第3回「愛・地球博 理念継承エリア検討委員会」委員発言要旨



(文責事務局)
平野委員長 あいさつ

第1回、第2回の委員会では、このエリアを大きく2つのゾーンに分け、1つは交流や環境をテーマに博覧会の理念・成果を継承するゾーン、もう1つは博覧会の記念ゾーン、という2つの大きな視点から考えてよいのではないかという議論をした。
テーマゾーンを展開していく方向としては、交流と環境の両面からこのエリアを位置づけていったらどうかという意見であった。交流の面からは、世界や世代間にまたがり継続的な交流を通して人と人がつながりを再認識する位置づけ、環境の面からは、未来をになう子供達がそれぞれ自然に学び、自然の仕組みや素晴らしさを理解し感動する、そういう場からの生命の大切さを理解していくという位置づけである。
本日はこの視点に立ち、事務局が、これまでの委員の方々の意見を整理し、ゾーン区分を含めて全体が捉えられる提案を準備しているので、それを基にしながらご意見をたまわりたい。


会議の概要


【主な発言要旨】

事務局:

資料の確認。

委員長:

事務局より1つ目の議題「愛・地球博の理念と成果の継承について」の説明をお願いしたい。

事務局:

博覧会協会においても委員会を設けて博覧会の理念と成果の継承について議論が進んでおり、博覧会協会は博覧会開催の当事者として、理念や成果の継承については特に深い思いをお持ちである協会より理念・成果の継承について意見をいただきたいと考えていたところ、協会からも当委員会への出席希望があり、これまで県の委員会にオブザーバーとして出席いただいていた博覧会協会施設撤去管理室長より協会を代表してご意見をいただけることとなった。

協 会:

今までは、21世紀の公園づくりの委員会とこの理念継承エリアの委員会にもオブザーバーとして出席しているが、発言の場をいただけるということで、博覧会協会として、理念継承するエリアで何を期待しているのか、博覧会協会の職員の意向という意味で意見を聞いていただきたい。



21世紀にふさわしい公園づくり委員会で、「愛・地球博記念公園」という新しい名称が決定し、公園全体でこれから「愛・地球博」を記念する公園づくりをしていく中で、博覧会の理念と成果の継承の場と性格づけられている「イデアのひろば」に課されている役割は、非常に大きいと思う。この名前にふさわしい、誰の目から見ても、博覧会の理念と成果が継承されているとわかる公園になってもらいたい。


「イデアのひろば」に課せられている役割は、大きく分けると2つあると考えている。一つは、博覧会の理念の継承、もう一つは博覧会の成果の継承だと思う。自然の叡智というテーマで開催された愛・地球博と、21世紀にふさわしい公園のあり方の理念が、それほどずれることはない。よって21世紀にふさわしい公園の姿を追い求めていけば、愛・地球博の自然の叡智というテーマを引き継ぐ公園になると思う。もう一方の成果の継承については、博覧会に主体的に関わってきた人間からすると、もう一歩ふみこんで、がんばっていただきたい。



博覧会の2205万人のお客様たちがこの博覧会に対して愛情、愛着、感謝の気持ちを持つに至ったことが、この博覧会の成果そのものではないかと思う。その成果をどのように表していくのか。結果的に言うと、どんな形でも構わないが、この公園にこれから訪れる方々がそれを一目見て博覧会がここであったと、記憶を彷彿とさせるような広場なり、環境デザインなりにしてもらいたいと思う。博覧会の理念とか成果を継承し皆さんの記憶にとどまるような、モニュメンタルなあるいはシンボリックな大きなもの、例えば大阪万博の太陽の塔みたいなものが残ってくれたらいいという気持ちもあったが、必ずしも実際にあったものだけではなく、何か新しい広場なり、造形デザインでもよいが、一目でこの博覧会があったこと、そこで2205万人のお客さんがみんな集って共有する素晴らしい時間があったことを思い起こしてくれる広場にして欲しい。


それが具体的にどのような形か分からないが、その種は、博覧会の中で多くの方々が、自然の叡智を訴えるツールという意味で、いろいろなことをされたことだと思う。そういうものをつぶさに見て、この広場がこれから未来永劫訪れる人にとって、博覧会の記憶を呼び覚ますような広場になって欲しいと思う。

委員長:

今お話があったようなことは、これまでの委員会の中で想定に入れながら、議論が進んできたと思っている。


次に2つ目の議題「愛・地球博記念公園の名称決定と暫定基本計画」について、事務局から説明をお願いする。

事務局:

先日行われた第5回「21世紀にふさわしい公園づくり委員会」において、新公園の名称「愛・地球博記念公園」、愛称「モリコロパーク」が決定された。この名称は、県民の応募から最も多かったものが選ばれたものである。併せてその委員会で、「イデアのひろば」を除く公園の暫定基本計画をまとめられたので、今回、参考として配布した。この委員会で「イデアのひろば」の計画がまとまった後、この暫定計画に加えて調整し、正式な公園計画としたいと考えている。

委員長:

よい名前に決まったと思う。


3番目のテーマである「愛・地球博記念公園」における、温水プールとアイススケート場の再開について事務局から説明をお願いする。

事務局:

これまでの委員会の中で、博覧会の理念と成果を継承するエリアは「イデアのひろば」だけでなく、プール、スケート場のエリアまで拡大しては、という意見があったので、愛知県として新公園でのプールとスケート場をどのように再開する方針なのかを示す。


温水プールは、愛・地球博の開催のため、平成14年の4月に使用を休止したが、オープンから約8年間の利用状況は年間約10万人以上であり園内施設の中で1位を占めるほど利用者が多く人気が高かった。また本公園の近くには、流水プール、造波プール、スライダー、ジャグジーなどを備えた室内レジャー型の温水プールがないのが現状である。


アイススケート場は、過去の利用状況は、温水プールに次いで人気が高かった施設である。アイスホッケーの試合が可能な広さを有し通年営業も行っているアイススケート場は、県内でも数えるほどしかない状況である。博覧会開催期間中には、それまで利用して頂いていた団体は、遠くの別の施設まで足を運ばざるを得なくなり、不満の声もあり、博覧会開催により施設を休止する際に、県スケート連盟などの団体を中心とした利用者から、代替施設の確保と施設の早期開園の請願書が提出されている。



プール・スケート場の一体的な運用について、スケート場のリンクを凍らせるためにガスエンジン冷凍機を駆動させ、その際発生する熱エネルギーについて温水プールの水を温めることに利用するという、効率の良い一体的な運用を行っている。


以上の過去の高い使用実績、周辺の代替施設の不足、再開ニーズの高さ、プールとスケート場の一体的運用、の理由から、温水プールとアイススケート場ともに、愛・地球博記念公園再開に伴い、従前の場所で再開をしたいと考えている。

委員長:

今のご説明で、ご理解いただけたか。

委 員:

「イデアのひろば」が後世において、成功した愛知万博の理念と成果を継承する場所であり、5ヘクタールにとどまらず、蓮池、コイの池を含めた全体で考えた方がいいという主旨で提案した。「イデアのひろば」に何ができるにしろ、プール、スケート場の建造物が合わないと考えた。しかしこれは私見であり、プール、スケート場については他にも民営化などの意見持っているので、別の機会に論議をしたい。

委員長:

運用等については、別の形で県全体として検討いただくことで、ここでは公園全体の中における、この継承エリアについて中心的に議論を進めていきたい。



4つ目の議題「テーマゾーン展開内容の検討」について、これまでの経緯を踏まえ、事務局からの検討結果をご紹介いただきたい。

事務局:

資料説明。

委員長:

これまでの意見等を取りまとめ、具体的な展開案として2案が示され、この提案を基にして本日の議論を続けたい。この展開の案等について、事務局の考え方、希望があれば説明をいただきたい。

事務局:

2案を示したが、どちらか1案に決めるとか、各案の展開内容に固執するということではない。たとえば、別のテーマ要素を組み合わせたり、別に新しいこんな要素があるなどのご意見をいただきたい。

委員長:

全体像として大きく2つに分けたらこういう考え方があるという説明である。違う要素を組みこむということは考えられる。


委員から「呼吸する有機的空間」という資料が配布されている。これは多目的多用途の空間をなす施設のモデルと思うが、まずそれについての意見をいただきたい。

委 員:

ロハスという「健康な暮らし、自然環境への配慮、五感をみがく、それと古いものと新しいものの文脈を意識する、繋がりを意識する、そのことによる持続可能な地球環境と経済」という考え方がある。また名古屋商工会議所主催の「ものづくりランドシンフォニア」で、自然に学ぶものづくりというテーマを提案した。我々はこの博覧会の中で、ロハスな生き方のモデルとしての多参画型社会や、共に生きていくことを再構築させた。


博覧会で、建築技術として世界に初めてのものが46個ある。そのほとんどのテーマは自然と呼吸しあうことと、バイオミメティックスという新しい生物模倣技術、生き物に学ぶ環境共生技術の提案であった。



この場所の5ヘクタ−ルが狭いという指摘があったが、エコロジカル・フットプリントという調査において、日本人は一人当たり約4.3ヘクタールが必要という結果がある。世界平均が2.2ヘクタール、アメリカは9.2ヘクタールであり、このまま日本人や世界中の人達が同じ生活を続ければ、地球が16個必要となる。その日本の4.3ヘクタールという数字が象徴的であると感じた。



我々の考える未来の仕組みは、たぶん県民、国民、市民、あるいは大学や様々な法人が細胞になって葉脈を形成して有機的に展開をしていくような社会を発生するべきであり、博覧会はまさにそのテーマで貫かれていた。様々な技術を考えて地球上のエネルギーを循環し、最大化するというような象徴的な建築物、構築物があってもいいと思う。それがポンチ絵としてこういう形になる。


5ヘクタールの地域は斜面地がほとんどで、この斜面をいかにランドスケープ的に公園施設として活用するかが大きな課題である。


公園内の機能は、今までは小さな引き出しの箱ものにして、主要目的限定型にする考え方であった。そういう考え方は、未来に対して非常にインパクトが少ないと考えている。この場は、リニモの乗降客の増加や、この公園の利用の活性化という、様々なニーズに様々に自由に対応できるような薄い膜に全体がおおわれた空間が望ましいと思う。この膜に様々な機能を持たすのが世界の建築の傾向であり、非常に増えている。博覧会で生まれた技術は世界に対してリードできる環境共生技術であり、これをものづくりの上にいい形で投影することにより、わが国が産業技術のリード役であることや自然に学び自然と共生していく方向を、明確に象徴的に表現できると考えている。また斜面や段差の活用や、県産材の集成材を活用する提案である。



形にこだわるのではなく、一見して博覧会の成果、理念が印象づけられるということが非常に重要である。これからの国際的な観光、交流、技術のリード、子どもたちの教育について、国際性と未来性と交流性が担保されるべきであると考える。


この案の問題は、整備費やメンテナンス費がどのぐらいかかるかである。これは一気に実現するのではなく、一部を実現させ、あとは徐々に透過性太陽電池などの機能を10年ぐらいの計画の中でエクステンションしていく考え方もある。

事務局:

一番重要なポイントは、自然の叡智、自然に学ぶ物づくりを、「イデアのひろば」に実現して、国際的にも未来的にも、インパクトを与えるような印象深い、博覧会をもう一度想起させるようなイメージのある空間を作るということである。

委員長:

都合で出席できない二人の委員の意見を事務局から説明いただきたい。

事務局:

欠席委員からは、単なるものづくりや祭りではなく、環境を掲げたイベントや会議などを行って、博覧会のテーマである環境と国際交流が継続できる仕掛けを考えては、という意見と、具体化の早い段階からNPOやNGOの参画を得て議論をしたほうが、整備や運営にあたり、より実現性、継続性の高いものとなるのではないか、との意見をいただいている。案1については、子どもの興味を引くと思われ、交流の面でも良いものである。案2については、ロボットの展示やイベントなどは企業の協力が難しいと思うが、大学や工業高校などとの連携があればおもしろい、という意見をいただいた。


また、建物などは必要なく、公園内の他の施設を利用すればよいし、あっても最小限の大きさとして、なるべく費用はイベントなどに重点的に投資したほうが良い、他にテーマ展開は子ども中心ではなく、シニア世代も楽しめるプログラムが必要である、よく似たテーマ展開のため、提案の2案にこだわる必要はなく、A(国際交流)とB(地球を愛する)とD(生物模倣)でもおもしろい、との意見をいただいた。

委員長:

欠席の委員からの意見のように、この1、2案の、どちらかにするのではなく、このコンセプトをいい形で融合できれば、という意見は当然のことと理解します。

委 員:

第1回の委員会の時に提案したものが形になってきて非常にうれしい。ただ、重要なポイントについて言うと、強調するポイント、何が大切なのかということついては、この委員会で確認をし、具体的なアイディアは、また次の色々なステップ、例えば公募や世界的な提案競技で知恵を集めるということがありうるのではないか。何事をやるにしても経済効率性、エコノミックなパフォーマンスが必要になるわけで、事業化の方向性については、今後十分検討する必要がある。


博覧会の記憶という中で、自然の叡智ということは非常に大事だとは思うが、地球市民の連帯感が博覧会の中の非常に大きな気運だった。それが、一つの記憶としてどう表現、再現されるのか。博覧会という巨大なイベントで実現できたことを、これからも持続可能なまさに日常のシステムとして、生産として、空間として、公園として、できていくのかが非常に重要であると思う。地球市民の連帯の記憶の中にあるものを再現できるようにするターゲットとしては、「3世代」なのではないかと思う。ボランティア、子供達の校外学習もそうだが、博覧会の中にあった雰囲気は、ふだんの生活や町の中で見られない3世代の交流、3世代の連帯を作り出していたと思う。3世代がここを使う、参加できる、交流する、そういう場所を、ぜひ実現すべきである。その象徴がモリゾーとキッコロであった。そういう一種のファンタジーみたいなものをうまく社会システムと地域活性化の仕組みの中に日常的に再現していくところに知恵が要ると思う。



市民参加を積極的に取り入れ、その部分を非常に骨太に作る。例えば行政からすれば、市民参加は危なっかしいと思われがちだが、愛・地球博における市民参加の大きな成果は、大きな社会的パワーとして認知されたと思う。そういう意味で、本計画では、市民参加を骨格化させて、持続化するようなものにすべきである。


海上の森との役割分担が必要である。海上の森も、大きな活動の拠点として今後発展していくので、里山交流と森づくりという活動と役割分担を明確に持つ。この記念公園では、地球市民の連帯が、具体的な空間や事業として表現できるようになって欲しい。


一つ、明快な「愛・地球博の日」のようなお祭りを定めて欲しい。そのお祭りの拠点、シンボリックな場所になるという位置づけも、はっきりさせたい。



市民参加の部分が生きてくる、記憶の部分を構造化する、年に一度のお祭りを設ける、という点をこの委員会で提言していただきたい。

委 員:

提案は膨大なお金がかかる。あまり高いものを作らないとかメンテナンスをなるべく安くするという意見があるので、非常に大きなものを作ると当然メンテナンスもかかるであろう。そういうものが本当に可能だろうか。



お祭りがあるとよい。万博記念でやれば、リニモでの利用者も増える。そのために平たい場所も相当残しておくべきである。



各国の出展メモリーを残してもらいたい。いろいろな国が112ヶ国、またそういう機関が出展したことを銅版に残したり世界地図の中で指示するなどして、いつ何をしてだれに協力をしていただいたか、感謝の気持ちを込めて表示すべき。

委 員:

私の提案は、一つの象徴的なものを具体的にするためにはこういう考え方もある、ということ。地球市民としての連帯感がここで非常に重要なことである。それと併せて様々な参加ということがあった。


「21世紀の公園を考える委員会」で公園マネジメント会議を作り、この公園で積極的に県民参加をやろう、熟度を上げていこうとしている。そして地球的な市民の連帯感を醸成するためのしつらえや仕掛けが、一体どういうものなのかが非常に問われると思う。その一つの方法が、一つの大きな定例的な国際的イベントである。それをどういう受け皿で、どういうふうに象徴的にやっていけるのか。参加性を高めるだけのしつらえが問われる。その一つのアイディアとして、私の案も提示した。その検討がこれから重要である。

委 員:

資料の5ページの、全体のテーマゾーン展開の流れで、交流と環境という大きな軸を作ったのはすごくいいが、環境に対しての捉え方自体が狭い。博覧会の理念で言うと、持続可能性というところに置くべきであり、最後のアウトプットが不自然である。



環境というものを「自然と技術」としても、「自然」については、環境教育まで視野に入れて、例えば持続可能な開発のための教育の10年(ESD)にまで普遍的に広げていくような努力が必要である。また技術も「ものづくり」から入っているので、先端技術になってしまうが、先端技術は悪くいうと末端技術になりかねないので、もう少し包括的な技術として捉えるべきである。そしてロハスとのつながりも大事で、人と技術の関係、技術のコントロールというソフトの部分を入れ込むべきである。ハードとソフトのつながりが資料に一切書かれていないのが気になる。


来場者が一目見て博覧会の記憶を彷彿とさせるものは一体何かというと、「人」だったと思う。そして地球市民の連帯感だけでなく、何か共通体験をしたということであり、この共通体験が連帯感を生んでいる。これが博覧会の資産だろう。それは県民参加とか市民参加につながり、このムーブメントを維持していくことが連帯感の維持につながるものであり、このポテンシャルを公園づくりに利用したい。

委員長:

継続的に世界の人と手をつなぎ、地元を含め、世代をまたがった人との交流というのは、大変よく理解できるし最も重要視したい。議論の中で、イベント、あるいは祭りをやるのに栄の町でなくて、この公園の中でこそ達成できる仕掛けは何なのか、その公園としての設計は何であるか、これを提案すべきである。

委 員:

事務局の第1案、第2案、先程の委員からの案と3つの案とも、非常に素晴らしいと思う。ただ、万博というものは、情報を発信するのではなくして、むしろ情報を収集する催しであった。この公園でも情報発信よりも、実際に会場に多くの方が足を運んだという愛知県民の熱意と興味と一体感を大切にすることが必要である。また万博の理念と成果というものを全県民に広く知って理解してもらうためには市町村に出向いて行って、地域で市民交流やイベントをやることが必要だと思う。


県の第1案、第2案は、中味はいいが、ミックスしていいところをエッセンスとすればよい。興味があるのは委員の提案であるが、積雪、台風などに対する備えや気候の変化に対する点が心配である。また、段階的に10年かけてやればいいという意見だが、早くやったほうが良いと思う。


予算のことを考えると提案が難しくなるが、この場所で有益な万博の理念と成果を継承する良いものを作るのであるから、万博協会の収益金60億余を使わせて頂けると信じて、あまりお金のことを気にしすぎないで考えたほうが良い。

委 員:

今日提案した案をもう少し進めようとする際、愛知万博が何であったかということを思うと、人、団体、行政の活動の場だったと思う。目指すものが国際交流であったり、様々な環境問題への取り組みであった。環境問題は間口を広げて地球市民として考えるべきであり、人類として考えることを博覧会で行った。環境ばかりではなく人間同士が仲良くすること、いろんなことを含めていろんなことを人々がやった。そういう角度から博覧会を振り返り、将来に継続させるという意味で、ここで何ができるか整理をしてみることが大事であると思う。場合によってはアンケートも取ると、組み立てていくべき姿がよく見えて来ると思う。

委 員:

計画段階からいろんな人たちに担っていただく形でつくらないと意味がない。これに対して、いかにうまく状況を作っていくかということが大切であり、具体的な話はそこからいくらでも出てくるであろう。参加できる状況をどう作れるかだと思う。この委員会はその大きなフレームを作るだけとし、そのフレームの中に形の仕組みを是非入れていきたい。

委 員:
博覧会は日本全体と世界の人が参加したのだから、対象となる表現を県民や市民に限るのはよくない。


現在、成人教室が盛んであり、世界を知ることをテ−マとした交流講座を、普段の夏の夜に開催するなどして、お金のかからない形で人を集めリニモの利用者も増やす方法がある。

委 員:
一番重要視すべきことは、いかに参加のモチベーションを高めてそれを持続的なものにしていくのか、そして問題はその受け皿をどうするのかということである。


名古屋という業務商業圏の一方で豊田を含めたものづくりエリアの間にあるこの場所に、自然は無限の資源だとして取りつくし、砂防技術により森を回復させた自然と人間の葛藤の歴史の中でつながっている東部丘陵地域の緑がある。その緑がクロスオーバーする形で大学などの智の拠点ができている。そこに今回の博覧会の会場があったことの意義がいろんな人を感動させた。すなわち不幸な歴史もあったが、それを乗り越え前向きな一つのベクトルを発見して、自然の叡智、自然に学ぶというコンセプトを作り、そこに多くの人達が世界的な連帯感を持ち、世代や国境などのバリアを越えて参加して、モリゾーとキッコロという抽象的なものに感情移入されてうまく成功した場所である。この場所性を考えた時に、その場の特質によりうまく成立する作り方が問われている。この公園全体は、公園マネージメント会議で作り出そうとしており、このイデアの広場は、その象徴的な場所である。世界の人達があそこへ行ってみたいと思わせるような牽引力、魅力、誘引力のあるものを創りたい。その作り方として従来型のコンクリートではなく、今世界の中の傾向である柔らかい覆いで覆った何にでも使えるものがよい。地域の特性を際立たせていき、この場所で博覧会が行われたのはこういうことだったのかという気づきにつながっていけば良いと考えた。

委 員:
県立青少年公園だったのが、愛地球博記念公園になり、この公園の中で最も強く記念性を出す場所が「イデアのひろば」である。参加した人達の記念を残すメモリアルな部分は迎賓館・レセプションホール、ロータリー館跡地に集中的に表現するのがよい。


今までの博覧会は、太陽の塔のように何かすごいモニュメントを最初から作って、それをずっと残していた。しかし博覧会とは何だったのかということをもう一回集約することによって世界的な連帯のある空間に仕上げていくことが大事である。もちろんマネジメント会議に参加する人達は、ほとんどが愛知県民であり、長久手の人達が中心になるであろうが、「イデアのひろば」は、国や県の枠を超えた国際交流の場、地球市民の交流のステージとして、時間をかけて育てていく場所だろう。その為に重要なのは、わかりやすい空間造形や集う場をどう作るかである。そして誰もが参加できるイベントがいる。これらはセットである。そこのセットの関係をどう作れるか、そのリーダーシップを、県民っていう言葉で区切ってしまうと、どうしても弱くなってしまう。

委 員:
マネージメント会議は、現実的には地元の団体が中心になると思うが、博覧会を意識すると、博覧会に参加をした企業や、公式参加国と一緒に公園を作っていくコンセプトになる。それが情報の受発信機能を果たしていくだろう。日常的に皆さんも博覧会に参加したわけであるから、それに対して一緒にこれを作り上げて行くことが、年に一回集まるイベントになると思う。そういう意味ではマネージメント会議が国際的な情報の受発信機能を持ってないといけないし、何らかの組織がないと、これだけのことを仮にやろうとすると大変だろう。そうなってくれるといいと思う。

委 員:

迎賓館の造りは10年もたない。いつでも誰でも見られるように、銅や鉄、石でできているものは外に置いた方がよい。

委 員:

「イデアのひろば」に何か作るのであれば、誰もが万博という壮大なイメージを描いているので、「広いなあ、壮大だなあ」という印象を与える施設がよい。そして鯉の池、蓮池をイデアの広場のバックグラウンドとして有効に使うのが希望である。

委員長:

基本的な考え方として環境という意味が狭いという意見があった。環境というのは、よく口では言われながらも人とのインターフェイスという点では、常に弱く、環境技術の方に走りすぎているので、人の場に立った環境の見方をすべきである、という点を考慮し資料をまとめるとよい。


事務局が提案した5つの概念をある意味で融合させながら、建物やイベント、また定常的にパブリックの人が参加して活動できる場所を、理念継承の形で進めていくとどのような形態になるのかを考えていく。建物のデザインなどは後から色々と考えられるので、一番重要なのは、この中で展開する物について、どういう目安で進んでいけばいいかをパブリックからも意見を聞き、また今日の意見を参考にして、イメージをまとめていくとよい。


細かい金額までは無理であろうが、メンテナンスも含めたある程度の費用の目安を出して頂かないと、イメ−ジを出しにくい部分がある。


今日は、これまでのコンセプトに基づいてさらにもう一歩入った議論ができたと思う。次のステップでは、パブリックの方々からのご意見を聞ける範囲で聞いておおいに参考にしたい。概念や理念そのものは、これで共有できてきたと思う。

事務局:

今回の結果は、事務局にて整理し、県の公園緑地課のホームページにて公表する。


本日の議事内容は、「21世紀にふさわしい公園づくり委員会」に報告する。


次回第4回の委員会は、5月下旬頃を予定している。

事務局:

本日の意見を参考にして次回5月にステップアップした展開案を示す考えである。ありがとうございました。