委員会情報
委員会審査状況
教育・スポーツ委員会
( 委 員 会 )
日 時 令和5年6月29日(木) 午後0時59分~
会 場 第5委員会室
出 席 者
河合洋介、平松利英 正副委員長
坂田憲治、川嶋太郎、鈴木雅博、田中泰彦、中村竜彦、宮島謙治、
谷口知美、島 孝則、大久保真一、下奥奈歩、各委員
スポーツ局長、スポーツ監、アジア・アジアパラ競技大会推進監、
教育長、塩谷教育委員、教育委員会事務局長、同次長兼管理部長、教育部長、
教育改革監、関係各課長等
委員会審査風景
<付託案件等>
○ 議 案
第 81 号 令和5年度愛知県一般会計補正予算(第2号)
第1条(歳入歳出予算の補正)の内
歳 出
第9款 教育・スポーツ費
第 92 号 工事請負契約の締結について(愛知県立三谷水産高等学校
実習船「愛知丸」代船建造工事)
第 94 号 訴えの提起について
第 95 号 損害賠償の額の決定及び和解について(愛知県立田口高等
学校)
(結 果)
賛成多数をもって原案を可決すべきものと決した議案
第81号及び第94号
全員一致をもって原案を可決すべきものと決した議案
第92号及び第95号
○ 閉会中継続調査申出案件
1 学校教育の充実及び施設整備について
2 生涯学習について
3 スポーツの振興について
4 スポーツ局及び教育委員会の行政運営について
<会議の概要>
1 開 会
2 口頭陳情(1件 陳情第16号関係)
3 議案審査(4件)
(1)理事者の説明
(2)質 疑
(3)採 決
4 委員長報告の決定
5 一般質問
6 休 憩(午後2時31分)
7 再 開(午後2時40分)
8 閉会中継続調査申出案件の決定
9 閉会中の委員会活動について
10 閉 会
(主な質疑)
《議案関係》
【委員】
天白区に設置される名古屋東部地区新設特別支援学校について伺う。
記者発表によると、新設学校の規模は小学部から高等部まで、24学級73人程度が想定されている。
また、昨年度、港特別支援学校に緑区、名東区、天白区、豊明市、日進市及び東郷町から通学している児童生徒数は、小学部から高等部まで合わせて64人と聞いている。加えて、六つの通学区域内の小中学校の特別支援学級に通う肢体不自由の児童生徒36人のうち、新設学校への通学を希望する人を受け入れる。新設校に通学する可能性のある子供の数が100人にもなる中で、希望者が多ければ、開校と同時に過大化し、また希望者が入学を断られるのではと懸念している。名古屋東部地区新設特別支援学校への通学希望者を、学校は全員受け入れることができるのか。また、学校は具体的にどのような受入体制で対応していくのか。
【理事者】
名古屋東部地区新設特別支援学校の児童生徒数については、港特別支援学校の現状や、小中学校の特別支援学級から新設校に受け入れた実績を踏まえて想定しているが、入学者数が想定を超えた場合は、次のように対応する。
現在、港特別支援学校に通っている児童生徒には、複数の障害のある重複障害児が多いことを踏まえ、新設校は、普通教室24教室のうち19教室を重複障害学級が使用する教室として整備する。
重複障害学級は、通常6人で使用する教室を3人で使用しているため、入学者数が想定を超えた場合、一つの教室を4人や5人で使用し、受入れに対応していく。
【委員】
西三河北部地区新設特別支援学校整備費について伺う。
本予算は、三好特別支援学校の過大化による教室不足を解消するため、豊田市内に知的障害特別支援学校の新設に向けた基本設計を実施するための予算である。私自身、何度も本会議で新設の必要性を訴えてきたところであり、まずは教育委員会の尽力に感謝する。
特別支援教育を取り巻く環境は、インクルーシブ教育の推進など変化しつつあり、基本設計を進めていく上で、これまでの既成概念だけにとらわれない新たな機能や取組が必要である。まず、近年、日本各地で大きな地震が多発しており、本県では南海トラフ地震の発生が危惧されている。大規模地震が授業中に発生した場合、道路の損壊や停電などにより児童生徒の帰宅が困難になることが予想され、長時間にわたり学校内で待機せざるを得なくなると考えられるが、停電により冷暖房が使えない状況では、体温調整が難しい児童生徒にとっては命に関わる問題になる。最近では、大規模災害に備えて、体育館などの冷暖房にLPガス等が採用されている。
そこで、大規模地震に備えて児童生徒が災害時に安心して適切なサポートが受けられるよう、体育館に発電機を設置するなどの機能を整備する必要があると考えるが、県はどのように考えているのか。
【理事者】
災害時には学校が、児童生徒はもとより、地域の避難所として十分な機能を果たすことが重要だと考えている。
プロパンガス方式は災害時、電気や都市ガスといったライフラインが遮断された際であっても、プロパンガスにより空調整備を継続して使用できるほか、ガスエンジンによる発電を停電時の非常電源として、照明や医療機器等に使用することが可能と考えている。
県内の市町村の状況を見ると、大府市やみよし市等で、避難所である小中学校の体育館にプロパンガス方式による空調設備が導入されていることから、地元である豊田市とも協議を進めながら、プロパンガス方式や発電機の設置も含め、災害に備えた機能の整備について検討していきたい。
【委員】
ぜひ、地元と調整しながら、災害時に対応した設備の整備をお願いする。
次に、インクルーシブ教育の推進には、特別支援学校の児童生徒と地域の小中学校の児童生徒との交流や共同学習など、児童生徒同士が触れ合う機会を確保する必要があると同時に、県立特別支援学校の専門性を生かして、地域校の教職員の相談や情報提供、地域校の教員を対象とした研修や実地研修、また人事交流を推進し、特別支援教育に関する専門性の向上を図る必要があると考えるが、県はどのように考えているのか。
【理事者】
まず、地域の小中学校の児童生徒との交流や共同学習について、特別支援学校は、地域の幼稚園、小学校、中学校、高等学校等からの要請に応じて、特別支援教育に関する助言や援助を行うセンター的機能を有している。豊田市内に設置する新設校についても、特別支援学校のセンター的機能を発揮して、地域の学校の力になれるようにしていく。
また、地域の学校に通う子供たちとの交流や共同学習について、全ての県立特別支援学校で取り組んでおり、新設校でも積極的に進めていく。
次に、特別支援教育に関する地域校の教職員の専門性向上のための取組であるが、近年、小中学校や高等学校で特別な支援を必要とする児童生徒が増加しており、どの校種の教職員であっても、一人一人の障害特性や教育的ニーズに応じた支援、指導を行うことのできる資質、能力を身につけることが求められている。
県立特別支援学校では、センター的機能を生かし、地域の小中学校の教職員を対象とした研修を行っており、新設校でも同様の研修を実施していく。
また、地域の小中学校との人事交流は、県と市の双方にとって有意義であり、特に小中学校の教職員にとっては、特別支援学校での専門的な教育を経験できるよい機会だと市町村から好評であることから、新設校でも豊田市と協議して進めていきたい。
【委員】
東京パラリンピックを契機に、障害者スポーツを始める人も増えつつあるが、既存の施設には障害者スポーツ用のコートのラインが引かれていない、十分なバリアフリー化がされていないなど、障害者だけで準備をするのに困難があり、障害者スポーツに対応した施設が極めて少ないのが実情である。
そこで、新設校では、多くの人が障害者スポーツ活動に利用できるよう、施設内整備を行うとともに、休日等に施設を開放し、活用を促すことで、今以上に障害者スポーツが普及していくと考える。新設校の施設を、地域の障害者スポーツの拠点となるような視点に立って整備することが有用であるが、県はどのように考えているのか。
また、地元企業や大学等と連携し、活動者の指導育成を図るなど、障害者スポーツを地域全体で盛り上げる拠点の一つとすることも、障害者スポーツの普及に大きな役割を果たすと考えるが、県の考えを伺う。
【理事者】
新設校の体育館には冷暖房設備を整備し、地域の障害者スポーツに活用してもらうことを想定している。
新設校は、知的障害のある児童生徒が学ぶ場となることから、例えば、バレーボールやプラスチック製の円盤を投げて競うフライングディスクといった種目を想定し、障害のある子供が地域の人と一緒に楽しめる施設にしていく。
具体的な整備内容については、今後、地元の豊田市などと調整していく。
【理事者】
新設校での障害者スポーツの普及について、新設校の施設が学校開放により障害者スポーツ活動に利用できる場合には、現在、愛知県社会福祉協議会等と連携して県内各地で実施している障害者スポーツ体験会や指導者セミナー等の開催場所として活用することが考えられる。
また、県障害者スポーツ競技団体等に対して、障害者スポーツの普及やパラアスリートの育成を目的とした障害者スポーツ教室等を行う場合に、学校施設が活用できることを紹介し、地域の障害者スポーツの拠点として利用されるよう働きかけていく。
加えて、この学校施設で障害者スポーツの体験会等を行う社会福祉協議会や競技団体等に、地元企業や大学で活動している指導者やパラアスリートの情報を提供するなど、連携を促していく。
【委員】
ぜひ、積極的に障害者スポーツの普及に活用するようにお願いしたい。
新設校予定地の周辺は、自動車関連産業の集積地であることから、地域特性を生かし、地元企業と連携した職業訓練やインターンシップを実施できる可能性がある。地域校との交流学習など新たな取組を考える中で、就労支援や地域交流等に活用できる多目的ルームの設置や、保護者による児童生徒の送迎に加え、地域交流や教職員研修、保護者が参加する学校行事などの際に、渋滞など周辺住民の生活に影響を及ぼすことのない十分な駐車場を整備する必要があると考えるが、県の考え方はどうか。
【理事者】
地元企業との連携については、職場での実習を含め、職業教育の実施に向けて地元企業や関係機関と協議を進めていく。
新設校の校舎内には、就労支援や地域交流等に活用できるよう、117平方メートルの多目的室を2室設置する予定である。
【理事者】
駐車場の整備について、教職員、保護者及び来客等に対応でき、周辺住民に渋滞の影響を及ぼさないよう、本年度実施する基本設計の中でしっかりと検討を進めていきたい。
西三河北部地区新設特別支援学校の基本設計に当たっては、地元豊田市の意見も聴きながら十分に検討を進め、地域の期待に応えることができるような特別支援学校となるよう努める。
【委員】
ぜひ、地域の理解が得られるような基本設計を進めてほしい。
最後に、西三河北部地区新設特別支援学校の整備用地には、将来的に国道419号のバイパスが計画されている。バイパスが整備され、中央分離帯ができると、現計画では豊田市内から右折で入れるものが難しくなる可能性もあることから、バイパス計画も踏まえた基本設計とすることを要望する。
【委員】
ラーケーションの効果について伺う。
本県が取り組む休み方改革プロジェクトの中の、家族と子供が一緒に過ごせる仕組みづくりには大きな意義があると思う。特に、ラーケーションの日については、本年9月以降、順次実施されると聞いているが、新たな学び方として期待している。
ラーケーションの日について、県教育委員会としてどのような教育的効果があると考えているのか。
【理事者】
ラーケーションの日の教育的効果については、校外での学習活動を子供が自ら計画し、実行することが主体的に学ぶ力を高めることにつながり、また、計画の段階から保護者が関わることで、家庭の教育力を高める契機にもなると考えている。
【委員】
校外における体験や探究の学び、活動とは、具体的にどのようなものを想定しているのか。
【理事者】
ラーケーションの日の活動は、子供が保護者と共に自ら考え、企画した、平日だからこそできる学校外での学習活動で、様々な活動があり得る。保護者用リーフレットには、保護者や子供たちに分かりやすく伝えるために、環境、産業、芸術、創作等の学びのキーワードや史跡探訪、料理体験、自然体験、国際交流等の活動例を掲載している。
また、様々な学びが体験できる県内のラーケーションスポットを紹介するため、専用のウェブページを作成している。
【委員】
地元の保護者や子供たちに、今回のラーケーションの日について尋ねてみたが、休日は観光地に行く道中や観光先が混雑しており、出かけるのをちゅうちょしてしまうので、平日のすいているときに子供と一緒に出かけられたらよいと思っていたとか、休日でも部活動や勉強等のため家族と一緒に旅行やキャンプへ出かける機会が減ってしまって残念だとか、仕事の都合で子供との休みが合わないなど、様々な意見があった。学校が休みであっても、最近では保護者が祝休日に仕事をしている割合が大きくなってきており、なかなか家族が一緒に過ごす時間を取りづらいといった課題がある。
そこで、ラーケーションの日を契機に、家族が一緒に休める、また家族の休みに合わせて子供が学習活動できる仕組みづくりは、私も必要だと考えている。
大村秀章知事がリーダーを務めている、全国知事会休み方改革プロジェクトチームによる休み方改革に関する先行事例集の事例でも、本県が取り組んでいる平日や閑散期への観光需要のシフトを推進するに当たり、今回のラーケーションの日を導入、実施することで相乗効果も高まり、子供と家族が一緒に過ごせる機会が増え、さらに観光需要が高まることを期待している。
一方で、初めて事業を実施する上で、今後、様々な課題が出てくると思うが、家族との生活と学業とのバランスの取れた社会を実現するために、家族の休日に合わせて子供が平日に休むことができる環境整備を進め、また、モデル事業を行った結果や課題を踏まえ、県としてしっかり検討して、支援してほしい。
【委員】
ラーケーションの導入について、平日に学校を休み、家族と活動し、学習や体験等をする内容である。校外での自主学習という位置づけだが、新聞報道によれば、テーマパークに行くことも自主活動になり得ると、県が例として挙げていた。
テーマパークに行くことや、家庭で親と料理をすることなども含めて事例として想定しているのか。また、家庭で決めたラーケーションの計画について、子供が学校に何か提出することはあるのか。
【理事者】
ラーケーションの日の活動内容については、平日だからこそできる学校外での学習活動であり、様々な活動があり得ると考えている。
具体的には、リーフレットに学びのキーワードや、具体的な活動例を掲載しているほか、ラーケーションスポットを紹介するウェブページも作成、紹介していく。
また、学校には、ラーケーションの日の活動内容を届け出る必要はなく、いつ取得するかのみ、保護者から事前に届け出てもらい、事後の報告書等の提出も求めない。
【委員】
一緒に過ごすのは家族限定なのか、友達と一緒にどこかに行くために、一緒に同じ日に休みを取るような計画も立ててよいのか。また、計画や結果について、学校は特に報告を求めないとのことだが、誰とどう過ごしたといったことが、児童生徒の評価、指導の対象にはならないのか。
【理事者】
ラーケーション活動は、家族と共に過ごすことを基本にしている。家庭によっては、保護者と過ごせない事情がある場合については、保護者が認めた大人、例えば祖父母や成人した兄弟との活動は認められると考えている。
また、ラーケーションの活動内容の報告は求めないことを教育委員会の基本姿勢としている。学校によって報告を求めることは考えられるが、それに対して評価するようなことは考えていない。
【委員】
基本的には報告を求めないとのことだが、誰とでも、どこでも自由に過ごしてこそ、休日の意味があると考える。
次に、ラーケーションの日の取得により受けられなかった授業について、家庭での自主学習としているが、どの家庭でも学習の補充ができるとは限らない、家庭で自習と書いてあるとびっくりして休日を取得しづらいといった声が寄せられている。家庭の事情や習熟度により、自習が難しい家庭もある。理科の実験や調理実習など、自習ができない授業もある。
これで子供たちの学びが保障されるのか。学校の教員も多忙で、教員がそもそも不足しており、休んだ子供たちの学習をフォローする体制を取ることはとてもできない。制度をつくるが、休んだ分は自習では無責任である。体制を整えた上で、学校で学びをフォローしていくことが必要であるが、子供たちの学びをどう保障していくのか。
【理事者】
ラーケーションの日を取ることで、受けられない授業の内容について自習等により補うとしていることは、病気等による通常の欠席の場合と同様である。したがって、ラーケーションの日を取ることに伴い特別な学習上の補充を行う必要はないが、病気等による欠席と同様に、学校の判断によりプリントを渡すなどの支援を行うことはあり得る。
【委員】
通常の休みと同様とのことだが、ラーケーションの場合には、同時に複数の子供が休むなど、通常の休みとは異なることが想定できる。1日ぐらい休むといったメッセージも大事とは思うが、日々の授業も本当に大事であり、休んでも何とかなるのでは無責任である。ラーケーションは、教員が子供たちに安心して休んでと心から言える体制をつくってこそ、始めることができると考える。
学校現場の運営に支障が出ることを危惧している。子供たちが、いつ、何人、ラーケーションを使って休むのか分からない中で、学校を運営するのは難しいとの声がある。校外学習など、計画的なクラス運営ができなくなる不安が解消されない、修学旅行や展覧会など学校行事の設定がしにくい、修学旅行の班を決めるのに休んでいる子が多いと決まらない、学級委員を決めるときなど休むとどうなるかなど、厳しい状況がある。学校は授業に加え、校外学習や学校祭の出し物を決めたり、運動会の出場競技を決めたり、準備したりと、様々なことが想定できる。
学級、学校運営上の支障について、どのように対応していくのか。
【理事者】
ラーケーションの日の取得に際しては、学校行事など学校運営に支障のある日について、市町村や学校ごとに、ラーケーションの日を取ることができない日、あるいは期間を設定できる。そのため大きな支障はないと考えている。
【委員】
支障がないとは言い切れない。子供たちみんなで相談して物事を決めることも、大事な教育活動の一つであって、こういった活動が困難になることは起こりかねない。
子供たちの間に格差を広げることになりかねない問題もある。
ラーケーションの日を取ることが難しい家庭もある、格差拡大になる、今の働き方の状況ではつらい家庭もある、それよりも学校が楽しさや学力を保障する道を探ることが重要だといった声が寄せられている。
様々な家庭があり、大企業に勤めている家庭ばかりではない。休めない保護者、生活保護を受けている家庭、親が病気を患っている家庭、シングルマザー、シングルファーザーの家庭など状況はそれぞれである。欠席扱いにしないから親と休んで楽しんでと言われても、楽しめない家庭もある。ゆとりのある家庭は制度が使えるが、そうでない家庭は生活格差がはっきり見えてしまう。ラーケーションの日にこんなことをしたと話せる子はよいが、制度を使えないことで自己肯定感を下げてしまう子供も出てしまうといった現場の声がある。
学校で楽しい学習・体験や、文化に触れる機会をつくり、みんなで共有できる時間をつくることが大事である。子供たちの格差を広げる恐れのある制度を、県がつくるべきではないと考えるが、県の見解はどうか。
【理事者】
ラーケーションの日の校外学習については、必ずしも遠方で活動する必要はなく、家庭など身近な場所での学習活動も可能である。自分の興味に基づいた学習活動は、家庭による格差や子供の中での不平等につながるものではないと考えている。
【委員】
格差につながるものではないとのことだが、家庭の事情は多様化している。
ラーケーションそのものが、同じような家庭環境や勤務状況を想定して制度設計されているのではないか。子供たちの置かれている家庭環境は本当に様々である。保護者と一緒に休みを楽しむことが難しい子供たちの存在にこそ、目を向けるべきである。
これは一体、誰のための休日なのか。一部報道によると、ラーケーションはトヨタカレンダーが追い風になったとの記事もある。知事も会見で、経済団体、産業界から休日は親子でいろいろな活動がしたいとの要望があったと話している。大企業の要望が後押しになったのではないか。学校現場に混乱をもたらすような制度をつくるよりも、有給休暇を取得しやすい職場にするよう企業に求めていくほうが大事だと考える。教育現場に混乱と負担、格差を広げるような制度を持ち込むべきではない。
次に、奨学金貸付金返還請求事件は、愛知県から貸与を受けた高等学校等奨学金貸付金の返還を延滞している人に対し、貸付金の返還を求めるものである。
奨学金の返還免除の対象となるのは、奨学生本人が死亡した場合、奨学生本人が精神、身体に著しい障害を受け、将来にわたって就労が不可能になった場合のみである。返還猶予の制度はあるものの、経済的な理由では免除の対象にはならない。今、若者を取り巻く環境は、格差と貧困の広がりで厳しい状況がある。
昨年の自殺者のうち、奨学金の返還を苦にしたと考えられる人が10人いたという大変深刻な報道があった。奨学金は社会的な問題になっている。大学生の奨学金が中心ではあるが、高校の奨学金も切り離せない問題である。
返済を滞納している人に訴えを起こすのではなく、制度の中身を見直し、免除の対象の拡充や給付奨学金の対象拡大、返済支援など負担を軽減すべきではないか。
【理事者】
返還債務の免除について、愛知県高等学校等奨学金条例第10条に奨学金の貸与を受けた者が死亡したとき、精神または身体に著しい障害を受けたときに至った場合には、奨学金の返還の債務の全部または一部を免除することができると規定されている。病気やその他やむを得ない理由により一時的に返還が困難となった場合は、返還を猶予する制度があるので、こちらを利用してもらいたい。
【委員】
本来、奨学金制度は、学びを保障し、支援するためのものである。県内の高校生、大学生に対する給付奨学金制度と奨学金返済支援制度を創設し、誰もが安心して学べる環境をつくることが、学びを支える政治の役割だと考える。家庭の経済力にかかわらず、全ての子供に学ぶ機会が豊かに保障される制度になることを求める。
【委員】
ラーケーションの日は、公立学校に通う子供が保護者と共に校外での体験や探求の学び、活動を自ら考え、企画し、実行することができる日であると答弁があった。
また、実施の手引には、ラーケーションの日の狙いとして、休み方改革の側面からワーク・ライフ・バランスの充実と、生産性の向上による日本経済の活性化が挙げられている。教育的側面としては、教育基本法の家庭教育の条項を引用しながら、保護者の教育力を引き出すことも必要であると書かれている。
本県としては、ラーケーションについて保護者が責任を持って子供たちと過ごし、学びをさせるものと聞いている。普通の欠席と同じ対応といった答弁もあったが、その前段階として、保護者が子供たちにきちんと教育をさせる制度設計だと聞いている。
そこで、保護者の教育力をどのように引き出していくのか。
【理事者】
ラーケーションの日は、保護者が子供と相談し、一緒に校外での学習を計画することとしており、保護者に参画をしてもらうことで保護者の教育力を引き出したい。
【委員】
保護者が一緒に子供たちと過ごせば、教育力が引き上げられるとの考えか。
【理事者】
ふだん、子供と一緒にそうした校外での学びを行っていない保護者が、ラーケーションをきっかけに子供と一緒に計画しながら、子供が主体的に学んでいく活動をしていくことは、やはり保護者の教育力を引き出していくことにつながるきっかけになると考えている。
【委員】
子供と一緒に行うことで、大人も一緒に成長するのか。そのためには、何らかの働きかけが必要であって、その仕組みづくりを教育委員会としてどうするのか。具体的な活動例の提示等について答弁があったが、教育力については実証レビューのところに記載があり、まずは定義からしっかりと、どのように進めるのか考えていく必要がある。
ラーケーションの狙いについて、実施の手引によると、令和3年1月の中央教育審議会答申も引用しながら、児童生徒の自己調整や、保護者と連携して学びの主体性を高めていくことは教育的価値があると書かれている。この中央教育審議会答申は、全ての子供たちの可能性を引き出す個別最適な学びと、協働的な学びの実現を副題に掲げている。ラーケーションに関する実施の手引に小さく書いてあるタイトルと同じであるが、答申の副題には、全ての子供たちと記載がある。また、答申では、日本型学校教育の強みは、福祉的な役割も担っていることだと示されている。
本県が行ったヤングケアラーに関する調査結果では、小学校5年生で16.7パーセント、中学校2年生で11.3パーセント、高校2年生で7.1パーセントのヤングケアラーがいるとされた。そして、被虐待児童生徒など、学校に来ることが救いになっている子供たちがいることも忘れてはいけない。中央教育審議会答申が全ての子供たちと記載している中で、ラーケーションはこの趣旨に合うものなのか。
県がラーケーションについて発表した時期に、本年4月に民間が行った調査では、認知度は2割と低いものの、事業には9割が賛成といったタイトルがよく出ていた。この調査は、18歳以下の子供がいる家庭の親を対象とした調査で、サンプル数は378とのことである。自主的な学習といった目的まで伝わっているのか定かではないが、賛成とした親の意見には、連休の合間の日に休みが取れて、連続して休みとなることを歓迎するといったものがあった。
先日、小中学生の子供を持つ母親とラーケーションについて話す機会があった。その人は土日が忙しい自営業であるため、平日にラーケーションが取れたらうれしいと言っていた。しかし、話をしているうちに、小学校におけるテストは年間計画でなく、単元ごとに実施されることや、絶対評価になり、小テストを積み上げて評価することもあると心配していた。また、小学校高学年の男子の母親であることから、ラーケーションは絶対友達と行きたがると話していた。友達と行くとすると、親も連れて行かないのではと心配していた。保護者として、子供が授業に遅れてしまうことの不安や、学校を休むことへの意識の変化等を不安に思っている人もいる。
アンケート結果に示されたように、連休の合間など、連続して休みが取れるところに休みを取りたい人は多いと思う。しかし、逆に学校に来ている子供も心配である。例えば、連休の中日など、ラーケーションに連れていける家庭は多くが休んでいる。それでも、学校は休みではないので来ている子供もいて、授業も行われる。そうなると、子供たちが10人しかいなかったときに、担任の先生は、子供たちが少ないのに普通に授業を進めていいのか、小テストを実施してよいのか、本当は球技やグループ活動をしたかったのにできるのか等、何らかの影響が出てきて、ラーケーションを取れなかった子供たちへの影響があるのではないか。
ラーケーションで欠席する子供たちが多い日も想定されるが、出席する児童生徒への学習の保障について、どのように考え、対応していくのか。
【理事者】
ラーケーションの日については事前の届出制としており、出欠席の状況が事前に把握できるため、授業の内容や進め方について必要な調整を行うことで、出席した児童生徒の学習の質を保障できると考えている。
【委員】
例えば、連休の中日などに校外学習や学校行事を想定しているとして、10日前にラーケーションの届出があったとすると、学校が授業や行事を変えないといけないのか。
【理事者】
基本的に、授業については通常どおりに進めてよいと考えている。
学校運営に支障がある場合については、ラーケーションを取得することができない日として設定できることとしており、調整を図ってもらいたい。
【委員】
授業は基本的に、通常どおりやらなければいけないし、ラーケーションによって左右されてはいけない。しかし、今求められている学びは、個別最適化と協働的な学びである。意見を言い合って一緒にやっていくことが求められている中で、ラーケーションは本当に県が求めている教育なのかと心配している。
次に、休み方改革の先行事例集の中で、鳥取県の事例が紹介されている。昨年度から、体験的学習活動等休業日を導入しており、これによって大型連休をつくることで、児童生徒と保護者が体験的学習に参加する機会を創出する。この点はラーケーションと同じである。鳥取県の事例では市町村単位、県立学校単位で休業日を設定することとされ、市町村立学校では19市町村中3市町村が導入したとのことである。1日の休みのところもあれば、2日のところもあり、例えば、連休の前日や中日を市町村単位で休みにするやり方である。
休業日の日数が異なることで、授業の保障をどうするのか尋ねたところ、夏休みや冬休み等のトータルの休日数は県内でそろえているとのことだった。例えば、連休のところで1日休業日としたら夏休みが1日減るような形で、これであれば授業の保障ができる。教員の休みが取りやすくなるメリットもあるとのことだった。ラーケーションでは、教員に休み方改革だから休みを取りなさいと言っても取れない。特に鳥取県は、県外から就職している若い教員もいるので、大型の連休になるのはとても好評だと聞いた。そうだとしても、やはり児童生徒の家庭によって事情があり、心配な点もあるとのことだった。
ラーケーションについても、利用できない保護者から、子供がかわいそうだと相談を受けている学校もある。仕事の関係や経済的理由でラーケーションが取れない親も一定数いるので、ラーケーションが取れないことで寂しい思いをするかもしれない子供への心理的サポートについて、県はどのように考えているのか。
【理事者】
ラーケーションの日については、土日に子供と過ごすことができない家庭をはじめ、どの家庭でも取得できる制度である。しかしながら、必ずしも全員が3日取らなければならないものではない。家庭によっては、保護者が平日に休暇を取れない場合もあると考えられるが、そのような場合には、保護者が同意した大人、例えば、祖父母や成人した兄弟などが保護者代わりとなってラーケーションの日を取得することが可能である。
ラーケーションの日を取得したくても取得できない児童生徒については、個別に相談に乗るなどして心理面のサポートをするよう、各市町村に依頼していく。
【委員】
個別に相談に乗るのは学校である。市町村にそのようなことまで求めるのか。
ヤングケアラーや被虐待児については、本当に心配する。学校に来ることによって救われている子供たちもたくさんいる。逆に、ラーケーションを利用して虐待することもあり得ると思う。子供の福祉に反する機会にもなり得ることについて、県は何か想定しているのか。
【理事者】
ラーケーションの日は、子供と保護者の信頼関係を基本としているが、ヤングケアラーや被虐待児童生徒の保護者から届出があった場合には、それまでの欠席の状況等に応じて、子供の健康や安全を確保する視点から慎重に対応することになる。
【委員】
ラーケーションは届出だけで報告も求めないのだから、慎重に対応するといっても難しい。
また、子供たちだけでどこかに行ってしまうこともあるが、今までは平日に遊んでいる子供たちがいれば地域の目があり、それが日本の子供たちの安全を守ってきたと感じている。
その反面、県警察の子供たちの被害に関する資料では、例えば、略取誘拐、人身売買の被害件数について、平成25年から29年までは1桁だったものが、平成30年は19件、令和元年は19件、令和2年は29件、令和3年は22件、令和4年は15件と2桁になっている。
そして、20歳未満の行方不明者届の受理は、おおむね年間1,200件前後で推移している。
こうした中で、県警察は連れ去り防止のための防犯教育を展開している。これまで学校のある時間に地域に子供たちがいたら地域の目が働いていたと思うが、ラーケーションで平日に地域に子供たちがいることで、地域の力を損なうことにつながらないか心配している。県として何か見解はあるか。
【理事者】
保護者と共に平日に校外で体験や探求の学び、活動を行うラーケーションの制度については、各学校から保護者だけではなく、地域にも周知している。
なお、ラーケーションの日については、保護者と一緒に活動することになっているため、地域で子供たちを見守るに当たっては、平日に子供たちだけで遊んでいれば、これまでどおり子供たちに気をかけてもらえるものと考えている。
【委員】
ラーケーションのモデル事業には、最後にアンケートを行うとのことだが、どのような対象と内容を想定しているのか。
【理事者】
19市町で実施するモデル事業については、事後に学校や保護者、児童生徒を対象としたアンケートを実施する予定である。
なお、アンケートの内容は、各市町における実施状況も踏まえて具体的な設問内容を調整する必要があるため、詳細を今後検討していく。
【委員】
ラーケーションは休み方改革として、生産性の向上も一つの目的になっている。ラーケーションによって、本当に親と子供たちで何かすごい挑戦ができるといった話も聞いた。様々な課題について質問してきたが、学校で対応すべきことが増え、また地域の目を育てるのも誰がどのようにやっていくのか、考えないといけないことがある。
経済界とも一緒になって、やるべきことはやらないといけない。学校に来ている子供たちの学習保障は本当に心配である。
ラーケーションの取得にあたっては、給食費の返金が担保されると示されている。アレルギーの子も多く、学校現場では非常に気を遣って対応している。アレルギーについて昨年度のデータ、人数を示してほしい。
【理事者】
昨年5月1日時点で、小学校で食物アレルギーのある児童数は2万4,488人である。そのうち、学校生活の中でアレルギーの管理を必要とする児童数は1万2,004人である。
中学校では、食物アレルギーのある生徒数は1万2,737人であり、そのうち、学校生活の中でアレルギーの管理を必要とする生徒数は3,650人である。
【委員】
アレルギー対応や欠席連絡の確認は、ミスをすれば子供たちの命に関わる。その点では、人手を増やす予算がついたことに関して反対はしない。しかし、それ以外の点で本当に考え直すべきところがあると問題提起したい。保護者は子供たちの面倒を見てほしいとの気持ちもあって、その中で、県民の日を含めて4日休めるとなっても、本当にそれで満足なのか。アンケート等でしっかり調査しながら、課題を深く考えていってもらいたい。
<委員外議員発言>
【議員】
第92号議案工事請負契約の締結について伺う。
本県の水産業を将来にわたって維持発展させていくためには、現場を支える若い担い手を育成していかなければならない。
その意味で、本県唯一の水産科を有する三谷水産高校の役割は大変重要である。とりわけ、2016年度から、文部科学省から先進的で卓越した水産教育に関する研究を行うスーパー・プロフェッショナル・ハイスクールの指定を受けた取組を行ってきたことで、生徒の意識をはじめ、学校全体での校風にも大きな好影響が表れてきている。
こうした中、長年懸念されていたのが、老朽化した愛知丸の新造である。県当局の理解があって、このたび愛知丸の新造に至ったことは、学校関係者はじめ、地元水産業に関わる関係者も大変喜んでいると同時に大きな関心を持っている。
本年2月定例議会の教育・スポーツ委員会で、委員から、新しく建造される愛知丸の特徴と就航後の活用について質問があった。高等学校教育課長からは、2025年4月の就航後は、従来のカツオの一本釣りをはじめとする漁獲実習や船舶通信実習に加え、高性能カメラを搭載したドローンを活用し、上空からの海洋環境調査や水中ロボットを活用した水中生物の観察、海水を採取しての汚染の度合いを調べるなど、幅広い分野の実習に活用していくとの答弁があった。また、大型化により船の安定性が増す利点があるため、現在実施していないグアムやサイパンなどへ国際航海を行い、長期にわたる遠洋漁業や海外の港への入港などを生徒に体験させる予定であり、これまで行うことができなかった国際航海や遠洋漁業、海外の港の入港といった実習も予定しているとのことだった。
本定例議会の議決を経て、新しい愛知丸として令和7年度から運行開始となる。令和5年度建造予算額が37億9,192万3,000円で、このたびの落札価格が29億9,200万円と、落札率78.9パーセントとなったようである。一時期の原材料、資材等の高騰は落ちついてきたとはいえ、予算額に対して約8億円もの差額があることに対しては、いささか懸念するところだが、当局としての考えはどうか。
また、建造に当たっての監督管理はどのような人が担う予定なのか。
【理事者】
県立三谷水産高校の実習船である新愛知丸については、昨年度、必要な装備品や規模などの事前調査と設計を一般社団法人海洋水産システム協会に委託し、同年12月に建造仕様書ができあがった。
この建造仕様書を基に、同協会が昨年5月時点の資材価格高騰を考慮し、建造工事に必要な概算額を約38億円と算定したことを受け、県庁内で精査の上、本年度予算化したものである。予算額に対し、約8億円下回る約30億円という落札となったのは、原材料の鉄材や各種設備備品の価格が一時より下がったこと、また、一般入札による競争原理が働いたことによるものと認識している。
なお、入札には、株式会社三保造船所のほかに2者が参加したが、それぞれ約32億円、34億円で応札していることから、株式会社三保造船所の落札額が過度に低いものとは言えないと判断している。
また、監理者については、現段階では未定である。船に精通し、監理能力にすぐれ、実績のある業者を選定していく予定だが、一般的には、船を設計した業者が担当することが多い。
一般社団法人海洋水産システム協会については、漁船や水産関連の機械、設備に関する技術開発や技術支援、科学調査船などの官公庁の船の設計、監理等の業務に携わっており、さらに水産高校の自習船についても、過去3年間で、宮崎県、青森県及び北海道から設計や管理の業務を受注している団体である。
【議員】
あくまでも一般入札として競争原理が働いた結果と理解するが、安かろう良かろうだけでは困る。建造の目的に合ったものをしっかりと造らなければいけない。
その上で、監督、管理としての監理業務は大変重要になってくる。現段階では監理者は未定だが、一般的には船を設計した業者が担当することが多いとのことで、今回、船を設計した一般社団法人海洋水産システム協会の実績等も理解した。
監理費について、当初予算では、1,123万8,000円となっていた。建造費の大幅な減額に伴って、監理費予算にも影響があるのか、またどのような監理を行っていく考えか。
【理事者】
監理費は、仕様書どおりに工事が行われているかをチェックするものであり、人件費に相当することから、建造費の増減にかかわらず必要となる経費である。工程数を鑑み積算しており、ほぼ予算どおりの執行になると考えている。
新愛知丸の建造工事については、監理者の下、適切に行えると考えているが、発注者である県としても、仕様書どおりの船ができるか、しっかりと確認していきたい。
【議員】
こうしたことを改めて確認しているのは、現在の愛知丸が初航海をした際に水漏れ等の支障があったようで、また、現場の船員も様々な思いを持って、しっかりとした新造船ができることを願っているからである。その上で、こうした思いも酌みながら設計されたと思うが、しっかりと監理にも当たってもらうよう、重ねてお願いしたい。
現在の愛知丸は、最大搭載人員が50人、生徒35人、船員13人、指導教官2人となっている。新造船では、生徒5人増の55人となっている。現在でも75日間の乗船実習をしているが、今後は、国際航海や遠洋漁業、海外の港の入港等、さらに長期間にわたる航海も予定されている。現在の船員体制のうち、専門職としての通信、調理といった部門では、それぞれ1人の専門員で対応しているようだが、不測の事態への対応を考えると、複数人の配置が必要と思われる。船員体制についてどのように考えているのか。
【理事者】
1人配置の通信長が病気などで業務に当たれない場合には、通信士の免許を持った教員が代わりに対応する。
また、調理を担う厨房長が業務に当たれないときは、専門的な調理を必要としない簡易な食事で対応する。
しかしながら、これまでになかった長期にわたる航海を行うことを踏まえると、改善すべき課題であり、今後、他県の状況も調査した上で対応を考えていきたい。
【議員】
課題等の認識に基づいて、ぜひ取組をお願いしたい。また、昨年の船員法の改正に伴って、船員の労働時間の上限規制も働き方改革の中で示されている。
まずは、何よりも生徒たちの安全で安心した航海実習のため、船員の人員体制についてもしっかり協議してもらいたい。
《一般質問》
【委員】
小中学校のコミュニティ・スクールの取組について伺う。
保護者や地域住民等が学校運営に参画する仕組みとして、地域の教育力を活用しながら、教職員の働き方改革の一環や、地域連携による道徳教育、情操を育む人材育成の必要性など、コミュニティ・スクールの位置づけが、より重要な時期を迎えている。
県内でも、一宮市、刈谷市など先進的な取組を展開している地域もあり、これらの取組を参考にしながら、県内全ての小中学校へ波及していくことが重要と考えている。
まず、愛知県の小中学校におけるコミュニティ・スクールの導入状況はどのようになっているのか。
【理事者】
国が昨年度実施した令和4年度のコミュニティ・スクール及び地域学校協働活動実施状況調査の結果によると、本県の小中学校における導入状況は、22市町村291校である。自治体の導入率は41.8パーセント、学校の導入率は21.1パーセントで、それぞれ全国平均を約25ポイント下回っている。
ただし、この調査では、今後の導入予定も調査しており、本年度は11市町220校が新たにコミュニティ・スクールの導入を予定している。
【委員】
全国平均と比べても本県の導入率が低いことや、市町村の中での差があることについて、どのような要因があるのか。
【理事者】
市町村の担当者や学校の管理職から聞き取ったところ、コミュニティ・スクールの導入によって学校と地域の課題解決に向けた仕組みができるメリットよりも、導入によって教職員の負担が増えるデメリットのほうが大きいのではないかとの不安が強くあった。
また、導入していない市町村では、学校と地域をつなぐ役割を担うコーディネーターの人材確保が難しいことも、導入が進まない要因の一つとなっている。
【委員】
そうした課題に対して、県はどのように取り組むのか。
【理事者】
コミュニティ・スクールは、地域と学校の連携、協働を図るために効果的な仕組みである。県教育委員会では、コミュニティ・スクールの導入を促すため、学校や市町村、地域の方を対象にした研修会を2021年度から開催している。
研修会では、県内外の事例を紹介するとともに、導入の進め方や導入後の運営、導入による効果などについて説明し、学校や地域の方の疑問や不安に答えている。本年度も引き続き開催する予定である。
また、コミュニティ・スクール未設置の市町村や学校に、コミュニティ・スクールに詳しい学識経験者や経験豊かな地域のコーディネーターを派遣し、コミュニティ・スクールの導入方法や地域と学校との連携・協働に向けた個別のアドバイスを行っている。本年度は、希望のあった16市町村に派遣する予定である。
さらに、学校と地域をつなぐコーディネーターの育成とスキルアップを目的とした地域コーディネーター等研修会を開催し、地域におけるコーディネーターの人材確保に対する支援も行っている。
本年度、本県の小中学校における導入が進む予定で、自治体導入数が22市町村から33市町村に、学校導入数が291校から511校になり、自治体導入率は41.8パーセントから62.2パーセントに、学校導入率は21.1パーセントから37.3パーセントになる。今後も導入が進むよう、市町村や学校の支援に努めていく。
【委員】
コミュニティ・スクール推進のための支援として、また国の方策でも出されていると思うが、地域学校協働活動も含め、今後も子供たちの成長を地域全体で支える社会の実現に向けた取組の推進を要望する。
【委員】
若者・外国人未来応援事業について伺う。
本県では、中学校卒業後に進路が未定の人や高校中退の人、日本語支援が必要な外国にルーツのある人などの社会的自立を支援するため、2017年度から若者・外国人未来塾を開設し、学校教育から切れ目のない支援を行っている。
本年度現在、名古屋、豊橋、豊田、半田、春日井、一宮、蒲郡、愛西及び知立の県内9地域で、高卒認定試験合格に向けた学習支援、相談、助言が行われ、また、9地域のうち6地域、名古屋、豊橋、豊田、春日井、蒲郡及び知立では、日本語学習支援も行われている。
まず、現在の若者・外国人未来塾の利用状況はどうなっているのか。
【理事者】
高卒認定試験合格に向けた学習支援については、2019年度の参加人数は延べ1,176人だったが、昨年度は延べ2,350人と3年間で倍増している。本年度の4月と5月の2か月間の状況は延べ513人で、昨年度の同時期のほぼ倍であり、増加傾向が続いている。
また、外国人に対する日本語学習支援については、2019年度は延べ118人だったが、昨年度は延べ585人と3年間で約5倍となっている。本年度4月と5月の2か月間の状況は延べ128人で、昨年度の同時期の3倍以上となっている。
【委員】
年々増えているが、その要因があると思う。若者・外国人未来塾の対象となる中学校卒業後進路未定者、高校中退者、または外国にルーツのある人を捕捉するために、現在どのような形で案内をしているのか。
【理事者】
中学校を進路未定のまま卒業する生徒や高校を中退する生徒については、各学校に対して、卒業や中退する前に本人や保護者に本事業を案内するよう依頼している。日本語の学習支援が必要な生徒についても同様に、学校から勧めてもらうよう依頼している。
また、各市町村の青少年担当部局に、本事業の対象者にリーフレットなどの配布を依頼しているほか、公益財団法人愛知県国際交流協会などに対しても、事業の周知をお願いしている。
さらに、あいちの学び推進課のツイッターや愛知県のLINEアカウントを活用した広報活動も行っている。
【委員】
若者・外国人未来塾の実施地域について、2017年度の3地域から開始し、昨年度までに9地域で実施するとの目標を立てて取り組み、その目標どおりに進めてきたと承知している。
日本語学習支援については、昨年9月の教育・スポーツ委員会で、我が党の犬飼明佳委員の質問に対し、将来的には9地域全てに拡大したいとの答弁があったが、現在は6地域であって、残りの3地域、半田、一宮、愛西での日本語学習支援について、今後どのように進めていくのか。
【理事者】
現在、日本語学習支援を実施していない半田、一宮、愛西のうち、外国人の居住者が一番多く、ニーズが高いと思われるのは一宮地域である。この地域には、一宮高校に2026年4月に夜間中学を開校する予定であることから、それまでには日本語学習支援を始めたい。
残りの半田、愛西についても、できるだけ早期の開設に向けて準備を進め、外国にルーツを持つ子供が身近な地域で日本語を学べるようにしていきたい。
【委員】
一宮の夜間中学が2026年度に開校するとのことだが、私の地元豊橋市でも、2025年度に豊橋工科高校に夜間中学が開校される予定である。夜間中学では、外国にルーツを持つ生徒の入学も予定しており、若者・外国人未来塾と連携して、日本語学習支援を行っていくと聞いている。どのような連携を考えているのか。
【理事者】
本年1月に策定、公表した愛知県定時制通信制教育アップデートプランでは、夜間中学で学ぶ外国人生徒の日本語習得を支援するため、若者・外国人未来塾を運営するNPOなどの日本語指導者に学校に来てもらい、授業前の1時間程度、日本語の指導などを行うことにしている。
現在、若者・外国人未来塾で日本語学習支援を実施している委託団体と具体的な連携の方法について協議を始めたところであり、夜間中学を設置予定の各地域の日本語学習支援については、今後詰めていきたい。
【委員】
若者・外国人未来塾の運営に当たっては、運営を委託している団体や県の関係部局をはじめ、関係機関と協議会を開催して、連携、協働して行われているが、2021年度には名古屋保護観察所と連携し、保護観察中の若者の学び直しにも取り組み、5人がそれぞれの地域で学んだと聞いている。この現状について伺うとともに、新たな関係機関と連携した取組はあるのか。
【理事者】
若者・外国人未来塾における名古屋保護観察所との連携については、令和3年3月に名古屋保護観察所から、保護観察中の5人の若者の学習支援について依頼を受けて始めたものである。昨年度は3人、本年度も3人が参加している。
名古屋保護観察所以外では、中学校や市町村、ハローワークなどと連携して参加者を受け入れている。
【委員】
現在、不登校をはじめ、様々な困難を抱えた子供、若者が増えている。そうした子供たちに学ぶ機会を提供することはとても必要なことであって、若者・外国人未来塾は大変有意義な事業だと思う。
豊橋市は、外国人が多く居住しており、日本語の習得が十分でないため、学びたくても学べない子供も多くいる。先ほど、利用状況を伺ったが、まだまだ少ないと感じる。広報をしっかりと行ってもらい、若者・外国人未来塾をより充実したものにするよう要望する。
【委員】
部活動の地域移行について伺う。
現在、部活動について、私の地元でも地域移行の話題が関心を集めている。特に来年から中学校へ入学する子供のいる保護者からは、今後どのように進んでいくのかといった声や、多くの課題があるのではと聞いている。
一方、国の動向としては、昨年12月に文部科学省が学校部活動及び新たな地域クラブ活動の在り方に関する総合的なガイドラインを策定し、2023年度から2025年度までの3年間を改革推進期間と位置づけて、休日の部活動の段階的な地域移行、地域連携を進めるとしている。
部活動の地域移行について、どのような課題が考えられているのか。
【理事者】
本県では、公立中学校における休日の部活動の地域移行を進めるため、国のガイドラインを踏まえて、市町村向けの部活動の地域移行・地域連携の進め方に関するガイドラインを策定し、周知を図っている。
地域移行する際の課題としては、指導者の質と量の確保、活動場所の確保、会費や移動手段など保護者の負担軽減が特に大きなものであり、市町村向けのガイドラインでは、対応策について例示している。
しかしながら、学校や地域の実情によって、地域移行が困難な場合には、当面、外部指導者として地域の人材を活用したり、複数の学校での合同部活動などを行ったりすることで、部活動の地域連携を進めていく。
【委員】
次に、地域移行に向けて、今後どのように取り組んでいくのか。
【理事者】
今後の取組としては、県の策定した地域移行の進め方に関するガイドラインについて、各市町村の担当者に向けて説明する機会を設けていく。
また、本年度、運動部については12市町、文化部については8市町で、地域の受皿となるスポーツ・文化芸術環境の整備を含む実証事業を行っている。国が改革推進期間としている2025年度までの3年間で、県内全ての市町村で実証事業を実施し、具体的な課題や好事例の共有を図る。
さらに、大きな課題の一つである指導者の確保については、スポーツ人材を抱える企業や大学に働きかけて、県の人材バンクを整備していく。こうした取組を通して、各市町村における休日部活動の地域移行を支援していく。
【委員】
人材確保や施設の整備、家庭の負担への補助、また交通手段の問題などを慎重に検討し、地域の状況に合った部活動の地域移行がスムーズに行えるよう、県としてしっかり支援してほしい。
次に、アジア競技大会及びアジアパラ競技大会について伺う。
本定例議会の代表質問で、我が党の新海正春議員から、アジア競技大会及びアジアパラ競技大会について質問があり、知事から、実施競技や競技会場の決定など、愛知・名古屋大会の開催に向けて具体的な準備を加速していく段階に入ってきたとの答弁があった。
愛知・名古屋大会については、新たな実施競技の選定や水泳飛込会場等の変更、大学連携など、様々な話題が報道されており、まさに開催に向けた具体的な準備が進められていると感じている。
アジア45の国と地域が参加する、アジア地域最大のスポーツの祭典であるこの大会が、愛知・名古屋で開催されることにより、世界トップレベルの選手を間近で見ることができるとともに、この大会に関わる様々な活動を通じて、アジア各国とつながることができる貴重な機会となると考えると、待ち遠しい気持ちである。
アジア競技大会の実施競技について、パリオリンピックで実施される32競技が既に決定されているが、今月15日には、大会組織委員会の理事会で、組織委員会の提案競技として、野球・ソフトボールと空手の2競技が選定された。
そこで、今回選定された2競技は、どのような手続を経て選定されたのか。また、どのような点が高く評価されたのか。
【理事者】
国内の競技団体を対象に、本年4月25日から5月19日までを期間として提案競技を募集したところ、8競技団体から応募があった。選定に当たっては、外部有識者等で構成される評価委員会で、まずは書面で競技会場計画、競技運営能力、コスト・収入、大会への付加価値、レガシー、大会機運の醸成を評価項目として評価し、4競技を選定した。
選定した4競技については、評価項目を踏まえたプレゼンテーションを応募者に行ってもらい、組織委員会の理事会に諮る2競技を選定している。
選定された野球・ソフトボール、空手は、ともに東京2020大会やアジア競技大会をはじめ、大きな国際大会の運営実績が多数あり、愛知・名古屋大会でも円滑で効率的な競技運営が期待できるなど、競技団体の競技運営能力の評価項目が高く評価されている。
また、国際大会でのメダル獲得実績も多く、愛知・名古屋大会でも日本代表のメダル獲得が期待できること、若い世代を中心に裾野が広いことなど、大会機運醸成の評価項目でも高い評価を受けた。
【委員】
野球・ソフトボールと空手は、国内でも認知度が高く、東京2020大会でもメダルを獲得しており、大会が一層盛り上がる競技が選ばれたことをうれしく思う。
既に32の競技が決定され、競技会場などの仮決定が進んでいる中、今回選定された2競技についても、競技実施に向けた様々な調整を速やかに行っていくことが必要である。
今後、この2競技について、どのような調整が必要となるのか。
【理事者】
既に決定されている競技と同じように、まずは競技会場を選定し、仮決定していく必要がある。
競技会場の選定に当たっては、県内競技団体や中央競技団体による会場候補地の現地調査を行うとともに、会場候補地となる施設所有者との調整を進めていくことになる。
また、市町村所有施設が競技会場として仮決定された場合には、大会の円滑な運営を図るため、競技会場のバリアフリー対応など、市町村が行う施設整備に対して改修費用の一部を支援することなど、しっかりと連携を図っていく。
【委員】
次に、大学との連携について伺う。
今月16日に大会組織委員会と県内全52校の国公私立大学の学長で構成する愛知学長懇話会との間で、アジア競技大会、アジアパラ競技大会に関する連携協定が締結されたと聞いている。
本県は、中京大学や至学館大学をはじめ、スポーツに長けた人材を擁する大学があり、選手としての活躍はもちろん、若い力と大学での専門分野の学びを生かして大会に参画し、盛り上げてほしいと思う。地元の大学生が大会に関心を持ち、関わってもらうことで、大会の成功に向けた大きな力になると考える。
締結した連携協定は、どのような内容であったのか。
【理事者】
今回の連携協定の目的は、アジア競技大会、アジアパラ競技大会に関わる活動を通して学生が大会に主体的にかかわり、成長につながる取組を実施するものである。そのため、人的分野や教育分野をはじめ、大会のPRや普及活動など、幅広い分野で連携、協力を図り、多くの学校、学生が様々な形で参画できる内容となっている。
【委員】
大学生がより多く参画し、活動を継続してもらうには、大学生の思いを酌み、それを形にできるような支援が必要と思う。
今後、どのような取組が予定されていて、それに対し県はどのように関わっていくのか。
【理事者】
学生が主体的に行うことが大切であるため、まずはアジア競技大会、アジアパラ競技大会に向けてどのようなことができるかを考えるワークショップの開催を予定している。
具体的な企画はその中で検討することとなるが、例えば、大会に向けたSDGsに関連する取組やPRイベント、また大会期間中には、外国語の通訳など専門知識を生かしたボランティアとしての活躍や開閉会式時等における演出への参加などが考えられる。
県では、大会機運の醸成や地域活性化に関する取組などを具体的に実施する場の提供などについて連携、協力していくとともに、取組が円滑に進むように支援していきたい。
【委員】
2026年の大会までいよいよ残り3年3か月余りとなり、実施競技や競技会場などが決定されるなど、様々な準備が加速的に進んでいく。引き続き、競技会場がある市町村等、関係者としっかり連携し、選手、ボランティア、観客など、大会に関わる人々が様々な時間や空間、そして体験、感動を共有できるとともに、愛知・名古屋らしい大会の成功に向け、安全面への対策の徹底、快適な競技環境の提供、持続可能な大会運営の推進などを確実に進めるよう要望する。
【委員】
まず、学校給食の無償化について伺う。
物価が高騰し、賃金が上がらない中で、学費や教育に関わる負担の軽減が求められている。その中で学校給食は、児童1人当たり年間約5万円で、子育て世帯の大きな負担となっている。
さきの統一地方選挙で、私たち日本共産党は、学校給食の無償化を政策に掲げた。全国的にも254自治体が恒久的な学校給食の無償化を行うことを決めている。しかし、愛知県内で恒久的に無償化を行っているのは、豊根村及び飛島村にとどまっている。それ以外で20の自治体が恒久的な無償化ではないものの、保護者負担の軽減の努力が始まっている。
本年9月から来年3月まで無償となる安城市や小牧市では、第三子から無償となっているが、9月からは恒久的に第二子の中学校給食を無償としている。
犬山市では、第三子以降の給食無償化に加え、9月から小学校6年生と中学校3年生の無償化となっている。
こうした全国的な学校給食無償化の流れや、愛知県内の各自治体での無償化への努力は、多くの市民の声が反映された結果である。県としてこうした動きをどう受け止めているのか。
【理事者】
学校給食法では、給食の食材にかかる費用については保護者の負担とされているが、これに自治体が補助することを妨げるものではないことは、国会における政府答弁で明らかとなっている。そのため、学校の設置者である各自治体で、地域の実情に応じて判断し、実施されているものと受け止めている。
家庭の経済状況が厳しい児童生徒の学校給食費については、生活保護による教育扶助や就学援助を通じて支援を実施している。
また、今般の物価高騰に対しては、地方創生臨時交付金の活用を促しており、保護者が負担する学校給食費の値上げが抑制され、保護者の負担軽減が進んでいると考えている。
【委員】
学校給食の無償化は、全国的に特別区や市町村レベルでの取組がほとんどであるが、その中で、都道府県レベルで補助制度を設けたのが千葉県である。
千葉県では、小中学校や特別支援学校の第三子以降の給食費無償化が行われているが、これは市町村と連携して実施することになっていて、事業費は県と市町村で2分の1ずつを負担し、政令市の千葉市のみ県が4分の1、市が残り4分の3を負担する仕組みになっている。
もし、本県が小中学校の給食費無償化を行う場合、財政負担の仕組みを千葉県と同様に市町村2分の1を補助する仕組みにしようとしたら、県では幾ら必要になるのか。
【理事者】
直近の2022年度の1食当たりの小中学校の給食費の平均は約273円であり、これに給食実施日数186日と小中学校の児童生徒数60万人を掛けると、給食費の合計はおよそ300億円になる。
なお、千葉県では、第三子以降の給食費無償化を行っているが、制度の詳細を承知していないため、千葉県と同様の補助を行った場合の県の負担額は算出することができない。
給食の食材にかかる費用への補助については、まずは小中学校の設置者である市町村がそれぞれの実情に応じて判断し、実施するものと考えている。
【委員】
算出はできないとのことだが、日本共産党愛知県委員会として計算したものによれば、300億円弱、295億円程度であって、これは県としてはできない額ではないと思う。憲法第26条で、義務教育は無償とされている。学校給食は教育の一環であって、食の大切さを学び、心と体を育み、発達を支える重要な役割がある。
県内各地で給食費無償化の動きが少しずつあるが、コロナ対策を目的とした国の交付金を使った期限付の対応では、津島市が本年度に限って無償化にすることや、豊橋市では本年9月で無償化が打切りとなる。予算措置が取れない財政的な困難が、多くの自治体にとって給食費無償化に踏み切れない理由になっている。学校給食をずっと無償にするには、自治体の裁量、努力だけでは困難で、県が自治体に財政支援を行うことが必要である。
千葉県では、1月から県として無償化を行っているが、子供たちがどこに住んでいてもお金の心配なく、安心しておいしい給食を食べられるように、教育の一環である学校給食無償化に向けて、県の補助として、無償化実施の市町村に費用の半額を負担する仕組みをぜひ設けてほしい。いきなり全市町村でなくても、例えば、今努力を始めている市町村分だけでも構わないので、ぜひ頑張る市町村を応援する姿勢を示してほしい。
【理事者】
学校給食法では、給食の食材にかかる費用について保護者の負担とされているが、これに自治体が補助することを妨げるものではないことは国会における政府答弁で明らかとなっている。まずは、小中学校の設置者である市町村がそれぞれの実情に応じて判断し、実施するものと考えている。
【委員】
まずは市町村でとの答弁だが、岸田政権も本年6月16日に決定した、いわゆる骨太の方針で、学校給食の無償化の課題について整理等を行うと明記した。
変化を先取りする姿勢が必要だと思う。本県では既に医療費の助成や保育士加配などを実施する市町村に半額補助する仕組みがある。今度は、学校給食の補助にぜひ踏み出していただきたい。
もう一点、学校給食の無償化は、学校現場の負担軽減にもつながると思う。教員は授業の準備に加えて、給食費の実務もやらなければいけないが、給食費徴収額を計算し、1円でも合わないと合うまで計算をやり直し、返金がある場合は、時間外に自宅まで届けることもあるそうである。また、食数の把握や、給食費を払わない人に家庭訪問し、お金の話をすることが本当につらいと現場の声が寄せられている。こうした現場の声をどう受け止めているのか。
【理事者】
現在、給食費の公会計化を市町村に促しており、これにより給食費の徴収、管理業務を学校ではなく自治体の業務とすることで、教員の負担軽減になると考えている。
【委員】
学校の先生からは、現場で本当に苦労している声が寄せられている。憲法第26条に定める義務教育は無償の立場に立って、子供たちに給食を通じた豊かな教育を保障するためにも、市町村任せにせず、県が力を発揮することが必要である。
私の地元、豊橋市でも、学校給食費の無償化を求める会が結成され、3年目に入っている。その会が行った給食費無償化の賛否を聞くシールアンケートでは、無償化は助かっている、ずっと無償にしてほしいと、圧倒的に賛成の声が多数との結果であった。
豊橋市で昨年10月から実施された給食費の無償化は、子育て世代に大変歓迎されている。給食費の無償化を求める会は引き続き運動を続けている。こうした市民の声に応え、学校給食無償化に踏み出すことを求める。
次に、教員不足と教育実習の実態について質問する。
本年3月の教育・スポーツ委員会で、昨年5月1日現在の教員不足数が、小中高、特別支援の合計で183人であって、昨年度より58人増加していると報告された。そして、教員不足は、年度当初より年度後半がより深刻と聞いている。年度途中で産休や育休に入る教員の代替と予定していた臨時任用の教員を、正規の教員不足のために年度当初から配置してしまい、補充が追いつかない。昨年4月1日では、2,534人の正規教員不足による欠員補充が行われたと聞いている。これでは、臨時任用や非常勤講師も本来の目的のためには全く足りなくなる。5月1日時点の調査だけでは、実態を正確につかめないのではないか。
本年5月1日現在での教員不足数は把握できているのか。正規の教員で代替している人数も含め、教員不足のリアルな数字を示してほしい。
2学期、3学期と、教員不足がどう推移しているのか、小中高、特別支援それぞれで、また特に不足が深刻な教科はないか。志願者数を増やす努力もしていると思うが、最近の動向はどうか、教員不足の現状と認識を伺う。
【理事者】
令和5年5月1日現在の教員の未配置数は、名古屋市を除く本県の公立小学校で52人、中学校で47人、高等学校で19人、特別支援学校で22人、合計140人である。
非正規による欠員補充数は、小学校で1,288人、中学校で771人、高等学校で298人、特別支援学校で246人、合計2,603人である。
昨年度の2学期及び3学期における教員の未配置数については、把握している人数で、小中学校において、昨年度5月1日時点で145人であった未配置数が、9月1日時点で137人、3月1日時点で115人であった。
なお、高校及び特別支援学校については調査を行っていない。
また、教科別では、中学校技術、高等学校工業といった教員免許状保有者が少ない教科、科目で不足が解消できていない状況である。
教員採用選考試験における志願者数については減少傾向にあり、2024年度採用試験では昨年度から360人減の6,048人であった。
本来、配置しなければならない教員が配置されていない学校があることについては、早急に解消すべき課題であると認識している。
【委員】
課題であることは共有できるし、深刻な状況が改めて示されたと思う。教員不足をもたらしたのは、正規教員の配置を抑制し、非正規教員にかなりの部分を依存してきたことが大きいのではないか。
教員不足の実態は深刻である。中には管理職が担任を持たざるを得なくなったり、どうしても教員が見つからず、授業もできずに生徒に成績がつけられなかったりといったケースもあると聞いている。
生徒との信頼関係が特別に必要な特別支援学級の現場でも、教員の入れ替わりが激しい状況があると、予定の変更が苦手な特性のある子供たちの情緒が不安定になって、非常につらい思いをしているといった声がある。
先生がいないのは子どもの権利条約違反ではないかと、名古屋の子供が市の子供の権利相談室に実情を訴えたとの話もあった。
子供たちの学ぶ権利を保障するためには、正規の教員を増やして、ゆとりを持って子供たち一人一人と向き合える時間をつくることができる学校運営が必要である。
我が党の国会議員がこの問題について国会で質問した際に、文部科学省は、都道府県等が正規教員を任用した場合においては、それに対応する給与水準で国庫負担しているので、積極的に正規教員の採用を進めるようお願いしてきたところだと答弁していた。
国が積極的に正規教員の採用を進めるよう言っているのに、愛知県は過去最大の臨時教員で補い、教員不足が生じている。非正規教員に依存し続けるやり方では教員不足は解決できない。教育に臨時はない。子どもの権利条約から見て、教員不足は深刻な課題との認識を持っているのか。その解決には正規の教諭を増やしていくことが一番だと考えるがどうか。
【理事者】
本来、配置しなければならない教員が配置されていない学校があることについては、早急に解消すべき課題であると認識している。
教員不足の解消に向けて、正規教員の採用を積極的に行っており、本年度は、昨年度より160人増の1,710人を新規採用した。
来年度については、定年引上げ制度が導入されるため、前年度では945人いた定年退職者がいないことになる。退職者が減れば新規採用者数も減ることになるが、正規の教員定数を確保できていない欠員数を減少させるため、採用予定人数を1,610人とし、前年度比100人減にとどめた。
【委員】
教員を増やさないといけないとの認識は共有できると思うので、ぜひ、正規の教員を増やすことをしっかり取り組んでほしい。
教員志願者の減少も大きな問題である。長時間労働の問題など、教員の働き方こそ改革が必要である。教員を志望した学生が、学校現場に最初に接するのが教育実習となる。ここで子供たちと触れ合い、先輩教員の姿に感銘を受け、先生になって子供たちから手紙をもらい、教員になろうと改めて思ったという学生が多くいる。
まず、教育実習は年間何人程度行われているのか、指導体制はどうなっているのか。
【理事者】
名古屋市を除く本県の公立学校で、昨年度教育実習を受けた教育実習生の数は、小学校873人、中学校1,119人、高等学校548人、特別支援学校144人、合計2,684人であった。
教育実習生を受け入れる学校では、研修部主任や教務主任が中心となり、教育実習実施計画を策定し、教育実習生を学校全体で受け入れ、教育実習生を支援する体制を整える。教育実習生1人につき1人の指導教員がつき、学級経営や教科指導についてマン・ツー・マンで指導する。
なお、中学校や高等学校、特別支援学校では、指導教員が教育実習生の専門教科と一致しない場合があるので、その場合、教科指導を担当する別の指導教員との複数体制で指導する。
【委員】
受け入れる現場では苦労することもあると思うが、教育実習に行って、あのような労働環境では働けないと、教員になる夢を断念する学生が少なくない、大変深刻な実態があることが分かった。苛酷な教育実習の実態は国会でも問題になった。
日本民主青年同盟愛知県委員会が行った教育実習生へのアンケートがある。実習先は本県に限らないが、実習中の勤務時間について、実際の勤務時間は1日13時間半、研究授業前では14時間半といったケースがあった。10時間以上が7割である。朝の7時半から夜6時、7時まで、遅いと9時近くまで学校にいる。労働基準法では、8時間を超えて働く現場には1時間の休憩が必要とされている。しかし、給食の時間は、食育や子供たちとの時間となり、休憩時間にはならない。授業について、27コマも担当するケースがあった。普通は6コマ、7コマでも大変なのに、現職教員並みに働かされるケースもあったと聞いている。授業準備に追われ、子供たちと接する時間がほとんどない実習期間になってしまったそうである。中には、実習の1週目から授業をしなさいと言われて、学校や子供たちの様子も分からないのに事前に指導案をつくるケースもあったとのことである。教員の多忙ぶりを見て、相談したくてもできない雰囲気もあった。
また、学校側が実習生に割く時間はないからと、そもそも指導を受けられないといった深刻なケースもあったと聞いている。もちろん、指導力のある教員と出会い、子供と触れ合い、やりがいを感じた実習生もたくさんいる。実習先の格差が大きい。子供が好きで学校の先生になりたいと希望を持って学んでいるのに、半数近い学生が教育実習を体験して、教員になるのは諦めざるを得ないと考えてしまうような深刻な声が寄せられている。
教育実習は本来、どのような時間数で行われるものなのか。苛酷な労働を学生に強いる状況が起こっているが、教育委員会は認識しているのか。
【理事者】
教育実習生は、配属校教職員の勤務時間である1日7時間45分、1週間38時間45分を基準に、各学校で決められた出校時刻から退校時刻の間で実習を行う。
教育実習生の授業実習時間等は、各大学の教育課程により目安や基準が設定されている。ある大学では、2週間の実習を行う場合、子供の生活や学習活動、教師の指導活動等を観察する活動として、3時間から4時間、指導教員が行う活動に補助的に参加する活動として2時間、指導教員の指導の下、実習生が主体的に計画して授業や学校行事等の指導を行う活動として2時間から5時間を目安として示している。
これらの基準の下に各学校で教育実習実施計画を策定し、実習が行われるが、授業実習時間等以外にも、教育実習生が指導案を作成したり、大学に提出する授業の観察記録等をまとめたりする執務の時間や自主的に他の教員の授業を見て学ぶ時間も確保されている。
各学校に対しては、指導教員が教育実習生に対し、教育実習生の過度な負担となるような指導を行わないことや不適切な指導を行わないように校長会等を通じて伝えているが、一部で指導教員の指導に熱が入り、実習生への指導時間が長くなる場合もあると聞いている。このような場合には、個別に過度な指導とならないよう伝えている。
例年1月に、教育実習生が在籍する大学と県教育委員会とで行う教育実習受入れ事務打合せ会では、教育実習校受入れ校の反省及び次年度への要望として、教育実習生の勤務上の諸問題や教育実習の内容等の課題について共通認識している。大学側から、それほど深刻なケースがあるとは聞いていないのが現状である。
【委員】
アンケートも事前に渡しているので見てほしい。深刻な、過度な負担にならないよう伝えているとの答弁もあった。
教育実習は一義的には大学の責任であって、大学が相談窓口になるが、どうしても多忙な学校に実習をお願いする立場なので、立場が弱くなる一面もある。
学校と教員が本当に多忙な状態であるが、やはり教育実習生を温かく迎えて、教員への夢を育んでいかないと、学生が希望を失い、教員志望の学生がますます減っていくのではと思う。
また、教育実習指導の中でハラスメントを受けたといった話も聞く。教育実習生をめぐっては、本年3月に文部科学省から、ハラスメントや教育実習の適切な時間管理についての通知が出されているが、これについてどう受け止めているのか。教育委員会として、県内の教育実習の実態を調査し、学生の声を聞き、もちろん学校現場の声も聞いた上で、長時間労働の是正や適切な持ちコマ数を示すことなど、必要な改善を求めるべきではないのか。
【理事者】
本年3月29日付で文部科学省から発出された教育実習等におけるハラスメントの防止及びその適切な対応等との通知については、教育実習に関わる全ての学校が留意すべきことであると捉え、本年4月7日付で、県内の県立学校及び各市町村教育委員会に通知文書を発出した。
各学校に対しては、指導教員が教育実習生に対し不適切な指導を行わないことや、教育実習生の過度の負担となるような指導を行わないよう、校長会等を通じて伝えている。
また、教育実習受入れ事務打合せ会で、教育実習生への指導上の諸問題や教育実習の内容等の課題について協議し、改善を行っている。
文部科学省の通知にあるハラスメントや時間管理の問題が教育実習生から寄せられた場合、教育実習生が在学する大学を通じて県教育委員会に伝えてもらうことを事務打合せ会で確認しており、引き続き必要な改善を行っていく。
【委員】
学生の声、現場の声を丁寧に聞き取り、県としても実態を把握して、こうした過度な負担とならないように、そして、教員を増やすとの観点からもこれは共有できる問題と思うので、よろしくお願いしたい。
学生からは、教員に魅力はあるが働き方がしんどい、子供があってこその教育現場だから子供が嫌いで教員にならないわけではない、教員の労働環境改善こそが教員希望者を増やすことになるといった声が寄せられている。勉強でも人間関係でも、子供が成長、発達するには、伴走する教員の時間と心の余裕が必要である。教育現場の多忙化を改善し、教員不足を抜本的に改善するために、教育の専門家である正規教員の大幅な採用増を求める。
続けて、豊橋の新アリーナについて伺う。現在、豊橋市では、多目的屋内施設、新アリーナの計画が進められている。
昨年6月定例議会の教育・スポーツ委員会における議案質疑の中で、新アリーナの今後の基本計画等の策定に当たり、県と豊橋市の職員による連絡会議を設置し、県と市で協力して進めていく旨の答弁があった。定例議会の閉会挨拶時には、大村秀章知事が豊橋市の新アリーナの整備については、本県としても県の新アリーナ整備事業で得たノウハウの提供や基本計画策定などに対する支援をしていくと述べている。
本県は、基本計画等策定費の一部を負担しており、事業主体は豊橋市とはいえ、県も大きく関係する事業であると考える。
県が豊橋の新アリーナに関わって現在補助している金額と、支援や協力をすることにした経緯はどのようなものか。また、連絡会議の開催の頻度と、これまで何回開催されてきたのか、連絡会議の中身はどうか。
【理事者】
本県による豊橋市への補助については、豊橋市がアリーナを検討していくに当たり、県が持つノウハウ等を教えてほしいといったことがあり、まずは、基本計画等の策定に関する費用で2,750万円、市と合わせて5,500万円の2分の1を補助している。
また、県と市の連絡会議については、市が豊橋市新アリーナの基本計画等の作成を進めていくに当たり、県が持つアリーナ整備に関するノウハウを提供してほしいとの要請を受けて設置したものであって、昨年7月以降、これまでに4回開催している。
会議の内容としては、基本計画の内容について市から相談を受け、県が愛知国際アリーナの経験を踏まえた助言を行っている。
【委員】
豊橋公園内の新アリーナの整備について、施設の計画場所が変更された。当初予定していた場所が、県指定の家屋倒壊等氾濫想定区域だったことが後から判明したためである。新たに豊橋球場を移設し、その跡地へアリーナを整備すると発表された。
当初の計画の時点で、県が指定する危険区域であることを、県から助言しなかったのか。
また、豊橋市から豊橋球場を移設し、跡地に整備する件について、県に相談はあったのか。
【理事者】
豊橋公園の一部が家屋倒壊等氾濫想定区域であることを県スポーツ局が認識したのは、昨年11月に豊橋市のスポーツ担当から連絡を受けてのことである。その連絡を受けて、市に対し、適切に新アリーナの配置計画を検討するよう申し伝えた。その後、市が野球場の移設を公表したが、野球場の跡地に新アリーナを整備すると事前報告を受けている。
【委員】
県庁内の局を越えた情報共有が、この問題で改めて大事だと感じたので、ぜひ、教訓を生かして、情報共有の努力をお願いしたい。
また、様々な問題が新アリーナに関わって起こっている。今回、新アリーナ建設の用地確保のために撤去方針を打ち出した豊橋球場の移設先が、南海トラフ巨大地震などの津波から避難が間に合わないと見込まれる、市が指定する特定避難困難地域に入ることが分かったと、6月24日付の中日新聞に報道された。地震発生の5分後に避難を始めると、津波到達までに安全な場所にたどり着けない人が出ると見込んでいる場所である。豊橋市の担当課が取材に対し、計算上は困難だが、避難できないわけではないと、市民の命を軽視する発言をした。
新アリーナ等の用地確保に伴う豊橋球場の移設先が、こうした特定避難困難地域であることを県として把握しているのか、この移設先について協議し、合意しているのか。
【理事者】
特定避難困難地域は市が指定しており、当初から県は把握していなかった。また、移転先が特定避難困難地域であることについては、市から別途報告を受けた。
県では、新アリーナ整備に対してノウハウ提供等の支援を行っているが、野球場の移転先等については豊橋市の判断によるものである。
【委員】
豊橋球場が移設されることに伴って、園内の再編や球場移設を含め、事業費の総額が100億円から220億円に膨らむと市長が記者会見で明らかにした。豊橋市の中間報告の中で、5,900万円の赤字が見込まれることも明らかになっている。浅井由崇市長が記者会見で、国や県の補助金も働きかけていきたいと述べたと報道された。
また、多目的屋内施設アリーナの部分の収入として、年間1億6,700万円を見込んで収支予測しており、このうちの約半分の8,000万円を三遠ネオフェニックスが負担する計算になっている。ところが、三遠ネオフェニックス側に負担できるのか確認していないことが、6月9日の豊橋市議会の委員会の中で明らかになった。
現在、同チームからの利用料収入は、年間約2,000万円以下とのことである。
さらに、防災拠点との位置づけも、本年6月2日の台風2号接近に伴う大雨の際に、道路の寸断、北側の朝倉川の増水、周辺の浸水で、防災拠点にはできないことが明らかになった。
市の計画はあまりにもずさんだと思うが、当初からこれだけ赤字が見込まれる施設は、市の負の遺産になりかねない。赤字が想定される計画でも構わず県が応援するのか。
また、この赤字の想定について、市から相談はあったのか。
【理事者】
市では、本事業によって市民がスポーツをする場や、公園での憩いの場などを新たに整備することにより、行政サービスの向上を図ることを目的としているため、一定の支出を見込んでいるものと認識している。
なお、建設費の増額や収支不足に対し、市では、財政負担の軽減を検討していることから、県としても、事業手法や国の補助金活用の可能性等についてアドバイスをするなど支援を行っている。
【委員】
アドバイスを行っているとのことだが、負の遺産になるのではと大変危惧している。
豊橋市がどんな計画を立てても、どんなに計画を変更しても、無条件に愛知県は補助金を出すのか。豊橋市は、県や国にも財政支援を求めたいと表明しているが、この状況の中で、さらなる財政支援を検討していくのか。
【理事者】
豊橋市新アリーナが、愛知国際アリーナと連携して相乗効果を上げるとともに、東三河地域のスポーツ振興、それから地域振興につながるアリーナとなるよう、整備の方向性の策定、決定までを支援する。
現時点で、建設費について県の財政支援は想定していないが、国がスタジアム、アリーナで活用可能な補助メニューを公表しているので、それらのメニューを中心に、新アリーナ事業で活用できる仕組みを市と一緒に検討していく。
【委員】
豊橋公園の新アリーナをめぐっては、市民の声を聞いてほしいとの声や、市長が選挙で豊橋公園の建設は白紙に戻すと明言したのに約束と違う、渋滞問題が解消されないなど、疑問や怒りの声が上がっている。市民運動を中心に、豊橋公園のアリーナ建設の是非を問う住民投票条例の制定を求める署名が1万5,991筆集まり、議会に上程されたが、反対多数により否決された。
豊橋市の基本計画案の市民からの要望には、健康増進に使える施設としてほしい、財政負担の軽減につながるよう収益が見込める施設としてほしい、高齢者、障害者、小さな子供等、誰もが使える施設としてほしいなど、様々な声がある。その中で今回、突然、野球場の移設計画が発表され、市民の声がことごとく置き去りにされていると感じる。パブリックコメントは行うが、市民への説明会は開催されないとのことである。建設ありきで進んでしまっている。
スポーツ振興ならば強引に進めるのではなく、建設場所も含め、市民が使いやすい施設、市民に歓迎される施設にするため、市民の声を聞いて進めるべきではないか。県として、市に対して市民の声を丁寧に聴くよう助言すべきではないか。
【理事者】
今回の基本計画案中間報告について、市はパブリックコメントを実施しており、その中で市民からの意見を募っている。
本件については、豊橋市において市民の理解を得つつ、適切に対応されるものと認識している。
【委員】
県は、豊橋市の新アリーナへの支援を表明し、お金も出しておきながら、基本的には市の決めることであって、アドバイスだけにとどまっているとのことであるが、このままでは市民の合意が得られない、災害対応も財政見通しも不十分なまま、県が計画にお墨付きを与えてしまうことなると思うがどうか。
【理事者】
豊橋市新アリーナについては、災害対応や財政見通しに関する説明を含め、市が市民の理解を得ながら進めると認識している。
県としては、豊橋市新アリーナの整備により、東三河地域のスポーツ振興及び地域振興につながるものと考えており、県の新アリーナ整備事業で得たノウハウの提供や基本計画策定などに対する支援を行っていく。
【委員】
県はノウハウを提供するだけで、市と共同責任と言われても困るとの県のスタンスは、市民に伝わっていない。大きな責任が市にあることは明らかだが、県の姿勢と関わり方も一旦、整理しておく必要がある。条例も要綱もないまま始まったのが新アリーナ計画策定への補助で、立ち位置を改めて明確にしておくことが大事と思う。
豊橋の新アリーナ計画は、市民不在で進められている。スポーツ振興といいながら、主には、コンサートやイベントが中心になってしまうのではと思う。豊橋公園は市民の憩いの場であり、スポーツを楽しみ、豊橋まつりや炎の祭典など、市民が地域のイベントを楽しむ場でもある。豊橋球場は、空襲の瓦礫で造られた戦災からの復興のシンボルとしても親しまれている。球場移設は、市民からスポーツを遠ざけてしまうことにもなってしまう。市民にとって身近な施設に方向を転換し、負担が膨大になる施設は一旦白紙に戻すよう求める。
次に、アジア・アジアパラ競技大会について伺う。
馬術と、水泳のうち競泳、飛込の競技会場について、愛知ではなく、東京に変更された。
一方、競技については、新たに野球・ソフトボールと空手が組織委員会の提案競技として選定された。アジア競技大会では、五輪競技以外に幾つかアジア大会ならではの競技が予定され、約40競技になる。野球・ソフトボール、空手の会場は、県内、県外を含めて、どういったところを想定しているのか。これで全ての競技が出そろい、競技会場が全て決まったのか。
【理事者】
野球・ソフトボール及び空手については、6月15日に開催された組織委員会理事会で、組織委員会の提案競技として選定されたところであり、今後開催されるOCA理事会・総会において決定される予定である。
競技会場は、競技団体など関係者の意向を踏まえながら調整を進めていく。
次に、アジア競技大会の実施競技の決定状況について、現在、パリオリンピックで実施する32競技と組織委員会が提案する2競技を決定または選定している。
このほか、アジア5地域での普及を考慮して決定される5競技と、OCAが提案する最大2競技を実施することとしており、これらの競技はOCAが選定することとなっている。
競技会場については、パリオリンピックで実施する32競技のうち、調整が整った45の競技会場を仮決定しており、競技会場が未決定の競技については、調整が整い次第、競技会場を決定していきたい。
【委員】
選手村の設置が見送られることになった。
まず、選手団の規模は約1万5,000人であり、馬術や水泳は除いたとしても全員が宿泊できるキャパシティが愛知にあるのか。
2点目に、同一競技の選手は、条件をそろえるために同じグレードの宿泊施設にする必要があると聞いている。約40の競技ごとに同程度の宿舎をそろえることができるのか。それとも国ごとに宿泊することになるのか。
3点目に、アジア競技大会がオリンピックに準じた大会として、単一競技の世界選手権などと異なるのは、国や競技種目を超えたアスリートの交流を通して、友情と平和の促進を図る点にある。交流の場として選手村がないとすれば、友情と平和の促進、選手同士の交流の場をどう組織委員会として準備していくのか。
【理事者】
選手団の宿泊施設の確保については、組織委員会で、競技会場からの距離、食事用のダイニングやランドリーなど、選手団に必要なサービスを提供することができるなど、一定の条件を満たす宿泊施設の検討を行っており、今月に実施されたOCAによる視察でもおおむね良好な評価をもらっている。
一部競技は、愛知県外での実施を予定していることから、競技会場からの距離を考慮し、県外の宿泊施設も活用しながら、選手団全員を受け入れられるよう、宿泊施設を確保していきたい。
次に、選手間で不公平感が出ないよう、同一競技の選手団の宿泊施設については、グレード等を統一するよう組織委員会で検討を行っている。
さらに、選手同士の交流については、愛知・名古屋の文化を体験しながら、選手同士が交流できる場を確保するよう検討が進められている。
【委員】
新聞報道では、パラ競技大会の選手の宿泊施設を確保することが大変だとの報道もあったが、これについて県の考えはどうか。
【理事者】
パラアスリートに配慮した宿泊施設の確保については、当然、アスリートファーストの観点から、アスリートに配慮した客室の確保、また大会スタッフによる競技会場への円滑な移動のサポートなど、パラアスリートが競技に専念できる選手村機能を点検しながら、今後調整していきたい。
【委員】
アジアパラ競技大会には車椅子の選手も出場するので、ホテルで安心して過ごせる環境を整えてほしい。宿泊先の確保に大変苦労しているところで、選手同士の交流も今回重要になることから、ぜひ努力してほしい。
選手村について、開催都市契約には、最大1万5,000人のための宿泊施設を提供すること、大会2週間前から閉会式の3日後まで必要なサービスが利用可能な状態で提供されることとある。約1か月近くの長期間、宿泊施設をキープする必要があるが大丈夫か。
料金についても、契約書には次のようにある。選手村の食事つきの部屋の料金は、補助金が適用された価格で、食事及び宿泊の全てについて1泊1人当たり50米ドルを上限として定められるものとする。提供される食事の選択肢及び種類は、毎日少なくとも20時間、適切な質で提供しなければならない。50米ドルは約7,500円であるが、契約書どおりの宿泊料で提供するとかなりの持ち出しになるのではないか。
【理事者】
選手団が利用する宿泊施設については、各競技の選手団規模等の決定後、それぞれの条件に合致する宿泊施設を選定し、各宿泊施設との交渉に着手していく予定であり、その中で必要な期間を確保したい。
次に、開催都市契約における宿泊料に関する記載は、宿泊施設利用者に対して、一定の負担を求めるものだが、宿泊をはじめ、輸送、警備、医療など、大会の開催に伴い必要となる各種サービスについては、組織委員会が開催経費の範囲で適切に提供していく。
【委員】
組織委員会が愛知県で用意する宿泊施設は、選手団の分だけではない。契約書には、選手団のほかに、最低限、メディアに3,000人分、OCAファミリー分として2,000室、レフェリー、審判などに最大350室を提供するとある。
選手団と合わせると2万人以上になるが、確保できるのか。また、アジア競技大会について、インバウンド需要を喚起するイベントとしても位置づけたいとよく聞くが、観客の宿泊施設は同時に確保できるのか。観客数と宿泊先の確保をどう想定しているのか。
【理事者】
選手やチームの役員などの選手団と、他の大会関係者とでは、フィットネス施設やミーティング用会議室など、施設に必要となる設備や提供するサービスの内容が異なるため、利用する施設が重複する可能性は低いと考えている。このため、大会関係者の宿泊施設についても、組織委員会で十分確保できると考える。
また、アジア競技大会について、まだ全ての競技や競技会場、競技日程が確定しておらず、どの程度の観客数となるか現時点で確定していないが、観客の宿泊については、競技会場に隣接する市町村の宿泊施設や岐阜県、三重県、静岡県など近隣県の宿泊施設等も含めて宿泊施設を確保できるよう、情報提供をしっかり行っていきたい。
【委員】
宿泊施設の確保は本当に大仕事だと思う。観客の規模や宿泊先の確保について、今の答弁では少し不透明だと思う。
次に、広告会社に依存した運営体制について伺う。
東京五輪の汚職事件を苦い教訓にし、決して同様の事態を繰り返してはいけない。東京五輪では、株式会社電通に業務をほぼ丸投げした運営体制が大きな問題となった。
世界水泳を開く福岡市でも株式会社電通が専任代理店となっているが、経費が当初見込みから倍増し、福岡市の負担が3倍に膨れ上がった。137件の契約中32件が電通グループとの随意契約となり、議会でも大問題になっている。
冬季五輪の誘致をめぐり揺れている札幌市では、広告会社に過度に依存しない運営体制の構築が課題となっているが、大手広告代理店頼みの体制を排除しきれていない。
愛知・名古屋のアジア競技大会についても、7月中にマーケティング代理店の公募が始まる予定と聞いている。東京五輪の汚職事件を踏まえ、広告会社に過度に依存しない運営体制をどうつくるのか伺う。
また、株式会社電通は指名停止になっているのか、確認する。
【理事者】
アジア競技大会のマーケティング、とりわけスポンサー選定等については、組織委員会で、顧問弁護士とも相談しながらコンプライアンスの徹底を図り、組織の運営面における透明性、公正性を確保し、適正な選定体制等を検討している。
また、東京2020オリンピック・パラリンピックのスポンサー契約をめぐる一連の不祥事を踏まえ、スポーツ庁等によるプロジェクトチームが本年3月末に、大規模な国際または国内競技大会の組織委員会等のガバナンス体制等の在り方に関する指針を策定、公表した。
本指針には、マーケティングに関する内容も含まれており、マーケティング業務を代理店に委託する際には、代理店の選考が適切、公正に行われるための仕組みを定めること等について示されている。
そこで、愛知・名古屋大会における代理店の選考に当たっては、外部有識者を中心とした選定委員会を開催し、代理店の提案内容を公正に評価してもらった上で、代理店候補企業を選定する予定である。
7月中旬から開始するマーケティング代理店の公募は、公募対象に事業者の実績や事業規模等の要件は設定していない。また、原則として、複数の企業で構成するグループ、いわゆるJVまたはコンソーシアムとして、広告代理店に限定することなく、幅広い事業者から提案を求める。さらに、今後は、マーケティングの分野だけでなく、アジア・アジアパラ競技大会の開催に向けて、国の指針や顧問弁護士の意見等を踏まえながら、クリーンな大会に向けて準備を進めていく。
併せて、株式会社電通について、組織委員会の契約規則は特定の企業を指名停止にする措置はなく、案件ごとに契約の相手方を決めることとなっている。したがって、今回の県や市の措置を踏まえ、個別に判断していくことになるが、組織委員会でも、県や市で指名停止を受けた企業との契約は原則として認められないものと考えていることから、今後、募集要件にもしっかり明記する予定である。
【委員】
マーケティングで、代理店に巨大な権限が集中しないようにお願いしたい。大会運営についても、ノウハウを持っているからと、代理店に過度に依存することがないように、また、知事も言っているように華美、過大な大会にしないために、大事な鍵はここにあることを指摘しておきたい。せっかく愛知、名古屋で行う大会であるならば、スポーツ振興に多いに寄与し、市民がスポーツを身近に感じられる、そして国際平和と友好に貢献するような大会になるよう求める。
【委員】
県立学校における荒天時の対応について伺う。本年6月2日に集中豪雨が三河地方を襲い、豊橋市では418ミリメートルの雨が降った。線状降水帯との用語が使われ出してから、今回が2回目の大雨だったわけだが、台風の時期になると子供は、台風で暴風警報が出れば休みだと言う。暴風警報が出れば休校になることは皆分かっているが、今回、史上まれな雨が降ったにもかかわらず、多くの学校が登校していた。休校になり、児童や生徒を帰したタイミングは本当にばらばらだった。
県立学校、高等学校に電話をかけて無作為に聞いたところ、例えば、A高校は1時間目だけ授業を行い休校にしたとのことだった。最初から土砂降りだったことで保護者が送りにきたため、親が迎えに行き、昼頃には大体全員帰宅したことを確認していた。
B高校は、4時間目まで授業をやって休校にしたとのことだった。全然雨がやまないので、帰せないが、電車が止まっていない段階で帰さないと大変なことになるとの判断だった。
小坂井高校では、朝7時30分に休校を判断したとのことだった。学校周辺が水没することに慣れている地域で、こうした判断ができたと思う。7時30分に休校を判断しても、もっと早く来た生徒が20人程度いたが、その生徒たちには校門で先生が立っていて帰したり、保護者に迎えに来てもらったりして、午前10時30分には全員の帰宅が確認されたとのことである。
そこでまず、気象警報が発令された際の休校の対応について、現状のルールはどうなっているのか。
【理事者】
気象警報が発表された場合の県立高校と特別支援学校における対応については、各校長宛ての通知により示している。
この通知では、学校の始業時刻2時間前の時点で暴風警報または特別警報が発表されている場合は、児童生徒を登校させない。ただし、午前11時までに暴風警報が解除された場合は、解除2時間後から授業を行う。特別警報が出ていた場合は、解除後も安全が確保されるまで登校させない。
また、暴風警報や特別警報が発表されていなくても、大雨等の異常気象により児童生徒の安全確保に困難が予想される場合には、校長の判断で休校措置を取ることとしている。
【委員】
時系列で見ていくと、午前7時4分の段階で大雨警報が出されたが、今のルールでは休校の対象にならないことに違和感を覚える。午前7時20分の段階で、梅田川が氾濫危険水位に到達し、周辺の豊橋市内16校区に避難指示が出ている。そのような状況であっても、暴風警報が出ていないから登校することになっており、やはりおかしいのではないかと思う。
市町村が発令する避難情報については、令和3年5月20日に改定された。レベル1から5まであり、レベル3は高齢者等避難として高齢者、障害者の避難が要請され、レベル4は一般の人も避難が要請される避難指示、レベル5になると緊急安全確保として、既に避難ができない状態であって、とにかく身の危険が迫っているので安全な対応を取るようにとの要請となる。
午前7時20分の段階でレベル4が既に出ていたが、自治体が発表する避難情報については、先ほどのルールで、どのように加味されているのか。
【理事者】
市町村が避難情報を発令した場合は、通知で、暴風警報や特別警報が発表されていなくても、大雨等の異常気象により、児童生徒の安全確保に困難が予想される場合に当たることから、公共交通機関の運行状況や気象情報、市町村からの災害関連情報を基に、各学校長の判断で休校措置を取ることとしている。
【委員】
平成25年8月28日の教育長通知では、1番が暴風警報の発令、2番が特別警報の発令、3番がそれ以外であって、暴風警報または特別警報が発表されていないが、大雨等の異常気象により、児童生徒の安全確保に困難が予想される場合に、気象台から発表される注意報、警報等の気象情報を把握するとともに、気象、交通機関及び通学路の状況等を判断し、校長が休業や授業の中止を決定するとのことである。
本来、3番で網羅しているので、1番も2番も要らないはずである。令和3年5月の改定により、避難情報が明確になったが、休校に関する通知は平成25年のものである。整合性を取る必要はないのか。
【理事者】
平成25年の通知については、暴風警報と特別警報の二つについて規定しており、発表されている地域全体に危険が迫っているとの意味で、特に二つを出している。そういった警報が出ていない場合でも安全を確保しなければならないとの意味で三つ目を置いているのは、災害等の状況について、河川に近いなど、各学校の置かれている状況は様々であって、状況に応じて校長が地元の自治体等からの情報を基に、適宜、適切に判断できるようにとの趣旨である。
今般、例えば線状降水帯による大雨等、異常気象とも言えるような災害が増加している状況も踏まえ、通知の見直しについて検討していきたい。
【委員】
ぜひ見直して、状況に合ったものにしてもらいたい。
それから、小学校に通う私の娘は、4時間目まで授業があった。高校は午前中で終わっているところが多かったが、4時間目をやって、弁当を食べて帰ってきた。午後1時に、早く授業を切上げて帰すとの内容で保護者にメールが届いた。そこで、午後2時に帰すので、迎えに来られるなら来てほしいことと、それができなければ、通学団により自力で帰させるとのことだった。午後1時の段階では小降りだったので、自力で帰らせることにしたが、午後2時になると土砂降りになった。これはいけないと思い、通学路に娘を迎えに行ったところ、土砂降りの中を、教員が後ろについていたが、カルガモのように行列をつくって歩いて帰ってきた。この日の朝も雨が降っていたが、出勤前に子供を送り届けてから職場に行く場合が多く、自力で歩いて登校した子供は誰1人いなかったが、帰りは働いている家庭が多く、ほとんどがそのような対応だったと思う。1時間がとても大きくて、休校や帰宅の判断は、その瞬間にできないと意味がない。帰すことが安全なのか、危ないのならば警報解除または安全が確保できるまで、親が迎えに来るまでは学校から出さないといった判断が正しいのではとも考える。
生徒が登校してから休校が決まった場合、生徒の下校の現状と安全性の確認について、現状どうなっているのか。
【理事者】
登校後に休校が決まった場合は、速やかに下校させる、または帰宅が困難と考えられるときには、校内で安全を確保する。
ただし、特別警報が発表された場合は、児童生徒を1人で下校させることはせず、保護者に直接引き渡すか、学校管理の下で安全な場所に避難する。
県教育委員会には、気象台の情報や交通機関の計画運休の情報が入る体制となっており、これらの情報を迅速に学校現場へ発信し、学校が児童生徒の安全を確保できるよう、しっかりサポートしていく。
【委員】
現場でその瞬間に判断することは無理だと思う。私の地元にある保育園では、早々と前日に休園を決めた。学校は警報が出ていないから4時間目までやった。高校は自転車や電車で通ってくる生徒や、遠くから来る生徒もいるため、早く帰さなければいけないとの作用が働いたと思う。保育園は、保育に欠けた子供が来る福祉施設であって、本来は学校と違って、できれば預かってもらいたい施設なのに早々と休園を決めた。最初は非難があったが、結果を見ればその園長は英雄だと言われていた。
提案したいのは、例えば何百ミリメートル以上の雨が降ると予想されているのであれば、空振りを恐れず、休校を決めるようなルールを作ってはどうか。リモート授業ができる時代にもなっているので、ぜひ検討してもらいたい。何のために、コロナ禍でタブレット端末を配備したのか。大学生は当たり前のようにリモート授業をやっているが、数歳しか年の離れていない高校生になると、なかなか活用できていないと聞いている。このように線状降水帯などで、校長先生の判断が求められるときに心配するのが、大した雨でなかった場合に、1日潰れてしまったと批判されることが嫌だと思う。それならば、リモート授業で置き換えができるのであれば、そうした批判も少なくなると思うが、休校時のリモート授業の対応について現状どうなっているのか。
【理事者】
台風や大雨などで学校が臨時休校になった場合の対応として、Zoomなどのウェブ会議システムによる同時双方向による遠隔授業が考えられるが、現在、生徒の側の通信環境が一律でなく、接続の安定性を十分確保できない可能性があるため、長時間にわたって通信を継続することが難しく、同時双方向による遠隔授業をほとんどの学校が行っていない。
その代わりに多くの学校では、生徒用タブレットや生徒個人のスマートフォンを使って、家庭で学習する課題を指示しており、例えばロイロノートなどの学習支援ソフトを活用して、オンライン教材や教員による授業動画の配信などの対応を行っている。
【委員】
コロナの時期において、当時小学4年生の娘は、家に帰ってきてリモートの接続確認をするために、点呼をするなど双方向で訓練をしていた。訓練をしているだけで実際やっていないのならば、本当にこれは問題だと思う。
技術的に家庭のWi-Fiの問題はあるかもしれない。Wi-Fiの環境がない人を置き去りにするのかといった批判はあるかもしれないが、それが休校に至らない、休校をちゅうちょする理由になるのであれば、命のほうが大事ではないかと思う。何よりも、既に端末が配備されているのだから、あるものはぜひ使ってほしいのが本音である。昔は電話すらお金持ちの家しかなかったが、今では固定電話よりもスマートフォンが当たり前になった。もしどうしても駄目であるならば、プリントで補強することもできる。できない理由を考えるのではなく、できることのほうにかじを切って考えてほしい。
また、タブレット端末が学校に置きっぱなしで、使用されていないという声を聞いた。特に、東三河の進学校に通っている親からそうした声があったが、現状の利用率と、配備した当初に県教育委員会が期待していた効果からみて、状況をどう考えているのか。
【理事者】
生徒用タブレット端末については、2020年度から段階的に整備を進め、昨年8月に全ての県立高校と特別支援学校で配備を完了した。
全日制高校における本年6月時点の生徒用タブレットの利用状況は、ほぼ毎日使用している学校が38パーセント、週2日から4日程度使用している学校が49パーセント、週に1日以下の使用にとどまっている学校が13パーセントである。
県教育委員会としては、タブレットが日常的に使う文具の一つとして探究的な学びに活用されることを目指しており、1割程度の学校でふだん使いになっていない現状は改善する必要があると認識している。
ふだん使いになっていない学校では、まずは生徒がインターネットで調べ学習をしたり、教員がプリントをデータ化して、生徒のタブレットに配信したりするなど、取り組みやすいところから活用するよう促すとともに、タブレットが早期に配備され、既に活用が進んでいる学校では、生徒が深く考え、自分の意見を分かりやすく表現するためのより効果的な活用がなされるよう促していく。
【委員】
タブレット端末の使い方についても、英語辞典の代わりに使った程度では、全然意味がないと思う。端末を配備するとしたときに期待したのは、コロナの時期であったことも踏まえ、いざというときに双方向の授業、リモート授業をすることである。今後、タブレット端末の活用について、どのように考えていくのか。
【理事者】
タブレットの活用について、現状からさらに促進していくためには、教員のICTスキルを向上させる必要がある。教員によってICTスキルに大きな差があることを踏まえ、ICTを苦手としている教員に対しては、基本的内容の研修動画を配信しており、これからも学校現場の要望を取り入れながら、コンテンツの充実を図っていく。
また、機器やソフトの使い方、授業準備など、学校現場の様々なニーズに応じて、教員を直接支援するICT支援員を昨年度から県立の高校と特別支援学校へ派遣しており、学校現場から好評を得ていることから、こうしたニーズに応えられるようこれからも努めていく。
ある程度のICTスキルが身についている教員に対しては、各学校でICT教育推進の中核となれるよう、より専門的な研修を実施し、教員全体のICTスキルの底上げを図る。
さらに、本年度の新たな取組として、教員同士がICTに関する情報交換や相談を気軽に行える場をオンライン上に作っていく。
これら教員に対する支援とともに、理科室や体育館など、普通教室以外でもインターネットが利用できるよう、校内の通信環境の整備も行っていく。こうした取組を通じて、タブレット端末の活用をさらに推進したい。
【委員】
世界的に急速な変化が起きている今の時代において、当然、私たち人間も変化についていかなければならない。その人間をつくるのは教育なので、教育委員会に聞きたい。失われた30年といった言葉が使われるが、それが生まれたきっかけは、日本の教育がなかなか追いついていないところに、現代日本の状況をつくっていると感じる。これだけ変化のスピードが速い世の中において、教育の重要性は高まっていると思うが、まず、愛知県の教育においても、世界の変化と変化のスピードに向けて、新しい学校教育が求められている。
これは日本全体のデータであったと思うが、小学校、中学校では9割前後の児童生徒が公立学校に通っている中で、日本人の成長や教育をつくっているのは公教育であると言っても過言ではない。そういった中で、重ねてになるが、この変化のスピード感と変化率の中で、これから日本を支えていく子供たちと、これからの時代に向けた学校教育はどうあるべきなのか。
【理事者】
AIの急速な進歩に見られるように、変化が激しく、先行き不透明なこれからの時代の学校教育には、一人一人の児童生徒が自分のよさや可能性を認識し、多様な人々と協働しながら様々な社会的変化を乗り越え、豊かな人生を切り開き、持続可能な社会のつくり手となれるよう、資質、能力を育成することが求められている。
その実現のためには、そうした学校教育の実現を目指している新学習指導要領を着実に実施することが重要であり、社会の基盤的なツールとなっているICTを最大限活用しながら、多様な子供たちを誰一人取り残すことなく伸ばしていく個別最適な学びと子供たちの多様な個性を最大限に生かす、協働的な学びの一体的な充実を図っていくことが必要である。
【委員】
今の答弁でも、1番最初にAIやICTが出ているが、実際の教育現場ではまだまだ普及していない、子供たちが使える環境ではない。これも一般論にはなるが、自分の子供を見ていても、ほかっておいても勝手に端末を触っている。教えることをしなくても、子供たちはどんどん進んでいく。
そうした中で、学校現場へのタブレット端末の導入は進んでいない。地元の支援者の子供に現役の高校生がいる。偏差値の高い高校に通っているが、学校でのタブレット端末について尋ねたところ、全く使っていないとのことだった。生徒のほうが触れて、先生がついてきていないといった環境は、早く改善しないといけない。私たち大人の数年間とは圧倒的に吸収量も違うし、時代が変化していく中にあって、公教育に求められることは本当に大変なことだと思うが、そういうものに合わせてやっていく必要があると強く感じる。
一つの事例として、産業革命がある。歴史をひもといていくと、産業革命において1次でも2次でも3次でも4次でも、常に人の仕事がなくなると言われていたが、その都度違う仕事を人間が担うように変わっている。今、AIが人間の仕事に取って変わっていくと言われているが、その次に人間が担うことが必ず出てくると思う。
これはあくまでも書籍や推測の部分も多く含まれるが、第4次産業革命の次に何が求められるのかといえば、人間が作業することが極めて減ってくる世の中になり、人間にはクリエーティビティーな役割が求められると思う。創造性や独創性を育まないといけない。そういう人間が育つこと、日本の中で子供たちがどのように育っていくのかが、9割以上の子供たちが通う公教育に強く求められてくる。これからの時代において、児童生徒が創造性や発想性、独創性を育むために、実際の現場でどのような取組を行っているのか。
【理事者】
義務教育の学校における取組事例として、まずは尾張地方の中学校の取組を紹介する。
この中学校では、教員の指示の下で全員が同じ内容を同じペースで学ぶ一斉授業から離れて、タブレット端末を活用し、個人で学ぶ、友達同士が対面で協働して学ぶ、あるいは、チャットなどを駆使しながらクラウド上で協働して学ぶなど、一つの教室で複数の学びの形態が共存する授業が展開されている。
生徒は、自分で設定した課題を追求する中で、必要に応じて学びの形態を選択しながら、主体的に学習活動を進め、教員はそれぞれの生徒の学習の進行を見守りながら、ファシリテーター、進行役に徹している。
【理事者】
次に高校の事例だが、ある県立高校では、身近な課題を教材として問題解決に至る方法を導き出すケースメソッドの手法を取り入れた授業を行っている。
ケースメソッドは、個人の探究活動とクラスメイトとのディスカッションからなり、生徒一人一人が主体的、協働的に学習に取り組み、他者と協働しながら最適解を導くアクティブ・ラーニングの手法の一つである。
消費者トラブルなど、誰もが直面する可能性のある課題を取り上げた授業では、成年年齢の引下げに伴う問題について、外部の専門家による講義を受けた後、生徒個々に調査や研究を行う。その際、教員は複数の視点から多面的な情報を集めるよう促し、問題解決に向けた分析力が高まるようにしている。その後、個人研究の成果を持ち寄ってグループで共有し、問題についての理解を深めた上でクラス全体の討議を行う。その結果、消費者トラブルといった問題について、経済、法令、人間の心理など、多様な観点から探求を深められ、最後は、生徒自身の問題として、消費者トラブルを回避するために必要なことやトラブルに遭ったときの解決方法などをまとめる。この活動のあらゆる場面でタブレット端末を活用している。
このように、中学校と高校での代表的な事例を紹介したが、これら以外にも多くの学校で主体的・対話的で深い学びの実現を目指した取組を行っている。
【委員】
本当にいい取組だと思う。
我々の時代は、いわゆる詰め込み教育みたいなものであったが、課題解決能力は本当に大事であって、これからもっと求められていくと思うので、こうした取組をもっと広げてもらいたいと考える。
ただし、我々の世代でもそうだが、やはりいい教育とはいい点数を取ることだとか、いい大学に受かるために偏差値をどれだけ上げるかといった価値観もある。答弁は求めないが、今の日本が抱えている問題は、大人の根強い価値観を変えることにも課題がある。そうした中で、先ほどのような取組はどんどん進めてほしい。
あいちの教育ビジョン2025には、自ら学びに向かう教育を充実させ、自己の可能性を伸ばす力を育むこと、主体的・対話的で深い学びの推進ときめ細かな指導の充実といったことが記載されている。
答弁の中にもあった、いわゆる一斉教育といったものが嫌だったと大人になって感じることがよくある。1クラス、何十人という部屋に対して、先生が一方的に今日はこれを教える、これを知ってもらうと。分かりやすい例を挙げるのであれば、進学校に行く生徒をたくさん抱えているような進学塾に行っている子だと、それは既にやったからもういいよといったことが、実際に同級生でもいたし、今もいると聞いている。逆に言うと、その授業についていけなくて、取り残されてしまう子供たちもいる。いわゆる一斉教育の価値が、どれだけこれからの子供たちに対して成長を促すのか、どういった頭の使い方を持って大人になっていくのかについて、私は疑問を感じている1人である。国全体の教育のあり方の話になって難しいが、答弁にあった新しい取組はどんどん進めてもらいたい。主体的・対話的で深い学び、これを実現することはとても大事だと思うが、子供たちの学びの場所はどうあるべきなのか。
【理事者】
従来のように、全員が教師のほうを向いて座って、同じことを同じペースで、一つの正解に向かって学ぶ一斉授業のシステムから、一人一人の子供に応じた個別の学びを可能にするシステムへ変えていくことで、決まった正解のない時代を生き抜く力を育てる主体的・対話的で深い学びを実現していかなければならない。
そのためには、いわゆる従来の日本型学校教育のよさを受け継ぎながら、従来の学校教育の価値観やあるいは慣習にとらわれることなく、必要な改革を躊躇なく進めていかなければならない。
【委員】
これまでの教育が悪かったとは決して思わないし、よい側面もたくさんあると思う。例えば、世界的に見て日本の高い識字率も、これまでの教育のよい面である。答弁であったように、ハイブリッドといった表現が正しいかどうかは分からないが、新たなものも間違いなく求められている時代だと強く感じる。
我々大人の価値観も変えないといけない。教育について思うことは本当にたくさんあるが、教員の多忙化解消の話もある。子供のためにと保護者が言ったことで、教員のやることが増えて、忙しい中で精神的に耐えられないと辞めてしまい、結果的に後からいい先生が辞めてしまった、私たちが辞めさせてしまった、誰も得していないといった環境も変えていかないといけない。今日の議論にもあったが、多忙化解消の考え方自体、あれをやればいいとか、数を増やせばいいではなく、もっと先生たちの手から仕事を切り離さないといけない。タブレット端末の使い方もそうだが、データ上でやり取りすることだけではなく、それをもっと活用してプロに任せることや、部活動の地域移行も同じである。学校の先生のやることは、コーディネーターといった役割、生徒たちがどんな学びをしていて、どういう状況なのか、それに合わせてどういったことをやるべきなのかフォローすることに特化するのが役割になるのではないか。それぞれの仕事をプロに任せて、減らしていって、先生は子供たちに一番目の前で接する立場として、人としての心を通わせられるぐらいの余裕があって、先生が夢のある仕事と言えるようになれば、先生になりたいと考える人も増えてくるだろうし、質のいい先生も残ると思う。
最後は少し夢物語のようなことも言ったが、少しでも子供たちの次の時代を見据えて、子供たちのための教育環境であることを願う。
【委員】
不登校児童生徒へのプリントなどの連絡体制について伺う。
文部科学省が昨年10月に公表した令和3年度の児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査の結果によると、不登校児童生徒数は9年連続で増加しており、小中学校における不登校児童生徒数は24万4,940人、在籍児童生徒数の2.57パーセントと過去最多となった。また、前年度からの増加率も24.9パーセントと過去最大であった。
本県の状況を見ると、小学生は5,607人で在籍児童数の1.2パーセント、中学生は1万1,352人で在籍生徒数の5.4パーセントとなり、小中学校における不登校児童生徒数は1万6,959人、在籍児童生徒数の2.75パーセントと全国平均を上回っており、中学校では20人に1人の割合で不登校生徒がいることになる。
このように、本県でも不登校児童生徒数の増加に歯止めが効かない状態となっている中、不登校児童生徒及びその家庭に対してプリントなどの連絡がしっかりと届かない場合、家庭によっては不安や疎外感を感じることとなってしまう。
そこで、まず、不登校児童生徒及びその家庭に対してどのようにプリントなどの連絡事項を伝えているのか。また、登校している児童生徒と不登校児童生徒で、連絡する事項に違いがあるのか。
【理事者】
保護者の意向を酌み、方法や連絡の頻度を決めて対応している。基本的には区別することなく、同じ情報を提供している。
【委員】
区別することなく同じ情報を提供しているとのことだが、実際には、登校している児童生徒の保護者とのやり取りで、配布物の配布漏れが時々あることが分かったといった事例や、進路説明の動画の案内のプリントが配られていないことを訂正のプリントで知ったなどと、学校からの情報が届かなくて困った経験があるとの話を様々な市町村の家庭から聞いている。県は情報が届いていない、配布漏れがある不登校児童生徒や家庭を把握しているのか。
【理事者】
基本的には、各学校の努力で、それぞれの状況に応じて情報提供ができていると認識しているが、個別の状況については把握していない。
【委員】
なかなか個別には把握できていないとのことだが、プリントなどの情報や連絡事項が届いていないことが分かった家庭では、学校に再度連絡したほうがいいのか、情報が届いていない連絡をするとモンスターペアレントと思われることがつらいなど、学校のふだんの対応に感謝しているからこそ、余計に言いにくいという精神的な負担を抱えながら悩んでいる家庭も少なくない。特に進路に関する情報が届いていなかった場合、試験を受けられないなど、非常に大きな影響を及ぼしかねない。
情報が届いていない原因は様々だと思うが、登校している児童生徒と不登校児童生徒の家庭との間で情報漏れがないよう、学校側の事情や家庭側の事情を考慮しながら対策が必要だと考えるが、どのような対策を取っていくのか。
また、連絡が届かないことや、情報漏れが分かって何度も学校に連絡することを悩んでいる家庭やショックを受けている家庭は、どこに相談すればいいのか。
【理事者】
初めに、情報漏れの対応については、各学校で、対象家庭と情報提供についてのルールづくりをし、丁寧に対応するよう市町村教育委員会の担当者を通して、引き続き県内各小中学校へ働きかけていく。
次に、相談について、対応の仕方に悩む場合は、各学校または市町村教育委員会に相談してもらいたい。
【委員】
ルールづくりと、不登校児童生徒及びその家庭には個々の学校の情報だけでなく、支援する制度をはじめ、全日制単位制高校や昼間定時制高校など幅広い進路選択の情報を必要としている場合も多く、これらの情報をホームページなどによりワンストップで知ることができる施策も必要だと考えるが、県はどのように考えているのか。
【理事者】
昨年度より県のホームページに、不登校でお悩みの児童生徒、保護者の皆様へとのコーナーを設置し、適応指導教室や民間のフリースクールの連絡先を含めた情報を掲載している。また、相談先の案内、進路に向けての情報も掲載している。
【委員】
既に県でやっているところもあるが、残念ながら不登校で、悩みを抱えている家庭まで実際にその情報が届いていないことがあると思う。ただ、こうした情報も学校の先生から、ここでワンストップで見られること、県がつくっていることが届いているならば、悩みをわざわざ言う人もいないはずである。いいことをやっている部分は、困っている人、悩んでいる人にしっかりと情報が届くようにしてもらいたい。
先ほど、委員の質問にもあったが、今、タブレットまたはスマートフォンを持っている家庭が多い。一方で、学校現場が非常に大変なことも現実だと思う。個人的には、どの家庭も学校の対応に感謝していると言うが、学校側の限界も割り切って伝えて、不登校の家庭が求める情報をもう一度、教育委員会の中で考えた上で、限界があるから新しいことをやっていくとか、積極的にICTに切り替えて情報提供していくとか、学校の現場の先生に負担がかからないよう、現場の限界をもう一度把握した上で、新しい取組を進め、家庭の期待と、現場の限界を乗り越えていく施策をぜひ考えてほしい。