第1回「愛・地球博 理念継承エリア検討委員会」委員発言要旨



(文責事務局)

事務局 あいさつ

愛・地球博は、想定を上回る入場者の方においでいただき、さる9月25日に大成功のうちに閉幕をした。博覧会では、自然の叡智をテーマに、持続可能な社会を実現していくことの大切さを学んでいただいた。また、地球大交流の実践をしていただくことによって、多様な文化、価値観を理解しあう大切さを経験し、県民の方々の大きな財産になったのではないかと思っている。
愛知青少年公園は、昭和45年に青少年の健全な育成を目的として開園した。年間で約280万人の県民の方々の利用があり、親しまれてきた公園である。愛知県では、博覧会開催を契機として新しい公園に生まれ変わらせるため、昨年度から「21世紀にふさわしい公園づくり委員会」を設置し、検討を進めている。本日ご出席の涌井先生に委員長をお務めしていただいている。計画策定に当たって、博覧会の理念と成果を継承することを含め4つの基本方針を掲げた。公園のゾーニングとしては、「博覧会の理念と成果を継承する場」として、「イデアのひろば」を位置付けている。
博覧会が大成功したことによって、博覧会の成果を是非この公園づくりに生かすべきだという委員の方々の意見を受けて、更に議論を深めるということで新しい委員会を設けることにした。この委員会では、「イデアのひろば」における「博覧会の理念と成果の継承」について、より多様な様々な視点からご意見をいただきたい。
今月の初めから、公園の名称の一般公募を行っている。明日締め切りであるが、既に2,000通を超える応募をいただいており、博覧会会場であった青少年公園に対する皆様方の関心の高さ、期待の大きさが感じられるところである。
委員の皆様方のご意見を受け止め、博覧会の理念と成果が後世に永く引き継がれるとともに、県民の期待に応えられる素晴らしい公園にしていきたいと存じているので、よろしくご議論をお願いしたい。


平野委員長 あいさつ

愛・地球博は「自然の叡智」をテーマに、人類と自然が共存できる持続可能な社会の実現に向けて、多くの国々や国際機関の他、市民・NPO・NGO・ボランティアの方々の参加により様々な展開がされて、21世紀の最初の国際博覧会として大成功だったと思っている。
万博では、環境技術や新交通システムなどの最先端の技術、あるいは、自然や環境に配慮した新しい生活の仕組み、文化の多様性を学ぶという点で、非常に重要なものが展開された。国際交流や市民レベルの活動というものは、今後とも通じていくだろうと期待している。万博の理念を次の世代にどういうような形で継承していくのかということについて重要な課題であると思うが、この委員会において、博覧会の開催や運営に関して御尽力された幅広い分野の方々の委員からご意見を伺い、いいアイディアを盛り入れて、次の世代の方々にいい形で継承していくようになればと思っている。
委員会が円滑に進み、各委員の皆様方の忌憚のないご意見をたまわって、全体としての提案が出来ればと思っている。よろしくお願い申し上げます。


会議の概要


【主な発言要旨】

事務局:

資料の確認。

委員長:

本日は議題が2点ほどある。1つ目は検討委員会の運営についてであり、事務局の方からご説明をいただきたい。

事務局:

検討委員会の運営説明(資料−2参照)。


検討委員会の設置要綱(案)、検討スケジュールについて。

委員長:

年、3回ぐらいをベースにこの検討を続けたいというご提案であったが、検討委員会の運営についてご意見、ご質問等、ございますでしょうか。


(委員了解)

委 員:

私は、「21世紀にふさわしい公園づくり検討委員会」の委員長を引き受けさせていただいている。「21世紀にふさわしい公園づくり検討委員会」は、平成16年5月に開催された懇話会の結論を得て、平成16年11月2日に委員会が設置され、第4回、平成17年11月18日に至るまで議論を重ねており、現在も検討の最中ということである。博覧会が開催する以前にこの委員会がスタートしたという事情もあり、公園計画については、博覧会の状況をにらみながら、その方向を見定めるべきであるという各委員のご意見を承りながら、平成17年2月の第2回委員会でゾーニングの検討を致しました折に、博覧会の理念を継承してふさわしいエリアとする「イデアのひろば」を設けるべきであるというご意見をいただいた。そして、さらに、公園全体のコンセプトを、32年間にわたる青少年公園の歴史に配慮しつつも、持続可能性のある社会を県民と共に構築していくような公園づくりを図るべきであるという結論を得た。


その後、さまざまに議論をいたして参ったところであるが、予想を上回る県民のご関心というものを受け、「イデアのひろば」にいかに博覧会の理念を継承し発展をさせていくかということが、大きな課題であると考えていた矢先、こうした委員会を設置していただいたことについては、「21世紀にふさわしい公園づくり検討委員会」の委員長としても大変、感謝を申し上げるところである。


青少年公園の第5回委員会を、平成18年1月12日に予定をしている。これまでの検討してきた方向と「イデアのひろば」における博覧会理念の継承のあり方というものについて、この委員会での議論を参考にさせていただければ大変ありがたいと考えている。

委員長:

21世紀にふさわしい公園づくり委員会で今まで検討をいただいている公園全体構想と、いい形で連携を取りながら、両委員会のまとめが進んでいければと思っている。


議題の第2点目の計画の前提となる新公園計画の検討状況、博覧会の理念と成果の継承について事務局より説明していただく。

事務局:

パワーポイントによる説明(資料3)

委員長:

博覧会の理念、成果をこの公園でどのように継承していくかということについて、ご議論を賜りたい。第1回目の委員会でもあるので、ご自由にご意見を賜ればと思っている。

委 員:

博覧会協会の理念継承の議論と、この委員会の議論が、うまくすり合う必要がある。


青少年公園の持っているパワーというものがなければ、今度の博覧会の成功に結びつかなかったのではないかと思っており、「イデアのひろば」は博覧会の理念と成果を継承する重要な場所として、後世の人達に評価を受けるようなものにすべきである。


提案の1つ目として、「理念と成果の継承」を体現した、新しい公園の名称を定めていただきたい。これは、事務局の方から、公募をしているとのことである。この公園は、「サスティナブル・パーク」としての新公園理念を体現する場所ということであるが、愛・地球博の開催記念公園としての位置づけをプラスさせた新しい名前がふさわしいのではと思う。これについては、名称の検討委員会で良い名前を作っていただきたい。


2つ目の提案として、愛・地球博の体験価値を継承する記念植樹を進めていただきたい。「グローバル・コモン」と「グローパル・ループ」が非常に多くの人達の共通体験になっている。コモンは撤去、ループの一部は残置されるとのことであるが、来場者の体験価値と共感を、公園事業の中にもっと再生する手だてというのがあるのではないか。記念植樹を「イデアのひろば」のロータリー館だけに集めるということではなくて、ネットワーク型公園整備事業として考えていく事が相応しい。例えば、グローバル・コモン1〜6のイメージを代表する樹木や草花を戦略的に植栽し、120を超える国や国際機関が参加した21世紀の新しい共有地としての博覧会の意義を植物を使って体験価値を再生し、そのことによって博覧会の理念、成果を時間の経緯と共に繰り返し体験してはどうか。どういう樹木や花が相応しいかは、公園全体の土地利用計画と整合性をもたせて検討していただきたい。


こいの池の南端に造成された観覧席は、愛・地球博の意義を象徴させる記念植樹空間として相応しいと思う。この場所は、センターゾーン、あるいは日本ゾーンに隣接していた場所であり、開催国日本、開催地愛知を象徴するメモリアルな緑化空間として検討していただけないか。それから、社叢学会が植林をした森に移植されているバイオラングの天空の杜やワンガリ・マータイ女史の記念樹などがあるが、こういったものを全体的にネットワークさせながら、「イデアのひろば」が記念植樹の情報拠点として総合的に位置づけられると、公園を歩くことも非常に楽しくなるのではないかと思う。


3つ目の提案は、市民参加のエネルギーを継承する「愛・地球市民センター」を構想したいということである。愛・地球博の最大の成果は市民参加のエネルギーが顕在化され、「地球市民の連帯」の輪というものが確認できたことである。「イデアのひろば」は、愛知県が世界との交流の武器、あるいは大きな地域発展のエネルギー、一つの活動のプラットフォームとして戦略的に展開していく場所として、一番相応しいと思う。どういうことをするかについては、さまざまな検討が必要であるが、愛・地球博に参加したさまざまなNGO、団体、個人等々が、継続的な情報・交流センター機能を強く要望されている。それは、愛・地球博の理念継承ということで、「持統可能な地球社会の創生」に向けた先端技術の適用、新たな社会行動やシステムの採用、多様な文化・価値の共有等について、グローバルなトレンドや実践を地球市民の視点で積極的に研究し情報発信する「対話と交流」の新しいプラットフォームとなる。東部丘陵地域に集積する大学研究機関の共同研究システムとして、また、ナショナル・センター的な位置づけとして「愛・地球市民センター」を設置し、市民参加による新しい社会づくりの活動を是非起こすべきではないか。


「愛・地球市民センター」は、中央棟の再生計画と一体的に進めることが、財政的な問題、運営管理上の問題等を含めて、極めて合理的である。周辺環境も含む中央棟の施設計画については、「自然の叡智」を体現した最先端の環境思想、あるいは技術プロジェクト等の導入が必要であり、さまざまな愛・地球博で試みられた活動がその中に加わることが重要である。単に、環境技術等の先端的な展示というより、情報、対話と交流を通じた新しい人間力といったものに基づく活動がよいと思う。


愛・地球博のメモリアル・デーとして「愛・地球の日」を制定し世界と継続的に連帯するという行動をこの場所で起こしたらどうかというのが第4の提案である。「愛・地球の日」については、開幕日の3月25日、アースデーの日、国連の地球環境デー、感動的な閉幕日の9月25日、あるいは、BIEが主張している国連の「持続可能な社会に向けた教育の10年」の活動に連携して設定すること等が考えられる。「イデアのひろば」は、「愛・地球の日」の戦略的な情報交流拠点として機能すると同時に、1年で最も輝かしい空間になると思う。


フェスティバルの内容については、今後、実行委員会的な形成が必要と思うが、「愛・地球市民センター」が中心となって国や愛知県や名古屋市、企業を巻き込んで、一つの大きなムーブメントを作れれば、1年に1回であるが、非常に大きな意義があると思う。

委 員:

私は、万博で一番印象に残っているのはフレンドシップ事業であり、その継承として、「地球大交流」、「人々とのつながり」を残すことが大切である。それは、人々の思い出とか、心の中に刻み込まれたいろんな人々との交流、そして、愛知万博を通じて非常に地球上の人々が身近なものとなったという感覚を、子ども達の世代に伝え、その子どもが大人になって、又次の世代に伝えていく、一つのストーリーになっているからだ。


「イデアのひろば」として残す時、メンテナンスフリーという考え方が一番に大事である。どの社会にでもサスティナブルであるということが、今、一番の課題となっており、それは、当たり前でもある。公園を整備、守っていく時においては、なるべくメンテナンスフリーで、なお且つ地元の方々が自分達で守っていくことと、自分達がこの公園とどういう関係を持てるのかということがとても大事だと思う。


フレンドシップのパーティーや、フレンドシップデイの時に、自分の地域と自分の国の旗と、そして、自分の関わった国とキッコロとモリゾーのフレンドシップピンというのが、すごく印象に残っている。ハリウッドには映画俳優が自分の手形を付けている地面に埋め込んであるプラックみたいなのがある。それをこのフレンドシップピンの形にして、グローバルループのようなものに設置すれば、県民みんなが、ここに来て、自分の関わった国との思い、そしてフレンドシップデイでの思いというのを、もう一度思い出したり見に来ることも出来るのではないか。中には、自分達の地域とどこかの国がフレンドシップ事業を行ったけれども、万博の終わった時に、市町村合併で一緒になってしまったので、自分の地域の名前はこのフレンドシップのピンでしか残っていない地域もあるので、彼らにとってみてもすごく大事な思い出になるのではないかと思う。


グローバルループの形の上で何か残ればいいかと思って、私は設計図面が描けないので、皆様に理解して頂くために、グローバルループを設計したチーフプロデューサーに図面(資料配付)を描いていただいた。「今回の愛知万博で残ったものは何」と言われた時に、一番のコアというのは、愛知県の誰もがどこかの国と関わることが出来、そして、なおかつ自分にとって世界が身近な所にあったという印象ではないかと思った。みんなに愛される青少年公園としては、みんなの思いがここで一体になってくれるような事業が開催されるようになればいいのではないかと思い提案した。

委 員:

検討委員会のスケジュール(資料2)の中に、「イデアのひろば」エリアの確認という言葉がある。そのエリアは果たしてこれでいいのか。公園づくり委員会で、いろいろと協議、検討された「イデアのひろば」のエリアは、もう、決定済みであるのか。

委員長:

大変重要なご意見である。「21世紀にふさわしい公園づくり委員会」とこの委員会は、どういう形で整合していけばいいのかという質問でもある。

事務局:

「イデアのひろば」の性格、方向性については、今月開催した第4回「21世紀にふさわしい公園づくり委員会」で、「万博の理念を継承するこの公園での核となる部分」という方向づけを確認させていただいた。「イデアのひろば」という名称は、将来的に使おうという意味ではなく、ご承知おき頂きたい。

委員長:

資料の中で黄色い色になっている「イデアのひろば」について、この位置で全体構想の中でエリア設定をされたものなのかどうか確認したい。

事務局:

場所としては、資料に示している黄色いエリアで確定をしている。ただし、この委員会での検討の進行によって、隣接する「エントランス」、「健康スポーツのひろば」との位置的な施設の取り合いとかが当然生じてくるので、その点については、「21世紀にふさわしい公園づくり委員会」との調整を図らせていただく。

委員長:

よろしいでしょうか。

委 員:

はい。私は、「イデアのひろば」のエリアを、グローバルハウスまで広げ、こいの池と、もう一つの池の二つの池を挟んだエリアに拡充してはどうかと考えている。グローバルハウスの後にプール、スケート場の復元計画があるようだが、プール、スケート場が必要だという考え方は古いと思う。しかも、近年のプール、スケート場の利用者の数は、年々減っている。プールやスケート場は名古屋市内にもあるし、民間でやっていただければ十分なことである。万博を象徴し記念する場において考えなければならないのは、歴史に耐えうるもの、そしてまた将来、永久に耐えうるものをつくっていくことだ。


今回の万博では、大きな成果がたくさんあった。その成果の一つに、交通基盤の整備がある。リニモを初め、東海環状、あるいは、伊勢湾岸道路、青少年公園を囲む高速自動車道は、非常に広域的に役立つものであり、日本の中央にある交通の利便性を生かしたものがほしいと思う。したがって、エリアは、やはり広い方がいいと思う。将来、50年、100年後においても、万博の理念を象徴する公園施設として注目され続けるものをつくる必要があると思う。


公園のすぐ近くに、科学技術交流センターの建設が計画されている。今回の愛知万博は、最先端の科学技術の最高の粋を集めた展開があったことから、この科学技術交流センターと連携の出来るものにしてはどうか。しかも、周辺には、十幾つの大学がある。産、学、行政、市民、みんなが一体となったものをつくっていく。


参加出展国の121ヶ国を代表するようなシンボル的な植物を植えることも大事だ。同時に又、日本全国、47都道府県の皆さんの協力も大きく、全国都道府県の県の木、県の花を計画的に配置していく。日本全国のどこの県民が来られても、「我が県の木、花がある」ことが素晴らしいと思う。それも、各47都道府県に全部お願いをして、現地育ちのものを寄贈していただくとよい。

委 員:

「イデアのひろば」という名前は、仮の名称ということで了解した。これは一般の人には分かりづらい名前なので、もっとこなれた名前の方がいいのではないかと思っていた。


「イデアのひろば」のエリアを拡大するというのは、隣が「みんなのひろば」という、あまり性格的にはっきりしないゾーンだったら合体した方がパンチがあると思う。ただ、かつての青少年公園の機能を残せという方もたくさんおられると思う。僕は、「みんなのひろば」全部とは言わないが、かなりの部分まで万博というものを強調する空間として考えてもいいと思う。


メモリアルオブジェについて思い出したことがある。それは、戦争に行っているお父さんに家族が手紙を出す時に、字が書けない子供は、小さな手の平に墨汁を塗って手形を押して、手紙を出したということである。戦地にいるお父さんは、何万字の手紙よりもその手形を見て、万感の思いにかられる。人の心を動かす情報というのは、アナログの部分であって、デジタルでは絶対に心は動かない典型だと思う。時代の思い出として、オブジェを見ることで、感動、思いに駆られる人はおられると思う。


来園対象を47都道府県まで広げるということは、ちょっと難しいと思う。来園の頼みはこの周辺の人達であり、その人達の思い出をどうするかである。万博に参加した人達というのは自分の歴史と重ね合わせて、初めて吸引力をもつ。来なかった人にはただの公園に過ぎない。だから、万博期間中に訪れてくれた人達にとってどれだけここが意味を持つかという方向で考えた方が良いと思う。


ネーミングでは、「愛・地球公園」というのが一番いいと思う。ただ、公募の中にないと困る。公募の中になくて、それでこれがいいなぁと決めたら大問題になる。「愛・地球公園」が、新聞の見出しとしては一番取りやすい。それは何にも言わなくても分かるということである。この委員会では、サスティナブルとか使ってもいいと思うが、外に向かってはこなれてない言葉なので、日本語で市民の方には語りかけた方がよい。



愛・地球博のメモリアルデーについて、英語国だと戦没者記念の日、追悼の日となる。メモリアルというのは、普通は死んだ人を偲ぶということ、メモリアルパークというのは、墓地のことである。言葉としては、記念するという意味もあるが、慣用語でメモリアルというのは、いつも墓地と絡んだ、死んだ人と絡んで使われているのが実態なので、表現していく用語というのは、なるべく日本語の方がいいと思う。


リニモの利用向上策としては、日立かトヨタに頼んで、この広場にまず、3ヶ月間暫定的に有料で、もう一回開いてもらうと満員になると思う。ある程度、余韻が漂っている間は、ビジネスとして割り切って、たくさんの人達が来て、それで、余韻をどうやったら定着できるだろうかという手法をとってもいいのではと思う。「万博に行くと、おもしろいぞ」と焦燥感に駆られて行って、見られなかった人がかなりいる。その人達に、もう一回満足を与える。それで、何度も行くことによって、初めて理念の素晴らしさというのが出てくるのではと思う。

委 員:

「イデアのひろば」とは、博覧会記念館をつくることではなく、博覧会の資産を継承していくということを考える場所であると思う。世界との交流の大前提として、この地域が、博覧会の理念にふさわしい持続可能な地域として、モデルとして育っていく、それがあって初めて全国に発信ができる。魅力のない所には誰も来ない。この地域が変わる、そのシンボルとしての公園づくりだと私は思っている。さらに、そのシンボルとして、「イデアのひろば」がある。その中でも大事な事は、近隣市町村や博覧会でできたインフラの活用を含めた公園づくりを行っていくということ。さらにそのシンボルとして、集客もイメージしたものでなければいけないと思うが、博覧会の記念館、博覧会というイベントの再現をするのではない、ということである。



エキスポの理念で持続可能、持続的な発展という言い方を、公園に置き換えると、成長する公園、しかもそれは、この地域の構成員と共につくっていく公園である。それは何かというと、ムーブメントをつくるしかないだろうと思う。そういう意味では、使われる公園と、担う人達がいる公園がポイントとなる。博覧会では、作り手でもあり、来場者でもあるという混然一体とした関係をつくった。それに、経済も関係してくるが、すごく維持経費がかかるのはまずい。結構、市民参加というのは、初期段階として金がかかる。いずれにしても県がやる事業として、持続可能な地域モデルになるようなものにしたいと思う。



迎賓館の南の法面に2004年の工事中に、地元企業と市民団体800人が800本の木を植えている。これは、博覧会を担うという側の市民がいるというシンボルだったし、もう一つは、博覧会が終わった後、この公園になるということを前提に、地域の公園として地域が担っていくシンボルとしてやってきたものである。そういうものを生かしていただけたらいいなと思う。ムーブメントとするためには、それぞれが自立していなければいけないし、その人達がいかに関係を結ぶとかという、結び方、システムがすごく大事である。

委 員:

神田知事の2期目だったと思うが、教育新生というのを打ち出し、知事部局で取り組みをした。識者の方にもいろいろご意見をいただいていた時に、例えば、生命を大事にすると言っても、道徳教育でなかなか子供達にはその情報、教えは伝わりそうにない。本当に子ども達に実感として生命の大事さを知らせるためには、生き物とは何か、生物の多様性とは何か、その中に人間がいる、人間もいろいろいる、いろんな民族がいて、発達をしている国もあれば、貧しい国もある、国の中にコミュニティもあり、地域社会もあり、家庭もある、人々がその中で職業をもち、大人になる、生活をしている、ということを総合的に教えないと浸透しないことを痛感した。



私は、これからの子ども達に必要な教育というものの非常に重要な部分を万博が担ったと思っている。子どもに生命の大事さにかかわる体験をもってもらうことや、地域コミュニティの中で付き合うことばかりじゃなくて、全く違った異国の人、例えば未開の国の少年、少女と触れ合うようなことについて体験を持ってもらうのは、大変な社会力となる。そういう場を、これからつくっていかなければいけないと思っており、万博の場がそうであった。万博の後で、継承するものとして、子ども達に命を大切にすることや社会性を教えていくことが出来れば、教育にかかわる課題に対して答えていくことになるのではないか。


愛・地球博は、大変、間伐材にこだわった。今後、もし何か建物が必要とかということになれば、あるいは建物以外の場合でもだが、徹底的に、例えば、間伐材にこだわってはどうか。これは、愛・地球博の理念の継承につながっていくし、メモリアルでもある。

委員長:

ご欠席委員から資料を頂いているのでご紹介いただきたい。

事務局:

お一人目の委員からは、環境先進県を実体験できるものとして、小中学生が1泊して、公園全体で環境学習などができる宿泊施設があるとよい、というご意見や、環境の先端技術を紹介、展示する施設を設けるといった場合には、技術の進歩が激しいために展示運営方法に工夫が必要である、というご意見をいただいている。



お二人目の委員からは、博覧会のフレンドシップ事業により、市町にとって各国と直接交流が出来たことは、非常に良い経験となったことや、留学生や海外の勤労者の運動会など交流の場として活用していきたい、というご意見をいただいている。

委員長:

リニモを今後どうやって生かすのかについて考えていかなければいけない。もう一度、一般的な公園として持ってきたら、リピーターも含めて、来なければ意味がないであろうということも考えられるので、非常にこれは難しい設定ではないか。



大きな建物の記念館的なものよりは、一緒に行った子ども達や、その子どもが大きくなって自分の子どもを連れて行き、そこで自然に触れ合えるような場がモニュメント的なものを含めて残ればと思う。維持管理がかかるようなものは無理ではないかと思う。また、海外から万博に来られた人や留学生の人々が、「うちの国が出たんだよね」として、そこはどこであろうか、というように訪ねて行けるようなことも重要な記念となる。



万博では、素晴らしい技術が提示されたが、この科学技術についてこれから10年、20年もっていくとは思っていない。それは、別な所で活かしていくとよいと思う。



今日の皆さんのご意見を参考にしながら考え方をまとめていきたい。あまり拙速に、何らかの方向を出しながらいくというのは、悔いが残る。長く残していく、みんなが訪ねる公園にしなければいけない。独り言であるが、愛・地球公園というのは、大変いい名前だと思う。

委 員:

私は、万博記念館は必要だと思うが、外国からいただいたものをずっと並べてもあまり人々は来ないと思う。万博に来ていない人であれば、興味があるだろうが、万博に何回も行った人達はもう全部見ている。ですから、万博記念館であると同時に、一目見て「あぁ、これが愛知万博の記念館だ」という、シンボリックなものをつくって、永久に記憶に残し語り継ぐということが必要だと思う。

委 員:

万博共通の歴史の共有、万博と言えば「あぁ、あれだ」というのが、潜在需要としてあるので、例えばこの万博を記念する何か、万博記念ホールのようなものがあってもよいと思う。



1600万人が海外に行って、海外情報もいっぱいある今に、どうして万博なんだというのが、多くの人にあったと思う。でも、予想を大きく裏切って、ものすごい人気があったというのは、ずっとみんなと一緒に何かをする事を忘れていた多くの人達が、大体、グループで来ているところに要因がある。旅行する場合でも、どこへ行くかが大事じゃなくて、誰と行くかが最も大事なところと同じである。今、個の時代とかいわれているが、実は、物(ブツ)によって、バラバラになったのが日本の個の時代で、思想的根拠のないものではないか。



万博に行って一番不思議だったのは、炎天下で、3時間、4時間待ちの人達が延々と待っているが、怒っている人がいないことである。並びながら、みんな友達になってくる。みんなと歴史を共有する楽しさが、万博が成功した一番の素朴な起爆剤であったという気がする。そうすると万博を記念したホールみたいなもの、みんなで同窓会でも出来るとか、みんなと一緒にできるようなというものがいいと思う。

委員長:
今日は、初回の委員会であったが、非常に貴重な意見をいただいた。どうも、ありがとうございます。これは、楽しみでもあり、今後、ここで何か提案をやるのも大変だと思うが、いい意見をいただきながら、取りまとめていきたい。

事務局:
長時間にわたり、多くの貴重なご意見をいただきありがとうございました。


次回委員会は、12月21日、午後4時から名古屋国際センターで開催させていただきますので、よろしくお願いいたします。


本日は、本当にご熱心に、また、非常に、大変貴重なご意見をいただきました。私共、これを参考にしまして、より良い公園づくりのため頑張ってまいりたいと思います。また、次回は、年末ということで、大変お忙しいことになりますけれども、よろしくお願いいたします。


本日は、本当にありがとうございました。