取材:2018年10月26日
私が通っていた小学校では、卒業式で将来の夢を発表するのが恒例でした。いざ自分が6年生になり、卒業式で何を発表すればいいのだろうと悩んでいると、当時介護の現場で働いていた母が、「あなたは長女で面倒見が良いのでそれを生かして、介護の仕事がいいんじゃない?」とアドバイスをくれたんです。このときのことが、介護の道に進むきっかけになりました。母は何気なく言ったそうですが、超高齢社会の今、介護の現場は人手不足ですし、何より人の役に立つ仕事なので、両親も私の決断をうれしく思ってくれています。
中学卒業後に現在の学校に進学し、高等課程から介護福祉の勉強を始めました。当初抱いていた介護のイメージは「してあげる」でしたが、学んでみて知ったのは「相手のためになるように、こちらがお手伝いさせていただく」という心持ち。利用者さんは必ずしも受け身ではないんだと強く思いました。
高等課程を含めてまだ4年弱しか介護福祉について学んでいませんが、介護の仕事の魅力は、やはり利用者さんのお役に立てたときに感じることができると思っています。実感したのは、高等課程1年のときから週1回アルバイトに行っているデイサービスでのこと。歩行が不安定な利用者さんの手を引いてトイレまで誘導したところ、「助かったわ。ありがとう」と言葉を掛けていただきました。

些細なことかもしれませんが、まだ右も左も分かっていなかったころ。この仕事っていいな、と思わずにはいられませんでした。学校の講座の勉強で長期間休んで、今年の夏に再び行ったときは、私のことを覚えてくれていた利用者さんが声を掛けてくださいました。そんな温かい雰囲気も、介護の現場で仕事をする上では、魅力の一部といえるのではないでしょうか。
介護は人によって、してほしいことがまちまちなので、理想としているのは一人一人に合わせたケアができる介護士。少しでも近づけるように、今できることとして学校での勉強に加えて、アルバイト先のデイサービスでは利用者さんが何を求めているか、気を付けて見るように心掛けています。予想外のことがあったときには、翌日の学校で先生に「どう対応するのがよかったんでしょうか?」と聞くことも忘れません。私の通っている学校は、生徒と先生の距離が近いので相談しやすく、的確なアドバイスがいただけます。私が介護の勉強に打ち込めるのは、分からないことがあっても先生に気軽に聞くことができる環境のおかげでもあります。

介護福祉の勉強は、最初は聞きなれない用語ばかりなので難しいと思われるかもしれません。でも人の役に立つことを仕事にすることができると思うと、頑張れるものです。お給料をいただきながら、いろいろな場面で「ありがとう」と言ってもらえるのは、他のサービス業とは異なるところでしょうし、すてきなことだと思いませんか。当面の目標は、介護福祉士の資格の取得。その後、何をしたいかは具体的になっていませんが、はっきりしているのは、介護の仕事を少しでも長く続けたいということ。気付いたときには「お姉ちゃん」だったので自分では分かりませんが、母が言うように面倒見がよく、介護の現場でも生かすことができるのなら、うれしい限りですね。