企業の介護アクション Student Report(学生レポート) 企業の介護アクション Student Report(学生レポート)

Student Report02:住友理工株式会社×介護の魅力ネットあいち 学生インタビュアーの写真

企業紹介

住友理工株式会社

自動車用、および産業用各種防振ゴム・ホースのメーカーとして世界23カ国で事業を展開する住友理工株式会社。グローバルで持続的に発展するため、「人・社会・地球の安全・快適・環境に貢献する企業」を目指し、積極的にCSR活動を推進しています。
観劇の機会が限られている障害者とその家族に向けた「さんさん出前劇場」の開催や、愛知県特別支援学校知的障害者教育校体育連盟が主催する「愛ぴっく」を支援。高齢者介護施設に入居する高齢者のおしゃれを演出する「ビューティーキャラバン」実施も「そのひとらしく」生きられる社会づくりを支援するダイバーシティ推進活動の一つ。これまで愛知県内の60施設、延べ1000人の施設で暮らす高齢者のみなさんが参加しています。

どんな介護アクションに取り組んでいますか?

ビューティーキャラバン

ビューティーキャラバン

ビューティーキャラバンとは、高齢者施設で暮らす高齢者のみなさんのおしゃれをお手伝いするボランティア活動。2008年からNPO法人全国福祉理美容師養成協会、金城学院大学との協働で、年5回開催しています。ビューティーキャラバン当日は、学生が参加者の希望を聞いて個性を活かした衣装コーディネートを担当。メイク、ヘアアレンジ、ネイルをプロの理美容師が行い、プロカメラマンが撮影。撮影された写真はポストカードにして贈られ、家族や友人に手紙として送ることもできます。

ビューティーキャラバンの流れ

ビューティーキャラバンの流れ ビューティーキャラバンの流れ

ビューティーキャラバンビフォーアフター

ビフォーアフター
ビフォーアフター

インタビュー

開催に至る経緯や支援の思いとは 開催に至る経緯や支援の思いとは

ー住友理工株式会社 CSR部さんのお話ー

 弊社ではさまざまな社会貢献活動を行っていますが、いずれも会社単体で行うのではなく、NPO、学生さん、地域住民らと協働で行っています。企業として利益を追求することはもちろん大切ですが、公益価値と両立していきたいという思いがあるからです。

 ビューティーキャラバンは、介護が必要な高齢者全体の生活の質(QOL)向上の足がかりとなることを目指しています。私たちも参加していて肌で感じるのは、高齢者のみなさんはもちろん学生さんもヘアメイクさんも皆がこの活動に参加することで喜んでおられて、やりがい、達成感を得ていらっしゃるということです。

 高齢者のみなさんも初めは遠慮していても、学生さんたちに「似合いますよー」と言われて楽しくなり、化粧をして綺麗になった後は急に表情が変わって言葉も多くなります。綺麗になることで気持ちが上向きになることに年齢は関係無いのだと感じています。

 課題は、希望施設が多すぎて全ての施設の要望に応えられていないこと。同じことをやらなくてもいいので、我々がこのような活動をしていることを広く知っていただいて、他の企業さんも高齢者施設や障害者の施設に働きかけをしていただき、社会全体で繋がっていく風潮を作ることが大事だと思います。もう一つの課題は社員一人ひとりの意識をどう高めていくかということです。社内に健康介護事業室がありますので、将来的には自社製品を使って、こうした社会貢献活動ができるようになればと思っています。

住友理工株式会社 CSR部 CSR部長 池田英仁さん、社会貢献室長 伊藤かおりさんの写真

ビューティーキャラバンに来てもらって ビューティーキャラバンに来てもらって

ーケアハウスシーダーヒルズさんのお話ー

 実は今年が2回目のエントリー。昨年は落選、今年やっとやっていただけることになりました。施設に入居していると単調な生活で、生きる元気を見失いがちです。家族と離れてここで生活されている高齢者のみなさんに、社会と触れ合うことで生活の中の変化を作ってあげたくて応募しました。

 私たちも日々、高齢者のみなさんに笑顔になってもらえるように頑張っていますが、これだけの人に相手にしてもらえる機会はなかなかありません。皆さん、すごくいい顔されていますよね。ビューティーキャラバンは見た目だけではなく、心も明るくしてくれていると思います。

 うちの入居者さん20人の平均年齢は90歳を超えています。介護はおむつを変えたり食事の準備をしたりすることも仕事ですが、今日の元気を提供するのも大切な仕事。高齢者のみなさんとコミュニケーションを取り、笑顔を共有し、あなたと会えて良かった、この施設に入って良かったと思ってもらえるよう毎日、頑張っています。楽しかったと思える瞬間をできるだけ多く味わってもらいたいので、今日は本当に大感激!100点の企画です。

 いろいろな職種の人や経験を持つ人たちがコラボレーションすることは魅力的なことなので、もっとこういう機会が広がってくれたらいいですね。僕たち職員にとっても笑顔のおすそ分けをもらっている気分です。こういう企画を通し、介護って面白い、この施設は面白いと思ってもらえたら介護の仕事の魅力にも繋がるのではないでしょうか。どんどん若い方もさまざまな分野の企業の方も福祉に関わっていただきたいと思います。

医療法人杉山会 ケアハウスシーダーヒルズ施設長 遠藤学さんの写真

ビューティーキャラバンを実施して ビューティーキャラバンを実施して

ー協働するNPO全国福祉理美容師養成協会
(ふくりび)さんのお話ー

 私たちはこれまでに10万人以上の高齢者へ美容支援を提供してきました。ビューティーキャラバンに参加しているスタッフは普段から介護施設などで訪問理美容を行っている理美容師です。

 ビューティーキャラバンは10年前に始まりました。活動中は、認知症や、耳が聞こえにくい方が多いのでコミュニケーションには工夫をしています。見た目を綺麗にして写真を撮ることが目的というよりは、いつもと違うハレの日を演出することで『楽しい、うれしい』という気持ちを引き出すことがメイン。おしゃれを楽しみ、メイクやネイルの色を選んでもらうことを通し、本人もご家族も施設の方もみんなハッピー!という時間や思い出を作り出したいと考えています。

 学生さん、そして企業も協働して行っていますが、一度でも介護現場での支援活動に参加する事で、ご家族に介護が必要になったとき相談できる場所も分かるようになるし、心構えもできます。企業においては、社会貢献という視点だけではなく、参加する社員自身の将来のためにも役立ちます。企業で働く人こそ、福祉の現場で若い人たちと一緒に体験をしていただきたい。

 活動に参加してくれる学生たちは福祉専攻ではありませんので、この活動がなければ高齢者施設での経験などせず就職していたでしょう。こういった経験をすれば、アパレルや他の業界に就職し、高齢者向けのサービス開発などを行うとき、今日の経験を生かせます。学生ボランティアを連れてくればいいということではなく、自分たちの専門分野と繋げてあげるようにすることが大切。彼女たちは自分が学んでいることなので自信を持って接することができ、役に立ったという実感、達成感があります。学生たちが持っているスキルを生かせる形で、福祉分野にフィードバックできるよう、また参加する者にとっても学びや気づきが深まるようにプログラムをデザインすることが重要だと考えています。

特定非営利活動法人全国福祉理美容師養成協会(NPOふくりび)理事長 赤木勝幸さん、事務局長 岩岡ひとみさんの写真

ビューティーキャラバンに参加した金城学院大学のみなさんに感想をお聞きしました! ビューティーキャラバンに参加した金城学院大学のみなさんに感想をお聞きしました!

今回の活動には金城学院大学生活環境学部環境デザイン学科の青山喜久子教授、平林由果教授のゼミ生15人(3年生)が、事前に高齢者との接し方を学んでから参加しました。高齢者施設に来るのは初めての学生がほとんど。着替えを介護職員に手伝ってもらう際には職員の手際の良さに驚き、企業がCSR活動で実際に高齢者との触れ合いを大切にしている現場を見て感激。終了後に活動の感想を聞きました。

生活環境学部環境デザイン学科 3年 加藤亜美さんの写真

 ここにある洋服の数は限られていますが、その中でも自分たちが選んだ服で高齢者のみなさんがきれいになったり格好良くなっているのを見て、やった甲斐があったと思いました。喜んでくれている笑顔がとてもステキでキラキラしていました。

生活環境学部環境デザイン学科 3年 小谷菜月さんの写真

 こういう機会をいただけたのがありがたかったです。高齢の方とお話することがあまりないので不安だったのですが、コミュニケーションをとるのも楽しく、おしゃれをされて楽しい気持ちになっていただけて良かったと思いました。

生活環境学部環境デザイン学科 3年 荒川真衣さんの写真

 最初コミュニケーションが取れるか不安でしたが、気さくにしゃべっていただけました。自分で好きな色を言ってくださる方が多かったので助かりましたし、服も気に入ってくださってすごくいい機会になりました。

生活環境学部環境デザイン学科 3年 奥山遥加さんの写真

 実際話しながら提案していく中で、気に入ってくれる方が多かったことがすごくうれしかったです。元からおしゃれな方が多く、受け入れてくださるか緊張しましたが、挑戦してみようかしら?という声が聞けたのが良かったです。

生活環境学部環境デザイン学科 3年 鈴木里奈さんの写真

 最初話しかけるまでに緊張して時間がかかってしまいました。今回学んだことを生かして、次はもっと早めに仲良くなれたらいいなと思います。話したら仲良くなれたので、コミュニケーションを取ることは大事だと実感しました。