取材:2018年12月27日
介護の仕事に興味を持ったのは、両親が共働きで近所に住んでいた祖母に育てられたことが大きいです。もともとお年寄りが好きで、中学生くらいのときから高齢者福祉の道に進みたいと漠然と思っていました。大学を選ぶ際には日本各地の「福祉」と名の付く大学を調べ、進学を機会に福岡から愛知県に来ました。
大学に入学して福祉のことを勉強しだしてから知ったのは、福祉は高齢者だけを対象にしているものではないということです。けれども自分はやっぱりお年寄りが好きだから高齢者介護の道へ進みたいと思い、卒業後、オープンと同時にこの施設に就職しました。
就職した当時は足を引っ張ってはいけないと、がむしゃらだったので苦労を感じる余裕もありませんでした。今、振り返ると親切な先輩に囲まれ、教えていただきながら少しずつ経験を積むことができたように思います。介護福祉士の資格は当時の事務長さんに勧められて取得し、その後ケアマネジャーの資格も取りましたが、受験のときは結婚もして子どももいたので勉強との両立が大変だったことを覚えています。
仕事自体は毎日楽しくて、気がついたら同じ施設で16年目になります。様々な役職を経て、10年目の時、施設長を任されることになりました。こんなに長く続けられたのは、毎日利用者様と接することで、お一人おひとりの特徴や性格を把握し、その方に合った介護サービスを提供することにやりがいを感じられるからです。このサービスをしたらきっと喜んでくださるという見極めが楽しいし、それがぴったりハマって手応えを得られる瞬間が嬉しい。喜んでくださるとこちらも良かったなーと思える。その繰り返しですね。

ぴったりのサービスを提供するには情報収集やアセスメントが必要です。今は私が現場でサービスを提供しているわけではありませんが、ケアマネジャーとして私が立てたプランで職員がサービスを提供していくので、なるべく利用者様の思いを引き出したいと思っています。
介護の仕事を始めた当時は、まさか自分が施設長になるとは思っていませんでした。施設長の仕事は多岐にわたります。入居者様だけではなくご家族とのコミュニケーションを図り、心配事や利用者様への思いを汲み取れるよう心を配ることも施設長の仕事だと思っています。また、利用者様の施設での暮らしについて特別なことがなくてもご家族にお伝えするように心がけています。
ベティさんの家ではレクリエーションに力を入れています。全員が一緒に行うレクリエーションもありますが、少人数で行うクラブ活動も行っています。季節に合わせた催しもいろいろあります。施設で暮らしているとどうしても同じ生活パターンになってしまいますので、充実した毎日を過ごしていただくために日中はなるべく楽しいことをして、夜間よく眠っていただきたい。中でも一番大きなイベントが秋祭りです。デイサービスとの合同企画で、ご家族も参加されます。毎年テーマを決めているのですが、今年のテーマは「昭和」。職員が描いた太陽の塔の絵を話題にするなど、昭和の時代の懐かしい話をしました。

介護職に就職、転職を考えている方に伝えたいのは、介護職は人と接することが好きな方にはとても合っている仕事だということです。事業所の種類もたくさんあり在宅のヘルパーとして一対一で対応するところや、大きな施設もあります。また働く時間帯もさまざまです。関わり方もそれぞれの施設で違いますので、自分に合うところを探すのも一つの方法です。施設見学や体験を受け入れているところも多くあるので、ぜひ実際に行ってみて、そこで働く人や利用者様を見て自分に合う職場を見つけてください。