取材:2025年10月29日
私の家は専業農家で、私自身も40歳くらいまで農業をやっていました。しかし、結婚をして子どもができてと生活が変化していくうちに、仕事は仕事、休みは休みとメリハリをつけられる仕事に転職したいと思うようになりました。自分に何ができるか考えたとき、曽祖父母も同居する大家族に育ち、ご近所も多世代で暮らす家が多く、お年寄りと話すのが好きだったことから最初に浮かんだのが介護の仕事です。専門学校の講座を受講して介護職員初任者研修を取り、そこで紹介してもらった施設に就職して約6年が経ちました。
介護職員になって3年を過ぎた際に介護福祉士の資格も取得。次の年、施設内のユニット対抗で行われる介護技術コンテストの代表になりました。このコンテストは施設内6チームごとに代表を選び、正しい技術と知識の習得、介護技術の向上を目的に「食事」「移乗」などテーマを設定して行うもので、2024年は私が優勝。その結果、出場することになったのが11月に行われた「あいち介護技術コンテスト2024」です。
施設内のコンテストでは「当たって砕けろ」の精神で出て優勝。そして次は「あいち介護技術コンテスト」出場が自然の流れで決まっていました。というのも、2020年の「あいち介護技術コンテスト」では、同じ施設の先輩である野村(昻生)さんが施設内コンテストで優勝して、愛知県のコンテストに出場。グランプリを受賞したからです。施設内コンテストから県のコンテストへ、という流れができていたことと、私がここで働き始めたときに排泄介助を教えてくれたのが野村さん。そのときから目標といいますかお手本だったので、出場しようと決め、運良く準グランプリを受賞することができました。
出場するに当たって、対策はしていたつもりです。でも、出場するしないに関わらず今まで先輩に教えてもらっていたのは過介助にならないように気をつけること。できることは御本人にやっていただいて、本当にできないことだけお手伝いする。更に安心、安全の確保。普段から教わっていた通りに行うよう心掛けました。今までやったことのないことを付け焼き刃でやったわけではなく、教えてもらったことを丁寧に行うよう意識しました。多分、私は出場者の中で経験が少ない方で、皆さんベテランの感じだったので、逆に開き直って挑むことができました。
あと、コンテストの控室でたまたま隣が今回グランプリを受賞された間瀬さんでした。出番まで2人で話をしながら待てたことでリラックスできたように思います。で、蓋を開けてみたらグランプリ、準グランプリだったので決定後、つい2人でハイタッチしてしまいました。
準グランプリをいただいたことで、常に恥ずかしくない行動をしなければいけないと意識するようになりました。今は現場を離れて事務仕事や相談業務が主になりましたが、ショートステイの送迎をやっているので、しっかり意識しなければ、と思います。
介護職の魅力は、利用者さんやご家族から「ありがとう」と感謝の気持ちをもらえるのはもちろんなのですが、単純に私が利用者さんと接しているのが楽しいということも大きいです。農家をやっていたころは1日全くしゃべらないときもあったりしたことを考えると、毎日本当にいきいきと働くことができています。
だからこそ、現場を離れて事務部門に異動する打診を受けたときは悩みました。でも事務所の仕事も介護を裏方で支える仕事ですし、自分はいざとなったら現場もできる。裏方で請求業務や経理、相談業務もやれることは自分のステップアップに繋がると思いました。
介護の仕事は休みもきちんと取れますので、子どもと一緒に過ごしてリフレッシュする時間も十分あります。お給料も処遇改善手当などが充実してきて、一般の人は知らない手当があったりもしますので、そういう待遇面を詳しく知ってもらえれば、もっと介護職に興味を持ち、就職の選択肢に入れてくれる人も増えるのではないでしょうか。うちの施設もそうですが、SNSなどを通して発信している施設も多くありますので、ぜひチェックしてみてください。





