悪質・危険な運転行為による死傷事犯の根絶についての意見書 近年、自動車の運転による交通事故死傷者数は減少傾向にあるとはいえ、依然として社会的に許されない悪質・危険な運転行為による死傷事犯は少なからず発生しており、このような運転行為によって尊い人命が奪われることはあってはならない。 これまで、悪質・危険な運転行為による死傷事犯に対しては、平成13年の刑法の一部改正による危険運転致死傷罪の新設を始め、実態に即した適切な処罰を可能とするための累次にわたる法整備が行われてきたところである。 しかしながら、危険運転致死傷罪の適用においては、どのような事例が該当するのかが不明確なことや速度超過などの数値的な基準がないことから、危険運転と認定されるための立証が困難であるとの指摘がなされている。 また、国民の目から見て明らかに悪質・危険な運転行為であるにもかかわらず、危険運転致死傷罪による処罰がなされていないものがあり、国民感覚と法の適用の現状に大きな乖離がある。 こうしたことから、悪質・危険な運転行為を抑止し、死傷事犯に対して厳正に対処していくためには、死傷事犯の実態に即した罰則の適用要件の明確化が求められている。 よって、国におかれては、悪質・危険な運転行為に対する罰則の適用要件の見直しを進めるとともに、悪質・危険な運転行為による交通事故を抑止するための広報啓発、速度超過や飲酒運転等の取締りの強化など、悪質・危険な運転行為による死傷事犯の根絶に取り組むよう強く要望する。 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。 令和6年12月19日             殿 愛知県議会議長     直江弘文 (提 出 先)     衆議院議長      参議院議長     内閣総理大臣  法務大臣     国家公安委員会委員長 警察庁長官