慢性閉塞性肺疾患の潜在的な患者に対する適切な対応についての意見書 慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、症状として咳、痰、息切れを特徴とし、主にたばこの煙やPM2.5などの有害物質を長期に吸入することで生じる進行性の肺疾患であり、国が取り組んでいる国民健康づくり運動である「健康日本21」において、がん、循環器病、糖尿病と並んで対策を必要とする主要な生活習慣病に位置付けられている。 COPDが進行すると、息切れなどの症状悪化により身体活動性が低下することで、要介護や寝たきりの可能性が増大すると言われており、重症化する前段階で治療を開始して進行を遅らせ、急激に状態が悪化することを予防することが重要である。 しかしながら、国内の患者数は約530万人と推計されている一方で、厚生労働省のデータによると、実際に治療を受けているのは約36万2千人にとどまっているため、COPDの認知度を高めると同時に、潜在的なCOPD患者の早期診断と早期治療への取組の強化が必要である。 よって、国におかれては、COPDの潜在的な患者に対する適切な対応を図るため、下記事項について特段の措置を講じられるよう強く要望する。 記 1 地域の医療機関に対し、COPDの診断に必要となるスパイロメーターの配備を支援するとともに、医療従事者に対し、正確な計測を可能にする研修の実施を図ること 2 地方自治体が行うCOPDの重症化を抑制するための取組を促進するため、受診勧奨対策に対する財政支援や、保険者努力支援制度における評価指標への追加を図ること 3 かかりつけ医や学校、企業団体による保健指導等を促進することにより、幅広い年齢層に対するCOPDの情報や知識の普及啓発を図ること 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。 令和6年12月19日             殿 愛知県議会議長     直江弘文 (提 出 先)     衆議院議長      参議院議長     内閣総理大臣     厚生労働大臣