居住施策に関するアンケート調査

市町村名 豊橋市
市町村長名 佐原 光一

愛知県の住まい・まちづくりを取り巻く状況について、特に注目している現状と今後重要となってくる課題についてのお考えをお聞かせください。

 本市は二点挙げたい。
 一点目は『高齢化』である。現在、国だけでなく愛知県も人口減少と高齢化の進行、それに伴い高齢者単身・夫婦世帯の増加傾向がみられ、それは豊橋市においても同様である。愛知県では65歳以上の高齢者数が、平成22年度の国勢調査では約149万人、高齢化率は20.3%であり、2020年には高齢化率は25%を超えるとされている。一方豊橋市でも、同様の国勢調査で高齢者数は7万6千人、高齢化率は20.1%、2020年には高齢化率が26.5%に達すると推計されている。そういった現状の中で、高齢者が安心して暮らせる居住環境の整備が必要であり、高齢者向けの賃貸住宅の供給量を増やし、住宅セーフティネットを確立していかなければならないと考える。また、住宅セーフティネットの中核を担う公営住宅についても、入居申込者の増加や高齢化の進行という現状を踏まえ、真に住宅に困窮する住民への入居機会を増やすため、住宅ストックの有効活用と適正な管理が必要と考える。
 二点目は『耐震化』である。愛知県は東海・東南海などの大規模地震の発生が危惧される地域であり、被害軽減のために住宅の耐震化は急務であると考える。特に豊橋市は、平成14年に「東海地震に係る地震防災対策強化地域」、平成15年に「東南海・南海地震に係る地震防災対策推進地域」に指定され、大規模地震の危険性の高い地域となっている。また、平成25年5月30日に愛知県が発表した南海トラフを起因とする最大規模の地震の被害想定では市域ほぼ全域で想定震度7、建物全壊・焼失棟数47,000棟となっており、愛知県内でも被害の大きな地域と想定されている。この被害を軽減するためには住宅の耐震化の促進が必要であると考える。
キーワード 高齢化、住宅セーフティネット、耐震化

上記の課題解決のために推進すべきと考える住まい・まちづくりに関する取組みについてのお考えをお聞かせください。

 まず『高齢化』については、高齢者が安心して暮らせる居住環境の整備として、高齢者住まい法の改正により創設されたサービス付き高齢者向け住宅の供給を促進し、高齢者向けの賃貸住宅の供給量を増やすことが考えられる。バリアフリー構造を有し、介護・医療と連携して高齢者を支援するサービスを提供するサービス付き高齢者向け住宅を供給することで、高齢者の居住の安定確保に寄与することができる。また、高齢者が安心して民間賃貸住宅へ入居できる環境整備を図るため、入居受け入れを拒否しない民間賃貸住宅を登録する制度である愛知県あんしん賃貸支援事業のさらなる推進と制度の周知を図っていくことも必要と考える。一方、住宅セーフティネットの中核を担う公営住宅のストック有効活用と適正管理については、真に住宅に困窮する住民への入居機会を増やすため、入居者の募集方法の検討や入居期間を限定化する期限付き入居の検討、入居承継できる範囲の見直し等への取り組みが考えられる。さらには、現在の住宅施策も「福祉部局との連携」をスローガンに掲げているが、今後ますます高齢化が進み高齢者が増え続け、障害者やひとり親世帯等の居住支援の必要性も高まる中で、住宅部局と福祉部局の一体的な取り組みのもと、総合的な居住政策を実行していく必要性を感じている。
 次に『耐震化』について、豊橋市では、耐震化を促進する施策として愛知県の助成制度を活用しながら、耐震診断費や耐震改修工事費、木造住宅解体工事費の補助を実施し、さらに今年度からは、段階的木造住宅耐震改修補助制度、耐震シェルター補助制度を実施してきた。大規模地震の発生も危惧されることから、さらなる制度の拡充が求められる。また、市民の耐震意識向上のため啓発促進が必要であり、現在豊橋市で実施している出前講座や耐震相談会、耐震パンフレット作製費等への助成等、啓発面に関する市町村への助成制度の充実を図る必要があると考える。
キーワード サービス付き高齢者向け住宅、あんしん賃貸支援事業、公営住宅の適正管理、福祉部局、助成制度