委員会情報
委員会審査状況
教育・スポーツ委員会
( 委 員 会 )
日 時 令和6年12月12日(木) 午後0時58分~
会 場 第5委員会室
出 席 者
中村竜彦、浦野隼次 正副委員長
直江弘文、佐藤英俊、神谷和利、朝日将貴、杉浦友昭、かじ山義章、
黒田太郎、岡 明彦、下奥奈歩 各委員
スポーツ局長、スポーツ監、
アジア・アジアパラ競技大会推進局長、アジア・アジアパラ競技大会推進監、
教育長、度会教育委員、教育委員会事務局長、同次長兼管理部長、
教育部長、教育改革監、関係各課長等
委員会審査風景
<付託案件等>
○ 議 案
第183号 令和6年度愛知県一般会計補正予算(第6号)
第1条(歳入歳出予算の補正)の内
歳 出
第9款 教育・スポーツ費
第3条(債務負担行為の補正)の内
高等学校施設長寿命化推進工事
第187号 職員の特殊勤務手当に関する条例の一部改正について
第198号 愛知県立学校条例の一部改正について
第221号 訴えの提起について(奨学金貸付金返還請求事件)
第226号 損害賠償の額の決定及び和解について(教育委員会事務局教育部ICT教育推進課)
第234号 愛知県一宮総合運動場の指定管理者の指定について
第235号 愛知県口論義運動公園の指定管理者の指定について
(結 果)
賛成多数をもって原案を可決すべきものと決した議案
第183号及び第221号
全員一致をもって原案を可決すべきものと決した議案
第187号、第198号、第226号、第234号及び第235号
○ 請 願
第 41 号 「小中高生の新型コロナワクチン接種後体調不良者への合理的配慮を求める」について(教育関係)
第 63 号 「令和7年度愛知県私学振興予算の充実」について(教育関係)
第 69 号 「すべての子どもたちにゆきとどいた教育をすすめ、心のかよう学校をつくる」について
(結 果)
賛成者なしをもって不採択とすべきものと決した請願
第41号
賛成少数をもって不採択とすべきものと決した請願
第69号
全員一致をもって採択とすべきものと決した請願
第63号
(措 置)
教育委員会に送付し、処理の経過と結果の報告を請求する請願
第63号
○ 閉会中継続調査申出案件
1 学校教育の充実及び施設整備について
2 生涯学習について
3 スポーツの振興について
4 スポーツ局及び教育委員会の行政運営について
<会議の概要>
1 開 会
2 口頭陳情(1件 請願第69号関係)
3 議案審査(7件)
(1)理事者の説明
(2)質 疑
(3)採 決
4 請願審査(3件)
5 委員長報告の決定
6 一般質問
7 休 憩(午後2時55分)
8 再 開(午後3時4分)
9 閉会中継続調査申出案件の決定
10 閉会中の委員会活動について
11 閉 会
(主な質疑)
《議案関係》
【委員】
第187号議案、職員の特殊勤務手当に関する条例の一部改正について伺う。
特殊勤務手当であるが、金額を見ると管理職で1日830円、また管理職以外の職員については1日1,150円とのことで、金額だけ聞くと大変安い印象を受けるが、そもそも特殊勤務手当とは、どのような場合に支給される手当なのか、今回は夜間中学校の手当であるが、ほかにどのような事例があるのか。
【理事者】
特殊勤務手当とは、著しく危険、不快、不健康、または困難な勤務、その他著しく特殊な業務に従事する職員に対して支給される手当である。現在、学校において支給されている特殊勤務手当は、修学旅行などでの引率指導や週休日に行う部活動指導業務及び非常災害時に行う児童生徒の保護、指導等に従事した場合に支給する教員特殊業務手当、複式学級の指導業務に従事した場合に支給する多学年学級担当手当、教務主任や校務主任などの主任に対して支給する教育業務連絡指導手当の三つの手当がある。夜間中学業務手当は、学校で支給する四つ目の特殊勤務手当として新設する。
【委員】
著しく危険な業務に対してなど、いろいろな特殊勤務手当があるとのことであるが、単価もそれぞれいろいろあると思う。単価で高いもの低いものなど、どのような金額があるのか。
【理事者】
一番高い単価は、教員特殊業務手当のうち、被害が特に甚大な非常災害時に学校管理下において緊急に行う児童生徒の保護、指導等の業務に従事した場合に支給される日額1万6,000円である。なお、被害が特に甚大な非常災害以外にあっては日額8,000円である。一番低い単価は、教務主任や校務主任などの主任に対して支給する教育業務連絡指導手当の日額200円である。
【委員】
高いところから低いところまで様々幅があるが、今回改正予定の夜間中学校の業務手当の単価はどのように決めたのか、また妥当性はあるのか。
【理事者】
単価額については夜間中学校と類似の業務と考えられる夜間定時制高等学校の業務に従事する教員に対して支給している定時制通信教育手当と同程度となるように定めた。また、夜間中学校を設置する他県の状況を確認したところ、単価に多少の違いはあったが、これらの平均額とほぼ同じであることから妥当なものと考えている。
【委員】
第226号議案、損害賠償の額の決定及び和解について、について二つ確認する。
一点目である。今回の著作権侵害の事実関係を時系列で教えてほしい。
【理事者】
2022年10月、愛知県立丹羽高等学校の生徒会を担当する教員が部活動の成果を紹介する生徒会新聞を作成する際、インターネットからフリー素材と検索して見つけたイラストを使用し学校ホームページに掲載した。また、1年後の2023年10月にも、同じ教員がその年度分の生徒会新聞を作成する際に、同じイラストを使用し、学校ホームページに掲載した。その後、2024年5月31日にイラスト作成者から代理人弁護士を通じて著作権侵害に基づく損害賠償を求める文書が学校宛てに届いた。イラスト作成者のホームページには著作権が作成者に帰属し、原則有料であることが記載されており、イラスト作成者の使用許諾を得る必要があったが、担当の教員はフリー素材で検索したイラストは無料で利用できるものと思い込み、無断で当該イラストを使用していた。
こうした状況において、本県が相手方の著作権を侵害し損害を与えたことが明らかであるため、県教育委員会の顧問弁護士とイラスト作成者の代理人弁護士で協議し、相手方の価格表に従い掲載された期間の利用料に相当する9万9,000円を支払うことで合意した。
【委員】
では、二点目である。今後同じようなことが起こらないようにしなければならないが、今回の事案を周知するための取組について教えてほしい。
【理事者】
今年5月末の損害賠償請求を受け、6月20日付けで全ての県立学校に対して今回の事案を示しながら学校ホームページにおいて許諾を得ていない著作物の利用がないか点検させるとともに、今後は必ず著作物の利用規約等を確認するように通知した。通知した直後の7月と賠償額について合意した直後の11月には、県立学校校長会において改めて注意喚起を行った。また、12月6日付けで市町村教育委員会にも今回の事案を示しながらフリー素材と検索し表示されたイラスト等の著作物であっても、必ず著作物の利用規約等を確認するよう通知し、注意喚起を行った。
教員に対して、まずは12月末に県立学校の教員を対象として著作権に関するオンライン研修会の実施を予定している。その後は、小中学校も含めて研修等の機会を捉えて繰り返し注意喚起を行い、学校からこのような事案が出ないように努めていく。
【委員】
フリー素材で検索したが実はよく読んでみると有料だったとのことで、仕方がないかなという感じもする。その上で、その後の取組もしっかりしていると、確認できた。
ただ、教育委員会及び学校の中でしっかり周知されたことは確認できたが、こうした事案は県庁のほかの職員、一般県民も同様だと思う。そういった意味では災い転じてという発想で、もっと広く周知してもよいのではないか、その点の検討を要望する。
《請願関係》
【委員】
請願第69号、すべての子どもたちにゆきとどいた教育をすすめ、心のかよう学校をつくるについての請願に対する賛成の意見を述べる。
請願とともに子供たちに行き届いた教育をと、1万4,842筆の署名も提出された。寄せられた一筆一筆は、教員を増やして少人数学級を実現し、子供たち一人一人に行き届いた教育をと求める県民の願いであり、繰り返し教育現場から出されている現場の悲鳴の声である。全日本教職員組合の提言の1番のタイトルは、このままでは学校がもたない、と危機的事態自体が強調されている。その提言の文章のはじめのところでは、教職員の長時間労働と教育に穴が開く深刻な事態がこのままでは学校がもたない危機的な状況に追い込んでいる。子供たちは忙しくゆとりなく働いている先生を見て、授業での質問や悩み事の相談をためらうなど、人間らしく触れ合う時間が奪われ、豊かな人格を育むことが阻害されていると、教育現場と子供たちの学びにとっても深刻な事態になっていることが述べられている。
また、11月27日にSNSを通して、全日本教職員組合が1127全国一斉定時アクションを行った。そこには教員不足解消、仕事を減らして給料を上げて働きやすい職場に、心に余裕がないとよい教育はできないなど、切実な声がたくさん寄せられていた。教員が専門職としての役割を発揮し、子供たちに向き合うには、教員の異常な長時間労働をなくす必要がある。現状を放置すれば、専門性が発揮できないばかりか過労死や教員不足の状況をますます悪化させる。教員を増やし長時間労働に歯止めをかけるため、残業代支給の仕組みづくりが重要である。
そして子供たちがお金の心配なく学び、豊かな環境の下で学べるようにしていくことも必要である。県独自の高校無償化、公立高等学校等奨学給付金の拡充など、保護者負担の解消にも力を尽くし、お金の心配なく学べる環境をつくるべきである。エアコンのPTA負担についても早急に全額県の負担に切り替えてほしい。学校環境を改善するため、老朽化した校舎の改築改修、古くなったエアコンの更新を推し進めることなどが必要である。
今、述べてきたことが全く進んでいないのは、愛知県の教育にかけるお金が少ないからである。この点についても、私たち日本共産党は繰り返し指摘してきた。生徒1人当たりの教育費は47都道府県中、小学校44位、中学校46位、高校全日制45位となっている。財政力が全国2位の愛知県である。教育の予算を思い切って増額し、すべての子供たちにゆきとどいた教育を進め、心の通う学校をつくることを求め賛成の意見とする。
《一般質問》
【委員】
あいちトップアスリートアカデミーについて伺う。
この事業は2019年からスタートしている事業であるが、開講6年目の今年は国民スポーツ大会やインターハイに出場している選手がおり、国民スポーツ大会のライフル射撃で2位に入賞した修了生はアンダー18歳の日本代表に選ばれるなど、大変すばらしい結果を残している。
また、本12月定例議会では、我が党の議員からも一般質問があり、デュアルキャリア教育にも取り組んでいくという答弁もあって、これから非常に充実した事業になっていくことが見受けられ、現状、あいちトップアスリートアカデミーの参加者募集を見るとキッズ、ジュニア、ユース、パラアスリート部門とそれぞれあるが、それぞれの選考会の中で、どういった競技団体と協力しながらこれが進められているのか。
【理事者】
あいちトップアスリートアカデミーについては、オリンピック、パラリンピックやアジア・アジアパラ競技大会の実施競技の県内競技団体に対して毎年参加意向を確認し、希望があった全ての競技団体に協力してもらっている。今年度、キッズ・ジュニアではフェンシング、ヨット、トライアスロン、ボートなど19団体、ユースではテコンドー、カヌー、自転車競技、ライフル射撃など9団体、パラアスリート部門では車いすバスケットボール、陸上競技、パラアイスホッケー、肢体不自由者卓球など7団体に協力してもらっている。
【委員】
様々な非常に多くの競技団体と協力していることが分かるが、その事業の中で、キッズ、ジュニアの選考会が、小学新4年生からとなっており、高学年からということだと思うが、なぜ小学4年生からになっているのか。
あいちトップアスリートアカデミー 参加者募集
【パラアスリート部門】
2019年度のアカデミーの開講に当たって、県内競技団体へのアンケートや本県よりも先にジュニアアスリートの発掘育成事業を実施していた都道府県への調査を行い、その結果などを参考に制度設計し、開講当初から小学校4年生以上の児童生徒を対象としている。小学校4年生になると、競技やトレーニングなどの知識を正しく理解し、その理解した内容に沿って体を動かすことができるようになり、指導者等の指導の下、効果的、効率的かつ安全に競技体験を実施することができるため、小学校4年生以上を対象とした。
【委員】
今のこの世の中、世界で活躍するアスリートの中には、もっと幼少期から競技に取り組み、飛躍的な成長を遂げる選手が少なくない。2021年、東京オリンピックではスケートボード女子パークに出場した開心那選手は12歳という若さで銀メダルを獲得し、記録が残る戦後夏季五輪における日本最年少のメダリストとなった。また、スケートボード女子ストリートに出場した西矢椛選手は13歳で金メダルを獲得している。日本史上最年少の金メダリストという偉業を成し遂げたわけだが、これらの成果の背景には、プレゴールデンエイジと呼ばれるおおむね3歳から8歳、小学校低学年に当たる年や、ゴールデンエイジと呼ばれるおおむね9歳から12歳、小学校高学年に当たる年に行う、子供の成長段階における特性を生かしたトレーニングが重要な役割を果たしていると考えられる。
プレゴールデンエイジは基本的な運動能力や体の使い方を身につける時期であり、楽しみながら様々な運動を経験することが非常に重要である。一方、ゴールデンエイジは神経系の発達が顕著で技術習得能力が高まるため、競技特有のスキルを学ぶのに適している時期といわれている。こうした科学的知見を踏まえ、競技団体と協力しながら県としても子供たちがスポーツに触れる年齢をプレゴールデンエイジといわれる低学年に下げ、幅広い運動経験を促す取組を進めることが非常に重要である。
子供たちが楽しく学びながら成長できる環境づくりを進めることで、将来的に世界で活躍するアスリートの輩出につながることが期待されるが、対象年齢を下げることに対する県の所見を伺う。
【理事者】
アカデミーでは、より幅広い競技体験や、より多くの種目で専門的な指導が受けられるよう、開講当初15種目であったキッズ・ジュニアの競技体験プログラムを、今年度は21種目行っている。また、ユース指定種目を当初の7種目から11種目に増加するなど、年々改善を重ねている。
アカデミー生の対象となる年齢については、小学校低学年期から取り組んだ方が世界を目指せる可能性が高くなる競技もあると考えられるので、競技団体の考えや、発掘・育成の効果や安全面などについて有識者で構成する専門委員会の意見を聞きながら、必要な改善を行い、オリンピック、パラリンピックやアジア・アジアパラ競技大会で活躍できるトップアスリートの発掘・育成に努めていく。
【委員】
要望であるが、他県に目を向けると福岡県のタレント発掘事業、福岡県が2004年、平成16年から全国で初めて開始したスポーツ人材育成事業であるが、これまでに修了生のうち94人が国内大会で優勝し、64人が日本代表として世界大会に出場するなど、大変優れた成果を上げている。また、2024年のパリオリンピックには、この事業出身の8人が日本代表に選出されている。
トップアスリートの育成には非常に時間がかかると思う。他県のまねをすること、他県を見ながらやってくことも必要だと思うが、それだけでなく愛知の特性を生かした愛知独自のアカデミーをつくり、より多くのトップアスリートを輩出できるように取り組むことを要望する。
【委員】
2026年に開催を予定しているアジア・アジアパラ競技大会に向けての宿泊計画について伺う。
2週間ほど前、11月30日にアジア・アジアパラ競技大会の組織委員会が選手の宿泊施設として新たに2,000人規模が宿泊できるコンテナハウスを設営する方向であり、アジア・オリンピック評議会(OCA)の理事会でおおむね了解を得たという報道があった。また、今月に入り12月9日には選手の宿泊計画などをめぐり、OCAからの改善要求や覚書締結といった報道がされた。また、さらに昨日、大村秀章知事の記者会見を受けて本日の中日新聞の朝刊でも大きくこのことは取り上げられている。県民が今、注目している話題の一つだと思うので、いろいろ確認の意味を含めて聞いていきたい。
まずは、宿泊計画に関するこれまでの経緯を教えてほしい。
【理事者】
2023年の3月にOCAとの協議において、選手村の施設整備を取りやめてホテル等を活用し選手村機能を提供する計画を提案し、同年7月のOCA総会において選手村の施設整備を行わずホテル等を活用する方針について説明を行った。これに対して、OCAから特に意見質問等はなかった。その後、2024年1月に開催された第1回OCA調整委員会において、OCAからクルーズ船等を活用した選手村を検討するよう要請があり、それを受けて同年5月にクルーズ船の活用について検討・調整を進めていくことを発表するとともに、同月開催のOCA総会においてホテル及びクルーズ船を活用する計画について説明を行った。さらに同年9月のOCA総会において、ホテル、クルーズ船を活用する具体的な計画について説明を行った。その後、同月に開催された第2回OCA調整委員会において、OCAからは一定規模の選手が一つに集まれる宿泊施設の拠点をつくるべきとの意見が出され、適切な宿泊計画を10月31日までに提出するよう求められた。いずれも開催都市契約に基づき、OCAと協議を行いながら進めている。
【委員】
9月に名古屋港の金城ふ頭に停泊させた4,000人規模のクルーズ船とホテルに分散する計画を説明したが、同月に開かれた第2回の調整委員会において、OCA側から選手の交流機会が減るとか集積性を高めるべきだという意見があり再考を求められて適切な宿泊計画を10月31日までに出してほしいという要望があったとのことである。それでは、OCAから指摘を踏まえた宿泊計画は提出したのか。
【理事者】
本年9月に開催された第2回OCA調整委員会において、OCAから選手宿泊施設についてより高い集積性、拠点性を確保してほしいとの意見があった。このため10月末に移動式宿泊施設を利用した2,000人規模の宿泊拠点を名古屋市内に設置する宿泊計画をOCAに提出した。
【委員】
金城ふ頭に停泊させた4,000人規模のクルーズ船に加えて、名古屋市内に2,000人規模が宿泊できる移動式宿泊施設を設営する計画を提出したとのことである。
報道では宿泊計画はおおむね了承されたとあったが、これは事実か。
【理事者】
10月末に提出した宿泊計画について、本年12月にOCAに承認された。
【委員】
OCAの懸念に対し、移動式宿泊施設を、報道ではコンテナハウスとあるが、設営することが集積性を高めて選手の交流機会も増やす計画としてOCAには理解してもらったのだと思う。
報道を見た県民から、海外から来てもらう選手を押し込めるのはいかがなものかという意見を私はもらった。そして当局からは今年の当初から大会を契機とした宿泊施設や競技施設のバリアフリー化を推進すると聞いている。移動式宿泊施設のバリアフリー化が実現できるのか懸念している。そこで、宿泊施設として利用できる移動式宿泊施設とは、どのようなものなのか。またバリアフリー対策も併せて伺う。
【理事者】
移動式宿泊施設にはコンテナハウスやトレーラーハウスなどがある。例えば、コンテナハウスを使用した宿泊施設は県内では常滑市の空港付近などにあり、能登半島地震の仮設住宅としても使用されている。コンテナハウスの場合は基本的に平屋造りであり、車椅子使用者のためのバリアフリー仕様や木造デッキで各戸をつなぐなどの工夫も施すことができるものとなっている。
【委員】
バリアフリー対策もできるとのことである。開催まで2年を切った中で、最大1万5,000人と言われている選手団の宿泊について、快適な宿泊環境が整えられるのか。
【理事者】
選手団の宿泊に関しては、拠点性や選手間交流の機会を確保するため、クルーズ船などを活用して拠点性を確保するほか、名古屋市から離れた競技会場では選手の負担が少なくなるよう会場周辺の宿泊施設の確保に努めている。引き続きクルーズ船や宿泊施設の関係者と調整を進め、全ての選手が最高のパフォーマンスを発揮できるよう、宿泊環境の確保に努めていく。
【委員】
大会に参加する全ての選手が競技に専念できるよう、宿泊施設についてしっかり進めてほしい。
最近報道があったが、その報道に対して事前に組織委員会や当局へ取材があったのか、改めて確認する。
【理事者】
今回の一連の報道について、アジア・アジアパラ競技大会推進局及び組織委員会に一切の取材はなかったことを確認している。内容についても事実誤認の部分が見られ、極めて遺憾であることから、12月10日及び12月11日付けで組織委員会会長名で報道を行った各社に対して抗議文を発出している。
【委員】
事前に取材もなく内容も間違ったところがあり、抗議文を送ったとのことである。今回のような報道がされると県民や関係者に誤った情報や認識を与えることが懸念される。9月定例議会の当委員会では、我が党の委員から大会経費2,000億円に倍増という報道について真偽をただす質問があった。そのとき、交渉調整過程における情報管理の徹底をお願いし、当局からは局長名で局内全職員に対して改めて情報管理に対する意識の啓発を促すとともに、情報管理を徹底するように通知したという答弁があった。改めて、今回の新聞報道も含め、情報管理について当局の認識、見解を伺う。
【理事者】
情報管理については9月の報道直後、局内の職員に対して適切な情報管理を徹底するよう文書で通知するとともに、組織委員会にも申入れを行った。また、日々の業務の中でも県の情報セキュリティーポリシーやプライバシーポリシーに基づき、情報の適切な取扱いに留意している。
今回の報道を受け、再度職員の情報管理を徹底するとともに、組織委員会をはじめ関係各所に対しても適切な情報管理について強く要請していく。
【委員】
情報管理を適切にやっていくとのことである。不確かな報道が先行して出てしまうことは県民の不安をあおる。それだけ注目度が高い話題である。本大会を成功させるためには、県民の理解が必要不可欠であるし、そのためにも我々委員会、県議会に対して適宜適切に情報提供してもらうことを改めてお願いする。
【委員】
私からは三つのテーマについて質問する。
まず初めに不登校フリースクールの問題について質問する。年々、不登校の子供たちが増え続けている。10月に文科省が発表した小中高の不登校児童生徒数は41万5,000人で、過去最多となった。保護者や不登校の子供たちに寄り添った丁寧な支援と子供の権利が守られ通いたくなる学校運営を行うことが必要である。
そこで、まず愛知県の不登校の状況について、小中学校、高校とそれぞれ示してほしい。
【理事者】
文部科学省が実施した令和5年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査の結果では、本県の小学校の不登校児童が9,375人で、前年度に比べて1,967人の増加、中学校の不登校生徒が1万4,676人で1,309人の増加となっている。
【理事者】
同じ調査で、本県の高等学校の令和5年度の不登校生徒数は3,274人で、前年度に比べて366人の増加となっている。
【委員】
今、答弁があったように愛知県でも増えている状況がある。
そこで、不登校に対する県の認識を伺う。また、心の傷を負っている子供は安心して休む権利が守られるべきである。だからこそ、不登校への対策として学校復帰を前提としないことが大事だと考えるが、この点について県の認識を伺う。
【理事者】
文部科学省は不登校に関して学校に登校するという結果のみを目標にするのではなく、児童生徒が自らの進路を主体的に捉えて社会的に自立することを目指す必要があるという考え方を令和元年の通知において示している。
これを踏まえ、児童生徒にとって不登校の期間が休養や自分を見つめ直す機会となるよう支援していくことが大切だと認識している。
【委員】
不登校の要因は様々だと思う。教育システムの制度疲労も、その要因の中の一つにあると思う。日本では、教育を数値で評価し競わせる競争主義を導入してきた。国連・子どもの権利委員会は、極度に競争的な教育制度が子供に発達の障害をもたらしていると繰り返し指摘している。また、子供を権利の主体ではなく、管理の主体として見る管理主義を広げてきた。学校の校則も、その流れの中にある。こうした教育政策は子供にとって大きなストレスである。不登校の急増は、その表れではないか。
さらに、教員不足や学校の先生が忙し過ぎるのも問題だと思う。不登校の子供たちの育ちと学びを支える活動をするNPO法人多様な学びプロジェクトのアンケートの中で、学校に行きづらいと思い始めたきっかけは、の項目では、先生との関係、学校システムの問題、授業が合わない、の三つが上位に挙がったそうである。
不登校の要因や背景は多様で複合的であるが、その一因は、今述べた学校の現状があるのではないか。県の認識を伺う。
【理事者】
委員が示したとおり、不登校の要因や背景は多様で複合的であると認識している。その一因として学校が挙げられることについて、学校は児童生徒が集まって学ぶ場であり、教員が教える以上、生じるストレスをゼロにすることは難しいものの、相談しやすい体制づくりや学級運営の工夫等により子供たちの悩みを少しでも減らせるよう取り組んでいる。
【委員】
多様で様々とのことだが、学校のシステム、制度疲労について否定しないのか、それとも学校制度疲労はその一因だと認識していないのか、もう一度、確認のため伺う。
【理事者】
不登校の要因の一因として、例えば教師との関係など、学校が一因としてあることは認識している。
【委員】
全ての子供たちにとって学校が安心できる安全な場所となることが重要である。そのためにも教員不足の解消や、少人数学級の実施、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーを各学校に常駐できる予算の拡充が必要である。
そこで、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーの配置状況について、先ほどと同じように小中学校と高校、それぞれ現状どのようになっているのか伺う。
【理事者】
スクールカウンセラーは全小中学校に配置しており、小学校は月1回程度、中学校は週1回程度相談できるようにしている。また、不登校児童生徒の割合が県平均を上回る学校には、配置時間を増やして配置している。令和5年度の相談件数は、小学校3万8,898件、中学校6万979件となっている。
スクールソーシャルワーカーは今年度49市町村が配置しており、このうち希望する42市町村に対して人件費等の補助をしている。
【理事者】
スクールカウンセラーは全県立高等学校に配置しており、全日制と通信制は学校の実情に応じて月1日から月3日、定時制は月2日程度相談できるようにしている。なお、令和5年度の相談件数は1万2,868件となっている。スクールソーシャルワーカーは、今年度10人を配置しており、希望する全ての学校の相談に応じられる体制を整えている。
【委員】
愛知県は国への要望の中でスクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーが足りないという現状を認識し、財政措置の拡充を求めている。国への要望はもちろん必要なことであるが、愛知県独自の努力も必要である。
県としてスクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーを充実させ気兼ねなく、いつでも安心して相談できる体制をつくるため、県の予算を拡充すべきではないか。
【理事者】
スクールカウンセラーとスクールソーシャルワーカーについては、これまでも毎年配置の拡充に努めてきた。今後も予算の確保に努めていく。
【委員】
今後も予算の拡充に努めていくとのことであったが、積極的に予算拡充をして子供たち、そして保護者も躊躇なく相談ができる体制をぜひつくってほしい。
学校に行けない子供の居場所の一つに、フリースクールがある。私は10月末に、田原市に本校を持つ、ゆずりは学園豊橋校へ視察に行き、話を聴いてきた。理事長と学園長は不登校からそのまま引き籠もってしまう場合もあり、社会に出ていく後押しへ可能な限り早い段階で救いたいとフリースクールを経営している。しかし、フリースクールは公的な支援がないため、利用者の負担が発生してしまう。豊橋校の場合は1時間500円で、4時間学んで帰ると利用料は2,000円とのことである。そこに加えて、交通費の負担もある。ゆずりは学園に相談に来る保護者からは、フリースクールに通わせたい、でも、送迎や月謝が払えないという声があるようである。
新日本婦人の会が、不登校についての緊急アンケートを行った。その調査で、子供の不登校による保護者の経済的負担があることが浮き彫りになった。フリースクールの利用料で出費が増え、経済的に追い詰められている声が寄せられている。今、フリースクールに通う子供たちを支援する動きが滋賀県、京都府、東京都などで広がっている。2024年度からは大府市がフリースクールの授業料の助成を始めた。
そこで、フリースクールに通うための経済的負担をなくすために、愛知県としてもフリースクールへの助成を行ってほしい。憲法の教育の機会均等、義務教育無償、法の下の平等の理念から支援の具体化を求め、県の考えを伺う。
【理事者】
フリースクールに対する助成については、現時点では考えていないが、他の都道府県や市町村の取組を引き続き研究していく。
【委員】
研究していくとのことであったが、私はこれは緊急の課題だと思っている。自ら命を絶ってしまう子供をつくらないため、教育の予算の中で、公的に子どもたちを支援していくことが、今緊急に必要だと思う。フリースクールをはじめとした不登校児童生徒への支援は子供の学ぶ権利を保障するとともに、命をつないでケアを担う、本当に重要な役割を果たしている場だと思う。
県としても早急に、積極的に、支援の具体化を進めてほしいし、きちんと教育の予算の枠の中で支援してほしい。学校に通えなくなってしまった子供を教育の枠の中から追い出さないことが必要だと思うが、そういう考え方について県の認識を伺う。
【理事者】
繰り返しの答弁になるが、フリースクールに対する助成については、現時点では考えていない。引き続き研究していく。
【委員】
ぜひ、積極的な支援を、研究ではなく即急に検討することを重ねて要望したい。
最後に、不登校は社会や教育の在り方を背景にしたもので、本人や家庭の責任ではない。子供たちの学校強制でない教育への権利、安心して休む権利、自分らしく生きられる権利などを保障する立場に立った対応を求め、このテーマの質問は閉じたい。
続いて、豊橋の新アリーナ建設について伺いたい。
豊橋の新アリーナ建設について、地元豊橋では大きな話題になっている。11月の市長選挙で豊橋市長が替わった。その市長が新アリーナについて、事業者に対し契約解除に向けた申入れを行った。契約解除をめぐっては、不確かな情報も飛び交っているようである。
そこで、まず愛知県は契約解除条項の内容について把握しているのか、どのように掲載されているのか説明を求める。
【理事者】
豊橋市とPFI事業者である豊橋ネクストパーク株式会社との間で締結された多目的屋内施設及び豊橋公園東側エリア整備・運営事業特定事業契約第107条に、市の任意による解除、市事由による解除の条項がある。第107条第1項には、市は本施設等を他の公共の用途に供すること、その他の理由に基づく公益上やむを得ない必要が生じた場合、またはその他市が合理的に必要と認める場合には6か月以上前に事業者に対して通知することにより本契約の全部または一部を解除することができるとされている。
【委員】
私は今回の選挙の結果は重く受け止めるべきだと思っている。今回の市長の契約解除に向けた申入れは、市長選挙に掲げた公約実現に動いたものだと思う。西尾市のPFI事業の見直し、岡崎市のコンベンション施設中止などの例もある。新しい市長が選挙公約どおりに契約を見直すのは当然のことではないか思う。
昨年6月定例議会の教育・スポーツ委員会で、この問題は市民の声を聞いて進めるべきではないか、このままでは市民からの合意が得られない計画に愛知県がお墨つきを与えることになるのではないかという私の質問に対し、スポーツ局は豊橋新アリーナは豊橋市が市民の理解を得ながら進めると認識していると答弁した。
確認のため伺う。豊橋市のアリーナは、豊橋市が市民の理解を得ながら進めるという認識は今でも変わっていないか。
【理事者】
豊橋市新アリーナは、豊橋市が市民の理解を得ながら進めるものと認識している。
【委員】
その認識は変わっていないことを確認した。11月19日大村秀章知事は記者会見で豊橋市長のこうした動きに、三遠ネオフェニックスのホームアリーナに関しての発言の中で、東三河をはじめ豊橋市に初めて誕生したプロスポーツチームをなしにしてしまうことを豊橋市民はよしとするのか、などと発言した。新アリーナ建設について、豊橋市民の理解が得られないことが明白になった。市民の合意がないままの計画に、愛知県が補助金という形で支援を続けてきたこと自体問題だと思う。
そこで、豊橋市の下した判断について、自治体の判断に圧力をかける県知事の発言は自治体への干渉になりかねず、問題があると思うが、県の認識を伺う。
【理事者】
豊橋市新アリーナに関し、豊橋市が主体的に判断する事柄について県が干渉しているという認識は全くない。県としては、豊橋市新アリーナは東三河地域のスポーツ振興及び地域振興を促進する施設であると認識し支援してきたものであるので、引き続き市の対応を注視する。
【委員】
新アリーナ建設をめぐっては、この間2度にわたって住民投票を求める署名が議会で否決されてきた。また、豊橋市議会の9月定例議会に市長選挙後に契約の締結をと求めた請願、選挙前に締結はすべきではないと、選挙が終わってからやるべきだという市民の声があったにもかかわらず、この請願も否決をされた。こうした市民の声がことごとく無視されてきたことが実態である。市民のための施設は市民の声を丁寧に聞いて進めるべきである。豊橋市が市民の理解を得ながら進めることに対する干渉だとは認識していないと答弁したが、私はこうした発言は干渉になりかねないと思うので、干渉すべきではないと述べて、このテーマについては終わる。
続いて、アジア・アジアパラ競技大会について伺う。
先ほども話があったように2026年に大会が開催される。その選手村に代わる宿泊施設に関する動きがあり、11月30日に新聞やテレビなど数社により報道された。コンテナ型に2,000人宿泊、アジア・アジアパラ大会名古屋港設営へOCA要求に対応、これは今回記者会見で知事が移動型宿泊施設と述べたが、当時の報道ではクルーズ船などに代わり、2026年アジア・アジアパラ大会に向けた選手宿泊用のコンテナハウス名古屋港に設営など、そういった見出しが躍った。これは事実である。あわせて、OCA、アジア・オリンピック評議会の理事会も開催されたとの報道があった。
この動きについて、知事からも当局からも議会には直接説明がなかった。今年の6月には大会経費の見通しが当初見込みの1,000億を大幅に上回る見通しとの報道に対し、知事は報道内容を否定し報道機関に抗議した。6月定例議会のこの委員会では情報公開を求めた質問に、担当課長からはこれまでも選手村の整備の取りやめ、一部の競技会場の変更、クルーズ船の活用など、大きな決定事項があればその都度記者発表などを通じて説明していると答弁があった。
今回の、場所は名古屋市内で、移動型の宿泊施設、コンテナハウスという報道もあるが、これは今までの方針を変える大きな決定事項だと思う。昨日の記者会見で知事は記者の質問に答える形で話したが、これを記者発表を通じてだけではなく、きちんと議会の場で説明すべきだったと思う。なぜ、こうした正式な説明がされてこなかったのか。
【理事者】
これまでもアジア競技大会、アジアパラ競技大会について大きな決定事項があれば、その都度、組織委員会理事会の結果報告や記者発表などを通じ説明している。今後もそのように対応する。
【委員】
説明を今までもしてきたというが、不十分な点がものすごく多いと思う。アジア・アジアパラ競技大会の宿泊施設について12月10日朝のNHKは、OCAとJOC、大会組織委員会とで覚書を交わしたことが明らかになったと報じた。大会では選手村が中止となったが、OCAからは選手の交流の場を確保してほしいとの要望があり、選手村の代わりにクルーズ船やコンテナの活用で調整してきたが、OCAからは今のままでは開催都市契約に定められた運営基準として問題があるとして改善を求められ、3者で契約遵守の覚書を交わし、違反があった場合の罰則もあると、こういった内容であった。選手村の問題については深刻に受け止める必要がある。
この間、選手村をつくらないと決めてホテルに分散するとか、クルーズ船にするとか、今回出てきたコンテナハウス、移動式の宿泊施設とか右往左往しているように見えてしまう。だから、合意が得られていないのではないかという不信や、ボタンの掛け違いがあってずるずるここまで来てしまったんじゃないかとか、そう思うわけである。
そこで、以下の点について改めて聞く。
2026年アジア競技大会、アジアパラ競技大会の開催都市契約では、選手の宿泊施設と交流場の確保、選手村について、どういった記述になっているのか示してほしい。選手村をつくらず分散型の宿泊で対応するという組織委員会の方針は、大会主催者であるOCAからは理解を得られているのかも聞きたい。
また、覚書についても事実ではないと昨日記者の前で知事は述べたが、今日の12月12日付けの中日新聞でアジア大会運営改善覚書について、覚書の締結が6日付けだと、18項目もあったとかなり具体的に報道されている。覚書を結んだのであれば、その内容をきちんと県民や議会にも公開し説明すべきだと思う。この三点についてそれぞれ答弁願う。
【理事者】
アジア競技大会の開催都市契約では、選手村について組織委員会は選手やチーム役員、その他チーム要員に適切な宿泊施設を提供するものとなっている。その場所及び収容能力並びに提供されるサービスの内容をOCAとの協議により決定すると記載されている。
また、先ほども述べたが、選手村の施設整備を取りやめ、ホテル等既存の宿泊施設を活用して選手村機能を提供することについては、2023年3月に計画を説明し、7月のOCA総会においてもホテル等の活用について説明し、OCAから特に意見・質問はなかった。その後もOCAとは調整を行いながら進めており、本年1月のOCA調整委員会において、クルーズ船等を活用した選手村の検討の要請があった際も、5月のOCA総会にてクルーズ船等の活用の計画を説明するなど組織委員会が一つ一つ手順を踏んで進めており、宿泊計画について今月OCAに承認されている。
なお、アジア競技大会については2018年に締結した開催都市契約に基づき、組織委員会とOCAが協議しながら行っており、その過程で細かい文書のやり取りは行われているが、あくまで開催都市契約に基づき行っている。
【委員】
開催都市契約に倣って、それについて行ってきている、覚書は存在しないということでよいか。
【理事者】
先ほども述べたとおり、開催都市契約に基づき細かな文書はやり取りしている。
【委員】
県民の税金が投入されているから、私は検討段階であっても一つ一つ丁寧に明らかにしていかないと、このままでは議会軽視でもあるし、不信感が募るばかりだと思う。選手村の代替施設について、いろいろ迷走が続いてきたと、組織の仕組みに問題があるのではないかと大変危惧する。
そこで、大会運営に関する重要事項について、どの組織がどんな決定権を持っているのか、大会組織委員会とOCAとの関係、権限と分担はどうなっているのか、何をどこで決めているのか示してほしい。選手村の代替施設の整備方針についても、どこが決めることになっているのか改めて確認のため伺う。
【理事者】
OCAはアジアにおける様々なOCA競技大会を統括する唯一の団体であり、アジア競技大会はOCAが主催する。大会組織委員会は愛知・名古屋2026大会の準備及び運営に関する事業を行い、競技大会を成功させることを目的とするための団体である。大会運営に係る様々な事項は開催都市契約に基づき決められているが、宿泊も含め、具体の内容や運営方法については双方の調整、合意の下に進められている。
【委員】
大会組織委員会の会長は大村秀章知事である。知事のリーダーシップは重要であるが、選手村をつくらずクルーズ船を使う決断が先にあって、後に引けない状況になっているのではないかと思ってしまう。選手村の機能についてOCAとの意思疎通は十分できているのか。今後のためにも、選手村の代替構想について大会組織委員会とOCAとの協議記録、関係する会議の議事録を公表し、しっかり検証すべきと考えるがどうか。
【理事者】
組織委員会は、OCAに対しこれまでも丁寧に説明対応を重ねており、繰り返しになるが、宿泊計画についても今月承認された。なお、開催都市契約により本契約に関連する相談、協議、交渉については原則として第三者に開示しないこととなっている。
【委員】
続いて、大会の組織運営、関係団体との調整に加え海外出張も含め国際機関との交渉など、慣れない難しい仕事が山積しており、外国との交渉など一部の職員に重い負担がのしかかってはいないか、局の皆も大変だと思うが、大会組織委員会に派遣されている職員はかなり追い詰められているのではないかと心配している。
そこで、大会組織委員会はどんな職員で構成されているのか。現在の課題の量に見合う人員構成になっているのか聞く。また、県から派遣されている職員の労務や健康管理は誰が責任を持っているのか。現在の残業時間やメンタルヘルス、休暇や休業についてどのようになっているのか示してほしい。
【理事者】
初めに、大会組織委員会の職員構成であるが、国、愛知県、名古屋市のほか、県内の競技会場所在自治体や民間企業からの出向、東京2020大会をはじめとした国際スポーツ大会の経験者など専門的な知識を有する職員で構成されており、現在の課題に対応できる体制となっている。大会の開催に向け、大会の準備スケジュールや状況を踏まえ、体制を拡充・強化していく。
次に、愛知県から大会組織委員会への派遣職員の労務や健康管理については、派遣先である公益財団法人愛知・名古屋アジア・アジアパラ競技大会組織委員会が定める就業規程に基づいて組織委員会において管理が行われている。
最後に、愛知県からの派遣職員の時間外勤務及び療養休暇等の状況についてであるが、本年度4月から11月までの職員1人当たりの平均時間外勤務は一月当たり約25時間となっている。また、現在メンタルの不調による療養休暇取得者は1人、休職者は2人となっている。
【委員】
名古屋港の活用についても幾つか伺いたいが、選手村に代わる構想について、クルーズ船と名古屋市内に宿泊施設を仮設で設営するとのことであった。まだ場所は決まっていないと昨日知事は述べていたと思うが、幾つかの報道で、名古屋港ガーデンふ頭という報道も見た。名古屋港エリアでは何人規模で宿泊施設を確保する計画なのか。また、名古屋市内のどこかでと述べているが、これは年度内に示されるのか、どういったスケジュールで行っていくのか示してほしい。
【理事者】
繰り返しになるが、名古屋市内に移動式宿泊施設を利用した2,000人規模の宿泊拠点を設置することになっている。今後のスケジュールについては、昨日知事も述べた、地元への説明をこれから行っていくこととなっているので、その進捗に合わせてスケジュールを進めていく。
【委員】
年度内に示されるかどうかは、まだ分からないのか、年度内に示す方向で動いているのか、確認のため伺う。
【理事者】
今後地元への説明を行っていくので、速やかに行っていくようには努めていく。
【委員】
決まったらきちんと議会に説明してほしいと思うし、県民に明らかにすべきだと思う。
選手の宿泊拠点を、名古屋港に集約して選手同士の交流機会を確保するという報道だったが、クルーズ船を停泊させる金城ふ頭と、報道で今話題になっているコンテナハウス、移動式の宿泊施設を設営すると話題として上がっているガーデンふ頭は、10キロメートルも離れていてタクシーでは4,000円ほどかかるそうである。名古屋港でも全く別のエリアである。2か所を一体に交流拠点とするには距離があって無理があることは、事前に言っておきたい。
移動型の宿泊施設の設置が今言話題に上がっているガーデンふ頭がどういうところかというと、名古屋市の臨海部防災区域建築条例の第一種区域である。この条例は伊勢湾台風の教訓としてつくられた。指定された区域に応じて建築物の1階の床の高さや構造などを規定し、第一種区域では防潮壁よりも海側の区域で最も厳しく建築が規制されており、住宅などは原則建設禁止となっている。移動型の宿泊施設を設置すれば、防災上誤ったメッセージを発信することになりかねない。
そこで、防災上建築や居住が制限されるエリアに、もし設置することになってしまえば安全上問題があると思うが、この点について認識を伺う。
【理事者】
選手の宿泊施設については、全ての選手が最高のパフォーマンスをしてもらえるよう、利便性や快適性だけでなく公平性や安全性といった面についても配慮するとともに、様々な法令などを遵守した計画になると認識している。
【委員】
様々な法令なども遵守した計画になるという答弁だった。建てるな、住むなと規制されている場所には設置せずに、きちんと安心・安全な場所に設置して法令を遵守するのは、当然のことである。
最後に改めて、アジア・アジアパラ競技大会を誰もが歓迎できる大会にできるよう、報道先行ではなく議会の場でも情報共有し、県民に明らかにしていくことを重ねて要望する。
【委員】
いわゆる闇バイトの現状にかかる教育委員会の認識について伺う。
昨今、未成年者の若者が、いわゆる闇バイトといわれる違法なアルバイトに巻き込まれる問題が深刻化している。目先の利益を求めてSNSや短期バイトアプリを通じて安易に応募する若者が増え、その結果、特殊詐欺や強盗といった重大な犯罪に加担してしまう事例が報道されている。
例えば、複数の若者が首都圏の住宅に押し入って現金を奪う強盗傷害事件が発生し、SNSを通じて甘い言葉で勧誘され、知らぬ間に犯行グループに利用されるというケースも見受けられる。さらに、犯行グループは子供の個人情報を脅迫の材料として利用し、恐怖心を与えながらその抜け出しを阻むことが多く、結果的に子供たちが犯罪に巻き込まれ続ける状況が続いている。
このような現状を踏まえて、愛知県教育委員会として現在いわゆる闇バイトの問題についてどのように認識しているのか。
【理事者】
闇バイトの募集はアルバイトの募集に見せかけて犯罪の実行役を集めるものであり、犯行グループは生徒の金銭欲求に付け込み、発達途上にある心理的な脆弱性を巧みに利用する働きかけを行う。そのため、生徒は犯罪とは気づかずに応募してしまうことがある。こうしたことを防ぐには、生徒自身が闇バイトは犯罪であることを理解し、SNS上の高額な求人情報のリスクを察知して危険を回避する力を身につけることが必要である。そのために学校の果たす役割は大変重要である。
【委員】
学校の果たす役割は重要であるという認識を確認した。
いわゆる闇バイトに関する事前の対策と、それから巻き込まれてしまった場合の対応について伺いたい。
闇バイトに巻き込まれることを防止する予防的な対策が非常に重要だと思う。特に、SNSやアプリを通じて高収入、即金、ホワイト案件などの誘惑に乗って簡単に高額報酬を得られる言葉にだまされる若者がいる。また、犯行グループはシグナルやテレグラムなどのアプリを利用し、個人情報を収集し脅迫を行うなど、巧妙な手口で勧誘を行っている。これによって、若者が知らぬ間に犯罪に加担してしまう現実がある。
したがって、闇バイトに巻き込まれないための予防教育、これを学校などで強化していくことが必要だと考える。また、もしも巻き込まれてしまった場合、例えば履歴書など個人情報を提供してしまった場合など、巻き込まれた状況から抜け出す支援を身近な学校が行うことも、必要だと考える。
そこで、啓発活動としてどのような取組を進めているのか、また、いわゆる闇バイトに巻き込まれた場合、学校としてどのような具体的な対応が可能であるか伺う。
【理事者】
生徒が闇バイトなどの犯罪行為に加担することを防ぐため、県教育委員会では夏季、冬季、春季の長期休業前に犯罪行為に巻き込まれないためのポイントを示して、生徒に対する注意を促すよう通知している。それを受けて、各学校では学期ごとの終業式や学年集会の場などで生徒へ注意喚起を行っている。本年2月と11月には愛知県警察が作成した啓発ポスターや闇バイトの具体的な事例等、募集の特徴などをまとめた資料を高校や中学校に送付し、学校での取組が広がるよう促したところである。
また、警察官による生徒や保護者向けの講座を行っている学校もあり、SNSを通じた犯罪実行者募集の実態や闇バイトへの応募をきっかけに犯罪に加担し検挙された具体的な事例を交えることで、生徒が自分ごととして考える機会となるよう工夫している。
なお、これまでも犯罪に巻き込まれる不安を感じたり、既に巻き込まれたとの相談が生徒や保護者からあったりした場合には、速やかに警察に行くか#9110で警察へ電話相談するよう促しており、闇バイトについても同様に対応していく。また、必要に応じてスクールカウンセラーや相談担当の教員による心のケアを行っていく。今後も子供たちが闇バイトといわれる犯罪行為に加担することにならないよう、引き続き生徒の安全と健全な成長を支えていく。
【委員】
最後に要望して閉じたいと思うが、私はいわゆる闇バイトという、この単語が安直に加担しやすくていけないのではないかと思っている。闇バイトという単語は私も発することに多少抵抗があって、これは重大な犯罪だという認識を共通で持つべきだというのが、まず大前提の一つである。
それから先ほど言った通信アプリを使った秘匿性が高い組織的犯罪で完成度が高いと思う。その割に被害に遭った後の、例えてはいけないが例えば薬物に手を染めた場合と比べた場合、巻き込まれてしまったこと自体も被害者だと私は認識しているが、加担して実際に加害行為を行い、下手すると殺人までしてしまうと、非常に大きな被害が出るので、これは大きな新しい犯罪の形が、いよいよ確立してしまったのではないか。
もう一つは需要と供給みたいなところでいくと、犯罪者グループがテレビ等でインタビューに答えている映像などを見たら、これはなくならない、応募したら絶対に集まる、捕まるのは我々じゃないと、本当に自信たっぷりにそういう発言をしていて、大分これは深刻だと思った。
こういった現状を社会全体で解決していくことになると思うが、未成年においては第一義的に家庭が、親が自分の子供を守るのを大原則とするならば、親に対する支援は、ここにいる教育委員会の教育機関の力の出しどころではないかと思う。
その点において、今回はいわゆる闇バイトに対する質問をした。子供たちの安全を守るために、引き続き警察などと協力して学びの機会の提供とともに持続的な対策に努めるよう願う。
【委員】
小中学校教員の多忙化という中で、市町村立小中学校における事務職員の活用についてというテーマで質問する。
小中学校教員の多忙化を解消するという話題は、もう前から出ているがなかなか実現しない。教員が子供たちと向き合う時間を創出しなければいけないとか、子供によりよい教育を提供する環境を実現するためにはどうしたらいいかとよく問われる。要するに、教員の1日の仕事、年間を通した仕事の中で何を削れるかだと思う。
先日、私は市町村立小中学校の事務職員と話をする機会を設けて、その話題について話したが、その中で彼らが言うには、教員の事務処理をする時間が、見ていてもったいない、事務処理するのは私たちがプロだから、私たちがやりましょうかと言いたいが、長年続いてきた教員の仕事は、なかなか学校の中で変えられるものではないことを嘆いていた。
県の事務職員に聴いた際にも、教員を見ていて教室のほうに戻してあげたい、向かい合う時間をたくさんつくってあげたい気持ちがあるといっていることに私は感動した。すばらしいな、でもこれを何とか本当に変えていくためにはどうしたらいいのかという話の中で、県の教育委員会も今年9月、愛知県公立学校働き方改革ロードマップを出した。このときこれをしたら時間をこれだけ節約できるなどそのようなことが、事細かくたくさん明示してあり、国からもいろいろアドバイスがあった。その中で一つ興味深いことがあった。共同学校事務室という言葉を私は知らなかった。
それについて聞きたいと思うが、本県では、ほぼ全ての市町村において共同学校事務室が設置されていると聞いている。先日県の事務職員からもそれを聞いた。改めて、設置目的を教えてほしい。
【理事者】
共同学校事務室は、学校における総務、財務等の事務について複数の学校の事務職員が共同で処理することにより効率化を図ることを目的に、平成29年の地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部改正により制度化された。現在、県内では小学校と中学校が1校ずつしかない東栄町と豊根村を除いた全ての市町村で設置されている。
設置の成果としては、小中学校では多くの学校で事務職員の配置が1人であるため、それぞれの学校で処理した事務を共同学校事務室において相互にチェックすることによって誤りを防ぐことができ、適切な事務処理の確保につながっている。また、先輩職員から指導を受けたり相談をしたりすることができるため、OJTのよい機会となっており、学校事務職員の人材育成の機能を果たしている。
【委員】
共同学校事務室は、今どのような事務を行っているのか。
【理事者】
共同学校事務室の運営状況は市町村によって異なり、また時期によっても異なるが、活動の多いときには週1回程度、少ないときにも月1回は集まって諸手当認定、旅費の支給、予算編成、学校徴収金の出納管理といった総務や財務に関する事務を共同で処理したり、各学校で処理した事務の確認をしたりしている。
【委員】
共同学校事務室をもっと機能的に動かせると教員の負担軽減が図れると思う。県教育委員会は今後どのように共同学校事務室を運営するのか。
【理事者】
現在、施設管理や学校徴収金の管理といった事務については、多くの学校において事務職員と教員が協力しながら処理している。また、授業に使用する備品購入の事務についても、教員が担当している学校もあると聞いている。このような事務について、より幅広く事務職員が担当していけば教員の負担軽減が図れるものと考えている。そのためには、共同学校事務室において諸手当認定等の事務をより効率的に処理することによって、事務職員に時間的な余裕を生み出す必要がある。
県教育委員会としては、今後、市町村における共同学校事務室に関する取組状況等を調査し、取組の進んでいない市町村に対して改善を提案するなど、個別に働きかけることにより共同学校事務室の充実化を図っていきたい。
【委員】
これからどんどん進めてくとのことだが、設置が促されたのは平成29年だったか。
【理事者】
もともと共同実施というのは、以前から各市町村において実施されてきたが、共同学校事務室として制度化がされたのが平成29年3月である。
【委員】
その前からそういう仕組みがあったことが分かった。今は令和6年で、今後やっていきますということはもちろん分かって、今までそんなに進まなかった理由は今さら聞かないが、今後どんどん進めてほしいと思う。
それでも、共同学校事務室を進めていく中で、各学校や市町村によって昔からの脈々とした古い形やいろんなやり方が現在もあって、その中ではDXも進まないという話も聴いた。そこら辺をいろいろ変えていくことが大事ではないかと思う。私が彼らと話をした中で五つこうしたらいいのではということをまとめたので、お知らせしておきたい。
一つ目、愛知県で配置されていない副校長、副校長というのは行政職員の事務部門の管理職である。副校長を小中学校に配置し、スクールサポーターや学校支援員を含めた学校の管理運営事務体制を整えることで総務、事務、経理、管財といった事務部門を教頭や教員の仕事から切り離すことが、まず大事だと思う。
二つ目に、校務主任が教育に専念できるように、校務主任が担ってきた学校の維持管理運営に関する業務は共同学校事務室が担うこととする。
三つ目、他県で導入が広がっている教育行政職員枠の採用を愛知県でも導入し、県教育委員会事務局、県立学校、小中学校の行政職員として配置する。あわせて、小中学校と県教育委員会や県立学校との行政職員の人事交流を積極的に行う。他県の例としては福岡県が令和7年度試験から教育行政区分を新設するそうである。そして既に小中事務も含めて行政職員として一括採用しているのが東京都、富山県、鳥取県、佐賀県、熊本県、宮崎県だそうである。
四つ目に、共同学校事務室がその設置趣旨に沿った取組をできるように、県の権限で実施できる権限委譲を図ったらどうかということである。例えば、旅費予算や時間外勤務手当予算の配分を共同学校事務室で行うなどである。どんどん進めていってほしい。
五つ目に、知事部局や教育委員会事務局、県立学校で採用している総務事務システム、アイシステムを市町村立学校現場にも採用しDX化を進めてほしい。
このようなことをいろいろ熱っぽく彼らはいっていた。学校事務をこうしたらいいのではないかという熱意がとても伝わってきたので、今日はそれを伝えようと思った。
結局そういうことは、組合などから多分もう伝えられているとは思うが、そういう現場と県教育委員会との情報交換、コミュニケーションはしっかりしてほしい。そうしないと、県教育委員会がやったことに対して現場が混乱したり、または現場が求めていないことをやってしまったりすることになる。もっとこうしてほしいという気持ちが現場にはあるから、それを解消するために、市町村立小中学校の事務体制の充実について、例えば校長、教頭、事務職員そして市町村教育委員会の代表をメンバーとした検討会議を県教育委員会が立ち上げることも一つ要望する。
【委員】
大きく二つ質問する。
一つ目の質問はスポーツ局に、開業するIGアリーナの具体的なスマート機能について伺う。
二つ目は教育委員会に、学校給食からパン、ソフト麺が消える、改めて学校給食の持続可能な在り方についての二つの質問をする。
まず、スポーツ局に対する質問である。
愛知県では、長らく注目度の高い全国ツアー等の大規模イベントが開催されにくい、名古屋飛ばしといわれるものが話題とされてきた。その一方で、IGアリーナの完成開業により、地域経済や文化の発展の障害となってきた名古屋飛ばしがなくなることを期待するのは私だけではないと思う。
さて、建設中のIGアリーナの調査に、私は本委員会、特別委員会の視察を含めて本年3回訪問した。その都度、最大収容人数1万7,000人の最新アリーナのハード面が徐々に明らかになり、一層期待は高まる。
しかしながら、これまでの調査ではスマートアリーナといわれるゆえんとなるICT技術を駆使し観客の体験を向上させるための最先端のサービスの提供等、ソフト面の特徴については具体の説明はほとんどなかった。海外で開業しているスマートアリーナに目を転じれば、Wi-Fiの完備、キャッシュレス決済、リアルタイムの試合データ提供、AR、VR技術を活用した臨場感あふれる観戦体験などがスマートアリーナの特徴として挙げられている。
また、スマート照明システムやスマート空調システム、高度なセキュリティーシステムなど、観客の快適性と安全性を向上する仕組みを有するスマートアリーナもある。開業を約半年後に控えて、県民市民から最先端のIGアリーナのスマート面に関する目玉は何かと聞かれるようになってきた。
そこでまず二点伺う。
一つ目、運営面については株式会社NTTドコモが中心となりICT設備機能による最先端のスマートアリーナとして、これまでにない観戦、鑑賞体験等が期待できると聞いてきた。IGアリーナのICT技術や生成AIを活用しての具体的なサービス提供について伺う。
二つ目、館内では株式会社NTTドコモのネットワークを活用したサービス、アリーナアプリなるものが提供されるとも聞いたが、どのようなサービスを想定したものなのか。
【理事者】
はじめに、ICTやAI技術を導入したサービスの提供の内容について答える。
スポーツやコンサートなど、主に大規模イベントの開催を想定するメインアリーナには国内最大級のセンタービジョンやリボンビジョン、世界有数のスピーカーブランドの音響設備、演出を盛り上げる約70基のムービングライト等が設置され、迫力ある映像や高音質の音響などによる世界トップレベルの観戦鑑賞体験が提供される。
館内の通信技術は株式会社NTTドコモによる5Gサービスエリアと国内トップクラスの観客用Wi-Fiにより、情報通信の高速化、大容量化を実現した最先端のネットワーク環境が整備される。
将来的にはNTTグループが次世代戦略として研究開発を進めている情報通信基盤アイオンの技術が導入されることにより、これまでにない高精細で大規模情報量のライブビューイングによる観戦鑑賞体験も実現可能となる。加えて、音声やタッチパネルで質問した内容を自動で回答するAI案内板の設置やトイレの混雑状況がモニターで表示されるなど、アリーナ全体において最先端のICTやAI技術を導入したサービスが提供される。
次に、IGアリーナの専用アプリについて説明する。IGアリーナ専用アプリは株式会社NTTドコモが新たに開発するアプリで、来場者が使用することで利便性や快適性が向上するとともに、来場のわくわく感につながるサービスを受けることが可能となる。アプリが提供する主なサービスは、イベント案内やアリーナへのアクセス方法、座席位置や飲食店などの場所を示す館内マップなどの情報が提供されるほか、アリーナ内での飲食の購入についてはモバイルオーダーサービス機能によりキャッシュレス化や店舗前での待機列の解消が図られる。
加えて、チケット購入には独自のデジタルチケットシステムが導入され、座席マップによる座席の選択からキャッシュレス決済、QRコードを利用したQRチケットの発行など、チケット購入から来場までシームレスなサービスが提供される。
そのほか、イベント当日には来場者限定の特典映像の配信による特別感の演出や、飲食店の前ではその店舗のおすすめメニューや割引クーポンが配信されるなど、来場者それぞれのシチュエーションに合わせた通知による来場者の体験価値向上につながるサービスもアプリにより提供される。
【委員】
様々なものが提供されることが言葉では分かった。視察に行くとセンタービジョンは非常に大きいものだなと実感するし、リボンビジョンもこのように入るよというと分かるが、言葉ではICTの技術を活用したうんぬんというのはなかなか分かりにくいので、しっかりと機運醸成も含めて情報を見える化し提供してほしい。
その上で、後半の答弁の株式会社NTTドコモの提供するアリーナアプリであるが、要するに株式会社NTTドコモが運営会社に入っているから当たり前といえば当たり前であるが、例えばauやソフトバンク等のドコモ以外のキャリアを持っている人たちのスマートフォン等への安定的な通信・サービスというのは、どのように確保されるのか。
【理事者】
アリーナ内の全エリアの通信環境は株式会社NTTドコモをはじめ、各キャリアの電波が届くようアリーナ内にアンテナが設置される。また、全てのキャリアや5Gに未対応のスマートフォン利用者のために無料の観客用Wi-Fiを提供するなど、来場者全員に快適な通信環境が提供される。アリーナ専用アプリはモバイルオーダーやチケット購入など、一部の機能については使用に際してドコモが発行する本人認証IDのdアカウントの取得が必要となるが、アプリをインストールすることにより、誰でもアプリを使用することができ、スマートフォンのキャリアや機種に関係なく同様のサービスを利用することが可能となっている。
【委員】
来場者に皆、同じレベルで同じように楽しんでもらえるように、今後もしっかり要望して工夫してほしい。
最後に、要望する。
スマートアリーナは地域の振興に資する先進事例が多い。IGアリーナを例外にしてはならないわけであって、地域経済の活性化やインバウンドを含めた観光客の増加、地元企業との連携による新たなビジネスチャンスの創出など様々な効果が期待される。また、オープニングイベントとなる7月の大相撲名古屋場所そして2026アジア競技大会、アジアパラ競技大会の成功に向けてアリーナ開業まで約半年となった今、それぞれ機運醸成を一気にアリーナの開業とともに進めることとなっているので、しっかりと機運醸成を含めて取り組んでほしい。
スポーツ局においては、県民へ最先端のスマートアリーナの舞台の楽しみ方のPRを積極的に発信し、その上で地域の多様な主体とのシナジー効果を生み出せるよう取り組んでほしい。
また、スマート技術というのは案内のとおり、日進月歩でどんどん進歩していく。そういう意味で運営会社の株式会社NTTドコモにはスマートアリーナの高度化を絶えず要求してもらって、進化するスマートアリーナであり続けるよう努力してほしい。また、質問の一つ目でも述べたが、いわゆるインバウンドの対応ができるアリーナ、またいつ南海トラフ地震が起こるか分からないので、防災減災にも資する安全・安心のセキュリティーシステムの構築等も必要不可欠だと思うので、そういった注文もしっかりとして、また県は適切な支援も行っていくよう要望する。
続いて二問目、教育委員会への質問に移る。
給食は学校生活の大きな楽しみだったと、多くの人が思っていると思う。今ここにいる人も同じではないかと思うが、私が一番好きだった給食のメニューはカレーうどんだった。カレーのルウにソフト麺を入れて食するメニューで、当時人気のメニューだったと思う。それぞれ子供の頃を思い出して推しの給食メニューがあるのではないかと思う。
さて、近年、学校給食からパンや麺が消えるといった懸念が全国的に広がっている。2024年11月11日の朝日新聞ウイークリーアエラには学校から揚げパンが消えるという特集記事が掲載されていた。
福井市では2024年4月から市立小中学校への給食パンの供給が一時停止され、また三重県の大台町と大紀町でもパンの提供がなくなり、今は米飯のみの給食となっている。これらの事例の背景には原材料費や電気代の高騰、人手不足、製パン業者や製麺業者の減少といった経済的な要因も挙げられる。また、学校給食費の無償化が進む中で、行政側からコスト削減を求められる業者の採算が取れなくなっている問題もあると聞いた。愛知県においても今後このような課題が懸念されるので、まず伺う。
愛知県での学校給食からパンと麺が消えてしまうのではないかと危機感を持っていると関係者から聞くが、学校給食向けにパン製造及び麺製造をしている本県の事業者数の近年の推移を教えてほしい。あわせて、学校給食で週3回以上とされている米食、米を支える炊飯業者、米を炊く業者数の推移も教えてほしい。
【理事者】
学校給食向けのパンや麺、米飯は公益財団法人愛知県学校給食会が委託している事業者から各市町村の給食施設に納入されている。学校給食会が委託をしている事業者数を2015年度と現在を比較すると、パン製造業者は21社から17社に、麺製造業者が17社から12社に、炊飯業者は25社が18社になり、いずれも減少している。
【委員】
私も調べてみたが、全国的に見ても、この事例はほぼ同じであり、私の持っている全国データは平成20年から令和5年のものだが、全国的に見てもパンの業者は55パーセント、炊飯は64パーセントに減っている。麺は48パーセントであるので半分以下になっている。答弁でも随時減っていることが分かる数字が示された。
さて、学校給食は児童生徒の健康を支え、食育を推進する重要な役割を果たしており、給食の時間は授業時間扱いになっていると思う。また、学習指導要領や学校給食法に基づき、栄養バランスの取れた食事を提供することが求められており、パンや麺もその一環として重要な位置を占めている。
しかし、答弁にもあったとおり、愛知県においても業者が減少し、私も実は愛知県学校給食会に聴いたが、その際、学校給食の維持について強い危機感の表明があった。私は持続可能な学校給食システムを構築すべきだとする立場である。
そこで、学校給食におけるパン食と麺食の必要性についての県教育委員会の認識を聞きたい。県教育委員会は学校給食におけるパン食、麺食の必要性をどう整理しているか。
【理事者】
学校給食における主食には、米飯やパン、麺がある。戦後しばらくはパンが主食の中心だったが1976年に米飯給食が導入され、以降、米飯が徐々に増加した。2009年には文部科学省の通知において米飯給食を週3回以上を目標として推進するとされたことから、近年では米飯が主流となっている。
本県では、現在週5日の給食のうち、おおむね4日は米飯で残りの1日はパンか麺が提供されている。学校給食において多様な食材を使い様々な食に触れられるようにすることは、子供たちの食に関する興味関心を高め、食の楽しさを知るきっかけとなることから、主食においても米飯だけでなくパン、麺も提供することが望ましい。
【委員】
パンも麺も必要だと、答弁があった。後から事例を言うが、私は事業者の厚意に頼る学校給食のシステムはいずれ限界を迎えると考えている。
質問するに当たり、私は近くにある学校給食向けのパンを製造する業者にも取材をした。そこは名古屋市内を中心に、市外も含め27校、1万5,000食の給食パンを製造する業者で、その社長からこんな話があった。25人ほど雇っているが、25人のアルバイト人員を確保することがもう難しいと。午前中勝負の仕事になるので、アルバイトには4時から出社してもらい、パンを焼いたり炊飯したりするが、近年はそういう職場は敬遠されがちだから難しいと。午前中の学校からの指定時間、給食だからパンも麺も炊飯も何時までに届けてほしいと指示がある。大体8時過ぎぐらいから11時過ぎぐらいまでだが一番多いのは10時ぐらいで、この時間帯に一気に各学校に自主輸送しなければならないと。委託するとお金がかかるし、学校給食の仕組みがあるところの入り口は皆も思い出したら分かると思うが、大きなトラックは入らないので、キャラバンだとか小さいトラックで行くしかない。この業者も6台小さいトラックがあって、その運転手を雇うことも大変になってきている。おまけに、持っていった箱、箱は義務ではないが給食が終わった後に取りに行かないといけないので、なかなか運転手も大変だそうである。
また、学校給食を担っているパン屋が小規模なので後継者が育ちにくい。大きなパン屋はやらない。豊明市だとフジパン株式会社豊明工場があるが、そこは豊明市内の学校給食しか取り扱っておらず、その他の市町村の学校給食パンを製造する業者は、小さい業者ばかりである。だから、新たな設備投資をするにも勇気が必要になってきて、仕事の効率化が図りにくい。こういう、まさに今の中小企業者、小規模事業者の悩みを聴いた。
私は、学校給食等を俯瞰する立場から物事を見ることができる、県当局が市町村をサポートするときが来ているのではないかと考える。小中学校の学校給食の実施主体は市町村であるが、持続可能なシステムを構築するためには大きなところが主導して、事業者支援の課題を整理し適切な対策を講じることが重要だ。先般、小牧市の製パン会社に行き、そこでこの話をしたら、実は、他県から学校給食のパンを作ってくれと小牧市の業者が言われているという話である。
そこで、伺う。学校給食向けにパンや麺製造をしているのは大手の食品製造メーカーではなく、経営体力が小さい弱い小規模事業者が主である。学校給食を支える事業者の課題について、県教育委員会の認識を伺う。
【理事者】
委員指摘のとおり、県内において給食のパン、麺を製造しているのは小規模事業者が多くなっている。県内では、これまでのところパンや麺の供給が止まる事態は起きていないが、児童生徒数の減少による需要減や物価高騰などにより、今後供給が困難になる事業者が出る可能性がある。また、設備の老朽化、経営者の高齢化及び後継者難、人材の確保などは多くの中小企業や小規模事業者の共通した難しい課題であると認識している。
【委員】
この質問では、本県の存続の危機に今後なるであろうパン給食と麺給食を中心に、今、学校給食の含む課題について伺ったが、さらに子細に見ていくと学校給食は昨今の社会的な課題と密接な関係にある。例えば、保護者負担を減らすよう無償化要望が増えていて、我々も頻繁に聞く。また、保護者からオーガニック給食の実施を求められたり、メニューの多様化を要望されたりすることも多々ある。私の住む名古屋市緑区では、地産地消及び地域の歴史文化を学ぶ観点から愛知の伝統野菜徳重だいこんを区内の学校給食の食材にできないかという要望もある。本当に多岐にわたる要望が学校給食にはついて回っている。
小中学校の給食は、先ほど述べたとおり市町村が主体となって実施するものではあるが、やはり市町村のみでは多岐にわたる要望を実現することは難しい。ゆえに、今後は県当局が市町村をリードして、学校給食に係る課題に向き合って持続可能なシステムを構築することが必要になってくると考える。特に、こういう立場で政治的に、皆関わっている学校給食の無償化の流れは、近年の県内の首長選の党の候補者の公約でたくさん出ている。我々も政党としてそういうことを言っているが、無償化しようと言いながら学校給食が存続できないかもしれないという裏腹の問題があるのがこの課題であり、そういう意味で学校給食を支え続ける我々公共の責任は、ますます今後重たくなっていくと思う。
そこで、本県内の学校給食の持続可能なシステムを維持をするために、県教育委員会として今後どう対応しようとしているのか伺う。
【理事者】
委員の発言のとおり、パンや麺の製造業者では午前中の指定時間までに一気に学校または給食センターへ配送しなければならず人材確保で苦労する状況があることから、学校給食会がパンや麺の提供日を施設ごとに分散させることで発注が特定の日に集中しない形とし、事業者の負担軽減を図っており、これを徹底するよう要請していく。
また、学校給食会には、より安価でおいしいパンや麺の商品開発を進めてもらい、市町村教育委員会にはパンや麺を使用した安価でおいしいメニューを工夫してもらうようお願いするなど、それぞれの市町村でパンや麺、米飯が給食でバランスよく楽しめ、子供たちにとって大事なものであり続けるよう取り組んでいく。
【委員】
最後に要望するが、愛知県の中で委託されているパン工場がどのように分布しているか調べた。先ほど17社と答弁があったが、今、東三河では工場があるのは田原市と豊川市のみである。豊橋市もない、当然新城市もない、北はない。知多も大府市だけがあって、それ以南はない。これが委託先のパン工場である。麺に至ってはさらにひどく、麺は三河全てで、あるのは豊橋市と西尾市と高浜市のみ、あとは麺を作っている工場はない。
まだ具体的にはそういう危機感は表明されていないのが世の中かもしれないが、実際はまさに消滅可能性自治体と同じような状態で、給食が本当にこのまま存続できるか分からない市町村が一気に出てくる。でも、子供たちはそこにいるわけである。
だが子供たちにとっては、冒頭述べたが、学校生活の中において最も楽しみにしている一つが給食だと思う。また、人が生きていく上で、人生を豊かに過ごしていく上で最も大切なことの一つに食があり、食についてしっかりと学べる場は小中学校の給食しかないのも事実である。
そういう意味で、今後も今までどおりというより、今まで以上に、多様な給食が本県内のどこにいても提供できる体制づくりに県がしっかりと関わっていくことを要望する。
【委員】
先日の中日新聞で県教育委員会が秋田県の国際教養大学と包括提携をすると報道があった。誠に時宜を得た方法だと思うが、その目的と狙いを教育長に伺う。
【理事者】
国際教養大学(AIU)と12月3日に包括協定を結んだ。もともと2年前に中高一貫校導入を決めたとき、チェンジ・メーカーを育ててくことを大きなテーマとした。チェンジ・メーカーというのは、答えのない課題に対して一生懸命様々な人と共同しながら、粘り強く何度もチャレンジして解決していく、社会に変革を起こす人間で、このチェンジ・メーカーを育てていく教育カリキュラムとして、どんな方法がよいかを考え、探究学習をしっかりやっていこうとなった。探究学習をやるには、AIUもそうだが、いわゆる文系理系の学科の領域を超えた形で学んでいくリベラルアーツという考え方が大変重要だと、調べている中で分かってきた。これを愛知県でやっていくにはどうしたらいいか真剣に考えた。
大学でリベラルアーツをしっかりやっている学校としてAIUといわれる秋田県の国際教養大学大学、ICUといわれる国際基督教大学、それから同志社大学もそうであるが、そういった学校がリベラルアーツを進めるための教員向けの研修のイベントをやってくれる機会があって、ぜひそれを愛知県でやってほしいと2年前の8月に3大学合同による研修会を開いてもらい、今年も開いてもらったが、そんなことが発端となって、まず中学高校でリベラルアーツを進めていくこととした。
しかし、それを教える教員はどうしたらいいのかという課題もあった。ICU、AIUの両校には教員を養成するための大学院課程があったので、その力を借りて教員も育てていき、子供たちも、愛知でやる教育自体もリベラルアーツの考え方を入れた中高一貫校にしていこう、探究学習をやっていこうとなった。
それで、去年の11月にICUと包括協定を結び、今年はAIUと包括協定を結んだ。これを結ぶことによりそれぞれの大学で、例えば夏休みに大学の空いたキャンパスで全国から高校生たちを集めてスクールセミナーをやってもらう。これはまさにリベラルアーツとはどういうものかを勉強する機会であり、そういうところに高校生たちを送り出しながら、そういった学びをやってもらう。
そして、先ほど述べた教員に対しての研修会、そしてさらにゆくゆくは教員養成課程のほうにも教員を出して、専門課程を受けさせる。受講した教員が帰ってくると来年からオープンしてくバカロレアのキーとなる先生になっていけるという、こんな狙いを持って今回包括協定を結んで、これから一生懸命それを積み重ねていこうと思っている。
【委員】
私は、秋田国際教養大学は日本の戦後の教育のないところを埋めていると思う。全部英語でやるわけであるから、リベラルアーツとともにグローバル人材の育成である。たしか半分外国から留学生を集めて、全て寮である。寮で全て英語だと、教師も半分ずつぐらいではないか。そういうことで、要するに世界の窓を開いてくれた。就職先を見ても主流の企業、国外も出ているし、1年間の留学が義務づけられている。バカロレア校を来年3校やるから、これはもっと深い関係になって、そして秋田国際教養大学を目指すぐらいの生徒をぜひ育ててほしいと思う。日本はリベラルアーツ、総合的な人間力をつける教育をしてこなかった。これから世界へ出て活躍できる人をつくらないと、エネルギーも、食料も、人材も外国から求めるわけであるから、外へ出ていかなければしようがないのである。競争させずに内向けの教育をやってきたので、その弊害が今出て若者たちは外へ行きたくない、ただ家族と仲よく楽しければいいというが、そんな大人をつくったら大変なことである。
そういう意味では、ぜひ愛知モデルをつくって、バカロレアもほとんど英語であるから資格を持って世界の大学へ行って受験する、たくましい日本人をつくってほしいと思う。ぜひ、強力に進めてほしい。我々もまたバックアップをしていかなければならないと思う。
それから、日本がこれだけ30年、40年停滞をしてきたのは、私はデジタル化に遅れたということだと思う。文科省の生成AIパイロット校は去年5校、来年5校、小学校が3校、高等学校2校であるが、どんどんこれを増やしていってほしい。あと5年たったら生成AIを使うのは当たり前になる。
そういうときに、私は普通高校の教育では時代遅れになると、前から言っている。いろいろトライしてもらっているが、普通科もAIプロンプトを学ばないと取り残されると思ので、ぜひ加速的に進めてもらいたい。パイロット校のみといわずに、普通高校は全部プロンプトの最低の技術を皆持っていると、AIの名操縦者だというぐらいにしなくてはならない。AIを動かすには文系も理系もなく、文章力も語学力も要る、ましてや英語が要る。技術だけではなく、融合した力がいる。
そういう教育をぜひやって、そして愛知はモノづくり県であるから、モノづくりに貢献して世界に出て頑張れる、そういう子供たちを育ててほしいと思う。そこで、AI活用の授業を普通高校でも何とかできないか。教科、部活でも結構であるし、とにかく触れさせる必要がある。
【理事者】
委員から力強い応援をもらったように、我々もAIにしっかり向き合える、使いこなせる子供を育てなければいけないと思っている。
愛知県は恵まれていることにマイクロソフトと協定を結んでいるので、マイクロソフトからプロンプトエンジニアではないがプロンプトの技能のある人に来てもらい、今モデル的に、このあいだは一宮高校で教員に使い方を指導してもらい、それを使って授業で実際に子供たちにプログラミングを教えて、そして子供たちが簡単なゲームをつくるところまでやった。一つの取っかかりであるが、こうしたことが一宮高校でできたのがすごく大きな効果だと私は思っており、こういった取組をどんどん広げてかなければいけないと思っている。
それから身近なところでいうと、授業だけではなくて、今の子供たちは日頃の活動の中でかなりAIを使っている状況である。例えば、すぐ近くの旭丘高校では生徒会が中心となって、文化祭のときに文化祭で劇をやったり、討論会をやったりするそうであるが、その練習を行う体育館の予約システムを自分たちでつくってしまう。それから当日、外から来た人たちが、どこが今混んでいてどこが空いているかをセンサーでキャッチして、それを運営委員が客に案内して誘導するだとか、そういうシステムを彼らは作り、実際に文化祭で動かして、さらにほかの県立高校にもそれを提供して、広げている。このように、授業の中でもしっかりやっていくし、そのほかの子供たちの活動をしっかり応援していきたいと思っている。
小さいうちからやろうということでは、まずは我々来年スタートしていく中高一貫校の附属中学、ここはAI教育をしっかり、小さいうちは保護者の了解がなければいけないが、気をつけながらそういった技術に常に触れるような形で、そして先ほど委員から紹介があったが、まさに海外に出ていけるような子供たちを育てるように頑張ってこの取組をしっかり広げていきたいと思う。また応援してもらえると助かるのでよろしくお願いする。
【委員】
教育・スポーツ委員会で以前九州へ視察に行ったとき、AIにすごく関心を持つ中学校に行った。AIを導入しようとするときは、専門家を連れてきて教師に教えるというのが普通である。ところがそうではなくて、修学旅行について中学生の子供たちにAIを用いて全部企画をさせたら、見事にやり遂げたそうである。行き先を決めるなどあらゆることを、先生まで引っ張って中学生が見事にやったそうだ。だから、まず触らせてやらせてみることだ。文化祭や修学旅行と、子供たちにプログラム組ませればいいのである。遊びとは言わないが、そういうところからやらせたらどうか。2歳、3歳からスマートフォンでユーチューブを見ている、そういう世代であるから、そういったところから入っていくことをぜひトライさせてやってほしい。