するなど、技術的な見地から策定に関わった。
【委員】
県有施設の整備に当たり、木造・木質化はどのような手順で取り組むのか。
【理事者】
県有施設の整備は、企画検討を行う基本的な方針から始まり、基本設計、実施設計、工事の各段階がある。とりわけ、施設の木造・木質化を決定するプロセスで重要なのは、施設に必要な機能や面積、空間などを把握している施設所管局によりまとめられる基本的方針である。
このため、基本的な方針をまとめるに当たり、公共建築課では、木造・木質化に係る情報提供を含め、技術的な助言を行っている。
また、公共建築課は、基本設計、実施設計及び工事の各段階においても、県有施設のさらなる木造・木質化に取り組んでいる。
【委員】
本年度の県有施設の木造・木質化の実績について伺う。
【理事者】
本年度、総合教育センター及び栽培漁業センターの2施設で、それぞれ平屋建て、約600平米の計2棟を木造建築物として発注した。
また、小牧特別支援学校において、教室の腰壁を杉板材、床を桜材のフローリングとするなど、県有施設の建築工事の全てで木質化を盛り込んだ。
【委員】
木造・木質化について、既にいろいろ取り組んでいることは承知した。
さらに、県有施設の木造・木質化を進めるための課題は何であると認識しているのか、また、課題を踏まえてどのように今後取り組んでいくのか伺う。
【理事者】
施設所管局による基本的な方針のまとめの段階において、公共建築課からの技術的な助言が木造・木質化につながっていない場合があることが明らかとなった。
これは、現在の公共建築課による技術的な助言が、施設の規模や用途に合わせた先進事例等を中心としており、当該基本的な方針の取りまとめへの具体的な反映のさせ方が分かりにくいことに起因していると考えている。
このため、引き続き先進事例や参考事例の収集・分析を行うとともに、得られた情報を規模や用途、必要とされる機能に応じて、分かりやすく分類・整理を行い、それぞれの施設に適した情報を提供できるようにする。
このことにより、施設所管局がその情報を基本的な方針の取りまとめに活用することが期待される。
また、分類・整理された情報は、公共建築課における設計や工事にも活用していく。
さらに、こうした取組に合わせて、設計や施工に係る建築関係団体との意見交換を行っていく。
引き続き、県有施設の木造・木質化が推進されるように取り組んでいく。
【委員】
やはり木の持っている温もりはストロングポイントであると思うので、規模や用途、機能等でいろいろあると思うが、これからも積極的に取り組んでもらうよう要望する。
【委員】
愛知環状鉄道のバリアフリー化について伺う。
愛知環状鉄道は、旧国鉄時代に岡多線として西三河から尾張北東部地域に連なる中核都市を結ぶとともに、東海道本線と中央本線に接続して、名古屋圏において環状機能を有する重要な鉄道として、昭和40年に着工された。
昭和45年10月には、岡崎駅、北野桝塚駅間で貨物営業が開始され、昭和51年4月には、岡崎駅、新豊田駅間で旅客営業が開始された。この間も整備促進がなされ、残る新豊田駅、高蔵寺駅間の工事もほぼ完成にこぎ着け、全線開業が目前となってきたところで、国鉄の経営状況悪化に伴う再建対策の中で、昭和61年5月に第3次特定地方交通線として、岡多線も廃止対象路線となったという厳しい状況があった。
こうしたことを受けながら、愛知県と岡崎市、瀬戸市、春日井市、豊田市の沿線4市が中心となって協議を重ねてきた結果、この岡多線の沿線は既に開業を見越して、多くの工業団地や住宅団地のほか、大学、高校等が数多く立地してきた経緯もあり、発展が大きく期待されていたために、愛知県の効率的な交通体系に不可欠な鉄道であるとして、県及び沿線4市が第三セクター方式で、愛知環状鉄道株式会社を設立して、昭和63年1月、この路線を引き継いで開業した。
開業後は、乗降客も順調に伸び、2005年の日本国際博覧会のときには、1,800万人を超える人を輸送し、その後も右肩上がりで輸送人員も増やしながら経営している。
しかし、愛知環状鉄道は昨今非常に経営環境も厳しくなっており、その大きな原因が、いわゆる旧国鉄時代に整備された路線であるために、老朽化対策等に非常に多額な資金が要ることで、輸送に対する安全にしっかりと配慮しながら経営を続けてきている。
令和2年には、コロナ禍で輸送人員も大幅に減少したが、その後少しずつではあるが、輸送人員を戻している。なお、令和5年度の決算の状況を見ると、輸送人員は1,624万人、対前年比109.3パーセントであり、なかなか収益的にはまだまだ厳しい状況が続いている。
こうしたことを受け、愛知県はじめ沿線市町も様々な支援し、このような現状となっている。
経営の支援というのは、しっかりと支えることがもちろん大切なことであるが、乗降客の利便性を確保することも非常に大切なことである。この間、愛知環状鉄道のICカード化等も愛知県も含めて沿線市町で支援して、非常に利便性の向上が図られたが、つい先日の私の地元である瀬戸市と岡崎市が、自民党愛知県議員団に対して愛知環状鉄道の中水野駅、瀬戸口駅、それから中岡崎駅のバリアフリー化整備に向けた協力支援の要望を行った。
愛知環状鉄道のバリアフリー化については、順次進められてきたと認識しているが、先ほども言ったように、経営状況が非常に厳しい環境下にあり、現在、バリアフリー化の整備が滞っていると考えている。
そこで、愛知環状鉄道のバリアフリー化整備の現状について伺う。
【理事者】
鉄道駅のバリアフリー化に関しては、国が高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律、いわゆるバリアフリー法に基づく基本方針において、1日の利用者が3,000人以上の駅においては、原則整備することを努力目標として定めるとともに、国・地方自治体が3分の1ずつ補助する支援制度を設け、整備を推進している。
愛知環状鉄道においても、1日の利用者が3,000人以上の駅に関しては、コロナ禍前まで、国の補助を活用するなどにより、エレベーターの整備が順次進められてきた。
その結果、10駅中7駅に整備がなされ、残る中水野駅、瀬戸口駅、中岡崎駅の3駅については、コロナ禍により経営が厳しい状況となったことから、現状では未整備となっている。
瀬戸市駅エレベーター
国は、鉄道駅のバリアフリー化を加速するために、地方自治体がバリアフリー基本構想を策定した場合には、国の補助率を従来の3分の1から2分の1にかさ上げして、事業者の負担なしに国と地方自治体、2分の1ずつの負担で整備できるようになった。
瀬戸市と岡崎市の両市は、中水野駅、瀬戸口駅、中岡崎駅の3駅について、このメニューを活用することで、バリアフリー化を進めていきたいとしており、県にも地方自治体の負担分について支援してほしいという要望であった。
愛知環状鉄道は、高架区間を多く運行する鉄道であることから、バリアフリー未整備の駅においては、高齢者や障害者だけでなく、ベビーカーを利用する子育て家族にも非常に不便をかけていることは容易に想像がされる。
そこで、愛知環状鉄道は、県が出資する第3セクターの鉄道であるとともに、JR中央線高蔵寺駅とJR東海道線岡崎駅を結ぶ広域ネットワークを形成する公共交通であることから、県も積極的に変わっていく必要があると思うが、3駅のバリアフリー化について、県はどのように認識して、今後どのように取り組んでいくのか伺う。
【理事者】
鉄道駅のバリアフリー化は、高齢者や障害者を含めたあらゆる人が活力ある日常生活を送り、社会活動に参加できるユニバーサル社会の実現に向けて重要な課題である。
そうした中、国はバリアフリー化を加速するよう、市町村がバリアフリー基本構想において、生活関連施設に位置づけた駅については、事業者負担なしに整備できるように補助制度を拡充した。
こうしたことから、中水野駅、瀬戸口駅、中岡崎駅の3駅についても早急に整備される必要があると認識している。県としては、これまでバリアフリー整備が国・地元市・鉄道事業者それぞれ3分の1負担により整備されてきた経緯や、愛環の経営状況を踏まえるとともに、県内のほかの市町村の意向や他県の状況なども考慮する必要がある。
いずれにしても、国が補助制度を拡充した趣旨を踏まえ、全ての県民が安心して鉄道を利用できるよう県の関わりについて検討していく。
【委員】
国が制度を拡充した趣旨も踏まえて、安心して利用できるように県の関わりについて検討していくという答弁であった。
繰り返しになるが、これからは高齢化が加速し、鉄道を利用することができないことにより外出の機会が減れば、医療費が増えていくという因果関係もある。また、愛知県として、今、積極的に婚活イベントも含めて、少しでも若者が住みやすい、また子育てがしやすいまちづくりに取り組んでいる。
そういう意味で、やはり活力ある町を維持・形成していくためには、しっかりとした県の関わりが必要になってくると思う。国のメニューは、国が2分の1、自治体が2分の1であるが、財政力が乏しい自治体もあり、しっかりと県が支援していけるようなスキームづくりが必要である。愛知県も地方自治体であり、何より愛知環状鉄道の最大の出資者でもあることから、ぜひとも前向きかつ早急にこのスキームをしっかりとつくってもらうよう要望する。
【委員】
来る5月の臨時議会において、所属する委員会が変更となるので、本日の令和7年2月定例愛知県議会の建設委員会をもって一区切りとなる。
私は、この1年間は建設委員として、幾多にわたり質疑を行い、理事者には改善に向け、一つ一つ真剣に取り組んでもらった。この席に出席している理事者の中には、議員の指摘はよく理解できるが、それらの問題は適切な予算措置さえあれば早急の解決ができる案件であり、何も気がつかずに放置していたわけではないと思う。
予算も人員も不足する中で、懸命に仕事に取り組んでいる職員の努力に、率直に感謝申し上げる。立場上、責任のある人には、現場の実情を知るとともに、予算の確保が難しいことを理由に、課題の解決を先送りするのではなく、厳しい財政状況を理解しているが、一層の努力をしてもらい、財政当局と交渉してもらうことを要望する。
県営住宅の課題について確認する。
初めに、県営住宅の改修・改善について伺う。
私の地元、名古屋市名東区にある県営高針住宅は、建設から50年が経過している。公表はされていないが、20年や25年に1度は外壁工事の改修も含めた大改修工事を行うとした定めを明記した内部資料がある。これは、かつては愛知県でも外壁塗装、屋上防水など計画的に実施していた時代があったということである。
すなわち、県営住宅では、予防保全的な維持管理をしていた。しかし、国が実施した平成8年の公営住宅法の改正により、県営住宅は家賃の大幅な値下げとなり、県の家賃収入が減り、計画的な修繕ができなくなった。
そこで、法改正による家賃の減額の詳細と、年間でどれだけの減収になったのか伺う。
【理事者】
県営住宅の家賃は、平成8年の公営住宅法の改正によって、家賃制度が改正され、平成10年度の家賃算定からは、住宅の建設に要した費用から補助金相当額を除いた額を原価とし、その原価を上限として家賃を決定する法定限度額方式としていたものを、入居者の収入による負担能力である応能と住宅の立地、規模等の住宅から受ける便益である応益により家賃を決定する応能応益方式となり、入居者の家賃が見直されることとなった。
具体的な応能応益方式の家賃算定方法は、国が定める入居者の収入区分ごとの家賃算定基礎額に住宅が立地する市町村の立地係数、入居する住戸の専用床面積の規模係数、建設した年度からの経過年数係数及び住宅のある区域とその周辺の状況による利便性係数から成る応益係数を乗じて、入居者ごとに家賃を算定している。
家賃制度の改正による家賃減収については、法改正前の法定限度額を家賃額としていた平成9年度予算での家賃収入は約224億円が計上されていた。しかし、入居者数の減少もあり、令和7年度予算の家賃収入では、約121億円の計上と、平成9年度予算に比べ、約103億円の減となっている。
【委員】
県営住宅は、一般会計で整備したときの借金の返済や維持管理費用を家賃収入で賄うことから、特別会計を設けて処理しているが、法改正によってこれだけ家賃収入が減っていれば、県営住宅の計画的予防修繕は、家賃収入だけでは実に困難であることを理解した。
一方で、名古屋市の市営住宅を見ると、20年目をめどに計画的に住宅の大改修が行われている。法改正によって、家賃収入が減ったのは、名古屋市も同じである。なぜ、名古屋市は計画的な改修することができるのか伺う。
県営住宅と名古屋市営住宅とでは、何が違うのか。なぜ家賃に格差があるのか伺う。
【理事者】
公営住宅法に基づく名古屋市営住宅の家賃についても、県営住宅と同様に応能応益方式による家賃となっている。
しかしながら、国が市町村ごとに定める立地係数は、名古屋市の係数は1.1であるが、名古屋市以外の県内の市町村は0.7から0.95となっており、3分の2が名古屋市以外の市町村にある県営住宅は、名古屋市営住宅に比べ、立地係数は低いものとなり、家賃収入に差が出ることとなる。
市町村立地係数の違いなどにより、名古屋市営住宅とは、維持管理費用に充てることができる財源に違いがある。
【委員】
国も、法改正に合わせて民間賃貸住宅に置き換えた場合の家賃との差額を補助する制度をつくったが、この補助制度は、国の三位一体改革によって、税源移譲の対象となって、その分は県の税収に上乗せされた。税源移譲された分は、本来一般会計から県営住宅の特別会計に繰入れされるべきものであった。
予算に関する説明書を見ると、令和7年度の一般会計から県営住宅の特別会計への繰入金は15億円しかない。どう考えても家賃の減収に見合っておらず、税源移譲された分が県営住宅以外のことに使われているとしか思えない。
名古屋市の市営住宅は20年に1度は改修のメンテナンスを実施していることもあり、名東区の一般住民からは、県営住宅は大変に不評である。
名東区の住民からは、県が手抜きしているからだとの批判の声もある。県営高針住宅もやっと50年目にして、大改修工事が計画的に1棟から5棟への順で始まっている。
名古屋市の市営住宅が20年に1度は改修を行っているのに、なぜ愛知県の県営住宅は、改修ができないのか。20年や25年に1度、県営住宅を改修する定めがあるのに、できていない。この改修・改善は、建物の長寿命化にとって、とても大切だと理解している。
そこで伺う。50年目にして建物の改修・改善となれば、老朽化による大規模な工事となり、かえって工事費が高くなると思う。県当局はどのように考えているのか伺う。
【理事者】
一般に、不具合が発生したときに、原状回復のための修繕等を実施する事後保全に比べ、不具合が発生する前に必要な点検・修繕等を実施する予防保全のほうが中長期的な維持・更新に必要な経費を抑えることができるとされている。
県営住宅については、限られた予算の中で、工事項目を精査しながら改修・改善を実施しており、今後も引き続き長期的視点でコスト意識を持ちながら、長寿命化改善事業と修繕を組み合わせて予防保全に努めている。
【委員】
現在、高針住宅の2棟目の工事が始まっている。外壁工事及び建物の全体の部分改修が行われており、工期は令和7年8月末となっている。ただし、一緒に実施されるはずであった別途発注の給排水工事が三度も入札不調であった。2棟の住民からは、不安の声が出ている状況が続いた。
今年2月の終わり頃に、4回目の入札によって工事業者が決まったとの知らせに住民も安堵している。
そこで、工事する業者がやっと決まった経過を伺う。県当局の懸命な取組を理解するとともに、逆にどんな理由でもってここまで遅延したのか伺う。入札のこれまでの業者の選定方法を検討したからなのか、それとも、予定価格及び工事内容の変更があったからなのか。
【理事者】
工事発注は、地元中小企業の受注機会に配慮しつつ、公正な競争が確保できるようルールを定めており、1回目は地域を名古屋市内に限定し、一般競争入札で行ったが、不調となった。このため、2回目は地域を拡大し、さらに、3回目は指名競争入札に切り替えたが、いずれも不調になった。
業者からのヒアリングや、指名業者の辞退理由を分析すると、技術者が不足しており、現場に技術者を配置することが困難であると分かった。このため、4回目は年度末が近くなり、ほかの工事が終了する時期に工事発注したところ、落札に至ることができた。
また、予定価格は物価変動による見直しをその都度行っている。
【委員】
さらに、外壁工事等の工事を行っている業者による完成と給排水工事業者との連携は大丈夫なのかと心配する住民の声がある。
そこで、県当局は工事過程における異なる業者に対して、どのように関与し、調整しているのか伺う。特に、大幅に遅れて決まった給排水工事業者が外壁工事業者の現場を管理している担当者との協調への指導をどのように考えているのか伺う。
また、給排水工事はいつ頃の完成予定か伺う。
【理事者】
今回の給排水工事についても、建築工事との工程や取り合いなどを考慮した上で発注しているので、技術的には問題ないものと考えている。
今後、両業者と速やかに工事調整を行い、円滑に工事が進むよう管理監督していく。
なお、給排水工事の契約工期は令和8年2月27日までと、建設工事から半年遅れで完成するが、それまでに両工事の調整が必要となる工事を終わらせる。
【委員】
次に、身体障害者世帯向けの住戸改善について伺う。
身体障害者世帯向けの県営住宅は、昭和49年に建設が始まった。現在は、73住宅の194戸がある。この194戸の中で、時代に合わない仕様の住戸が69戸ある。このうち39戸は改善工事が行われたとのさきの12月の建設委員会で答弁があった。未改善である30戸については、入居者の希望等を踏まえ改善工事を検討していくとの答弁があった。
そこで、検討の結果、改善工事の実施はどのように進むのか伺う。
【理事者】
身体障害者向け住戸のうち、和室や風呂場の床面が高くなっている初期の仕様のものについては、床の段差をなくすなどの改善工事は大がかりなものとなるため、入居中は困難である。
このため、まずは空き家となっている身体障害者向けの住戸の改善工事を進めることとし、実施方法などの具体的な検討を行っていく。
【委員】
身体障害者世帯向けの住宅の住民の中には、改善された身体障害者世帯向けの住宅がどのようなものか知らない人もいる。もう少し、県当局側から情報提供するよう求める。もちろん移転による費用や家賃の変更についても、詳細に伝えてもらいたい。
身体障害者世帯向け住宅のうち、未改善が30戸あるが、その30戸の空き状況はどうなっているか伺う。空き家があるならば、住戸改善は早急に行うべきだと考える。
【理事者】
未改善である30戸のうち、現在10戸が空き家となっている。
これらの空き家については、所在地がそれぞれ異なっているため、身体障害者の方からの問合せなどを踏まえつつ、また、現在の公共工事の工事受注状況から、ある程度の工事規模となるよう発注方法を検討し、身体障害者向け住戸改善に取り組んでいく。
【委員】
苦労している身体障害者世帯の住民で、必死に生活している人々に対し、少しでも安心・安全な住宅を届けるという愛こそが大切であると、あえて表明する。
続いて、県営住宅の長寿命化計画の推進について伺う。
9月の県議会の建設委員会でも質問した内容である。昭和40年、50年代の老朽化した県営住宅の建て替えが進んでいないことについてである。空き家が多い県営住宅をどう考えるかについてである。
老朽化した県営住宅について、県は2020年3月に策定した愛知県営住宅長寿命化計画を発表した。そこにはエレベーターが設置されていない老朽化した5階建て以下の中層住宅は、高層住宅に建て替えて、入居者を集約する。さらに老朽化した高層住宅は、大規模な改修、すなわち外壁や屋根及び配管の改修及び段差の解消、手すりの設置等のバリアフリー化をすることで、効果的に長寿命化改善工事を実施するとしている。
そこで、建設から50年が経過した県営住宅で、建て替えの予定が示されていない約7,000戸も含め、来年以降、建て替え事業と長寿命化改善事業と、どう進めていくのか伺う。
また、令和7年度に新たに実施予定の建て替え事業及び長寿命化改善事業はどのような内容なのか伺う。
【理事者】
2020年3月に策定した愛知県営住宅長寿命化計画は、計画期間を2020年度から2029年度までの10年間とし、計画期間中に約6,900戸の建て替えと約4,000戸の長寿命化改善を実施する。
2020年度から今年度までの5年間の実績として、建て替え事業では、3,332戸の既存住宅の用途廃止と、新たに1,496戸の建設を行い、進捗率は約48パーセント。長寿命化改善事業は、1,756戸で、進捗率は約44パーセントとなり、長寿命化計画に基づく事業は、これまでおおむね順調に進捗している。
今後も引き続き、老朽化した住棟の建て替えと長寿命化改善を組み合わせて、事業量の平準化を図ることとし、円滑な事業実施に努めていく。
また、来年度は、老朽化した住宅の建て替え事業として、4住宅、343戸、外壁や屋根、配管等の改修に加え、バリアフリー化を図る長寿命化改善事業として、2住宅、318戸の新規着工を予定している。
【委員】
次は、県営住宅の駐車場について伺う。
かつては、駐車場の利用希望者が多かったので、県営住宅の自治会が付近の民間の土地所有者と交渉し、一括で借上げ契約して、県営住宅内に収容できなかった車を駐車できる場所を確保していた。
その後、公営住宅法が改正され、県が順に駐車場として管理するようになったが、近年の県営住宅の入居者の高齢化によって、入居者は車を所有しなくなり、今ではどこの県営住宅でも駐車マスの空きが見られるようになっている。
そこで、現在、県が管理する駐車場の空きはどのくらいか、何パーセントの空き具合か伺う。
【理事者】
2025年2月1日時点で、県が整備した県営住宅の駐車場は250住宅、3万9,970区画である。このうち契約台数は2万6,278台で、空き区画は1万3,692区画、約34パーセントとなっている。
【委員】
私が調査した結果、県営住宅の駐車場では、車と車の間隔の狭さが目につく。また、住宅によって駐車マスの幅に違いもあった。県が駐車場を整備する場合は、建物と一緒で、設計基準を定め、統一した規格で整備していないのか。
そこで、県が整備する駐車場の駐車マスなどの基準を伺う。また、その変遷はどうなっているか。なぜ、住宅ごとで違うのか伺う。
【理事者】
県営住宅を建設する際の駐車場は、平成30年6月に定められた現行基準では、原則1台の駐車枠の幅を250センチメートル、長さを500センチメートルとし、駐車枠の前面通路の幅を600センチメートルとしている。
なお、駐車場の端の駐車枠は、車両が転回しにくいため、駐車枠の幅を280センチメートルとしている。駐車枠の幅は駐車する車両を一般的な小型乗用車を想定し、当初は225センチメートルとしてたが、高齢の人が増えてきたことから、駐車や扉の開閉のしやすさに配慮し、他の自治体の対応状況を参考にしながら、順次230センチ、250センチメートルと広げてきた。
【委員】
県営住宅の駐車場を借りることができる車は、幅180センチメートル以下、長さ490センチメートル以下に決まっていると聞いている。
そこで、この駐車できる車のサイズの規定は何による基準で、いつから定められたものか伺う。
【理事者】
県が県営住宅の駐車場の管理を開始した平成11年当時は、幅170センチメートル以下、長さ470センチメートル以下の小型自動車、軽自動車が販売される乗用車の多くを占めていた。このことから、駐車できる車のサイズを幅180センチメートル以下、長さ490センチメートル以下とする県営住宅駐車場の整備及び管理に関する要綱を定め、駐車場の申込みに際しては、申込書に駐車する車のサイズを記入してもらっている。
【委員】
今、整備する県営住宅の駐車場は、区画幅が250センチメートルあり、180センチメートル幅の車でも70センチメートルの余裕がある。
しかし、以前に整備した駐車場は、狭いままである。乗り降りする際のドアの開閉や入庫・出庫のときの入居者同士のトラブルが数多く発生している。県営住宅の駐車場には、34パーセントの空きがあるようになってきた。
そこで、空きが目立つ県営住宅で、古い基準で整備した駐車場は、いま一度見直しを行い、白線を引き直して駐車マスの幅を広げる改善工事を実施してもらうことはできないか。
【理事者】
県が整備した県営住宅の駐車場の区画線の引き直しは、劣化等に伴い区画線が見づらいなどの状態となった場合に行っている。このため、区画線を引き直す際に、各県営住宅の入居者の意見を聞きながら、空き区画が多く、駐車台数が減少しても支障がない場合は、現行の基準である幅250センチメートルへの引き直しを行いたい。
【委員】
私が調査した際、駐車できる車幅の規定を超えた車の駐車があることが判明したが、それはなぜか伺う。
駐車場を整備した以前からあった車を認めているのか。
【理事者】
県が駐車場を整備する際、既に制限を超える車両を県営住宅の敷地内に駐車してきた入居者の方には、駐車場の整備後、両隣の駐車場を使用する方に、制限を超える車両を駐車することの承諾を得ること及び車を買い換える際には、県が定める車両サイズを満たすことの誓約書の提出を求めている。
【委員】
明らかに駐車場を整備した後に購入されたと思われる車も駐車している。これはどういうことか。ルールを守らない人を放置しているのか。
前回の建設委員会でも指摘したが、県や住宅供給公社の職員は、現場に出向いていないから住宅の状況を全く把握していないことが多い。だから、入居者からの声も聞こえてこない。これは怠慢以外の何ものでもないと言わざるを得ない。
そこで、ルールを守らない車両に対して、どのように対応しているのか伺う。
【理事者】
県営住宅の入居者を募集する際には、県が整備した駐車場に駐車できる車両のサイズに制限がある旨を周知しており、入居説明会やその場で配布する入居者のしおりにおいても、駐車場に関するルールを説明しており、駐車できるサイズを超える車両については、県営住宅の外で駐車場を確保してもらうよう求めている。
県が整備した駐車場は、愛知県住宅供給公社が自治会と連携して、定期的な巡回等を行っており、駐車を認めていない車両を確認した場合は、随時指導を行い、移動を求めるなど適正な管理に努めている。
具体的には、自治会において、月1回以上の夜間の巡回を含め、随時駐車場の使用状況を確認してもらっており、迷惑駐車や不正使用を発見したときは、公社がその車両に対して、ビラによる警告を行い、改善されない場合には、公社職員が使用者に車両の敷地外への移動などの指導している。
【委員】
改めて伺う。整備する駐車場の基準が大きくなっているが、駐車できる車の車幅規制の見直しを検討することはあるか伺う。トラック、貨物を除いての見解である。
【理事者】
現在の駐車場の整備は、区画幅250センチメートルで行っているが、これは、入居者が安全に乗車、駐車できるよう区画幅を広げてきたものであるので、駐車を認める車両サイズの見直しの検討は行っていない。
【委員】
次に県営住宅に風呂設備がないことについてである。
昭和60年度までに管理が始まった県営住宅では、入居時に風呂を設置する場所は用意されているが、浴槽と風呂釜は入居者が負担して設置している。よって、古い時代の県営住宅には、風呂設備がなく、現在の県営住宅には、風呂設備がある住宅と風呂設備がない住宅がある。
こうした問題を少しでも改善することを求める声に、県当局も取り組まれて、厳しい財政状況の中、財政当局との協議・交渉し、風呂設備を設置し、この費用を新家賃として値上げして入居者を迎え入れ、歓迎されている。
私自身もさらにこうした風呂設備を完備した住宅への改善をもっとスピード化させるよう求め、県当局もこれに応えてもらっていることを高く評価する。
そこで、令和6年度における風呂設備を設置した実績状況について伺う。その設置の結果、古い住宅のうち、県が風呂設備を設置した住宅の比率を伺う。具体的には、住宅数と風呂設備の数、さらに住宅の戸数と風呂設備を改善した比率について伺う。
【理事者】
今年度は、建て替え事業により、風呂設備を備えた360戸を建設した。
また、住戸改善事業により、既存住戸に70戸の風呂設備を整備し、その結果、今年度末時点で、昭和60年度以前に管理開始した住戸2万8,722戸のうち、県で風呂設備を設置した住宅は35住宅550戸となり、その比率については、年度当初の約1.6パーセントから約1.9パーセントになった。
【委員】
令和7年度予算にも、風呂設備を設置する予算が計上されていると思うが、令和7年度はどれだけ風呂設備を設置する予定であるのか伺う。
【理事者】
来年度竣工予定の建て替え住棟において、241戸の風呂設備が整備されるほか、既存住戸において、100戸に風呂設備を設置する計画とした。既存住戸の風呂設置については、引き続き効率的・効果的に進めていく。
【委員】
県営住宅は、風呂設備を設置したら役割を終えたというわけではない。風呂設備を設置した住宅は、速やかに入居者を募集し、県営住宅を必要とする方に提供しなければならない。特に住宅に困っている高齢者世帯や、母子世帯などには、風呂設備のある部屋を提供して、風呂設備を設置するための費用の心配をしないで入居できるようにしなければならない。
そこで、高齢者世帯や母子世帯などに対して、風呂設備のある住戸が行き渡るように配慮することを求めるが、取組を伺う。
【理事者】
新たに風呂設備を設置した既存の住宅については、高齢者世帯や母子世帯など特に配慮が必要な世帯が申込みできる福祉向けを中心に募集していく。また、福祉向け募集の申込み状況を見ながら、一般世帯も申し込める同時募集とするなど、県営住宅への入居を希望する人が入居する際の費用を抑えられるよう風呂設備を設置した住宅の提供に努めていく。
【委員】
次に、共益費の県徴収についてである。
県による共益費の徴収項目には、入居者が生活する上で、欠かせない設備である排水管の清掃は入っていない。現在は、それぞれの住宅の自治会が自治会の運営費とともに入居者から徴収しているが、自治会に参加しないと表明している入居者もいる。自治会の担当者が本当に苦労している。
自治会に未加入の入居者が排水管の清掃費用を支払わず、その長い年月のうち、大きな金額が未納となり、その分を他の入居者が負担する事態が発生している。この件での住民のトラブルが発生している。排水管のメンテナンス費用は、集合住宅の入居者にとっては、重大な問題である。
12月の議会において、県当局は、アンケートを行っているとのことであった。既に結果が出てると思うが、アンケートの結果について伺う。他の都道府県の実施状況についての報告も併せて求める。
【理事者】
県営住宅の自治会に行った附帯設備使用料、いわゆる共益費に関するアンケートの内容については、追加を希望する徴収項目、排水管の清掃の実施方法などとなっている。
アンケートの結果、回答をもらった約半数の自治会が排水管の清掃の追加を希望し、草刈りや樹木の剪定についても多くの自治会が徴収項目への追加を希望していることが分かった。
また、排水管の清掃の実施方法などについては、それぞれの自治会で違いがあることが改めて分かった。
次に、他の都道府県の状況であるが、本県以外では、東京都、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県及び高知県の6団体で共益費の自治体徴収を行っているが、対象としている項目は、各団体で異なり、排水管の清掃を徴収項目としているのは、東京都、大阪府及び兵庫県の3団体であった。また、団体が徴収の対象とする項目のうち、自治会が希望する項目のみを徴収、実施する、いわゆるカフェテリア方式を用いている団体もあった。
【委員】
今回のアンケートの結果でも、多くの自治会が排水管の清掃を県徴収の項目に追加することを希望していることが分かった。
そこで、アンケートの結果を受け、排水管の清掃を共益費の徴収項目とする検討状況はどうなっているかについて伺う。
【理事者】
アンケートの結果、排水管の清掃を県が実施することを希望する自治会が多くあるが、排水管の清掃の実施回数や実施範囲に差があることから、県で排水管の清掃を行う場合、統一した仕様を定める必要がある。
このため、現在排水管清掃業者へのヒアリングを行い、県営住宅の排水管の清掃に適した手法の検討に着手した。
【委員】
県営住宅入居者の超高齢化が今後ますます進む。自治会の運営も役員や担当係も高齢が理由でもって引受け手がなく、苦慮している。今後、住宅のごみ出し、その後の処理及び住宅内の除草や樹木の剪定もできなくなっている。
そこで、いま一度、5年、10年、20年先を考えて、共益費の値上げを含めて協議し、県当局によるこれらの徴収を真剣に考えてもらいたいが、県の考えを伺う。
【理事者】
入居者の高齢化に伴い、自治会の役員の担い手が不足し、将来的には自治会の存続が難しくなる県営住宅も生じてくると危惧している。
このため、共益費について、現在の県徴収制度に移行してもらうことによって、快適な生活環境を維持するために、自治会で担ってもらっている役割を減らしていきたい。
加えて、今回実施したアンケート結果で、排水管の清掃のほかにも住宅敷地内の草刈りや樹木の剪定なども県徴収の対象として、県による実施を望む声が多くあることから、排水管の清掃などの実施方法を調査するとともに、他団体の状況も参考にしながら、その実施に向けて検討を進めていきたい。
【委員】
建て替えの予定も決まらない県営住宅が多い。入居者に他の住宅に移ってもらう方針も示すことができない。人口が減っている状況下にあって、建て替えもできないとする住宅は廃止して、取り壊すとした決断を示し、売却した費用の一部を今ある住宅の改善に投入することがあってもよいと思うが、考えを伺う。
計画的な改修・改善が決まらない県営住宅が数多くあり、耐用年数を迎えるまで使おうとしているが、そのことにより一番被害を受けるのは入居者である。法律で家賃を決めておきながら、入居者に我慢させることが住宅セーフティーネットである県営住宅の目的とは決して思えないが、考えを伺う。
【理事者】
県営住宅においては、これまでも同一団地内だけでなく、狭小な敷地に立地している老朽化した住宅を、ほかの県営住宅の建て替えに合わせて集約化を行い、従前の敷地は福祉施設や民間の戸建て住宅用地として、活用を図った事例がある。
今後も小規模で敷地の条件により現地での建て替えが困難な場合は、他の住宅への集約化や、用途廃止を計画するなど計画的に整備していく。
引き続き県営住宅が本県の住宅セーフティーネットの中核としての役割を果たし、入居者が安全・安心で快適に暮らすことができるよう改修・改善を進めていく。
【委員】
建築局が一丸となって、住宅管理者として、大家としての責任を果たすために、いかにあるべきかについて、建築局長からの答弁を求める。
【理事者】
県営住宅を取り巻く状況は依然厳しいものがあるが、様々な課題に対して、職員それぞれが問題意識を持って取り組み、実施結果もしっかりと検証しながら進めていくことが重要である。
今後も社会情勢や関連制度の動向だけでなく、新技術の導入なども図りつつ、様々な工夫を凝らし、県営住宅が住宅セーフティーネットの中核であることを十分認識し、入居者の視点に立って取り組んでいく。
【委員】
いつもこうした議論をして、そして、私の質問と答弁を、地元の住宅の自治会の責任者等に渡している。毎回言われているのが、一生懸命頑張ってくれていることが分かると同時に、これからの県営住宅の在り方について、現実を知ったうえでの対応を求めるという声がある。一生懸命取り組んでいるだろうが、事業の内容を一つ一つ見ていると、私らには理解ができないといった声が多い。これからの財政当局との一生懸命な交渉によって、今よりもスピードを持って改善してもらうことを求める。
【委員】
初めに、地域交通の確保について伺う。
地域公共交通は、高齢化の進展とともにその重要性も改めて認識されており、各地で持続可能性や利便性を高める様々な取組が行われている。例えば、私の地元である春日井市では、県のスマートシティモデル事業に採択され、システムを活用したタクシー共同配車の実証実験が行われている。
この取組では、複数のタクシー事業者の配車依頼窓口を一本化することにより、事業者の垣根を越えて効率的な配車を行うことで、利用者の待ち時間を減らしたり、乗車機会の増大を目指したりしている。タクシー事業者にとっては車両の効率的な運用ができ、利用者にとっては利用したいときに利用しやすくなる取組である。
また、同じく春日井市の高蔵寺ニュータウンの中にある石尾台地区では、坂が多く高齢者には徒歩ではつらい土地柄であることから、自宅から地区内の医療施設や商店、バス停といったラストマイルと呼ばれる地区内の移動について、自動運転技術を用いた送迎サービスの実証実験を重ねている。
運行サービスの担い手は、地域の有志の人たちが設立したNPO法人であり、地域住民の共助による送迎サービスが始まっている。住民が主体となり、地域の交通について考え、公共交通を維持しているすばらしい取組の一つである。
自動運転技術の活用としては、STATION Aiと名古屋駅を結ぶ自動運転車両の定期運行が開始しているが、東京ではアメリカのウェイモ社がタクシー事業者と連携して自動運転技術のテストを実施すると聞いている。自動運転タクシーに向けた動きであり、地域交通の担い手対策として注目に値する取組である。
こうした新たな取組は、一定程度の人口が集まる都市部や郊外を中心に行われてきたが、山間部や半島地域など人口密度が低い地域に目を向けると、人々の移動需要が少なく、民間の交通事業者では、移動サービスを提供することが難しくなっている状況もあり、地域交通の確保が課題となっている。
国においても、昨年7月に「交通空白」解消本部が設置され、制度の新設や様々な運用改善が図られてきた。
そこで、交通空白の解消に向け、どのような移動手段の確保手法があるのか伺う。
【理事者】
県民が豊かな生活をする上で、また、地域の活性化の観点からも、公共交通などの移動サービスは重要であると認識している。バスやタクシーなどの民間の交通事業者が移動サービスを提供できない、いわゆる交通空白は、本県においても山間地域や半島地域に生じているが、近郊部であっても平日午前中や夜間などの時間帯で生じることもあり、地域課題の一つとなっている。
そうした中、国による運用の改善が行われた自家用有償旅客運送、いわゆる公共ライドシェアは、市町村やNPO等が地域に住んでいる一般ドライバーなどを活用し、営利にならない範囲で利用者から対価を受け取って移動サービスを提供するものとして、交通空白地を抱える自治体から期待が高まっている。
また、利用者から対価を受けない無償での運送であることから、道路運送法の規制対象外となる許可又は登録を要しない運送もある。国からどのような場合に、いわゆる無償運送になるのかなどのガイドラインが出たこともあり、移動サービス確保の手段として活用しやすくなっている。
【委員】
許可又は登録を要しない運送については、大学が学生の通学のために走らせているバスに地域貢献として地域の人を乗せることも考えられる。これまで法律に触れないか心配されていたことに対し、大丈夫であることが明らかにされたことで、利用しやすくなる。
許可又は登録を要しない運送は、経費の負担も含めて、地域貢献、ボランティアであるのに対し、公共ライドシェアは経費の負担を利用者にも求める点で、許可又は登録を要しない運送よりも持続性の高い取組であると考えられる。
そこで、公共ライドシェアは、民間の事業者による交通サービスの提供が困難な地域において、今後、移動手段の確保に向けて非常に効果的で効率的な手法だと考えられるが、普及に向けての課題を伺う。
【理事者】
公共ライドシェアは、市町村やNPO等が主体となり、地域に住んでいる一般ドライバーが移動サービスを行うもので、事業者が行うものではない。一般的に移動サービスの提供はタクシーなどの民間の公共交通事業者が行うものとの認識が強く、住民が移動サービスの担い手になるということには思いも至らないケースもある。
公共ライドシェアを導入し普及していく上では、地域の関係者が我が事として考え、自ら担い手となってもらう必要があるため、地域における意識醸成や合意形成、運営主体の確保が課題である。また、公共ライドシェアの運営に当たっても、予約の受付や運転手の点呼など、円滑な事業運営のためのノウハウが求められるといった課題がある。
【委員】
様々な課題がある中で、公共ライドシェアの導入・普及に向けて、県としてどのように対応していくのか伺う。
【理事者】
地域が主体となる公共ライドシェアの導入・普及に向けては、地域の地理的状況や移動ニーズ、地域で様々な活動を行っている団体の状況に精通し、住民に最も近い市町村が旗振り役となり、進めていく必要がある。その推進に向けては、地元市町村、住民と運行管理などのノウハウを持つタクシー事業者等の関係者が連携して取り組むことが重要である。
県としては、こうした関係者が地域交通について検討する場、ワークショップ等にコーディネーター等の専門家を派遣し助言を行うなど、市町村を支援し、合意形成を促していく。
また、運営上の課題への対応として、運営主体となる地域の団体に運行のノウハウを持つタクシーなどの公共交通事業者が協力するものや、民間のタクシーサービスと公共ライドシェアを一体的に配車受付を行う仕組みなど、連携して運営する方法もあることから、セミナー等を通じて市町村などに周知し、公共ライドシェアを実施する際の選択肢の一つとして検討を促したい。
こうした取組を通じて、公共ライドシェアをはじめとする移動サービスが市町村と公共交通事業者との連携の下、実施に向け進むよう支援を行い、各地域の実情に合った移動手段の確保が進むよう取り組む。
【委員】
自民党に対するタクシー協会等の要望において、最大の使命は安全性の確保であり、そのためにドライバーの適正な労働環境の確保がうたわれる中で、自治体と協働して公共ライドシェアを活用した取組を進めたいことが盛り込まれていた。
この取組を進めるためには、やはり関係自治体の主体的な関与が必須である。タクシー業界としても取組を進めたくても進められないのでは困るので、自治体への助言や周知等、しっかりフォローして進めてもらうよう要望する。
続いて、建設業界における人材の確保について質問する。
朝起きて蛇口をひねれば水が出て、顔を洗う。魚沼産のコシヒカリに赤みそで作ったみそ汁、卵焼きにウインナーが並ぶ朝食。家から一歩出れば自転車で道路や橋を渡り、駅まで向かい、電車に乗り換え職場に向かう。職場では電話やインターネットを使い、世界中の工場への自動車部品の製造や輸送の発注を行う。帰りの電車の中ではネットショッピングで商品を取り寄せる。次の日には購入した商品が届き、封を開けて使用する。
私たちの暮らしは、たくさんのインフラに囲まれており、インフラは私たちの生活を支える重要な役割を果たしている。安全で快適な生活を送るためにインフラは必要不可欠なものであり、インフラが整備されていなくては、人々の暮らしや仕事もままならなくなる。
戦後、日本の成長を支えてきたのは、間違いなくそのインフラ整備によるところが大きいと考える。そして今、この国の生活、経済を支える一番の要が危機を迎えている。建設業全体の就業者数の減少と高齢化が進んでいるということである。
日本全体の労働人口が不足する中、建設業界の人手不足は特に深刻である。全国の建設業就業者は、この約25年間でおおよそ200万人が減少し、慢性的な人手不足の状況である。また、他産業に比べ、高齢化の進行が顕著でもある。私の元にも民間建設会社から、求人を出しても全く人が集まらない、高額な求人広告費用を毎月払っているだけという嘆きの相談が後を絶たない。
総務省の労働力調査を基に、国土交通省が算出した資料によると、建設業就業者は29歳以下が11.7パーセント、55歳以上が35.9パーセント、60歳以上の技能者は全体の約4分の1の25.7パーセントを占めるとされている。10年後にはこの大半が引退することが見込まれ、若年入職者の確保・育成が喫緊の課題となっている。この状況は、官民どちらにおいても深刻な状況ではあるが、本県建設局においても苦労していると聞いている。
そこで、まず初めに、現在の土木職員の採用状況、高齢化の状況について伺う。
【理事者】
土木技術職員の採用状況については、5年ほど前から定員割れが続いている。
このうち、直近3年分の状況としては、大卒・高卒・職務経験者の3区分の合計の毎年度4月1日時点の採用人数は、2023年度採用は、募集55人に対して採用が45人、2024年度採用は、募集55人に対して採用数34人、2025年度採用は、募集60人に対して採用数はまだ確定していないが、30人を下回る見込みである。試験の途中や最終合格後の辞退もあり、定員割れが続いている状況である。
続いて、高齢化の状況についてである。現在、土木技術職員は約1,130人であるが、このうち50歳以上の割合が5割を超えている。新卒者の採用数の減少に伴い、この割合は年々増加しており、来年度は約56パーセントになる見込みである。
【委員】
戦後、戦禍による傷痕を復旧・復興しながら、我が国は十余年の戦後復興期を経て、瞬く間に飛躍的な経済成長を遂げた。高度経済成長期を経て、1964年の東京オリンピック大会の開催、国を挙げての目標に向け、東京を中心とした大規模なインフラ整備が行われたことを手始めに、高度経済成長期以降から現在まで、我が国の豊かな生活基盤の拡充が進むことになる。
戦後、日本の成長を支えてきたのは、このインフラ整備によるところが大きいと考える。しかし、それは高度経済成長期以降、一気に整備された道路、橋、トンネル、河川、上下水道、港湾等について、建設後50年以上経過する施設の割合が同時に加速度的に高くなることでもある。老朽化に伴う下水管の破裂が原因とみられている今年1月に埼玉県の八潮市で起きた道路陥没事故、また、昨年9月に起きた広島県広島市での道路陥没事故と、老朽化が原因とみられる事故が増えている。
建設業界の人手不足は、こういった事故や点検・補修等に対する脆弱性を上げるだけでなく、知識や経験の共有と継承が途絶えることを意味する。インフラの老朽化に伴う事故も増えている中で、建設人材の確保は喫緊の課題である。
全国のあらゆるインフラ設備の老朽化が大きな社会課題となる中、建設後50年以上が経過するインフラ設備が今後、国全体で道路橋は2030年には54パーセント、2040年には75パーセントになるとのことである。こうした傾向はトンネルや水道管など、あらゆるインフラ設備に関しても同様である。
インフラ設備の寿命は一般的に50年と言われており、50年を超えると損傷頻度が高くなることが指摘されている。これからも整備や維持管理を続けていくためには、建設部局の人材の確保・育成による体制づくりが急務だと考える。
そこで、人材確保・育成に関しての県の取組について伺う。
【理事者】
まず、人材の確保の取組としては、大きく二つある。一つ目は、新卒者の採用拡大を目指して、学生向けに行う取組。もう一つは将来の担い手を増やすため、小中学生向けに行う裾野を広げる取組である。
学生向けに行う取組について、代表的なものを四つ説明する。
まず一つ目は、リクルート活動と就職説明会である。建設系の学科がある大学や高等専門学校、高校の各就職担当教員を訪問し、採用制度や県土木の仕事や職場環境の紹介、PRなどを行っている。これまで東海地方を中心に行っていたが、今年度は現役職員が卒業した大学や、愛知県出身の学生が多いと思われる大学を想定して、関東や北陸、そして近畿などに拡大し、大学22校、高専・高校3校を訪問した。また、大学主催の就職説明会にも積極的に参加している。
二つ目がインターンシップと個別相談である。大学生を対象に、県庁や建設事務所の仕事を知ってもらうためのインターンシップを毎年開催している。中でも積算業務や、現場での段階確認などの体験型が特に好評である。例年50人を定員としているが、最近は応募者が超過しており、可能な限り受け入れている。また、県土木職に興味を持っている学生からの様々な質問に答えられるよう、個別相談も随時実施している。
三つ目は、あいち建設みらいサロンの開催である。これは、県内の大学や工業高校等を対象に、建設分野に携わる現役の技術者である建設会社と建設コンサルと我々行政職員が一緒に訪問し、学生と交流する機会をつくるものである。そこで建設業のやりがいや魅力を発信したり、建設分野の実情や課題、疑問について意見交換したりすることで、学生の理解や関心を深める取組を行っている。
このサロンは毎年5校程度で開催しており、今年度は5校で168人の学生と42人の技術者が参加した。学生からは、業界内の実情や仕事の内容がよく分かったと好評である。
最後の四つ目は、ユーチューブチャンネルの開設である。若者への情報発信手段としてユーチューブを活用しており、本県の大規模事業やプロジェクト事業の紹介のほかに、工事現場で構造物が完成していくまでの様子や土木職員の働き方などの動画を随時更新しており、現在42本の動画をアップしている。
続いて、大きな取組の二つ目、小・中学生に向けた裾野を広げる取組については、中長期的に建設業界を目指す若者を増やす活動にも取り組んでいる。
具体的には、子供たちに建設の仕事を知ってもらい、興味を持ってもらえるよう、小学生を対象にした出前講座や、中・高生も対象にした現場見学会を毎年開催している。
次に、人材育成の取組についてである。建設行政の適切かつ円滑な運営のためには、技術力の維持・向上は重要であると考えており、体系的な建設技術研修の実施や若手職員への技術の伝承に取り組んでいる。
具体的には、まず、建設技術研修の実施について、技術職員に必要な専門知識の向上と広い視野から建設行政を遂行する知識の習得を目的として、技術の基礎を学ぶ研修から、具体的な実務の専門家としてより高度な知識の習得を目指す研修まで、幅広い内容の講座を企画し、経験年数に応じて受講する講座を指定している。その中には、より実践的な研修として、現場での演習を取り入れた訓練型の講座も用意している。そのほか、技術士や施工管理技士などの資格取得も支援しており、今年度は44講座に延べ約1,000人が受講した。
もう一つ、若手職員への技術の伝承の取組については、現場での工事監督や設計コンサルとの打合せにおいて、ベテラン職員が若手職員に同行し、技術的な指導を行っている。特に新規採用職員には、ベテラン職員をトレーナーとして配置し、日々の仕事を通じて、発注者としての技術力を身に付けられるよう支援している。
今後もインフラの老朽化や激甚化・頻発化する自然災害に対応できる技術職員を育てていけるよう取り組んでいく。
【委員】
様々な取組をしており、私もユーチューブを見たが非常に興味の湧く内容であった。しかし、こうした取組を行っていても人がなかなか集まらない、また、インターンシップに関しては応募超過もあったのに人が回ってこない。非常に悩ましいと感じている。
今後、インフラの老朽化が進行し、また、自然災害の激甚化や頻発化に的確に対応していくためには、組織力がますます求められる。人材確保と技術や経験の伝承ができなければ、この国の経済や防災、生活の安定を脅かす、まさに安全保障の問題にもつながる。
この課題については、行政と民間とが最重要事項として共有し、愛知県が率先して旗振りしていかなくてはならない。これまでも様々な取組を行ってきたのは理解したが、この課題についてより重要度を上げて取り組んでいくため、建設部門の体制強化に対する思いを局長に伺う。
【理事者】
建設部門の体制強化について答える。
県民の安全・安心な生活や愛知のモノづくりを支える本県の社会資本は、次の世代まで伝えていかなければならない大切な資産である。さらに、その社会資本を効果的に整備し、適切に維持管理していくことは、日本経済をけん引し、我が国の発展を力強くリードしていくことにも直結する。
現在も現場対応が続く埼玉県八潮市のような事故は、発生すると、社会経済活動に大きな影響を与えるので、特に維持管理については極めて重要である。
このように大きな役割を求められている状況において、我々、建設部門の組織の高齢化や若手入職者の減少が顕在化していることには、非常に強い危機感を持っている。
先ほど答弁したように、本県においても、仲間を増やすために、様々な活動を通じて建設部門の職員のやりがいや魅力の発信をしている。特に土木技術職員については、計画・設計・施行・維持管理と多岐にわたる専門的な技術力や経験による技術力が必要である。
また、行政職員として行う地元説明会などの場において、県民への説明責任など多くのスキルが求められている。こうしたことから職員の技術力や交渉力をはじめとした職員の能力向上を図り、建設を取り巻く環境に適切に適応していくよう、これからの取組を前進させていく。
さらに、これまでの取組を充実・強化させるため、人材の確保・育成を建設部門全体の課題として捉え、組織体制の強化についても検討を現在行っている。
併せて、DXの推進や新技術の導入などによる組織の生産性向上を積極的に進め、職場環境の改善や働き方改革をしっかりと実践していく。
最後になるが、建設部門の土木職の仕事を企業の経営と同様に論じることは難しいと思うが、多くの企業経営者が、人材は会社の宝、その育成こそが企業の最も重要な投資、また、人を育てることは未来を育てることと、人材育成は極めて重要と発信している。このため、建設部門としてもこの難局を乗り切っていくため、一致団結して、今後も継続的かつ進化を図りながら、人材の確保・育成とともに、組織全体の強化にもしっかり取り組んでいく。
引き続き県議会の皆様方からも、力添えを願う。
【委員】
私の考えであるが、こうした状況を踏まえ、建設局職員の待遇等も大幅に改善して、民間以上の処遇、また業務に見合った処遇を与えることは、県全体の安全と安定を維持するために必須の施策になると感じている。
単なる労働条件の改善としてではなく、県全体の建設行政の安定維持のために必要な投資と位置づけて、積極的に対応すべきだとも考える。また、必要であれば、県全体の人事からも独立させて、独自の採用や処遇の設定を可能とする仕組みも考えていく必要がある。
国は、国際情勢の複雑化・社会経済構造の変化等に伴い、安全保障を確保するために、経済活動に関して行われる国家及び国民の安全を害する行為を未然に防止する重要性が増大していることに鑑み、安全保障の確保に関する経済施策を総合的かつ効果的に推進するために、経済安全保障推進法を制定した。この中には、重要物資の安定的な供給の確保に関する制度や基幹インフラ役務の安定的な提供の確保に関する制度があり、国民の生存や国民生活、経済活動に甚大な影響のある物資の安定供給の確保を図るため、重要物資の指定や計画などを明確にした。
しかし、その中に建設人材の確保と育成がそもそも含まれていないことは全く不十分である。インフラが整備できなければ何もできない。ぜひ建設人材の確保と育成が急務であることを、当局だけでなく議会側としても共有して強く働きかけていけるようにしていきたい。
これは建設局だけではなく、私たち一人一人がこの課題に関して危機感を持つこと、その一歩となればという思いで取り上げた。この国の基礎をつくるインフラの人材確保に一人一人が取り組んでいくことが大事になってくると思うので、ぜひ、一体となって進んでいけるようお願いする。