取材:2025年9月5日
私は中国出身で、結婚を期に日本に来て、26年目。17年前の、まだ子育ての真っ最中だったころ「人の役に立つ仕事がしたい」と考えて、ホームヘルパー2級(現・介護職員初任者研修)の資格を取りました。当時は日本語も十分に理解できず、難しい試験を受ける自信はありませんでしたが、この資格は研修を受ければ取得できるということで、「いつか役立てたい」という気持ちで挑戦しました。

すぐに介護の現場に入ることはなく、スーパーのパートなどで働きながら子育てしていましたが、子どもが巣立ったあと「あのとき取った資格を活かしたい」「介護をもっと深く理解したい」と思うようになりました。介護の仕事は体力も必要だと考えて、私はスーパーのリカー部門で3年間働き、重いものを運んで筋力を鍛えました。さらに、持久力をつけるためにマラソンにも挑戦しました。「これなら8割はいける」と感じ、友人の紹介でこの施設に入職したのがちょうど昨年の夏です。
資格を取ったのは何年も前のことですし、実際の現場では通用しないのではないかと不安もありました。でも、自分で選んだ道です。それに先輩方が丁寧に教えてくださり、私は毎日が新しい発見で、楽しく学びながら仕事を続けることができています。
利用者さまやご家族に「あなたを頼りにしています」と言っていただいたときは、自分が人の役にたっていると実感できて、胸がいっぱいになりました。お風呂の介助で身体を洗うといった日常的な支援でも、「やさしくしてくれて安心です」と感謝の言葉をかけてもらえると、この仕事をして良かったと強く感じます。

介護の仕事は大変なこともあるだろうと覚悟していましたが、実際にやってみると思っていたより楽しいです。もちろん体力的に疲れを感じることはありますが、それ以上に学べることや、やりがいが大きい。腰を痛めないように働く知識と技術もあります。
この知識や技術は、自分の家族の介護にも大きく役立ちました。半月休みをいただいて、中国にいる母の介護をしたのですが、介護を学んでいて良かったと感じることがたくさんありました。実は、介護の仕事に就く前、認知症の義理の父と5年間一緒に暮らしたときには、教科書だけでは分からない介護の奥深さを実感しました。「もっと勉強しておけばよかった」と悔しい思いもしました。その経験もあって、今は介護福祉士の国家資格を目指しています。
介護の仕事はチームワークです。介護職員だけでなく、看護師やリハビリの先生、ケアマネジャーなどが一丸となって、利用者さまの健康や生活を第一に考えて取り組んでいます。私は日々の変化を見つけて報告し、その情報がカンファレンスで共有され、次のケアにつながっていく。その連携の一員として役立てていることに、大きな誇りと感動を覚えます。「私もチームの一員なんだ」と実感できることは、この仕事ならではの魅力です。
今後は介護福祉士の資格を取得し、さらに知識と技術を高めていきたいと思っています。そのために今年はほかの施設でのボランティアにも参加し、介護を更に広く学ぶ予定です。働きながら福祉系の大学の通信教育部にも在籍しています。将来は海外の介護現場も見てみたいですし、もしかすると介護を教える道もあるかもしれません。遠い将来の目標はまだはっきりしていませんが、今は介護福祉士資格のために勉強を頑張ります。

世間では「介護は大変な仕事」というイメージがあります。確かに体力も必要ですし、時には大きな責任を感じることもあります。でも私は、自分から選んだ道なので苦労とは思いません。むしろ、毎日新しい発見があり、人の役に立っていると実感できて楽しいです。
これから介護の仕事を考えている若い人たちに伝えたいのは、「まずは行動してみてほしい」ということです。利用者さんが笑顔で応えてくださる瞬間に立ち会えるのは、本当に幸せなことです。なので怖がらずに働きに来てください。そうしたら素敵な笑顔に出会えますよ。