第5回「愛・地球博 理念継承エリア検討委員会」委員発言要旨



(文責事務局)
平野委員長 あいさつ

万博後の公園も皆様方から大変関心を持っていただいているようだ。
第4回の委員会では、テーマゾーンについて、「交流」と「環境」ということで、「地球市民センター」「体験交流広場」「モニュメント広場」という3つのエリアを配置し、各エリアの相互関連を含めた機能を展開していく話をいただいた。
博覧会の理念を継承するイベントを行っていく場として、イデアのひろばの基本構想をとりまとめたところである。
本日は、委員の皆様から頂いた意見をもとに、事務局からさらに一歩進んだ基本計画案として、建物のイメージ等を出していく。
委員会があと1回であり、それは最後の確認であるので、基本的な内容は本日議論をしていただく。


会議の概要


【主な発言要旨】

事務局:

資料説明。

委員長:

ここで全体について意見があったらまず伺い、後に詳しい意見交換としたい。

委 員:

いくつかキーワードがあり、大変すぐれた案になったという印象である。



テーマについて環境が全面的に出ているが、その辺をしっかりコンセプチュアルに詰めておく必要がある。



環境への取り組みというのは、二つの側面がある。一つは自然の中のワンオブゼムとしての人間という立場、その次には人を中心にして、自然といかに関わっていくかという視点がある。



この対象地区は自然の中における人間生活のあり様という位置づけである。比較的都市的な空間で人が自然とどう関わっていくかが重要な視点である。



環境というテ−マが果たす役割は、人に主体を置きながら、よりよく自然と関わっていくことである。それを後々矛盾がないように考え方を柱立てる必要がある。



魅力的なメニューであるが、一方でリニモの将来、地域計画、都市計画上の位置づけなど具体的で現実的な問題があり、これらとこの案が等しく両輪となるべきである。



エデュティメントとして学びながら魅力ある施設など検討を深めていく必要がある。



世界も同じ傾向であり、英国のエデンプロジェクトもその一つで、かなり前向きな環境教育が行われている。



環境技術の先進国の中でも最先進県である愛知県として提案された施設についてエデュティメントの整備をどのように魅力づけるか、リニモの将来、また地域の将来に寄与していくかという視点が非常に大事である。



愛・地球博と県の公園施設の融合をどう計っていくかという課題がある。



県内又は広域のNPOと手を結ぶだけではなく、国内、或いは世界のNPOなどと将来手を結ぶ場所としてふさわしい施設になるよう計画を議論しておく必要がある。



エデュティメントは、大きな理念を継承しつつ楽しめる空間を造る上でも、参加性を高める上でも重要な観点になる。



先に挙げた3つの視点を総じて議論し、検討出来ればよいと思う。

委員長:

貴重なご指摘だと思われる。このあたりについても他の委員から意見をいただきながら議論したい。



その他の意見が今すぐなければ、本日、所用で欠席の4人の委員の意見も披露いただき、まとめて委員の皆さんから発言をいただきたい。

事務局:

基本的な内容については了解する。また地球市民交流センターについてはとてもよい案である。基本コンセプトは正しいが、集客するにはまじめな計画だけではだめなので、何か工夫が必要である。



「地球市民交流センター」のイメージはよい。B案の体育施設が中心にあるより、A案の方が交流性があってよい。また「地球市民交流センター」内では、人が賑わって集まってくるフリーマーケットや、博覧会でも人気であったEXPOエコマネーセンターなどの仕掛けを取り入れていくとよい。また民間企業から知恵を借りたり、アイデアを出してもらって運営をしてもらうなど、魅力のあるおもしろい空間となればよいと思う。「地球市民交流センター」はオープンな施設なので、冬寒い時の対策を考えることが必要である。同じく「イデアのひろば」だけでなく公園内の植樹は是非とも市民参加型で行って、みんなで公園をつくっていくという意識を持ち、公園への関心を高めることが必要である。



「地球市民交流センター」のデザイン形状については、自分のイメージしていたものとは少し相違がある。壁面緑化については賛成であるが、万博の「バイオラング」みたいな巨大なものでなく、小規模なもので良いと思う。また博覧会の環境技術には、他にもチタン屋根とか、雨水貯留、風力発電、ソーラーもあったので、そういったものもデザインに取り込むと良い。キッコロモリゾー人気にも寿命があるので、展示等において使用するときには、モリゾーキッコロー辺倒にならないよう配慮したほうがよい。

委員長:

ご欠席の委員からもこのような貴重なご意見をいただいた。



まじめな計画だけでなくエデュケーションとエンターテイメントをうまく組み入れて、理解を深めていくことが非常に重要な点である。



欠席委員のご指摘については、今までの博覧会の市民の方々との交流や、日本あるいはオールジャパンの、あるいは世界の中での位置付けや理念継承というのを公園施設の中で進めて検討していく必要があるという意見に一部関係する部分もある。



施設の形状については、デザインあるいは設計段階のところでも考えていく必要がある。



今日はご欠席の委員の発言も含めて、自由にご意見をいただきたい。

委 員:

イデアのひろばについては大変いい案が出てきている。



来園者は公園全体に来るわけで、イデアのひろばだけでなく、全体との整合性が必要であり、全体的にそういう万博の理念を継承した公園に将来なるといい。



その視点は、やはり環境を大事にし、全体に大交流が起きるようなものになるように、いろんな形の施設、ハード整備があるとよい。



イデアのひろばの地球市民交流センターについてもハード・ソフトの両面で機能していくべきである。



屋上緑化等が考えられているが、建物全体が緑地ネットワークに整合し、環境を大事にしていることが、平常時での色々な施設全体にも求められる。



いろんなイベントの案が出ていたが、環境にかなり特化していておもしろくない。環境だけで人が集まったり、集うというのはなかなか難しいので、涌井委員が言われたエデュティメントをしっかりと盛り込んだイベント及びエンターテイメント行事を行い、それらを通して環境あるいは大交流が行われるようにするといい。



NPOにこだわるのではなく、もう少し幅を広げて子供や学生など将来を担う子供たちが環境を体験し学べるというソフト面を地球市民交流センターで考えていく必要がある。



実際ハードはできたけれども、そこをうまく活用する企画やそれを実際実行していく人や組織が一体誰なのかを明確にする必要がある。



それを短期的な軌道に乗るまでのものと、将来的なロングランでのものを考えていかなければならない。この点はボランティアの方だけに任せていくのは難しい。



専門的に、常設的にこれらをきちっと行ってくれる人及び組織が必要になってくる。そうしないと、せっかくのイデアのひろば、あるいは全体の公園がうまく管理、運営していくことができないのではないか。

委員長:

大変重要なポイントを指摘いただいた。



ハード、ソフト両面で環境をどう建物に活かしていくか、運営面やソフトをどう責任をもって動かすかということが重要であり、また管理母体は県だとしても、企画、立案、運営をどういう母体で動かすかも非常に重要である。



建物は造ったけれどもうまく動かないという場合が時々あり、それはリニモを将来うまく使ってもらうことまで含め、エデュティメントという考え方を活かした企画、立案、運営母体を考えていくことが大変重要である。



この計画は市民の活動の場、環境配慮型のエネルギーシステムパワーの見本施設であり、環境問題等々を学ぶ場として、世界中の人たちが注目するものとしての情報発信をどう考えていくかというのが重要な視点である。



エネルギーや技術の面でいうと、万博で採用したものがこの計画の中で採用され、各種省エネ、環境配慮型のシステムを、どのように視覚的にわかりやすく展示をしていくかが課題である。



技術というのは日々進歩しており、いろいろな技術を、常に固定型ではなくて、進歩する展示方法として考えていくことが重要である。



エデンプロジェクトを学んでいくと、日本に合う形のもの、日本が学ぶものがある。また情報発信として施設の名前が持つ意味に大きな影響力があるため、万博の成果を継承していくこのエリアにふさわしく誰にでも分かりやすいネーミングについても検討が必要である。

委 員:

もともとこの公園は青少年公園であり、青少年が遊び、運動する公園であったが、万博を契機に博覧会の理念と成果を継承する機能が必要になった上、日本庭園はお年寄りの方、高齢者の方が集える場であり、今までの青少年のための公園ではなく、全ての県民、市民が集える公園となった。



テーマゾ−ンは北エントランスであるこの公園の正面玄関になるところであり、色々な目的で来た人々が集まる場所である。



子供、青年、高齢者までと、全て集まるような施設となることが重要であり、その点を考えながら、運営や施設の整備のあり方を、全ての県民にやさしい施設として担っていけるよう検討するべきである。

委 員:

記念ゾーンとテーマゾーンのハード整備スケジュールを教えていただきたい。

事務局:

事業スケジュールについては、今後具体的な規模が確定し設計の段階に入らないと確定できない。なるべく早くこの計画を実施実現していきたいと考えているが、今の時点では明確にできない状況である。

委 員:

タイムスケジュールが出ないと言いにくい部分もあるが、ハードの計画と同時に、地球市民交流センターをどう活用していくのかという企画運用関連の組織というものも、同時期的に作っていく必要がある。特に、その組織化は早く行う必要がある。



ハード整備のタイミングは手続き上の問題もあると思うが、記念事業の継承ということでこのエリアの整備をするわけであるから、人々の記憶、想い、感動が共有される賞味期限内に行うべきである。10年後にできることでは少し遅いのではないか。



2年後、3年後というのも無理であろうから、できれば愛・地球博の5年後、上海万博の開催される2010年に完成するとよい。



ハードの整備スケジュールはあるが、意味のある例えば5周年なら5周年というタイムターゲットを設定して努力をしていくことも必要ではないか。



2010年の完成に向けたこの5年間の有効的な進め方として、今年県が3月25日を県民の日としてメモリアル事業をやられているが、こういう記念日を県民の環境デーという形で、愛知県民の博覧会記念事業を毎年行ったり、その事業の企画や運営の中心にこの地球市民交流センターの企画運営チームが携わるなどの方法がある。



愛知県の公園ではあるが、国際的な視点や、愛・地球博の記念エリアであるということを考えると、全国的、あるいは国際的な視点でのイベントが欲しい。



9月に、1周年記念を万博協会が中心に行われるが、来年の9月25日の2周年は是非、この愛・地球博記念公園で記念事業をやっていただきたい。博覧会協会を継承する組織を中心に、愛知県、名古屋市、地元関係団体も協力した「愛・地球の日」としたい。



2010年までのハード整備の間、大きな一つの交流事業を計画することによって、この博覧会の理念等を未来的に体験交流できる場として計画してはどうか。



ゾーンを記念ゾーン、テーマゾーンと分けて考えていき、中をどうしていくか、具体的に建て屋をつくって運営をしていくのか、広場のままにしていくのか。これはこれからの検討だと思う。



2010年の地球市民交流センターの完成以降は、様々な環境関連、あるいは環境とアートの交流をするというような事業などを積極的に誘致したり、様々な企画、事業運営に結集する様々なNPO、NGOとの事業を積極的に誘致するなどの活動を計画していく必要がある。



ここは「モリコロパーク」であるから、モリコロはこの公園の一部であって欲しいと思うし、やはり環境にやさしい博覧会のイメージになったモリゾーとキッコロのキャラクター性に合ったグッズをきちんと作り、販売していくことが望ましく、モリコロを通じた形の交流がここでできるメッカであってほしいと思う。そのためにも博覧会協会の著作権問題等を含めて継承し、この公園、このテーマゾーンでモリゾーとキッコロのイメージというものを継承し継続される活動の場になって欲しい。



環境にやさしい商品を、モリコロ度1とか、モリコロ度2など、クオリティを持った方法で運営していったらどうかと思う。

委員長:

整備のスケジュールについては、ご理解をいただいたと思うが、国を含めた支援、県の予算など今後の展開や県議会等で県民の理解を得ながらすすめていくであろう。



皆さんの想いが冷えないようにイベント、ソフト面のきちんとした継続と共に、ハードがある時期にきちんと出来るとよい。2005年という5年後を目指すのは、ある一つの重要な区切りであり、記念的なものになる。



建物の設計、建設に入る時には主にどのようなことをやるのかを企画に関わる方々のご意見をいい形で反映すべきである。



早めにこの地球市民交流センターの企画運営組織の母体を、幅広い意見が聞けるような形で作っていただきたい。



イベントについては、組織委員会ができるとしたら、その運営組織が継承し、それぞれの立場で継続的に使える設備を考えてもらうなど、建物ができる前から関わってもらえるよう、委員会の提案として県の方に対応してもらいたい。

委 員:

2010年は上海博があり、CO2の6%削減の公約期間であり、まさにアジアに非常に関心が寄せられる年である。しかも愛・地球博が世界の博覧会のモデルになっているという国際的な評価の中で、2010年をターニングポイントとして戦略的分岐点として位置付けていく必要がある。



愛・地球博の市民参加、地球市民の参加の成果を具体化させていくために、様々な目的を持つNPOに、この施設ができてから参加を呼びかけていくのではなく、この施設を概成していくプロセスの中で、その方々と議論していき、ここで団結できることがよい。そういうNPO参加のモデルをもって国際的に発信していこうという気運ができることが、非常に大事である。



5年というのは長いようでいて、そんなに長くはない。今からそのプロセスをきちんと設計をしておくことが必要である。ハードだけではなくて、コアの組織を早めに県も関心を持って設立し、場合によれば愛・地球博の協会やその継承組織とも連携しながら考えていくのも、一つの観点なのではないか。



エデンプロジェクトは中世イタリアの数学者の植物の成長のプロセスを躯体のデザインに反映している。そしてその建設プロセスの間にも世界中から人に見に来ていただいている。つまり供用開始が始まりではなく、環境技術はプロセスであり成長していくものであるから、そこまでのプロセスそのものも一緒に共有してもらうことが一種の動態展示、動的なエデュティメント性を高める手立てになる。

委員長:

ソフト面とのいい連携としてハードの面も完成度を高めていきたいということは、各委員の共通の意見であり、同時に継続的なイベントを行い、5年後に向けた動きを早めに始めなければいけない。

委 員:

この場所は公園の玄関口であるから、がっかりするような施設では意味がない。愛・地球博の理念の玄関口なんだというところを見せられるよう、建物を見るだけで何か環境を感じるものがあり、建物内もイベント等の運営などを考えた上で、ソフトの発信があるものを考えていく必要がある。



愛・地球博記念館についても、一般的に記念館は来館者が少なくなっていくことに配慮した運営をすることが必要である。各国から贈られたよい物をどのように展示するか、見てもらうのかを考えた上で公園内の動線とつなぐことが必要である。

委員長:

建物とその中での物の扱いを含めて環境を感じられるような、環境にやさしいことを軸とした設計をしてもらいたい。



ここで何らかの形で楽しみながら学ぶことができるような、そういう感性に触れることができる場を運営企画として提供できる体制が必要である。



テーマゾーンの計画案としてA、Bの2案が提案されており、A案の考え方を今後の方向性をしたいという事務局からの提案であるが、よろしいか。



建物自身の形について、各委員からの意見ありましたところを十分に配慮した設計、技術でやっていただきたい。



記念館は、博覧会に関する展示だけでは来園者が1回見たら終わってしまう。常に、動的でダイナミックな多様な魅力がなければいけない。ここの記念館の機能も考えながら展示等の対応を考えて欲しい。



ソフト面について、県としての考えがあるのか。

事務局:

基本的にはこの施設はいろんな方に使っていただく施設であるため、まず関心を持ってもらいたいと考えている。今回委員会資料にも出しているように、博覧会に参加した団体の方にご意見を聞きながら常に関心を持っていただき、このプロジェクトに参加してもらえる気運を作るためにアンケート等を始めたところである。



ハードの面については、県の公園管理者として責任を持ってやっていくが、いろいろなソフトの発信というのは、なかなか公園管理者ではできない部分があり、博覧会の成果生かすための県民や世界中の団体と連携していく仕掛けが必要だと思っている。



地球市民交流センターに関心を持ち、使い方を一緒に考えて、意見を聞く場も設けながら進めていきたいと考えている。



ハードについても、人が自然とどう関わっていくかの一つの見本のような場にしたい。施設自体が情報発信をし、完成する前のつくる過程自体が動態展示という仕掛けづくり、それが市民に関心を持ってもらう仕掛けとなる整備を進めたい。

委員長:

ソフト面での企画運営の組織体に、いい形でハードの設計等と連携を取って欲しいというのが本委員会からの希望である。



入り口に魅力のあるものができ始めているなと、見てもらえるようにできるといい。またリニモに乗ってきてもらうことで、パブリックなトランスポーテーションが環境対策の一環であるということを理解してもらえるとよい。

委 員:

「イデアのひろば」というのは、正式名称なのか。

事務局:

「21世紀にふさわしい公園づくり委員会」が全体の公園の基本計画作成の中で、博覧会の理念を継承する拠点としてイデアのひろばという位置付けをしている。

委 員:

公園全体に魅力がないといけないが、とくにこのエリアは、従来の公園の考え方ではこれだけの構想は出てこないため、愛・地球博の理念をきちんと引き受け、愛知県が産業界と連携していくものであり、この委員会の意見を尊重しながら、全体計画の方にどのように波及し組み立てていくかが非常に大事だと思っている。

委員長:

この委員会での検討は全体構想とマッチングしなければならない。委員長である委員が加わっており、双方に連携をとった全体構想になったと思う。



基本的な方向、位置付け、考え方について事務局案の方向でよろしいか。

一 同:

異議なし。

委員長:

事務局案の方向で基本計画としてまとめていくことにする。



次回は、最終的な全体の結論的会議になるので、今日の貴重な提案や意見を参考にしながら事務局で具体計画に入り、次回委員会で報告をいただきたい。



これまで5回にわたり貴重なご意見をいただきありがとうございました。



いい形で、次の代にも、あるいは年寄りが喜んで行ける公園になるようにと思う。

事務局:

コンパクトにスムーズに、密度の濃い議論をしていただきありがとうございます。



本日も長時間にわたりありがとうございました。



今日の意見をベースにしまして、次回までに基本計画をとりまとめご報告する。



次回、第6回の委員会は12月頃に開催を予定している。



本日の委員会を終了します。ありがとうございました。

委員長:

どうもありがとうございました。