取材:2017年12月27日
おばあちゃん子で育った私は、小さいころからお年寄りと関わることが好きでした。小学生のときにボランティアでデイサービス施設にも行きましたが、今考えると福祉に興味を持つようになったのはこのころからだと思います。
介護の仕事に就きたいと思ったのは、高校生のときです。福祉系の大学に進学し、介護福祉士の資格を取得できました。ただ、大学卒業時に子どもがいたので、介護の職場で働き始めるまでに7年のブランクがあります。この間、飲食店やスーパーなど他の職種も経験しましたが、違和感を覚えながら働いていました。やっぱり介護職として働きたい自分がいたんです。資格を生かしたいという気持ちだけでなく、困っている人を見ると手助けしたくなる、私の性分からですね。
現在の主な仕事は、デイサービスを利用される方のお迎えと、食事やトイレ、入浴の介助です。介護度の低い方の場合、習い事感覚で利用される方もいるので、初めての経験ができたと思えるような時間の創出を心掛けています。利用される理由はさまざまですが、ご家族の負担が減ったり、悩みがあってもそれを忘れられるような時間を過ごしていただきたいです。帰り際の「楽しかった」「ありがとう」のひと言がうれしく、やりがいになっています。
私にとって職場は、自分をリセットすることができる場所です。家に帰れば、下は1歳から上は小学5年生まで6人の子どもがいて、毎日が慌ただしく過ぎていますが、利用者さんのお世話を通して体を動かしたり、おしゃべりをすることで、気持ちの切り替えができて子育てのイライラもすっきり。息抜きの場所でもありますね。

世間ではマイナスイメージが先行している介護の仕事ですが、子育ての面で考えると子どもを持っているママには合っていると思います。私の場合、現在は週5日、子供たちを送り出してから保育園のお迎えの時間まで仕事というリズムが子育てを楽しいものにしてくれていますし、子育ての大先輩である利用者さんたちからは、ママ友とはひと味もふた味も違うアドバイスもいただいています。
介護職の魅力は、利用者さんと一緒に喜怒哀楽できることです。私自身、気軽に介護職の道に進みましたが、この「気構えずに」がポイントだと思っていて、気構えないことで一緒に楽しむくらいの余裕が生まれるのではないでしょうか。
今の高齢者は、戦争などを経験されてきた方が多いせいか我慢強い方、自分のことは自分で解決しようされる方が多いと思うんです。最近になって、そういう方たちが困っているときに出すシグナルに気付いて声を掛けることができたり、「実はね…」と話をしてくださることも増えてきました。介護職になってまだ5年目ですが、介護職としてできること、仕事の魅力が増していることを実感しています。

介護の仕事に興味を持ち、施設の見学に行くことがあったら、まずは職員の利用者さんに対するコミュニケーションの取り方を見てください。そして「自分ならこう話すかな」と思うようであれば、次はぜひボランティアに参加して、実践してみてほしいです。ボランティアに参加すると利用者さんとの信頼関係の築き方がさらに見えてくると思います。ここでもポイントは「気構えずに」ですよ。