取材:2024年12月24日
私が介護に興味を持ったきっかけは、中学生のときの職業体験学習です。家の隣に有料老人ホームができて、どんな施設なのか気になっていました。どこで職業体験するか決める際、その施設でも体験ができるとのことで、じゃあ行ってみよう!と気軽な気持ちで参加したのです。体験の3日間、職員さんたちを見ているとたくさんのことを同時にやらなければならず大変そうでした。でも、お茶の配膳を手伝った際に利用者さんから「ありがとう」と言っていただいた、その感謝の言葉が心に響いて、私も誰かのためになれる人になりたいとの思いを強く持ち、私もここの職員さんみたいになりたいと思うようになりました。
高校は普通科に進学し、早く介護福祉士になりたいとの夢を実現するため、大学ではなく専門学校を選びました。いきなり社会に出るのは不安もあったので、専門的な知識を今、学んでいるところです。
私が介護の道に進みたいと言ったとき、両親には最初「なんで介護福祉士なの?」と驚かれました。介護職の給料は低いわりに仕事量は多いというイメージがあったようです。でも私はお金をたくさん稼ぐために介護福祉士になるのではなく、介護の仕事を通して誰かの役に立ちたいとの思いで介護福祉士を目指すのだという決心を両親は尊重してくれて、今ではすごく応援してくれています。
今、学校で一番楽しい授業は「介護過程」です。利用者さんの情報をもとに、介護計画を立て、ケアを実践して評価を行います。いろいろな利用者さんの既往歴や、今どんな生活をされているのかを見て、そこから情報を引き出して、その方に合ったケアを考えるのはとても充実感があります。自分で考えたケアをクラスメイトと共有して、こんな考え方もあるんだと発見も多いです。

実習は10日間を1回、1日を2回行いました。10日間の実習は障害者の方の支援施設。1日は障害者の方の施設と特別養護老人ホームです。障害者の方の施設で実習を行うのは、最初はちょっと不安がありましたが、やはりどこの施設もスタッフの皆さんが温かい!すごく素敵な施設でした。実習中は大変でも、最終日になると寂しい思いでいっぱいでした。
特養では学校からうかがった3人が考えたレクリエーションをやったんです。そしたら利用者さんがすごく楽しんでくれて。嬉しくなっちゃって「明日も行きたいね、行けないけど」って。道具も使わない簡単なレクだったのですが、何も使わないのにここまで盛り上がることができてホント良かったなって思いました。利用者の皆さんも「学生が考えたレクリエーションなんて…」と思わずに「どんなの考えたの?」「楽しみだよ」って言ってくださって、働き始めることが楽しみになりました。
実は私、高校に入るまですごく人見知りで、コミュニケーションも苦手だったのですが、入部した家庭科部が文化祭でファッションショーをすることになり、1年かけて作ったドレスで出演してから変わりました。ショーの後に色々な人とコミュニケーションをとる機会が増え、そこから自分も話しかけられるようになったのです。

実習には3人の留学生と私の4人で参加して、職員さんと実習仲間との橋渡し的な役割も担っていたので大変なことが多かったのですが、その苦労は実際に現場で働くときにも役立つと思います。介護の仕事の魅力は、利用者さんの生活をより良いものにするお手伝いが、すぐ近くで直接的にできる点です。利用者さんに「ありがとう」と感謝の声を掛けていただけるのも本当に嬉しいです。だから私は就職後、常に正直でありたいと思っています。利用者さんに対してはもちろん、一緒に働く職員の方たちにも正直に接して、色々な人から信頼してもらえるような介護福祉士になりたいと毎日頑張っています。
これから専門学校への進学を考えている方に言いたいのは、もし悩んだとしても自分の進んだ道は間違っていないので、胸を張って進んでほしいということです。私も今までに何度も、他の職業を目指していたらどうなっていたかな?って思ったことがありました。でも、何回悩んだとしても、自分の選んだ道が間違っているとは思ったことがありません。高校生の皆さんも私と同じように自分の選択に自信を持つことが難しくなったり、大丈夫なのかなって不安に思ってしまうことがあるかもしれませんが、介護の道に進むと決めたことは間違いではないと伝えたいです。