委員会情報
委員会審査状況
建設委員会
( 委 員 会 )
日 時 令和7年7月1日(火) 午後0時59分~
会 場 第4委員会室
出 席 者
丹羽洋章、杉浦友昭 正副委員長
横井五六、神野博史、川嶋太郎、石塚吾歩路、林 文夫、河合洋介、
松本まもる、山口 健、井上しんや、園山康男、喚田孝博 各委員
建設局長、建設政策推進監、建設局技監(2名)、土木部長、道路監、
治水防災対策監、
豊川水系対策本部副本部長、豊川水系対策本部事務局長、
都市・交通局長、同技監、都市基盤部長、リニア・交通対策監、
港湾空港推進監、空港長、
建築局長、同技監、公共建築部長、建築指導監、
収用委員会事務局長、関係各課長等
<付託案件等>
○ 議 案
第104号 令和7年度愛知県一般会計補正予算(第2号)
第1条(歳入歳出予算の補正)の内
歳出
第7款 建設費
第113号 財産の買入れについて
第115号 工事請負契約の締結について(総合治水対策特定河川工事(大山川調節池本体2号工))
第116号 工事請負契約の締結について(名古屋東部地区新設特別支援学校(仮称)校舎建築工事)
第117号 工事請負契約の締結について(西三河北部地区新設特別支援学校(仮称)校舎建築工事)
第119号 工事請負契約の変更について(道路改良事業一般国道419号蛇抜高架橋上部工事)
第120号 特定事業契約の変更について
(結 果)
全員一致をもって原案を可決すべきものと決した議案
第104号議案、第113号議案、第115号議案から第117号議案まで、第119号議案及び第120号議案
○ 閉会中継続調査申出案件
1 道路の整備等について
2 水資源対策並びに河川、砂防、水道及び下水道の整備等について
3 土地対策、都市計画並びに公園及び市街地の整備等について
4 総合交通体系及び港湾の整備等並びに航空対策について
5 宅地建物取引及び建築・宅地造成等の規制について
6 公営住宅等の建設及び管理並びに県有施設の営繕工事について
7 建設局、都市・交通局、建築局及び収用委員会の行政運営について
<会議の概要>
1 開 会
2 議案審査(7件)
(1)理事者の説明
(2)質 疑
(3)採 決
3 委員長報告の決定
4 一般質問
5 休 憩(午後2時28分)
6 再 開(午後2時39分)
7 閉会中継続調査申出案件の決定
8 閉会中の委員会活動について
9 閉 会
(主な質疑)
《議案関係》
【委員】
予算に関する説明書の19ページの第7款建設費、第4目の中部国際空港対策費、アドバンスドエアモビリティアジアシンポジウム開催費補助金について伺う。このシンポジウムはどのような内容のイベントなのか。
【理事者】
アドバンスドエアモビリティとは、ドローンや空飛ぶ車などの次世代モビリティを表すものである。
このシンポジウムは、9月16日火曜日から9月18日木曜日までの3日間、愛知国際展示場アイチ・スカイ・エキスポにおいて開催される。
アジアを中心に多くの航空関係事業者、政府関係者などが参加し、各国の状況や課題などについて議論される国際会議である。
主催は、スイス・ジュネーブに本部を置き、世界各国で国際会議を主催する会議運営会社であるケネスグループを中心とする実行委員会となる。
この会議では、次世代モビリティの様々な課題に関する議論を通じて、各国の関係者の連携を促進すること、この地域を中心に新たな分野における知見を深める機会となることを目的としている。
【委員】
アドバンスドエアモビリティアジアシンポジウム開催費補助金2,000万円はどのようなものか。
【理事者】
この会議は航空ネットワークの拡充や空港の新たな利活用の検討に資することから、実行委員会に対して開催経費の一部を支援する。
主催者の収支計画では、総事業費はおよそ1億3,000万円と見積もられている。これまでの類似の国際会議への支援状況を踏まえ、本補助金は開催のための費用、具体的には、音響映像費、ゲストスピーカーの招聘費、同時通訳費及び広報費などの経費の一部として2,000万円を補助する。
【委員】
この事業の目的及び期待される効果を伺う。
【理事者】
会場となるアイチ・スカイ・エキスポは中部国際空港に直結しており、アジアの事業者や関係者が空港を実際に利用することで、その利便性を体感してもらえる絶好の機会となる。
また、会議では、次世代モビリティと航空管制、空域の議論などが行われる予定である。現在の規制との関係や次世代モビリティが新たに空港を利用する可能性など、将来の空港運営の在り方を検討する上で、重要な会議になる。
さらに、経済産業局とも連携し、スタートアップ企業をはじめとする地元関係者等にも参加を促し、人材の育成や国際的なビジネス交流の基盤づくりにも貢献していきたいと思っている。
これらの機会を捉え、航空ネットワークの拡充や、空港の新たな利活用の検討につなげていきたい。
【委員】
この事業の効果を空港の新たな利活用の検討にもつなげるとのことなので、ぜひ頑張ってもらいたいと思う。中部国際空港がより航空需要を拡大し、さらなる成長を遂げることは、地域の発展のみならず、我が国全体の成長を支える上でも極めて重要である。
中部国際空港の路線数はコロナ前と比較して、国際線では70パーセント、国内線では80パーセント程度で、他の空港と比較しても回復が少し遅れている状況であると聞いている。引き続き、アジアのみならず、欧米も含めた航空ネットワークのさらなる拡充などにも取り組んでもらい、地域が誇る国際拠点空港、中部国際空港を盛り上げてもらいたい。
《一般質問》
【委員】
質問の前に、資料を配布したい。
【委員長】
ただいま委員から資料の配布の申出があったので、これを許可する。
【委員】
この資料は、緊急輸送道路の整備と緊急輸送道路の無電柱化事業の次の質問で使わせてもらう。
現在、県当局においては、未来を拓き、暮らしに寄り添う社会資本づくりを理念としたあいち社会資本整備方針2025に基づいて、2025年度までに建設部門が取り組むべき各施策、事業を推進してもらっているものと理解している。
国においても、2021年5月に策定された第5次社会資本整備重点計画が今年度、計画期間の最終年度を迎えており、次期計画に向けて、自然災害から国民の命と暮らしを守る社会づくり・国土強靱化、加速度的に進行するインフラ老朽化への対応・インフラ管理の最適化、経済成長を牽引する国内投資拡大、生産性向上、観光活性化等の推進、人口減少・少子高齢化が進む中での持続可能な地域社会の実現、インフラ分野のDX等による現場の生産性向上・人への投資の推進、担い手の確保、脱炭素、ネイチャーポジティブ、サーキュラーエコノミーの実現に向けたインフラ分野の取組拡大といった内容が検討されている。
当局におかれては、こうした国の動向を踏まえつつ、本県の次期方針を策定していくものと思っている。
最終年度を迎えたあいち社会資本整備方針2025で取り組んでいる事業のうち、事前防災の観点からも重要と思われる緊急輸送道路の整備並びに緊急輸送道路の無電柱化の実施について伺う。
公表されている2023年度までの両事業の実績を見ると、目標に向けて事業展開を図っているが、2024年度に取り組んだ主な事業箇所と、計画の最終年度となる本年度、2025年度にどのように取り組んでいるのか。また、KPIに対する見通しを伺う。
【理事者】
緊急輸送道路の整備は、被災時の救急活動や物資輸送を支える重要な事業である。
2023年度末時点では目標値を下回っているが、完了時期の見通しがつく路線を重点的に整備することとしており、昨年度は国道301号松平バイパスや、主要地方道東三河環状線大崎工区などで事業を実施している。
今年度も引き続き、早期供用に向けて着実に整備を進めていく。
続いて、緊急輸送道路の無電柱化についても、災害時に電柱の倒壊による道路の閉塞を未然に防ぐことにより、救助活動や物資輸送などの応急対応活動に寄与する重要な事業である。
おおむね目標どおり進捗しており、昨年度は国道247号鹿島バイパスや国道301号益富拡幅などで設計に着手している。
今年度も引き続き、電線等管理者と緊密に連携し、地元の協力を得ながら、無電柱化を推進していく。
【委員】
緊急輸送道路の整備や無電柱化の事業は大変重要な事業だと私も認識しており、令和6年能登半島地震の折にも、こうした緊急輸送道路の整備をしっかりと進めていくことの必要性を改めて感じた。
答弁の中で、緊急輸送道路の無電柱化事業において、国道247号鹿島バイパスのことについて言及があった。これは蒲郡市内において、鹿島大橋を含む蒲郡市形原町から拾石町の約1.8キロメートルの区間であり、蒲郡市街地や国道23号蒲郡バイパスへのアクセス経路となっている。
現在、当該区間は2車線で整備されており、前後の4車線整備済区間のボトルネックとなっており、朝夕の通勤時間帯や週末においては、沿道の商業施設利用者等による慢性的な渋滞が発生するなどの交通課題を抱えている。
また、第二次緊急輸送道路に指定されており、防災上重要な路線でもあるため、主要渋滞箇所の渋滞緩和、災害時の緊急輸送道路の確保として、無電柱化と併せて、国道247号鹿島バイパスの4車線化整備に取り組んでもらっているが、地域住民からはより一層の早期整備の推進を望む声をもらっている。
そこで、当該事業の現状と今後の取組を伺う。
【理事者】
国道247号鹿島バイパスの4車線化事業について、本事業は、蒲郡市内の国道247号のうち、暫定2車線で供用中の形原北浜交差点から北へ約1.8キロメートル区間を4車線化する事業であり、2021年度から国の交付金を活用して整備を進めている。
工区内には新拾石橋と鹿島大橋の二つの橋梁があり、いずれも暫定2車線での供用となっているが、橋台については将来の拡幅を想定し、4車線幅で整備されている。このため、今回の4車線化に当たっては、既設の橋台を現在の基準に適合するよう補強工事を行った上で、2車線分の上部工を架設する計画とし、橋梁の設計検討を進めてきた。
新拾石橋については、昨年度には橋台の補強工事を完了しており、今年度から上部工の工事に着手していく。
一方、鹿島大橋については、延長約100メートルの大きな橋梁であり、橋台の補強工事も大規模となることから、昨年度まで詳細な施工計画の検討を行ってきた。検討の結果、現計画では工事中における現道交通への影響が大きく、迂回路整備も大がかりとなるなど、施工の困難性が高いと見込まれたことから、今年度、橋梁形式の見直しも含めたより詳細な検討を行う。早期に計画が固められるよう取り組んでいく。
また、橋梁部以外の区間においては、隣接する大型商業施設への出入口ともなっている鹿島大橋東交差点を含む約250メートル区間において道路築造工事に着手したところであり、無電柱化については、昨年度から電線共同溝の詳細設計を進め、今年度からは整備に伴う費用負担など、具体的な協議を行う予定としている。
今後も、国道247号鹿島バイパスの整備にしっかり取り組んでいく。
【委員】
国道247号鹿島バイパス4車線化の事業においては、事前評価においても、事業の必要性、貨幣価値化困難な効果、事業の実効性、事業手法の妥当性、いずれも十分な効果が認められるということで、2021年度から事業化され、事業を進めてもらっている。
既にこの道路用地も確保されており、取り付け道路も、蒲郡市側の調整ができている。渋滞の解消はもとより、災害対応のためにも、速やかな事業の進捗を切望する。
鹿島大橋の橋梁設計についても従前から取り組んでいると思うが、まずはそこに至るまでの道路の4車線化の取組を進めるとともに、鹿島大橋と連動する事業としても速やかに展開してもらうことを要望する。
続いて、二つ目の質問として、2024年8月27日に蒲郡市竹谷町大久古地区において発生した土砂崩れに関する調査報告について伺う。
昨年8月27日午後10時頃、蒲郡市竹谷町大久古地区で発生した土砂崩れによって5人が暮らす住宅が巻き込まれ、3人が死亡、2人が重軽傷を負う重大な災害が起きた。
県当局の関係者には、災害発生の初動対応から被災者の救助活動、その後の復旧工事等に至るまで迅速に対応してもらったこと、地元議員としても心から感謝を述べるとともに、懸命な救助活動にもかかわらず亡くなった3人、また負傷した家族には、心からお悔やみとお見舞いを述べたい。
今回の土砂崩れは、発生直前の降雨量が既往の災害に比べて少なく、また、斜面も土砂災害警戒区域に該当しないなど、これまで県内で発生した土砂災害とは異なる点があることなどから、改めて土砂災害警戒区域の指定要件の有無を確認するとともに、家屋倒壊に至った本事象のメカニズムを推定すること等を目的として調査が行われた。
各委員には、本年5月30日に土砂崩れ現地調査チームが公表した報告書の一部を配布したので、見てもらえればと思う。
この報告書によると、この土砂崩れには特徴的な点が幾つかある。一つ目は、崩壊地の地質は、花崗岩が風化した真砂土である。
二つ目は、崩壊後に生じたと考えられるガリが源頭部の大きな穴から斜面法尻まで連続しており、また、ガリの深さは、中腹付近で最大2メートル程度である。なお、このガリとは、降水等による集約した水の流れによって、地表面が削られてできた地形のことである。
三つ目は、現地の痕跡から崩壊の深さは1メートルから2メートル程度で、斜面の表層で起こった崩壊である。
四つ目は、現地に堆積している崩壊土砂には多くの水が含まれており、また、崩壊土砂には流木と見られる木が混じっているなど、立ったまま流されたものも見られることである。
崩れた土砂は法尻にとどまることなく、法尻から距離がある市道付近の家屋まで到達して全壊させている。法尻から家屋まで38メートルの距離があった。
ガリの起点部や斜面の途中に湧水の痕跡や湧水は確認できなかったことといった特徴点が挙げられ、結論として、今回の土砂崩れは、大量の表流水の関わりにより流動化した土砂が土石流の形態で斜面を高速で流れ下ったものと推定された。
なお、大量の表流水と推定した根拠の一つ目は、ガリの起点部や斜面の途中に湧水の痕跡や湧水が確認されておらず、地下水が大量に流出したものではないことである。
根拠の二つ目として、28日午前6時には崩壊地源頭部から法尻まで明瞭なガリが形成されていることが確認されており、これは土砂崩れ発生後、27日午後10時頃から28日午前6時までの間に流水により形成されたものと考えられており、27日から28日までの時間当たり降水量の変化を踏まえると、土砂崩れ後の降雨のみで発生したものとは考えにくく、土砂崩れ発生前から流水が存在した可能性があるとしている。
一方で、土砂崩れの源頭部から2メートルほどのところに豊川総合用水蒲郡支線の管水路21号空気弁があり、土砂崩れ現地調査チームの水路専門部会が蒲郡支線による土砂崩れの発生の影響を確認調査している。
土砂崩れ発生後の8月28日午前2時頃に当該区間の通水停止操作を行ったため、通水テストは9月6日に実施され、結果として、土砂崩れ箇所付近の蒲郡支線については、管水路上部の地表面や管水路から近接している源頭部付近の漏水は確認されておらず、管水路から分岐する21号空気弁についても漏水や損傷はなかったと記されている。
土砂崩れ現地調査チームとしては、本事象のメカニズムを推定する等の一定の調査目的は果たしたと言えるのかもしれないが、本事象を発生させた大量の表流水がどこから発生したものかは究明されておらず、この究明なくしては今後の対応策も十分なものとはならず、今後同じような災害を発生させてしまう懸念が残るものではないかと危惧している。
土砂災害は大雨や地震などが引き金となって急激に土砂が動き出すことで発生するもので、国土交通省によると、昨年1年間では45の都道府県で1,433件の土砂災害が発生し、統計開始以降の平均発生件数を上回ったようである。なお、土砂災害による死者は56人、人家被害は705戸あったようである。
そこで、県内での土砂災害の発生件数並びに被害状況はどのようであったか。また、今回のように、土砂災害警戒区域に指定されていない場所での発生件数についても伺う。
【理事者】
全国では2024年に1,433件の土砂災害が発生したが、本県は6件であり、人家への被害は2戸であった。また、過去5年間に本県で発生した土砂災害は83件であり、人家への被害は11戸であった。
次に、土砂災害警戒区域に指定されていない場所での土砂災害の発生件数であるが、2024年は6件の土砂災害のうち1件が土砂災害警戒区域に指定されていない場所で発生した。また、過去5年間では、83件の土砂災害のうち、9件が土砂災害警戒区域に指定されていない場所で発生した。
【委員】
今回の土砂災害発生箇所では、斜面が30度以下であったため、土砂災害警戒区域には指定されていなかったが、崩壊箇所の局所的な斜面勾配は32度あり、今後、土砂災害警戒区域の指定の際に考慮することも必要と思われるが、どのように捉えているか。
【理事者】
土砂災害警戒区域の指定要件の有無については、学識者の助言を受けて取りまとめた報告書にも記載している。
具体的には、今回の土砂崩れが発生した斜面のうち、勾配が30度を超える部分は局所的であり、崩壊した場合に影響が及ぶおそれがある範囲に、人家や立地が予想される平たんな土地が含まれないため、指定要件には該当しないことを確認している。
また、土砂災害警戒区域の指定要件は国が定めており、国が設置した土砂災害防止対策推進検討会において、本年4月に土砂災害警戒区域の指定についても提言が出されている。
これによると、指定基準未満の地形要件において発生する土砂災害は、現時点では相対的に発生頻度が低く被害も小さいことから、直ちに基準の見直しを検討する状況にはないと判断できるとされている。
その一方で、指定基準の見直しについて毎年発生した土砂災害を基に、土砂災害警戒区域の確度、すなわち確かさの度合いの検証を継続的に実施すべきであるとも述べている。
本県としては、国が行う検証などに引き続き注視していきたい。
【委員】
引き続き、国の動向も注視しながら、対応をお願いしたい。
今回の事象を踏まえて、県当局として、今後はどのような土砂災害対策が必要と考えているのか伺う。
【理事者】
本県の土砂災害対策としては、ハード・ソフト一体となって進めていく必要がある。
ハード対策では、土砂災害のおそれがある箇所のうち、保全対象に防災上重要な施設が含まれている箇所を重点に、砂防堰堤や急傾斜地崩壊防止施設などの整備を実施している。
ソフト対策では、土砂災害警戒情報を発表するとともに、土砂災害警戒区域の指定を行っており、今後も着実に推進していく。
なお、国の検討会の資料によると、土砂災害のほとんどが土砂災害警戒区域の指定要件がある箇所で発生したとされているので、見落としがないようしっかりと調査を進めていく。
また、今回の土砂崩れは、土砂災害警戒区域の指定要件がない箇所で発生したものであるが、土砂災害の危険性が高まった際に、土砂災害警戒区域に指定されていない箇所が安全であると誤解されないよう、土砂災害警戒区域の指定の際に行う説明会などで周知に努めていく。
【委員】
今回のように、土砂災害警戒区域に指定されていないところでも過去に土砂災害が発生している答弁があったが、ぜひとも地元説明会の折にはそのような地域でも起き得る可能性があることを伝えてもらい、住民自身が自分の住む地域にどのような危険があるかを理解できるような取組をお願いしたい。
私も今回、独立行政法人水資源機構や豊川総合用水土地改良区とも話をしたが、それぞれの立場で、今回の事象を真摯に受け止めてもらっているものと理解した。
しかしながら、先ほど言ったように、大量の表流水の発生原因の究明については、やはり十分な調査が必要と感じている。
要因の一つとして、委員に配った資料の中に、空気弁の写っている写真があり、報告書の中にも記されているが、この空気弁は、源頭部から2メートルほどのところに設置されている。
ここから枯れ葉が水流で流されている痕跡が見受けられるが、報告書にもあるように、これは幅1メートルほどの痕跡があり、それなりの水量があったと思われる。しかし、この痕跡が何に由来しているのか、また、いつからあるものかは不明となっている。
土砂崩れ現地調査チーム水路部会の調査報告書では、当該空気弁からの漏水はなかったと判断されており、その根拠として、止水した後の通水試験により漏水は起きていないと判断しているようだが、土砂崩れ発生時に漏水していなかったとの論拠には十分とは言えないと思う。
蒲郡市土地改良区の関係者の話を聞いた中で、何かしらの異物により空気弁内のフロート弁体がきちんと密着せず、そこから漏水が発生して、止水した時点で空気弁内のフロート弁体が下がり、挟まっていた異物があったとしてもその痕跡は確認できず、その後、通水したとしても、問題なく通水されることが多いとのことであった。
今回の調査のように、止水後の通水試験で漏水がなかったからといって、土砂崩れ発生時に漏水はなかったとは断定できないのではないかと思われる。実験として空気弁から強制的に漏水を行ってもらい、どれくらいの水が流れることでこのように1メートル幅の枯れ葉を流すことになるのかを検証できると新たな事実関係も明らかになると考える。
二つ目に、報告書の中に、本事象発生時の状況を把握するために被災者及び被災家屋の隣人、救助に関わった蒲郡市職員等からの聞き取り調査の記録があり、そこには、8月27日午前10時頃の隣接住民の証言から、時系列に従って16時頃、18時頃、そして20時頃、さらに22時頃の発災時の被災者証言、その後の捜索関係者の、翌28日の午前1時46分に新たに到着した警察官と思われる人から水が流れている音が聞こえるため危険ではないかとの声で、一時退避したとの証言までが記載されている。
被災現場では28日の午前2時頃に豊川用水の通水を停止する作業を行っているが、その後の聞き取り調査の記録は記載をされていない。私はここが大きなターニングポイントになっていると思う。通水を止めた後、その前とどのような変化が起きているかを調べることが大事だと考えている。
その時間帯、現場で土砂撤去をしていた土木事業者から私が話を聞いたところ、豊川用水の通水停止を行ったとの一報を聞いてから流れてくる水の量は明らかに減量したとのことであった。
また、通水停止を行った際には、現場で止水を確認することになっており、関係者への聞き取り調査は大変重要と思われるので、ぜひともお願いしたい。
さらに、先ほど配布したもう一枚の写真は、被害者のドライブレコーダーのものである。時間は8月27日15時57分で、まだ土砂崩れが発生する前、その夕刻のものである。少し画像が見にくいが、このドライブレコーダーの動画は、水が流れるような音が聞こえる。
この被害者は、これまでに経験のない量の水が山の方から流れてきているということで、気になってすぐに父親に連絡を取ったそうである。あいにく、市外に出かけていたため、夜になってからの帰宅となり、豊川用水へは翌日に連絡を取ろうということになったようだが、残念ながら、その数時間後に土砂崩れが発生してしまった。この被害者は、もしもそのときに父親の帰りを待たず、すぐに市役所あるいは豊川用水に連絡を取っていれば、もっと違う状況になったのではないか。言わば、大切な家族を失うことにはならなかったのではないかと悔やむ思いがある。
改めて、今回の調査に関わってもらった全ての人に感謝を述べるが、今後、こうした災害を起こさないために最善の努力をすることが私たちの務めであり、課せられた責任であり、また、被害に見舞われた人々への報いであろうとも思っている。
今回の調査で、土砂の流動化に影響を与えた表流水の発生元を特定する客観的なデータや目撃証言を得ることができなかったとのことだが、今一度、調査チームとして再調査してもらうか、あるいは、第三者委員会による発生元を究明してもらい、今後の対策につながる取組を要望する。
【委員】
予防保全、新技術を活用した橋梁点検の効率化について伺う。
本県において、インフラ維持、更新のコストは増大していると理解している。ただ、この議論において重要なのは、ただ予算を減らすことだけではなく、効率的な運営や技術発展に向けた人と技術への投資こそが公共インフラの分野には必要だという点である。
国土交通省の統計によると、建設業界の就業者数は30年で急激に減少しており、全国の就業者数は約200万人減少している。就業者数の大幅な減少の背景には、バブル崩壊後の建設投資の縮小が大きく影響していると推察している。さらに、建設業界を支えてきた世代の退職、新たな人材の確保が難しいという状況が重なり、建設業界が一層厳しい状況に、これからもさらに直面していくことが予想される。
若手を呼び込み、技術やノウハウを伝承していくために行政としても必要な投資を活発に行っていくことが急務だと考えている。労働環境の改善、生産性の向上という観点からも、新技術を積極的に取り入れる、また、インフラの維持、更新への必要な投資を行い、人と経済の流れをつくって、建設分野がこれから発展していくという機運醸成が必要だと考えている。
元来、日本の建設業界には、丁寧な作業や災害への強さ、安全性、従業員への労務災害の防止など、世界に誇るノウハウがあると思っている。こうした日本の質の高いインフラは、計画段階から建設、運営、維持管理まで全てのプロセスを通じて、政府やインフラの利用者だけでなく、地元の労働者や地域住民を含む多くの関係者がインフラ整備による利益を享受できるものであり、国、地域の経済社会の発展に大きく貢献するものである。
これらを踏まえた上で、予防保全と新技術の活用という二点から質問をさせてもらう。
愛知県公共施設等総合管理計画の概要を参考にすると、今後の方策として、メンテナンスサイクルの構築、予防保全型の維持管理の導入、施設総量の適正化が挙げられている。事後保全ではなく、予防保全によって予算規模の適正化、また、その分を適切な技術、人材への投資に転換していくことで、建設業界の活性化により一層つながるものと推察する。
県が管理する橋梁については、5年に1回の定期点検が義務づけられており、橋梁の点検結果に基づき、計画的に修繕等の措置を実施することとして、2023年度までに2巡目の点検を完了し、2024年度から3巡目の点検に着手していると認識している。
そこで、2巡目の橋梁点検の結果及びその修繕状況を伺う。
【理事者】
本県が管理する橋梁は約4,600橋あり、点検の結果は、健全な状態の区分Ⅰから、機能に支障が生じ、通行止め等を伴う緊急措置段階である区分Ⅳまでの4段階で評価している。
2巡目の点検結果については、区分Ⅳと判定された橋梁はなく、区分Ⅰの割合が36パーセント、予防保全の観点から修繕が望ましい区分Ⅱは57パーセント、早期に措置を行うべき区分Ⅲは7パーセントとなっており、計画的な修繕を進めてきた結果、区分Ⅲの出現率は1巡目の9パーセントより低下している。
次に、修繕状況についてだが、まずは区分Ⅲの橋梁について、次回の点検までに修繕を実施することとしており、2024年度末までに61パーセントの修繕が完了している。さらに、区分Ⅱの橋梁についても計画的に修繕を進め、予防保全型のメンテナンスサイクルへの本格転換を図っていく。
【委員】
こうした予防保全によって、予算の適正化も含め、安全性も担保し、また、そこに必要な投資を行っていくことを今後もやってもらいたい。
また、こうした橋梁点検や修繕を着実に実施していくためには、5年に1回の橋梁の定期点検が固定費としてかかってしまうこと、そうした財政的な負担が大きいこと、点検や診断現場では技術者が不足していることから、今後も橋梁点検の効率化を図る必要があり、新技術の導入を積極的に進め、必要な分野へ投資を行うことが非常に重要である。
そこで、橋梁点検の効率化に向けた取組を伺う。
【理事者】
本県では、橋梁点検の効率化に向け新技術を活用しており、これまでに大型の橋梁点検車等が不要となるドローンやポールカメラ等を活用した点検を125橋で実施している。こうした新技術の活用により、現場作業時間の短縮や、通行止め等の交通規制の回避など、橋梁点検の効率化が図られている。
また、2024年度より設置している、有識者等による「橋梁定期点検の効率化に向けた検討委員会」での意見を踏まえ、今年度から点検調書の簡素化に取り組んでいる。
具体的には、国の点検要領では27種類の記録様式が定められており、本県もこれに準じていたが、本県が管理する橋梁の約6割に当たる橋長15メートル未満の小規模橋梁を対象に、点検の質を確保できる範囲内で5種類から10種類の記録様式に簡素化し、点検作業の省力化やコスト縮減を図っている。
今後も、点検の効率化に向け、さらなる新技術の活用などの検討を進めていく。
こうした建設分野において積極的にデジタル技術を活用していくことがより効率的な事業運営の一助となっていくこと、さらに生産性を高めていく可能性があると考えているが、同時に、ドローンやポールカメラだと、導入コストの高さなどで、やれるところが限られてしまうこと、また、いきなり始めようと思っても、何から始めていいのか分からないというのが現場の実態としてあるのではないかと思っている。
小規模の事業についての調書を電子化するなどの取組を愛知県の建設業界全体として取り入れていくこと、少しの手間でもできることからまず効率化を図っていってもらいたい。
そういった新しい技術をまず小さいことからでもいいのでぜひ活用して、効率化を図ってもらうことを要望する。
【委員】
私は30年以上、自動車産業、モノづくりの世界で働いてきた。先日の建設委員会の所管事項に関連して、工場の建設、道路整備をはじめとした周辺環境の整備、近年より重要性が増している防災・減災対策、生産活動を支える物流の維持管理、そして、勤労者の通勤手段の確保や、完成した車両の配送や港湾からの全世界への出荷等、あらゆる事業活動が建設部門の関係者に支えてもらっていることを実感していて、その取組に対して感謝を述べたい。
豊田市周辺では東海環状自動車道の豊田松平インターチェンジへのアクセスとして、国道301号の松平バイパス、それから根引・林添バイパスの整備を進めており、昨年3月、山間部のテストコースを含むトヨタ自動車株式会社の研究施設が全面完成し、周辺住民の皆さん、約3,000人の従業員に加えて、共同研究や打合せに来場する自動車関連出張者のアクセス性向上などが飛躍的に図られている。
一方、私の地元である岡崎市の自動車産業に影響する道路に目を向けると、新東名高速道路の浜松いなさジャンクションから豊田東ジャンクション間の開通に先立ち、2015年に岡崎東インターチェンジと国道1号を結ぶ目的で、国道473号岡崎額田バイパスが整備された。
その結果、もともと国道1号沿いに集積していた自動車関連の工場に加えて、岡崎東インターチェンジ付近にあった既存の工業団地において、工場のさらなる拡張や新規工場の建設並びに物流拠点の整備も進んだ。
また、国道473号岡崎額田バイパスは新東名高速道路と国道1号という重要な東西軸を連結する道路であり、岡崎東インターチェンジから国道1号を通じて、西は東名高速道路の岡崎インターチェンジ、東は音羽蒲郡インターチェンジを結ぶ役割も担っている。
そこで、最初の質問であるが、新東名高速道路の開通に合わせて整備した国道473号岡崎額田バイパスの総事業費及び事業期間を伺う。
【理事者】
国道473号岡崎額田バイパスについては、国道1号から新東名高速道路との交差部付近までの約3.6キロメートルのバイパス本線と、岡崎東インターチェンジへのアクセス区間約0.7キロメートルの区間について、新東名高速道路の岡崎東インターチェンジの供用に合わせて整備した。
これらの整備に要した事業費は、約160億円で、事業期間は2007年度から2015年度までの約9年間である。
【委員】
総事業費及び事業期間については分かった。
答弁があったように、新東名高速道路の開通に合わせたバイパス整備によって、周辺の工業団地では既存工場の拡張や新たな企業の進出、物流拠点の整備が加速した結果、国道473号岡崎額田バイパスの開通後は、周辺工業団地に通勤する人の出勤、退勤の時間帯を中心に慢性的な渋滞が発生した。
渋滞は従業員の通勤環境の悪化だけでなく、周辺住民の移動や生活道路への車両流入に伴う子供たちの通学路の安全確保にも支障をきたすので、周辺工業団地の企業が協力して取組をし、車から公共交通への通勤手段の変更や、フレックス勤務による交通集中の分散化、自社警備員による交通誘導などの対策を進め、慢性的な渋滞の解消に努めてきた。
当該企業では独自に周辺の交通量調査を行い、地元町内会の役員に実態の聞き取りなども定期的に行い、都度、岡崎市への報告も実施するなど、そうした企業努力の結果、現状では、慢性的な渋滞は大幅に減少していると認識している。
しかしながら、本年11月に国道473号岡崎額田バイパス周辺に愛知県初となる大規模なアウトレットモール、三井アウトレットパーク岡崎が開業する。事業主である三井不動産株式会社による立地法届出によると、約180店舗の出店に伴い、休日来場者の想定は1日当たり2万9,000人、平日は休日の半分の来場者を想定しており、その前提で年間換算すると、約700万人が来場することになる。
来場者全てがこのバイパスを通るわけではないが、最も近い高速道路の出入口は岡崎東インターチェンジなので、このバイパスの渋滞対策に取り組んできた近隣企業や地域住民から、新たな渋滞発生を心配する声が寄せられている。とりわけ、休日は平日の2倍の来場者が想定されているので、自動車関連の企業の出勤日であり、かつ、来場者も多く来る国民の祝日は大変な渋滞が懸念されている。
こうした大きな変化が今後生じる中、県は今年度、国道473号岡崎額田バイパスの4車線化に着手したと聞いている。
まず、2015年の整備からこれまでの間の国道473号岡崎額田バイパスの交通の現状と見通しについて伺う。あわせて、同バイパスの今後の4車線化の取組についても伺う。
【理事者】
国道473号岡崎額田バイパスの交通状況だが、2019年度の交通量調査の結果では、1日当たり約9,500台の交通となっている。また、バイパス区間のうち、中央付近にある東部工業団地交差点付近では、朝夕の時間帯に渋滞が発生しているとのことで、2022年度に詳細な交通量調査を実施したところ、1日当たりの交通量が約1万400台となっている。このうち、東部工業団地交差点においては、夕方の時間帯に交差する市道において最大約430メートルの渋滞が、国道側においては最大約170メートルの滞留が発生していることを確認した。
交通の見通しについては、2040年度時点で1日当たり1万8,700台と推計している。
4車線化の取組については、沿線企業への通勤車両や物流交通の渋滞緩和、生活道路となっている旧道への通過交通の流入抑制を図るため、また、沿線において土地区画整理事業やアウトレットモールの整備が進められている背景などもあることから、今年度から国の社会資本整備総合交付金により、4車線化事業に着手した。
本事業は暫定2車線区間を4車線化する事業であることから、本線部分の用地は確保されているが、トンネルや橋梁などの大規模構造物を築造する必要があり、今年度はまず、トンネル部分の地質調査を実施していく。
【委員】
人口減少が進行してきた岡崎市の東部エリアに県内初のアウトレットモールが開業して、工業団地だけではなく、広域観光交流拠点地区としての計画も進行していくことに、アウトレットモールの周辺をはじめ、岡崎市に住む住民は大変期待している。
一方で、国道473号岡崎額田バイパスの慢性的な渋滞対策に取り組んできた関係者にとって、現状の2車線のままでは、アウトレットモールの開業の影響もあって、通勤や物流面での問題を大変危惧している。
今、説明があった4車線化の道路整備によって、岡崎市内及び当該地域の人流、物流の円滑化とともに、アウトレットモールを含めた市内の周遊がより一層盛んになるなど、西三河地域全体の発展につながるよう、タイムリーな道路整備を要望する。
【委員】
精密診断法による耐震補強設計について伺う。
令和6年能登半島地震では、亡くなった238人のうち、警察が検視を行った222人の死因について、最も多かったのは倒壊した建物の下敷きになったことなどによる圧死で、全体の41パーセントに当たる92人であったと言われている。
また、政府の地震調査委員会は南海トラフ巨大地震が今後30年以内に起きる確率について、これまでの70パーセントから80パーセントを80パーセント程度に引き上げ、公表した。
こうしたことからも、耐震に向けた取組は急務であり、特に、木造住宅の耐震改修は重要であると考える。
私の地元みよし市の木造住宅耐震改修費補助の目標値は、令和7年度の推計値による住宅戸数1万3,510戸に対して、92.5パーセントの約1万2,490戸で、目標を達成できたとしても、令和8年度以降で耐震化が必要な戸数は1,020戸となる。木造住宅の耐震改修をより推進するためには、その費用負担の軽減が大きな要因になると考える。
そこで、県は令和7年度から新たに精密診断法による耐震補強設計費への補助を始めたが、これは耐震改修費用を低減し、耐震改修を進めることが目的であると認識している。
精密診断法とは、既存住宅の耐震性能を詳細な調査を行った上で評価し、耐震改修設計に反映するものである。一般的な耐震診断法は、既存住宅の耐震性能の評価に当たり、住宅の劣化状況を一律に評価するところ、精密診断法は、柱などの部材一本一本の劣化状況を踏まえ、合理的に耐震性の評価をすることから、補強箇所が少なく、耐震改修費用の低減につながる。
精密診断法による耐震補強設計費補助の制度の概要と制度創設済市町村数、また、制度の利用実績を伺う。
【理事者】
本県では、耐震改修費用の低減につながる精密診断法の普及により住宅の耐震化を促進するため、今年度、精密診断法による耐震補強設計費に対して、市町村と連携して20万円を上限として補助する制度を創設している。
この補助制度を創設している市町村は、県内54市町村のうち13市町となっている。
また、補助実績については、5月末時点で98戸となっている。
【委員】
制度創設済みの市町が13ということである。
私が確認したところ、5月末までの2か月間で、10の市町で98件の制度の利用があった。
令和6年度の県の木造住宅耐震改修費補助では県内54市町村で570戸の実績があり、12か月で割ると月当たり47.5戸で、これを2か月とすると95戸となる。10市町で98件のこの実績は、その意義を感じるものである。
こうしたことから、精密診断法による耐震補強設計費補助は耐震改修の推進に大きく寄与すると考えるが、そのためには精密診断法を使える設計士が必要となる。
精密診断法を使える設計士の現状の人数と目標人数はどうか。
【理事者】
精密診断法を行える設計者等の数について、総数は把握していないが、平成30年度に市町村や建築関係団体と連携して創設したあいち耐震改修推進事業者制度により、耐震改修に意欲的で技術力を有する事業者として登録しているあいち耐震改修推進事業者については把握している。
現在、推進事業者として登録している設計者は151人おり、そのうち、精密診断法に対応可能な設計者は86人であり、登録事業者の約半数である。
なお、具体的な目標人数は設定していないが、精密診断法を行う設計者を早期に増やすため、講習会を開催して養成していきたい。
【委員】
まだまだ少ない設計者や建築士を増やすためには、市町村における制度の創設が必要不可欠だが、13市町にとどまっている。
未創設の要因と、制度創設に向けた今後の働きかけはどのように行うか伺う。
【理事者】
耐震補強設計する際に精密診断法を活用することで、所有者の費用負担の軽減を図ることができ、耐震化を促進することができるが、その有効性が市町村の職員まで十分に浸透していないことが制度未創設の要因の一つと考えている。
そこで、補助制度を設けていない市町村に対しては、毎年度開催している耐震関係市町村担当者会議や地域ごとに開催している住宅建築行政に関する会議など、様々な機会を捉えて補助制度の有効性、必要性の説明を行い、制度の創設を働きかけている。
また、耐震改修の専門知識を備えている職員が不足している市町村については、県の建築職員が個別に市町村に出向いて、精密診断法の技術的な内容を分かりやすく解説するなどの対応を行っており、今後も引き続き、補助制度実施市町村の拡大に取り組んでいく。
【委員】
私の地元のみよし市で、この制度がまだできていない状況である。
担当者に聞いたところ、制度を設けていない理由として、現状の精密診断が実施可能な市内の事業者が少なく、補助金が活用される見込みが立たなかったためということであった。
制度をつくっていくためには精密診断法を使える設計者や建築士を増やすことが重要であり、そのためには市町村における制度の創設の推進とともに、精密診断法を使える建築士などの養成が重要であると考える。
精密診断法を使える建築士等の養成について、これまでの実績と今後の計画を伺う。
【理事者】
精密診断法を行える建築士等を養成するために建築関係団体と連携して精密診断法講習会を令和5年度から始めており、診断方法の詳細な内容や具体的な事例を用いた診断手順の説明などを行っており、昨年度までの受講者は129人となっている。
今年度に創設した精密診断法による耐震補強設計費補助制度を有効に活用してもらうため、より多くの建築士を早急に養成していく必要があると考えており、昨年度までは年度末にこの講習会を開催していたが、今年度は時期を前倒しし、7月に名古屋市と岡崎市で開催する。
また、令和4年度から低価格耐震改修工法の講習会の一部において、精密診断法を使用した設計例を解説する講義を盛り込んでおり、昨年度までの受講者数は135人となっている。昨年度までは名古屋会場1回の開催であったが、今年度は名古屋会場に加え、8月に開催地域を増やして豊橋市、岡崎市、半田市で開催し、計4回を予定している。
今後も引き続き、建築関係団体等と連携し、精密診断法を行える建築士等の養成にしっかりと取り組んでいく。
【委員】
木造住宅精密診断法による耐震診断講習会などを年に1回から4回程度開催しているとのことであるが、その開催場所は限られている。54市町村の全てで必要とする県民が精密診断法による耐震補強設計や低価格耐震改修工法を活用して命を守る取組ができるようにすることが必要である。
そのために県の建設事務所単位など設計士や建築士の身近なところで講習会等を開催し、精密診断法を使える建築士などを増やすこと、また、県民に広く精密診断法による耐震補強設計や低価格耐震改修工法のメリットを伝え、実施してもらうことが重要と考える。
県の建設事務所単位など、建築士等の身近な地域での講習会等の開催を含め、今後の精密診断法の普及に向けた周知啓発の取組についての考え方を伺う。
【理事者】
精密診断法の活用を検討している建築士等が診断法を学びやすい環境を整えることは重要であるので、今年度、開催地域を増やして開催する講習会の参加状況を踏まえながら、今後の講習会の在り方について検討していく。
次に、精密診断法の普及に向けた周知啓発の取組についてだが、精密診断法による耐震補強設計の普及には、その有効性を住宅の所有者や建築士等に理解してもらうことが重要である。
そこで、所有者に対しては、建築関係団体や市町村と連携して今年度新たに作成する、精密診断法を活用した耐震補強設計の有効性を分かりやすく解説したリーフレットなどを活用して、耐震診断員が無料耐震診断の結果を報告する際や、市町村が実施している戸別訪問の際に周知啓発を行っていく。
また、建築士等に対しては、耐震化を促進するための各種講習会や建築関係団体と連携したダイレクトメールなどにより周知啓発を行い、一層の普及促進に取り組んでいく。
【委員】
繰り返しになるが、県の建設事務所単位など、設計者や建築士の身近なところでぜひ講習会等を開催し、精密診断法を使える建築士を増やしてもらうこと、また、県民に広く精密診断法による耐震補強設計や低価格耐震改修工法のメリットをしっかりと伝えてもらい、自分自身と家族の命を守る取組を確実に推進してもらうよう要望する。
【委員】
県営都市公園における落雷事故防止について伺う。
本年4月、奈良市の中学校でグラウンドに雷が落ちて、生徒6人が病院に搬送され、このうち、サッカー部に所属する14歳の男子中学生2人が意識不明の状態となった。このうち1人はその後意識が回復したが、今も入院して治療を受けているとの報道は記憶に新しい。
この事故によって落雷事故の恐ろしさを改めて認識したが、落雷事故は、屋外のどこでも起こり得る。
落雷の恐怖や危険性は理解しながらも、実際の事故報道を目の当たりにすると、たとえ短い時間や距離であっても、雷が発生している中、屋外を移動するにはかなりの勇気と度胸が必要になってくるし、私自身も非常に何度も怖い思いをしたことがある。個人の力では何とも防ぎようがないのが落雷事故ではないだろうか。
この奈良市の落雷事故発生後、私のところに数件の問合せがあった。そのうちの1件が、公園などの落雷事故防止対策についてだった。私の地元には県営大高緑地があり、老若男女が集う都市部にある大規模な自然公園で、多くの県民が日の出から日の入りまで訪れる人気の公園である。
先日も東海地区最大級をうたった無料ロックフェスティバルが開催され、2日間で約6万5,000人を動員し、5月17日、土曜日、18日、日曜日と開催された。このイベントは無料ということで、地元はもちろん、全国から多くの若者が大高緑地を目指して集まる、2日間にわたって楽しめるイベントだったが、初日は残念ながら雨天の中にもかかわらず、大盛況だったと参加者から聞いた。
もし、この雨天のライブ中に落雷事故が起こってしまったら、大変なことになる。大高緑地はこういったライブの開催のほか、幅広い世代が様々な目的で集う場所でもあり、自然が相手とはいえ、突発的な天候の急変、雷への対応も想定する必要があると考える。
そこで、現在の県営都市公園における落雷事故防止対策はどのような状況か伺う。
【理事者】
県営都市公園において、これまで落雷による事故は発生していないが、落雷事故防止対策としては、まず、公園管理事務所職員が天候の確認や雷注意報などの天気予報をチェックし、さらに、スマートフォンアプリで雷アラートを設定するなど、情報の早期把握に努めている。
そして、落雷の兆候を把握した場合は、園内放送設備のある公園では園内放送で注意喚起を行い、放送設備のない公園では園内各所に職員が出向き、公園利用者に建物など安全な場所への避難を呼びかける注意喚起を行っている。
そのほかにも、有料施設利用者には受付時に口頭により注意事項として雷への対応を伝え、また、園内掲示板に雷に対する注意喚起の掲示も行っている。
【委員】
現在も、様々な対応策を行っていることは理解した。外国人なども含めて対応が必要だと思うが、そういった人にどのような注意喚起を行っていくのか伺う。
【理事者】
特に有料施設利用者には確実に認識してもらえるよう、受付時の運動施設等利用許可書を交付する際に落雷の兆候を把握したときには、雷に対する対応を記載した書面による注意喚起を行うことを検討していく。
今後とも、雷への対策のほか、安全かつ安心に県営都市公園を利用してもらえるよう着実に取り組んでいく。
【委員】
書面で注意喚起することは非常に大切なことだと思うし、様々な多言語にも対応できるので、引き続きこの書面での対応を一刻も早くできるように要望する。
【委員】
県道生平幸田線幅員狭小箇所の整備について伺う。
岡崎市内の県道生平幸田線については、本年2月定例議会の議案質疑で、国道1号と交差する山中小学校北交差点の右折レーンを設置する交差点改良事業において、今年度、用地買収に着手していくとの答弁をもらい、一歩前進と地元も一安心した。
しかしながら、その先の名電山中駅の北にある社会福祉事業所前の区間は幅員が狭い状況であり、この箇所では社会福祉事業所の職員が横断するほか、小学校の通学路にもなっており、現地では、エスコートマークによる速度抑制対策や、路肩のポストコーン、グリーンベルトによる通学路の明示など、交通安全対策を実施している。
地元通行車両は、その事情を承知の上、最徐行や譲り合いの運転で事故を回避している状況にある。冒頭述べた山中小学校北交差点の改良が完了すれば、本路線の利用もしやすくなり、この狭隘区間に入り込む交通も増加し、歩行者の危険性も高まると危惧している。
さらに、11月には三井アウトレットパーク岡崎の開業が予定されており、県道生平幸田線はアクセス道路にはならない計画とは聞いているが、車両が誤って進入する可能性もあることから、交通安全の面で、この狭隘区間の道路拡幅は必要性が高まっているのではないか。
県道生平幸田線のうち、名電山中駅の先、幅員が狭い箇所での道路拡幅に関する現状と今後の取組について伺う。
【理事者】
県道生平幸田線については、名電山中駅付近の踏切から東へ約470メートルの間において道路の幅員が狭小であったため、現道拡幅の事業を進めてきた。
事業を進める中、用地買収の協力が得られず、工事に着手できなかった区間があったため、この区間以外の約310メートル区間について工事を進め、平成24年度にこの区間の拡幅工事を完了している。残る約160メートルの区間については、その後も岡崎市を通じて地元と調整を図ってきたが、状況は変わらず、現在も未着手の状態が続いている。
事業を再開するに当たっては、道路計画に対する沿線の人々の理解が何よりも重要であり、周辺の土地利用や交通の状況も当時から変化してきていることから、まずは岡崎市と相談しながら、改めて地元に理解してもらえる道路計画案の検討を行うなど、地元調整を進めていく。
【委員】
地元学区としては、定期的に愛知県と岡崎市を交えて会合を開催して、進捗状況などを情報共有していると聞いている。以前と違って、道路計画に前向きな人ばかりであるので、しっかりと道路計画を進めてもらうことを強く要望する。
【委員】
港湾の脱炭素化に向けた取組とクルーズ船について伺う。
まず、脱炭素化の取組内容について伺う。
2050年のカーボンニュートラルの目標達成に向けて、様々な分野において、官民挙げて取り組んでいる。
名古屋港においても、カーボンニュートラルポートの形成に向けて脱炭素化など、様々な取組を行っている中で、本年6月には、名古屋港で水素燃料電池の換装型の荷役機器を導入するに当たり、新しく補助金を出すことが発表された。
名古屋港は、コンテナの取扱いが大きく、門型クレーンを多く使用するので、その動力を水素電池化していこうと、荷主やコンテナ会社、倉庫の会社に対して補助金を出している。
今回、紹介したのは名古屋港の門型クレーンの水素電池換装型導入に対する補助であるが、衣浦港では、コンテナの取扱いはなく、バルクも非常に多く、三河港では、完成自動車の輸送も非常に多いので、それぞれの港において、取扱品や背後地の関係も含め、様々な地域性がある。
現在、脱炭素化など、様々な推進計画を策定して、それぞれの港湾で取り組んでいるが、県として、とりわけ衣浦港、三河港が脱炭素化に取り組んでいくと書いてあった。
それぞれの港湾の脱炭素化を進めていくに当たっての特色と課題について伺う。
【理事者】
港湾管理者である県としては、港湾における脱炭素化に向け、令和6年3月に衣浦港及び三河港の港湾脱炭素化推進計画を策定した。
衣浦港では、バイオマス燃料を保管するためのふ頭整備を進めるとともに、株式会社JERAが運営する碧南火力発電所における石炭からアンモニアへの燃料の転換などを推進している。
三河港では、鉄の製造工程でCO2排出量が少ない電気炉の鋼材取扱岸壁の整備を進めるとともに、トヨタ自動車株式会社をはじめとする生産工場における水素の利用などを推進している。
今後、計画の実現に向けては、脱炭素化に必要不可欠である水素やアンモニアのサプライチェーン構築や、それらを安全に取り扱うことを可能とする施設整備が必要であるので、官民で連携して取り組んでいく。
【委員】
衣浦港には、バイオマス発電所や碧南火力発電所があり、アンモニアの混焼などが始まる。三河港においても、トヨタ自動車株式会社等々の話があったが、それぞれの特色に合わせた、脱炭素化に向けての取組というのがあると聞いた。
もう一点、脱炭素化に向けた計画において、例えば、衣浦トンネルの電球をLED化するといったものが挙げられているが、非常に地味であるという感想を持った。
昨今、ペロブスカイト太陽電池が注目されており、昨年、県民環境委員会において、県はあいちペロブスカイト太陽電池推進協議会も立ち上げて、様々な場所での実証導入やモデルケースの確立に取り組もうという話があった。
港における脱炭素化を考えたときに、例えば、港湾施設にペロブスカイト太陽電池を設置するなど、港湾施設の脱炭素化に活用できないか。
ペロブスカイト太陽電池自体はここで話すまでもないが、地元の市町村も協議会に入っており、知多半島には、高速道路もあるし、鉄道もある。
ペロブスカイト太陽電池は、これまでの太陽電池と違い、どこにでも設置ができ、軽く、髪の毛の5分の1ぐらいの薄さでできる。原材料であるヨウ素も国産で賄え、レアメタルも使わないため、国内でサプライチェーンも完結することで、次世代太陽光発電の国産の切り札のような位置づけで、国を挙げて取り組んでいる。その中で、中部電力株式会社や株式会社アイシンも立地しているということで、本県も一生懸命やっている。
県の管理港湾は一番の身内なので、こういった施設でもペロブスカイト太陽電池を活用した脱炭素化に向けた動きを何かできないかと感じているが、敷地内の県有施設において、ペロブスカイト太陽電池の導入について、どのように考えているのか。
【理事者】
衣浦港・三河港港湾脱炭素化推進計画には、太陽光発電施設の整備促進を位置づけている。
ペロブスカイト太陽電池は太陽光発電施設の一つで、エネルギーの変換効率が高く、軽量で柔軟性があり、設置場所の自由度が高いため、様々な用途への応用が期待されている。
一方で、寿命や耐久性などについて課題もあるので、港務所や上屋等の県有施設への導入については、今後の普及動向等を注視しながら検討していく。
【委員】
今後の普及動向を見て検討では、非常に遅い。県が推進協議会を立ち上げ、音頭を取っている部署が別にあるわけである。建設部門だから違うと言われても、知事が先頭に立って進めているわけであるから、一段階も二段階も遅い気がする。
関連の民間企業の施設でも、実証実験としてどんどん設置されていると思うし、もっと言えば、これまで耐荷重が問題で設置できなかった場所や、あるいは、曲面でも設置できるということで、JR東海では、全ての防音壁に使用している。
本来だったら公共施設は率先して取り組んでほしいので、ぜひ検討してほしい。
もう一つは港湾振興についてである。
先日、衣浦港振興会の要望会にも出席したが、港の振興といえば、取扱額を増やしていくというのが一番だが、それと同時に、にぎわいをつくっていくというのも非常に大きな一つだと思うので、今回はクルーズ船の話を少し聞きたい。
クルーズ船というと、名古屋港が中心になるのは、よく分かる。
新型コロナウイルス感染症が終息し、最近、ガーデンふ頭に行ったら、見慣れない光景があった。何か違和感があると思ったら、マンションのような、団地のようなクルーズ船が停泊していた。
このクルーズ船は、ノルウェー船籍ということで、外国人が多く乗っており、逆に、ポートビルに上ったら、クルーズ船を上から見ることができた。寄港して1,000人以上の乗客が降りて、買物をすることで、地域経済の振興や活性化になるし、港に来ていた人は、旗などを振っていた、すごくよいことだと感じた。
県管理港湾にクルーズ船はあまりないかと思っていたところ、先日、常滑市の伊藤辰矢市長と話していたら、セントレア沖で、クルーズ船が沖に停泊して、そこから小さい船で港に上がり、常滑市内を観光してもらうという取組があることを聞いた。
半田市の衣浦港にクルーズ船というのは、全然イメージはないが、実は、去年来航したということで、にっぽん丸という船がこんな内港に来るのだと思った。また今年も来ると聞いている。コロナ前ではあるが、三河港にも、ダイヤモンド・プリンセスが来たと聞いている。
クルーズ船の寄港を増やしていくことは、港のにぎわいに大きく寄与するとは思うが、現況、コロナ禍を経て、愛知県のクルーズ船の寄港の状況について伺う。
【理事者】
県内港湾においては、これまで名古屋港、三河港、衣浦港、常滑港にクルーズ船が寄港している。
名古屋港では、世界のクルーズ船需要の高まりに伴い、2024年の外航クルーズ船の入港が29隻と過去最高を記録し、2025年はさらにそれを上回る実績となる見込みである。
県管理港湾においては、三河港では2024年に外航クルーズ船アルタニアが寄港するなどの実績がある。常滑港、衣浦港では、にっぽん丸がそれぞれ2020年と2024年に寄港している。
近年、県管理港湾においてもクルーズ寄港は増加傾向にあり、今後のクルーズ船の寄港予定については、まず、三河港では本年7月に飛鳥Ⅱ、11月ににっぽん丸と飛鳥Ⅲ、衣浦港では12月ににっぽん丸と、合計4隻の寄港が決まっている。
国においても、外航船が寄港する港をどんどん増やしていきたいということで、計画を立てている。
本県では、名古屋港のイメージがあるが、三河港、常滑港、衣浦港においても、クルーズ船の寄港実績が少しずつ増えていくことを期待しているので、力を入れて取り組んでもらいたい。
一時期はクルーズ船というと、超大金持ちの者の趣味のイメージだったが、最近では、割と市民権を得てきたという感じもある。例えば、ジャパネットなどの通販番組でも取扱商品にクルーズ船のプランが出ているケースもあると聞いているし、それが地域の商店や観光地ともマッチして大変好評を得て、今、誘致合戦になっているという話も聞く。
県としても、こうした地域港湾振興に当たってのクルーズ船を活用した部分に関しては引き続き、県管理港湾においても取組を進めてほしい。
最後に一点、要望する。
港湾における脱炭素化の取組は、やはりモーダルシフトの観点からもぜひ進めてほしい。選択肢として、ぜひ検討してもらいたい。
地域におけるモーダルシフトに関しては、様々な話題がある。2024年問題の長距離トラックの運転手の上限規制というのも広い意味で脱炭素化への取組としてのモーダルシフトで、トラックの排出CO2の11分の1ぐらいで済むとか、10トントラック65台分の荷物を鉄道で一気に運べるとか、様々な観点があると思うが、現在、東海三県の信用金庫16金庫が取引先の企業の物流最適化に向けて様々な提携をして、JR貨物とも協定を結んだ。物流に課題を抱える信用金庫の取引先の企業に対して、取引信用金庫と協力して、JR貨物グループの物流機能を最大限に生かして、総合物流ソリューションを提案していこうという話である。
衣浦臨海鉄道株式会社もJR貨物グループの一つであるし、衣浦港自体でいくと、バルクが多いという話もあったが、そこに来るトラック、あるいは衣浦港から出ていくトラックを鉄道に替えていくというモーダルシフトもあると思う。
三河港においては、長距離トラックで輸送するものを船で輸送するといった観点でのモーダルシフトもあると思う。
公共交通の分野とも関係してくるので、要望にとどめておくが、ぜひ港湾、港のセクションという立場からも、脱炭素に向けての取組を進めてほしい。
衣浦臨海鉄道株式会社もモーダルシフトへのニーズを何とか取り込もうという動きもたくさんある。港側から発信して提案というものは少ないかもしれないが、荷主からの相談などが出てきたときには、そのような選択肢も考えてもらいたい。
【委員】
埼玉県の八潮市の道路陥没事故を受けた下水道管路の全国特別重点調査について伺う。
今年の1月28日に埼玉県八潮市において、本当に大規模な道路の陥没事故が発生した。私もテレビで見ていたが、何が起きたかという感じで驚いたが、そこにトラックが突っ込んで、最終的には、男性が救出されたが、残念ながら死亡した。
この原因が下水道管路の老朽化、劣化によるものと考えられることを受けて、下水道インフラの老朽化対策や維持管理の重要性が改めて浮き彫りになった。
この道路陥没事故を受けて、国土交通省の要請によって、現在、下水道管路の全国特別重点調査が実施されていると聞いたが、調査の背景について伺う。
【理事者】
埼玉県八潮市で発生した道路陥没事故を受け、国土交通省は今年2月21日に下水道等に起因する大規模な道路陥没事故を踏まえた対策検討委員会を設置し、下水道管路の点検手法や管理の在り方について検討を開始した。
この調査の背景としては、同委員会において、下水道管路の破損に起因する事故が発生した場合の社会的な影響の大きさに鑑み、同様の事故の再発防止に向けて、全国的な調査を実施する必要があると提言されたことにある。これを受け、国土交通省が3月18日に全国の地方公共団体に対して、調査の実施要請を行ったものである。
【委員】
答弁があったように、大規模な下水道管路が老朽化や劣化によって、大事故に結びつくこと自体、本当に社会的な影響も大きくて、しっかりと未然に防止することが大変重要ではないか。
そこで、本県の流域下水道における全国特別重点調査はどのような箇所で行われているのか、また、今回の調査結果を踏まえてどう対応していくかについて伺う。
【理事者】
全国特別重点調査は、内径2メートル以上の管のうち、平成6年度以前に設置された管路で行われており、このうち、八潮市の事故現場と類似する条件を有する箇所や、腐食の進行が懸念される箇所などについては、優先的に調査することとされている。
調査の要請を受け、本県流域下水道においては、約55キロメートルの下水道管を調査対象とし、このうち約48キロメートルを優先実施箇所として現在調査を行っている。
本県の調査対象となる管は各処理場に接続する基幹的な管となっており、これらは各市町からの下水が集約される重要な施設であることから、その健全性の確保は極めて重要である。
今後は、現在行っている調査により、対策が必要と判断された箇所について修繕や更新工事を速やかに実施するとともに、国の委員会で取りまとめられる提言を踏まえて、予防保全型の維持管理を強化していく。
【委員】
予防保全型の維持管理を強化してもらえるということで、こうした事故が起きないように、愛知県でもしっかりとまた維持管理してもらうよう要望する。
( 委 員 会 )
日 時 令和7年7月1日(火) 午後0時59分~
会 場 第4委員会室
出 席 者
丹羽洋章、杉浦友昭 正副委員長
横井五六、神野博史、川嶋太郎、石塚吾歩路、林 文夫、河合洋介、
松本まもる、山口 健、井上しんや、園山康男、喚田孝博 各委員
建設局長、建設政策推進監、建設局技監(2名)、土木部長、道路監、
治水防災対策監、
豊川水系対策本部副本部長、豊川水系対策本部事務局長、
都市・交通局長、同技監、都市基盤部長、リニア・交通対策監、
港湾空港推進監、空港長、
建築局長、同技監、公共建築部長、建築指導監、
収用委員会事務局長、関係各課長等
委員会審査風景
<付託案件等>
○ 議 案
第104号 令和7年度愛知県一般会計補正予算(第2号)
第1条(歳入歳出予算の補正)の内
歳出
第7款 建設費
第113号 財産の買入れについて
第115号 工事請負契約の締結について(総合治水対策特定河川工事(大山川調節池本体2号工))
第116号 工事請負契約の締結について(名古屋東部地区新設特別支援学校(仮称)校舎建築工事)
第117号 工事請負契約の締結について(西三河北部地区新設特別支援学校(仮称)校舎建築工事)
第119号 工事請負契約の変更について(道路改良事業一般国道419号蛇抜高架橋上部工事)
第120号 特定事業契約の変更について
(結 果)
全員一致をもって原案を可決すべきものと決した議案
第104号議案、第113号議案、第115号議案から第117号議案まで、第119号議案及び第120号議案
○ 閉会中継続調査申出案件
1 道路の整備等について
2 水資源対策並びに河川、砂防、水道及び下水道の整備等について
3 土地対策、都市計画並びに公園及び市街地の整備等について
4 総合交通体系及び港湾の整備等並びに航空対策について
5 宅地建物取引及び建築・宅地造成等の規制について
6 公営住宅等の建設及び管理並びに県有施設の営繕工事について
7 建設局、都市・交通局、建築局及び収用委員会の行政運営について
<会議の概要>
1 開 会
2 議案審査(7件)
(1)理事者の説明
(2)質 疑
(3)採 決
3 委員長報告の決定
4 一般質問
5 休 憩(午後2時28分)
6 再 開(午後2時39分)
7 閉会中継続調査申出案件の決定
8 閉会中の委員会活動について
9 閉 会
(主な質疑)
《議案関係》
【委員】
予算に関する説明書の19ページの第7款建設費、第4目の中部国際空港対策費、アドバンスドエアモビリティアジアシンポジウム開催費補助金について伺う。このシンポジウムはどのような内容のイベントなのか。
【理事者】
アドバンスドエアモビリティとは、ドローンや空飛ぶ車などの次世代モビリティを表すものである。
このシンポジウムは、9月16日火曜日から9月18日木曜日までの3日間、愛知国際展示場アイチ・スカイ・エキスポにおいて開催される。
アジアを中心に多くの航空関係事業者、政府関係者などが参加し、各国の状況や課題などについて議論される国際会議である。
主催は、スイス・ジュネーブに本部を置き、世界各国で国際会議を主催する会議運営会社であるケネスグループを中心とする実行委員会となる。
この会議では、次世代モビリティの様々な課題に関する議論を通じて、各国の関係者の連携を促進すること、この地域を中心に新たな分野における知見を深める機会となることを目的としている。
【委員】
アドバンスドエアモビリティアジアシンポジウム開催費補助金2,000万円はどのようなものか。
【理事者】
この会議は航空ネットワークの拡充や空港の新たな利活用の検討に資することから、実行委員会に対して開催経費の一部を支援する。
主催者の収支計画では、総事業費はおよそ1億3,000万円と見積もられている。これまでの類似の国際会議への支援状況を踏まえ、本補助金は開催のための費用、具体的には、音響映像費、ゲストスピーカーの招聘費、同時通訳費及び広報費などの経費の一部として2,000万円を補助する。
【委員】
この事業の目的及び期待される効果を伺う。
【理事者】
会場となるアイチ・スカイ・エキスポは中部国際空港に直結しており、アジアの事業者や関係者が空港を実際に利用することで、その利便性を体感してもらえる絶好の機会となる。
また、会議では、次世代モビリティと航空管制、空域の議論などが行われる予定である。現在の規制との関係や次世代モビリティが新たに空港を利用する可能性など、将来の空港運営の在り方を検討する上で、重要な会議になる。
さらに、経済産業局とも連携し、スタートアップ企業をはじめとする地元関係者等にも参加を促し、人材の育成や国際的なビジネス交流の基盤づくりにも貢献していきたいと思っている。
これらの機会を捉え、航空ネットワークの拡充や、空港の新たな利活用の検討につなげていきたい。
【委員】
この事業の効果を空港の新たな利活用の検討にもつなげるとのことなので、ぜひ頑張ってもらいたいと思う。中部国際空港がより航空需要を拡大し、さらなる成長を遂げることは、地域の発展のみならず、我が国全体の成長を支える上でも極めて重要である。
中部国際空港の路線数はコロナ前と比較して、国際線では70パーセント、国内線では80パーセント程度で、他の空港と比較しても回復が少し遅れている状況であると聞いている。引き続き、アジアのみならず、欧米も含めた航空ネットワークのさらなる拡充などにも取り組んでもらい、地域が誇る国際拠点空港、中部国際空港を盛り上げてもらいたい。
《一般質問》
【委員】
質問の前に、資料を配布したい。
【委員長】
ただいま委員から資料の配布の申出があったので、これを許可する。
【委員】
この資料は、緊急輸送道路の整備と緊急輸送道路の無電柱化事業の次の質問で使わせてもらう。
現在、県当局においては、未来を拓き、暮らしに寄り添う社会資本づくりを理念としたあいち社会資本整備方針2025に基づいて、2025年度までに建設部門が取り組むべき各施策、事業を推進してもらっているものと理解している。
国においても、2021年5月に策定された第5次社会資本整備重点計画が今年度、計画期間の最終年度を迎えており、次期計画に向けて、自然災害から国民の命と暮らしを守る社会づくり・国土強靱化、加速度的に進行するインフラ老朽化への対応・インフラ管理の最適化、経済成長を牽引する国内投資拡大、生産性向上、観光活性化等の推進、人口減少・少子高齢化が進む中での持続可能な地域社会の実現、インフラ分野のDX等による現場の生産性向上・人への投資の推進、担い手の確保、脱炭素、ネイチャーポジティブ、サーキュラーエコノミーの実現に向けたインフラ分野の取組拡大といった内容が検討されている。
当局におかれては、こうした国の動向を踏まえつつ、本県の次期方針を策定していくものと思っている。
最終年度を迎えたあいち社会資本整備方針2025で取り組んでいる事業のうち、事前防災の観点からも重要と思われる緊急輸送道路の整備並びに緊急輸送道路の無電柱化の実施について伺う。
公表されている2023年度までの両事業の実績を見ると、目標に向けて事業展開を図っているが、2024年度に取り組んだ主な事業箇所と、計画の最終年度となる本年度、2025年度にどのように取り組んでいるのか。また、KPIに対する見通しを伺う。
【理事者】
緊急輸送道路の整備は、被災時の救急活動や物資輸送を支える重要な事業である。
2023年度末時点では目標値を下回っているが、完了時期の見通しがつく路線を重点的に整備することとしており、昨年度は国道301号松平バイパスや、主要地方道東三河環状線大崎工区などで事業を実施している。
今年度も引き続き、早期供用に向けて着実に整備を進めていく。
続いて、緊急輸送道路の無電柱化についても、災害時に電柱の倒壊による道路の閉塞を未然に防ぐことにより、救助活動や物資輸送などの応急対応活動に寄与する重要な事業である。
おおむね目標どおり進捗しており、昨年度は国道247号鹿島バイパスや国道301号益富拡幅などで設計に着手している。
今年度も引き続き、電線等管理者と緊密に連携し、地元の協力を得ながら、無電柱化を推進していく。
【委員】
緊急輸送道路の整備や無電柱化の事業は大変重要な事業だと私も認識しており、令和6年能登半島地震の折にも、こうした緊急輸送道路の整備をしっかりと進めていくことの必要性を改めて感じた。
答弁の中で、緊急輸送道路の無電柱化事業において、国道247号鹿島バイパスのことについて言及があった。これは蒲郡市内において、鹿島大橋を含む蒲郡市形原町から拾石町の約1.8キロメートルの区間であり、蒲郡市街地や国道23号蒲郡バイパスへのアクセス経路となっている。
現在、当該区間は2車線で整備されており、前後の4車線整備済区間のボトルネックとなっており、朝夕の通勤時間帯や週末においては、沿道の商業施設利用者等による慢性的な渋滞が発生するなどの交通課題を抱えている。
また、第二次緊急輸送道路に指定されており、防災上重要な路線でもあるため、主要渋滞箇所の渋滞緩和、災害時の緊急輸送道路の確保として、無電柱化と併せて、国道247号鹿島バイパスの4車線化整備に取り組んでもらっているが、地域住民からはより一層の早期整備の推進を望む声をもらっている。
そこで、当該事業の現状と今後の取組を伺う。
【理事者】
国道247号鹿島バイパスの4車線化事業について、本事業は、蒲郡市内の国道247号のうち、暫定2車線で供用中の形原北浜交差点から北へ約1.8キロメートル区間を4車線化する事業であり、2021年度から国の交付金を活用して整備を進めている。
工区内には新拾石橋と鹿島大橋の二つの橋梁があり、いずれも暫定2車線での供用となっているが、橋台については将来の拡幅を想定し、4車線幅で整備されている。このため、今回の4車線化に当たっては、既設の橋台を現在の基準に適合するよう補強工事を行った上で、2車線分の上部工を架設する計画とし、橋梁の設計検討を進めてきた。
新拾石橋については、昨年度には橋台の補強工事を完了しており、今年度から上部工の工事に着手していく。
一方、鹿島大橋については、延長約100メートルの大きな橋梁であり、橋台の補強工事も大規模となることから、昨年度まで詳細な施工計画の検討を行ってきた。検討の結果、現計画では工事中における現道交通への影響が大きく、迂回路整備も大がかりとなるなど、施工の困難性が高いと見込まれたことから、今年度、橋梁形式の見直しも含めたより詳細な検討を行う。早期に計画が固められるよう取り組んでいく。
また、橋梁部以外の区間においては、隣接する大型商業施設への出入口ともなっている鹿島大橋東交差点を含む約250メートル区間において道路築造工事に着手したところであり、無電柱化については、昨年度から電線共同溝の詳細設計を進め、今年度からは整備に伴う費用負担など、具体的な協議を行う予定としている。
今後も、国道247号鹿島バイパスの整備にしっかり取り組んでいく。
【委員】
国道247号鹿島バイパス4車線化の事業においては、事前評価においても、事業の必要性、貨幣価値化困難な効果、事業の実効性、事業手法の妥当性、いずれも十分な効果が認められるということで、2021年度から事業化され、事業を進めてもらっている。
既にこの道路用地も確保されており、取り付け道路も、蒲郡市側の調整ができている。渋滞の解消はもとより、災害対応のためにも、速やかな事業の進捗を切望する。
鹿島大橋の橋梁設計についても従前から取り組んでいると思うが、まずはそこに至るまでの道路の4車線化の取組を進めるとともに、鹿島大橋と連動する事業としても速やかに展開してもらうことを要望する。
続いて、二つ目の質問として、2024年8月27日に蒲郡市竹谷町大久古地区において発生した土砂崩れに関する調査報告について伺う。
昨年8月27日午後10時頃、蒲郡市竹谷町大久古地区で発生した土砂崩れによって5人が暮らす住宅が巻き込まれ、3人が死亡、2人が重軽傷を負う重大な災害が起きた。
県当局の関係者には、災害発生の初動対応から被災者の救助活動、その後の復旧工事等に至るまで迅速に対応してもらったこと、地元議員としても心から感謝を述べるとともに、懸命な救助活動にもかかわらず亡くなった3人、また負傷した家族には、心からお悔やみとお見舞いを述べたい。
今回の土砂崩れは、発生直前の降雨量が既往の災害に比べて少なく、また、斜面も土砂災害警戒区域に該当しないなど、これまで県内で発生した土砂災害とは異なる点があることなどから、改めて土砂災害警戒区域の指定要件の有無を確認するとともに、家屋倒壊に至った本事象のメカニズムを推定すること等を目的として調査が行われた。
各委員には、本年5月30日に土砂崩れ現地調査チームが公表した報告書の一部を配布したので、見てもらえればと思う。
この報告書によると、この土砂崩れには特徴的な点が幾つかある。一つ目は、崩壊地の地質は、花崗岩が風化した真砂土である。
二つ目は、崩壊後に生じたと考えられるガリが源頭部の大きな穴から斜面法尻まで連続しており、また、ガリの深さは、中腹付近で最大2メートル程度である。なお、このガリとは、降水等による集約した水の流れによって、地表面が削られてできた地形のことである。
三つ目は、現地の痕跡から崩壊の深さは1メートルから2メートル程度で、斜面の表層で起こった崩壊である。
四つ目は、現地に堆積している崩壊土砂には多くの水が含まれており、また、崩壊土砂には流木と見られる木が混じっているなど、立ったまま流されたものも見られることである。
崩れた土砂は法尻にとどまることなく、法尻から距離がある市道付近の家屋まで到達して全壊させている。法尻から家屋まで38メートルの距離があった。
ガリの起点部や斜面の途中に湧水の痕跡や湧水は確認できなかったことといった特徴点が挙げられ、結論として、今回の土砂崩れは、大量の表流水の関わりにより流動化した土砂が土石流の形態で斜面を高速で流れ下ったものと推定された。
なお、大量の表流水と推定した根拠の一つ目は、ガリの起点部や斜面の途中に湧水の痕跡や湧水が確認されておらず、地下水が大量に流出したものではないことである。
根拠の二つ目として、28日午前6時には崩壊地源頭部から法尻まで明瞭なガリが形成されていることが確認されており、これは土砂崩れ発生後、27日午後10時頃から28日午前6時までの間に流水により形成されたものと考えられており、27日から28日までの時間当たり降水量の変化を踏まえると、土砂崩れ後の降雨のみで発生したものとは考えにくく、土砂崩れ発生前から流水が存在した可能性があるとしている。
一方で、土砂崩れの源頭部から2メートルほどのところに豊川総合用水蒲郡支線の管水路21号空気弁があり、土砂崩れ現地調査チームの水路専門部会が蒲郡支線による土砂崩れの発生の影響を確認調査している。
土砂崩れ発生後の8月28日午前2時頃に当該区間の通水停止操作を行ったため、通水テストは9月6日に実施され、結果として、土砂崩れ箇所付近の蒲郡支線については、管水路上部の地表面や管水路から近接している源頭部付近の漏水は確認されておらず、管水路から分岐する21号空気弁についても漏水や損傷はなかったと記されている。
土砂崩れ現地調査チームとしては、本事象のメカニズムを推定する等の一定の調査目的は果たしたと言えるのかもしれないが、本事象を発生させた大量の表流水がどこから発生したものかは究明されておらず、この究明なくしては今後の対応策も十分なものとはならず、今後同じような災害を発生させてしまう懸念が残るものではないかと危惧している。
土砂災害は大雨や地震などが引き金となって急激に土砂が動き出すことで発生するもので、国土交通省によると、昨年1年間では45の都道府県で1,433件の土砂災害が発生し、統計開始以降の平均発生件数を上回ったようである。なお、土砂災害による死者は56人、人家被害は705戸あったようである。
そこで、県内での土砂災害の発生件数並びに被害状況はどのようであったか。また、今回のように、土砂災害警戒区域に指定されていない場所での発生件数についても伺う。
【理事者】
全国では2024年に1,433件の土砂災害が発生したが、本県は6件であり、人家への被害は2戸であった。また、過去5年間に本県で発生した土砂災害は83件であり、人家への被害は11戸であった。
次に、土砂災害警戒区域に指定されていない場所での土砂災害の発生件数であるが、2024年は6件の土砂災害のうち1件が土砂災害警戒区域に指定されていない場所で発生した。また、過去5年間では、83件の土砂災害のうち、9件が土砂災害警戒区域に指定されていない場所で発生した。
【委員】
今回の土砂災害発生箇所では、斜面が30度以下であったため、土砂災害警戒区域には指定されていなかったが、崩壊箇所の局所的な斜面勾配は32度あり、今後、土砂災害警戒区域の指定の際に考慮することも必要と思われるが、どのように捉えているか。
【理事者】
土砂災害警戒区域の指定要件の有無については、学識者の助言を受けて取りまとめた報告書にも記載している。
具体的には、今回の土砂崩れが発生した斜面のうち、勾配が30度を超える部分は局所的であり、崩壊した場合に影響が及ぶおそれがある範囲に、人家や立地が予想される平たんな土地が含まれないため、指定要件には該当しないことを確認している。
また、土砂災害警戒区域の指定要件は国が定めており、国が設置した土砂災害防止対策推進検討会において、本年4月に土砂災害警戒区域の指定についても提言が出されている。
これによると、指定基準未満の地形要件において発生する土砂災害は、現時点では相対的に発生頻度が低く被害も小さいことから、直ちに基準の見直しを検討する状況にはないと判断できるとされている。
その一方で、指定基準の見直しについて毎年発生した土砂災害を基に、土砂災害警戒区域の確度、すなわち確かさの度合いの検証を継続的に実施すべきであるとも述べている。
本県としては、国が行う検証などに引き続き注視していきたい。
【委員】
引き続き、国の動向も注視しながら、対応をお願いしたい。
今回の事象を踏まえて、県当局として、今後はどのような土砂災害対策が必要と考えているのか伺う。
【理事者】
本県の土砂災害対策としては、ハード・ソフト一体となって進めていく必要がある。
ハード対策では、土砂災害のおそれがある箇所のうち、保全対象に防災上重要な施設が含まれている箇所を重点に、砂防堰堤や急傾斜地崩壊防止施設などの整備を実施している。
ソフト対策では、土砂災害警戒情報を発表するとともに、土砂災害警戒区域の指定を行っており、今後も着実に推進していく。
なお、国の検討会の資料によると、土砂災害のほとんどが土砂災害警戒区域の指定要件がある箇所で発生したとされているので、見落としがないようしっかりと調査を進めていく。
また、今回の土砂崩れは、土砂災害警戒区域の指定要件がない箇所で発生したものであるが、土砂災害の危険性が高まった際に、土砂災害警戒区域に指定されていない箇所が安全であると誤解されないよう、土砂災害警戒区域の指定の際に行う説明会などで周知に努めていく。
【委員】
今回のように、土砂災害警戒区域に指定されていないところでも過去に土砂災害が発生している答弁があったが、ぜひとも地元説明会の折にはそのような地域でも起き得る可能性があることを伝えてもらい、住民自身が自分の住む地域にどのような危険があるかを理解できるような取組をお願いしたい。
私も今回、独立行政法人水資源機構や豊川総合用水土地改良区とも話をしたが、それぞれの立場で、今回の事象を真摯に受け止めてもらっているものと理解した。
しかしながら、先ほど言ったように、大量の表流水の発生原因の究明については、やはり十分な調査が必要と感じている。
要因の一つとして、委員に配った資料の中に、空気弁の写っている写真があり、報告書の中にも記されているが、この空気弁は、源頭部から2メートルほどのところに設置されている。
ここから枯れ葉が水流で流されている痕跡が見受けられるが、報告書にもあるように、これは幅1メートルほどの痕跡があり、それなりの水量があったと思われる。しかし、この痕跡が何に由来しているのか、また、いつからあるものかは不明となっている。
土砂崩れ現地調査チーム水路部会の調査報告書では、当該空気弁からの漏水はなかったと判断されており、その根拠として、止水した後の通水試験により漏水は起きていないと判断しているようだが、土砂崩れ発生時に漏水していなかったとの論拠には十分とは言えないと思う。
蒲郡市土地改良区の関係者の話を聞いた中で、何かしらの異物により空気弁内のフロート弁体がきちんと密着せず、そこから漏水が発生して、止水した時点で空気弁内のフロート弁体が下がり、挟まっていた異物があったとしてもその痕跡は確認できず、その後、通水したとしても、問題なく通水されることが多いとのことであった。
今回の調査のように、止水後の通水試験で漏水がなかったからといって、土砂崩れ発生時に漏水はなかったとは断定できないのではないかと思われる。実験として空気弁から強制的に漏水を行ってもらい、どれくらいの水が流れることでこのように1メートル幅の枯れ葉を流すことになるのかを検証できると新たな事実関係も明らかになると考える。
二つ目に、報告書の中に、本事象発生時の状況を把握するために被災者及び被災家屋の隣人、救助に関わった蒲郡市職員等からの聞き取り調査の記録があり、そこには、8月27日午前10時頃の隣接住民の証言から、時系列に従って16時頃、18時頃、そして20時頃、さらに22時頃の発災時の被災者証言、その後の捜索関係者の、翌28日の午前1時46分に新たに到着した警察官と思われる人から水が流れている音が聞こえるため危険ではないかとの声で、一時退避したとの証言までが記載されている。
被災現場では28日の午前2時頃に豊川用水の通水を停止する作業を行っているが、その後の聞き取り調査の記録は記載をされていない。私はここが大きなターニングポイントになっていると思う。通水を止めた後、その前とどのような変化が起きているかを調べることが大事だと考えている。
その時間帯、現場で土砂撤去をしていた土木事業者から私が話を聞いたところ、豊川用水の通水停止を行ったとの一報を聞いてから流れてくる水の量は明らかに減量したとのことであった。
また、通水停止を行った際には、現場で止水を確認することになっており、関係者への聞き取り調査は大変重要と思われるので、ぜひともお願いしたい。
さらに、先ほど配布したもう一枚の写真は、被害者のドライブレコーダーのものである。時間は8月27日15時57分で、まだ土砂崩れが発生する前、その夕刻のものである。少し画像が見にくいが、このドライブレコーダーの動画は、水が流れるような音が聞こえる。
この被害者は、これまでに経験のない量の水が山の方から流れてきているということで、気になってすぐに父親に連絡を取ったそうである。あいにく、市外に出かけていたため、夜になってからの帰宅となり、豊川用水へは翌日に連絡を取ろうということになったようだが、残念ながら、その数時間後に土砂崩れが発生してしまった。この被害者は、もしもそのときに父親の帰りを待たず、すぐに市役所あるいは豊川用水に連絡を取っていれば、もっと違う状況になったのではないか。言わば、大切な家族を失うことにはならなかったのではないかと悔やむ思いがある。
改めて、今回の調査に関わってもらった全ての人に感謝を述べるが、今後、こうした災害を起こさないために最善の努力をすることが私たちの務めであり、課せられた責任であり、また、被害に見舞われた人々への報いであろうとも思っている。
今回の調査で、土砂の流動化に影響を与えた表流水の発生元を特定する客観的なデータや目撃証言を得ることができなかったとのことだが、今一度、調査チームとして再調査してもらうか、あるいは、第三者委員会による発生元を究明してもらい、今後の対策につながる取組を要望する。
【委員】
予防保全、新技術を活用した橋梁点検の効率化について伺う。
本県において、インフラ維持、更新のコストは増大していると理解している。ただ、この議論において重要なのは、ただ予算を減らすことだけではなく、効率的な運営や技術発展に向けた人と技術への投資こそが公共インフラの分野には必要だという点である。
国土交通省の統計によると、建設業界の就業者数は30年で急激に減少しており、全国の就業者数は約200万人減少している。就業者数の大幅な減少の背景には、バブル崩壊後の建設投資の縮小が大きく影響していると推察している。さらに、建設業界を支えてきた世代の退職、新たな人材の確保が難しいという状況が重なり、建設業界が一層厳しい状況に、これからもさらに直面していくことが予想される。
若手を呼び込み、技術やノウハウを伝承していくために行政としても必要な投資を活発に行っていくことが急務だと考えている。労働環境の改善、生産性の向上という観点からも、新技術を積極的に取り入れる、また、インフラの維持、更新への必要な投資を行い、人と経済の流れをつくって、建設分野がこれから発展していくという機運醸成が必要だと考えている。
元来、日本の建設業界には、丁寧な作業や災害への強さ、安全性、従業員への労務災害の防止など、世界に誇るノウハウがあると思っている。こうした日本の質の高いインフラは、計画段階から建設、運営、維持管理まで全てのプロセスを通じて、政府やインフラの利用者だけでなく、地元の労働者や地域住民を含む多くの関係者がインフラ整備による利益を享受できるものであり、国、地域の経済社会の発展に大きく貢献するものである。
これらを踏まえた上で、予防保全と新技術の活用という二点から質問をさせてもらう。
愛知県公共施設等総合管理計画の概要を参考にすると、今後の方策として、メンテナンスサイクルの構築、予防保全型の維持管理の導入、施設総量の適正化が挙げられている。事後保全ではなく、予防保全によって予算規模の適正化、また、その分を適切な技術、人材への投資に転換していくことで、建設業界の活性化により一層つながるものと推察する。
県が管理する橋梁については、5年に1回の定期点検が義務づけられており、橋梁の点検結果に基づき、計画的に修繕等の措置を実施することとして、2023年度までに2巡目の点検を完了し、2024年度から3巡目の点検に着手していると認識している。
そこで、2巡目の橋梁点検の結果及びその修繕状況を伺う。
【理事者】
本県が管理する橋梁は約4,600橋あり、点検の結果は、健全な状態の区分Ⅰから、機能に支障が生じ、通行止め等を伴う緊急措置段階である区分Ⅳまでの4段階で評価している。
2巡目の点検結果については、区分Ⅳと判定された橋梁はなく、区分Ⅰの割合が36パーセント、予防保全の観点から修繕が望ましい区分Ⅱは57パーセント、早期に措置を行うべき区分Ⅲは7パーセントとなっており、計画的な修繕を進めてきた結果、区分Ⅲの出現率は1巡目の9パーセントより低下している。
次に、修繕状況についてだが、まずは区分Ⅲの橋梁について、次回の点検までに修繕を実施することとしており、2024年度末までに61パーセントの修繕が完了している。さらに、区分Ⅱの橋梁についても計画的に修繕を進め、予防保全型のメンテナンスサイクルへの本格転換を図っていく。
【委員】
こうした予防保全によって、予算の適正化も含め、安全性も担保し、また、そこに必要な投資を行っていくことを今後もやってもらいたい。
また、こうした橋梁点検や修繕を着実に実施していくためには、5年に1回の橋梁の定期点検が固定費としてかかってしまうこと、そうした財政的な負担が大きいこと、点検や診断現場では技術者が不足していることから、今後も橋梁点検の効率化を図る必要があり、新技術の導入を積極的に進め、必要な分野へ投資を行うことが非常に重要である。
そこで、橋梁点検の効率化に向けた取組を伺う。
【理事者】
本県では、橋梁点検の効率化に向け新技術を活用しており、これまでに大型の橋梁点検車等が不要となるドローンやポールカメラ等を活用した点検を125橋で実施している。こうした新技術の活用により、現場作業時間の短縮や、通行止め等の交通規制の回避など、橋梁点検の効率化が図られている。
また、2024年度より設置している、有識者等による「橋梁定期点検の効率化に向けた検討委員会」での意見を踏まえ、今年度から点検調書の簡素化に取り組んでいる。
具体的には、国の点検要領では27種類の記録様式が定められており、本県もこれに準じていたが、本県が管理する橋梁の約6割に当たる橋長15メートル未満の小規模橋梁を対象に、点検の質を確保できる範囲内で5種類から10種類の記録様式に簡素化し、点検作業の省力化やコスト縮減を図っている。
今後も、点検の効率化に向け、さらなる新技術の活用などの検討を進めていく。
ドローンによる橋梁点検の状況
こうした建設分野において積極的にデジタル技術を活用していくことがより効率的な事業運営の一助となっていくこと、さらに生産性を高めていく可能性があると考えているが、同時に、ドローンやポールカメラだと、導入コストの高さなどで、やれるところが限られてしまうこと、また、いきなり始めようと思っても、何から始めていいのか分からないというのが現場の実態としてあるのではないかと思っている。
小規模の事業についての調書を電子化するなどの取組を愛知県の建設業界全体として取り入れていくこと、少しの手間でもできることからまず効率化を図っていってもらいたい。
そういった新しい技術をまず小さいことからでもいいのでぜひ活用して、効率化を図ってもらうことを要望する。
【委員】
私は30年以上、自動車産業、モノづくりの世界で働いてきた。先日の建設委員会の所管事項に関連して、工場の建設、道路整備をはじめとした周辺環境の整備、近年より重要性が増している防災・減災対策、生産活動を支える物流の維持管理、そして、勤労者の通勤手段の確保や、完成した車両の配送や港湾からの全世界への出荷等、あらゆる事業活動が建設部門の関係者に支えてもらっていることを実感していて、その取組に対して感謝を述べたい。
豊田市周辺では東海環状自動車道の豊田松平インターチェンジへのアクセスとして、国道301号の松平バイパス、それから根引・林添バイパスの整備を進めており、昨年3月、山間部のテストコースを含むトヨタ自動車株式会社の研究施設が全面完成し、周辺住民の皆さん、約3,000人の従業員に加えて、共同研究や打合せに来場する自動車関連出張者のアクセス性向上などが飛躍的に図られている。
一方、私の地元である岡崎市の自動車産業に影響する道路に目を向けると、新東名高速道路の浜松いなさジャンクションから豊田東ジャンクション間の開通に先立ち、2015年に岡崎東インターチェンジと国道1号を結ぶ目的で、国道473号岡崎額田バイパスが整備された。
その結果、もともと国道1号沿いに集積していた自動車関連の工場に加えて、岡崎東インターチェンジ付近にあった既存の工業団地において、工場のさらなる拡張や新規工場の建設並びに物流拠点の整備も進んだ。
また、国道473号岡崎額田バイパスは新東名高速道路と国道1号という重要な東西軸を連結する道路であり、岡崎東インターチェンジから国道1号を通じて、西は東名高速道路の岡崎インターチェンジ、東は音羽蒲郡インターチェンジを結ぶ役割も担っている。
そこで、最初の質問であるが、新東名高速道路の開通に合わせて整備した国道473号岡崎額田バイパスの総事業費及び事業期間を伺う。
【理事者】
国道473号岡崎額田バイパスについては、国道1号から新東名高速道路との交差部付近までの約3.6キロメートルのバイパス本線と、岡崎東インターチェンジへのアクセス区間約0.7キロメートルの区間について、新東名高速道路の岡崎東インターチェンジの供用に合わせて整備した。
これらの整備に要した事業費は、約160億円で、事業期間は2007年度から2015年度までの約9年間である。
【委員】
総事業費及び事業期間については分かった。
答弁があったように、新東名高速道路の開通に合わせたバイパス整備によって、周辺の工業団地では既存工場の拡張や新たな企業の進出、物流拠点の整備が加速した結果、国道473号岡崎額田バイパスの開通後は、周辺工業団地に通勤する人の出勤、退勤の時間帯を中心に慢性的な渋滞が発生した。
渋滞は従業員の通勤環境の悪化だけでなく、周辺住民の移動や生活道路への車両流入に伴う子供たちの通学路の安全確保にも支障をきたすので、周辺工業団地の企業が協力して取組をし、車から公共交通への通勤手段の変更や、フレックス勤務による交通集中の分散化、自社警備員による交通誘導などの対策を進め、慢性的な渋滞の解消に努めてきた。
当該企業では独自に周辺の交通量調査を行い、地元町内会の役員に実態の聞き取りなども定期的に行い、都度、岡崎市への報告も実施するなど、そうした企業努力の結果、現状では、慢性的な渋滞は大幅に減少していると認識している。
しかしながら、本年11月に国道473号岡崎額田バイパス周辺に愛知県初となる大規模なアウトレットモール、三井アウトレットパーク岡崎が開業する。事業主である三井不動産株式会社による立地法届出によると、約180店舗の出店に伴い、休日来場者の想定は1日当たり2万9,000人、平日は休日の半分の来場者を想定しており、その前提で年間換算すると、約700万人が来場することになる。
来場者全てがこのバイパスを通るわけではないが、最も近い高速道路の出入口は岡崎東インターチェンジなので、このバイパスの渋滞対策に取り組んできた近隣企業や地域住民から、新たな渋滞発生を心配する声が寄せられている。とりわけ、休日は平日の2倍の来場者が想定されているので、自動車関連の企業の出勤日であり、かつ、来場者も多く来る国民の祝日は大変な渋滞が懸念されている。
こうした大きな変化が今後生じる中、県は今年度、国道473号岡崎額田バイパスの4車線化に着手したと聞いている。
まず、2015年の整備からこれまでの間の国道473号岡崎額田バイパスの交通の現状と見通しについて伺う。あわせて、同バイパスの今後の4車線化の取組についても伺う。
【理事者】
国道473号岡崎額田バイパスの交通状況だが、2019年度の交通量調査の結果では、1日当たり約9,500台の交通となっている。また、バイパス区間のうち、中央付近にある東部工業団地交差点付近では、朝夕の時間帯に渋滞が発生しているとのことで、2022年度に詳細な交通量調査を実施したところ、1日当たりの交通量が約1万400台となっている。このうち、東部工業団地交差点においては、夕方の時間帯に交差する市道において最大約430メートルの渋滞が、国道側においては最大約170メートルの滞留が発生していることを確認した。
交通の見通しについては、2040年度時点で1日当たり1万8,700台と推計している。
4車線化の取組については、沿線企業への通勤車両や物流交通の渋滞緩和、生活道路となっている旧道への通過交通の流入抑制を図るため、また、沿線において土地区画整理事業やアウトレットモールの整備が進められている背景などもあることから、今年度から国の社会資本整備総合交付金により、4車線化事業に着手した。
本事業は暫定2車線区間を4車線化する事業であることから、本線部分の用地は確保されているが、トンネルや橋梁などの大規模構造物を築造する必要があり、今年度はまず、トンネル部分の地質調査を実施していく。
【委員】
人口減少が進行してきた岡崎市の東部エリアに県内初のアウトレットモールが開業して、工業団地だけではなく、広域観光交流拠点地区としての計画も進行していくことに、アウトレットモールの周辺をはじめ、岡崎市に住む住民は大変期待している。
一方で、国道473号岡崎額田バイパスの慢性的な渋滞対策に取り組んできた関係者にとって、現状の2車線のままでは、アウトレットモールの開業の影響もあって、通勤や物流面での問題を大変危惧している。
今、説明があった4車線化の道路整備によって、岡崎市内及び当該地域の人流、物流の円滑化とともに、アウトレットモールを含めた市内の周遊がより一層盛んになるなど、西三河地域全体の発展につながるよう、タイムリーな道路整備を要望する。
【委員】
精密診断法による耐震補強設計について伺う。
令和6年能登半島地震では、亡くなった238人のうち、警察が検視を行った222人の死因について、最も多かったのは倒壊した建物の下敷きになったことなどによる圧死で、全体の41パーセントに当たる92人であったと言われている。
また、政府の地震調査委員会は南海トラフ巨大地震が今後30年以内に起きる確率について、これまでの70パーセントから80パーセントを80パーセント程度に引き上げ、公表した。
こうしたことからも、耐震に向けた取組は急務であり、特に、木造住宅の耐震改修は重要であると考える。
私の地元みよし市の木造住宅耐震改修費補助の目標値は、令和7年度の推計値による住宅戸数1万3,510戸に対して、92.5パーセントの約1万2,490戸で、目標を達成できたとしても、令和8年度以降で耐震化が必要な戸数は1,020戸となる。木造住宅の耐震改修をより推進するためには、その費用負担の軽減が大きな要因になると考える。
そこで、県は令和7年度から新たに精密診断法による耐震補強設計費への補助を始めたが、これは耐震改修費用を低減し、耐震改修を進めることが目的であると認識している。
精密診断法とは、既存住宅の耐震性能を詳細な調査を行った上で評価し、耐震改修設計に反映するものである。一般的な耐震診断法は、既存住宅の耐震性能の評価に当たり、住宅の劣化状況を一律に評価するところ、精密診断法は、柱などの部材一本一本の劣化状況を踏まえ、合理的に耐震性の評価をすることから、補強箇所が少なく、耐震改修費用の低減につながる。
精密診断法による耐震補強設計費補助の制度の概要と制度創設済市町村数、また、制度の利用実績を伺う。
【理事者】
本県では、耐震改修費用の低減につながる精密診断法の普及により住宅の耐震化を促進するため、今年度、精密診断法による耐震補強設計費に対して、市町村と連携して20万円を上限として補助する制度を創設している。
この補助制度を創設している市町村は、県内54市町村のうち13市町となっている。
また、補助実績については、5月末時点で98戸となっている。
【委員】
制度創設済みの市町が13ということである。
私が確認したところ、5月末までの2か月間で、10の市町で98件の制度の利用があった。
令和6年度の県の木造住宅耐震改修費補助では県内54市町村で570戸の実績があり、12か月で割ると月当たり47.5戸で、これを2か月とすると95戸となる。10市町で98件のこの実績は、その意義を感じるものである。
こうしたことから、精密診断法による耐震補強設計費補助は耐震改修の推進に大きく寄与すると考えるが、そのためには精密診断法を使える設計士が必要となる。
精密診断法を使える設計士の現状の人数と目標人数はどうか。
【理事者】
精密診断法を行える設計者等の数について、総数は把握していないが、平成30年度に市町村や建築関係団体と連携して創設したあいち耐震改修推進事業者制度により、耐震改修に意欲的で技術力を有する事業者として登録しているあいち耐震改修推進事業者については把握している。
現在、推進事業者として登録している設計者は151人おり、そのうち、精密診断法に対応可能な設計者は86人であり、登録事業者の約半数である。
なお、具体的な目標人数は設定していないが、精密診断法を行う設計者を早期に増やすため、講習会を開催して養成していきたい。
【委員】
まだまだ少ない設計者や建築士を増やすためには、市町村における制度の創設が必要不可欠だが、13市町にとどまっている。
未創設の要因と、制度創設に向けた今後の働きかけはどのように行うか伺う。
【理事者】
耐震補強設計する際に精密診断法を活用することで、所有者の費用負担の軽減を図ることができ、耐震化を促進することができるが、その有効性が市町村の職員まで十分に浸透していないことが制度未創設の要因の一つと考えている。
そこで、補助制度を設けていない市町村に対しては、毎年度開催している耐震関係市町村担当者会議や地域ごとに開催している住宅建築行政に関する会議など、様々な機会を捉えて補助制度の有効性、必要性の説明を行い、制度の創設を働きかけている。
また、耐震改修の専門知識を備えている職員が不足している市町村については、県の建築職員が個別に市町村に出向いて、精密診断法の技術的な内容を分かりやすく解説するなどの対応を行っており、今後も引き続き、補助制度実施市町村の拡大に取り組んでいく。
【委員】
私の地元のみよし市で、この制度がまだできていない状況である。
担当者に聞いたところ、制度を設けていない理由として、現状の精密診断が実施可能な市内の事業者が少なく、補助金が活用される見込みが立たなかったためということであった。
制度をつくっていくためには精密診断法を使える設計者や建築士を増やすことが重要であり、そのためには市町村における制度の創設の推進とともに、精密診断法を使える建築士などの養成が重要であると考える。
精密診断法を使える建築士等の養成について、これまでの実績と今後の計画を伺う。
【理事者】
精密診断法を行える建築士等を養成するために建築関係団体と連携して精密診断法講習会を令和5年度から始めており、診断方法の詳細な内容や具体的な事例を用いた診断手順の説明などを行っており、昨年度までの受講者は129人となっている。
今年度に創設した精密診断法による耐震補強設計費補助制度を有効に活用してもらうため、より多くの建築士を早急に養成していく必要があると考えており、昨年度までは年度末にこの講習会を開催していたが、今年度は時期を前倒しし、7月に名古屋市と岡崎市で開催する。
また、令和4年度から低価格耐震改修工法の講習会の一部において、精密診断法を使用した設計例を解説する講義を盛り込んでおり、昨年度までの受講者数は135人となっている。昨年度までは名古屋会場1回の開催であったが、今年度は名古屋会場に加え、8月に開催地域を増やして豊橋市、岡崎市、半田市で開催し、計4回を予定している。
今後も引き続き、建築関係団体等と連携し、精密診断法を行える建築士等の養成にしっかりと取り組んでいく。
【委員】
木造住宅精密診断法による耐震診断講習会などを年に1回から4回程度開催しているとのことであるが、その開催場所は限られている。54市町村の全てで必要とする県民が精密診断法による耐震補強設計や低価格耐震改修工法を活用して命を守る取組ができるようにすることが必要である。
そのために県の建設事務所単位など設計士や建築士の身近なところで講習会等を開催し、精密診断法を使える建築士などを増やすこと、また、県民に広く精密診断法による耐震補強設計や低価格耐震改修工法のメリットを伝え、実施してもらうことが重要と考える。
県の建設事務所単位など、建築士等の身近な地域での講習会等の開催を含め、今後の精密診断法の普及に向けた周知啓発の取組についての考え方を伺う。
【理事者】
精密診断法の活用を検討している建築士等が診断法を学びやすい環境を整えることは重要であるので、今年度、開催地域を増やして開催する講習会の参加状況を踏まえながら、今後の講習会の在り方について検討していく。
次に、精密診断法の普及に向けた周知啓発の取組についてだが、精密診断法による耐震補強設計の普及には、その有効性を住宅の所有者や建築士等に理解してもらうことが重要である。
そこで、所有者に対しては、建築関係団体や市町村と連携して今年度新たに作成する、精密診断法を活用した耐震補強設計の有効性を分かりやすく解説したリーフレットなどを活用して、耐震診断員が無料耐震診断の結果を報告する際や、市町村が実施している戸別訪問の際に周知啓発を行っていく。
また、建築士等に対しては、耐震化を促進するための各種講習会や建築関係団体と連携したダイレクトメールなどにより周知啓発を行い、一層の普及促進に取り組んでいく。
【委員】
繰り返しになるが、県の建設事務所単位など、設計者や建築士の身近なところでぜひ講習会等を開催し、精密診断法を使える建築士を増やしてもらうこと、また、県民に広く精密診断法による耐震補強設計や低価格耐震改修工法のメリットをしっかりと伝えてもらい、自分自身と家族の命を守る取組を確実に推進してもらうよう要望する。
【委員】
県営都市公園における落雷事故防止について伺う。
本年4月、奈良市の中学校でグラウンドに雷が落ちて、生徒6人が病院に搬送され、このうち、サッカー部に所属する14歳の男子中学生2人が意識不明の状態となった。このうち1人はその後意識が回復したが、今も入院して治療を受けているとの報道は記憶に新しい。
この事故によって落雷事故の恐ろしさを改めて認識したが、落雷事故は、屋外のどこでも起こり得る。
落雷の恐怖や危険性は理解しながらも、実際の事故報道を目の当たりにすると、たとえ短い時間や距離であっても、雷が発生している中、屋外を移動するにはかなりの勇気と度胸が必要になってくるし、私自身も非常に何度も怖い思いをしたことがある。個人の力では何とも防ぎようがないのが落雷事故ではないだろうか。
この奈良市の落雷事故発生後、私のところに数件の問合せがあった。そのうちの1件が、公園などの落雷事故防止対策についてだった。私の地元には県営大高緑地があり、老若男女が集う都市部にある大規模な自然公園で、多くの県民が日の出から日の入りまで訪れる人気の公園である。
先日も東海地区最大級をうたった無料ロックフェスティバルが開催され、2日間で約6万5,000人を動員し、5月17日、土曜日、18日、日曜日と開催された。このイベントは無料ということで、地元はもちろん、全国から多くの若者が大高緑地を目指して集まる、2日間にわたって楽しめるイベントだったが、初日は残念ながら雨天の中にもかかわらず、大盛況だったと参加者から聞いた。
もし、この雨天のライブ中に落雷事故が起こってしまったら、大変なことになる。大高緑地はこういったライブの開催のほか、幅広い世代が様々な目的で集う場所でもあり、自然が相手とはいえ、突発的な天候の急変、雷への対応も想定する必要があると考える。
そこで、現在の県営都市公園における落雷事故防止対策はどのような状況か伺う。
【理事者】
県営都市公園において、これまで落雷による事故は発生していないが、落雷事故防止対策としては、まず、公園管理事務所職員が天候の確認や雷注意報などの天気予報をチェックし、さらに、スマートフォンアプリで雷アラートを設定するなど、情報の早期把握に努めている。
そして、落雷の兆候を把握した場合は、園内放送設備のある公園では園内放送で注意喚起を行い、放送設備のない公園では園内各所に職員が出向き、公園利用者に建物など安全な場所への避難を呼びかける注意喚起を行っている。
そのほかにも、有料施設利用者には受付時に口頭により注意事項として雷への対応を伝え、また、園内掲示板に雷に対する注意喚起の掲示も行っている。
【委員】
現在も、様々な対応策を行っていることは理解した。外国人なども含めて対応が必要だと思うが、そういった人にどのような注意喚起を行っていくのか伺う。
【理事者】
特に有料施設利用者には確実に認識してもらえるよう、受付時の運動施設等利用許可書を交付する際に落雷の兆候を把握したときには、雷に対する対応を記載した書面による注意喚起を行うことを検討していく。
今後とも、雷への対策のほか、安全かつ安心に県営都市公園を利用してもらえるよう着実に取り組んでいく。
【委員】
書面で注意喚起することは非常に大切なことだと思うし、様々な多言語にも対応できるので、引き続きこの書面での対応を一刻も早くできるように要望する。
【委員】
県道生平幸田線幅員狭小箇所の整備について伺う。
岡崎市内の県道生平幸田線については、本年2月定例議会の議案質疑で、国道1号と交差する山中小学校北交差点の右折レーンを設置する交差点改良事業において、今年度、用地買収に着手していくとの答弁をもらい、一歩前進と地元も一安心した。
しかしながら、その先の名電山中駅の北にある社会福祉事業所前の区間は幅員が狭い状況であり、この箇所では社会福祉事業所の職員が横断するほか、小学校の通学路にもなっており、現地では、エスコートマークによる速度抑制対策や、路肩のポストコーン、グリーンベルトによる通学路の明示など、交通安全対策を実施している。
地元通行車両は、その事情を承知の上、最徐行や譲り合いの運転で事故を回避している状況にある。冒頭述べた山中小学校北交差点の改良が完了すれば、本路線の利用もしやすくなり、この狭隘区間に入り込む交通も増加し、歩行者の危険性も高まると危惧している。
さらに、11月には三井アウトレットパーク岡崎の開業が予定されており、県道生平幸田線はアクセス道路にはならない計画とは聞いているが、車両が誤って進入する可能性もあることから、交通安全の面で、この狭隘区間の道路拡幅は必要性が高まっているのではないか。
県道生平幸田線のうち、名電山中駅の先、幅員が狭い箇所での道路拡幅に関する現状と今後の取組について伺う。
【理事者】
県道生平幸田線については、名電山中駅付近の踏切から東へ約470メートルの間において道路の幅員が狭小であったため、現道拡幅の事業を進めてきた。
事業を進める中、用地買収の協力が得られず、工事に着手できなかった区間があったため、この区間以外の約310メートル区間について工事を進め、平成24年度にこの区間の拡幅工事を完了している。残る約160メートルの区間については、その後も岡崎市を通じて地元と調整を図ってきたが、状況は変わらず、現在も未着手の状態が続いている。
事業を再開するに当たっては、道路計画に対する沿線の人々の理解が何よりも重要であり、周辺の土地利用や交通の状況も当時から変化してきていることから、まずは岡崎市と相談しながら、改めて地元に理解してもらえる道路計画案の検討を行うなど、地元調整を進めていく。
【委員】
地元学区としては、定期的に愛知県と岡崎市を交えて会合を開催して、進捗状況などを情報共有していると聞いている。以前と違って、道路計画に前向きな人ばかりであるので、しっかりと道路計画を進めてもらうことを強く要望する。
【委員】
港湾の脱炭素化に向けた取組とクルーズ船について伺う。
まず、脱炭素化の取組内容について伺う。
2050年のカーボンニュートラルの目標達成に向けて、様々な分野において、官民挙げて取り組んでいる。
名古屋港においても、カーボンニュートラルポートの形成に向けて脱炭素化など、様々な取組を行っている中で、本年6月には、名古屋港で水素燃料電池の換装型の荷役機器を導入するに当たり、新しく補助金を出すことが発表された。
名古屋港は、コンテナの取扱いが大きく、門型クレーンを多く使用するので、その動力を水素電池化していこうと、荷主やコンテナ会社、倉庫の会社に対して補助金を出している。
今回、紹介したのは名古屋港の門型クレーンの水素電池換装型導入に対する補助であるが、衣浦港では、コンテナの取扱いはなく、バルクも非常に多く、三河港では、完成自動車の輸送も非常に多いので、それぞれの港において、取扱品や背後地の関係も含め、様々な地域性がある。
現在、脱炭素化など、様々な推進計画を策定して、それぞれの港湾で取り組んでいるが、県として、とりわけ衣浦港、三河港が脱炭素化に取り組んでいくと書いてあった。
それぞれの港湾の脱炭素化を進めていくに当たっての特色と課題について伺う。
【理事者】
港湾管理者である県としては、港湾における脱炭素化に向け、令和6年3月に衣浦港及び三河港の港湾脱炭素化推進計画を策定した。
衣浦港では、バイオマス燃料を保管するためのふ頭整備を進めるとともに、株式会社JERAが運営する碧南火力発電所における石炭からアンモニアへの燃料の転換などを推進している。
三河港では、鉄の製造工程でCO2排出量が少ない電気炉の鋼材取扱岸壁の整備を進めるとともに、トヨタ自動車株式会社をはじめとする生産工場における水素の利用などを推進している。
今後、計画の実現に向けては、脱炭素化に必要不可欠である水素やアンモニアのサプライチェーン構築や、それらを安全に取り扱うことを可能とする施設整備が必要であるので、官民で連携して取り組んでいく。
【委員】
衣浦港には、バイオマス発電所や碧南火力発電所があり、アンモニアの混焼などが始まる。三河港においても、トヨタ自動車株式会社等々の話があったが、それぞれの特色に合わせた、脱炭素化に向けての取組というのがあると聞いた。
もう一点、脱炭素化に向けた計画において、例えば、衣浦トンネルの電球をLED化するといったものが挙げられているが、非常に地味であるという感想を持った。
昨今、ペロブスカイト太陽電池が注目されており、昨年、県民環境委員会において、県はあいちペロブスカイト太陽電池推進協議会も立ち上げて、様々な場所での実証導入やモデルケースの確立に取り組もうという話があった。
港における脱炭素化を考えたときに、例えば、港湾施設にペロブスカイト太陽電池を設置するなど、港湾施設の脱炭素化に活用できないか。
ペロブスカイト太陽電池自体はここで話すまでもないが、地元の市町村も協議会に入っており、知多半島には、高速道路もあるし、鉄道もある。
ペロブスカイト太陽電池は、これまでの太陽電池と違い、どこにでも設置ができ、軽く、髪の毛の5分の1ぐらいの薄さでできる。原材料であるヨウ素も国産で賄え、レアメタルも使わないため、国内でサプライチェーンも完結することで、次世代太陽光発電の国産の切り札のような位置づけで、国を挙げて取り組んでいる。その中で、中部電力株式会社や株式会社アイシンも立地しているということで、本県も一生懸命やっている。
県の管理港湾は一番の身内なので、こういった施設でもペロブスカイト太陽電池を活用した脱炭素化に向けた動きを何かできないかと感じているが、敷地内の県有施設において、ペロブスカイト太陽電池の導入について、どのように考えているのか。
【理事者】
衣浦港・三河港港湾脱炭素化推進計画には、太陽光発電施設の整備促進を位置づけている。
ペロブスカイト太陽電池は太陽光発電施設の一つで、エネルギーの変換効率が高く、軽量で柔軟性があり、設置場所の自由度が高いため、様々な用途への応用が期待されている。
一方で、寿命や耐久性などについて課題もあるので、港務所や上屋等の県有施設への導入については、今後の普及動向等を注視しながら検討していく。
【委員】
今後の普及動向を見て検討では、非常に遅い。県が推進協議会を立ち上げ、音頭を取っている部署が別にあるわけである。建設部門だから違うと言われても、知事が先頭に立って進めているわけであるから、一段階も二段階も遅い気がする。
関連の民間企業の施設でも、実証実験としてどんどん設置されていると思うし、もっと言えば、これまで耐荷重が問題で設置できなかった場所や、あるいは、曲面でも設置できるということで、JR東海では、全ての防音壁に使用している。
本来だったら公共施設は率先して取り組んでほしいので、ぜひ検討してほしい。
もう一つは港湾振興についてである。
先日、衣浦港振興会の要望会にも出席したが、港の振興といえば、取扱額を増やしていくというのが一番だが、それと同時に、にぎわいをつくっていくというのも非常に大きな一つだと思うので、今回はクルーズ船の話を少し聞きたい。
クルーズ船というと、名古屋港が中心になるのは、よく分かる。
新型コロナウイルス感染症が終息し、最近、ガーデンふ頭に行ったら、見慣れない光景があった。何か違和感があると思ったら、マンションのような、団地のようなクルーズ船が停泊していた。
このクルーズ船は、ノルウェー船籍ということで、外国人が多く乗っており、逆に、ポートビルに上ったら、クルーズ船を上から見ることができた。寄港して1,000人以上の乗客が降りて、買物をすることで、地域経済の振興や活性化になるし、港に来ていた人は、旗などを振っていた、すごくよいことだと感じた。
県管理港湾にクルーズ船はあまりないかと思っていたところ、先日、常滑市の伊藤辰矢市長と話していたら、セントレア沖で、クルーズ船が沖に停泊して、そこから小さい船で港に上がり、常滑市内を観光してもらうという取組があることを聞いた。
半田市の衣浦港にクルーズ船というのは、全然イメージはないが、実は、去年来航したということで、にっぽん丸という船がこんな内港に来るのだと思った。また今年も来ると聞いている。コロナ前ではあるが、三河港にも、ダイヤモンド・プリンセスが来たと聞いている。
クルーズ船の寄港を増やしていくことは、港のにぎわいに大きく寄与するとは思うが、現況、コロナ禍を経て、愛知県のクルーズ船の寄港の状況について伺う。
【理事者】
県内港湾においては、これまで名古屋港、三河港、衣浦港、常滑港にクルーズ船が寄港している。
名古屋港では、世界のクルーズ船需要の高まりに伴い、2024年の外航クルーズ船の入港が29隻と過去最高を記録し、2025年はさらにそれを上回る実績となる見込みである。
県管理港湾においては、三河港では2024年に外航クルーズ船アルタニアが寄港するなどの実績がある。常滑港、衣浦港では、にっぽん丸がそれぞれ2020年と2024年に寄港している。
近年、県管理港湾においてもクルーズ寄港は増加傾向にあり、今後のクルーズ船の寄港予定については、まず、三河港では本年7月に飛鳥Ⅱ、11月ににっぽん丸と飛鳥Ⅲ、衣浦港では12月ににっぽん丸と、合計4隻の寄港が決まっている。
アルタニア
国においても、外航船が寄港する港をどんどん増やしていきたいということで、計画を立てている。
本県では、名古屋港のイメージがあるが、三河港、常滑港、衣浦港においても、クルーズ船の寄港実績が少しずつ増えていくことを期待しているので、力を入れて取り組んでもらいたい。
一時期はクルーズ船というと、超大金持ちの者の趣味のイメージだったが、最近では、割と市民権を得てきたという感じもある。例えば、ジャパネットなどの通販番組でも取扱商品にクルーズ船のプランが出ているケースもあると聞いているし、それが地域の商店や観光地ともマッチして大変好評を得て、今、誘致合戦になっているという話も聞く。
県としても、こうした地域港湾振興に当たってのクルーズ船を活用した部分に関しては引き続き、県管理港湾においても取組を進めてほしい。
最後に一点、要望する。
港湾における脱炭素化の取組は、やはりモーダルシフトの観点からもぜひ進めてほしい。選択肢として、ぜひ検討してもらいたい。
地域におけるモーダルシフトに関しては、様々な話題がある。2024年問題の長距離トラックの運転手の上限規制というのも広い意味で脱炭素化への取組としてのモーダルシフトで、トラックの排出CO2の11分の1ぐらいで済むとか、10トントラック65台分の荷物を鉄道で一気に運べるとか、様々な観点があると思うが、現在、東海三県の信用金庫16金庫が取引先の企業の物流最適化に向けて様々な提携をして、JR貨物とも協定を結んだ。物流に課題を抱える信用金庫の取引先の企業に対して、取引信用金庫と協力して、JR貨物グループの物流機能を最大限に生かして、総合物流ソリューションを提案していこうという話である。
衣浦臨海鉄道株式会社もJR貨物グループの一つであるし、衣浦港自体でいくと、バルクが多いという話もあったが、そこに来るトラック、あるいは衣浦港から出ていくトラックを鉄道に替えていくというモーダルシフトもあると思う。
三河港においては、長距離トラックで輸送するものを船で輸送するといった観点でのモーダルシフトもあると思う。
公共交通の分野とも関係してくるので、要望にとどめておくが、ぜひ港湾、港のセクションという立場からも、脱炭素に向けての取組を進めてほしい。
衣浦臨海鉄道株式会社もモーダルシフトへのニーズを何とか取り込もうという動きもたくさんある。港側から発信して提案というものは少ないかもしれないが、荷主からの相談などが出てきたときには、そのような選択肢も考えてもらいたい。
【委員】
埼玉県の八潮市の道路陥没事故を受けた下水道管路の全国特別重点調査について伺う。
今年の1月28日に埼玉県八潮市において、本当に大規模な道路の陥没事故が発生した。私もテレビで見ていたが、何が起きたかという感じで驚いたが、そこにトラックが突っ込んで、最終的には、男性が救出されたが、残念ながら死亡した。
この原因が下水道管路の老朽化、劣化によるものと考えられることを受けて、下水道インフラの老朽化対策や維持管理の重要性が改めて浮き彫りになった。
この道路陥没事故を受けて、国土交通省の要請によって、現在、下水道管路の全国特別重点調査が実施されていると聞いたが、調査の背景について伺う。
【理事者】
埼玉県八潮市で発生した道路陥没事故を受け、国土交通省は今年2月21日に下水道等に起因する大規模な道路陥没事故を踏まえた対策検討委員会を設置し、下水道管路の点検手法や管理の在り方について検討を開始した。
この調査の背景としては、同委員会において、下水道管路の破損に起因する事故が発生した場合の社会的な影響の大きさに鑑み、同様の事故の再発防止に向けて、全国的な調査を実施する必要があると提言されたことにある。これを受け、国土交通省が3月18日に全国の地方公共団体に対して、調査の実施要請を行ったものである。
【委員】
答弁があったように、大規模な下水道管路が老朽化や劣化によって、大事故に結びつくこと自体、本当に社会的な影響も大きくて、しっかりと未然に防止することが大変重要ではないか。
そこで、本県の流域下水道における全国特別重点調査はどのような箇所で行われているのか、また、今回の調査結果を踏まえてどう対応していくかについて伺う。
【理事者】
全国特別重点調査は、内径2メートル以上の管のうち、平成6年度以前に設置された管路で行われており、このうち、八潮市の事故現場と類似する条件を有する箇所や、腐食の進行が懸念される箇所などについては、優先的に調査することとされている。
調査の要請を受け、本県流域下水道においては、約55キロメートルの下水道管を調査対象とし、このうち約48キロメートルを優先実施箇所として現在調査を行っている。
本県の調査対象となる管は各処理場に接続する基幹的な管となっており、これらは各市町からの下水が集約される重要な施設であることから、その健全性の確保は極めて重要である。
今後は、現在行っている調査により、対策が必要と判断された箇所について修繕や更新工事を速やかに実施するとともに、国の委員会で取りまとめられる提言を踏まえて、予防保全型の維持管理を強化していく。
【委員】
予防保全型の維持管理を強化してもらえるということで、こうした事故が起きないように、愛知県でもしっかりとまた維持管理してもらうよう要望する。